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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117647
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】エンジンシステム
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/17 20160101AFI20240822BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20240822BHJP
   F02M 26/19 20160101ALI20240822BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F02M26/17
F02M35/10 101E
F02M26/19 321
F02M26/19 331
F02D9/02 351Z
F02D9/02 S
F02M35/10 311E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023858
(22)【出願日】2023-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真亮
【テーマコード(参考)】
3G062
3G065
【Fターム(参考)】
3G062AA03
3G062ED01
3G062ED04
3G062ED10
3G065AA04
3G065HA05
3G065HA06
(57)【要約】
【課題】エンジンの広い運転領域で、EGRガスを還流させること。
【解決手段】エンジンシステムは、エンジンと、スロットルバルブを有する吸気管と、排気管と、EGR装置と、を備え、スロットルバルブは、シャフトと、シャフトを中心として、シャフトと一体的に回動可能に設けられる弁体と、を有し、EGR装置は、一端が排気管に接続され、他端がシャフトに接続されたEGR管と、シャフトの内部に設けられ、EGR管の内部空間と連通する中空部と、シャフトの一側面に設けられ、中空部と吸気管の内部空間とを連通するEGRガス供給口と、を有し、スロットルバルブの弁体の両側面のうち、EGRガス供給口が配置された側の側面である第1側面は、当該第1側面の端部よりもEGRガス供給口の周辺部が盛り上がるような流線形の凸形状を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンに接続され、前記エンジンに導入される吸気の量を調整可能なスロットルバルブを有する吸気管と、
前記エンジンに接続される排気管と、
前記排気管から前記吸気管にEGRガスを還流させるEGR装置と、
を備え、
前記スロットルバルブは、
シャフトと、
前記シャフトを中心として、前記シャフトと一体的に回動可能に設けられる弁体と、
を有し、
前記EGR装置は、
一端が前記排気管に接続され、他端が前記シャフトに接続されたEGR管と、
前記排気管に設けられ、前記排気管の内部空間と前記EGR管の内部空間とを連通するEGRガス取込口と、
前記シャフトの内部に設けられ、前記EGR管の内部空間と連通する中空部と、
前記シャフトの一側面に設けられ、前記中空部と前記吸気管の内部空間とを連通するEGRガス供給口と、
を有し、
前記スロットルバルブの前記弁体の両側面のうち、前記EGRガス供給口が配置された側の側面である第1側面は、当該第1側面の端部よりも前記EGRガス供給口の周辺部が盛り上がるような流線形の凸形状を有する、
エンジンシステム。
【請求項2】
前記第1側面は、前記第1側面から前記吸気の流れが剥離しないように前記流線形に湾曲した湾曲面で構成される、
請求項1に記載のエンジンシステム。
【請求項3】
前記スロットルバルブが開状態であるとき、前記吸気管内の吸気流路は、前記弁体により、前記第1側面側の第1吸気流路と、前記第1側面とは反対側の第2側面側の第2吸気流路とに分割され、
前記EGRガス供給口の位置において、前記第1吸気流路の流路断面積は、前記第2吸気流路の流路断面積よりも小さい、
請求項1または2に記載のエンジンシステム。
【請求項4】
前記吸気管の内面のうち、前記スロットルバルブが開状態であるときの前記弁体の前記第1側面の前記凸形状と対向する部位は、前記弁体に向けて突出する凸形状を有し、
前記吸気管の内面の前記凸形状と、前記弁体の前記第1側面の前記凸形状とによって、前記第1吸気流路の前記吸気の流れを絞る絞り構造が形成されている、
請求項3に記載のエンジンシステム。
【請求項5】
前記EGRガス取込口は、前記排気管内に突出する管が排気ガスの流れに向かって開口する開口部により構成される、または、前記排気管に取り付けられたNACAダクトの開口部により構成される、
請求項1または2に記載のエンジンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されるエンジンシステムには、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置が設けられることがある。EGR装置は、排気ガスの一部(以下、EGRガスと呼ぶ。)を不活性成分として吸気に還流させ、吸気とEGRガスによる希釈混合気を再度エンジンの燃焼室で燃焼させる。吸気とEGRガスの希釈混合気がエンジンの燃焼室に再度送られ燃焼すると、比熱比の効果などにより燃焼温度を下げることができる。
