(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117604
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】情報処理装置、金融取引システム、金融取引認証方法及び金融取引認証プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/40 20120101AFI20240822BHJP
【FI】
G06Q20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023784
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 さぎり
(72)【発明者】
【氏名】三本木 大樹
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA73
5L055AA73
(57)【要約】
【課題】災害時でも、出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出すことができる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出す際に、当該口座の利用者を本人認証する。情報処理装置は、記憶部と、判定部と、認証部とを有する。記憶部は、通常取引の成立時に得た前記利用者の口座を識別する口座番号及び第1の顔画像を事前に記憶する。判定部は、前記出金装置から災害時取引要求時に撮像された前記利用者の第2の顔画像を受信した場合に、当該利用者の第2の顔画像と、前記記憶部に記憶済みの前記第1の顔画像とが同一人物であるか否かを判定する。認証部は、前記第1の顔画像と前記第2の顔画像とが同一人物の場合に、同一人物と判定された当該第1の顔画像に対応する口座番号の前記災害時取引要求の利用者を本人認証する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出す際に、当該口座の利用者を本人認証する情報処理装置であって、
通常取引の成立時に得た前記利用者の口座を識別する口座番号及び第1の顔画像を事前に記憶した記憶部と、
前記出金装置から災害時取引要求時に撮像された前記利用者の第2の顔画像を受信した場合に、当該利用者の第2の顔画像と、前記記憶部に記憶済みの前記第1の顔画像とが同一人物であるか否かを判定する判定部と、
前記第1の顔画像と前記第2の顔画像とが同一人物の場合に、同一人物と判定された当該第1の顔画像に対応する口座番号の前記災害時取引要求の利用者を本人認証する認証部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
同一利用者の複数回の通常取引成立時に順次得た同一利用者の複数の前記第1の顔画像を記憶しておき、
前記判定部は、
前記災害時取引要求時に撮像された前記利用者の第2の顔画像を受信した場合に、当該第2の顔画像と、前記記憶部に記憶済みの同一利用者の複数の第1の顔画像とが同一人物であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記記憶部に記憶済みの同一利用者の複数の第1の顔画像と前記第2の顔画像とが所定の割合で同一人物であるか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記通常取引成立時に得た前記利用者の口座番号及び前記第1の顔画像の他に、当該利用者を識別する第1の識別情報を事前に記憶しておき、
前記判定部は、
前記出金装置から災害時取引要求時に撮像された前記利用者の第2の顔画像及び前記出金装置から当該災害時取引要求時に入力された前記利用者の第2の識別情報を受信した場合に、当該第2の識別情報に一致する前記第1の識別情報が前記記憶部内にあるか否かを判定する第1の判定部と、
前記第1の判定部にて前記第2の識別情報と前記第1の識別情報とが一致した場合に、前記記憶部内の前記第2の識別情報に一致した前記第1の識別情報に対応する前記利用者の第1の顔画像と、前記第2の顔画像とが同一人物であるか否かを判定する第2の判定部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
口座番号の利用者を本人認証する情報処理装置と、前記情報処理装置にて利用者を本人認証した場合に当該利用者の口座番号から残高を引き出す出金装置と、を有する金融取引システムであって、
前記出金装置は、
通常取引時又は災害時取引要求時に利用者の顔画像を撮像する撮像部と、
前記通常取引成立時の当該利用者の口座番号及び顔画像を前記情報処理装置に通知すると共に、前記災害時取引要求時に撮像した利用者の顔画像を通知する通知部と、
を有し、
前記情報処理装置は、
前記出金装置から受信した前記通常取引成立時の前記利用者の口座番号及び顔画像を記憶した記憶部と、
前記出金装置から前記災害時取引要求時に前記利用者の顔画像を受信した場合に、当該災害時取引要求時の利用者の顔画像と、前記記憶部に記憶済みの顔画像とが一致するか否かを判定する判定部と、
前記災害時取引要求時の利用者の顔画像と記憶済みの顔画像とが一致する場合に、一致する当該顔画像に対応する口座番号の利用者を本人認証する認証部と、
を有することを特徴とする金融取引システム。
【請求項6】
出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出す際に、当該口座の利用者を本人認証する情報処理装置が、
通常取引の成立時に得た前記利用者の口座を識別する口座番号及び第1の顔画像を事前に記憶部に記憶し、
前記出金装置から災害時取引要求時に撮像された前記利用者の第2の顔画像を受信した場合に、当該利用者の第2の顔画像と、前記記憶部に記憶済みの前記第1の顔画像とが同一人物であるか否かを判定し、
前記第1の顔画像と前記第2の顔画像とが同一人物の場合に、同一人物と判定された当該第1の顔画像に対応する口座番号の前記災害時取引要求の利用者を本人認証する
処理を実行することを特徴とする金融取引認証方法。
【請求項7】
出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出す際に、当該口座の利用者を本人認証する情報処理装置のプロセッサに、
通常取引の成立時に得た前記利用者の口座を識別する口座番号及び第1の顔画像を事前に記憶部に記憶し、
前記出金装置から災害時取引要求時に撮像された前記利用者の第2の顔画像を受信した場合に、当該利用者の第2の顔画像と、前記記憶部に記憶済みの前記第1の顔画像とが同一人物であるか否かを判定し、
