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特開2024-117603雨水貯留構造、雨水貯留部材用補強部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117603
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】雨水貯留構造、雨水貯留部材用補強部材
(51)【国際特許分類】
   E03F 1/00 20060101AFI20240822BHJP
   E03B 3/02 20060101ALI20240822BHJP
   E03B 3/03 20060101ALI20240822BHJP
   E03B 11/14 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
E03F1/00 Z
E03B3/02 Z
E03B3/03 B
E03B11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023783
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】316001674
【氏名又は名称】センクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156410
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 輝和
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 将希
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀宣
(72)【発明者】
【氏名】山口 大希
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063AA01
(57)【要約】
【課題】 効率の良い雨水貯留槽を構成することが可能な雨水貯留構造等を提供する。
【解決手段】 雨水貯留構造1は、雨水貯留部材3と補強部材9から構成される。雨水貯留部材3は、基板5と、基板5に起立する柱部7とを有する。雨水貯留部材3の積層部において、柱部7同士の突き合わせ部に補強部材9が挟み込まれる。補強部材9は、板状であって、四か所の嵌合部15同士が連結部17で連結される。嵌合部15は、雨水貯留部材3の柱部7に対応する部位に設けられ、連結部17は略矩形に設けられる。すなわち、補強部材9は、それぞれの柱部7と嵌合する複数の嵌合部15と、嵌合部15同士を連結する連結部17とからなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の雨水貯留部材が積層されて構成される雨水貯留構造であって、
前記雨水貯留部材は、基板と、前記基板に起立する柱部とを有し、
前記柱部の先端同士が対向して配置され、
前記柱部同士の対向部において、座屈を抑制可能な補強部材が前記柱部に固定されて、前記雨水貯留部材が積み上げられることを特徴とする雨水貯留構造。
【請求項2】
前記補強部材は筒状であり、
前記補強部材の両側から前記雨水貯留部材の前記柱部がそれぞれ挿入されて前記柱部同士が連結され、
前記補強部材は前記柱部同士の対向部を外周側から覆うように配置されることを特徴とする請求項1記載の雨水貯留構造。
【請求項3】
前記雨水貯留部材は、前記基板に対して複数の前記柱部を有し、
前記補強部材は、それぞれの前記柱部と嵌合可能な複数の嵌合部と、前記嵌合部同士を連結する連結部と、を有し、
前記補強部材が、それぞれの前記柱部同士の対向部に挟み込まれて前記嵌合部で嵌合するとともに、隣り合う前記柱部同士の対向部を連結可能であることを特徴とする請求項1記載の雨水貯留構造。
【請求項4】
前記雨水貯留部材は、前記基板に対して複数の前記柱部を有し、
前記補強部材は、複数の前記柱部同士の対向部を一括して外周側から覆うように配置されることを特徴とする請求項1記載の雨水貯留構造。
【請求項5】
前記雨水貯留部材と前記補強部材は異なる材質で構成され、前記補強部材の材質が前記雨水貯留部材の材質に対して剛性が高いことを特徴とする請求項1記載の雨水貯留構造。
【請求項6】
前記補強部材の肉厚が、前記雨水貯留部材の前記柱部の肉厚よりも薄いことを特徴とする請求項5記載の雨水貯留構造。
【請求項7】
雨水貯留部材同士の積層部における補強部材であって、
