(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117609
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】車両の制御装置
(51)【国際特許分類】
F16H 61/02 20060101AFI20240822BHJP
F16H 59/50 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F16H61/02
F16H59/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023790
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 雅英
(72)【発明者】
【氏名】太田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】今永 雄二
(72)【発明者】
【氏名】柳 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】後藤 悠
【テーマコード(参考)】
3J552
【Fターム(参考)】
3J552MA02
3J552NA01
3J552NB01
3J552NB05
3J552NB08
3J552PA62
3J552PA70
3J552RB25
3J552RC16
3J552SA07
3J552SA52
3J552UA08
3J552VB03W
(57)【要約】
【課題】駆動輪のスリップグリップが発生するオフロード走行において、自動変速機のクラッチを保護しつつ、オフロード走行での走破性低下が抑制される車両の制御装置を提供する。
【解決手段】スリップグリップ検知部96により駆動輪14のスリップグリップが検知されると、トルクダウン制御部98により、自動変速機24に入力されるトルクダウンが実施され、同時に、係合油圧制御部100により、自動変速機24の係合装置の係合油圧が上昇させられる。これにより、駆動輪14のスリップグリップが発生するオフロード走行において、係合油圧制御部100およびトルクダウン制御部98により、自動変速機24のクラッチが保護されつつ、オフロード走行での走破性低下が抑制される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の係合装置を含んで構成され、前記複数個の係合装置の係合状態が切り替えられることによって複数の変速段に変速される有段式の自動変速機を備える車両の制御装置であって、
前記車両の駆動輪の回転速度振動である前記駆動輪のスリップグリップを検知するスリップグリップ検知部と、
前記スリップグリップ検知部により前記駆動輪のスリップグリップが検知されると、前記自動変速機に入力されるトルクダウンを実施するトルクダウン制御部と、
前記スリップグリップ検知部により前記駆動輪のスリップグリップが検知されると、前記係合装置の係合油圧を上昇させる係合油圧制御部と、を含む
ことを特徴とする自動変速機を備える車両の制御装置。
【請求項2】
前記スリップグリップ検知部は、前記駆動輪の回転速度の変化量が予め設定された回転カウントの閾値を下回ることを、前記駆動輪の回転速度の変化量が予め設定された前記閾値のヒス値を所定時間以内で上回る連続外れ時間を挟んで2回判定したことにより、前記スリップグリップを検知する
ことを特徴とする請求項1の自動変速機を備える車両の制御装置。
【請求項3】
前記スリップグリップ検知部は、前記駆動輪の回転速度振動現象の発生時において、前記駆動輪のスリップ状態からグリップ状態へ向かう前記駆動輪の回転速度の減少過程で、前記駆動輪の回転速度が予め設定された回転カウントの閾値を下回る連続成立時間が所定時間以上継続し、次いで、前記駆動輪のグリップ状態から再びスリップ状態をへてグリップ状態へ向かう前記駆動輪の回転速度の増加及び減少過程で、前記駆動輪の回転速度が予め設定された前記閾値のヒス値を上回る連続外れ時間が所定時間以内であり、続く、前記駆動輪のスリップ状態からグリップ状態へ向かう前記駆動輪の回転速度の減少過程で、前記駆動輪の回転速度が前記閾値を下まわる連続成立時間が所定時間以上継続したことにより、前記駆動輪の回転速度振動の発生を検知する
ことを特徴とする請求項2の自動変速機を備える車両の制御装置。
【請求項4】
前記トルクダウン制御部は、前記駆動輪の回転速度が前記予め設定された第1解除判定値未満となると、前記自動変速機に入力されるトルクダウンの実施を終了させる
ことを特徴とする請求項1の自動変速機を備える車両の制御装置。
【請求項5】
前記係合油圧制御部は、前記駆動輪の回転速度が前記第1解除判定値より低く予め設定された第2解除判定値未満となると、前記係合装置の係合油圧の上昇を終了させる
