(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117667
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】板状屋根材
(51)【国際特許分類】
E04D 1/12 20060101AFI20240822BHJP
E04D 1/34 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
E04D1/12 G
E04D1/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023885
(22)【出願日】2023-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】512251253
【氏名又は名称】甍エンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
(57)【要約】
【課題】従来の屋根材は再利用出来る状態で取り外すことが難しく、再利用できる状態で多くの工数をかけて取り外す手間よりも、新たな屋根材を用意した方がコスト的に安くなるため、屋根材の劣化が進んでいなくても屋根材を廃棄するという課題があった。
【解決手段】本発明の板状屋根材は、緊結材はビスを用いて屋根下地に固定する板状屋根材の屋根構造において、板状屋根材の働き幅寸法は建物の設計単位寸法の二分の一とし、働き長さの水平投影寸法は働き幅寸法の二分の一とし、働き長さ寸法は勾配ごとに働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置し、水上止水部はルーフィングの上面と接地し、水抜き部はルーフィングの上面より離隔し、全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置し、第2緊結穴を有し、規格化形状屋根材の緊結材はビスを用いて屋根下地に固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材の屋根構造において、
前記板状屋根材の尻側には複数の第1緊結穴を設け、
前記下面には前記第1緊結穴毎に前記第1緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、
前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、
前記板状屋根材の働き幅寸法は前記建物の設計単位寸法の二分の一とし、
前記板状屋根材の働き長さの水平投影寸法は前記働き幅寸法の二分の一とし、
働き長さ寸法は前記屋根の前記勾配ごとに前記働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、
前記板状屋根材を敷設した際には、
流れ方向で下段の前記板状屋根材の前記尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、
桁方向では隣り合う前記板状屋根材の側面を当接するように配置し、
前記流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置し、
前記水上止水部は前記ルーフィングの上面と接地し、
前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔し、
陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、寄棟棟違い部、谷部などの全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置し、
前記規格化形状屋根材は第2緊結穴を有し、
前記規格化形状屋根材の前記緊結材は前記ビスを用いて前記屋根下地に固定することを特徴とする板状屋根材の屋根構造。
【請求項2】
前記板状屋根材及び前記規格化形状板状屋根材の材質が陶磁器であることを特徴とする請求項1の板状屋根材の屋根構造。
【請求項3】
前記水抜き部は前記第1緊結穴毎に前記下面の前記第1緊結穴の両側に前記第1緊結穴から離隔した位置で設けたことを特徴とする請求項1記載の板状屋根材の屋根構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は板状屋根材の屋根構造に関する技術分野であり、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材の屋根構造において、前記板状屋根材の尻側には複数の第1緊結穴を設け、前記下面には前記第1緊結穴毎に前記第1緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材の働き幅寸法は前記建物の設計単位寸法の二分の一とし、前記板状屋根材の働き長さの水平投影寸法は前記働き幅寸法の二分の一とし、働き長さ寸法は前記屋根の前記勾配ごとに前記働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、前記板状屋根材を敷設した際には、流れ方向で下段の前記板状屋根材の前記尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、桁方向では隣り合う前記板状屋根材の側面を当接するように配置し、前記流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置し、前記水上止水部は前記ルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔し、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、寄棟棟違い部、谷部などの全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置し、前記規格化形状屋根材は第2緊結穴を有し、前記規格化形状屋根材の前記緊結材は前記ビスを用いて前記屋根下地に固定することを特徴とした技術である。
