(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117588
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】タイヤ保持装置、タイヤ成型装置及びタイヤ成型方法
(51)【国際特許分類】
B29D 30/06 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
B29D30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023759
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鷲尾 和也
【テーマコード(参考)】
4F215
4F501
【Fターム(参考)】
4F215AH20
4F215VA01
4F215VD01
4F215VD09
4F215VK52
4F215VL11
4F215VL13
4F215VL32
4F215VM06
4F215VP01
4F215VP23
4F215VP28
4F501TA01
4F501TC01
4F501TC09
4F501TD52
4F501TE10
4F501TE11
4F501TE25
4F501TF06
4F501TL01
4F501TL22
4F501TL27
4F501TV03
(57)【要約】
【課題】グリーンタイヤ又は加硫済みタイヤを内径側から保持できるタイヤ保持装置を提供する。
【解決手段】グリーンタイヤ又は加硫済みタイヤを保持可能なタイヤ保持装置30において、左右にそれぞれ設けられ、前記グリーンタイヤ又は前記加硫済みタイヤのビード形状部分をそれぞれ内径側から保持可能なドラム31と、少なくとも一方のドラム31を左右方向に移動させる移動装置と、を含むタイヤ保持装置30。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリーンタイヤ又は加硫済みタイヤを保持可能なタイヤ保持装置において、
左右にそれぞれ設けられ、前記グリーンタイヤ又は前記加硫済みタイヤのビード形状部分をそれぞれ内径側から保持可能なドラムと、
少なくとも一方の前記ドラムを左右方向に移動させる移動装置と、
を含むタイヤ保持装置。
【請求項2】
前記ドラムが、前記ビード形状部分が嵌まるリム形状部材と、前記リム形状部材に嵌まった前記ビード形状部分を前記グリーンタイヤ又は前記加硫済みタイヤの軸方向内側から押さえる押さえ部材とを含み、
前記押さえ部材が、前記リム形状部材に嵌まった前記ビード形状部分を押さえる位置と、前記リム形状部材に嵌まった前記ビード形状部分を開放する位置との間で変位可能な、請求項1に記載のタイヤ保持装置。
【請求項3】
前記リム形状部材が、前記ビード形状部分が嵌まる円筒状部分と、前記円筒状部分の左右方向外側端において前記円筒状部分からその径方向外側に突出した壁とを有し、
前記円筒状部分に、前記壁から離れるほど縮径するテーパ面が形成された、請求項2に記載のタイヤ保持装置。
【請求項4】
それぞれの前記ドラムが、前記ドラムを回転させる回転軸に取り付けられ、
左右の前記回転軸を連結及び分離する連結装置が設けられた、請求項1に記載のタイヤ保持装置。
【請求項5】
前記連結装置が、一方の前記回転軸に対して設けられた突起物と、他方の前記回転軸に対して設けられた溝とを含み、
前記突起物が前記溝に入ることにより左右の前記回転軸が連結される、請求項4に記載のタイヤ保持装置。
【請求項6】
それぞれの前記ドラムが、前記ドラムを回転させる回転軸に取り付けられ、
前記移動装置として、前記ドラム及び前記回転軸を一体として左右方向に移動させる第1移動装置と、前記回転軸に対して前記ドラムを左右方向に移動させる第2移動装置とが設けられた、請求項1に記載のタイヤ保持装置。
【請求項7】
円筒状のカーカスバンドを径方向外側に膨出させると共にその膨出部分の外周面に円筒状のベルトバンドを貼り付けることによりグリーンタイヤを成型するシェーピングドラムと、請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤ保持装置とを含む、タイヤ成型装置。
【請求項8】
所定のシェーピング位置において、円筒状のカーカスバンドを径方向外側に膨出させると共に、その膨出部分の外周面に円筒状のベルトバンドを貼り付けることにより、グリーンタイヤを成型するステップを含むタイヤ成型方法において、
前記グリーンタイヤを前記シェーピング位置から離れた場所であるグリーンタイヤ保持位置に移動させるステップと、
前記グリーンタイヤ保持位置において、左右に分離されたドラムの間に前記グリーンタイヤを配置するステップと、
少なくとも一方の前記ドラムを左右方向中央側へ移動させることにより左右の前記ドラムを互いに接近させ、左右の前記ドラムで前記グリーンタイヤのビード形状部分を内径側から保持するステップと、
を含む、タイヤ成型方法。
【請求項9】
円筒状部分と、前記円筒状部分の左右方向外側端において前記円筒状部分からその径方向外側へ突出した壁とをそれぞれ有する左右の前記ドラムを互いに接近させ、前記ビード形状部分を左右の前記円筒状部分に嵌めて内径側から保持すると共に、前記壁により左右方向中央側へ押し、
左右それぞれにおいて、前記ドラムの有する押さえ部材により前記ビード形状部分を左右方向中央側から押さえる、請求項8に記載のタイヤ成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ保持装置、タイヤ成型装置及びタイヤ成型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載のように、空気入りタイヤの製造工程においては、カーカスプライ等からなる円筒状のカーカスバンドと、ベルトやトレッド等からなる円筒状のベルトバンドが、それぞれ別の場所で成型される。完成したカーカスバンドは、シェーピングドラムに受け渡され、シェーピングドラムにおいて内圧が付与され径方向外側に膨張する。また、同じシェーピングドラムにおいて、膨張したカーカスバンドの外周面にベルトバンドが貼り付けられることにより、カーカスバンドとベルトバンドとからなる略タイヤ形状の組み合わせ体が完成する。さらに、同じシェーピングドラム上で、組み合わせ体にサイドウォールゴムが貼り付けられて、未加硫タイヤが完成する。
【0003】
このように、1つのシェーピングドラム上で、円筒状のカーカスバンドの保持からサイドウォールゴムの貼り付けまでが行われる。なお、組み合わせ体や未加硫タイヤのことをグリーンタイヤと言う。
【0004】
完成した未加硫タイヤは、シェーピングドラムから取り外され、金型に入れられ加硫成型されて、空気入りタイヤとなる。
【0005】
ところで、従来、カーカスバンドのような円筒状のタイヤ用部材を内径側から保持するドラムは存在した。シェーピングドラムは、そのような、円筒状のタイヤ用部材を内径側から保持するドラムである。
【0006】
しかし、従来、グリーンタイヤを内径側から保持するドラムは存在しなかった。その理由は、上記のように、1つのシェーピングドラム上で円筒状のカーカスバンドの保持からサイドウォールゴムの貼り付けまでが行われるため、グリーンタイヤを内径側から保持するドラムが必要なかったためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
グリーンタイヤを内径側から保持するドラムができれば、空気入りタイヤの製造方法の自由度が上がることが期待される。そして、様々な製造方法が開発されることになり、効率の良い製造方法が実現されること等が期待される。
【0009】
また、加硫済みタイヤを内径側から保持するドラムも従来存在しなかったが、そのようなドラムができれば、様々なことに使用できると考えられる。
【0010】
そこで本発明は、グリーンタイヤ又は加硫済みタイヤを内径側から保持できるタイヤ保持装置と、そのタイヤ保持装置を含むタイヤ成型装置を提供することを課題とする。また、本発明は、グリーンタイヤをタイヤ保持装置で保持することを含むタイヤ成型方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下に示される実施形態を含む。
【0012】
[1]グリーンタイヤ又は加硫済みタイヤを保持可能なタイヤ保持装置において、左右にそれぞれ設けられ、前記グリーンタイヤ又は前記加硫済みタイヤのビード形状部分をそれぞれ内径側から保持可能なドラムと、少なくとも一方の前記ドラムを左右方向に移動させる移動装置と、を含むタイヤ保持装置。
【0013】
[2]前記ドラムが、前記ビード形状部分が嵌まるリム形状部材と、前記リム形状部材に嵌まった前記ビード形状部分を前記グリーンタイヤ又は前記加硫済みタイヤの軸方向内側から押さえる押さえ部材とを含み、前記押さえ部材が、前記リム形状部材に嵌まった前記ビード形状部分を押さえる位置と、前記リム形状部材に嵌まった前記ビード形状部分を開放する位置との間で変位可能な、[1]に記載のタイヤ保持装置。
【0014】
[3]前記リム形状部材が、前記ビード形状部分が嵌まる円筒状部分と、前記円筒状部分の左右方向外側端において前記円筒状部分からその径方向外側に突出した壁とを有し、前記円筒状部分に、前記壁から離れるほど縮径するテーパ面が形成された、[2]に記載のタイヤ保持装置。
【0015】
[4]それぞれの前記ドラムが、前記ドラムを回転させる回転軸に取り付けられ、左右の前記回転軸を連結及び分離する連結装置が設けられた、[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤ保持装置。
【0016】
[5]前記連結装置が、一方の前記回転軸に対して設けられた突起物と、他方の前記回転軸に対して設けられた溝とを含み、前記突起物が前記溝に入ることにより左右の前記回転軸が連結される、[4]に記載のタイヤ保持装置。
【0017】