ことを特徴とする請求項1の自動変速機を備える車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走破性と自動変速機のクラッチ保護とを両立させることができる車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動輪のスリップ時には、駆動源からのトルクを低減させる車両の制御装置が提案されている。たとえば、特許文献1に記載の電気自動車の駆動制御装置がそれである。
【0003】
これによれば、駆動輪にスリップがあるときにはモータをトルクダウンさせてスリップを抑制するが、駆動輪のスリップがないときには、現在のトルクが基本トルク値となった後に通常走行へ移行するので、低摩擦抵抗の路面を走行する場合に、走行をスムーズに行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、たとえばオフロード走行中には、駆動輪のスリップで空転した後に駆動輪の路面グリップが繰り返し行なわれるスリップグリップが発生する場合、自動変速機を備えた車両では、駆動輪及びその駆動系のイナーシャトルクによって自動変速機内のクラッチのすべりが発生するという問題があった。このような自動変速機を備えた車両のスリップグリップに対して、特許文献1に記載のドルクダウンをかければ、自動変速機への過大入力トルクを抑制することで、自動変速機のクラッチの保護にはなり、駆動輪のグルップを実施することができるが、ある程度の駆動輪のスリップを期待するオフロード走行の走破性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、駆動輪のスリップグリップが発生する走行において、自動変速機のクラッチを保護しつつ、オフロード走行での走破性低下が抑制される車両の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨とするところは、(a)複数個の係合装置を含んで構成され、前記複数個の係合装置の係合状態が切り替えられることによって複数の変速段に変速される有段式の自動変速機を備える車両の制御装置であって、(b)前記車両の駆動輪の回転速度の振動である前記駆動輪のスリップグリップを検知するスリップグリップ検知部と、(c)前記スリップグリップ検知部により前記駆動輪のスリップグリップが検知されると、前記自動変速機に入力されるトルクダウンを実施するトルクダウン制御部と、(d)前記ティックグリップ検知部により前記駆動輪のスリップグリップが検知されると、前記係合装置の係合油圧を上昇させる係合油圧制御部と、を含むことにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の車両の制御装置によれば、前記スリップグリップ検知部により前記駆動輪のスリップグリップが検知されると、トルクダウン制御部により、前記自動変速機に入力されるトルクダウンが実施され、同時に、係合油圧制御部により、前記係合装置の係合油圧が上昇させられる。このように、駆動輪のスリップグリップが発生するオフロード走行において、係合油圧制御部およびトルクダウン制御部により、自動変速機のクラッチが保護されつつ、オフロード走行での走破性低下が抑制される。
【0009】
好適には、前記スリップグリップ検知部は、前記駆動輪の回転速度の変化量が予め設定された回転カウントの閾値を下回ることを、前記駆動輪の回転速度の変化量が予め設定された前記閾値のヒス値を所定時間以内で上回る連続外れ時間を挟んで2回判定したことにより、前記スリップグリップを検知する。これにより、駆動輪のスリップグリップ現象が、速やかに検知される。
【0010】
好適には、前記スリップグリップ検知部は、前記駆動輪の回転速度振動(脈動)現象の発生時において、前記駆動輪のスリップ状態からグリップ状態へ向かう前記駆動輪の回転速度の変化量の減少過程で、前記駆動輪の回転速度の変化量が予め設定された回転カウントの閾値を下回る連続成立時間が所定時間以上継続し、次いで、前記駆動輪のグリップ状態から再びスリップ状態をへてグリップ状態へ向かう前記駆動輪の回転速度の変化量の増加及び減少過程で、前記駆動輪の回転速度の変化量が予め設定された前記閾値のヒス値を上回る連続外れ時間が所定時間以内であり、続く、前記駆動輪のスリップ状態からグリップ状態へ向かう前記駆動輪の回転速度の変化量の減少過程で、前記駆動輪の回転速度が前記閾値を下まわる連続成立時間が所定時間以上継続したことにより、前記駆動輪の回転速度振動(スリップグリップ)の発生を検知する。すなわち、これにより、前記駆動輪の回転速度振動(スリップグリップ)現象のが、速やかに且つ確実に検知することができる。
【0011】
好適には、前記トルクダウン制御部は、前記駆動輪の回転速度の変化量が前記予め設定された第1解除判定値未満となると、前記自動変速機に入力されるトルクダウンの実施を終了させる。これにより、前記駆動輪のスリップグリップが無くなると、直ちに、前記自動変速機に入力されるトルクダウンが終了させられ、前記駆動輪のスリップグリップ検知前のトルクが前記自動変速機に入力されるので、車両の走破性が高められる。
【0012】
