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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117576
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240822BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648K
H01L21/304 643A
H01L21/306 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023743
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 圭将
(72)【発明者】
【氏名】東 克栄
(72)【発明者】
【氏名】竹松 佑介
(72)【発明者】
【氏名】平田 哲也
【テーマコード(参考)】
5F043
5F157
【Fターム(参考)】
5F043AA02
5F043AA40
5F043BB27
5F043DD02
5F043DD07
5F043EE07
5F043EE08
5F043EE28
5F043EE33
5F043EE36
5F043GG10
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC13
5F157BB23
5F157BB38
5F157BB66
5F157BE12
5F157BE23
5F157BE33
5F157BE43
5F157BE44
5F157CA03
5F157CE36
5F157CF04
5F157CF14
5F157CF34
5F157CF42
5F157CF44
5F157CF60
5F157CF99
5F157DC84
5F157DC86
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】処理液の清浄度の低下を抑制しつつ、処理液の吐出前に基板に吐出された液体を再利用できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、複数種類の液体が混合された処理液を基板Wに吐出する。基板処理装置1は、所定液体貯留槽54と同種液体供給部200と吐出部20と回収部110とを備える。所定液体貯留槽54は、処理液を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である所定液体を貯留する。同種液体供給部200は、所定液体と同種の液体である第1同種液体を貯留する第1貯留槽204を含む。吐出部20は、処理液が基板Wに吐出される前に、第1同種液体を基板Wに吐出する。回収部110は、基板Wに吐出された第1同種液体を回収し、第1同種液体を第1貯留槽204に供給する。第1同種液体の温度は室温よりも高い。第1同種液体は、複数種類の液体のうちのいずれの液体としても使用されない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の液体が混合された処理液を基板に吐出することによって前記基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を保持して回転させる基板保持部と、
前記処理液を生成するための前記複数種類の液体のうちのいずれかの液体である所定液体を貯留する所定液体貯留槽と、
前記所定液体と同種の液体である第1同種液体を貯留する第1貯留槽を含み、前記第1同種液体を供給する同種液体供給部と、
前記同種液体供給部から供給される前記第1同種液体を、前記所定液体に由来する前記処理液が前記基板に吐出される前に、前記基板に吐出する吐出部と、
前記基板に吐出された前記第1同種液体を回収して、前記第1同種液体を前記第1貯留槽に供給する回収部と
を備え、
前記同種液体供給部から供給される前記第1同種液体の温度は、室温よりも高く、
前記第1同種液体は、前記複数種類の液体のうちのいずれの液体としても使用されない、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1同種液体を前記基板に吐出する際の前記第1同種液体の温度は、前記処理液を前記基板に吐出する際の前記処理液の温度と略同じである、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記第1同種液体を前記基板に吐出する際の前記第1同種液体の温度は、前記処理液を生成する際の前記所定液体の温度よりも高い、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記同種液体供給部は、
室温の液体であって、前記所定液体と同種の液体である第2同種液体を貯留する第2貯留槽と、
前記第1同種液体と前記第2同種液体とを混合して、混合後の液体を新たな第1同種液体として、前記吐出部に供給する液体供給部と
を更に含み、
前記液体供給部は、前記第1貯留槽に貯留される前記第1同種液体を加熱する加熱部を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記処理液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、硫酸である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理液は、アンモニア水と過酸化水素水と水とが混合されたアンモニア過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、水であり、又は、
前記処理液は、塩酸と過酸化水素水と水とが混合された塩酸過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、水である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
複数種類の液体が混合された処理液を基板に吐出することによって前記基板を処理する基板処理方法であって、
所定液体に由来する前記処理液を前記基板に吐出する工程と、
前記所定液体と同種の液体である第1同種液体を、前記処理液が前記基板に吐出される前に、前記基板に吐出する工程と、
前記基板に吐出された前記第1同種液体を回収して、前記第1同種液体を第1貯留槽に供給する工程と
を含み、
前記所定液体は、前記処理液を生成するための前記複数種類の液体のうちのいずれかの液体であり、
前記基板に吐出される際の前記第1同種液体の温度は、室温よりも高く、
前記第1同種液体を前記基板に吐出する前記工程では、前記第1貯留槽に貯留された前記第1同種液体が再利用され、
前記第1同種液体は、前記複数種類の液体のうちのいずれの液体としても使用されない、基板処理方法。
【請求項8】
前記第1同種液体を前記基板に吐出する際の前記第1同種液体の温度は、前記処理液を前記基板に吐出する際の前記処理液の温度と略同じである、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記第1同種液体を前記基板に吐出する際の前記第1同種液体の温度は、前記処理液を生成する際の前記所定液体の温度よりも高い、請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記第1同種液体を前記基板に吐出する工程では、前記第1貯留槽からの加熱された前記第1同種液体と、第2貯留槽からの室温の第2同種液体とを混合して、混合後の液体を新たな第1同種液体として、前記基板に吐出し、
前記第2同種液体は、前記所定液体と同種の液体である、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記処理液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、硫酸である、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記処理液は、アンモニア水と過酸化水素水と水とが混合されたアンモニア過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、水であり、又は、
前記処理液は、塩酸と過酸化水素水と水とが混合された塩酸過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、水である、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された基板処理装置では、基板回転機構により回転する基板の上面に向けて処理液供給部から液体が吐出される。処理液供給部は、硫酸供給部、過酸化水素水供給部、混合液生成部およびノズルを備える。基板処理装置では、硫酸供給部により加熱された硫酸がノズルから基板に供給され、基板に対する予備加熱処理が行われる。その後、硫酸供給部からの加熱された硫酸と過酸化水素水供給部からの過酸化水素水とが混合液生成部にて混合されてSPM(硫酸過酸化水素水混合液)が生成され、SPMが基板に供給されてSPM処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-74090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された基板処理装置では、回収部が、予備加熱処理の際に基板に供給された硫酸を回収し、硫酸供給部へと戻す。従って、SPM処理で使用するSPMは、回収された硫酸を含有する。その結果、SPM処理の回数が多くなると、SPMの清浄度が低下する可能性がある。
【0005】
すなわち、処理液(例えば、SPM)の吐出前に基板に吐出された液体(例えば、硫酸)を再利用して、処理液を生成している。従って、処理液の清浄度が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理液の清浄度の低下を抑制しつつ、処理液の吐出前に基板に吐出された液体を再利用できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、複数種類の液体が混合された処理液を基板に吐出することによって前記基板を処理する。基板処理装置は、基板保持部と、所定液体貯留槽と、同種液体供給部と、吐出部と、回収部とを備える。基板保持部は、前記基板を保持して回転させる。所定液体貯留槽は、前記処理液を生成するための前記複数種類の液体のうちのいずれかの液体である所定液体を貯留する。同種液体供給部は、前記所定液体と同種の液体である第1同種液体を貯留する第1貯留槽を含み、前記第1同種液体を供給する。吐出部は、前記同種液体供給部から供給される前記第1同種液体を、前記所定液体に由来する前記処理液が前記基板に吐出される前に、前記基板に吐出する。回収部は、前記基板に吐出された前記第1同種液体を回収して、前記第1同種液体を前記第1貯留槽に供給する。前記同種液体供給部から供給される前記第1同種液体の温度は、室温よりも高い。前記第1同種液体は、前記複数種類の液体のうちのいずれの液体としても使用されない。