[6]それぞれの前記ドラムが、前記ドラムを回転させる回転軸に取り付けられ、前記移動装置として、前記ドラム及び前記回転軸を一体として左右方向に移動させる第1移動装置と、前記回転軸に対して前記ドラムを左右方向に移動させる第2移動装置とが設けられた、[1]~[5]のいずれかに記載のタイヤ保持装置。
【0018】
[7]円筒状のカーカスバンドを径方向外側に膨出させると共にその膨出部分の外周面に円筒状のベルトバンドを貼り付けることによりグリーンタイヤを成型するシェーピングドラムと、[1]~[6]のいずれかに記載のタイヤ保持装置とを含む、タイヤ成型装置。
【0019】
[8]所定のシェーピング位置において、円筒状のカーカスバンドを径方向外側に膨出させると共に、その膨出部分の外周面に円筒状のベルトバンドを貼り付けることにより、グリーンタイヤを成型するステップを含むタイヤ成型方法において、前記グリーンタイヤを前記シェーピング位置から離れた場所であるグリーンタイヤ保持位置に移動させるステップと、前記グリーンタイヤ保持位置において、左右に分離されたドラムの間に前記グリーンタイヤを配置するステップと、少なくとも一方の前記ドラムを左右方向中央側へ移動させることにより左右の前記ドラムを互いに接近させ、左右の前記ドラムで前記グリーンタイヤのビード形状部分を内径側から保持するステップと、を含む、タイヤ成型方法。
【0020】
[9]円筒状部分と、前記円筒状部分の左右方向外側端において前記円筒状部分からその径方向外側へ突出した壁とをそれぞれ有する左右の前記ドラムを互いに接近させ、前記ビード形状部分を左右の前記円筒状部分に嵌めて内径側から保持すると共に、前記壁により左右方向中央側へ押し、左右それぞれにおいて、前記ドラムの有する押さえ部材により前記ビード形状部分を左右方向中央側から押さえる、[8]に記載のタイヤ成型方法。
【発明の効果】
【0021】
本実施形態のタイヤ保持装置は、グリーンタイヤ又は加硫済みタイヤを内径側から保持することができる。また、本実施形態のタイヤ成型装置は、前記タイヤ保持装置を使用して空気入りタイヤを成型することができる。また、本実施形態のタイヤ成型方法は、グリーンタイヤをタイヤ保持装置で保持することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】グリーンタイヤ成型装置を上から見た平面図。
【
図2】グリーンタイヤ成型装置を
図1の矢印A方向から見た図。
【
図3】グリーンタイヤ成型装置を
図1の矢印B方向から見た図。
【
図4】グリーンタイヤ保持装置を
図3と同じ方向から見た図。
【
図8】ドラムの部分断面図。押さえ部材が開放位置にあるときの図。
【
図9】ドラムの部分断面図。押さえ部材が押圧位置にあるときの図。
【
図10】(a)は第1連結部材を回転軸方向から見た図。(b)は第1連結部材を(a)に示す矢印D方向から見た図。
【
図11】(a)は第2連結部材を回転軸方向から見た図。(b)は第1連結部材を(a)に示す矢印E方向から見た図。
【
図12】第1連結部材が第2連結部材の穴に侵入したときの様子を、
図10及び
図11における上から見た図。
【
図13】第1連結部材と第2連結部材とが連結されたときの様子を、
図10及び
図11における上から見た図。
【
図15】グリーンタイヤ移送装置が組み合わせ体を保持した様子を示す図。(a)は
図1における矢印Bと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。(b)は
図1における矢印Aと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。
【
図16】組み合わせ体がグリーンタイヤ保持装置の場所に到着した様子を示す図。(a)は
図1における矢印Bと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。(b)は
図1における矢印Aと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。
【
図17】グリーンタイヤ保持装置が組み合わせ体を保持し、シェーピングドラムがカーカスバンドを保持した様子を示す図。(a)は
図1における矢印Bと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。(b)は
図1における矢印Aと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。
【
図18】サイドウォールの成型の様子を示す図。(a)は
図1における矢印Bと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。(b)は
図1における矢印Aと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。
【
図19】完成した未加硫タイヤをグリーンタイヤ移送装置が保持する様子を示す図。(a)は
図1における矢印Bと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。(b)は
図1における矢印Aと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。
【
図20】グリーンタイヤ移送装置が未加硫タイヤを搬出する様子を示す図。(a)は
図1における矢印Bと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。(b)は
図1における矢印Aと同じ方向からグリーンタイヤ成型装置を見た図。
【
図22】組み合わせ体を保持する前の、グリーンタイヤ保持装置の軸方向断面図。
【
図23】組み合わせ体がリム形状部材に嵌まった時の、グリーンタイヤ保持装置の軸方向断面図。
【
図24】組み合わせ体を押さえ部材で押さえた時の、グリーンタイヤ保持装置の軸方向断面図。
【
図25】回転軸上で左右のドラムが離れたときの、グリーンタイヤ保持装置の軸方向断面図。
【
図26】回転軸上でのドラムの移動に伴うグリーンタイヤの変形の前後の、グリーンタイヤの軸方向断面図。
【
図30】変更例のドラムの断面図。押さえ部材が開放位置にあるときの図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0024】
まず、実施形態のグリーンタイヤ成型装置10の概略を説明する。
図1、
図2に示すように、グリーンタイヤ成型装置10は、シェーピングドラム11、グリーンタイヤ移送装置12、サイドウォール成型装置16、シェーピングドラム移動部14、移送装置移動部15を含んでいる。
【0025】
シェーピングドラム11は、シェーピングを行うことにより組み合わせ体を成型するためのドラムである。ここで、シェーピングとは、円筒状のカーカスバンドを、その軸方向両側にセットされた2つのビードの間で径方向外側に膨出させてトロイダル状とすると共に、その膨出部分の外周面に円筒状のベルトバンドを貼り付けることである。
【0026】
なお、カーカスバンドは、カーカスプライ及びインナーライナーが積層され、必要に応じて他の部材(例えばラバーチェーハー)も積層されてできた円筒状のタイヤ用部材である。また、ベルトバンドは、ベルト及びトレッドが積層され、必要に応じて他の部材(例えばベルト補強層)も積層されてできた円筒状のタイヤ用部材である。また、組み合わせ体とは、シェーピングにより完成する、カーカスバンドとベルトバンドからなるもののことである。
【0027】
サイドウォール成型装置16は、組み合わせ体の側面(組み合わせ体の軸方向両側の面)に長尺ゴムを貼り付けることにより、サイドウォールを成型するための装置である。サイドウォール成型装置16は、グリーンタイヤ保持装置30と長尺ゴム押し出し機13とを有している。グリーンタイヤ保持装置30が保持している組み合わせ体の側面に、長尺ゴム押し出し機13から押し出された長尺ゴムが巻き付けられる。巻き付けられた長尺ゴムがサイドウォールとなる。組み合わせ体の側面にサイドウォールが成型されたもの(ただし加硫成型前のもの)を未加硫タイヤと言う。
【0028】
少なくともカーカスバンドとベルトバンドとを含み、シェーピング後で加硫成型前のもののことを、グリーンタイヤと言うこととする。組み合わせ体や未加硫タイヤはグリーンタイヤである。グリーンタイヤ1は、空気入りタイヤのトレッドとなる部分である略円筒状のトレッド形状部分1a(
図21、
図26参照)と、トレッド形状部分1aの軸方向両側から径方向内側へ向かう部分であり空気入りタイヤのサイドウォールとなる部分であるサイドウォール形状部分1bと、サイドウォール形状部分1bより径方向内側の部分であり空気入りタイヤのビード部となる部分であるビード形状部分1cとを有している。ビード形状部分1cの内部にはビードコアが入っている。
【0029】
グリーンタイヤ移送装置12はグリーンタイヤ1を移送する装置である。グリーンタイヤ移送装置12は、組み合わせ体をシェーピングドラム11からサイドウォール成型装置16へ移送したり、未加硫タイヤをサイドウォール成型装置16から受け取り、後工程へ搬出したりする。
【0030】
次に、グリーンタイヤ成型装置10が含む各装置等について具体的に説明する。
【0031】
まず、シェーピングドラム移動部14及び移送装置移動部15について説明する。
【0032】
図1及び
図2に示すように、シェーピングドラム移動部14は、床の土台上に設けられた平行な2本の走行レール14aからなる。シェーピングドラム11は、2本の走行レール14a上を移動する。シェーピングドラム移動部14における所定位置が、シェーピングドラム11が停止してシェーピングが行われるシェーピング位置である。
【0033】
また、移送装置移動部15は、
図2及び
図3に示すように、床よりも高い位置に設けられた平行な2本の走行レール15aからなる。2本の走行レール15aは、シェーピングドラム11及びサイドウォール成型装置16よりも高い位置にある。これら2本の走行レール15aにグリーンタイヤ移送装置12が吊り下げられている。グリーンタイヤ移送装置12は、2本の走行レール15aに吊り下げられた状態で、2本の走行レール15aに沿って移動する。