雨水貯留部材の柱部と嵌合する複数の嵌合部と、前記嵌合部同士を連結する連結部と、を有することを特徴とする雨水貯留部材用補強部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下に雨水を貯留するための雨水貯留槽に用いられる雨水貯留部材及びこれに用いられる雨水貯留部材用補強部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、突発的な豪雨などに対して、水害を防ぐため、一時的に地下に雨水等を貯留する雨水等の貯留槽が用いられる。雨水貯留槽によれば、貯留した雨水を序々に地層中へ浸透させたり、一旦、貯留した多量の雨水を十分な時間をかけて河川等へ放流したり、貯留した雨水を汲み上げて防火水等として使用することができる。このような雨水貯留槽は、複数の雨水貯留構造によって構成される。雨水貯留構造は上方の土被りと、上方を通行する人や車両の荷重を支持する必要がある。このため、雨水貯留構造は、上方からの荷重を支持することが可能な複数の雨水貯留部材が積み上げられて形成される。
【0003】
このような、雨水貯留部材としては、一般的に、平板状の基板部と、基板部に起立する複数の柱体から構成される。この際、製造コストや取り扱い性を考慮して、基板部と柱体とは、樹脂等で一体成型され、複数の雨水貯留部材同士の柱体同士を突き合わせて積み上げることで、所定の高さ(深さ)の雨水貯留構造を形成することができる(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-052349号公報
【特許文献2】特開2010-209604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、柱体同士の先端は、通常、凹凸部等で嵌め合わせているのみである。また、雨水貯留部材は、樹脂で一体成型されるため、製造時の金型からの抜き勾配や、運搬や保管時の効率のために、柱体は先端に行くにつれて径が細くなるテーパ形状となる場合が多い。このため、雨水貯留部材には鉛直方向からの荷重がかかると、柱体同士の突き合わせ部が変形し、座屈破壊が発生するおそれがある。
【0006】
これに対し、柱体の肉厚を厚くする方法もあるが、柱体の全体の肉厚を厚くしたのでは、雨水貯留槽の空間率(すなわち、雨水等の貯留可能能力)が低下する。また、柱体の一部のみを厚くしようとすると、成型加工上、急激な肉厚変化部は、製品にヒケや反り発生のリスクがあり、厚肉部から薄肉部にする時は厚さを徐々に薄くする必要がある。このため、柱体の一部のみの肉厚を厚くすることは困難であった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、効率の良い雨水貯留槽を構成することが可能な雨水貯留構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、複数の雨水貯留部材が積層されて構成される雨水貯留構造であって、前記雨水貯留部材は、基板と、前記基板に起立する柱部とを有し、前記柱部の先端同士が対向して配置され、前記柱部同士の対向部において、座屈を抑制可能な補強部材が前記柱部に固定されて、前記雨水貯留部材が積み上げられることを特徴とする雨水貯留構造である。
【0009】
前記補強部材は筒状であり、前記補強部材の両側から前記雨水貯留部材の前記柱部がそれぞれ挿入されて前記柱部同士が連結され、前記補強部材は前記柱部同士の対向部を外周側から覆うように配置されてもよい。
【0010】
前記雨水貯留部材は、前記基板に対して複数の前記柱部を有し、前記補強部材は、それぞれの前記柱部と嵌合可能な複数の嵌合部と、前記嵌合部同士を連結する連結部と、を有し、前記補強部材が、それぞれの前記柱部同士の対向部に挟み込まれて前記嵌合部で嵌合するとともに、隣り合う前記柱部同士の対向部を連結可能であってもよい。
【0011】
前記雨水貯留部材は、前記基板に対して複数の前記柱部を有し、前記補強部材は、複数の前記柱部同士の対向部を一括して外周側から覆うように配置されてもよい。
【0012】
前記雨水貯留部材と前記補強部材は異なる材質で構成され、前記補強部材の材質が前記雨水貯留部材の材質に対して剛性が高くてもよい。
【0013】
前記補強部材の肉厚が、前記雨水貯留部材の前記柱部の肉厚よりも薄くてもよい。
【0014】
第1の発明によれば、柱体同士の対向部に座屈を防止可能な補強部材を別途設けることで、特に座屈の恐れの高い柱体の対向部を効率よく補強することができる。
【0015】
補強部材としては、柱体の先端を両端から挿入可能な筒状体とすることで、従来の雨水貯留部材を用いて、より高い強度を確保することができる。
【0016】
また、補強部材として、柱体の先端と嵌合可能な複数の嵌合部同士を連結部で連結することで、柱体の対向部同士を互いに拘束して、座屈の発生を抑制することができる。