【0003】
このように、EGRガスにより燃焼室での燃焼温度を下げることで、NOxの発生を抑制し、排気ガス改善を行うことができる。また、EGRガスにより燃焼室での燃焼温度を下げることで、エンジンの冷却による損失を低減でき、スロットル開度が大きくなるため、ポンピングロスも抑制することができる。その結果、燃費効率の向上を果たすことができる。
【0004】
特許文献1には、吸気管内に配置されるスロットルバルブにEGR装置を接続し、スロットルバルブから吸気管内にEGRガスを還流させることが可能なエンジンシステムについて開示がある。特許文献1には、吸気管内に配置されるスロットルバルブのシャフトを中空にし、当該中空のシャフトとEGR装置を接続し、当該シャフトに吸気管内で開口する孔を設けること、について開示がある。
【0005】
特許文献1に記載のエンジンシステムによれば、EGR装置を通ったEGRガスは、スロットルバルブの中空のシャフトの内部および孔を介して、吸気管内に導入される。これにより、EGRガスを吸気管内に導入するために、吸気管内に挿通させる別の管を設ける必要がなくなり、既存の構成を使って吸気管内にEGRガスを導入させることができる。したがって、吸気の流れに対する抵抗を低減させつつ、EGRガスと吸気の混合を改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61-29054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、排気管から吸気管にEGRガスを還流させるためには、吸気管内の圧力が排気管内の圧力よりも小さくなるような、吸気管内と排気管内との差圧が必要になる。特許文献1に記載のエンジンシステムでは、例えば、スロットルバルブが閉状態となり、吸気管のスロットルバルブより下流側が負圧となった際に、EGRガスが還流される。
【0008】
その一方で、スロットルバルブが閉状態から開状態に変化し、吸気管のスロットルバルブより下流側の圧力が高まると、吸気管内と排気管内の差圧が小さくなり、EGRガスを還流させることが困難になる。このように、特許文献1に記載のエンジンシステムでは、エンジンの運転領域のうち特定の運転領域でしかEGRガスを還流させることができなかった。
【0009】
そこで、本発明は、エンジンの広い運転領域で、EGRガスを還流可能なエンジンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の一実施形態に係るエンジンシステムは、
エンジンと、
前記エンジンに接続され、前記エンジンに導入される吸気の量を調整可能なスロットルバルブを有する吸気管と、
前記エンジンに接続される排気管と、
前記排気管から前記吸気管にEGRガスを還流させるEGR装置と、
を備え、
前記スロットルバルブは、
シャフトと、
前記シャフトを中心として、前記シャフトと一体的に回動可能に設けられる弁体と、
を有し、
前記EGR装置は、
一端が前記排気管に接続され、他端が前記シャフトに接続されたEGR管と、
前記排気管に設けられ、前記排気管の内部空間と前記EGR管の内部空間とを連通するEGRガス取込口と、
前記シャフトの内部に設けられ、前記EGR管の内部空間と連通する中空部と、
前記シャフトの一側面に設けられ、前記中空部と前記吸気管の内部空間とを連通するEGRガス供給口と、
を有し、
前記スロットルバルブの前記弁体の両側面のうち、前記EGRガス供給口が配置された側の側面である第1側面は、当該第1側面の端部よりも前記EGRガス供給口の周辺部が盛り上がるような流線形の凸形状を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エンジンの広い運転領域で、EGRガスを還流させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係るエンジンシステムの概略図である。
図2図2は、同実施形態に係るスロットルバルブの構成を説明するための概略正面図である。
図3図3は、同実施形態に係るスロットルバルブの概略断面図である。
図4図4は、同実施形態に係る吸気管内のスロットルバルブが全開状態よりも全閉状態側に位置する状態を示す概略断面図である。
図5図5は、同実施形態に係る吸気管内のスロットルバルブが全閉状態よりも全開状態側に位置する状態を示す概略断面図である。
図6図6は、同実施形態に係る排気管とEGR管との接続部の概略断面図である。
図7図7は、同実施形態に係る排気管にNACAダクトを介してEGR管が取り付けられた接続部の概略断面図である。
図8図8は、変形例に係るスロットルバルブの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るエンジンシステム10の概略図である。エンジンシステム10は、例えば、車両1に搭載される。図1に示すように、エンジンシステム10は、エンジン100と、吸気管200と、排気管300と、EGR装置400とを含む。
【0015】