【0034】
図1に示すように、シェーピングドラム移動部14の走行レール14aと、移送装置移動部15の走行レール15aとは直交している。これらの走行レール14a、15aが交差する場所は、シェーピングドラム11からグリーンタイヤ移送装置12への組み合わせ体の受け渡し場所17である。
【0035】
次に、シェーピングドラム11について説明する。
【0036】
本実施形態のシェーピングドラム11は、一般的なシェーピングドラムと同じ構造のものである。シェーピングドラム11は、互いに近付いたり離れたりする2つのドラム部分11a(
図1参照)、ドラム部分11aの一部でありグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを保持するビードロックセグメント、カーカスバンドを膨出させるための空気の導入経路、ターンアップ(カーカスバンドの軸方向両側をビードの周りで折り返すこと)を行うためのターンアップ機構、走行レール14aに沿って移動するための移動装置、等を備えている。
【0037】
シェーピングドラム11を移動させるための移動装置は、限定されないが、例えばサーボモータを含む装置である。移動装置が制御されることにより、シェーピングドラム11が走行レール14aに沿って移動したり走行レール14a上の所定位置で停止したりする。
【0038】
次に、グリーンタイヤ移送装置12について説明する。
【0039】
グリーンタイヤ移送装置12は、グリーンタイヤ1を保持して移送するための一般的な構造のものである。
図2に示すように、グリーンタイヤ移送装置12は、グリーンタイヤ1を保持する保持部20や、移送装置移動部15の走行レール15aに沿って保持部20を移動させるための移動装置21等を備えている。
【0040】
グリーンタイヤ移送装置12の保持部20は、シェーピングドラム11の軸方向から見て円形に並んだ複数の保持部材22を備えている。これらの保持部材22は、不図示のシリンダの作用により、前記円形の径方向へ移動する。これらの保持部材22が前記円形の径方向内側へ移動し、前記円形の内側にあるグリーンタイヤ1の外周面をそれぞれの方向から押さえることにより、前記円形の内側にあるグリーンタイヤ1がグリーンタイヤ移送装置12に保持される。また、これらの保持部材22が前記円形の径方向外側へ移動し、グリーンタイヤ1の外周面から離れることにより、グリーンタイヤ1がグリーンタイヤ移送装置12から離される。
【0041】
グリーンタイヤ移送装置12の移動装置21は、限定されないが、例えばサーボモータを含む装置である。移動装置が制御されることにより、グリーンタイヤ移送装置12が走行レール15aに沿って移動したり、走行レール15a上の所定位置で停止したりする。
【0042】
次に、サイドウォール成型装置16が有するグリーンタイヤ保持装置30について説明する。
【0043】
図4に示すように、グリーンタイヤ保持装置30は、2つのドラム31と、2つのヘッドストック32と、2つのヘッドストック移動部33と、1つの連結装置34とを含んでいる。
図1に示すように、移送装置移動部15を間に挟んだ左右それぞれにおいて、ドラム保持装置としてのヘッドストック32がドラム31を保持している。このヘッドストック32は、左右それぞれにおいて、ヘッドストック移動部33を移動する。また、左右のヘッドストック32は、連結装置34によって連結されたり分離されたりする。
【0044】
ヘッドストック32は、ドラム31を回転させる回転軸36、ドラム31と回転軸36を一緒に左右方向へ移動させるためにヘッドストック32を移動させる第1移動装置35、ドラム31を回転軸36に対して移動させる第2移動装置等から構成される装置である。
【0045】
図4に示すように、第1移動装置35はヘッドストック32の下部を構成している。第1移動装置35は、ヘッドストック32をヘッドストック移動部33において移動させる。第1移動装置35の具体的構成は限定されないが、例えば、サーボモータを含む構成である。
【0046】
回転軸36を含む回転軸関連構造物は、ヘッドストック32の上部を構成している。回転軸関連構造物には、回転軸36と、回転軸36を回転させるための駆動装置としてのモータ37が含まれる。
【0047】
回転軸36は一方向へ延長された軸である。以下において、「回転軸方向」とは、回転軸36の延長方向のことである。回転軸36は、タイミングベルト39によってモータ37の出力軸と連結されており、モータ37が稼働することにより回転する。回転軸36が回転することにより、回転軸36に取り付けられているドラム31が回転する。
【0048】
図5に示すように、回転軸36の内部は空洞になっている。回転軸36には、回転軸36の内部と外部をつなげるスリット38が形成されている。また、回転軸36には、後述するように複数の空気流路(不図示)が設けられている。複数の空気流路は、左右のドラム31に保持されたグリーンタイヤ1に内圧を付与したり、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cを保持するための押さえ部材56を変位させたりするために使用される。
【0049】
ドラム31を回転軸36に対して移動させる第2移動装置は、ボールねじ40と、ねじ軸回転用モータ(不図示)を有している。ボールねじ40は、ねじ軸41と、ねじ軸41に取り付けられたナット42を有している。
【0050】
ねじ軸41は回転軸36の内部に設けられている。ねじ軸41の延長方向は、回転軸36の延長方向と一致している。ねじ軸41は、ねじ軸回転用モータが稼働することにより回転する。
【0051】
ナット42は、回転軸方向のスリット38のある場所に設けられている。また、ナット42は回転軸36の内部においてねじ軸41に取り付けられている。ナット42にはその径方向外側へ突出した突起43が形成されている。その突起43が回転軸36のスリット38内に侵入している。そして、突起43に、回転軸36の外側に向かって開口した溝44が形成されている。この溝44は、後述するようにドラム31の取り付けに使用される。なお、ナット42の突起43は、回転軸36の外側へは出ていない。
【0052】
ねじ軸41が回転すると、ナット42がねじ軸41に沿って回転軸方向へ移動する。そのとき、ナット42の突起43が回転軸36のスリット38内を回転軸方向へ移動する。後述するように、ナット42の突起43に対してドラム31が取り付けられているため、ナット42がスリット38内を回転軸方向へ移動することにより、ドラム31が回転軸方向へ移動することになる。
【0053】
ドラム31は、第1筒部材50、第2筒部材51、第3筒部材52、第1リング状部材53、第2リング状部材54、リム形状部材55及び押さえ部材56を含んでいる。第1筒部材50、第2筒部材51、第3筒部材52、第1リング状部材53、第2リング状部材54及びリム形状部材55は、回転軸方向から見て同心円状に配置されている。
【0054】
第1筒部材50は回転軸36に嵌まっている。第1筒部材50の内周面は回転軸36の外周面と接触している。ただし、第1筒部材50は回転軸36に対して摺動可能である。第1筒部材50は、円筒状の円筒部分50aと、円筒部分50aの一端側において円筒部分50aよりも外径が大きく形成されたフランジ50bとを有している。円筒部分50aはフランジ50bよりも左右方向中央側にある。
【0055】
ここで、左右方向中央側とは、グリーンタイヤ保持装置30の左右方向の中央側のことである。グリーンタイヤ保持装置30の左右方向の中央は、対向する2つのドラム31の中間地点である。また、左右方向中央側と反対側、換言すればグリーンタイヤ保持装置30の左右方向の外側を、左右方向外側とする。
【0056】
フランジ50bには、フランジ50bの外径面から内径面まで貫通する複数(
図5では2つ)の孔50cが形成されている。これらの孔50cにはそれぞれピン57が通されている。孔50cに通されたピン57の先端は、ナット42の突起43に形成された溝44に入っている。これにより、ナット42に対してドラム31が取り付けられている。
【0057】
第1筒部材50の円筒部分50aの径方向外側には、第2筒部材51が嵌まっている。第2筒部材51の内周面は、第1筒部材50の円筒部分50aの外周面と接触している。ただし、第2筒部材51は第1筒部材50に対して摺動可能である。第2筒部材51は、円筒状の円筒部分51aと、円筒部分51aの一端側において円筒部分51aよりも外径が大きく形成されたフランジ51bとを有している。円筒部分51aはフランジ51bよりも左右方向中央側にある。
【0058】
第2筒部材51よりも径方向外側には、第3筒部材52が設けられている。第2筒部材51のフランジ51bの外周面は、第3筒部材52の内周面に接触している。ただし、第2筒部材51のフランジ51bは、第3筒部材52の内周面に対して摺動可能である。また、第3筒部材52の左右方向外側端は、第1筒部材50のフランジ50bの左右方向中央側の面に固定されている。
【0059】
第1筒部材50の円筒部分50a、第1筒部材50のフランジ51b、第2筒部材51のフランジ51b及び第3筒部材52に囲まれた空間58が形成されている。第3筒部材52には、内周面から外周面にかけて貫通する孔59が形成されている。この孔59を通して、空間58に空気が導入されたり、空間58から空気が排出されたりする。
【0060】
第2筒部材51のフランジ51bは、第1筒部材50と第3筒部材52との間で摺動可能である。空間58に空気が導入されると、フランジ51bを含む第2筒部材51が左右方向中央側へ移動し、空間58の容積が大きくなる。また、空間58から空気が排出されると、フランジ51bを含む第2筒部材51が左右方向外側へ移動し、空間58の容積が小さくなる。このように空間58の容積が変化することにより第2筒部材51が左右方向へ移動するとき、空間58を構成する他の部材である第1筒部材50及び第3筒部材52は移動しない。