前記第1の顔画像と前記第2の顔画像とが同一人物の場合に、同一人物と判定された当該第1の顔画像に対応する口座番号の前記災害時取引要求の利用者を本人認証する
各処理を実行させることを特徴とする金融取引認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、金融取引システム、金融取引認証方法及び金融取引認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関のATM(Automatic Teller Machine)は、金融機関の店舗に限らず、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗、駅、無人店舗等の各所に配置されている。ATMでは、例えば、キャッシュカードや通帳によって利用者の口座を確認し、暗証番号の入力により、利用者を本人認証し、認証結果に基づき、当該口座から現金出金等の取引可否を判定するのが一般的である。
【0003】
また、大規模災害時の金融庁や日本銀行から被災地金融機関への要請に基づく特別措置では、例えば、カードや通帳等がなくても金融機関から少額の現金払い戻しを受けることが可能となる。この場合、金融機関は、窓口で利用者を本人確認し、本人確認ができた場合、利用者の口座から現金を払い戻すことができる。
【0004】
しかしながら、例えば、カードや通帳を非所持の状態での利用者の本人確認は、被災地金融機関の窓口で金融機関係員の人手による対応となり、原則、平日営業日での対応となる。また、窓口の金融機関係員が利用者の本人確認や口座確認を行うため、多大な時間を要する。なお、一部の金融機関のATMでは、生体認証によるカードレス取引の対応を行っているため、通帳やキャッシュカードがなくても、災害時での現金を引き出すことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-94462号公報
【特許文献2】特開2000-90329号公報
【特許文献3】特開2006-99617号公報
【特許文献4】特開2013-120510号公報
【特許文献5】特開2005-182398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ATMで使用する生体認証は、例えば、平日営業日内に金融機関に利用者本人が赴き、利用者本人の生体情報を事前に登録しておく必要があるため、生体認証を使用する利用者は未だに少ないのが実情である。従って、災害時に、通帳やキャッシュカードがなくても、ATMから現金を引き出すことができる方法が求められているのが実情である。
【0007】
一つの側面では、災害時でも、出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出すことができる情報処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの態様の情報処理装置は、出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出す際に、当該口座の利用者を本人認証する。情報処理装置は、記憶部と、判定部と、認証部とを有する。記憶部は、通常取引の成立時に得た前記利用者の口座を識別する口座番号及び第1の顔画像を事前に記憶する。判定部は、前記出金装置から災害時取引要求時に撮像された前記利用者の第2の顔画像を受信した場合に、当該利用者の第2の顔画像と、前記記憶部に記憶済みの前記第1の顔画像とが同一人物であるか否かを判定する。認証部は、前記第1の顔画像と前記第2の顔画像とが同一人物の場合に、同一人物と判定された当該第1の顔画像に対応する口座番号の前記災害時取引要求の利用者を本人認証する。
【発明の効果】
【0009】
一つの側面として、災害時でも、出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施例の金融取引システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、ATMの外観の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、ATMの一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、サーバの一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、取引メモリの一例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、災害時用照合メモリの一例を示す説明図である。
【
図7B】
図7Bは、ホストコンピュータの一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、口座管理メモリの一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、通常取引処理に関わる金融取引システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図10】
図10は、登録処理に関わるサーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、災害時モード設定処理に関わる金融取引システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図12】
図12は、災害時取引処理に関わる金融取引システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】
図13は、ATMの災害時取引説明画面の一例を示す説明図である。
【
図14】
図14は、ATMの生年月日入力画面の一例を示す説明図である。
【
図15】
図15は、災害時取引処理内の顔照合処理に関わる金融取引システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図16】
図16は、ATMの顔写真撮影開始画面の一例を示す説明図である。
【
図17】
図17は、ATMの顔写真撮影完了画面の一例を示す説明図である。
【
図18】
図18は、第1の顔照合処理に関わるサーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、災害時取引処理内の認証処理に関わる金融取引システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図20】
図20は、ATMの災害時取引用暗証番号入力画面の一例を示す説明図である。