【0017】
また、補強部材として、複数の柱部を一括して外周側から覆うように配置しても、柱体同士が外方に座屈することを抑制することができる。
【0018】
なお、この場合には、柱体同士が内側に倒れこむことは抑制できないが、柱体の外側への座屈よりも、内側への座屈をしにくくしておくことで、対応可能である。例えば、柱体の内側のみ肉厚を厚くしておいてもよい。また、柱体の内側のテーパ角度を大きく(基板に対して垂直からの角度を大きく)して、外側のテーパ角度を小さく(基板に対して垂直に近く)することで、内側への座屈が抑制される。このようにして、さらに補強部材を用いることで、柱体同士の接合部における座屈を抑制することができる。
【0019】
また、補強部材と雨水貯留部材とを別体で構成することで、異なる材質で構成することができる。このため、例え補強部材の材質を雨水貯留部材の材質に対して高い剛性とすることで、補強部材の肉厚を薄肉化することができる。このため、雨水貯留構造の雨水貯留能力の低下を最小限とすることができる。
【0020】
第2の発明は、雨水貯留部材同士の積層部における補強部材であって、雨水貯留部材の柱部と嵌合する複数の嵌合部と、前記嵌合部同士を連結する連結部と、を有することを特徴とする雨水貯留部材用補強部材である。
【0021】
第2の発明によれば、複数の柱体を連結することが可能であるため、柱体同士が拘束され、効率よく柱体同士の接続部の座屈を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、効率の良い雨水貯留槽を構成することが可能な雨水貯留構造等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(a)は、雨水貯留構造1の分解斜視図、(b)は、雨水貯留構造1の組立斜視図。
図2】(a)は、雨水貯留構造1の断面図、(b)は、(a)のA部拡大図。
図3】(a)は、雨水貯留部材3の平面図、(b)は、補強部材9の平面図。
図4】(a)は、雨水貯留構造1aの分解斜視図、(b)は、雨水貯留構造1aの組立斜視図。
図5】補強部材9aの平面図。
図6】(a)は、雨水貯留構造1bの分解斜視図、(b)は、雨水貯留構造1bの組立斜視図。
図7】(a)は、雨水貯留構造1bの断面図、(b)は、(a)のB部拡大図。
図8】雨水貯留構造1cの組立斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態にかかる雨水貯留構造について説明する。図1(a)は、雨水貯留構造1を示す分解斜視図であり、図1(b)は雨水貯留構造1を示す組立斜視図である。また、図2(a)は、雨水貯留構造1の断面図であり、図2(b)は、図2(a)のA部拡大図である。雨水貯留構造1は、雨水貯留部材3と補強部材9から構成される。
【0025】
雨水貯留構造1は、複数の雨水貯留部材3が積層されて構成され、平面視において、縦横に複数の雨水貯留構造1が配置されることで、地下に雨水を貯留する所定の空間を形成することが可能である。
【0026】
雨水貯留部材3は、基板5と、基板5に起立する柱部7とを有する。基板5は、板状の部材である。なお、基板5には、四本の柱部7が設けられる例を示すが、一つの基板5に対して複数の柱部7が設けられればよく、二本以上の複数本であれば本数は限定されない。
【0027】
図3(a)は、雨水貯留部材3の平面図である。基板5には、柱部7が起立する。柱部7は、例えば先端に行くにつれて径が細くなるように形成される。このようにすることで、雨水貯留部材3同士(柱部7同士)を同一方向に向けて重ねることが可能となる。
【0028】
なお、図示した例では柱部7が矩形であるが、円形であってもよく、他の多角形であってもよい。柱部7の頂部には、複数の凸部11と凹部13が設けられる。雨水貯留部材3の柱部7同士を突き合わせるようにして、一対の雨水貯留部材3を対向配置して、互いの凸部11と凹部13とを嵌合させることで、雨水貯留部材3同士を積層して連結することができる。
【0029】
なお、基板5は、平坦な板状に図示しているが、例えば、雨水が流下することが可能な複数の孔や、強度向上のためのリブ等が配置される。なお、このような複雑な形状であっても、雨水貯留部材3は、例えばポリオレフィン系の樹脂による射出成型等で容易に製造することができる。このように、雨水貯留部材3は、従来公知のものを流用することができる。
【0030】