【0008】
ある実施形態において、前記第1同種液体を前記基板に吐出する際の前記第1同種液体の温度は、前記処理液を前記基板に吐出する際の前記処理液の温度と略同じであることが好ましい。
【0009】
ある実施形態において、前記第1同種液体を前記基板に吐出する際の前記第1同種液体の温度は、前記処理液を生成する際の前記所定液体の温度よりも高いことが好ましい。
【0010】
ある実施形態において、前記同種液体供給部は、第2貯留槽と、液体供給部とを含むことが好ましい。第2貯留槽は、室温の液体であって、前記所定液体と同種の液体である第2同種液体を貯留することが好ましい。液体供給部は、前記第1同種液体と前記第2同種液体とを混合して、混合後の液体を新たな第1同種液体として、前記吐出部に供給することが好ましい。前記液体供給部は、前記第1貯留槽に貯留される前記第1同種液体を加熱する加熱部を含むことが好ましい。
【0011】
ある実施形態において、前記処理液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、硫酸であることが好ましい。
【0012】
ある実施形態において、前記処理液は、アンモニア水と過酸化水素水と水とが混合されたアンモニア過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、水であり、又は、前記処理液は、塩酸と過酸化水素水と水とが混合された塩酸過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、水であることが好ましい。
【0013】
本発明の他の局面によれば、基板処理方法は、複数種類の液体が混合された処理液を基板に吐出することによって前記基板を処理する。基板処理方法は、所定液体に由来する前記処理液を前記基板に吐出する工程と、前記所定液体と同種の液体である第1同種液体を、前記処理液が前記基板に吐出される前に、前記基板に吐出する工程と、前記基板に吐出された前記第1同種液体を回収して、前記第1同種液体を第1貯留槽に供給する工程とを含む。前記所定液体は、前記処理液を生成するための前記複数種類の液体のうちのいずれかの液体である。前記基板に吐出される際の前記第1同種液体の温度は、室温よりも高い。前記第1同種液体を前記基板に吐出する前記工程では、前記第1貯留槽に貯留された前記第1同種液体が再利用される。前記第1同種液体は、前記複数種類の液体のうちのいずれの液体としても使用されない。
【0014】
ある実施形態において、前記第1同種液体を前記基板に吐出する際の前記第1同種液体の温度は、前記処理液を前記基板に吐出する際の前記処理液の温度と略同じであることが好ましい。
【0015】
ある実施形態において、前記第1同種液体を前記基板に吐出する際の前記第1同種液体の温度は、前記処理液を生成する際の前記所定液体の温度よりも高いことが好ましい。
【0016】
ある実施形態において、前記第1同種液体を前記基板に吐出する工程では、前記第1貯留槽からの加熱された前記第1同種液体と、第2貯留槽からの室温の第2同種液体とを混合して、混合後の液体を新たな第1同種液体として、前記基板に吐出することが好ましい。前記第2同種液体は、前記所定液体と同種の液体であることが好ましい。
【0017】
ある実施形態において、前記処理液は、硫酸と過酸化水素水とが混合された硫酸過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、硫酸であることが好ましい。
【0018】
ある実施形態において、前記処理液は、アンモニア水と過酸化水素水と水とが混合されたアンモニア過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、水であり、又は、前記処理液は、塩酸と過酸化水素水と水とが混合された塩酸過酸化水素水混合液であり、前記第1同種液体は、水であることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、処理液の清浄度の低下を抑制しつつ、処理液の吐出前に基板に吐出された液体を再利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の内部を示す模式的側面図である。
図2】基板表面温度と処理時間との関係を示すグラフである。
図3】レジスト剥離時間と第1硫酸吐出時間との関係を示すグラフである。
図4】実施形態1に係る基板処理装置によって実行される基板処理方法を示すフローチャートである。
図5】実施形態1の変形例に係る基板処理装置の内部を示す模式的側面図である。
図6】実施形態1の変形例に係る基板処理装置によって実行される基板処理方法を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態2に係る基板処理装置の内部を示す模式的側面図である。
図8】実施形態2の変形例に係る基板処理装置の内部を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0022】
本発明に係る基板処理装置において基板処理の対象となる「基板」には、半導体ウェハ(例えば、シリコンウェハ)、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種の基板を適用可能である。以下では主として、円板状の半導体ウェハを基板処理の対象とする場合を例に本発明の実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置は、上記した半導体ウェハ以外の各種の基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円板状に限定されず、本発明に係る基板処理装置は、各種の形状の基板に対して適用可能である。
【0023】
(実施形態1)
図1図4を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置1を説明する。図1は、実施形態1に係る基板処理装置1の内部を示す模式的側面図である。基板処理装置1は、処理液を用いて基板Wを処理する。より具体的には、基板処理装置1は、枚葉式の装置であり、1枚ずつ基板Wを処理する。処理液は、例えば、薬液である。
【0024】
実施形態1では、基板処理装置1は、複数種類の液体が混合された処理液を基板Wに吐出することによって基板Wを処理する。この場合、基板処理装置1は、処理液を基板Wに吐出する前に、第1同種液体を基板Wに吐出する。第1同種液体は、所定液体と同種の液体である。所定液体は、処理液を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である。第1同種液体の温度は、室温よりも高い。従って、第1同種液体を吐出した後に実行される処理液による処理の際に、基板W上に供給された処理液の温度低下を抑制することができる。その結果、処理液による基板Wの処理の効率を向上することができる。つまり、処理液の使用量を削減しつつも、基板Wに対して処理液による所望の処理を実現できる。なお、処理液は、所定液体に由来する液体と捉えることができる。所定液体は、処理液を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体だからである。
【0025】
本明細書において、「室温」は、例えば、20℃以上30度以下の温度である。
【0026】
以下、一例として、処理液は、硫酸過酸化水素水混合液(SPM:Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)である。SPMは、硫酸(H2SO4)と過酸化水素水(H22)との混合液である。SPMの場合、複数種類の液体は、硫酸及び過酸化水素水である。また、一例として、複数種類の液体のうちのいずれかの液体である所定液体は、硫酸である。更に、一例として、第1同種液体は、硫酸である。以下、所定液体としての硫酸は単に「硫酸」と記載し、第1同種液体としての硫酸は「第1硫酸」と記載する。なお、SPMは、硫酸に由来する液体と捉えることができる。硫酸は、SPMを生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体だからである。
【0027】
基板処理装置1は、硫酸と過酸化水素水とを混合してSPMを作成し、SPMによって基板Wを処理する。実施形態1では、基板処理装置1は、基板WにSPMを供給して、基板Wからレジスト膜を剥離する。この場合、基板処理装置1は、処理液を基板Wに吐出する前に、第1硫酸を基板Wに吐出する。第1硫酸の温度は、室温よりも高い。従って、第1硫酸を吐出した後に実行されるSPMによる処理の際に、基板W上に供給されたSPMの温度低下を抑制することができる。その結果、SPMによる基板Wの処理の効率を向上することができる。つまり、SPMの使用量を削減しつつも、基板Wに対してSPMによる所望の処理(レジスト膜の剥離)を実現できる。
【0028】
具体的には、図1に示すように、基板処理装置1は、チャンバ1aと、スピンチャック10と、薬液ノズル20と、薬液ノズル移動機構30と、過酸化水素水供給部40と、硫酸供給部50と、同種液体供給部200と、対向部材60と、第1昇降部70と、リンス液供給部80と、液受け部90と、第2昇降部100と、回収部110と、廃棄部120と、制御装置500とを備える。
【0029】
チャンバ1aは、内部空間を有する。図1の例では、チャンバ1aは、スピンチャック10、薬液ノズル20、薬液ノズル移動機構30、過酸化水素水供給部40の一部、硫酸供給部50の一部、同種液体供給部200の一部、対向部材60、第1昇降部70、リンス液供給部80の一部、液受け部90、及び、第2昇降部100を収容する。スピンチャック10は、本発明の「基板保持部」の一例に相当する。薬液ノズル20は、本発明の「吐出部」の一例に相当する。
【0030】
スピンチャック10は、基板Wを保持して回転させる。具体的には、スピンチャック10は、1枚の基板Wを水平な姿勢で保持して、基板Wの中心を通る鉛直な回転軸線AX1まわりに基板Wを回転させる。スピンチャック10として、基板Wを水平方向に挟んで基板Wを水平に保持する挟持式のチャックが採用されている。
【0031】
具体的には、スピンチャック10は、スピンモータMと、スピン軸11と、スピンベース12と、複数の挟持部材13とを含む。スピン軸11は、スピンモータMの駆動軸と一体化されている。スピンベース12は、略円板状である。スピンベース12は、スピン軸11の上端に略水平に取り付けられる。スピンベース12の上面には、複数個の挟持部材13が配置されている。複数個の挟持部材13は、スピンベース12の上面周縁部において、基板Wの外周形状に対応する円周上で間隔をあけて配置されている。複数個の挟持部材13は、基板Wの周端面を挟持する。スピンモータMは、スピンベース12を回転軸線AX1まわりに回転させることで、複数個の挟持部材13に挟持された基板Wを回転軸線AX1まわりに回転させる。