【背景技術】
【0002】
従来技術の特許文献1には、実公平8-6907号の屋根構造がある。この特許文献は、板状の屋根材の天然石からなる屋根板の配設構造に関するものである。
板状の屋根材の天然石からなる屋根板の配設構造として、屋根面に複数載置される屋根板と、断面L字状をなし上面に流水溝を有するジョイント板と、これら屋根板およびジョイント板を屋根面に固定する釘と、両面接着テープと、から構成し、前記屋根板は、水平方向において側端部同士を当接するように配置され、前記ジョイント板は各屋根板同士の前記当接部分の下面にL字状の立上り部分が屋根板の上端と係合するように配設され、前記釘は屋根板の上方両縁部に屋根板およびジョイント板を屋根面に固定するように打ち込まれ、前記両面接着テープは、前記各釘の上面を覆うように、釘に沿って水平に貼着するようにして屋根の水平方向における一列を構成し、この水平方向における一列を、屋根面の下方から上方にかけて、前列の両面接着テープ部分に、屋根板およびジョイント板の下方端が重合するように複数列設ける提案がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では板状の屋根材の天然石からなる屋根板の配設構造に関するものであり、屋根面に複数載置される屋根板と、断面L字状をなし上面に流水溝を有するジョイント板と、これら屋根板およびジョイント板を屋根面に固定する釘と、両面接着テープと、から構成し、前記屋根板は、水平方向において側端部同士を当接するように配置され、前記ジョイント板は各屋根板同士の前記当接部分の下面にL字状の立上り部分が屋根板の上端と係合するように配設され、前記釘は屋根板の上方両縁部に屋根板およびジョイント板を屋根面に固定するように打ち込まれ、前記両面接着テープは、前記各釘の上面を覆うように、釘に沿って水平に貼着するようにして屋根の水平方向における一列を構成し、この水平方向における一列を、屋根面の下方から上方にかけて、前列の両面接着テープ部分に、屋根板およびジョイント板の下方端が重合するように複数列設けることを特徴とするものである。この構成により、各屋根板間の当接部から侵入する雨水が屋根面に到達することを防止するようにして、屋根板の三枚重ねを不用とすることにより屋根板枚数を減少させるとともに、従来の天然石からなる屋根板の三枚重ね部における厚み不均一を解消し、両面接着テープにより釘目をシールして防水性を向上させる一方、屋根板の亀裂等から生じる屋根板の落下を防止するという効果を発揮する。
【0005】
特許文献1の板状の屋根材の天然石からなる屋根板の配設構造では、屋根板を固定する釘は屋根板の上方両縁部に屋根板およびジョイント板を屋根面に固定するように打ち込まれ、前記両面接着テープは、前記各釘の上面を覆うように、釘に沿って水平に貼着するようにして屋根の水平方向における一列を構成し、この水平方向における一列を、屋根面の下方から上方にかけて、前列の両面接着テープ部分に、屋根板およびジョイント板の下方端が重合するように複数列設けることで、防水性能の向上と屋根材の固定性能の向上を発揮するとあるが、両面接着テープの経年劣化により屋根板上面からの防水性能は低下してくる。
屋根板の上面からの防水性能が低下し、屋根材の裏面側に雨水が吹き込んでしまった際に、吹き込んだ雨水が屋根面の上面に浸入し、屋根材の下面側を軒先側に流れ出し、屋根板を固定する釘の釘穴部から屋根面に打ち込まれている釘を伝って屋根下地内部に雨水が浸入してしまうという課題があった。
また、天然石からなる屋根材は本来耐久性の高い屋根材だが、屋根への取り付けの際に屋根板を釘で留め付け、更に各釘の上面を両面接着テープで上面を覆う配設構造となっているため、屋根材を再利用出来る状態で取り外すことが難しく、再利用できる状態で多くの工数をかけて取り外す手間よりも、新たな屋根材を用意した方がコスト的に安くなるため、屋根材の劣化が進んでいなくても屋根材を廃棄するという事が取られている。
この大量生産、大量消費、大量廃棄の考え方は、特許文献1が発明された時代では当たり前の考え方であったが、その結果、現在は気候変動問題、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の破壊など様々な環境問題に発展している。
大量生産、大量消費、大量廃棄といった一方通行型の経済社会活動から、持続可能な形で資源を利用する「循環経済」への移行を実現するために、製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指す屋根材が必要とされている。
【0006】