好適には、前記係合油圧制御部は、前記駆動輪の回転速度の変化量が前記第1解除判定値より低く予め設定された第2解除判定値未満となると、前記係合装置の係合油圧の上昇を終了させる。これにより、前記駆動輪のスリップグリップが無くなると、直ちに、前記自動変速機の係合装置を係合させる係合圧の上昇が終了させられ、前記駆動輪のスリップグリップ検知前の前記自動変速機の係合圧に復帰させられるので、不要に係合装置を強く係合させることがなく、車両の燃費が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明が適用された車両の概略構成を説明する図であると共に、車両における各種制御のための制御機能および制御系統の要部を説明する図である。
【
図2】
図1の自動変速機の変速段を成立させるための各係合装置の組み合わせを表す係合作動表である。
【
図3】
図1のスリップグリップ検知部による、駆動輪のスリップグリップ検知制御を説明するためのタイムチャートである。
【
図4】
図1の電子制御装置の制御作動の要部を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例0015】
図1は、本発明が適用された車両10の概略構成を説明する図であると共に、車両10における各種制御のための制御機能および制御系統の要部を説明する図である。
図1において、車両10は、走行用の駆動力源としてエンジン12および電動機MGを備えたハイブリッド車両である。また、車両10は、駆動輪14、および、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路に設けられた動力伝達装置16を備えている。
【0016】
エンジン12は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の内燃機関である。エンジン12は、後述する電子制御装置90によって、車両10に備えられたスロットルアクチュエータや燃料噴射装置や点火装置等を含むエンジン制御装置50が制御されることによりエンジン12の出力トルクであるエンジントルクTeが、制御される。
【0017】
電動機MGは、電力から機械的な動力を発生させる発動機としての機能および機械的な動力から電力を発生させる発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータである。電動機MGは、車両10に備えられたインバータ52を介して、車両10に備えられたバッテリ54に接続されている。電動機MGは、後述する電子制御装置90によってインバータ52が制御されることにより、電動機MGの出力トルクであるMGトルクTmが制御される。MGトルクTmは、例えば電動機MGの回転方向がエンジン12の運転時と同じ回転方向である正回転の場合、加速側となる正トルクでは力行トルクであり、減速側となる負トルクでは回生トルクである。
【0018】
電動機MGは、エンジン12に替えて或いはエンジン12に加えて、インバータ52を介してバッテリ54から供給される電力により走行用の動力を発生する。また、電動機MGは、エンジン12の動力や駆動輪14側から入力される被駆動力により発電を行う。電動機MGの発電により発生させられた電力は、インバータ52を介してバッテリ54に蓄積される。バッテリ54は、電動機MGに対して電力を授受する蓄電装置である。前記電力は、特に区別しない場合には電気エネルギと同意である。また、前記動力は、特に区別しない場合にはトルクや力と同意である。
【0019】
動力伝達装置16は、車体に取り付けられる非回転部材であるケース18内に収容された、K0クラッチ20、トルクコンバータ22、自動変速機24等を備えている。K0クラッチ20は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路におけるエンジン12と電動機MGとの間に設けられたクラッチである。トルクコンバータ22は、K0クラッチ20を介してエンジン12に接続されている。
【0020】
トルクコンバータ22および自動変速機24は、エンジン12と駆動輪14との間の動力伝達経路の一部を構成している。また、動力伝達装置16は、自動変速機24の出力回転部材である変速機出力軸26に連結されたプロペラシャフト28、プロペラシャフト28に連結されたデファレンシャルギヤ30、デファレンシャルギヤ30に連結された1対のドライブシャフト32等を備えている。また、動力伝達装置16は、エンジン12とK0クラッチ20とを連結するエンジン連結軸34、K0クラッチ20とトルクコンバータ22とを連結する電動機連結軸36等を備えている。
【0021】
電動機MGは、ケース18内において、K0クラッチ20とトルクコンバータ22との間の動力伝達経路に動力伝達可能に配設されている。トルクコンバータ22および自動変速機24は、各々、エンジン12および電動機MGから成る駆動力源からの駆動力を駆動輪14へ伝達する。
【0022】