【
図21】
図21は、ATMの災害時取引用取引金額入力画面の一例を示す説明図である。
【
図22】
図22は、ATMの災害時取引完了画面の一例を示す説明図である。
【
図23】
図23は、第2の顔照合処理に関わるサーバの処理動作の一例を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、金融取引認証プログラムを実行する情報処理装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本願の開示する情報処理装置等の実施例を詳細に説明する。尚、本実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0012】
図1は、本実施例の金融取引システム1の一例を示す説明図である。
図1に示す金融取引システム1は、複数のATM(Automatic Teller Machine)2と、サーバ3と、ホストコンピュータ4とを有する。ATM2は、金融機関の店舗に限らず、例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗、駅、無人店舗等の各所に配置されている現金自動預払装置である。ATM2は、例えば、キャッシュカードや通帳によって利用者の口座を確認し、暗証番号の入力等により、利用者を本人認証し、認証結果に基づき、当該口座から現金出金等の取引可否を判定する。サーバ3は、複数台のATM2の取引ジャーナルの保存等を行う情報処理装置である。ホストコンピュータ4は、例えば、データセンタに配置し、サーバ3と通信接続すると共に、全てのATM2の金融取引を統括管理する。
【0013】
図2は、ATM2の外観の一例を示す斜視図である。
図2に示すATM2は、顧客カメラ11と、通帳挿入口12と、カード挿入口13と、硬貨入出金口14と、紙幣入出金口15と、電話機16と、タッチパネル17とを有する。顧客カメラ11は、例えば、ATM2の通常の金融取引時や災害時の金融取引時に利用者の顔写真を撮像するカメラである。通帳挿入口12は、通帳を挿入する挿入口及び排出する排出口である。カード挿入口13は、キャッシュカードを挿入する挿入口及び排出する排出口である。硬貨入出金口14は、硬貨を入金又は出金する口である。紙幣入出金口15は、紙幣を入金又は出金する口である。電話機16は、例えば、銀行係員と通話するための電話機である。タッチパネル17は、各種情報を表示すると共に、各種の操作コマンドを入力する入出力インタフェースである。
【0014】
図3は、ATM2の一例を示すブロック図である。
図3に示すATM2は、通信IF(Interface)21と、タッチパネル17と、顧客カメラ11と、メモリ22と、ATMメカ機構23と、機構制御部24と、プロセッサ25とを有する。通信IF21は、サーバ3やホストコンピュータ4と通信接続する通信IFである。メモリ22は、各種情報を記憶する。ATMメカ機構23は、ATM2内部の硬貨や紙幣を入出金する入出金機構等のメカ機構である。機構制御部24は、ATMメカ機構23を駆動制御する。プロセッサ25は、ATM2全体を制御する。プロセッサ25は、機能として、通常取引成立時の当該利用者の口座番号及び顔写真をサーバ3に通知すると共に、災害時取引時に撮像した利用者の顔写真である第2の顔写真を通知する通知部251を有する。尚、サーバ3に通知する顔写真は、顔写真から生成した顔照合に必要なデータ、例えば、顔照合に必要な特徴点データや、暗号化した顔写真データでも良く、適宜変更可能である。
【0015】
図4は、サーバ3の一例を示すブロック図である。
図4に示すサーバ3は、ATM通信IF31と、ホスト通信IF32と、メモリ33と、プロセッサ34とを有する。ATM通信IF31は、ATM2と通信接続する通信IFである。ホスト通信IF32は、ホストコンピュータ4と通信接続する通信IFである。メモリ33は、各種情報を記憶する。プロセッサ34は、サーバ3全体を制御する。メモリ33は、取引メモリ331と、災害時用照合メモリ332とを有する。取引メモリ331は、後述する取引情報を記憶している。災害時用照合メモリ332は、後述する災害時取引時に使用する顔照合情報等を記憶している。
【0016】
プロセッサ34は、機能として、登録部341と、顔照合部342と、第1の制御部343とを有する。登録部341は、通常取引の成立時に得た利用者の口座を識別する口座番号及び第1の顔写真等を含む照合情報を災害時用照合メモリ332に登録する。尚、照合情報に含まれる顔写真は、顔写真から生成した顔照合に必要なデータ、例えば、顔照合に必要な特徴点データや、暗号化した顔写真データでも良く、適宜変更可能である。
顔照合部342は、災害時取引要求時に使用する利用者の顔写真と、災害時用照合メモリ332に登録済みの顔写真とを照合する。第1の制御部343は、サーバ3全体を制御する。
【0017】
顔照合部342は、判定部342Aと、認証部342Bとを有する。判定部342Aは、ATM2から災害時取引要求時に撮像された利用者の第2の顔写真を受信した場合に、当該利用者の第2の顔写真と、災害時用照合メモリ332に記憶済みの第1の顔写真とが同一人物であるか否かを判定する。認証部342Bは、第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物の場合に、同一人物と判定された当該第1の顔写真に対応する口座番号の災害時取引要求の利用者を本人認証する。
【0018】
登録部341は、同一利用者の複数回の通常取引成立時に順次得た同一利用者の複数の第1の顔写真を災害時用照合メモリ332に登録する。判定部342Aは、災害時取引要求時に撮像された利用者の第2の顔写真を受信した場合に、当該第2の顔写真と、災害時用照合メモリ332に記憶済みの同一利用者の複数の第1の顔写真とが同一人物であるか否かを判定する。
【0019】
また、登録部341は、通常取引成立時に得た利用者の口座番号及び第1の顔写真の他に、当該利用者を識別する第1の識別情報、例えば、生年月日を災害時用照合メモリ332に登録する。
【0020】
判定部342Aは、第1の判定部342A1と、第2の判定部342A2とを有する。第1の判定部342A1は、ATM2から災害時取引要求時に撮像された利用者の第2の顔写真及びATM2から当該災害時取引要求時に入力された利用者の第2の識別情報を受信する。第1の判定部342A1は、第2の識別情報を受信した場合に、当該第2の識別情報に一致する第1の識別情報が災害時用照合メモリ332内にあるか否かを判定する。第1の判定部342A1は、災害時取引要求時の第2の顔写真及び第2の識別情報、例えば、生年月日を受信した場合に、当該生年月日に一致する生年月日が災害時用照合メモリ332内にあるか否かを判定する。第2の判定部342A2は、生年月日が一致した場合に、災害時用照合メモリ332内の生年月日に一致した利用者の第1の顔写真と、第2の顔写真とが同一人物であるか否かを判定する。