エンジン100には、吸気管200および排気管300が接続されている。EGR装置400は、排気管300と吸気管200とに接続され、排気管300の内部と吸気管200の内部を、エンジン100を介さない経路で連通させる。これにより、EGR装置400は、排気管300を流通する排気ガスの一部をEGRガスとして吸気管200に還流させることができる。
【0016】
エンジン100は、シリンダブロック102と、クランクケース104と、シリンダヘッド106と、ヘッドカバー108と、クランクシャフト110とを含む。本実施形態に係るエンジン100は、クランクシャフト110を挟んで一対のシリンダブロック102、一対のクランクケース104、一対のシリンダヘッド106、一対のヘッドカバー108が対向して配された水平対向4気筒エンジンである。ただし、これに限定されず、エンジン100は、直列エンジンや、V型エンジンなどであってもよい。
【0017】
シリンダブロック102には、クランクケース104が一体的に形成される。クランクシャフト110を挟んで対向する一対のクランクケース104は、互いに接続され、内部にクランク室を形成する。シリンダブロック102のうちクランクケース104と反対側には、シリンダヘッド106が接続される。また、シリンダヘッド106のうちシリンダブロック102と反対側には、ヘッドカバー108が接続される。
【0018】
シリンダブロック102には、複数のシリンダボア112が形成される。複数のシリンダボア112には、それぞれピストン114が摺動自在に配され、ピストン114は、コネクティングロッド116に支持される。シリンダボア112と、シリンダヘッド106と、ピストン114の冠面とによって囲まれた空間が、燃焼室118として形成される。
【0019】
ピストン114は、コネクティングロッド116を介してクランクシャフト110に連結される。クランクシャフト110は、クランクケース104に回転自在に支持される。
【0020】
シリンダヘッド106には、吸気ポート120と、排気ポート122とが形成される。吸気ポート120および排気ポート122は、燃焼室118と連通する。吸気ポート120と燃焼室118との間には、吸気弁124の先端が位置する。排気ポート122と燃焼室118との間には、排気弁126の先端が位置する。
【0021】
シリンダヘッド106とヘッドカバー108とによって囲まれた空間が、カム室128として形成される。カム室128内には、吸気弁用カム130および排気弁用カム132が配される。
【0022】
吸気弁用カム130は、吸気弁124の基端と当接する。吸気弁用カム130が回転することで、吸気弁124が軸方向に移動する。これにより、吸気ポート120と燃焼室118との間が開閉される。
【0023】
排気弁用カム132は、排気弁126の基端と当接する。排気弁用カム132が回転することで、排気弁126が軸方向に移動する。これにより、排気ポート122と燃焼室118との間が開閉される。
【0024】
吸気管200の内部には、吸気流路202が形成される。吸気流路202は、外部空間および吸気ポート120と連通する。吸気管200は、インテークマニホールド204と、スロットルバルブ206と、エアクリーナ208とを含む。
【0025】
インテークマニホールド204は、シリンダヘッド106の吸気ポート120側に接続される。これにより、インテークマニホールド204内の吸気流路202と、吸気ポート120とが連通する。
【0026】
インテークマニホールド204は、略箱形状のインテークコレクタ210と、複数の吸気ブランチ212とを備える。インテークコレクタ210は、吸気ブランチ212に接続され、吸気ブランチ212に吸気を分配する。吸気ブランチ212は、一端がインテークコレクタ210と接続され、他端がエンジン100の各吸気ポート120に接続されている。
【0027】
スロットルバルブ206は、エンジン100に導入される吸気の量を調整可能に構成される。スロットルバルブ206は、インテークマニホールド204より吸気の上流側に配置される。スロットルバルブ206は、インテークマニホールド204とエアクリーナ208との間に配される。スロットルバルブ206は、吸気流路202を開閉可能に構成される。スロットルバルブ206は、不図示のアクセルペダルの開度に応じてアクチュエータにより駆動され、スロットルバルブ206の開度が調整される。これにより、エンジン100に導入される吸気の量を調整することができる。
【0028】
エアクリーナ208は、スロットルバルブ206より吸気の上流側に配される。エアクリーナ208は、外部空間から吸気流路202に流入する異物を除去する。例えば、エアクリーナ208は、空気が吸気流路202に流入する際に、空気中に含まれる異物を除去する。エアクリーナ208によって異物が除去された空気は、吸気流路202を流通する吸気となる。吸気は、吸気流路202および吸気ポート120を通じて燃焼室118に供給される。
【0029】
シリンダヘッド106には、不図示のインジェクタと、不図示の点火プラグとが設けられる。インジェクタは、燃料を噴射して燃焼室118内に燃料を供給する。点火プラグは、先端が燃焼室118内に配され、燃焼室118内に供給された燃料と空気の混合気を点火する。
【0030】
燃料と空気の混合気は、所定のタイミングで点火プラグにより点火され、燃焼される。かかる燃焼により、ピストン114が往復運動を行い、その往復運動が、コネクティングロッド116を通じてクランクシャフト110の回転運動に変換される。