トルクコンバータ22は、電動機連結軸36に連結されたポンプ翼車22a、および、自動変速機24の入力回転部材である変速機入力軸38に連結されたタービン翼車22bを備えている。ポンプ翼車22aは、K0クラッチ20を介してエンジン12に接続されていると共に、直接的に電動機MGに接続されている。トルクコンバータ22は、駆動力源(エンジン12、電動機MG)の各々からの駆動力を変速機入力軸38へ伝達する流体式伝動装置である。トルクコンバータ22は、ポンプ翼車22aとタービン翼車22bとの間を断接するLUクラッチ40を備えている。
【0023】
LUクラッチ40は、車両10に備えられた油圧制御回路56から供給される調圧されたLU油圧PRluによりLUクラッチ40のトルク容量であるLUクラッチトルクTluが変化させられることで、完全解放状態、スリップ状態、および完全係合状態のいずれかに切り替えられる。
【0024】
自動変速機24は、例えば不図示の複数組の遊星歯車装置と、複数個の係合装置CBと、を備えている。係合装置CBは、例えば油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチやブレーキ、油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成される、油圧式摩擦係合装置である。係合装置CBには、油圧制御回路56において、変速制御弁によりライン圧を元圧として調圧された係合圧PRcbが供給されることによりそれぞれのトルク容量であるCBトルクTcbが変化させられることで、係合状態や解放状態などの制御状態が切り替えられる。本実施例では、係合装置CBが、例えば4個のクラッチC1~C4および2個のブレーキB1、B2から構成されている。
【0025】
自動変速機24は、係合装置CBのうちの何れかの係合装置CBが係合されることによって、変速比(ギヤ比ともいう)γat(=AT入力軸回転速度Ni/AT出力軸回転速度No)が異なる複数の変速段(ギヤ段ともいう)のうちの何れかの変速段が択一的に達成される有段式の自動変速機である。すなわち、自動変速機24は、複数個の係合装置CB(クラッチC1~C4およびブレーキB1、B2)のうちのいずれかの係合状態の組み合わせが切り替えられることによって複数の変速段が成立させられる。本実施例では、
図2に示す自動変速機24の変速段を成立させるための各係合装置CBの組み合わせを表す係合作動表に基づいて、自動変速機24が変速させられる。
図2において、「○」は各係合装置CBの係合を示し、「×」は各係合装置CBの解放を示している。
図2に示すように、自動変速機24では、各係合装置CBの係合および解放の組み合わせが変更されることで、前進10速、後進1速の変速段に切替可能に構成されている。本実施例では、複数個の係合装置CB(クラッチC1~C4およびブレーキB1、B2)のうちの3つの係合装置が係合させられることで、1つの変速段が形成されるようになっている。
【0026】
自動変速機24は、後述する電子制御装置90によって、ドライバ(=運転者)によるアクセルペダル42の操作量であるアクセル開度θaccや車速Vに基づいて変速段が決定される。なお、変速の判断に当たって、アクセル開度θaccだけでなく、スロットル弁開度θthなどアクセル開度θaccと相関のあるアクセル開度θaccの関連値に基づいて判断されても構わない。同様に、変速の判断に当たって、車速Vだけでなく、AT出力軸回転速度Noなど車速Vと相関のある車速Vの関連値に基づいて判断されても構わない。
【0027】
K0クラッチ20は、たとえば油圧アクチュエータにより押圧される多板式或いは単板式のクラッチにより構成される、湿式または乾式の摩擦係合装置である。K0クラッチ20は、後述する電子制御装置90により油圧アクチュエータの作動状態が制御されることによって、係合状態や解放状態などの制御状態が切り替えられる。K0クラッチ20において、油圧制御回路56から調圧されたK0油圧PRk0が油圧アクチュエータに供給されると、K0クラッチ20のトルク容量であるK0トルクTk0が変化させられることで、K0クラッチ20の制御状態が切り替えられる。
【0028】
K0クラッチ20の係合状態では、エンジン連結軸34を介してポンプ翼車22aとエンジン12とが一体的に回転させられる。一方で、K0クラッチ20の解放状態では、エンジン12とポンプ翼車22aとの間の動力伝達が遮断される。電動機MGはポンプ翼車22aに連結されているので、K0クラッチ20は、エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達経路に設けられて、その動力伝達経路を断接するクラッチとして機能する。
【0029】
車両10は、機械式オイルポンプ58(以下、MOP58)、電動オイルポンプ60(以下、EOP60)、ポンプ用モータ62等を備えている。MOP58は、ポンプ翼車22aに連結されており、駆動力源(エンジン12、電動機MG)により回転駆動させられて動力伝達装置16にて用いられる作動油を吐出する。ポンプ用モータ62は、EOP60を回転駆動するためのEOP60専用のモータである。EOP60は、ポンプ用モータ62により回転駆動させられて作動油を吐出する。MOP58やEOP60が吐出した作動油は、油圧制御回路56へ供給される。油圧制御回路56は、MOP58およびEOP60の少なくとも一方が吐出した作動油を元圧として調圧した、係合圧PRcb、K0油圧PRk0、LU油圧PRluなどを供給する。