【0032】
薬液ノズル20は、基板Wを処理する場合(つまり、基板Wのレジスト膜を剥離する場合)、回転中の基板WにSPMを吐出する。SPMは、本発明の「処理液」の一例に相当する。
【0033】
薬液ノズル20がSPMを基板Wに吐出する場合、過酸化水素水供給部40は、薬液ノズル20に過酸化水素水を供給する。具体的には、過酸化水素水供給部40は、過酸化水素水貯留槽43と、供給部45とを含む。過酸化水素水貯留槽43は、過酸化水素水を貯留する。供給部45は、過酸化水素水貯留槽43に貯留された過酸化水素水を薬液ノズル20に供給する。
【0034】
供給部45は、バルブ41と、ポンプ42と、配管44とを含む。
【0035】
配管44の一端は、薬液ノズル20に接続される。配管44は、薬液ノズル20から過酸化水素水貯留槽43まで延びる。
【0036】
バルブ41は、配管44に配置される。バルブ41は、配管44の流路を開閉する。配管44には、過酸化水素水貯留槽43から、温度調整されていない室温の過酸化水素水が供給される。バルブ41が開かれると、配管44から薬液ノズル20に過酸化水素水が供給される。過酸化水素水は、本発明の「複数種類の液体のうちの他の液体」の一例に相当する。
【0037】
薬液ノズル20がSPMを基板Wに吐出する場合、硫酸供給部50は、薬液ノズル20に硫酸(具体的には、硫酸の新液)を供給する。具体的には、硫酸供給部50は、硫酸貯留槽54と、供給部57とを含む。硫酸貯留槽54は、硫酸(具体的には、硫酸の新液)を貯留する。供給部57は、硫酸貯留槽54に貯留された硫酸を薬液ノズル20に供給する。
【0038】
硫酸貯留槽54は、本発明の「所定液体貯留槽」の一例に相当する。硫酸貯留槽54に貯留される硫酸(具体的には、硫酸の新液)は、本発明の「所定液体」の一例に相当する。
【0039】
供給部57は、バルブ51と、加熱部52と、ポンプ53と、共通配管55と、配管56とを含む。
【0040】
共通配管55の一端は、薬液ノズル20に接続される。共通配管55の他端は、配管56の一端に接続される。配管56の他端は、硫酸貯留槽54まで延びる。配管56には、ポンプ53、加熱部52、及び、バルブ51が、この順番で上流から下流に向かって配置される。
【0041】
ポンプ53は、硫酸貯留槽54に貯留された硫酸を配管56に送出する。つまり、ポンプ53は、硫酸貯留槽54に貯留された硫酸を配管56に供給する。加熱部52は、配管56を流れる硫酸を加熱して、硫酸の温度を目標温度T0に設定する。バルブ51は、配管56の流路を開閉する。目標温度T0は、室温よりも高い。加熱部52は、例えば、ヒータである。
【0042】
配管56は、加熱部52とバルブ51との間で分岐して硫酸貯留槽54へと接続されている。バルブ51が閉じられている状態では、加熱部52により加熱された硫酸は、硫酸貯留槽54と加熱部52とを循環する。従って、硫酸貯留槽54に貯留された硫酸の温度が目標温度T0に設定される。
【0043】
バルブ51が開かれると、目標温度T0に設定された硫酸は、配管56から共通配管55に供給され、共通配管55から更に薬液ノズル20に供給される。
【0044】
硫酸貯留槽54から薬液ノズル20に供給された硫酸と、過酸化水素水貯留槽43から薬液ノズル20に供給された過酸化水素水とは、薬液ノズル20の内部で混合され、SPMが生成される。そして、薬液ノズル20は、回転中の基板WにSPMを吐出する。その結果、SPMによって基板Wが処理される。つまり、SPMによって基板Wのレジスト膜が剥離される。
【0045】
なお、薬液ノズル20がSPMを基板Wに吐出する場合、バルブ201は閉じられている。また、薬液ノズル20から吐出される際のSPMの温度は、例えば、100℃以上200℃以下である。
【0046】
薬液ノズル20は、基板WにSPMを吐出する前に、第1硫酸を基板Wに吐出する。薬液ノズル20が第1硫酸を基板Wに吐出する場合、バルブ41及びバルブ51は閉じられる。
【0047】
薬液ノズル20が第1硫酸を基板Wに吐出する場合、同種液体供給部200は第1硫酸を供給する。具体的には、同種液体供給部200は、薬液ノズル20に第1硫酸を供給する。
【0048】
同種液体供給部200は、供給部206と、第1貯留槽204とを含む。供給部206は、第1貯留槽204に貯留された第1硫酸を薬液ノズル20に供給する。第1貯留槽204は、第1硫酸を貯留する。
【0049】
第1貯留槽204に貯留される第1硫酸は、本発明の「第1同種液体」の一例に相当する。
【0050】
供給部206は、バルブ201と、加熱部202と、ポンプ203と、配管205とを含む。
【0051】
共通配管55の一端は、薬液ノズル20に接続される。共通配管55の他端は、配管205の一端に接続される。配管205の他端は、第1貯留槽204まで延びる。配管205には、ポンプ203、加熱部202、及び、バルブ201が、この順番で上流から下流に向かって配置される。
【0052】
ポンプ203は、第1貯留槽204に貯留された第1硫酸を配管205に送出する。つまり、ポンプ203は、第1貯留槽204に貯留された第1硫酸を配管205に供給する。加熱部202は、配管205を流れる第1硫酸を加熱して、第1硫酸の温度を目標温度T1に設定する。バルブ201は、配管205の流路を開閉する。加熱部202は、例えば、ヒータである。
【0053】
配管205は、加熱部202とバルブ201との間で分岐して第1貯留槽204へと接続されている。バルブ201が閉じられている状態では、加熱部202により加熱された硫酸は、第1貯留槽204と加熱部202とを循環する。従って、第1貯留槽204に貯留された第1硫酸の温度が目標温度T1に設定される。目標温度T1は、室温よりも高い。
【0054】
バルブ41及びバルブ51が閉じられた状態で、バルブ201が開かれると、目標温度T1に設定された第1硫酸は、配管205から共通配管55に供給され、共通配管55から更に薬液ノズル20に供給される。その結果、薬液ノズル20は、SPMを基板Wに吐出する前に、第1硫酸を基板Wに吐出する。よって、SPMを基板Wに吐出する前に、基板Wの表面及び薬液ノズル20が温調されて室温よりも高い温度になる。つまり、SPMを基板Wに吐出する前に、基板Wの表面及び薬液ノズル20は予備加熱される。その結果、第1硫酸を吐出した後に実行されるSPMによる処理の際に、基板Wに供給されたSPMの温度低下を抑制することができる。
【0055】
薬液ノズル移動機構30は、薬液ノズル20を水平面に沿って移動させる。薬液ノズル移動機構30は、退避位置と処理位置との間で薬液ノズル20を移動させる。退避位置は、スピンチャック10の外側の位置である。実施形態1において、処理位置は基板Wの中心に対向する位置である。薬液ノズル20は、処理位置から基板Wに第1硫酸又はSPMを供給する。
【0056】
薬液ノズル移動機構30は、ノズルアーム31と、ノズル基台32と、ノズル移動部33とを有する。ノズル基台32は鉛直方向に延びる。ノズルアーム31の基端部はノズル基台32に結合している。ノズルアーム31は、ノズル基台32から水平方向に延びる。
【0057】
ノズルアーム31は、薬液ノズル20を支持する。薬液ノズル20は、ノズルアーム31から鉛直下方に向けて突出する。薬液ノズル20は、ノズルアーム31の先端部に配置される。
【0058】
ノズル移動部33は、鉛直方向に延びる回動軸線AX2を中心としてノズル基台32を回転させる。その結果、薬液ノズル20が回動軸線AX2を中心とする周方向に沿って移動する。また、ノズル移動部33は、ノズル基台32を上昇又は下降させることができる。その結果、薬液ノズル20が上昇又は下降する。ノズル移動部33は、例えば、ノズル基台32を回転させるためのモータを備える。また、ノズル移動部33は、ノズル基台32を昇降させるために、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備える。
【0059】
対向部材60は、基板Wに対向する。詳しくは、対向部材60は、基板Wの上方に配置される。対向部材60は、リンス液を回転中の基板Wに供給する。具体的には、対向部材60は、リンス液ノズル61を含む。リンス液ノズル61が、回転中の基板Wにリンス液を供給する。つまり、リンス液ノズル61が、回転中の基板Wに向けてリンス液を吐出する。
【0060】
具体的には、リンス液供給部80がリンス液ノズル61にリンス液を供給する。リンス液供給部80は、バルブ81と、配管82とを含む。配管82は、リンス液ノズル61に接続される。バルブ81は、配管82に配置される。バルブ81は、配管82の流路を開閉する。配管82には、リンス液供給源(不図示)からリンス液が供給される。バルブ81が開かれると、配管82からリンス液ノズル61にリンス液が供給される。その結果、リンス液ノズル61は、回転中の基板Wに向けてリンス液を吐出する。
【0061】
リンス液は、脱イオン水(DIW:Deionized water)、所謂「純水」である。但し、リンス液は、脱イオン水に限定されない。例えば、リンス液は、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、アンモニア水、又は希釈された塩酸水(例えば、濃度が10ppm~100ppm程度の塩酸水)であり得る。
【0062】
第1昇降部70は、対向部材3を昇降させる。具体的には、第1昇降部70は、対向部材60を処理位置と退避位置との間で昇降させる。退避位置は、処理位置よりも上方の位置である。処理位置は、退避位置よりも、基板Wに近い位置である。第1昇降部70は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備える。対向部材60(リンス液ノズル61)は、リンス液を処理位置から基板Wに供給する。対向部材60は、処理位置において、基板Wを上方から覆う。
【0063】
液受け部90は、基板Wから飛散する液体(SPM、第1硫酸、又は、リンス液)を受け止める。具体的には、液受け部90は、第1ガード91と、第1カップ94と、第2ガード92と、第2カップ95と、第3ガード93とを有する。
【0064】
第1ガード91は、スピンチャック10を囲む略円筒状であり、スピンチャック10の周囲に配置される。第1ガード91は、実施形態1では、回転する基板Wから飛散する第1硫酸を受け止める。
【0065】
第1カップ94は、第1ガード91の下端側に配置される。第1カップ94は、第1ガード91の下端の下方に、円環状の溝を形成する。第1カップ94には、実施形態1では、第1ガード91の内周面から流れ落ちる第1硫酸が収集される。第1カップ94に収集された第1硫酸は、第1カップ94の底部に接続された回収部110によって回収される。