本実施形態では、雨水貯留部材3の積層部において、柱部7同士の突き合わせ部に補強部材9が挟み込まれる。図3(b)は、補強部材9の平面図である。補強部材9は板状であって、互いに隣り合う嵌合部15同士が連結部17で連結される。嵌合部15は、雨水貯留部材3の柱部7に対応する部位に設けられ、連結部17は略矩形に設けられる。すなわち、補強部材9は、それぞれの柱部7と嵌合する複数の嵌合部15と、嵌合部15同士を連結する連結部17とからなる。
【0031】
嵌合部15は、柱部7の頂部の凸部11が挿入される孔を有する。すなわち、一方の雨水貯留部材3の凸部11が、補強部材9の嵌合部15を貫通して他方の雨水貯留部材3の凹部13に嵌合する。
【0032】
なお、柱部7同士の嵌合構造は、図示したような凸部11と凹部13によるものには限られない。柱部7の頂部同士を突き合わせて積層させた際に、ずれ止めの機能を有すれば、その形態は特に限定されない。また、嵌合部15は、柱部7の嵌合構造に応じた形態であればよく、図示したような孔ではなく、柱部7の頂部形状に対応した凹凸形状を形成してもよい。また、柱部7の先端同士は必ずしも接触して嵌合しなくてもよい。例えば、補強部材9が十分に厚い場合には、柱部7の凸部11を、嵌合部15に嵌合させ、柱部7同士の間に隙間があってもよい。
【0033】
図3(a)に示すように、柱部7の先端同士を突き合わせて雨水貯留部材3が積み上げられた際に、柱部7同士の突き合せ部に補強部材9を挟み込んで柱部7に固定されることで、四本の柱部7の突き合わせ部同士が連結されて拘束される。
【0034】
前述したように、柱部7は先端に行くにつれて細くなるため、柱部7同士の突き合せ部は、鉛直方向の荷重によって、最も座屈しやすい部位となる。これに対し、補強部材9は、柱部7同士の突き合わせ部を連結するため、柱部7の突き合せ部が他の突き合せ部によって拘束され、座屈を抑制することができる。特に、柱部7の突き合わせ部は、凸部11と凹部13との嵌合のみであるため、荷重によって変形しやすいが、補強部材9によって変形が抑制され、より高い強度を得ることができる。
【0035】
なお、補強部材9と雨水貯留部材3とは異なる材質で構成され、補強部材9の材質が雨水貯留部材3の材質に対して剛性が高いことが望ましい。前述したように、雨水貯留部材3は例えば樹脂製であり、補強部材9は例えば鋼製やステンレス製などの金属製であることが望ましい。
【0036】
また、図2(b)に示すように、補強部材9の肉厚T2は、雨水貯留部材3の柱部7の肉厚T1よりも薄いことが望ましい。補強部材9を高強度な材質で構成することで、薄肉にすることができる。このため、補強部材9による雨水貯留槽の空間率の低下を最小限にすることができる。また、補強部材9によって柱部7を補強することができるため、柱部7の肉厚を薄くすることもできる。このようにすることで、雨水貯留槽の空間率を増加することもできる。
【0037】
第1の実施形態によれば、一対の雨水貯留部材3の柱部7の先端が互いに対向配置されて積層される雨水貯留構造1において、補強部材9が、それぞれの柱部7同士の対向部に挟み込まれて嵌合部15で嵌合するとともに、隣り合う柱部7同士の対向部を連結可能である。このため、柱部7の対向部を補強部材9によって補強することができ、柱部7の変形や座屈等の発生を抑制することができる。
【0038】
また、補強部材9は、柱部7の嵌合構造に挟み込むだけであるため、嵌合構造のみ対応させれば、既存の雨水貯留部材3に対しても適用可能である。この際、補強部材9は、板部材から構成されるため、製造も容易である。
【0039】
また、補強部材9を用いることで、柱部7を薄肉化することもできる。このようにすることで、雨水貯留槽の空間率を増加させることもできる。また、雨水貯留構造1の強度が向上するため、より浅層埋設が可能となる。このため、掘削及び埋め戻し作業を低減することができる。
【0040】
次に、第2の実施形態について説明する。図4(a)は、雨水貯留構造1aを示す分解斜視図であり、図4(b)は雨水貯留構造1aを示す組立斜視図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成については図1図3と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0041】
雨水貯留構造1aは、雨水貯留構造1と略同様の構成であるが、補強部材9aが用いられる点で異なる。補強部材9aは、補強部材9と同様に、一対の雨水貯留部材3の柱部7同士の突き合わせ部に挟み込まれて使用される。
【0042】
図5は、補強部材9aの平面図である。補強部材9aは、柱部7に対応する部位に嵌合部15が形成され、互いに対角位置に配置される嵌合部15同士が連結部17で連結される。すなわち、補強部材9は、四ケ所の嵌合部15と、これらを連結する連結部17によって、略矩形に形成されるが、補強部材9aでは、四ケ所の嵌合部15と、これらを斜めに連結する連結部17によって略X字状に形成される。