【0030】
車両10は、更に、車両10の走行制御などに関連する制御装置を含む電子制御装置90を備えている。電子制御装置90は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。電子制御装置90は、必要に応じてエンジン制御用、電動機制御用、油圧制御用等の各コンピュータを含んで構成される。なお、電子制御装置90が、本発明の制御装置に対応している。
【0031】
電子制御装置90には、車両10に備えられた各種センサ等(例えばエンジン回転速度センサ70、タービン回転速度センサ72、出力軸回転速度センサ74、MG回転速度センサ76、アクセル開度センサ78、スロットル弁開度センサ80、ブレーキスイッチ82、バッテリセンサ84、油温センサ86)による検出値に基づく各種信号等(例えばエンジン12の回転速度であるエンジン回転速度Ne、AT入力軸回転速度Niと同値であるタービン回転速度Nt、車速Vに対応するAT出力軸回転速度No、電動機MGの回転速度であるMG回転速度Nm、運転者の加速操作の大きさを表す運転者のアクセルペダル42の操作量であるアクセル開度θacc、電子スロットル弁の開度であるスロットル弁開度θth、ホイールブレーキを作動させるためのブレーキペダル44がドライバによって操作されている状態を示す信号であるブレーキオン信号Bon、バッテリ54のバッテリ温度THbatやバッテリ充放電電流Ibatやバッテリ電圧Vbat、油圧制御回路56内の作動油の温度である作動油温THoil)が、それぞれ供給される。
【0032】
電子制御装置90からは、車両10に備えられた各装置(例えばエンジン制御装置50、インバータ52、油圧制御回路56、ポンプ用モータ62など)に各種指令信号(例えばエンジン12を制御するためのエンジン制御指令信号Se、電動機MGを制御するためのMG制御指令信号Sm、係合装置CBを制御するためのCB油圧制御指令信号Scb、K0クラッチ20を制御するためのK0油圧制御指令信号Sko、LUクラッチ40を制御するためのLU油圧制御指令信号Slu、EOP60を制御するためのEOP制御指令信号Seopなど)が、それぞれ出力される。
【0033】
電子制御装置90は、車両10における各種制御を実現するために、エンジン制御部92aおよび電動機制御部92bを有するハイブリッド制御部92と、変速制御部94と、スリップグリップ検知部96と、トルクダウン制御部98と、係合油圧制御部100と、を機能的に備えている。
【0034】
ハイブリッド制御部92は、例えば要求駆動量マップにアクセル開度θaccおよび車速Vを適用することで、ドライバによる車両10に対する要求駆動量を算出する。前記要求駆動量マップは、予め実験的に或いは設計的に求められて記憶された関係すなわち予め定められた関係である。前記要求駆動量は、例えば駆動輪14における要求駆動トルクTrdemである。要求駆動トルクTrdem[Nm]は、そのときの車速Vにおける要求駆動パワーPrdem[W]である。前記要求駆動量として、駆動輪14における要求駆動力Frdem[N]、変速機出力軸26における要求AT出力トルク等を用いることもできる。
【0035】
ハイブリッド制御部92は、伝達損失、補機負荷、自動変速機24の変速比γat、バッテリ54の充電可能電力Winや放電可能電力Wout等を考慮して、要求駆動トルクTrdemを実現する、エンジン12の目標エンジントルクTedemおよび電動機MGの目標MGトルクTmdemを算出する。ハイブリッド制御部92は、算出された目標エンジントルクTedemが出力されるエンジン12のエンジン制御指令信号Seをエンジン制御装置50に出力する。また、ハイブリッド制御部92は、算出された目標MGトルクTmdemが出力される電動機MGのMG制御指令信号Smをインバータ52に出力する。エンジン制御指令信号Seは、例えばそのときのエンジン回転速度Neにおいて目標エンジントルクTedemを出力するエンジン12のパワーであるエンジンパワーPeの指令値である。MG制御指令信号Smは、例えばそのときのMG回転速度Nmにおいて目標MGトルクTmdemを出力する電動機MGの消費電力Wmの指令値である。
【0036】
ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合には、走行モードをモータ走行(以下、BEV走行)モードとする。ハイブリッド制御部92は、BEV走行モードでは、K0クラッチ20の解放状態で電動機MGのみを駆動力源として走行するBEV走行を行う。一方で、ハイブリッド制御部92は、少なくともエンジン12の出力を用いないと要求駆動トルクTrdemを賄えない場合には、走行モードをエンジン走行モードすなわちハイブリッド走行(以下、HEV走行)モードとする。