【0066】
第2ガード92は、第1ガード91を囲む略円筒状であり、第1ガード91の周囲に配置される。第2ガード92は、実施形態1では、回転する基板Wから飛散するSPMを受け止める。
【0067】
第2カップ95は、第2ガード92の下端側に配置される。第2カップ95は、第2ガード92の下端の下方に、円環状の溝を形成する。第2カップ95には、第2ガード92の内周面から流れ落ちるSPMが収集される。
【0068】
第2カップ95に収集されたSPMは、第2カップ95の底部に接続された廃棄部120によって廃棄される。廃棄部120は、廃棄ユニット121と、排液配管122とを含む。排液配管122は、第2カップ95の底部に接続し、廃棄ユニット121まで延びている。排液配管122に、第2カップ95において収集されたSPMが流入する。そして、SPMは、排液配管122から廃棄ユニット121に供給される。その結果、廃棄ユニット121は、SPMを廃棄する。
【0069】
第3ガード93は、第2ガード92を囲む略円筒状であり、第2ガード92の周囲に配置される。第3ガード93は、回転する基板Wから飛散する液体を受け止めることが可能である。
【0070】
第2昇降部100は、第1ガード91、第2ガード92、及び第3ガード93を個別に昇降させる。第2昇降部100は、制御部501によって制御される。第2昇降部100は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与える電動モータとを備える。
【0071】
具体的には、第2昇降部100は、第1ガード91、第2ガード92、及び、第3ガード93の上端が基板Wよりも下方に配置された退避状態と、第1ガード91が基板Wの周端面に対向する第1対向状態(図1に示す状態)と、第2ガード92が基板Wの周端面に対向する第2対向状態と、第3ガード93が基板Wの周端面に対向する第3対向状態と、のうちのいずれかに切り換える。
【0072】
更に具体的には、液受け部90の第1対向状態では、第1ガード91、第2ガード92、及び、第3ガード93が上位置(処理高さ位置)に配置される(図1)。第1対向状態では、一例として、第1ガード91が、基板Wから飛散した第1硫酸を受ける。
【0073】
液受け部90の第2対向状態では、第2ガード92及び第3ガード93が上位置に配置され、かつ第1ガード91が下位置に配置される。第2対向状態では、一例として、第2ガード92が、基板Wから飛散したSPMを受ける。
【0074】
液受け部90の第3対向状態では、第3ガード93が上位置に配置され、かつ第1ガード91及び第2ガード92が下位置に配置される。液受け部90の退避状態では、第1ガード91、第2ガード92、及び、第3ガード93が下位置に配置される。
【0075】
回収部110は、基板Wに吐出された第1硫酸を回収して、第1硫酸を第1貯留槽204に供給する。具体的には、回収部110は、基板Wから飛散した第1硫酸を、第1ガード91及び第1カップ94を介して回収する。
【0076】
回収部110は、回収ポンプ111と、回収配管112とを含む。回収配管112は、第1カップ94の底部に接続され、第1貯留槽204まで延びている。回収配管112には、回収ポンプ111が配置される。回収ポンプ111は、第1カップ94から回収した第1硫酸を第1貯留槽204へと送出する。その結果、回収部110によって回収された第1硫酸が、第1貯留槽204に貯留され、再利用される。つまり、回収された第1硫酸は、SPMを基板Wに吐出する前において、薬液ノズル20及び基板Wの表面を予備加熱する場合に再利用される。
【0077】
薬液ノズル20が第1硫酸を吐出する場合には、バルブ41、51が閉じられている。従って、第1貯留槽204に貯留された第1硫酸は、SPMを基板Wに吐出する前において、薬液ノズル20及び基板Wの表面を予備加熱する場合にだけ使用される。換言すれば、第1貯留槽204に貯留された第1硫酸は、SPMを生成するための複数種類の液体のうちのいずれの液体としても使用されない。更に換言すれば、第1貯留槽204に貯留された第1硫酸は、SPMを生成するための硫酸として使用されない。このように、回収された第1硫酸は、硫酸貯留槽54に供給されず、硫酸貯留槽54の硫酸と混合されない。
【0078】
従って、SPMを生成するための硫酸(硫酸貯留槽54に貯留された硫酸)の清浄度が、第1硫酸によって低下することを防止できる。換言すれば、SPMの清浄度が、第1硫酸によって低下することを防止できる。更に換言すれば、実施形態1によれば、SPMの清浄度の低下を抑制しつつ、SPMの吐出前に基板Wに吐出された第1硫酸を再利用できる。
【0079】
すなわち、実施形態1によれば、処理液の清浄度の低下を抑制しつつ、処理液の吐出前に基板Wに吐出された第1同種液体(液体)を再利用できる。
【0080】
制御装置500は、基板処理装置1の各部の動作を制御する。制御装置500は、例えば、コンピューターである。具体的には、制御装置500は、制御部501と、記憶部502とを含む。
【0081】
制御部501は、記憶部502に記憶されている各種情報に基づいて基板処理装置1の各部の動作を制御する。例えば、制御部501は、記憶部502に記憶されている各種情報に基づいて、スピンチャック10、薬液ノズル移動機構30、過酸化水素水供給部40、硫酸供給部50、同種液体供給部200、第1昇降部70、リンス液供給部80、第2昇降部100、回収部110、及び、廃棄部120を制御する。
【0082】
制御部501は、例えば、プロセッサを有する。制御部501は、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)を有してもよい。あるいは、制御部501は、汎用演算機又は専用演算器を有してもよい。
【0083】
記憶部502は、基板処理装置1の動作を制御するための各種情報を記憶する。具体的には、記憶部502は、記憶装置を含み、各種情報として、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。そして、制御部501のプロセッサは、記憶部502の記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行することで、基板処理装置1の各部の動作を制御する。各種情報(データ)は、レシピデータを含む。レシピデータは、基板Wの処理内容、処理条件、及び処理手順を規定するレシピを示す。
【0084】
更に具体的には、記憶部502は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部502は、補助記憶装置を更に有していてもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部502はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部502は、非一時的コンピューター読取可能記憶媒体の一例に相当する。
【0085】
以上、図1を参照して説明したように、実施形態1によれば、薬液ノズル20は、同種液体供給部200から供給される第1硫酸を、SPMが基板Wに吐出される前に、基板Wに吐出する。この場合、第1硫酸の温度は、室温よりも高い。従って、薬液ノズル20の温度が、第1硫酸によって、SPMの吐出前に上昇する。加えて、基板Wの表面の温度が、第1硫酸によって、SPMの吐出前に上昇する。その結果、SPMによる基板Wの処理開始時のSPMの温度が低下することを抑制できる。よって、SPMによるレジスト膜の剥離性能を向上できる。剥離性能とは、単位時間当たりのレジスト膜の剥離量のことである。SPMによるレジスト膜の剥離性能を向上できると、SPMの使用量を削減できる。つまり、SPMの廃棄量を削減できる。
【0086】
また、実施形態1では、第1硫酸を基板Wに吐出する際の第1硫酸の温度は、SPMを基板Wに吐出する際のSPMの温度と略同じであることが好ましい。この好ましい例によれば、第1硫酸の温度をSPMの温度よりも高くする場合と比較して、加熱部202が使用する電力消費量を削減できる。
【0087】
また、実施形態1では、第1硫酸を基板Wに吐出する際の第1硫酸の温度は、SPMを生成する際の硫酸の温度よりも高いことが好ましい。この好ましい例によれば、第1硫酸の温度がSPMを生成するための硫酸の温度より低い場合と比較して、SPMの吐出前において、薬液ノズル20の温度及び基板Wの表面の温度を高くできる。その結果、SPMによる基板Wの処理開始時のSPMの温度が低下することを更に抑制できる。よって、SPMによるレジスト膜の剥離性能を更に向上できる。また、この好ましい例では、ヒュームの発生を抑制できる。
【0088】
例えば、第1硫酸を基板Wに吐出する際の第1硫酸の温度は150℃であり、SPMを生成する際の硫酸の温度は100℃である。
【0089】
次に、図2を参照して、基板Wの表面温度の時間推移を説明する。図2は、基板Wの表面温度TとSPMによる処理時間tとの関係を示すグラフである。縦軸は、基板Wの表面温度T(℃)を示す。横軸は、SPMによる基板Wの処理時間t(秒)を示す。つまり、横軸は、基板Wに向けてSPMの吐出を開始した時点(0秒)からの経過時間tを示している。
【0090】
図2において、曲線A1は、実施形態1における基板Wの表面温度を示す。つまり、曲線A1は、SPMによる処理前に第1硫酸を基板Wに吐出した後に、基板WにSPMを吐出した場合の基板Wの表面温度の時間変化を示す。曲線A2は、比較例における基板Wの表面温度を示す。つまり、曲線A2は、SPMによる処理前に第1硫酸の吐出を行わずに、基板WにSPMを吐出した場合の基板Wの表面温度の時間変化を示す。
【0091】
曲線A1と曲線A2との比較から理解できるように、SPMによる処理前に第1硫酸を基板Wに吐出した後にSPMを吐出する場合の基板Wの表面温度は、SPMによる処理前に第1硫酸を吐出せずにSPMを吐出する場合の基板Wの表面温度よりも高い。つまり、SPMによる処理前に第1硫酸を基板Wに吐出した後にSPMを吐出する場合は、SPMによる処理前に第1硫酸を吐出せずにSPMを吐出する場合と比較して、基板Wの表面温度は、より速く上昇する。
【0092】
特に、SPMの吐出を開始した時点(0秒)及びその近傍においては、SPMによる処理前に第1硫酸を基板Wに吐出した場合は、第1硫酸を基板Wに吐出ない場合と比較して、基板Wの表面温度が顕著に高い。
【0093】
次に、図3を参照して、基板Wのレジスト膜の剥離時間を説明する。図3は、基板Wに形成されたレジスト膜の剥離時間と第1硫酸の吐出時間との関係を示すグラフである。縦軸は、SPMによるレジスト膜の剥離時間(秒)を示す。横軸は、第1硫酸の吐出時間(秒)を示す。
【0094】
図3において、第1硫酸の吐出時間が0秒であることは、SPMによる処理前に第1硫酸を基板Wに吐出しなかったことを示した。つまり、第1硫酸の吐出時間が0秒の場合は、比較例を示している。比較例では、SPMによる処理によって、レジスト膜の剥離時間は、約85秒であった。