【0031】
排気管300の内部には、排気流路302が形成される。排気流路302は、排気ポート122と外部空間とを連通する。燃焼室118で生じた燃焼後の排気ガスは、排気ポート122および排気流路302を通じて外部空間へ排出される。排気管300は、エキゾーストマニホールド304と、触媒306とを備える。
【0032】
エキゾーストマニホールド304は、シリンダヘッド106の排気ポート122側に接続される。これにより、エキゾーストマニホールド304内の排気流路302と、排気ポート122とが連通する。
【0033】
触媒306は、エキゾーストマニホールド304より排気の下流側に配される。触媒306は、例えば、三元触媒(Three-Way Catalyst)であって、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)を含む。触媒306は、燃焼室118から排出された排気ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)を除去する。
【0034】
EGR装置400は、排気管300から吸気管200に排気ガスの一部をEGRガスとして還流させるために設けられる。EGR装置400は、EGR管402と、EGRクーラ404と、EGRバルブ406とを備える。
【0035】
EGR管402は、一端が排気管300に接続され、他端が吸気管200に接続される。具体的に、本実施形態のEGR管402は、一端が排気管300のうち触媒306よりも下流側に接続され、他端が吸気管200に設けられるスロットルバルブ206に接続される。
【0036】
排気管300のうち触媒306よりも下流側にEGR管402が接続されることで、触媒306により炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)が除去された排気ガスをEGRガスとして導入することができる。そのため、後述するEGR流路408中をEGRガスが流通した際に、EGR流路408中にデボジットが形成され難くなる。なお、排気管300を流通する排気ガスの圧力は、触媒306通過後に低下する。つまり、排気管300を流通する排気ガスの圧力は、触媒306より下流側が上流側に比べて低くなる。本実施形態のEGR管402には、このような触媒306通過後の圧力が低下した後の排気ガスの一部がEGRガスとして導入される。
【0037】
EGR管402の内部には、EGR流路408が形成され、EGR流路408は、排気流路302と吸気流路202とを連通させる。EGR流路408は、燃焼室118で生じた燃焼後の一部の排気ガスであるEGRガスを排気流路302から吸気流路202に還流させる。吸気流路202に還流されたEGRガスは、吸気流路202を流通する空気と混合し、エンジン100の燃焼室118に導入される。空気とEGRガスが混合することで、燃焼室118での燃焼温度を低下させることができる。
【0038】
このように、EGRガスにより燃焼室118での燃焼温度を下げることで、NOxの発生を抑制し、排気ガス改善を行うことができる。また、EGRガスにより燃焼室118での燃焼温度を下げることで、エンジン100の冷却による損失を低減でき、スロットル開度が大きくなるため、ポンピングロスも抑制することができる。その結果、燃費効率の向上を果たすことができる。
【0039】
EGRクーラ404は、EGR管402に設けられ、EGR流路408を流通するEGRガスを冷却する。
【0040】
EGRバルブ406は、EGR管402に設けられ、EGR流路408を開閉する。EGRバルブ406は、不図示のアクチュエータにより駆動され、EGRバルブ406の開度が調整される。これにより、排気流路302から吸気流路202に還流されるEGRガスの量を調整することができる。
【0041】
図2は、本実施形態に係るスロットルバルブ206の構成を説明するための概略正面図である。図2に示すように、スロットルバルブ206は、シャフト206aと、弁体206bとを有する。
【0042】
シャフト206aは、EGR管402の端部と接続されている。シャフト206aは、中空形状に形成されている。シャフト206aの内部には、EGR管402の内部空間と連通する中空部206cが形成されている。EGR管402の端部には、EGR管402をシャフト206aに接続するための接続口402aが形成されている。
【0043】
EGR管402に接続口402aが形成されることで、接続口402aは、EGR管402を流通するEGRガスをシャフト206aの中空部206cに供給することができる。シャフト206aの外周面のうち一側の半周面には、EGRガス供給口206dが設けられる。また、シャフト206aの外周面のうち他側の半周面には、EGRガス供給口206dが設けられない。つまり、シャフト206aの一側面には、EGRガス供給口206dが設けられ、シャフト206aの他側面には、EGRガス供給口206dが設けられない。
【0044】
EGRガス供給口206dは、吸気管200の内部空間に配置される。これにより、EGRガス供給口206dは、シャフト206aの中空部206cと吸気管200の内部空間とを連通させる。これにより、EGRガス供給口206dは、EGR管402およびシャフト206aの中空部206cを通ったEGRガスを吸気流路202に供給することができる。