【0021】
図5は、取引メモリ331の一例を示す説明図である。
図5に示す取引メモリ331は、取引通番331A毎に、口座番号331B、生年月日331D、顔写真331E、取引結果331F、本日の出金可能残高331G、災害時取引331H、本日の災害時取引回数331Jを対応付ける取引情報を管理する。取引通番は、金融取引毎に付与される金融取引を識別する番号である。口座番号は、金融取引の利用者名義の口座を識別する番号である。生年月日は、口座名義の利用者の生年月日である。顔写真は、金融取引の際にATM2の顧客カメラ11で撮像した利用者の顔写真である。取引結果は、金融取引が成立又は不成立を示す取引結果である。本日の出金可能残高は、当日内に利用者が災害時取引で出金可能な残高である。災害時取引は、金融取引が災害時取引要求であるか否かを識別する情報である。本日の災害時取引回数は、災害時取引要求時での1日の取引回数である。
【0022】
図6は、災害時用照合メモリ332の一例を示す説明図である。
図6に示す災害時用照合メモリ332は、口座番号332A毎に、生年月日332C及び顔写真332Dを対応付ける災害時用照合情報を管理する。口座番号は、利用者の口座を識別する番号である。生年月日332Cは、利用者の生年月日である。顔写真332Dは、災害時取引要求に関わる利用者の本人認証に使用する第1の顔写真である。災害時用照合情報は、災害時取引要求に関わる利用者の本人認証に使用する照合情報である。
【0023】
ホストコンピュータ4は、例えば、金融機関の勘定系システムにおけるメインフレームである。ホストコンピュータ4は、例えば、顧客の口座情報や個人情報を含む顧客情報ファイル(CIF:Customers Information Files)を管理する。ここで、
図7Aを用いて顧客情報45について説明する。
図7Aは、顧客情報45の一例を示す図である。
図7Aに示すように、顧客情報45は、顧客情報ファイルに格納される各種の情報の一例である。なお、顧客情報ファイル(CIF)は、MCIF(Marketing CIF)であってもよい。顧客情報45は、例えば、「口座情報(平文)」、「顧客属性」といった項目を有する。また、「顧客属性」は、例えば、「残高」、「氏名」、「住所」、「生年月日」、「職業」、「家族構成」、「利用サービス」といった項目を有する。「口座情報(平文)」は、金融機関コード、支店コードおよび口座番号を表す情報である。「残高」、「氏名」、「住所」、「生年月日」、「職業」、「家族構成」および「利用サービス」は、顧客に係るそれぞれの情報を示す。
【0024】
図7Bは、ホストコンピュータ4の一例を示すブロック図である。
図7Bに示すホストコンピュータ4は、サーバ通信IF41と、メモリ42と、プロセッサ43とを有する。サーバ通信IF41は、サーバ3及びATM2と通信接続する通信IFである。メモリ42は、各種情報を記憶する。プロセッサ43は、ホストコンピュータ4全体を制御する。メモリ42は、口座管理メモリ421と、通常取引メモリ422と、災害時取引メモリ423とを有する。口座管理メモリ421は、後述する口座情報を管理する。通常取引メモリ422は、通常取引に関わる取引情報を管理する。災害時取引メモリ423は、災害時取引要求に関わる災害時取引情報を管理する。
【0025】
プロセッサ43は、機能として、登録部431と、取引認証部432と、取引処理部433と、第2の制御部434とを有する。登録部431は、口座情報を口座管理メモリ421に登録する。取引認証部432は、通常取引時の本人認証を実行する。取引処理部433は、金融取引、例えば、通常時取引や災害時取引要求に関わる処理を実行する。第2の制御部434は、プロセッサ43全体を制御する。
【0026】
図8は、口座管理メモリ421の一例を示す説明図である。
図8に示す口座管理メモリ421は、口座番号421A毎に、住所421C、郵便番号421D、電話番号421E、生年月日421F及び暗証番号421Gを対応付ける利用者口座情報を管理する。口座番号421Aは、口座を識別する番号である。住所421Cは口座名義の利用者の住所である。郵便番号421Dは口座名義の利用者住所の郵便番号である。電話番号421Eは、口座名義の利用者の電話番号である。生年月日421Fは、口座名義の利用者の生年月日である。暗証番号421Gは、口座の取引に使用する暗証番号である。
【0027】
図9は、通常取引処理に関わる金融取引システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。通常取引処理は、通常取引時における利用者による口座から残高を引き出す金融取引の処理である。利用者は、例えば、キャッシュカードや通帳をATM2内に挿入して暗証番号や取引金額をATM2に入力するATM取引操作を実行する(ステップS11)。ATM2は、取引操作を検出した場合、通常取引処理を実行する(ステップS12)。尚、通常取引処理は、例えば、取引内容をホストコンピュータ4に送信すると共に、顧客カメラ11を通じて、取引操作を実行する利用者の顔写真を撮影する各種処理である。
【0028】
ATM2は、ATM2の取引操作に応じて口座番号、暗証番号及び取引金額等の取引内容をホストコンピュータ4に送信する(ステップS13)。ホストコンピュータ4は、口座番号、暗証番号及び取引金額等の取引内容に応じて利用者を本人認証する取引処理を実行する(ステップS14)。尚、取引処理は、口座管理メモリ421内の内容と、取引内容の口座番号、取引金額、暗証番号とを照合し、照合結果に基づき、取引OKであるか否かを判定する。また、取引処理は、取引内容を通常取引メモリ422に保存する。更に、取引処理は、取引OKと判断した場合、取引の口座番号からの取引金額に応じた出金処理を実行し、取引OKをATM2に通知する。また、取引処理は、取引NGと判断した場合、取引NGをATM2に通知する。
【0029】
ATM2は、例えば、取引OKの判定結果を受信した場合、利用者に対して口座番号からの取引金額を出金する。ATM2は、取引金額を出金した場合、通常取引成立として、顔写真、口座番号及び取引結果(取引OK)をサーバ3に通知する(ステップS15)。
【0030】
そして、サーバ3は、通常取引成立として利用者の顔写真、口座番号及び取引結果等を取引メモリ331に記憶する(ステップS16)。更に、サーバ3は、通常取引成立の口座番号、生年月日及び顔写真を災害時用照合メモリ332に登録する登録処理を実行し(ステップS17)、