【0095】
一方、SPMによる処理前に第1硫酸を吐出する場合は、SPMによる処理前に第1硫酸を吐出しない場合(0秒)と比較して、SPMによるレジスト膜の剥離時間が短縮された。つまり、SPMによる処理前に第1硫酸を吐出する場合は、本発明の実施例を示す。例えば、SPMによる処理前に第1硫酸を20秒間吐出すると、SPMによる処理によって、レジスト膜の剥離時間は、約75秒であった。この場合は、SPMによる処理前に第1硫酸を吐出しない場合と比較して、SPMによるレジスト膜の剥離時間は、約10秒短縮された。
【0096】
以上、図3を参照して説明したように、本実施例では、比較例と比較して、SPMによるレジスト膜の剥離時間を短縮できた。つまり、本実施例では、レジスト膜の剥離性能を向上できた。レジスト膜の剥離性能を向上できる1つの理由は、図2に示すように、SPMによる処理前に第1硫酸を基板Wに吐出することで、SPMの吐出開始時(0秒)には基板Wの表面温度が既に上昇しており、基板Wの表面でのSPMの温度低下を抑制できるからである。レジスト膜の剥離性能を向上できる他の理由は、SPMによる処理前に第1硫酸を基板Wに吐出することで、SPMの吐出開始時(0秒)には薬液ノズル20の温度が上昇しており、薬液ノズル20からの吐出時におけるSPMの温度低下を抑制できるからである。
【0097】
次に、図1及び図4を参照して、実施形態1に係る基板処理方法を説明する。基板処理方法は、基板処理装置1において実行される。つまり、基板処理方法は、複数種類の液体(硫酸及び過酸化水素水)が混合されたSPMを基板Wに吐出することによって基板Wを処理する。
【0098】
図4は、実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図4に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S10を含む。
【0099】
図4に示すように、まず、工程S1において、制御部501は、基板Wを基板処理装置1に搬入するように、ロボット(不図示)を制御する。その結果、ロボットは、基板Wを基板処理装置1に搬入する。
【0100】
次に、工程S2において、制御部501は、基板Wを回転するように、スピンチャック10を制御する。その結果、スピンチャック10は、基板Wを回転させる。
【0101】
次に、工程S3と工程S4とが並行して実行される。
【0102】
工程S3において、制御部501は、薬液ノズル20が第1貯留槽204からの第1硫酸を基板Wに吐出するように、同種液体供給部200(バルブ201)を制御する。その結果、バルブ201が開かれ、薬液ノズル20に第1硫酸が供給される。よって、薬液ノズル20は、基板Wに第1硫酸を吐出する。第1硫酸によって、薬液ノズル20及び基板Wの表面が予備加熱される。工程S3は、例えば、工程S3の開始時から第1時間の経過時に終了する。つまり、薬液ノズル20は、第1時間だけ、第1硫酸を基板Wに吐出する。なお、工程S3では、バルブ41、51、81は、閉じられている。
【0103】
一方、工程S4において、制御部501は、基板Wから飛散して第1カップ94に収集された第1硫酸を回収するように、回収部110(回収ポンプ111)を制御する。その結果、回収ポンプ111が駆動され、第1硫酸が、回収配管112を通して、第1貯留槽204に回収される。工程S4は、例えば、工程S4の開始時から第2時間の経過時に終了する。第2時間は、例えば、第1時間と略同じ時間であってもよいし、第1時間よりも長い時間であってもよい。
【0104】
工程S3及び工程S4が終了すると、処理は工程S5に進む。なお、工程S4の処理が終了していなくても、工程S3が終了している限りにおいては、処理は工程S5に進むことができる。
【0105】
次に、工程S5において、制御部501は、薬液ノズル20が基板WにSPMを吐出するように、過酸化水素水供給部40(バルブ41)及び硫酸供給部50(バルブ51)を制御する。その結果、バルブ41及びバルブ51が開かれ、薬液ノズル20に過酸化水素水貯留槽43からの過酸化水素水が供給されるとともに、薬液ノズル20に硫酸貯留槽54からの硫酸が供給される。よって、薬液ノズル20の内部で、過酸化水素水及び硫酸が混合され、SPMが生成される。そして、薬液ノズル20は、基板WにSPMを吐出する。その結果、基板Wからレジスト膜が除去される。工程S5は、例えば、工程S5の開始時から第3時間の経過時に終了する。つまり、薬液ノズル20は、第3時間だけ、SPMを基板Wに吐出する。なお、工程S5では、バルブ81、201は、閉じられている。
【0106】
次に、工程S6において、制御部501は、リンス液を基板Wに供給するように、リンス液供給部80(バルブ81)を制御する。その結果、バルブ81が開かれ、リンス液ノズル61にリンス液が供給される。よって、リンス液ノズル61は、基板Wにリンス液を吐出する。リンス液によって、SPM及びレジスト膜の残渣物が洗い流される。工程S6は、例えば、工程S6の開始時から第4時間の経過時に終了する。つまり、リンス液ノズル61は、第4時間だけ、リンス液を基板Wに吐出する。なお、工程S6では、バルブ41、51、201は、閉じられている。
【0107】
次に、工程S7において、制御部501は、スピンモータMを制御することにより、例えば、工程S3から工程S6までの回転速度よりも大きい乾燥回転速度まで基板Wを加速させ、乾燥回転速度で基板Wを回転させる。これにより、大きな遠心力が基板W上のリンス液に加わり、基板Wに付着しているリンス液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wからリンス液が除去され、基板Wが乾燥する。
【0108】
次に、工程S8において、制御部501は、基板Wの回転を停止するように、スピンチャック10を制御する。その結果、スピンチャック10は、基板Wの回転を停止する。
【0109】
次に、工程S9において、制御部501は、基板Wを基板処理装置1から搬出するように、ロボット(不図示)を制御する。その結果、ロボットは、基板Wを基板処理装置1から搬出する。
【0110】
次に、工程S10において、処理対象の全部の基板Wに対する処理が完了したか否かを判定する。
【0111】
工程S10で処理対象の全部の基板Wに対する処理が完了していないと判定された場合(No)、処理は工程S1に進む。
【0112】
一方、工程S10で処理対象の全部の基板Wに対する処理が完了したと判定された場合(Yes)、基板処理方法は終了する。
【0113】
以上、図4を参照して説明したように、実施形態1に係る基板処理方法によれば、工程S5では、SPMを基板Wに吐出する。SPMは硫酸に由来する。特に、実施形態1では、工程S3では、硫酸と同種の液体である第1硫酸を、SPMが基板Wに吐出される前に、基板Wに吐出する。基板Wに吐出される際の第1流体の温度は、室温よりも高い。一方、工程S4では、基板Wに吐出された第1硫酸を回収して、第1硫酸を第1貯留槽204に供給する。従って、第1硫酸を基板Wに吐出する工程S5では、第1貯留槽204に貯留された第1硫酸が再利用される。この場合、第1硫酸は、SPMを生成するための複数種類の液体のうちのいずれの液体としても使用されない。
【0114】
従って、SPMを生成するための硫酸(硫酸貯留槽54に貯留された硫酸)の清浄度が、第1硫酸によって低下することを防止できる。換言すれば、SPMの清浄度が、第1硫酸によって低下することを防止できる。更に換言すれば、実施形態1に係る基板処理方法によれば、SPMの清浄度の低下を抑制しつつ、SPMの吐出前に基板Wに吐出された第1硫酸を再利用できる。
【0115】
すなわち、実施形態1に係る基板処理方法によれば、処理液の清浄度の低下を抑制しつつ、処理液の吐出前に基板Wに吐出された第1同種液体(液体)を再利用できる。
【0116】
(実施形態1の変形例)
図5及び図6を参照して、実施形態1の変形例を説明する。変形例では、第1硫酸の温度が室温の第2硫酸によって調整される点で、上記実施形態1と主に異なる。以下、変形例が上記実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0117】
図5は、実施形態1の変形例に係る基板処理装置1の内部を示す模式的側面図である。図5に示すように、変形例に係る基板処理装置1は、図1の同種液体供給部200に代えて、同種液体供給部200Aを備える。同種液体供給部200Aは、第1貯留槽204と、第2貯留槽214と、液体供給部219とを含む。液体供給部219は加熱部202を含む。具体的には、液体供給部219の供給部206Aが加熱部202を含んでいる。
【0118】
第2貯留槽214は、第2同種液体を貯留する。第2同種液体は、室温の液体である。第2同種液体は、所定液体と同種の液体である。所定液体は、処理液を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である。
【0119】
以下、変形例では、処理液は、SPMである。所定液体は、SPMを生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である。変形例では、所定液体は、硫酸貯留槽54に貯留される硫酸である。従って、第2同種液体は、硫酸と同種の液体である。つまり、第2同種液体は、硫酸である。以下、第2同種液体としての硫酸を「第2硫酸」と記載する。
【0120】
加熱部202は、第1貯留槽204に貯留される第1硫酸を加熱する。液体供給部219は、加熱部202によって加熱された第1硫酸と、室温の第2硫酸とを混合して、混合後の液体を新たな第1硫酸として、薬液ノズル20に供給する。変形例によれば、加熱された第1硫酸と室温の第2硫酸とを混合することで、薬液ノズル20に供給する新たな第1硫酸の温度を容易に調整できる。
【0121】
詳細には、種液体供給部200Aの液体供給部219は、供給部206Aと、供給部216とを含む。
【0122】
供給部206Aは、配管205に流す第1硫酸の流量を調整する。つまり、供給部206Aは、第2硫酸と混合する第1硫酸の流量を調整する。供給部206Aによって供給される第1硫酸は、加熱部202によって加熱されている。
【0123】
具体的には、供給部206Aは、図1の供給部206の構成に加えて、流量調整バルブ207と、流量計208とを更に含む。配管205には、ポンプ203、加熱部202、流量計208、流量調整バルブ207、及び、バルブ201が、この順番で上流から下流に向かって配置される。
【0124】
流量計208は、配管205内を流れる第1硫酸の流量を検出する。流量調整バルブ207は、配管205の開度を調整して、配管205を流れる第1硫酸の流量を調整する。つまり、流量調整バルブ207は、第2硫酸と混合する第1硫酸の流量を調整する。