【0061】
上記の通り、第3筒部材52は、第1筒部材50のフランジ50bに固定されている。また、第3筒部材52の左右方向中央側の面には、第1リング状部材53が固定され、第1リング状部材53の左右方向中央側の面にはリム形状部材55が固定されている。このように固定されているため、第1リング状部材53とリム形状部材55は、第1筒部材50と一体となって回転軸36上を移動したり回転軸36上で停止したりする。
【0062】
リム形状部材55は、回転軸36の中心軸の周りに1周するリング状の部材である。
図6に示すように、リム形状部材55は、左右方向に延びる短い1つの円筒である円筒状部分62と、円筒状部分62の左右方向外側端からドラム径方向外側へ突出したリング状の壁60と、円筒状部分62の左右方向外側端からドラム径方向内側へ延びるリング状の基部61とからなる。
【0063】
壁60の左右方向中央側(換言すれば連結装置34側)の面は、回転軸36の中心軸に対して垂直な垂直面60aと、壁60における径方向外側において垂直面60aに対して傾斜したテーパ面60bとからなる。テーパ面60bは垂直面60aから連続している。テーパ面60bは、壁60の径方向外側端の角を面取りする形状の面(壁60の径方向外側端に近付くほど左右方向外側へ向かう面)である。
【0064】
また、円筒状部分62の径方向外側の面は、回転軸36の中心軸に平行な円筒面62aと、円筒状部分62における左右方向中央側において円筒面62aに対して傾斜したテーパ面62bとからなる。円筒面62aとテーパ面62bとは連続している。テーパ面62bは、円筒状部分62の左右方向中央端の角を面取りする形状の面であり、円筒状部分62における左右方向中央端に近付くほど(すなわち壁60から離れるほど)縮径する面である。
【0065】
壁60における垂直面60aと、円筒状部分62における円筒面62aとは、R面60cにより滑らかに連結されている。
【0066】
図6に示すように、グリーンタイヤ1が左右のドラム31に保持されたとき、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cにおける軸方向外側の面が、壁60の垂直面60aに接触する。また、グリーンタイヤ1が左右のドラム31に保持されたとき、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cにおける径方向内側の面が、円筒状部分62の円筒面62aに接触する。
【0067】
図5に示すように、第2筒部材51の左右方向中央側端には第2リング状部材54が固定されている。上記のように空間58の容積が変化することにより第2筒部材51が左右方向へ移動すると、第2リング状部材54は第2筒部材51と一体となって左右方向へ移動する。しかし、空間58の容積が変化しても、リム形状部材55は移動しない。そのため、空間58の容積が変化することにより、第2リング状部材54がリム形状部材55に対して相対的に移動することになる。
【0068】
第2リング状部材54の径方向外側端には複数の押さえ部材56が設けられている。
図7に示すように、複数の押さえ部材56は、第2リング状部材54の周方向に等間隔で配置されている。1つのドラム31に設けられた押さえ部材56の数は、例えば6~10個である。
【0069】
押さえ部材56は、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cをグリーンタイヤ1の軸方向内側から押さえる押圧部材63と、押圧部材63が取り付けられたアーム64とからなる。押圧部材63は、アーム64のドラム径方向外側端に取り付けられている。
【0070】
アーム64は、ドラム径方向へ延びる部材である。アーム64は、回転軸36の中心軸に沿った断面上で見ると、2箇所で屈曲することによりS字型に近い形になっている。
図6に示すように、屈曲する2箇所のうちドラム径方向内側の方を第1屈曲部65、ドラム径方向外側の方を第2屈曲部66とする。
【0071】
アーム64のドラム径方向内側端は、第2リング状部材54に連結されている。詳細には、アーム64のドラム径方向内側端付近と、第2リング状部材54の径方向外側端付近のそれぞれに、第2リング状部材54の外周面の接線方向に延びる1本のピン67が通されている。このピン67により、アーム64のドラム径方向内側端付近と、第2リング状部材54とが連結されている。
【0072】
また、アーム64の第1屈曲部65は、リム形状部材55に連結されている。詳細には、リム形状部材55の基部61に、左右方向中央側に向かって延びるアーム取り付け用部材68が固定されている。アーム取り付け用部材68の先端は、リム形状部材55の円筒状部分62の先端よりも、左右方向中央側にある。そして、アーム64の第1屈曲部65と、アーム取り付け用部材68の先端付近のそれぞれに、リム形状部材55の外周面の接線方向に延びる1本のピン69が通されている。このピン69により、アーム64の第1屈曲部65と、アーム取り付け用部材68が連結されている。
【0073】
アーム64は、2本のピン67、69をそれぞれ支点として、回転軸方向に対する傾きを変えることができる。アーム64の傾きが変わることにより、アーム64に取り付けられた押圧部材63の位置が変わる。
【0074】
詳細には、
図8に白抜きの矢印Fで示すように、空間58の容積変化に伴い第2リング状部材54が左右方向外側へ移動すると、第2リング状部材54とアーム64とを連結するピン67も左右方向外側へ移動する。ピン67がこのように移動すると、アーム64の第1屈曲部65に通されたピン69を支点として、
図8に矢印Gで示すように、押圧部材63がリム形状部材55から離れる方向にアーム64が傾く。このように押圧部材63がリム形状部材55から離れているとき、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cをリム形状部材55に着脱することができる。
【0075】
反対に、
図9に白抜きの矢印Hで示すように、空間58の容積変化に伴い第2リング状部材54が左右方向中央側へ移動すると、第2リング状部材54とアーム64とを連結するピン67も左右方向中央側へ移動する。このピン67がこのように移動すると、アーム64の第1屈曲部65に通されたピン69を支点として、
図9に矢印Iで示すように、押圧部材63がリム形状部材55に近付く方向にアーム64が傾く。リム形状部材55にグリーンタイヤ1のビード形状部分1cが嵌まっているときに、このようにアーム64が傾くことにより、押圧部材63がグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを押さえることができる。
【0076】
このように、空間58の容積変化に伴い押さえ部材56が変位することにより、リム形状部材55にグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを固定したり、リム形状部材55からグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを着脱可能にしたりすることができる。ドラム31は、リム形状部材55にビード形状部分1cを固定することにより、グリーンタイヤ1をしっかりと保持する。
【0077】
このような構造のドラム31が、上記の通り、ボールねじ40のナット42に取り付けられている。ボールねじ40のねじ軸41が回転すると、ナット42がスリット38内を回転軸方向に移動し、ナット42と共にドラム31も回転軸方向に移動する。ドラム31は、回転軸36上の所定位置(例えば
図5のように可動範囲の左右方向中央側端)を基本位置とし、そこから回転軸方向に移動する。
【0078】
グリーンタイヤ保持装置30が有するヘッドストック移動部33は、
図2~
図4に示すように、床の土台上に設けられた平行な2本の走行レール33aからなる。ヘッドストック移動部33の走行レール33aの延長方向は、移送装置移動部15の走行レール15aの延長方向に対して垂直であり、シェーピングドラム移動部14の走行レール14aに対して平行である。
【0079】
ヘッドストック移動部33は、移送装置移動部15の左右両側に分離して設けられている。左右のヘッドストック32は、左右それぞれのヘッドストック移動部33において、走行レール33a上を移動する。左右のヘッドストック32は、それぞれの有する第1移動装置35により、それぞれ走行レール33a上を移動したり走行レール33a上で停止したりする。
【0080】
第1移動装置35により、ヘッドストック32は、ヘッドストック移動部33にある待機位置、保持位置及び連結位置の間を移動する。待機位置は、移送装置移動部15から最も離れた位置である。保持位置は、移送装置移動部15に近い位置であり、左右のドラム31を近付けてグリーンタイヤ1を保持するときの位置である。連結位置は、移送装置移動部15にさらに近い位置であり、左右のドラム31をさらに近付けて連結装置34で回転軸36同士を連結するときの位置である。
【0081】
図5に示すように、グリーンタイヤ保持装置30が有する連結装置34は、左右方向一方の回転軸36の先端(左右方向中央側端)に取り付けられた第1連結部材70と、左右方向他方の回転軸36の先端(左右方向中央側端)に取り付けられた第2連結部材71とからなる。第1連結部材70及び第2連結部材71は、それぞれ、ボルト72により回転軸36の先端に固定されている。第1連結部材70及び第2連結部材71は、それぞれ、自らと同じ回転軸36に取り付けられているドラム31よりも左右方向中央側にある。
【0082】
図10に示すように、第1連結部材70は、その先端側(左右方向中央側)に侵入部分70aを有している。侵入部分70aは、円筒の軸部分70bと、軸部分70bから径方向外側へ突出した2つの突起物70cとからなる。2つの突起物70cは、軸部分70bの先端側(左右方向中央側)に形成されており、軸部分70bの根元側(左右方向外側)には形成されていない。2つの突起物70cは2回対称の関係にある(すなわち、一方の突起物70cを180°回転させると他方の突起物70cと重なる)。