【0037】
ハイブリッド制御部92は、HEV走行モードでは、K0クラッチ20の係合状態でエンジン12および電動機MGを駆動力源として走行するエンジン走行すなわちHEV走行を行う。他方で、ハイブリッド制御部92は、電動機MGの出力のみで要求駆動トルクTrdemを賄える場合であっても、バッテリ54の充電状態値SOCが予め定められたエンジン始動閾値未満となる場合やエンジン12等の暖機が必要な場合などには、HEV走行モードを成立させる。前記エンジン始動閾値は、エンジン12を強制的に始動してバッテリ54を充電する必要がある充電状態値SOCであることを判断するための予め定められた閾値である。このように、ハイブリッド制御部92は、要求駆動トルクTrdem等に基づいて、HEV走行中にエンジン12を自動停止したり、そのエンジン停止後にエンジン12を再始動したり、BEV走行中にエンジン12を始動したりして、BEV走行モードとHEV走行モードとを適宜切り替える。
【0038】
変速制御部94は、例えば予め定められた関係である変速マップを用いて自動変速機24の変速判断を行い、必要に応じて自動変速機24の変速制御を実行するためのCB油圧制御指令信号Scbを油圧制御回路56へ出力する。前記変速マップは、例えば車速Vおよびアクセル開度θaccを変数とする二次元座標上に、自動変速機24の変速が判断されるための変速線を有する所定の関係である。
【0039】
変速制御部94は、変速中に解放される解放側の係合装置CB(以下、解放側係合装置CB1)を解放するとともに、変速中に係合される係合側の係合装置CB(以下、係合側係合装置CB2)を係合する、所謂クラッチツゥクラッチ制御を実行する。
【0040】
スリップグリップ検知部96は、たとえば路面が舗装されていないオフロードの走行中に、車両10の駆動輪14の回転速度振動すなわち駆動輪14のスリップ状態とグリップ状態とを短い周期で繰り返す回転速度の脈動であるスリップグリップを検知する。スリップグリップ検知部96は、たとえば、駆動輪14の回転速度VWの変化量(たとえば32ms間の変化量)ΔVWが予め設定された回転カウントの閾値ΔVW1を下回る連続成立時間tLがあることを、駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された閾値ΔVW1のヒス値ΔVW2(=ΔVW1+α)を所定時間以内で上回る連続外れ時間thを挟んで2回判定したことにより、駆動輪14のスリップグリップ現象の発生を検知する。
【0041】
スリップグリップ現象による駆動輪14の回転速度V
Wの変動(脈動)を示す
図3を用いて具体的に説明すると、スリップグリップ検知部96は、駆動輪14の回転速度振動(脈動)現象の発生時において、駆動輪14のスリップ状態からグリップ状態へ向かう駆動輪14の回転速度V
Wの変化量ΔV
Wの減少過程で、駆動輪14の回転速度V
Wの変化量ΔV
Wが予め設定された回転カウントの閾値ΔV
W1を下回ってから変化量ΔV
Wの下ピーク点に至るまでの連続成立時間tLが第1所定時間以上継続したことを判定して1回目のカウントを行い(t1時点)、次いで、駆動輪14のグリップ状態からスリップ状態をへて再びグリップ状態へ向かう駆動輪14の回転速度V
Wの変化量ΔV
Wの増加及び減少過程(ピーク形成過程)で、駆動輪14の回転速度V
Wの変化量ΔV
Wが予め設定された閾値ΔV
W1のヒス値ΔV
W2(ΔV
W1+α)を上回る連続外れ時間tHが第2所定時間(第1所定期間よりも長いが脈動の半周期より短い周期)以内であることを判定し、続いて、駆動輪14のスリップ状態からグリップ状態へ向かう駆動輪14の回転速度V
Wの減少過程で、駆動輪14の回転速度V
WがV
W1を下回ってから変化量ΔV
Wの下ピーク点に至るまでの連続成立時間tLが第1所定時間以上継続したことを判定して2回目のカウントを行った(t2時点)ことに基づいて、駆動輪14の回転速度V
Wの振動(スリップグリップ)現象の発生を検知する。
【0042】
スリップグリップ検知部96により駆動輪14のスリップグリップが検知されると、トルクダウン制御部98は、自動変速機24に入力されるトルクのダウンを実施する。同時に、係合油圧制御部100は、油圧制御回路56において変速制御弁の元圧であるライン圧を上昇させ、駆動輪14のスリップグリップが検知されたときの自動変速機24の変速段を達成している係合装置の係合圧PRcbを上昇させる。このように、トルクダウン制御部98により、自動変速機24に入力されるトルクダウンが実施され、同時に、係合油圧制御部100により、自動変速機24の係合装置の係合油圧が上昇させられるので、駆動輪14のスリップグリップが発生するオフロード走行において、係合油圧制御部100およびトルクダウン制御部98により、自動変速機24のクラッチが保護されつつ、オフロード走行での走破性低下が抑制される。たとえば、自動変速機24の後進段で駆動輪14のスリップグリップが発生した場合には、クラッチC1、クラッチC2、ブレーキB2のうちの最も弱い係合装置のスリップが抑制され、自動変速機24の第1速段で駆動輪14のスリップグリップが発生した場合には、クラッチC2、クラッチC3、ブレーキB2のうちの最も弱い係合装置のスリップが抑制される。