【0125】
供給部216は、配管215に流す第2硫酸の流量を調整する。つまり、供給部216は、第1硫酸と混合する第2硫酸の流量を調整する。供給部216によって供給される第2硫酸の温度は、室温である。第2貯留槽214は、第2硫酸を貯留する。
【0126】
第2貯留槽214に貯留される硫酸は、本発明の「第2同種液体」の一例に相当する。
【0127】
供給部216は、バルブ201と、流量調整バルブ217と、流量計218と、ポンプ213と、配管215とを含む。
【0128】
配管215の一端は、配管205に接続される。配管215の他端は、第2貯留槽214まで延びる。配管215には、ポンプ213、流量計218、流量調整バルブ217、及び、バルブ211が、この順番で上流から下流に向かって配置される。
【0129】
ポンプ213は、第2貯留槽214に貯留された第2硫酸を配管215に送出する。つまり、ポンプ213は、第2貯留槽214に貯留された第2硫酸を配管215に供給する。流量計218は、配管215内を流れる第2硫酸の流量を検出する。流量調整バルブ217は、配管215の開度を調整して、配管215を流れる第2硫酸の流量を調整する。つまり、流量調整バルブ217は、第1硫酸と混合する第2硫酸の流量を調整する。バルブ211は、配管215の流路を開閉する。
【0130】
バルブ41及びバルブ51が閉じられた状態で、バルブ201、211が開かれると、第1貯留槽204からの目標温度T1に設定された第1硫酸と、第2貯留槽214からの室温の第2硫酸とが、配管205において混合される。その結果、第1硫酸と第2硫酸との混合比に応じて、混合液の温度が調整される。混合液は、新たな第1硫酸として共通配管55に供給され、更に、薬液ノズル20に供給される。
【0131】
この場合、制御部501は、流量調整バルブ207を制御して、第1硫酸の流量を調整する。また、制御部501は、流量調整バルブ217を制御して、第2硫酸の流量を調整する。
【0132】
具体的には、制御部501は、流量調整バルブ207及び流量調整バルブ217を制御して、第1硫酸の流量に対する第2硫酸の流量の比率を調整する。つまり、制御部501は、流量調整バルブ207及び流量調整バルブ217を制御して、第1硫酸と第2硫酸との混合比を調整する。
【0133】
次に、図5及び図6を参照して、変形例に係る基板処理方法を説明する。図6は、実施形態1の変形例に係る基板処理装置によって実行される基板処理方法を示すフローチャートである。図6に示すように、基板処理方法は、工程S21~工程S30を含む。
【0134】
工程S21及び工程S22は、それぞれ、図4に示す工程S1及び工程S2と同様である。また、工程S24は、図4に示す工程S4と同様である。更に、工程S25~工程S30は、それぞれ、図4に示す工程S5~工程S10と同様である。
【0135】
変形例では、工程S22の後に、工程S23と工程S24とが並行して実行される。
【0136】
工程S23において、制御部501は、第1貯留槽204からの加熱された第1硫酸と、第2貯留槽214からの室温の第2硫酸とを混合して、混合後の液体を新たな第1硫酸として基板Wに吐出するように、液体供給部219(バルブ201、211及び流量調整バルブ207、217)を制御する。その結果、流量調整バルブ207によって第1硫酸の流量が調整されるとともに、バルブ201が開かれる。加えて、流量調整バルブ217によって第2硫酸の流量が調整されるとともに、バルブ211が開かれる。従って、加熱された第1硫酸と室温の第2硫酸とが配管205内で混合されて、温度が調整された混合液が生成される。そして、混合液は、新たな第1硫酸として、共通配管55から薬液ノズル20に供給される。その結果、薬液ノズル20は、第1硫酸を基板Wに吐出する。第1硫酸によって、薬液ノズル20及び基板Wの表面が予備加熱される。工程S23は、例えば、工程S23の開始時から第1時間の経過時に終了する。つまり、薬液ノズル20は、第1時間だけ、第1硫酸を基板Wに吐出する。なお、工程S23では、バルブ41、51、81は、閉じられている。
【0137】
工程S23及び工程S24が終了すると、処理は工程S25に進む。なお、工程S24の処理が終了していなくても、工程S23が終了している限りにおいては、処理は工程S25に進むことができる。
【0138】
以上、図6を参照して説明したように、変形例に係る基板処理方法において、第1硫酸を基板Wに吐出する工程S23では、第1貯留槽204からの加熱された第1硫酸と、第2貯留槽214からの室温の第2硫酸とを混合して、混合後の液体を新たな第1硫酸として、基板Wに吐出する。従って、変形例に係る基板処理方法によれば、加熱された第1硫酸と室温の第2硫酸との混合比を調整することで、薬液ノズル20に供給する新たな第1硫酸の温度を容易に調整できる。
【0139】
(実施形態2)
図4及び図7を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置1を説明する。実施形態2では、処理液としてSC1を使用する点で、上記実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0140】
図7は、本発明の実施形態2に係る基板処理装置1の内部を示す模式的側面図である。基板処理装置1は、複数種類の液体が混合された処理液によって基板Wを処理する。
【0141】
以下、一例として、処理液は、アンモニア過酸化水素水混合液(SC1)である。以下、アンモニア過酸化水素水混合液を「SC1」と記載する。SC1は、アンモニア水(NH4OH)と過酸化水素水(H22)と水との混合液である。水は、実施形態2では、脱イオン水(DIW)である。その他、水は、リンス液と同様の液体であってもよい。
【0142】
SC1の場合、複数種類の液体は、アンモニア水、過酸化水素水、及び、脱イオン水である。また、一例として、SC1を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である所定液体は、脱イオン水である。更に、一例として、所定液体と同種の液体である第1同種液体は、脱イオン水である。以下、所定液体としての脱イオン水は単に「脱イオン水」と記載し、第1同種液体としての脱イオン水は「第1脱イオン水」と記載する。なお、SC1は、脱イオン水に由来する液体と捉えることができる。脱イオン水は、SC1を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体だからである。
【0143】
基板処理装置1は、アンモニア水と過酸化水素水と脱イオン水とを混合してSC1を作成し、SC1によって基板Wを処理する。この場合、基板処理装置1は、処理液を基板Wに吐出する前に、第1脱イオン水を基板Wに吐出する。第1脱イオン水の温度は、室温よりも高い。つまり、第1脱イオン水は加熱されている。従って、第1脱イオン水を吐出した後に実行されるSC1による処理の際に、基板W上に供給されたSC1の温度低下を抑制することができる。その結果、SC1による基板Wの処理の効率を向上することができる。つまり、SC1の使用量を削減しつつも、基板Wに対してSC1による所望の処理を実現できる。
【0144】
具体的には、図7に示すように、変形例に係る基板処理装置1は、薬液ノズル20Aと、SC1供給部232と、同種液体供給部200Bとを備える。薬液ノズル20Aは、本発明の「吐出部」の一例に相当する。
【0145】
薬液ノズル20Aは、基板Wを処理する場合、回転中の基板WにSC1を吐出する。SC1は、本発明の「処理液」の一例に相当する。
【0146】
薬液ノズル20AがSC1を基板Wに吐出する場合、SC1供給部232は、SC1を薬液ノズル20Aに供給する。
【0147】
SC1供給部232は、ミキシングバルブ230と、配管231と、アンモニア水供給部130と、過酸化水素水供給部140と、脱イオン水供給部150とを含む。
【0148】
薬液ノズル20AがSC1を基板Wに吐出する場合、アンモニア水供給部130は、薬液ノズル20にアンモニア水を供給する。具体的には、アンモニア水供給部130は、アンモニア貯留槽133と、供給部138とを含む。アンモニア貯留槽133は、アンモニア水を貯留する。供給部138は、アンモニア貯留槽133に貯留されたアンモニア水をミキシングバルブ230に供給する。
【0149】
供給部138は、バルブ131と、ポンプ132と、配管134とを含む。
【0150】
配管134の一端は、ミキシングバルブ230に接続される。配管134は、ミキシングバルブ230からアンモニア貯留槽133まで延びる。
【0151】
バルブ131は、配管134に配置される。バルブ131は、配管134の流路を開閉する。配管134には、アンモニア貯留槽133から、例えば、温度調整されていない室温のアンモニア水が供給される。バルブ131が開かれると、配管134からミキシングバルブ230にアンモニア水が供給される。アンモニア水は、本発明の「複数種類の液体のうちの他の液体」の一例に相当する。
【0152】
薬液ノズル20AがSC1を基板Wに吐出する場合、過酸化水素水供給部140は、薬液ノズル20Aに過酸化水素水を供給する。具体的には、過酸化水素水供給部140は、過酸化水素水貯留槽143と、供給部148とを含む。過酸化水素水貯留槽143は、過酸化水素水を貯留する。供給部148は、過酸化水素水貯留槽143に貯留された過酸化水素水を薬液ノズル20Aに供給する。
【0153】
過酸化水素水供給部140は、配管144と、バルブ141と、ポンプ142とを含む。
【0154】
配管144の一端は、ミキシングバルブ230に接続される。配管144は、ミキシングバルブ230から過酸化水素水貯留槽143まで延びる。
【0155】
バルブ141は、配管144に配置される。バルブ141は、配管144の流路を開閉する。配管144には、過酸化水素水貯留槽143から、例えば、温度調整されていない室温の過酸化水素水が供給される。バルブ141が開かれると、配管144からミキシングバルブ230に過酸化水素水が供給される。過酸化水素水は、本発明の「複数種類の液体のうちの他の液体」の一例に相当する。
【0156】
薬液ノズル20AがSPMを基板Wに吐出する場合、脱イオン水供給部150は、ミキシングバルブ230に脱イオン水(具体的には、脱イオン水の新液)を供給する。具体的には、脱イオン水供給部150は、脱イオン水貯留槽154と、供給部156とを含む。脱イオン水貯留槽154は、脱イオン水(具体的には、脱イオン水の新液)を貯留する。供給部156は、脱イオン水貯留槽154に貯留された脱イオン水をミキシングバルブ230に供給する。
【0157】
脱イオン水貯留槽154は、本発明の「所定液体貯留槽」の一例に相当する。脱イオン水貯留槽154に貯留される脱イオン水(具体的には、脱イオン水の新液)は、本発明の「所定液体」の一例に相当する。
【0158】