【0083】
図11に示すように、第2連結部材71では、左右方向中心側の先端面73から回転軸方向に向かって、所定深さの穴74が形成されている。回転軸方向から見ると、穴74の形状は、第1連結部材70の侵入部分70aの形状と同一である。すなわち、穴74は、回転軸方向から見て、第1連結部材70の軸部分70bと同一形状の円形部分74bと、第1連結部材70の突起物70cと同一形状の2つの突起形状部分74cとからなる。
【0084】
この穴74の奥には溝75が形成されている。溝75は、穴74の奥において、円形部分74bをその径方向外側へ広げている。回転軸方向から見ると溝75は円形である。
【0085】
第1連結部材70と第2連結部材71は連結させたり分離させたりすることができる。具体的には、第1連結部材70の有する2つの突起物70cを、第2連結部材71の穴74が有する2つの突起形状部分74cに一致させた状態で、第1連結部材70の侵入部分70aを第2連結部材71の穴74に押し込むことができる。押し込んだときの様子を
図12に示す。
【0086】
図12のように押し込んだ上で、第1連結部材70を第2連結部材71に対して90°程度回すことにより、第1連結部材70の有する2つの突起物70cを、第2連結部材71の穴74の中の溝75に入れることができる。このときの様子を
図13に示す。
【0087】
突起物70cが溝75に入ると、第1連結部材70と第2連結部材71とが引き離す方向に引っ張られても離れなくなる。これにより、第1連結部材70と第2連結部材71が連結される。第1連結部材70と第2連結部材71が連結されることにより、左右の回転軸36は一体となって回転することになる。
【0088】
なお、第1連結部材70の侵入部分70aを第2連結部材71の穴74に押し込む操作は、2つのヘッドストック32が保持位置から連結位置へ移動し互いに近付くことにより行われる。また、第1連結部材70の第2連結部材71に対する回転は、例えば、連結装置34の有する不図示のモータ等により行われる。
【0089】
また、連結するときと逆の操作により、第1連結部材70と第2連結部材71を分離することができる。
【0090】
グリーンタイヤ保持装置30は、さらに、回転軸36の内部に設けられた複数の空気流路(不図示)と、それぞれの空気流路と回転軸36の外部の空気供給源(不図示)とを連結するロータリージョイント80(
図4参照)と、それぞれの空気流路における空気の流動を制御する空気制御部81(
図14参照)とを有している。
【0091】
左右の回転軸36の内部には、それぞれ、7つの空気流路が設けられている。7つの空気流路のうち5つは、2つのドラム31に保持されたグリーンタイヤ1の内部への空気の導入等を行うインフレート用流路である。一方の回転軸36においては、5つのインフレート用流路の全てが、グリーンタイヤ1の内部への空気の導入路である。他方の回転軸36においては、5つのインフレート用流路のうちの4つがグリーンタイヤ1の内部への空気の導入路であり、残り1つがグリーンタイヤ1の内部からの空気の排出路である。
【0092】
また、それぞれの回転軸36が有する7つの空気流路のうち2つは、押さえ部材56を変位させるための押さえ部材用流路である。2つの押さえ部材用流路のうち1つは上記の空間58へ空気を導入するための流路であり、残り1つは上記の空間58から空気を排出するための流路である。
【0093】
押さえ部材用流路を通して空間58内の空気の量を変化させ、空間58の容積を変化させることにより、上記のように押さえ部材56の押圧部材63を、リム形状部材55に近付けてグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを押さえたり、リム形状部材55から離したりすることができる。
【0094】
リム形状部材55に嵌まっているグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを押さえるときの押さえ部材56の位置を押圧位置、リム形状部材55から完全に離れたときの押さえ部材56の位置を開放位置とする。
【0095】
ロータリージョイント80(
図4参照)は既知の構造のものであり、回転軸36の内部のそれぞれの空気流路と、回転軸36の外部の空気供給源とを連結している。このロータリージョイント80により、回転軸36が回転しても、それぞれの空気流路と空気供給源との連結を維持することができる。空気制御部81は、弁等を操作して、それぞれの空気流路における空気の流動を制御する。
【0096】
ここまで説明した、ドラム31、ヘッドストック32、ヘッドストック移動部33、連結装置34等により、グリーンタイヤ保持装置30が構成されている。
【0097】
次に、サイドウォール成型装置16が有する長尺ゴム押し出し機13について説明する。
【0098】
長尺ゴム押し出し機13は、ゴムの押し出し機としての一般的な構造を有するものである。長尺ゴム押し出し機13は、原料ゴムが投入されるシリンダ、シリンダ内のゴムを押し出すためにシリンダに内蔵されたスクリュ、押し出されるゴムの形状を決める口金等からなる。長尺ゴム押し出し機13は、押し出し方向に長い長尺ゴム部材を押し出す。組み合わせ体の側面(軸方向両側の面)において、長尺ゴム部材が複数周巻き付けられて成型されたものが、サイドウォールとなる。
【0099】
図示省略するが、グリーンタイヤ成型装置10は、カーカスバンドドラム、カーカスバンド移送装置、ベルトバンドドラム、ベルトバンド移送装置等も含んでいる。カーカスバンドドラムは、カーカスバンドを成型するためのドラムである。カーカスバンド移送装置は、カーカスバンドドラムで成型されたカーカスバンドを、シェーピングドラム11の場所に移送し、シェーピングドラム11に受け渡す装置である。ベルトバンドドラムは、ベルトバンドを成型するためのドラムである。ベルトバンド移送装置は、ベルトバンドドラムで成型されたベルトバンドを、シェーピングドラム11の場所に移送し、シェーピングドラム11に受け渡す装置である。
【0100】
グリーンタイヤ成型装置10は自身が有する成型制御部82によって制御される。
図14に示すように、成型制御部82には、シェーピングドラム11、グリーンタイヤ移送装置12、グリーンタイヤ保持装置30(詳細には、第1移動装置や第2移動装置等)、長尺ゴム押し出し機13、連結装置34等の、グリーンタイヤ成型装置10の有する各装置等が接続されている。成型制御部82は、接続されている各装置等の制御を行う。
【0101】
以上の構成のグリーンタイヤ成型装置10においてグリーンタイヤ1を成型する方法について説明する。グリーンタイヤ成型装置10におけるグリーンタイヤ1の成型は、成型制御部82による制御によって実施される。
【0102】
まず、カーカスバンドドラムにおいて、カーカスプライやインナーライナー等が積層されて、円筒状のカーカスバンドが成型される。カーカスバンドの成型と並行して、ベルトバンドドラムにおいて、ベルトやトレッド等が積層されて、円筒状のベルトバンドが成型される。
【0103】
次に、カーカスバンド移送装置が、カーカスバンドを、カーカスバンドドラムからシェーピングドラム11へ移送する。これによりカーカスバンドがシェーピングドラム11に保持される。
【0104】
次に、シェーピングドラム11においてシェーピングが実施される。具体的には、円筒状のカーカスバンドが、その軸方向両側にセットされた2つのビードの間で径方向外側に膨出しトロイダル状となる。その膨出のときまでに、ベルトバンド移送装置が、ベルトバンドをベルトバンドドラムからシェーピングドラム11の場所へ移送し、カーカスバンドの径方向外側に配置する。その後、カーカスバンドの膨出部分の外周面にベルトバンドが貼り付けられる。また、ベルトバンドの貼り付けの前に、カーカスバンドの軸方向両側部分をそれぞれビードの位置で折り返すターンアップも実施される。以上によりグリーンタイヤ1の一種である組み合わせ体85(
図15参照)が完成する。
【0105】
次に、グリーンタイヤ移送装置12が、組み合わせ体85を、シェーピングドラム11からグリーンタイヤ保持装置30のあるグリーンタイヤ保持位置へ移送する。この移送は、シェーピングドラム11からグリーンタイヤ移送装置12への組み合わせ体85の受け渡し、グリーンタイヤ移送装置12による組み合わせ体85の移送、グリーンタイヤ移送装置12からグリーンタイヤ保持装置30への組み合わせ体85の受け渡し、の順に行われる。
【0106】
シェーピングドラム11からグリーンタイヤ移送装置12への組み合わせ体85の受け渡しは、シェーピングドラム移動部14と移送装置移動部15とが交差する受け渡し場所17において行われる。まず、
図15に示すように、受け渡し場所17に待機しているグリーンタイヤ移送装置12の内側に、外周面に組み合わせ体85を保持したシェーピングドラム11が侵入する。次に、
図15(b)に示すように、グリーンタイヤ移送装置12の複数の保持部材22が、シェーピングドラム11上の組み合わせ体85を保持する。次に、図示省略するが、シェーピングドラム11がその軸方向へ移動して組み合わせ体85の内側から抜ける。これにより、シェーピングドラム11からグリーンタイヤ移送装置12への組み合わせ体85の受け渡しが完了する。
【0107】
ここで、組み合わせ体85がシェーピングドラム11に保持されている間、組み合わせ体85(グリーンタイヤ1)の軸方向両側のビード形状部分1cがビードロックセグメントに固定されている。そのため、2つのビード形状部分1cの間隔が固定され、組み合わせ体85(グリーンタイヤ1)の形状が
図21に実線で示す形状に維持されている。
【0108】