図9に示す処理動作を終了する。つまり、サーバ3は、利用者の通常取引が成立した場合、取引成立の口座番号、生年月日及び顔写真を災害時用照合メモリ332に順次登録する。その結果、災害時取引要求時に使用する災害時用照合情報を事前に登録できる。
【0031】
図10は、登録処理に関わるサーバ3の処理動作の一例を示すフローチャートである。登録処理は、
図9に示すステップS17の処理である。
図10においてサーバ3内の登録部341は、通常取引成立の口座番号及び顔写真を取得する(ステップS131)。登録部341は、通常取引成立の口座番号が災害時用照合メモリ332に登録済みであるか否かを判定する(ステップS132)。
【0032】
登録部341は、通常取引成立の口座番号が災害時用照合メモリ332に登録済みの場合(ステップS132:Yes)、口座番号に対応する災害時用照合メモリ332内の顔写真と今回取得した通常取引成立の顔写真とを照合する(ステップS133)。そして、登録部341は、災害時用照合メモリ332内の顔写真と今回取得した通常取引成立の顔写真とが同一人物であるか否かを判定する(ステップS134)。
【0033】
登録部341は、同一人物である場合(ステップS134:Yes)、今回取得した通常取引成立の顔写真を第1の顔写真として口座番号に対応付けて災害時用照合メモリ332に登録し(ステップS135)、
図10に示す処理動作を終了する。つまり、登録部341は、通常取引が成立する都度、通常取引成立時に得た顔写真が同一人物の場合、通常取引成立の顔写真を第1の顔写真として口座番号に応じて災害時用照合メモリ332に順次登録できる。
【0034】
また、登録部341は、災害時用照合メモリ332内の顔写真と今回取得した通常取引成立の顔写真とが同一人物でない場合(ステップS134:No)、
図10に示す処理動作を終了する。
【0035】
登録部341は、通常取引成立の口座番号が災害時用照合メモリ332に登録済みでない場合(ステップS132:No)、今回取得した通常取引成立の顔写真、口座番号及び生年月日を災害時用照合メモリ332に新規登録する(ステップS136)。そして、登録部341は、
図10に示す処理動作を終了する。
【0036】
図10に示す登録処理では、通常取引が成立する都度、通常取引成立時に得た顔写真が同一人物の場合、通常取引成立の顔写真を第1の顔写真として口座番号に応じて災害時用照合メモリ332に順次登録する。その結果、災害時取引要求時に使用する災害時用照合情報を事前に登録できる。
【0037】
図11は、災害時モード設定処理に関わる金融取引システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。災害時モード設定処理は、災害時に設定される処理である。
【0038】
銀行係員は、災害時モード及び災害時取引出金限度額をATM2に設定する(ステップS31)。尚、災害時取引出金限度額は、災害時に設定される1日の取引出金限度額であり、全国銀行協会等により定められた1日に預金から出金できる金額である。ATM2は、災害時モードの設定に応じて、タッチパネル17上の顧客待ち受け画面に災害時取引キーを画面表示する(ステップS32)。更に、ATM2は、災害時取引出金限度額の設定に応じて災害時取引出金限度額をサーバ3に通知する(ステップS33)。そして、サーバ3は、ATM2からの災害時取引出金限度額を保存し(ステップS34)、
図11に示す処理動作を終了する。つまり、ATM2は、銀行係員の設定操作に応じて災害時モードに移行できる。
【0039】
図12は、災害時取引処理に関わる金融取引システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。災害時取引処理は、災害時モードのATM2で利用者が金融取引である災害時取引を実行する際の処理である。
【0040】
図12において利用者は、ATM2のタッチパネル17の顧客待ち受け画面に表示中の災害時取引キーの選択操作を実行する(ステップS41)。ATM2は、災害時取引キーの選択操作を検出した場合、災害時取引を開始し(ステップS42)、タッチパネル17上に
図13に示す災害時取引説明画面110を表示する(ステップS43)。
図13は、ATM2の災害時取引説明画面110の一例を示す説明図である。
図13に示す災害時取引説明画面110は、災害時取引内容を示す説明画面である。
【0041】
利用者は、災害時取引説明画面110を確認した後(ステップS44)、災害時取引説明画面110上の確認キーの選択操作を実行する(ステップS45)。ATM2は、災害時取引説明画面110上の確認キー又は取消キーの選択操作を検出したかを判定する(ステップS46)。
【0042】
ATM2は、災害時取引説明画面110上の取消キーの選択操作を検出した場合、現在の災害時取引を終了する(ステップS47)。また、ATM2は、災害時取引説明画面110上の確認キーの選択操作を検出した場合、タッチパネル17上に生年月日入力画面111を表示する(ステップS48)。
図14は、ATM2の生年月日入力画面111の一例を示す説明図である。
図14に示す生年月日入力画面111は、利用者の本人認証に使用する生年月日を入力する画面である。
【0043】
利用者は、生年月日入力画面111上に銀行に届け出済みの生年月日を入力する操作を実行する(ステップS49)。ATM2は、生年月日の入力操作を検出した場合、生年月日及び取引通番をサーバ3に通知する(ステップS50)。
【0044】
サーバ3は、生年月日及び取引通番を受信した場合(ステップS51)、災害時用照合メモリ332内に生年月日に対応する災害時用照合情報があるか否かを判定する(ステップS52)。サーバ3は、災害時用照合メモリ332内に生年月日に対応する災害時用照合情報がある場合、災害時用照合情報と取引通番とを対応付けて保存し(ステップS53)、
図15に示す処理に移行する。
【0045】
また、ATM2は、災害時用照合メモリ332内に生年月日に対応する災害時用照合情報がない場合、「条件に該当する取引の履歴はありませんでした。」等の取引終了画面をタッチパネル17上に表示し(ステップS54)、現在の災害時取引を終了する(ステップS55)。
【0046】
図15は、災害時取引処理内の顔照合処理に関わる金融取引システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。ATM2は、災害時用照合情報と取引通番とを対応付けて保存する通知を受信した後、タッチパネル17上に顔写真撮影画面112を表示する(ステップS61)。