【0043】
トルクダウン制御部98は、スリップグリップ検知部96において駆動輪14のスリップグリップ現象が検知されると、駆動輪14の振動レベルすなわち駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された第1解除判定値K1未満となると、自動変速機24に入力されるトルクダウンの実施を終了させ、自動変速機24に入力されるトルクを、駆動輪14のスリップグリップ検知前の値に復帰させる。このように、前記駆動輪のスリップグリップが無くなると、直ちに、自動変速機24に入力されるトルクダウンが終了させられ、駆動輪14のスリップグリップ検知前のトルクが自動変速機24に入力されるので、車両10の走破性が高められる。
【0044】
係合油圧制御部100は、駆動輪14の振動レベルすなわち駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが第1解除判定値K1よりも低く予め設定された第2解除判定値K2未満となると、油圧制御回路56において変速制御弁の元圧であるライン圧を下降させ、そのときの自動変速機24の変速段を達成している係合装置の係合圧PRcbを、駆動輪14のスリップグリップ検知前の値に復帰させる。このように、駆動輪14のスリップグリップが無くなると、直ちに、自動変速機24の係合装置を係合させる係合圧の上昇が終了させられ、その係合装置の係合圧が駆動輪14のスリップグリップ検知前の値に復帰させられるので、不要に係合装置を強く係合させることがなく、車両10の燃費が高められる。第1解除判定値K1および第2解除判定値K2は、不要なトルクダウンおよび係合圧上昇を回避するために予め実験的に求められた値である。
【0045】
図4は、電子制御装置90の制御作動の要部を説明するためのフローチャートであり、オフロード走行において駆動輪14にスリップグリップ現象が発生したときの自動変速機24の入力トルクを低下させ、且つ自動変速機24の係合統治の係合圧を増加させる制御作動を説明するフローチャートである。
【0046】
図4において、先ず、S1において、Dレンジ又はRレンジのような走行レンジが選択され、且つトラクションコントロールを実行可能なTRCスイッチがオフに選択されているか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合は、本ルーチンが終了させられるが、肯定された場合は、スリップグリップ検知部96に対応するS2において、駆動輪14にスリップグリップが発生したか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合は、本ルーチンが終了させられるが、肯定された場合は、トルクダウン制御部98に対応するS3~S5と、係合油圧制御部100に対応するS6~S8とが、同時平衡的に実行される。
【0047】
S3では、駆動輪14のスリップグリップが検知されたときの自動変速機24のギヤ段を成立させている係合装置のすべり抑制のための自動変速機24に入力されるトルクのトルクダウンが開始される。続くS4では、駆動輪14の振動レベルすなわち駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された第1解除判定値K1未満であるか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合は、S3以下が繰り返し実施され、自動変速機24に入力されるトルクのトルクダウンが継続される。しかし、S4の判断が肯定される場合は、S5において、自動変速機24に入力されるトルクのトルクダウン制御が終了される。
【0048】
S6では、駆動輪14のスリップグリップが検知されたときの自動変速機24の変速段を達成している係合装置の係合圧PRcbを上昇させる制御が開始される。続くS7では、駆動輪14の振動レベルすなわち駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された第2解除判定値K2未満であるか否かが判断される。このS7の判断が否定される場合は、S6以下が繰り返し実施され、自動変速機24に入力されるトルクのトルクダウンが継続される。しかし、S7の判断が肯定される場合は、S8において、自動変速機24の変速段を達成している係合装置の係合圧PRcbを上昇させる制御が終了される。
【0049】
上述のように、本実施例の自動変速機24を備えた車両10の制御装置(電子制御装置90)によれば、スリップグリップ検知部96により駆動輪14のスリップグリップが検知されると、トルクダウン制御部98により、自動変速機24に入力されるトルクダウンが実施され、同時に、係合油圧制御部100により、自動変速機24の係合装置の係合油圧が上昇させられる。これにより、駆動輪14のスリップグリップが発生するオフロード走行において、係合油圧制御部100およびトルクダウン制御部98により、自動変速機24のクラッチが保護されつつ、オフロード走行での走破性低下が抑制される。