しかし、組み合わせ体85がシェーピングドラム11から外されると、2つのビード形状部分1cの間隔が固定されなくなる。また、グリーンタイヤ移送装置12は、組み合わせ体85の外周面を保持するだけであり、ビード形状部分1cを固定しない。そのため、組み合わせ体85は、シェーピングドラム11から外されることにより
図21に矢印で示す方向へ変形して破線で示す形状となり、その後グリーンタイヤ移送装置12に保持されるだけでは元の形状(
図21に実線で示す形状)に戻らない。このように、シェーピングドラム11から外された後の組み合わせ体85においては、2つのビード形状部分1cの間隔が広がる。このように広がったときの2つのビード形状部分1cの間隔の具体的な長さまでは制御できない。
【0109】
このように2つのビード形状部分1cの間隔が広がった状態の組み合わせ体85が、グリーンタイヤ移送装置12により移送される。グリーンタイヤ移送装置12による組み合わせ体85の移送は、組み合わせ体85を保持したグリーンタイヤ移送装置12が移送装置移動部15を移動することにより行われる。グリーンタイヤ移送装置12は、
図16(b)に白抜きの矢印Jで示すように、受け渡し場所17から、グリーンタイヤ保持装置30の場所(より詳細には
図16(a)に示すように2つのドラム31の間の場所)まで、組み合わせ体85を移送する。
【0110】
組み合わせ体85が2つのドラム31の間の場所に到着する時点では、2つのドラム31の間隔は、組み合わせ体85の幅(組み合わせ体85の軸方向の長さ)よりも十分に広い。しかし、組み合わせ体85が2つのドラム31の間の場所に到着した後、左右のドラム31の間隔が狭まることにより、左右のドラム31が組み合わせ体85を保持する。
【0111】
詳細には、組み合わせ体85が2つのドラム31の間の場所に到着した時、左右のヘッドストック32は待機位置にある。そのため、この時、左右のヘッドストック32は十分に離れており、
図22に示すように左右のドラム31も十分に離れている。この時、左右のドラム31の間の場所に到着した組み合わせ体85は、左右のドラム31に接触しない。また、この時、ドラム31は回転軸36上の基本位置にある。
【0112】
組み合わせ体85が2つのドラム31の間の場所に到着し停止した後、
図16(a)に白抜きの矢印Kで示すように、左右のヘッドストック32がそれぞれ左右方向中央側へ移動し、保持位置において停止する。これにより、左右のドラム31の間隔が狭まり、
図23に示すように、それぞれのドラム31のリム形状部材55に組み合わせ体85のビード形状部分1cが嵌まる。
【0113】
より詳細には、左右のドラム31の間隔が狭まり始める前、組み合わせ体85の左右のビード形状部分1cは
図21に破線で示すように左右に広がっている。しかし、ヘッドストック32の移動により左右のドラム31の間隔がある程度狭まると、左右のリム形状部材55の円筒状部分62がそれぞれ組み合わせ体85の左右のビード形状部分1cの内径側に嵌まる。円筒状部分62がビード形状部分1cに嵌まった後も、ヘッドストック32の移動に伴い左右のドラム31の間隔が狭まり続け、左右のビード形状部分1cがそれぞれリム形状部材55の壁60から押され、左右のビード形状部分1cの間隔が狭まっていく。そして、左右のドラム31の間隔が所定間隔まで狭まった時に、ヘッドストック32の移動が一旦停止する。
図23はこの一旦停止したときの様子を示す図である。
【0114】
ヘッドストック32の移動が一旦停止した後、それまで開放位置にあった押さえ部材56が、
図23における下方に矢印Lで示すように押圧位置に変位し、リム形状部材55に嵌まっている組み合わせ体85のビード形状部分1cをその軸方向内側から押さえる。これにより、組み合わせ体85のビード形状部分1cが、リム形状部材55と押さえ部材56との間でしっかりと固定される。
【0115】
このようにして左右のドラム31が組み合わせ体85を保持することにより、グリーンタイヤ移送装置12からグリーンタイヤ保持装置30への組み合わせ体85の受け渡しが完了する。
【0116】
押さえ部材56がビード形状部分1cを押さえる動作と同時に、又はその前後に、左右の回転軸36が連結装置34で連結される。この連結においては、第1連結部材70の侵入部分70aを第2連結部材71の穴74に押し込むために、左右のヘッドストック32が互いに近付く方向へ移動する。そのため、左右のドラム31の間隔が連結前よりも近付く。押さえ部材56がビード形状部分1cを押さえると共に、左右の回転軸36が連結装置34で連結されたときの様子を
図24に示す。
【0117】
なお、
図17に示すように、2つのドラム31が組み合わせ体85を保持するのと同時に、又はその前後に、シェーピングドラム11が次のカーカスバンド88を保持する。
【0118】
次に、
図18に示すように、グリーンタイヤ保持装置30に保持されている組み合わせ体85の側面に長尺ゴム部材86が巻き付けられる。
【0119】
詳細には、まず、左右の回転軸36が連結装置34で連結された状態のまま、第2移動装置が稼働して、
図25に白抜きの矢印Mで示すように左右のドラム31が互いに離れる方向に移動する。この移動中にインフレートが行われる(すなわち、回転軸36の空気流路を通じて組み合わせ体85の内部に空気が導入される)。
【0120】
インフレート前は、
図26に破線で示すように、組み合わせ体85の側面が立ち上がっていた。しかし、インフレート中に第2移動装置が稼働して左右のドラム31が互いに離れる方向に移動することにより、組み合わせ体85の左右のビード形状部分1cも互いに離れる方向に移動する。その結果、
図26に実線で示すように、組み合わせ体85の側面がやや寝た(回転軸方向に対する傾斜角度が小さくなった)形になる。これにより、組み合わせ体85の側面に長尺ゴム部材86を貼り付けやすくなる。
【0121】
ドラム31が所定位置まで移動すると共に組み合わせ体85の内圧が所定圧力となった後、2つのドラム31が同じ回転数で回転し、それにより組み合わせ体85も回転する。その回転中に、
図18(b)に示すように、長尺ゴム押し出し機13が、組み合わせ体85の側面に向かって長尺ゴム部材86を押し出す。押し出された長尺ゴム部材86は、回転している組み合わせ体85に巻き付けられていく。不図示の圧着部材が、組み合わせ体85に巻き付けられた長尺ゴム部材86を押圧しても良い。
【0122】
長尺ゴム押し出し機13からの長尺ゴム部材86の押し出しが停止し、組み合わせ体85の回転も停止すると、組み合わせ体85の側面に巻き付けられた長尺ゴム部材86からなるサイドウォールの成型が完了する。サイドウォールの成型が完了することにより、未加硫タイヤ87(
図19参照)が完成する。
【0123】
この長尺ゴム部材86の巻き付けと並行して、シェーピングドラム11においてはシェーピングが行われる。そして、所定の時(例えば未加硫タイヤ87が完成する時)までに、
図19に示すようにシェーピングドラム11上で次の組み合わせ体85が完成する。
【0124】
次に、グリーンタイヤ保持装置30からグリーンタイヤ移送装置12への未加硫タイヤ87の受け渡しが行われる。詳細には、
図19に示すように、グリーンタイヤ移送装置12の複数の保持部材22が、グリーンタイヤ保持装置30のドラム31が保持している未加硫タイヤ87を、径方向外側から保持する。次に、回転軸36の空気流路を通じて未加硫タイヤ87の内部の空気が排出され、未加硫タイヤ87の内圧が大気圧に戻る。また、押さえ部材56が開放位置になり未加硫タイヤ87から離れる。次に、左右のドラム31が、連結装置34の操作により分離される。次に、左右のドラム31が互いに離れる方向に移動することにより未加硫タイヤ87を離す。これにより、受け渡しが完了する。
【0125】
次に、
図20に示すように、グリーンタイヤ移送装置12が未加硫タイヤ87を後工程へ搬出する。後工程では、未加硫タイヤ87に対して加硫成型が行われる。
【0126】
未加硫タイヤ87の搬出を終えたグリーンタイヤ移送装置12は、受け渡し場所17へ移動する。そして、受け渡し場所17において、シェーピングドラム11からグリーンタイヤ移送装置12へ、次の組み合わせ体85の受け渡しが行われる。以後、この動作が繰り返されることにより、複数の未加硫タイヤ87が次々と成型される。
【0127】
以上の実施形態の効果を説明する。上記の通り、本実施形態のグリーンタイヤ保持装置30は、左右にそれぞれ設けられグリーンタイヤ1のビード形状部分1cをそれぞれ内径側から保持可能なドラム31と、それらのドラム31を左右方向に移動させる移動装置とを有している。このグリーンタイヤ保持装置30によれば、左右に離れているドラム31の間にグリーンタイヤ1を配置した後、左右のドラム31を接近させることにより、左右のドラム31にグリーンタイヤ1の2つのビード形状部分1cをそれぞれ嵌めることができる。それにより、グリーンタイヤ1を内径側から保持することができる。
【0128】
ここで、グリーンタイヤ1がシェーピングドラム11から取り外されると、左右のビード形状部分1cの間隔が変化してしまい、その変化量は制御できない。そのため、左右のビード形状部分1cを保持する位置が固定されているドラム等では、シェーピングドラム11から取り外された後のグリーンタイヤ1を再度保持することができない。しかし、本実施形態のグリーンタイヤ保持装置30では、中央に置かれたグリーンタイヤ1に対して左右両側からドラム31が接近することにより、左右のビード形状部分1cの間隔が変化していてもグリーンタイヤ1を保持することができる。
【0129】
また、ドラム31が、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cが嵌まるリム形状部材55と、リム形状部材55に嵌まったビード形状部分1cをグリーンタイヤ1の軸方向内側から押さえる押さえ部材56とを有している。そして、押さえ部材56が、リム形状部材55に嵌まったビード形状部分1cを押さえる押圧位置と、リム形状部材55に嵌まったビード形状部分1cを開放する開放位置との間で変位可能である。そのため、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cをしっかりと保持したり、逆にビード形状部分1cを離すことを可能にしたりすることができる。