【0045】
このとき、EGR管402の内部空間およびシャフト206aの中空部206cは、EGRガスが流通するEGR流路408として機能する。つまり、シャフト206aの中空部206cは、EGRガスが流通するEGR流路408の一部として機能する。
【0046】
本実施形態では、EGRガス供給口206dは、シャフト206aの中心軸方向に沿って複数形成される。図2では、EGRガス供給口206dは、シャフト206aの中心軸方向に沿って3つ形成される。ただし、これに限定されず、シャフト206aの一側面には、単一のEGRガス供給口206dが形成されてもよい。
【0047】
弁体206bは、シャフト206aと一体的に回動可能に設けられる。シャフト206aの回動により、弁体206bは、全閉状態となる位置および全開状態となる位置の間で移動することができる。ここで、全閉状態は、スロットルバルブ206と吸気管200の内面との間の流路断面積が最も小さくなる位置であり、全開状態は、スロットルバルブ206と吸気管200の内面との間の流路断面積が最も大きくなる位置である。
【0048】
弁体206bの外形は、吸気流路202の流路断面形状と同じあるいは近似した形状である。本実施形態では、吸気流路202の流路断面形状が円形状であり、弁体206bの外形も円形状に形成される。
【0049】
ところで、EGRガスをスロットルバルブ206を介して吸気流路202に供給する場合、吸気管200内の圧力が排気管300内の圧力よりも小さくなるような、吸気管200内と排気管300内との差圧が必要になる。この差圧は、例えば、スロットルバルブ206が全閉状態となり、吸気流路202のスロットルバルブ206より下流側が負圧となった際に発生する。
【0050】
しかし、スロットルバルブ206が全閉状態から全開状態に向けて移行すると、吸気流路202のスロットルバルブ206より下流側の圧力が高まり、吸気管200内と排気管300内の差圧が小さくなり、EGRガスを還流させることが困難になる。スロットル開度は、エンジン100の運転領域の変化に伴い変化させられるため、エンジン100の一部の運転領域でしかEGRガスを還流されることができなくなるおそれがある。
【0051】
そこで、本実施形態では、スロットルバルブ206の弁体206bの構成を工夫することで、エンジン100の広い運転領域で、EGRガスを還流させる。以下、本実施形態のスロットルバルブ206の弁体206bの構成について詳細に説明する。
【0052】
図3は、本実施形態に係るスロットルバルブ206の概略断面図である。図3に示すように、弁体206bは、第1側面206eおよび第2側面206fを有する。第1側面206eは、弁体206bの両側面のうち、シャフト206aのEGRガス供給口206dが配置された側の側面である。
【0053】
第2側面206fは、弁体206bの両側面のうち、シャフト206aのEGRガス供給口206dが配置された側とは反対側の側面である。つまり、第2側面206fは、弁体206bの両側面のうち、第1側面206eと反対側の側面である。
【0054】
また、弁体206bは、シャフト206aから最も離れた位置に2つの端部P1、P2を有する。弁体206bの端部P1は、スロットルバルブ206が開状態であるとき、端部P2よりも吸気流路202における上流側に位置する端部である。ここで、スロットルバルブ206の開状態は、スロットルバルブ206の全閉状態以外の状態を意味する。つまり、スロットルバルブ206の開状態は、スロットルバルブ206の全閉状態から開かれた状態を意味する。弁体206bの端部P2は、スロットルバルブ206が開状態であるとき、端部P1よりも吸気流路202における下流側に位置する端部である。
【0055】
弁体206bの第1側面206eは、端部P1からEGRガス供給口206dに向けて高さが高くなるように傾斜している。また、第1側面206eは、EGRガス供給口206dから端部P2に向けて高さが低くなるように傾斜している。したがって、EGRガス供給口206dは、弁体206bの第1側面206eの高さが最も高い位置に設けられる。
【0056】
第1側面206eは、端部P1、P2よりもEGRガス供給口206dの周辺部が盛り上がるような凸形状を有する。また、第1側面206eは、第1側面206eから吸気の流れが剥離しないように流線形に構成される。本実施形態では、第1側面206eは、端部P1、P2からEGRガス供給口206dに向かって盛り上がるような山なり形状を有している。
【0057】
図3に示すように、第1側面206eは、流線形に湾曲した湾曲面で構成される。ただし、第1側面206eは、第1側面206eから吸気の流れが剥離し難い形状を有していればよく、少なくとも一部が流線形を有していればよい。そのため、第1側面206eは、湾曲面に限定されず、例えば、平面と曲面の組合せにより構成されていてもよい。その場合、平面と平面との間に曲面が配置されることで、吸気の流れを剥離し難くすることができる。
【0058】
弁体206bの第2側面206fは、平面である。ただし、第2側面206fは、平面と曲面の組み合わせにより構成されてもよい。したがって、第2側面206fは、例えば、端部P1、P2より外側に突出した凸形状を有していてもよいし、内側に窪んだ凹形状を有していてもよい。その場合、端部P1、P2に対する第2側面206fの最大高さは、端部P1,P2に対する第1側面206eの最大高さよりも低く設定される。