【0050】
本実施例の自動変速機24を備えた車両10の制御装置(電子制御装置90)によれば、スリップグリップ検知部96は、駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された回転カウントの閾値ΔVW1を下回る連続成立時間tLがあることを、駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された閾値ΔVW1のヒス値ΔVW2を所定時間以内で上回る連続外れ時間tHを挟んで2回判定したことにより、スリップグリップが検知される。これにより、駆動輪14のスリップグリップ現象が、速やかに検知される。
【0051】
本実施例の自動変速機24を備えた車両10の制御装置(電子制御装置90)によれば、スリップグリップ検知部96は、駆動輪14の回転速度振動(脈動)現象の発生時において、駆動輪14のスリップ状態からグリップ状態へ向かう駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWの減少過程で、駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された回転カウントの閾値ΔVW1を下回る連続成立時間tLが第1所定時間以上継続し、次いで、駆動輪14のグリップ状態から再びスリップ状態をへて再びグリップ状態へ向かう駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWの増加及び減少過程で、駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された閾値ΔVW1のヒス値ΔVW2(ΔVW1+α)を上回る連続外れ時間tHが第2の所定時間以内であり、続く、駆動輪14のスリップ状態からグリップ状態へ向かう駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWの減少過程で、駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが閾値ΔVW1を下まわる連続成立時間tLが第1所定時間以上継続したことにより、駆動輪14の回転速度振動(スリップグリップ)の発生が検知される。これにより、駆動輪14の回転速度振動(スリップグリップ)現象が、速やかに且つ確実に検知することができる。
【0052】
本実施例の自動変速機24を備えた車両10の制御装置(電子制御装置90)によれば、トルクダウン制御部98は、駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが予め設定された第1解除判定値K1未満となると、自動変速機24に入力されるトルクダウンの実施を終了させる。これにより、駆動輪14のスリップグリップが無くなると、直ちに、自動変速機56に入力されるトルクダウンが終了させられ、駆動輪14のスリップグリップ検知前のトルクが自動変速機56に入力されるので、車両10の走破性が高められる。
【0053】
本実施例の自動変速機24を備えた車両10の制御装置(電子制御装置90)によれば、係合油圧制御部100は、駆動輪14の回転速度VWの変化量ΔVWが第1解除判定値K1低く予め設定された第2解除判定値K2未満となると、自動変速機56の係合装置の係合油圧の上昇を終了させる。これにより、駆動輪14のスリップグリップが無くなると、直ちに、自動変速機56の係合装置を係合させる係合圧の上昇が終了させられ、駆動輪14のスリップグリップ検知前の自動変速機56の係合圧に復帰させられるので、不要に係合装置を強く係合させることがなく、車両10の燃費が高められる。
【0054】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0055】
例えば、前述の実施例では、車両10は、駆動力源としてエンジン12および電動機MGを備えるハイブリッド車両であったが、本発明は、必ずしもハイブリッド車両に限定されない。例えば、エンジン12のみを駆動力源とする車両であっても構わない。要は、複数個の係合装置を備える有段式の自動変速機を備えた車両であれば、本発明を適用することができる。
【0056】
また、前述の実施例の車両10は、駆動輪14が後輪である後輪駆動形式の車両であったが、前輪が駆動輪である前輪駆動形式の車両であってもよいし、前後輪が駆動輪である4輪駆動形式の車両であってもよい。
【0057】
また、前述の実施例の車両10にいて、係合圧上昇のための第2解除判定値K2は、トルクダウンを解除させるための第1解除判定値K1よりも小さい値に設定されていたが、同じ値、或いは大きい値に設定されていてもよい。
【0058】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。