【0130】
また、リム形状部材55が、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cが嵌まる円筒状部分62と、円筒状部分62の左右方向外側端において円筒状部分62からその径方向外側に突出した壁60とを有している。そのため、ドラム31が左右方向に移動して互いに近付くことによりグリーンタイヤ1のビード形状部分1cが円筒状部分62に嵌まったときに、そのビード形状部分1cを壁60が左右方向中央側に押すことができる。それにより、円筒状部分62に嵌まる前に左右のビード形状部分1cの間隔が広がっていたとしても、その広がりを抑え、左右のビード形状部分1cの間隔を所定距離にすることができる。
【0131】
また、円筒状部分62の左右方向中央側には、壁60から離れるほど縮径するテーパ面62bが形成されている。そのため、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cをリム形状部材55の円筒状部分62に嵌めようとするときに、ビード形状部分1cが円筒状部分62の円筒面62aよりドラム径方向内側にずれたとしても、ビード形状部分1cがテーパ面62bに当たって円筒状部分62に誘導される。それにより、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cを円筒状部分62に嵌めることができる。
【0132】
また、壁60の径方向外側端にもテーパ面60bが形成されているため、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cがテーパ面60bに当たった場合に円筒状部分62に誘導されやすい。そのため、ビード形状部分1cが円筒状部分62に嵌まりやすい。
【0133】
また、グリーンタイヤ保持装置30は、左右のドラム31を連結及び分離するために左右の回転軸36を連結及び分離する連結装置34を有している。そのため、第2移動装置が稼働しない限り、左右のドラム31の間隔をしっかりと固定することができる。しかも、連結装置34は左右のドラム31の間において左右の回転軸36同士を連結するため、例えばヘッドストック32を走行レール33aに対して固定するような場合よりも、左右のドラム31の間隔をしっかりと固定することができる。
【0134】
ここで、連結装置34は、一方のドラム31に対して設けられた突起物70cと、他方のドラム31に対して設けられた溝75とを有しており、突起物70cが溝75に入ることにより左右の回転軸36が連結される。これにより、左右の回転軸36が強固に連結される。
【0135】
また、ドラム31を左右方向に移動させる移動装置として、ドラム31及び回転軸36を一体として左右方向に移動させる第1移動装置35と、回転軸36に対してドラム31を左右方向に移動させる第2移動装置とが設けられている。そのため、左右の回転軸36と一緒に左右のドラム31を移動させることにより左右のドラム31の間隔を変更することに加えて、左右の回転軸36が固定された状態でも左右のドラム31の間隔を変更することができる。そのため、連結装置34により左右の回転軸36が固定されているときでも、左右のドラム31の間隔を変更することができる。
【0136】
また、上記の通り、それぞれ2つのヘッドストック移動部33及びヘッドストック32が、グリーンタイヤ1が移送されて来る移送装置移動部15の左右両側に分離して設けられている。そのため、ドラム31がグリーンタイヤ1を保持する必要のないときは、移送装置移動部15の左右両側において、ヘッドストック32が移送装置移動部15から離れる(退避する)ことができる。この構成により、移送装置移動部15の左右両側の空間をヘッドストック32の退避場所として活用することができる。そのため、2つのヘッドストック32が一体となって移送装置移動部15から離れた場所に退避する場合と比較して、広い退避場所を設ける必要がなく、グリーンタイヤ成型装置10をコンパクト化することができる。
【0137】
また、ドラム31を構成する第1筒部材50に孔50cが形成され、回転軸36のスリット38の場所にあるナット42に溝44が形成され、孔50cと溝44にピン57が通されることにより、ドラム31が回転軸36に取り付けられている。この構成のため、作業者がピン57を抜くことによりドラム31を回転軸36から容易に取り外すことができる。そのため、成型するタイヤサイズを変更するためにドラム31のサイズを変更する必要があるときに、作業者が容易にドラム31を付け換えることができる。
【0138】
また、本実施形態のグリーンタイヤ成型装置10は、シェーピングドラム11とは別に、グリーンタイヤ1を保持するグリーンタイヤ保持装置30を有している。そのため、シェーピングドラム11で完成したグリーンタイヤ1をグリーンタイヤ保持装置30に移すことによりシェーピングドラム11を空けることができ、グリーンタイヤ保持装置30においてサイドウォールの成型を行っている間にシェーピングドラム11において次のグリーンタイヤ1を成型することができる。そのため、グリーンタイヤ1の生産効率が良くなる。
【0139】
また、本実施形態のグリーンタイヤ成型方法は、グリーンタイヤ1をシェーピング位置から離れた場所であるグリーンタイヤ保持位置に移動させるステップと、グリーンタイヤ保持位置においてグリーンタイヤ1を保持するステップとを含んでいる。このようにグリーンタイヤ1をグリーンタイヤ保持位置に移動させることにより、早いタイミングでシェーピング位置を空けることができ、シェーピング位置において次のグリーンタイヤ1の成型を開始することができる。
【0140】
また、本実施形態のグリーンタイヤ成型方法は、左右に分離されたドラム31の間にグリーンタイヤ1を配置するステップと、左右のドラム31を接近させ、左右のドラム31でグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを内径側から保持するステップとを含んでいる。これにより、グリーンタイヤ1を容易にグリーンタイヤ保持装置30で保持することができる。
【0141】
また、本実施形態のグリーンタイヤ成型方法は、左右のドラム31を接近させることによりそれぞれのドラム31が有するリム形状部材55にグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを嵌め、押さえ部材56が開放位置から押圧位置へ変位することによりビード形状部分1cを押さえるステップを含んでいる。これにより、ビード形状部分1cを強固に固定することができる。
【0142】
特に、ドラム31に保持されているグリーンタイヤ1に内圧が付与されるときや、回転軸36に対してドラム31が移動するときに、リム形状部材55に嵌まっているビード形状部分1cを押さえ部材56が押さえることにより、リム形状部材55に対してビード形状部分1cがずれることを防ぐことができる。
【0143】
以上の実施形態に対して様々な変更を行うことができる。以下で説明する変更例のいずれか1つを上記実施形態に適用しても良いし、いずれか2つ以上を組み合わせて上記実施形態に適用しても良い。組み合わせは、技術的に矛盾が生じない範囲で自在に行うことができる。
【0144】
<変更例1>
グリーンタイヤ保持装置30は、サイドウォールの成型以外の目的で使用することもできる。グリーンタイヤ1をシェーピングドラム11から取り外して保持し直す必要がある場面等、様々な場面で使用することができる。
【0145】
例えば、空気入りタイヤの製造において、タイヤサイズ等を識別するために、所定の色の線をグリーンタイヤ1に引く工程がある。通常、この線を引く工程は、シェーピングドラム11上で実施される。線を引いている間、シェーピングドラム11上で次のグリーンタイヤ1を成型することはできない。
【0146】
これに対し、上記実施形態のグリーンタイヤ保持装置30があれば、グリーンタイヤ1をシェーピングドラム11から取り外してグリーンタイヤ保持装置30で保持し直し、グリーンタイヤ保持装置30上でグリーンタイヤ1に線を引くことができる。それにより、グリーンタイヤ1に線を引いている間に、シェーピングドラム11を使用して次のグリーンタイヤ1を成型することができる。そのため、複数のグリーンタイヤ1を効率良く生産することができる。
【0147】
<変更例2>
左右の回転軸36を連結させる連結装置の変更例を
図27及び
図28に示す。
【0148】
変更例の連結装置は、上記実施形態と同様に、左右方向一方の回転軸36の先端(左右方向中央側端)に取り付けられる第1連結部材170と、左右方向他方の回転軸36の先端(左右方向中央側端)に取り付けられる第2連結部材171とからなる。
【0149】
第1連結部材170は、その先端側(左右方向中央側)に侵入部分170aを有している。
図27に示すように、侵入部分170aは、円筒の軸部分170bと、軸部分170bの外周面から径方向外側へ突出した1つの突起物170cとからなる。
【0150】
一方、第2連結部材171は中空の円筒である。第2連結部材171には、外周面から内周面まで貫通し、円筒の先端面173(左右方向中央側の端面)に開口する溝175が形成されている。第2連結部材171をその径方向外側から見たときの溝175の形状は、2つの屈曲部175b、175dを有する鉤状である。
【0151】
詳細には、溝175は、第2連結部材171の先端面173から1つ目の屈曲部175bまで回転軸方向に延びる第1溝部分175aと、1つ目の屈曲部175bから2つ目の屈曲部175dまで第2連結部材171の周方向へ延びる第2溝部分175cと、2つ目の屈曲部175dから先端面173へ向かって回転軸方向に延びる第3溝部分175eとからなる。第3溝部分175eは先端面173まで到達せず閉塞している。
【0152】