【0059】
つまり、端部P1、P2に対する第2側面206fの突出量は、端部P1,P2に対する第1側面206eの突出量よりも小さく設定される。なお、第2側面206fが凸形状あるいは凹形状に形成される場合も、第1側面206eと同様に、第2側面206fから吸気の流れが剥離しないように流線形に構成される。
【0060】
なお、弁体206bの断面形状は、第1側面206eが端部P1、P2よりもEGRガス供給口206dの周辺部において盛り上がるような流線形の凸形状を有していればよく、図3に示す山なり形状に限定されない。例えば、弁体206bの断面形状は、後ほど図8で説明するように翼断面形状であってもよい。
【0061】
図4は、吸気管200内のスロットルバルブ206が全開状態よりも全閉状態側に位置する状態を示す概略断面図である。図4に示すように、シャフト206aの中心軸は、吸気流路202内を流れる吸気の流れFL1と直交する方向に延びるように設けられる。
【0062】
シャフト206aが回動することでスロットルバルブ206が全閉状態に近づくにつれ、弁体206bにより吸気流路202が絞られ、弁体206bの下流側に渦領域(ウエイク)が形成される。
【0063】
この渦領域は、弁体206bよりも上流側の吸気の圧力に比べ、吸気の圧力が小さい減圧領域R1となる。この減圧領域R1における吸気の圧力が、排気管300を流れる排気ガスの圧力よりも小さくなるとき、図4に示すようにEGRガス供給口206dからEGRガスが吸気流路202に供給され、EGRガスの流れFL2が形成される。
【0064】
図5は、吸気管200内のスロットルバルブ206が全閉状態よりも全開状態側に位置する状態を示す概略断面図である。図5に示すように、スロットルバルブ206が開状態であるとき、吸気管200内の吸気流路202は、弁体206bにより第1吸気流路202aと第2吸気流路202bとに分割される。
【0065】
第1吸気流路202aは、吸気流路202のうち、弁体206bの第1側面206e側の流路である。第2吸気流路202bは、吸気流路202のうち弁体206bの第1側面206eとは反対側の第2側面206f側の流路である。また、吸気管200の内面のうち、弁体206bの第1側面206e側の凸形状と対向する部位には、弁体206bに向けて突出する凸形状となる凸部200aが形成される。
【0066】
この凸部200aの凸形状と弁体206bの第1側面206eの凸形状とによって、第1吸気流路202aの吸気の流れを絞る絞り構造が形成される。このとき、EGRガス供給口206dの位置における弁体206bの第1側面206eと吸気管200の凸部200aとの間の距離を、距離L1とする。また、シャフト206aのうち、EGRガス供給口206dと180°反対の位置における弁体206bの第2側面206fと吸気管200の内面との間の距離を、距離L2とする。
【0067】
弁体206bの第1側面206eの凸形状と吸気管200の内面に設けられた凸部200aの凸形状との絞り構造により、距離L1は、距離L2よりも小さくなる。また、距離L1が距離L2より小さいことで、EGRガス供給口206dの位置における第1吸気流路202aの流路断面積は、第2吸気流路202bの流路断面積よりも小さくなる。
【0068】
このように、絞り構造により第1吸気流路202aの流路断面積が小さくなることで、第1吸気流路202aを流れる吸気の流速は、第2吸気流路202bを流れる吸気の流速よりも速くなる。その結果、第1吸気流路202aを流れる吸気の圧力は、第2吸気流路202bを流れる吸気の圧力よりも小さくなる。
【0069】
また、弁体206bの第1側面206eが流線形の凸形状を有することで、第1側面206eに沿って流れる吸気の流速は、第2側面206fに沿って流れる吸気の流速よりも速くなる。その結果、第1吸気流路202aの第1側面206eに沿って流れる吸気の圧力は、第2吸気流路202bの第2側面206fに沿って流れる吸気の圧力よりも小さくなる。
【0070】
これにより、第1吸気流路202aのうちEGRガス供給口206d近傍の領域が、減圧領域R1となる。第2吸気流路202bを流れる吸気の圧力と比べて、第1吸気流路202aの減圧領域R1における吸気の圧力が小さくなる。この減圧領域R1における吸気の圧力が、排気管300を流れる排気ガスの圧力よりも小さくなるとき、図5に示すようにEGRガス供給口206dからEGRガスが吸気流路202に供給され、EGRガスの流れFL2が形成される。
【0071】
このように、弁体206bの第1側面206eを流線形の凸形状とすることで、スロットルバルブ206が全閉状態から開状態に移行し、スロットルバルブ206より下流側の圧力が回復しても、吸気管200内と排気管300内の差圧を大きくすることができる。その結果、スロットルバルブ206の開状態においてもEGRガスを還流させることができ、エンジン100の広い運転領域で、EGRガスを還流させることができる。
【0072】
図6は、排気管300とEGR管402との接続部の概略断面図である。図6に示すように、EGR管402は、排気管300に接続され、EGR管402の一部は、排気管300内に突出する突出管410として構成される。
【0073】