供給部156は、バルブ151と、加熱部152と、ポンプ153と、配管155とを含む。
【0159】
配管155の一端は、ミキシングバルブ230に接続される。配管155の他端は、脱イオン水貯留槽154まで延びる。配管155には、ポンプ153、加熱部152、及び、バルブ151が、この順番で上流から下流に向かって配置される。
【0160】
ポンプ153は、脱イオン水貯留槽154に貯留された脱イオン水を配管155に送出する。つまり、ポンプ153は、脱イオン水貯留槽154に貯留された脱イオン水を配管155に供給する。加熱部152は、配管155を流れる脱イオン水を加熱して、脱イオン水の温度を目標温度T10に設定する。バルブ151は、配管155の流路を開閉する。目標温度T10は室温よりも高い。加熱部152は、例えば、ヒータである。
【0161】
配管155は、加熱部152とバルブ151との間で分岐して脱イオン水貯留槽154へと接続されている。バルブ151が閉じられている状態では、加熱部152により加熱された脱イオン水は、脱イオン水貯留槽154と加熱部152とを循環する。従って、脱イオン水貯留槽154に貯留された脱イオン水の温度が目標温度T10に設定される。
【0162】
バルブ151が開かれると、目標温度T10に設定された脱イオン水は、配管155からミキシングバルブ230に供給される。
【0163】
薬液ノズル20AがSPMを基板Wに吐出する場合、ミキシングバルブ230は、アンモニア貯留槽133から供給されたアンモニア水と、過酸化水素水貯留槽143から供給された過酸化水素水と、脱イオン水貯留槽154から供給された脱イオン水とを混合し、混合液であるSC1を生成する。配管231の一端は、薬液ノズル20Aに接続され、配管231の他端は、ミキシングバルブ230に接続される。従って、ミキシングバルブ230は、配管231を通して薬液ノズル20AにSC1を供給する。そして、薬液ノズル20Aは、回転中の基板WにSC1を吐出する。その結果、SC1によって基板Wが処理される。
【0164】
なお、薬液ノズル20AがSC1を基板Wに吐出する場合、バルブ221は閉じられている。また、薬液ノズル20Aから吐出される際のSC1の温度は、例えば、40℃以上70℃以下である。
【0165】
薬液ノズル20Aは、基板WにSC1を吐出する前に、第1脱イオン水を基板Wに吐出する。薬液ノズル20Aが第1脱イオン水を基板Wに吐出する場合、バルブ131、141、151は閉じられる。
【0166】
薬液ノズル20Aが第1脱イオン水を基板Wに吐出する場合、同種液体供給部200Bは第1脱イオン水を供給する。具体的には、同種液体供給部200Bは、薬液ノズル20Aに第1脱イオン水を供給する。
【0167】
同種液体供給部200Bは、供給部226と、第1貯留槽224とを含む。供給部226は、第1貯留槽224に貯留された第1脱イオン水を薬液ノズル20Aに供給する。第1貯留槽224は、第1脱イオン水を貯留する。
【0168】
第1貯留槽224に貯留される第1脱イオン水は、本発明の「第1同種液体」の一例に相当する。
【0169】
供給部226は、バルブ221と、加熱部222と、ポンプ223と、配管225とを含む。
【0170】
配管225の一端は、配管231に接続される。配管225の他端は、第1貯留槽224まで延びる。配管225には、ポンプ223、加熱部222、及び、バルブ221が、この順番で上流から下流に向かって配置される。
【0171】
ポンプ223は、第1貯留槽224に貯留された第1脱イオン水を配管225に送出する。つまり、ポンプ223は、第1貯留槽224に貯留された第1脱イオン水を配管225に供給する。加熱部222は、配管225を流れる第1脱イオン水を加熱して、第1脱イオン水の温度を目標温度T20に設定する。バルブ221は、配管225の流路を開閉する。加熱部222は、例えば、ヒータである。
【0172】
配管225は、加熱部222とバルブ221との間で分岐して第1貯留槽224へと接続されている。バルブ221が閉じられている状態では、加熱部222により加熱された第1脱イオン水は、第1貯留槽224と加熱部222とを循環する。従って、第1貯留槽224に貯留された第1脱イオン水の温度が目標温度T20に設定される。目標温度T20は、室温よりも高い。
【0173】
バルブ131、141、151が閉じられた状態で、バルブ221が開かれると、目標温度T20に設定された第1脱イオン水は、配管225から配管231に供給され、配管231から更に薬液ノズル20Aに供給される。その結果、薬液ノズル20Aは、SC1を基板Wに吐出する前に、第1脱イオン水を基板Wに吐出する。よって、SC1を基板Wに吐出する前に、基板Wの表面及び薬液ノズル20Aが温調されて室温よりも高い温度になる。つまり、SC1を基板Wに吐出する前に、基板Wの表面及び薬液ノズル20Aは予備加熱される。その結果、第1脱イオン水を吐出した後に実行されるSC1による処理の際に、基板Wに供給されたSC1の温度低下を抑制することができる。
【0174】
第1ガード91は、実施形態2では、第1対向状態において、回転する基板Wから飛散する第1脱イオン水を受け止める。第1カップ94には、実施形態2では、第1ガード91の内周面から流れ落ちる第1脱イオン水が収集される。第1カップ94に収集された第1脱イオン水は、第1カップ94の底部に接続された回収部110によって回収される。
【0175】
第2ガード92は、実施形態2では、第2対向状態において、回転する基板Wから飛散するSC1を受け止める。第2カップ95には、第2ガード92の内周面から流れ落ちるSC1が収集される。第2カップ95に収集されたSC1は、第2カップ95の底部に接続された廃棄部120によって廃棄される。
【0176】
回収部110は、基板Wに吐出された第1脱イオン水を回収して、第1脱イオン水を第1貯留槽224に供給する。具体的には、回収部110は、基板Wから飛散した第1脱イオン水を、第1ガード91及び第1カップ94を介して回収する。
【0177】
具体的には、回収ポンプ111は、第1カップ94から回収した第1脱イオン水を第1貯留槽224へと送出する。その結果、回収部110によって回収された第1脱イオン水が、第1貯留槽224に貯留され、再利用される。つまり、回収された第1脱イオン水は、SC1を基板Wに吐出する前において、薬液ノズル20A及び基板Wの表面を予備加熱する場合に再利用される。
【0178】
薬液ノズル20Aが第1脱イオン水を吐出する場合には、バルブ131、141、151が閉じられている。従って、第1貯留槽224に貯留された第1脱イオン水は、SC1を基板Wに吐出する前において、薬液ノズル20A及び基板Wの表面を予備加熱する場合にだけ使用される。換言すれば、第1貯留槽224に貯留された第1脱イオン水は、SC1を生成するための複数種類の液体のうちのいずれの液体としても使用されない。更に換言すれば、第1貯留槽224に貯留された第1脱イオン水は、SC1を生成するための脱イオン水として使用されない。このように、回収された第1脱イオン水は、脱イオン水貯留槽154に供給されず、脱イオン水貯留槽154の脱イオン水と混合されない。
【0179】
従って、SC1を生成するための脱イオン水(脱イオン水貯留槽154に貯留された脱イオン水)の清浄度が、第1脱イオン水によって低下することを防止できる。換言すれば、SC1の清浄度が、第1脱イオン水によって低下することを防止できる。更に換言すれば、実施形態2によれば、SC1の清浄度の低下を抑制しつつ、SC1の吐出前に基板Wに吐出された第1脱イオン水を再利用できる。
【0180】
すなわち、実施形態2によれば、処理液の清浄度の低下を抑制しつつ、処理液の吐出前に基板Wに吐出された第1同種液体(液体)を再利用できる。
【0181】
制御部501は、記憶部502に記憶されている各種情報に基づいて基板処理装置1の各部の動作を制御する。例えば、制御部501は、SC1供給部232を制御する。
【0182】
以上、図7を参照して説明したように、実施形態2によれば、薬液ノズル20Aは、同種液体供給部200Bから供給される第1脱イオン水を、SC1が基板Wに吐出される前に、基板Wに吐出する。この場合、第1脱イオン水の温度は、室温よりも高い。従って、薬液ノズル20Aの温度が、第1脱イオン水によって、SC1の吐出前に上昇する。加えて、基板Wの表面の温度が、第1脱イオン水によって、SC1の吐出前に上昇する。その結果、SC1による基板Wの処理開始時のSC1の温度が低下することを抑制できる。よって、SC1による基板Wの処理性能を向上できる。処理性能とは、単位時間当たりの基板Wの処理量のことである。SC1による基板Wの処理性能を向上できると、SC1の使用量を削減できる。つまり、SC1の廃棄量を削減できる。
【0183】
また、実施形態2では、第1脱イオン水を基板Wに吐出する際の第1脱イオン水の温度は、SC1を基板Wに吐出する際のSC1の温度と略同じであることが好ましい。理由は、実施形態1と同様である。また、実施形態2では、第1脱イオン水を基板Wに吐出する際の第1脱イオン水の温度は、脱イオン水を複数種類の液体(アンモニア水、過酸化水素水、及び、脱イオン水)のうちの他の液体(アンモニア水及び過酸化水素水)と混合する際の脱イオン水の温度よりも高いことが好ましい。つまり、第1脱イオン水を基板Wに吐出する際の第1脱イオン水の温度は、SC1を生成する際の脱イオン水の温度よりも高いことが好ましい。理由は、実施形態1と同様である。
【0184】
なお、実施形態2に係る基板処理方法は、図4に示す基板処理方法と同様である。ただし、実施形態2では、工程S3において、制御部501は、薬液ノズル20Aが第1貯留槽224からの第1脱イオン水を基板Wに吐出するように、同種液体供給部200B(バルブ221)を制御する。その結果、第1脱イオン水が薬液ノズル20Aに供給され、薬液ノズル20Aが基板Wに第1脱イオン水を吐出する。
【0185】
一方、工程S4において、制御部501は、基板Wから飛散して第1カップ94に収集された第1脱イオン水を回収するように、回収部110(回収ポンプ111)を制御する。その結果、回収ポンプ111が駆動され、第1脱イオン水が、回収配管112を通して、第1貯留槽224に回収される。
【0186】
また、工程S5において、制御部501は、薬液ノズル20Aが基板WにSC1を吐出するように、SC1供給部232(バルブ131、141、151)を制御する。その結果、ミキシングバルブ230によって、アンモニア貯留槽133からのアンモニア水と、過酸化水素水貯留槽143からの過酸化水素水と、脱イオン水貯留槽154からの脱イオン水とが混合されて、SC1が生成される。そして、SC1が薬液ノズル20Aに供給され、薬液ノズル20Aが基板WにSC1を吐出する。
【0187】
ここで、実施形態2において、処理液は、塩酸過酸化水素水混合液(SC2)であってもよい。以下、塩酸過酸化水素水混合液を「SC2」と記載する。SC2は、塩酸(HCl)と過酸化水素水(H22)と水との混合液である。水は、脱イオン水(DIW)である。その他、水は、リンス液と同様の液体であってもよい。