第1連結部材170と第2連結部材171は連結させたり分離させたりすることができる。具体的には、まず
図27に矢印Nで示すように、突起物170cが第1溝部分175aを通るように第1連結部材170が第2連結部材171に押し込まれる。次に、
図28に矢印Oで示すように、突起物170cが第2溝部分175cを通るように第1連結部材170が第2連結部材171に対して回される。次に、
図28に矢印Pで示すように、突起物170cが第3溝部分175eに入るように第1連結部材170が第2連結部材171に対して引かれる。これらの操作により、
図28に示すように、突起物170cが第3溝部分175eに入る。
【0153】
突起物170cが第3溝部分175eに入ると、第1連結部材170と第2連結部材171とが引き離す方向に引っ張られても離れなくなる。これにより、第1連結部材170と第2連結部材171が連結される。
【0154】
また、連結するときと逆の操作により、第1連結部材170と第2連結部材171を分離することができる。
【0155】
<変更例3>
押さえ部材56を動作させるために空間58に導入するものは、空気以外の気体であっても良い。また、押さえ部材56を動作させるために空間58に導入するものは、気体以外の流体、例えば油等の液体であっても良い。
【0156】
<変更例4>
変更例のドラム131を
図29に示す。このドラム131は、回転軸136の先端に取り付けられている。ドラム131は、第1シリンダ150と、第2シリンダ151と、ロッド152と、ピストン153と、リム形状部材155と、押さえ部材156とを有している。
【0157】
第1シリンダ150は、回転軸方向から見てドーナツ型であり、回転軸136の先端を囲っている。ドーナツ型の第1シリンダ150の内部において、複数のロッド152が回転軸136を取り囲むように周方向に並んでいる。複数のロッド152の先端に、大きな1つのピストン153が取り付けられている。
【0158】
第2シリンダ151は、第1シリンダ150の先端(左右方向中央側端)に取り付けられた略円筒のシリンダである。第2シリンダ151の内部にピストン153が配置されている。第2シリンダ151の先端に、上記実施形態のリム形状部材55と同じ形状のリム形状部材155が取り付けられている。
【0159】
押さえ部材156は、上記実施形態の押さえ部材56と同じ形状のものである。押さえ部材156は、上記実施形態と同様に、2本のピン67、69を介して第2シリンダ151及びピストン153にそれぞれ取り付けられている。そして、押さえ部材156は、ピストン153の動作に伴い姿勢が変化し、リム形状部材155に嵌まっているグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを押さえたり開放したりする。
【0160】
具体的には、
図29(a)に示すように第1シリンダ150の内部に空気が少ないときは、ロッド152及びピストン153が左右方向外側にあり、押さえ部材156はグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを開放する位置にある。
【0161】
これに対して、第1シリンダ150に空気が供給され始めると、
図29(b)に示すようにロッド152及びピストン153が左右方向中央側へ進出し始め、押さえ部材156がグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを押さえる方向に進出し始める。
【0162】
そして、第1シリンダ150に最大量の空気が供給されると、
図29(c)に示すようにピストン153が第2シリンダ151の先端付近まで進出し、押さえ部材156がグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを押さえる位置に到達する。
【0163】
この変更例のドラム131においても、リム形状部材155にグリーンタイヤ1を保持することができ、そのグリーンタイヤ1のビード形状部分1cを押さえ部材156で押さえることができる。
【0164】
<変更例5>
グリーンタイヤ成型装置10のレイアウトは上記実施形態のものに限定されない。グリーンタイヤ1を保持する装置としてシェーピングドラム11とは別にグリーンタイヤ保持装置30が設けられ、シェーピングドラム11から取り外されたグリーンタイヤ1がグリーンタイヤ保持装置30に保持されるレイアウトであれば良い。
【0165】
<変更例6>
ドラム31及び回転軸36を一体として左右方向に移動させる第1移動装置35は、左右のうちいずれか一方のドラム31にのみ設けられていても良い。いずれか一方のドラム31が第1移動装置35により移動できれば、2つのドラム31の間隔を変更することができ、その変更によりグリーンタイヤ保持装置30でグリーンタイヤ1を保持したり離したりすることができる。
【0166】
<変更例7>
回転軸36に対してドラム31を左右方向に移動させる第2移動装置は、左右のうちいずれか一方のドラム31のみに設けられていても良い。いずれか一方のドラム31が第2移動装置により移動できれば、左右の回転軸36が連結装置34で連結された状態のまま、2つのドラム31の間隔を変更することができる。
【0167】
<変更例8>
この変更例において、
図30に示すように、押さえ部材56が開放位置にあるとき、押さえ部材56の押圧部材63がリム形状部材55の円筒状部分62の外周面(好ましくはテーパ面62b)よりもドラム径方向内側(
図30における下側)にある。
【0168】
押さえ部材56の開放位置がこの位置であることにより、
図30に白抜きの矢印Qで示すように、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cがリム形状部材55に対して左右方向に接近して来たときに、ビード形状部分1cが押さえ部材56に当たることを防ぐことができる。そのため、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cがリム形状部材55にスムーズに嵌まりやすい。
【0169】
特に、押さえ部材56が開放位置にあるとき、押さえ部材56の押圧部材63がリム形状部材55の円筒状部分62のテーパ面62bよりもドラム径方向内側にあることが好ましい。
【0170】
グリーンタイヤ1のビード形状部分1cはリム形状部材55の円筒面62aに嵌まるべきであるが、ビード形状部分1cがリム形状部材55の円筒面62aよりもややドラム径方向内側にずれてリム形状部材55に対して接近して来ることがある。そのようなときに、押さえ部材56がテーパ面62bよりもドラム径方向内側にあれば、ビード形状部分1cが押さえ部材56に邪魔されることなくテーパ面62bに当たり、テーパ面62bに誘導されて円筒面62aに嵌まることができる。
【0171】
<変更例9>
リム形状部材の円筒状部分は、上記実施形態における円筒状部分62のように、グリーンタイヤ1のビード形状部分1cが嵌まることができる円筒状であれば良い。そのため、円筒状部分62に切欠きや凹みがあっても良い。また、円筒状部分は、複数の板状部材が円筒状に並んで形成されていても良い。
【0172】
<変更例10>
グリーンタイヤ保持装置30は、加硫成型後の空気入りタイヤ(加硫済みタイヤ)を保持する装置としても使用することができる。例えば、加硫済みタイヤのトレッドには、スピューと呼ばれる髭状の突出物が多数形成されている。このスピューを除去するトリミングのときに、グリーンタイヤ保持装置30が、グリーンタイヤ1を保持するときと同じ方法にて、加硫済みタイヤを保持することができる。
【0173】
このように、グリーンタイヤ保持装置30は、グリーンタイヤはもちろんのこと加硫済みタイヤも保持できるタイヤ保持装置であると言うことができる。
【符号の説明】
【0174】
1…グリーンタイヤ、1a…トレッド形状部分、1b…サイドウォール形状部分、1c…ビード形状部分、10…グリーンタイヤ成型装置、11…シェーピングドラム、11a…ドラム部分、12…グリーンタイヤ移送装置、13…長尺ゴム押し出し機、14…シェーピングドラム移動部、14a…走行レール、15…移送装置移動部、15a…走行レール、16…サイドウォール成型装置、17…受け渡し場所、20…保持部、21…移動装置、22…保持部材、30…グリーンタイヤ保持装置、31…ドラム、32…ヘッドストック、33…ヘッドストック移動部、33a…走行レール、34…連結装置、35…第1移動装置、36…回転軸、37…モータ、38…スリット、39…タイミングベルト、40…ボールねじ、41…ねじ軸、42…ナット、43…突起、44…溝、50…第1筒部材、50a…円筒部分、50b…フランジ、50c…孔、51…第2筒部材、51a…円筒部分、51b…フランジ、52…第3筒部材、53…第1リング状部材、54…第2リング状部材、55…リム形状部材、56…押さえ部材、57…ピン、58…空間、59…孔、60…壁、60a…垂直面、60b…テーパ面、60c…R面、61…基部、62…円筒状部分、62a…円筒面、62b…テーパ面、63…押圧部材、64…アーム、65…第1屈曲部、66…第2屈曲部、67…ピン、68…アーム取り付け用部材、69…ピン、70…第1連結部材、70a…侵入部分、70b…軸部分、70c…突起物、71…第2連結部材、72…ボルト、73…先端面、74…穴、74b…円形部分、74c…突起形状部分、75…溝、80…ロータリージョイント、81…空気制御部、82…成型制御部、85…組み合わせ体、86…長尺ゴム部材、87…未加硫タイヤ、88…カーカスバンド、131…ドラム、136…回転軸、150…第1シリンダ、151…第2シリンダ、152…ロッド、153…ピストン、155…リム形状部材、156…押さえ部材、170…第1連結部材、170a…侵入部分、170b…軸部分、170c…突起物、171…第2連結部材、173…先端面、175…溝、175a…第1溝部分、175b…屈曲部、175c…第2溝部分、175d…屈曲部、175e…第3溝部分