突出管410の先端には、排気管300内の排気ガスの流れに向かって開口する開口部により構成されるEGRガス取込口412が設けられる。EGRガス取込口412は、排気管300の内部空間とEGR管402の内部空間とを連通する。なお、EGRガス取込口412の開口面積は、排気管300の流路断面積よりも小さい。
【0074】
ここで、EGR管402を排気管300内に突出させずに、所謂フラッシュマウントにより取り付け、排気ガスの一部をEGRガスとして取り込む場合、EGR管402は、排気ガスの全圧のうち静圧をEGRガスの圧力として取り込むことができる。
【0075】
一方、図6に示すように、排気管300内に突出するEGR管402の突出管410から排気ガスの一部をEGRガスとして取り込む場合、排気ガスの静圧と動圧を含む全圧をEGRガスの圧力として取り込むことができる。
【0076】
そのため、排気ガスの動圧が高くなるほど、EGRガスの圧力を高めることができ、その結果、吸気流路202を流れる吸気の圧力とEGRガスの圧力との差圧を大きくすることができる。よって、EGR管402に突出管410を設けることで、スロットルバルブ206の開状態においてもEGRガスを還流させ易くすることができる。
【0077】
なお、排気管300とEGR管402との接続部は、図6に示す突出管410を設ける構成に限定されず、排気管300に所謂NACAダクトが取り付けられる構成としてもよい。
【0078】
図7は、排気管300にNACAダクト1410を介してEGR管402が取り付けられた接続部の概略断面図である。図7に示すように、EGR管402は、排気管300に取り付けられるNACAダクト1410を有する。NACAダクト1410は、排気管300の内部空間とEGR管402の内部空間とを連通する開口部により構成されるEGRガス取込口1412を有する。
【0079】
ここで、EGR管402をNACAダクト1410を介さずに排気管300にフラッシュマウントで取り付け、排気ガスの一部をEGRガスとして取り込む場合、EGR管402は、排気ガスの全圧のうち静圧をEGRガスの圧力として取り込むことができる。
【0080】
一方、図7に示すように、NACAダクト1410から排気ガスの一部をEGRガスとして取り込む場合、排気ガスの静圧がEGR管402内に取り込まれる際の圧力低下を抑制することができる。
【0081】
そのため、EGR管402がNACAダクト1410を介して排気管300に取り付けられることで、EGRガスの圧力低下を抑制することができ、その結果、吸気流路202を流れる吸気の圧力とEGRガスの圧力との差圧を大きくすることができる。よって、EGR管402にNACAダクト1410を設けることで、スロットルバルブ206の開状態においてもEGRガスを還流させ易くすることができる。
【0082】
以上のように、本実施形態の弁体206bの第1側面206eは、当該第1側面206eの端部P1、P2よりもEGRガス供給口206dの周辺部が盛り上がるような流線形の凸形状を有する。
【0083】
これにより、第1側面206eに沿って流れる吸気の流速を第2側面206fに沿って流れる吸気の流速よりも速くすることが可能となり、第1側面206eに沿って流れる吸気の圧力を第2側面206fに沿って流れる吸気の圧力よりも小さくすることができる。その結果、第1吸気流路202aのうちEGRガス供給口206d近傍の領域が、第2吸気流路202bを流れる吸気の圧力に比べ、吸気の圧力が小さい減圧領域R1となる。
【0084】
この減圧領域R1における吸気の圧力が、排気管300を流れる排気ガスの圧力よりも小さくなるとき、EGRガスを吸気流路202に還流させることができる。よって、スロットルバルブ206が全閉状態から開状態に移行し、スロットルバルブ206より下流側の圧力が回復しても、吸気管200内と排気管300内の差圧を大きくすることができる。その結果、スロットルバルブ206の開状態においてもEGRガスを還流させることができ、エンジン100の広い運転領域で、EGRガスを還流させることができる。
【0085】
また、第1側面206eは、第1側面206eから吸気の流れが剥離しないように流線形に湾曲した湾曲面で構成される。流線形に湾曲した湾曲面により構成することで、吸気の流れの抵抗を小さくしつつ、第1側面206eからの吸気の流れの剥離を極力抑え、減圧領域R1を形成し易くすることができる。
【0086】
また、EGRガス供給口206dの位置において、第1吸気流路202aの流路断面積は、第2吸気流路202bの流路断面積よりも小さい。これにより、第1吸気流路202aを流れる吸気の流速を第2吸気流路202bを流れる吸気の流速よりも速くすることができ、第1吸気流路202aを流れる吸気の圧力を第2吸気流路202bを流れる吸気の圧力よりも小さくすることができる。その結果、第1吸気流路202aのうちEGRガス供給口206d近傍の領域が、第2吸気流路202bを流れる吸気の圧力に比べ、吸気の圧力が小さい減圧領域R1となる。この減圧領域R1における吸気の圧力が、排気管300を流れる排気ガスの圧力よりも小さくなるとき、EGRガスを吸気流路202に還流させることができる。
【0087】