【0043】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。このように、連結部17の配置は特に限定されず、柱部7同士を連結することができればその形態は特に限定されない。
【0044】
次に、第3の実施形態について説明する。図6(a)は、雨水貯留構造1bを示す分解斜視図であり、図6(b)は雨水貯留構造1bを示す組立斜視図である。また、図7(a)は、雨水貯留構造1bを示す断面図であり、図7(b)は、図7(a)のB部拡大図である。
【0045】
雨水貯留構造1bは、雨水貯留構造1と略同様の構成であるが、補強部材9bが用いられる点で異なる。補強部材9bには、一対の雨水貯留部材3の柱部7同士の突き合わせ部が挿入されて使用される。なお、図示した例では柱部7は円形であるため、補強部材9は円筒形状であるが、柱部7は多角形であってもよく、この場合には、補強部材9bは、柱部7に対応した形状の筒状で形成される。
【0046】
図7(b)に示すように、本実施形態では、柱部7の先端に縮径部7aが形成される。前述したように、柱部7は、先端に行くにつれて径が細くなるテーパ形状であるが、縮径部7aは、ほぼ同一径(金型の抜き勾配程度のテーパ)で形成される。補強部材9bの内径は、縮径部7aの外径に対応した径であり、補強部材9bの両側からそれぞれ雨水貯留部材3の柱部7(縮径部7a)が挿入されて柱部7同士が連結される。すなわち、補強部材9bは柱部7同士の突き合せ部を外周側から覆うように配置される。
【0047】
ここで、前述した補強部材9、9aと同様に、補強部材9bと雨水貯留部材3とは異なる材質で構成され、補強部材9bの材質が雨水貯留部材3の材質に対して剛性が高いことが望ましい。また、図7(b)に示すように、補強部材9bの肉厚T4は、雨水貯留部材3の柱部7の肉厚T3よりも薄いことが望ましい。補強部材9bを高強度な材質で構成することで、薄肉でも十分な強度を確保することができ、特に強度的に弱い柱部7の先端部近傍を効率よく補強することができる。
【0048】
第3の実施形態によれば、第1の実施形態等と同様に、効率よく雨水貯留部材3同士の突き合わせ部を補強することができる。また、補強部材9bの両側から柱部7を挿入することで、柱部7同士のずれ止め機能も発揮することができる。
【0049】
なお、補強部材9bは、柱部7が一本の雨水貯留部材に対しても適用可能である。すなわち、補強部材9bは、柱部7が複数ない場合にも適用可能である。
【0050】
次に、第4の実施形態について説明する。図8は、雨水貯留構造1cを示す図である。雨水貯留構造1cでは、補強部材9cが用いられる。雨水貯留部材3は、基板5に対して複数の柱部7を有し、補強部材9cは、複数の柱部7同士の突き合せ部を一括して外周側から覆うように配置される。
【0051】
補強部材9cは、複数の柱部7を一括して外周から拘束するため、柱部7が、雨水貯留部材3の外側に向けて変形や座屈することを抑制することができる。一方、柱部7の内側には補強部材9cは配置されないため、内側へ向けた変形の恐れがある。
【0052】
このため、例えば、柱部7の肉厚を、内側(雨水貯留部材3の中心側)を厚めにして外側(雨水貯留部材3の外側)を薄くすることで、柱部7の内側への変形を抑制しつつ、柱部7全体として肉厚(平均肉厚)を薄くすることができる。
【0053】
また、柱部7のテーパ形状を、内側(雨水貯留部材3の中心側)を大きくして外側(雨水貯留部材3の外側)を小さくすることで、柱部7の先端部の中心位置を、基板5側の中心位置よりも外側にずらすことができる。このため、柱部7の内側への変形を抑制しつつ、補強部材9cによって柱部7の座屈等を抑制することができる。
【0054】
第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に効率よく雨水補強構造を補強することができる。
【0055】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば、各実施形態の構成は、互いに組み合わせてもよい。例えば、複数の補強部材9bを互いに連結部で連結して使用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1、1a、1b、1c………雨水貯留構造
3………雨水貯留部材
5………基板
7………柱部
7a………縮径部
9、9a、9b、9c………補強部材
11………凸部
13………凹部
15………嵌合部
17………連結部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8