【0188】
SC2の場合、複数種類の液体は、塩酸、過酸化水素水、及び、脱イオン水である。また、一例として、SC2を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である所定液体は、脱イオン水である。更に、一例として、所定液体と同種の液体である第1同種液体は、第1脱イオン水である。なお、SC2は、脱イオン水に由来する液体と捉えることができる。なお、処理液がSC2の場合、貯留槽133には、塩酸が貯留される。
【0189】
(実施形態2の変形例)
図6及び図8を参照して、実施形態2の変形例を説明する。変形例では、第1脱イオン水の温度が室温の第2脱イオン水によって調整される点で、上記実施形態2と主に異なる。以下、変形例が上記実施形態2と異なる点を主に説明する。
【0190】
図8は、実施形態2の変形例に係る基板処理装置1の内部を示す模式的側面図である。図8に示すように、変形例に係る基板処理装置1は、図7の同種液体供給部200Bに代えて、同種液体供給部200Cを備える。同種液体供給部200Cは、第1貯留槽224と、第2貯留槽244と、液体供給部249とを含む。液体供給部249は加熱部222を含む。具体的には、液体供給部249の供給部226Aが加熱部222を含んでいる。
【0191】
第2貯留槽244は、第2同種液体を貯留する。第2同種液体は、室温の液体である。第2同種液体は、所定液体と同種の液体である。所定液体は、処理液を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である。
【0192】
以下、変形例では、処理液は、SC1である。所定液体は、SC1を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である。変形例では、所定液体は、脱イオン水貯留槽154に貯留される脱イオン水である。従って、第2同種液体は、脱イオン水と同種の液体である。つまり、第2同種液体は、脱イオン水である。以下、第2同種液体としての脱イオン水を「第2脱イオン水」と記載する。
【0193】
加熱部222は、第1貯留槽224に貯留される第1脱イオン水を加熱する。液体供給部249は、加熱部222によって加熱された第1脱イオン水と、室温の第2脱イオン水とを混合して、混合後の液体を新たな第1脱イオン水として、薬液ノズル20Aに供給する。変形例によれば、加熱された第1脱イオン水と室温の第2脱イオン水とを混合することで、薬液ノズル20Aに供給する新たな第1脱イオン水の温度を容易に調整できる。
【0194】
詳細には、種液体供給部200Cの液体供給部249は、供給部226Aと、供給部246とを含む。
【0195】
供給部226Aは、配管225に流す第1脱イオン水の流量を調整する。つまり、供給部226Aは、第2脱イオン水と混合する第1脱イオン水の流量を調整する。供給部226Aによって供給される第1脱イオン水は、加熱部222によって加熱されている。
【0196】
具体的には、供給部226Aは、図7の供給部226の構成に加えて、流量調整バルブ227と、流量計228とを更に含む。流量計228は、配管225内を流れる第1脱イオン水の流量を検出する。流量調整バルブ227は、配管225の開度を調整して、配管225を流れる第1脱イオン水の流量を調整する。つまり、流量調整バルブ227は、第2脱イオン水と混合する第1脱イオン水の流量を調整する。
【0197】
供給部246は、配管245に流す第2脱イオン水の流量を調整する。つまり、供給部246は、第1脱イオン水と混合する第2脱イオン水の流量を調整する。供給部246によって供給される第2脱イオン水の温度は、室温である。第2貯留槽244は、第2脱イオン水を貯留する。
【0198】
第2貯留槽244に貯留される第2脱イオン水は、本発明の「第2同種液体」の一例に相当する。
【0199】
供給部246は、バルブ241と、流量調整バルブ247と、流量計248と、ポンプ243と、配管245とを含む。
【0200】
配管245の一端は、配管225に接続される。配管245の他端は、第2貯留槽244まで延びる。ポンプ243は、第2貯留槽244に貯留された第2脱イオン水を配管245に送出する。つまり、ポンプ243は、第2貯留槽244に貯留された第2脱イオン水を配管245に供給する。流量計248は、配管245内を流れる第2脱イオン水の流量を検出する。流量調整バルブ247は、配管245の開度を調整して、配管245を流れる第2脱イオン水の流量を調整する。つまり、流量調整バルブ247は、第1脱イオン水と混合する第2脱イオン水の流量を調整する。バルブ241は、配管245の流路を開閉する。
【0201】
バルブ131、141、151が閉じられた状態で、バルブ221、241が開かれると、第1貯留槽224からの目標温度T20に設定された第1脱イオン水と、第2貯留槽244からの室温の第2脱イオン水とが、配管225において混合される。その結果、第1脱イオン水と第2脱イオン水との混合比に応じて、混合液の温度が調整される。混合液は、新たな第1脱イオン水として配管231に供給され、更に、薬液ノズル20Aに供給される。
【0202】
この場合、制御部501は、流量調整バルブ227を制御して、第1脱イオン水の流量を調整する。また、制御部501は、流量調整バルブ247を制御して、第2脱イオン水の流量を調整する。
【0203】
具体的には、制御部501は、流量調整バルブ227及び流量調整バルブ247を制御して、第1脱イオン水の流量に対する第2脱イオン水の流量の比率を調整する。つまり、制御部501は、流量調整バルブ227及び流量調整バルブ247を制御して、第1脱イオン水と第2脱イオン水との混合比を調整する。
【0204】
なお、実施形態2の変形例に係る基板処理方法は、図6を参照して説明した実施形態2に係る基板処理方法と同様である。ただし、変形例では、工程S23において、制御部501は、第1貯留槽224からの加熱された第1脱イオン水と、第2貯留槽244からの室温の第2脱イオン水とを混合して、混合後の液体を新たな第1脱イオン水として基板Wに吐出するように、液体供給部249(バルブ221、241及び流量調整バルブ227、247)を制御する。その結果、流量調整バルブ227によって第1脱イオン水の流量が調整されるとともに、バルブ221が開かれる。加えて、流量調整バルブ247によって第2脱イオン水の流量が調整されるとともに、バルブ241が開かれる。従って、加熱された第1脱イオン水と室温の第2脱イオン水とが配管225内で混合されて、温度が調整された混合液が生成される。そして、混合液は、新たな第1脱イオン水として、薬液ノズル20Aに供給される。その結果、薬液ノズル20Aは、第1脱イオン水を基板Wに吐出する。第1脱イオン水によって、薬液ノズル20A及び基板Wの表面が予備加熱される。
【0205】
なお、変形例では、図6の工程S24は、図4を参照して説明した実施形態2の工程S4と同様である。また、変形例では、図6の工程S25は、図4を参照して説明した実施形態2の工程S5と同様である。
【0206】
ここで、変形例において、処理液は、SC2であってもよい。所定液体は、SC2を生成するための複数種類の液体のうちのいずれかの液体である。変形例では、所定液体は、脱イオン水貯留槽154に貯留される脱イオン水である。従って、第2同種液体は、脱イオン水と同種の液体である。つまり、第2同種液体は、第2脱イオン水である。
【0207】
以上、図面(図1図8)を参照して本発明の実施形態(変形例を含む)について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0208】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0209】
(1)実施形態1及び実施形態2(変形例を含む)において、第1同種液体(第1硫酸、第1脱イオン水)及び第2同種液体(第2硫酸、第2脱イオン水)は、例えば、基板Wの処理に寄与しない液体である。
【0210】
(2)図1及び図5において、第1硫酸を基板Wに吐出するノズルが、SPMを基板Wに吐出する薬液ノズル20とは別個に設けられていてもよい。また、図7及び図8において、第1脱イオン水を基板Wに吐出するノズルが、SC1を基板Wに吐出する薬液ノズル20Aとは別個に設けられていてもよい。
【0211】
(3)図1図5図7、及び、図8において、例えば、第1ガード91及び第1カップ94から、SPMを廃棄してもよい。この場合は、回収配管112から分岐する排液配管を設ける。そして、SPMを廃棄する場合は、当該排液配管からSPMを排出し、第1貯留槽204までの回収配管112を閉じておく。一方、第1硫酸を回収する場合は、当該排液配管をバルブで閉じておく。これらの点は、SC1及びSC2を廃棄する場合も同様である。
【0212】
(4)第1貯留槽204の第1硫酸の濃度は、硫酸貯留槽54の硫酸の濃度と異なっていてもよい。第2貯留槽214の第2硫酸の濃度は、硫酸貯留槽54の硫酸の濃度と異なっていてもよい。第1貯留槽204の第1硫酸の濃度は、第2貯留槽214の第2硫酸の濃度と異なっていてもよい。第1貯留槽204の第1硫酸の温度は、硫酸貯留槽54の硫酸の温度と異なっていてもよい。第2貯留槽214の第2硫酸の温度は、硫酸貯留槽54の硫酸の温度と異なっていてもよい。
【0213】
(5)第1貯留槽224の第1脱イオン水の温度は、脱イオン水貯留槽154の脱イオン水の温度と異なっていてもよい。第2貯留槽244の第2脱イオン水の温度は、脱イオン水貯留槽154の脱イオン水の温度と異なっていてもよい。
【0214】
(6)実施形態1(変形例を含む)において、SPMを回収及び再利用してもよい。特に、実施形態1(変形例を含む)では、SPMの使用量を削減できるため、SPMを再利用する際の電力(例えば、温調のための電力)の消費を抑制できる。
【0215】
(7)図1図5図7、及び、図8において、スピンチャック10は挟持式のチャックであったが、スピンチャック10は挟持式のチャックに限定されない。例えば、スピンチャック10は、バキューム式のチャックであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0216】
本発明は、基板処理装置及び基板処理方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0217】
1 基板処理装置
10 スピンチャック(基板保持部)
20、20A 薬液ノズル(吐出部)
54 硫酸貯留槽(所定液体貯留槽)
110 回収部
200、200A、200B、200C 同種液体供給部
202、222 加熱部
204、224 第1貯留槽
214、244 第2貯留槽
219、249 液体供給部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8