図16は、ATM2の顔写真撮影画面112の一例を示す説明図である。
図16に示す顔写真撮影画面112は、利用者に対して顔写真の撮影開始を促す画面である。利用者は、顔写真撮影画面112の画面内容を確認する(ステップS62)。そして、ATM2は、顧客カメラ11を用いて、利用者の顔写真を第2の顔写真として撮影する(ステップS63)。ATM2は、第2の顔写真を撮影した後、タッチパネル17上に顔写真撮影完了画面113を表示する(ステップS64)。
図17は、ATM2の顔写真撮影完了画面113の一例を示す説明図である。
図17に示す顔写真撮影完了画面113は、利用者に対して顔写真の撮影完了を知らせる画面である。ATM2は、第2の顔写真及び取引通番をサーバ3に通知する(ステップS65)。
【0047】
サーバ3は、ATM2から第2の顔写真及び取引通番を受信した後(ステップS66)、取引通番に紐づいた災害時用照合情報内の第1の顔写真と、今回撮影した第2の顔写真とを照合する顔照合処理を実行する(ステップS67)。尚、顔照合処理は、第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物であるか否かを判定し、同一人物と判定した場合に照合OK、同一人物でないと判定した場合に照合NGと判定する。
【0048】
サーバ3は、第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物と判定する照合OKであるか否かを判定する(ステップS68)。サーバ3は、第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物でないと判定する照合NGの場合、照合NGをATM2に通知する。ATM2は、照合NGを受信した場合、「以前のお取引の際の顔写真と照合できませんでした。お近くの窓口までお越しください。」等の取引終了画面を表示し(ステップS69)、取引を終了する(ステップS70)。
【0049】
また、サーバ3は、第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物と判定する照合OKの場合、照合OKの災害時用照合データ内の口座番号を利用者の口座番号として確定する(ステップS71)。そして、サーバ3は、確定の口座番号の本日の災害時取引回数に基づき、本日出金可能残高を設定する(ステップS72)。尚、本日の災害時取引回数が当日1回目の場合、当該口座番号の本日出金可能残高を災害時取引出金限度額に設定する。また、本日の災害時取引回数が当日2回目以降の場合、当該口座番号の本日出金可能残高を(災害時取引出金限度額-当日の前取引の出金額)に設定する。
【0050】
そして、サーバ3は、本日出金可能残高を設定した後、確定の口座番号の本日出金可能残高があるか否かを判定する(ステップS73)。そして、サーバ3は、確定の口座番号の本日出金可能残高があるか否かを判定する判定結果をATM2に通知する。
【0051】
ATM2は、確定の口座番号の本日出金可能残高がないとの判定結果を受信した場合、「本日のお引き出し可能額は全て引き出し済みです。」等の取引終了画面を表示し(ステップS74)、取引を終了する(ステップS75)。
【0052】
また、サーバ3は、確定の口座番号の本日出金可能残高があると判定した場合、確定の口座番号及び本日出金可能残高をATM2に通知し(ステップS76)、
図19に示す処理動作のステップS81の処理に移行する。
【0053】
図18は、第1の顔照合処理に関わるサーバ3の処理動作の一例を示すフローチャートである。第1の顔照合処理は、
図15に示すステップS67で実行する顔照合処理である。
図18においてサーバ3内の顔照合部342は、第2の顔写真を取得する(ステップS101)。顔照合部342内の判定部342A内の第1の判定部342A1は、取引通番に紐付けた生年月日の顔照合情報を災害時用照合メモリ332から抽出する(ステップS102)。尚、第1の判定部342A1は、災害時用照合メモリ332から生年月日を使用して顔照合対象の顔照合情報を絞り込む。判定部342A内の第2の判定部342A2は、抽出した顔照合情報内に、第2の顔写真と同一人物の第1の顔写真があるか否かを判定する(ステップS103)。
【0054】
第2の判定部342A2は、第2の顔写真と同一人物の第1の顔写真がある場合(ステップS103:Yes)、利用者が災害時用照合メモリ332に登録済みの利用者と同一人物であると判断する。そして、第2の判定部342A2は、利用者が災害時用照合メモリ332に登録済みの利用者と同一人物であると判断し、照合OKと判定し(ステップS104)、
図18に示す処理動作を終了する。
【0055】
また、第2の判定部342A2は、第2の顔写真と同一人物の第1の顔写真がない場合(ステップS103:No)、利用者が災害時用照合メモリ332に登録済みの利用者と同一人物でないと判断する。そして、第2の判定部342A2は、利用者が災害時用照合メモリ332に登録済みの利用者と同一人物でないと判断し、照合NGと判定し(ステップS105)、
図18に示す処理動作を終了する。
【0056】
図18に示す第1の顔写真照合処理では、第2の顔写真を取得した後、生年月日で絞り込んだ顔照合情報の中で第2の顔写真と同一人物の第1の顔写真がある場合、同一人物として照合OKと判断する。
【0057】
図19は、災害時取引処理内の認証処理に関わる金融取引システム1の処理動作の一例を示すシーケンス図である。ATM2は、ステップS76にて口座番号及び本日出金可能残高を受信した後、災害時取引用暗証番号入力画面114をタッチパネル17上に表示する(ステップS81)。
図20は、ATM2の災害時取引用暗証番号入力画面114の一例を示す説明図である。
図20に示す災害時取引用暗証番号入力画面114は、災害時取引に使用する暗証番号の入力画面である。利用者は、災害時取引用暗証番号入力画面114内の入力欄に取引用の暗証番号を入力する(ステップS82)。
【0058】
更に、ATM2は、災害時取引用取引金額入力画面115をタッチパネル17上に表示する(ステップS83)。
図21は、ATM2の災害時取引用取引金額入力画面115の一例を示す説明図である。
図21に示す災害時取引用取引金額入力画面115は、災害時取引に使用する取引金額の入力画面である。利用者は、災害時取引用取引金額入力画面115内の入力欄に取引金額を入力する(ステップS84)。ATM2は、暗証番号及び取引金額を検出した場合、「お手続きを行っています。しばらくお待ちください。」等の取引送受信画面を表示する(ステップS85)。
【0059】
