(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117590
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】医用モニタリングシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20240822BHJP
【FI】
A61B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023762
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 佑也
(72)【発明者】
【氏名】喜多川 文行
(72)【発明者】
【氏名】米川 康弘
(72)【発明者】
【氏名】林 裕樹
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE37
4C117XG05
4C117XG16
4C117XH02
4C117XH15
4C117XJ09
4C117XJ48
(57)【要約】
【課題】消費電力を抑制しつつ、医用テレメーター通信方式のデメリットを補うことができる、医用モニタリングシステムを提供すること。
【解決手段】医用モニタリングシステム10は、医用テレメーター100から医用モニター200への通信は医用テレメーター通信方式で行い、医用モニター200から医用テレメーター100への通信はBLEメッシュ通信方式で行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用テレメーターと、医用モニターとを有する医用モニタリングシステムであって、
前記医用テレメーターから前記医用モニターへの通信は医用テレメーター通信方式で行い、
前記医用モニターから前記医用テレメーターへの通信はBLEメッシュ通信方式で行う、
医用モニタリングシステム。
【請求項2】
前記医用テレメーターは、前記医用テレメーター通信方式によって生体情報又は患者イベント情報を送り、
前記医用モニターは、前記BLEメッシュ通信方式によって前記医用テレメーターの設定情報を送る、
請求項1に記載の医用モニタリングシステム。
【請求項3】
前記医用テレメーターは、前記医用テレメーター通信方式で送れなかった前記生体情報又は患者イベント情報を、BLEメッシュ通信方式を用いて送る、
請求項1に記載の医用モニタリングシステム。
【請求項4】
医用テレメーター通信方式で生体情報又は患者イベント情報を送信する医用テレメーター方式無線送信部と、
BLEメッシュ通信方式で信号を送受信するBLE無線送受信部と、
を備える、医用テレメーター。
【請求項5】
医用テレメーター通信方式で送信された生体情報又は患者イベント情報を受信する医用テレメーター方式無線受信部と、
BLEメッシュ通信方式で信号を送受信するBLE無線送受信部と、
を備える、医用モニター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医用テレメーターと、セントラルモニターなどの医用モニターとを有する医用モニタリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療機関では、「特定小電力無線局」の制度により定められた医用テレメーター通信が用いられている。この医用テレメーター通信については、例えば特許文献1などに記載されている。医用テレメーターでは、限られたチャネルでリアルタイム通信を行うために、一般に単方向通信方式が用いられている。
【0003】
つまり、医用テレメーター通信は、医用テレメーター送信機からセントラルモニター等の受信機に、定められた周波数帯域を使って単方向通信で、患者の波形データや計測値などの生体情報を一方的に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したように、医用テレメーター通信は、医用テレメーター送信機から受信機への単方向通信であるため、例えば、医用テレメーター送信機の設定を変更したい場合には、ユーザーが医用テレメーター送信機を直接手動にて操作する必要がある。さらに、単方向通信であるが故の様々なデメリットが報告されている。
【0006】
一方で、医用テレメーターに例えば無線LAN通信を適用することで、医用テレメーター通信を双方向化する提案がなされている。
【0007】
ところが、医用テレメーター通信に、無線LANのようなネットワーク通信を採用すると、単方向の医用テレメーター通信と比較して、テレメーター送信機での消費電力が増大し、テレメーター送信機のバッテリーの充電頻度又は電池交換頻度が多くなるといったデメリットがある。
【0008】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、消費電力を抑制しつつ、医用テレメーター通信方式のデメリットを補うことができる、医用モニタリングシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の医用モニタリングシステムの一つの態様は、
医用テレメーターと、医用モニターとを有する医用モニタリングシステムであって、
前記医用テレメーターから前記医用モニターへの通信は医用テレメーター通信方式で行い、
前記医用モニターから前記医用テレメーターへの通信はBLEメッシュ通信方式で行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、消費電力を抑制しつつ、医用テレメーター通信方式のデメリットを補うことができる、医用モニタリングシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態の医用モニタリングシステムを示す概略図
【
図2】医用テレメーター及び医用モニターの要部構成を示すブロック図
【
図3】医用モニターから医用テレメーターへのBLEメッシュ通信方式での送信の様子を示した図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態の医用モニタリングシステム10を示す概略図である。
【0014】
医用モニタリングシステム10は、医用テレメーター100と、医用モニター200と、中継器300と、を有する。
【0015】