また、吸気管200の内面のうち、スロットルバルブ206が開状態であるときの弁体206bの第1側面206eの凸形状と対向する部位には、弁体206bに向けて突出する凸形状を有する凸部200aが形成される。そして、吸気管200の内面の凸部200aの凸形状と、弁体206bの第1側面206eの凸形状とによって、第1吸気流路202aの吸気の流れを絞る絞り構造が形成されている。これにより、第1吸気流路202aの流路断面積を第2吸気流路202bの流路断面積よりも小さくさせやすくできる。
【0088】
また、EGRガス取込口412は、排気管300内に突出する突出管410が排気ガスの流れに向かって開口する開口部により構成される、または、排気管300に取り付けられたNACAダクトの開口部により構成される。これにより、EGR管402が排気管300にフラッシュマウントで取り付けられる場合に比べ、EGRガスを取り込む際の圧力を高める、あるいは、圧力低下を抑制することができる。
【0089】
図8は、変形例に係るスロットルバルブ1206の概略断面図である。上記実施形態のスロットルバルブ206と実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。
【0090】
図8に示すように、本変形例のスロットルバルブ1206の弁体1206bは、翼断面形状を有する。弁体1206bの第1側面1206eは、端部P1からEGRガス供給口206dに向けて高さが高くなるように傾斜している。また、第1側面1206eは、EGRガス供給口206dから端部P2に向けて高さが低くなるように傾斜している。したがって、EGRガス供給口206dは、弁体1206bの第1側面1206eの高さが最も高い位置に設けられる。
【0091】
第1側面1206eは、端部P1、P2よりもEGRガス供給口206dの周辺部が盛り上がるような凸形状を有する。また、第1側面1206eは、第1側面1206eから吸気の流れが剥離しないように流線形に湾曲した湾曲面で構成される。
【0092】
一方、第2側面1206fも、第1側面1206eと同様に、端部P1、P2よりも外側に盛り上がるような凸形状を有する。また、第2側面1206fは、第2側面1206fから吸気の流れが剥離しないように流線形に湾曲した湾曲面で構成される。
【0093】
しかし、端部P1、P2に対する第1側面1206eの最大高さは、第2側面1206fの最大高さより大きい。そのため、第1側面1206eに沿って流れる吸気の流速は、第2側面1206fに沿って流れる吸気の流速よりも速くなる。その結果、第1吸気流路202aの第1側面1206eに沿って流れる吸気の圧力は、第2吸気流路202bの第2側面1206fに沿って流れる吸気の圧力よりも小さくなる。
【0094】
これにより、図5に示すように、第1吸気流路202aのうちEGRガス供給口206d近傍の領域が、第2吸気流路202bを流れる吸気の圧力に比べ、吸気の圧力が小さい減圧領域R1となる。この減圧領域R1における吸気の圧力が、排気管300を流れる排気ガスの圧力よりも小さくなるとき、図5に示すようにEGRガス供給口206dからEGRガスが吸気流路202に供給され、EGRガスの流れFL2が形成される。
【0095】
このように、本変形例においても、減圧領域R1における吸気の圧力が、排気管300を流れる排気ガスの圧力よりも小さくなるとき、EGRガスを吸気流路202に還流させることができる。よって、スロットルバルブ1206が全閉状態から開状態に移行し、スロットルバルブ1206より下流側の圧力が回復しても、吸気管200内と排気管300内の差圧を大きくすることができる。その結果、スロットルバルブ1206の開状態においてもEGRガスを還流させることができ、エンジン100の広い運転領域で、EGRガスを還流させることができる。また、図8に示す翼断面形状に弁体1206bを形成することで、図3に示す断面形状を有する弁体206bと比べて、吸気の流れの抵抗を小さくすることができる。
【0096】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0097】
例えば、上記実施形態および変形例では、吸気管200の内面に凸形状となる凸部200aを設ける例について説明したが、凸部200aは必須の構成ではなく、凸部200aは、吸気管200に設けられなくてもよい。
【0098】
また、上記実施形態および変形例では、EGRガス取込口412、1412が、突出管410の開口部により構成される、または、NACAダクト1410の開口部により構成される例について説明したが、これに限定されない。例えば、EGRガス取込口は、EGR管402が排気管300にフラッシュマウントで取り付けられた際の開口部により構成されてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 エンジンシステム
100 エンジン
200 吸気管
200a 凸部
202 吸気流路
206 スロットルバルブ
206a シャフト
206b 弁体
206c 中空部
206d EGRガス供給口
206e 第1側面
206f 第2側面
300 排気管
302 排気流路
400 EGR装置
402 EGR管
402a 接続口
404 EGRクーラ
406 EGRバルブ
408 EGR流路
410 突出管
412 EGRガス取込口
1206 スロットルバルブ
1206b 弁体
1206e 第1側面
1206f 第2側面
1410 NACAダクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8