ATM2は、口座番号、暗証番号及び取引金額を含む災害時取引内容をホストコンピュータ4に送信する(ステップS86)。ホストコンピュータ4は、災害時取引内容を受信した場合、災害時取引内容内の口座番号、暗証番号及び取引金額に基づき、取引処理を実行する(ステップS87)。尚、取引処理は、口座管理メモリ421内の内容と、災害時取引内容内の口座番号、残高、暗証番号とを照合し、照合結果に基づき、取引OKであるか否かを判定する(ステップS88)。また、取引処理は、災害時取引内容を災害時取引メモリ423に保存する。更に、取引処理は、取引OKと判断した場合、取引の口座番号からの取引金額に応じた出金処理を実行する。
【0060】
ホストコンピュータ4は、災害時取引内容に応じた取引NGの場合、取引NGをATM2に送信する。ATM2は、ホストコンピュータ4から取引NGを受信した場合、例えば、暗証番号不一致や残高不足等の取引NG理由を含む取引終了画面をタッチパネル17上に表示し(ステップS89)、取引を終了する(ステップS90)。
【0061】
また、ホストコンピュータ4は、災害時取引内容に応じた取引OKの場合、取引OKをATM2に送信する。ATM2は、取引OKを受信した場合、取引送受信画面を画面表示したまま(ステップS91)、口座番号、取引通番、取引金額、取引日時、取引場所等を含む取引内容をサーバ3に送信する(ステップS92)。
【0062】
サーバ3は、取引内容を受信した場合、本日出金残高及び取引回数を更新する取引更新処理を実行する(ステップS93)。つまり、取引更新処理は、(災害時出金限度額-今回の出金金額)で該当口座番号の本日出金可能残高を更新する。更に、サーバ3は、取引回数を+1インクリメントし、取引回数を更新する。そして、サーバ3は、取引更新処理が正常に終了したか否かを判定する(ステップS94)。
【0063】
サーバ3は、取引更新処理が正常に終了しなかった場合、正常終了NGをATM2に送信する。ATM2は、サーバ3から正常終了NGを受信した場合、「取引中にエラーが発生しました。遅いりますが、もう一度最初からやり直してください。」等の取引終了画面を表示し(ステップS95)、取引を終了する(ステップS96)。
【0064】
サーバ3は、取引更新処理が正常に終了した場合、正常終了OKをATM2に送信する(ステップS97)。ATM2は、正常終了OKを受信した場合、災害時取引内容に応じた取引金額の現金を出金すると共に、災害時取引完了画面116をタッチパネル上に表示する(ステップS98)。そして、利用者は、ATM2から取引金額及びレシートを受け取り(ステップS99)、災害時取引が終了することになる。
図22は、ATM2の災害時取引完了画面116の一例を示す説明図である。
図22に示す災害時取引完了画面116は、利用者に災害時取引の完了を知らせる画面である。
【0065】
尚、顔照合処理では、
図18に示す第1の顔照合処理を実行する場合を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図23は、第2の顔照合処理に関わるサーバ3の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図23においてサーバ3内の顔照合部342は、第2の顔写真を取得する(ステップS111)。第1の判定部342A1は、取引通番に紐付けた生年月日の顔照合情報を災害時用照合メモリ332から抽出する(ステップS112)。第2の判定部342A2は、抽出した顔照合情報内に、第2の顔写真と同一人物の第1の顔写真があるか否かを判定する(ステップS113)。
【0066】
第2の判定部342A2は、第2の顔写真と同一人物の第1の顔写真がある場合(ステップS113:Yes)、第2の顔写真と同一人物の第1の顔写真の同一口座番号内に複数の第1の顔写真があるか否かを判定する(ステップS114)。
【0067】
第2の判定部342A2は、複数の第1の顔写真の内、未指定の第1の顔写真を指定する(ステップS115)。第2の判定部342A2は、未指定の第1の顔写真を指定した後、指定の第1の顔写真と第2の顔写真とを照合する(ステップS116)。第2の判定部342A2は、指定の第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物であるか否かを判定する(ステップS117)。
【0068】
第2の判定部342A2は、指定の第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物である場合(ステップS117:Yes)、同一口座番号内に未指定の第1の顔写真があるか否かを判定する(ステップS118)。第2の判定部342A2は、同一口座番号内に未指定の第1の顔写真がある場合(ステップS118:Yes)、同一口座番号内の未指定の第1の顔写真を指定すべく、ステップS115の処理に戻る。また、第2の判定部342A2は、指定の第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物でない場合(ステップS117:No)、同一口座番号内に未指定の第1の顔写真があるか否かを判定するステップS118の処理に移行する。
【0069】
第2の判定部342A2は、未指定の第1の顔写真がない場合(ステップS118:No)、同一口座番号内の全ての第1の顔写真を指定したものと判断し、同一口座番号内の複数の第1の顔写真と第2の顔写真との同一人物の確率を算出する(ステップS119)。第2の判定部342A2は、例えば、(第2の顔写真と同一人物と判定された第1の顔写真の枚数)÷(第1の顔写真の枚数)×100で同一人物の確率を算出する。
【0070】
第2の判定部342A2は、同一人物の確率が所定閾値以上であるか否かを判定する(ステップS120)。尚、所定閾値は、例えば、80%としても良く、適宜変更可能である。第2の判定部342A2は、同一人物の確率が所定閾値以上である場合(ステップS120:Yes)、利用者が災害時用照合メモリ332に登録済みの利用者と同一人物であると判断し、照合OKと判定し(ステップS121)、
図23に示す処理動作を終了する。
【0071】
また、サーバ3は、第2の顔写真と同一人物の第1の顔写真がない場合(ステップS113:No)、利用者が災害時用照合メモリ332に登録済みの利用者と同一人物でないと判断し、照合NGと判定し(ステップS122)、
図23に示す処理動作を終了する。
【0072】
また、第2の判定部342A2は、同一人物の確率が所定閾値以上でない場合(ステップS120:No)、照合NGと判定すべく、ステップS122の処理に移行する。
【0073】