本明細書における医用テレメーター100とは、患者の生体情報又は患者イベント情報を取得して、それを医用テレメーター通信方式で送信する装置である。また、医用モニター200とは、医用テレメーター100からの情報を収集する装置である。例えば、医用モニター200はセントラルモニターである。また、例えば医用モニター200は看護師が携帯しているタブレット端末であってもよい。さらに、医用モニター200はベッドサイドモニターであってもよい。なお、ベッドサイドモニターは、患者の生体情報又は患者イベント情報を取得することもできるので、医用テレメーター100にもなり得る。
【0016】
医用モニタリングシステム10は、医用テレメーター100から医用モニター200への通信を医用テレメーター通信方式で行い、医用モニター200から医用テレメーター100への通信をBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)メッシュ通信方式で行うようになっている。また、本実施の形態では、医用テレメーター100から医用モニター200への通信は、医用テレメーター通信方式に加えて、BLEメッシュ通信方式でも行うことができるようになっている。
【0017】
図中の符号A1は医用テレメーター通信方式による電波を示しており、図中の符号B1、B2はBLEメッシュ通信方式による電波を示している。
【0018】
図2は、医用テレメーター100及び医用モニター200の要部構成を示すブロック図である。
【0019】
医用テレメーター100は、患者に装着された、心電図測定用電極、SpO2測定用プローブ及び血圧計等からなるセンサー群101により得られた生体情報を入力する。医用テレメーター100は、例えば、患者に装着された携帯型のテレメーターである。
【0020】
医用テレメーター100は、無線周波数の設定操作等を行うための操作部102、アラーム表示等を行う表示部103、生体情報を医用テレメーター通信方式で無線送信するテレメーター方式無線送信部104、制御部105及びバッテリー106を有する。
【0021】
この構成により医用テレメーター100は、センサー群101により得られた生体情報を無線送信できるようになっている。
【0022】
かかる構成に加えて、本実施の形態の医用テレメーター100は、BLE無線送受信部110を有する。BLE無線送受信部110は、BLEメッシュ通信方式での送受信を行うことが可能な構成とされている。なお、BLEメッシュ通信方式自体は既知の技術であり、それを実現する無線送受信部も既知の構成なので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0023】
医用モニター200は、テレメーター方式無線受信部201、BLE無線送受信部202、制御部203、表示部204、記憶部205、操作部206及びアラームインジケーター207を有する。
【0024】
医用モニター200は、医用テレメーター100のテレメーター方式無線送信部104から送信された生体情報又は患者イベント情報を受信する。医用モニター200は、受信した生体情報又は患者イベント情報を表示部204に表示するとともに記憶部205に記憶する。また、医用モニター200は、受信した生体情報を制御部203において閾値判定し、判定結果に応じてアラームインジケーター207からアラームを出力する。
【0025】
加えて、医用モニター200は、ユーザーによって操作部206から医用テレメーター100の使用周波数などの設定情報が入力されると、この設定情報をBLE無線送受信部202を介してBLEメッシュ通信方式で送信する。
【0026】
図3は、医用モニター200から医用テレメーター100(100-1~100-3)へのBLEメッシュ通信方式での送信の様子を示した図である。BLEメッシュ通信は、BLE通信での通信距離が短いといった弱点を、中継局300を介在させることで補う。
【0027】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
【0028】
医用テレメーター100は、医用テレメーター通信方式によって生体情報又は患者イベント情報を医用モニター200に送る。医用モニター200は、BLEメッシュ通信方式によって医用テレメーターの設定データを送る。
【0029】
また、医用テレメーター100は、医用テレメーター通信方式で送れなかった生体情報又は患者イベント情報を、BLEメッシュ通信方式を用いて医用モニター200に送る。
【0030】
ここで、医用テレメーター通信方式は、リアルタイム性は高いが確実性は低いといった特徴がある。一方、BLEメッシュ通信方式は、リアルライム性は低いが確実性は高いといった特徴がある。
【0031】
本実施の形態では、この特徴に着目して、リアルタイム性が要求される生体情報及び患者イベント情報は、医用テレメーター通信方式により送信し、確実性が要求される設定情報をBLEメッシュ通信方式により送信するようなっている。また、医用テレメーター通信方式で伝送することができなかった生体情報及び患者イベント情報を、BLEメッシュ通信方式により再送するようなっている。
【0032】
以上説明したように、本実施の形態によれば、医用テレメーター100と医用モニター200との間の通信を、医用テレメーター通信方式とBLEメッシュ通信方式を用いて行うようにしたことにより、消費電力を抑制しつつ、医用テレメーター通信方式のデメリットを補うことができる、医用モニタリングシステム10を実現できる。
【0033】
本実施の形態の医用モニタリングシステム10は、生体情報を医用テレメーター通信方式による単方向通信で送りつつ、医用テレメーター通信方式のデメリットを補うことができる。
【0034】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本開示の医用モニタリングシステムは、医用テレメーターと医用モニターとを有する医用モニタリングシステムに有用である。
【符号の説明】
【0036】
10 医用モニタリングシステム
100 医用テレメーター
101 センサー群
102、206 操作部
103、204 表示部
104 テレメーター方式無線送信部
105、203 制御部
110、202 BLE無線送受信部
200 医用モニター
201 テレメーター方式無線受信部
205 記憶部
207 アラームインジケーター