図18に示す第2の顔写真照合処理では、第2の顔写真を取得した後、生年月日で絞り込んだ顔照合情報内に複数枚の第1の顔写真と第2の顔写真との同一人物の確率が所定閾値以上であるか否かを判定する。第2の顔写真照合処理では、同一人物の確率が所定閾値以上の場合、同一人物として照合OKと判断する。その結果、災害時取引時において、利用者は、キャッシュカードや通帳がなく、しかも、生体情報の事前登録がなくても、口座の本人認証を確認しながら、同口座から出金が可能になる。
【0074】
また、例えば、同一口座を夫婦で使用し、夫名義の口座の場合であっても、通常取引時に妻が夫名義の口座にキャッシュカードを使用して現金を引き出すことは一般的に行われている。このような場合でも、災害時用照合メモリ332の夫名義の口座の第1の顔写真に妻の顔写真が登録されているため、妻が災害時取引要求を実行した場合でも、同口座から通常取引と同様に一定金額の出金が可能となる。
【0075】
実施例のサーバ3では、通常取引の成立時に得た利用者の口座番号及び第1の顔写真を災害時用照合メモリ332に事前に登録しておく。更に、サーバ3は、ATM2から災害時取引要求時に撮像された利用者の第2の顔写真を受信した場合に、当該利用者の第2の顔写真と、登録済みの第1の顔写真とが同一人物であるか否かを判定する。サーバ3は、第1の顔写真と第2の顔写真とが同一人物の場合に、同一人物と判定された当該第1の顔写真に対応する口座番号の災害時取引要求の利用者を本人認証する。その結果、災害時取引時において、利用者は、キャッシュカードや通帳がなく、しかも、生体情報の事前登録がなくても、口座の利用者の本人認証を実現しながら、同口座から出金が可能になる。
【0076】
サーバ3は、同一利用者の複数回の通常取引成立時に順次得た同一利用者の複数の第1の顔写真を災害時用照合メモリ332に順次登録する。更に、サーバ3は、災害時取引要求時に撮像された利用者の第2の顔写真と、登録済みの同一利用者の複数の第1の顔写真とが同一人物であるか否かを判定する。その結果、通常の取引成立時に得た複数枚の顔写真を使用して災害時取引時の利用者の本人認証を実現できる。更に、複数回の通常取引成立時に得た第1の顔写真を本人認証に使用するため、認証精度の向上を図ることができる。
【0077】
また、サーバ3は、登録済みの同一利用者の複数の第1の顔写真と第2の顔写真とが所定の割合で同一人物であるか否かを判定する。その結果、複数回の通常取引成立時に得た第1の顔写真を使用するため、認証精度の向上を図ることができる。
【0078】
また、サーバ3は、通常取引成立時に得た利用者の口座番号及び第1の顔写真の他に、当該利用者を識別する第1の識別情報、例えば、生年月日を事前に登録しておく。
サーバ3は、災害時取引要求時に撮像された利用者の第2の顔写真及び入力された利用者の第2の識別情報、例えば、生年月日を受信した場合に、生年月日が一致する第1の顔写真が災害時用照合メモリ332内にあるか否かを判定する。サーバ3は、第1の顔写真がある場合、生年月日が一致した利用者の第1の顔写真と、第2の顔写真とが同一人物であるか否かを判定する。その結果、災害時用照合メモリ332から照合対象の第1の顔写真を絞り込む処理負担を軽減できる。
【0079】
尚、本実施例では、照合対象の第1の顔写真を絞り込む第1の識別情報として生年月日を使用する場合を例示したが、生年月日に限定されるものではなく、例えば、利用者の電話番号や利用者住所の郵便番号等でも良く、適宜変更可能である。
【0080】
尚、説明の便宜上、サーバ3は、情報処理装置で実現する場合を例示したが、クラウドに設けても良く、適宜変更可能である。
【0081】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0082】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【0083】
ところで、本実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムを情報処理装置で実行することで実現できる。そこで、以下では、上記実施例と同様の機能を有するプログラムを実行する情報処理装置の一例を説明する。
図24は、金融取引認証プログラムを実行する情報処理装置の一例を示す説明図である。
【0084】
図24に示す金融取引認証プログラムを実行する情報処理装置100では、通信部101と、HDD(Hard Disk Drive)102と、ROM(Read Only Memory)103と、RAM(Random Access Memory)104と、を有する。更に、情報処理装置100は、CPU105と、バス106とを有する。HDD102は、通常取引の成立時に得た利用者の口座を識別する口座番号及び第1の顔画像を事前に記憶している。情報処理装置100は、出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出す際に、当該口座の利用者を本人認証する。
【0085】
そして、ROM103には、上記実施例と同様の機能を発揮する金融取引認証プログラムが予め記憶されている。尚、ROM103ではなく、図示せぬドライブで読取可能な記録媒体に金融取引認証プログラムが記録されていても良い。また、記録媒体としては、例えば、CD-ROM、DVD、USBメモリ、SDカード等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等でも良い。金融取引認証プログラムとしては、
図24に示すように、判定プログラム103A及び認証プログラム103Bである。尚、判定プログラム103A及び認証プログラム103Bについては、適宜統合又は分散しても良い。
【0086】
そして、CPU105は、これらのプログラム103A及び103BをROM103から読み出し、これら読み出された各プログラムをRAM104上に展開して実行する。そして、CPU105は、
図24に示すように、各プログラム103A及び103BをRAM104上で実行することで、判定プロセス104A及び認証プロセス104Bとして機能する。
【0087】
CPU105は、通常取引の成立時に得た前記利用者の口座を識別する口座番号及び第1の顔画像をHDDに事前に記憶する。CPU105は、出金装置から災害時取引要求時に撮像された利用者の第2の顔画像を受信した場合に、当該利用者の第2の顔画像と、HDDに記憶済みの第1の顔画像とが同一人物であるか否かを判定する。CPU105は、第1の顔画像と第2の顔画像とが同一人物の場合に、同一人物と判定された当該第1の顔画像に対応する口座番号の災害時取引要求の利用者を本人認証する。その結果、災害時でも、出金装置を通じて利用者の口座から残高を引き出すことができる。