本発明は、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材の屋根構造において、前記板状屋根材の尻側には複数の第1緊結穴を設け、前記下面には前記第1緊結穴毎に前記第1緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材の働き幅寸法は前記建物の設計単位寸法の二分の一とし、前記板状屋根材の働き長さの水平投影寸法は前記働き幅寸法の二分の一とし、働き長さ寸法は前記屋根の前記勾配ごとに前記働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、前記板状屋根材を敷設した際には、流れ方向で下段の前記板状屋根材の前記尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、桁方向では隣り合う前記板状屋根材の側面を当接するように配置し、前記流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置し、前記水上止水部は前記ルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔し、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、寄棟棟違い部、谷部などの全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置し、前記規格化形状屋根材は第2緊結穴を有し、前記規格化形状屋根材の前記緊結材は前記ビスを用いて前記屋根下地に固定することで、屋根材の下面側に雨水が吹き込んでしまった場合においても、屋根材下面の第1緊結穴から緊結材であるビスを伝って雨水が野地板内部に浸入しない板状屋根材を提供する。
従来は直接屋根下地に留め付ける屋根材の場合、緊結材をビスにするとルーフィングをビスのネジ部で大きく穴を開けてしまい、屋根材の裏に回った雨水をルーフィングでは防水しきれない技術的な問題があった。
そのため、直接屋根下地に留め付ける屋根材ではビスが使われずに釘が使われていた。
しかし、屋根材を釘で留め付けた場合、屋根材を再利用出来る状態で取り外すことが難しく、再利用できる状態で多くの工数をかけて取り外す手間よりも、新たな屋根材を用意した方がコスト的に安くなるため、屋根材の劣化が進んでいなくても屋根材を廃棄し、新たな需要に対しては新たに屋根材を生産し提供するという事が繰り返され、温室効果ガスの排出による地球温暖化、資源の枯渇、廃棄による環境破壊などの問題があった。
また、従来の屋根構造では、屋根端部に納める板状屋根材の加工形状は全ての端部毎に形状が異なり、屋根端部の屋根材を再利用するには屋根端部の全ての屋根材に屋根端部のどこで使われていたかを記録し、再利用の際にその位置に配置する必要があった。
この作業は非常に手間の掛かる作業であり、現実的には新たな瓦を使用し、葺き直した方がコスト的に安くなるという現状がある。
従来の屋根構造では、屋根端部の加工した屋根材の再利用は葺き直し手間が非常に多く掛かってしまい、新たな瓦を使うよりも再利用による作業手間のコストの方がより多く掛かってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明の板状屋根材の屋根構造は、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材の屋根構造において、前記板状屋根材の尻側には複数の第1緊結穴を設け、前記下面には前記第1緊結穴毎に前記第1緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材の働き幅寸法は前記建物の設計単位寸法の二分の一とし、前記板状屋根材の働き長さの水平投影寸法は前記働き幅寸法の二分の一とし、働き長さ寸法は前記屋根の前記勾配ごとに前記働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、前記板状屋根材を敷設した際には、流れ方向で下段の前記板状屋根材の前記尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、桁方向では隣り合う前記板状屋根材の側面を当接するように配置し、前記流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置し、前記水上止水部は前記ルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔し、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、寄棟棟違い部、谷部などの全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置し、前記規格化形状屋根材は第2緊結穴を有し、前記規格化形状屋根材の前記緊結材は前記ビスを用いて前記屋根下地に固定することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の板状屋根材の屋根構造において、前記板状屋根材及び前記規格化形状板状屋根材の材質が陶磁器であることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の板状屋根材の屋根構造において、前記水抜き部は前記第1緊結穴毎に前記下面の前記第1緊結穴の両側に前記第1緊結穴から離隔した位置で設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材の屋根構造において、前記板状屋根材の尻側には複数の第1緊結穴を設け、前記下面には前記第1緊結穴毎に前記第1緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材の働き幅寸法は前記建物の設計単位寸法の二分の一とし、前記板状屋根材の働き長さの水平投影寸法は前記働き幅寸法の二分の一とし、働き長さ寸法は前記屋根の前記勾配ごとに前記働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、前記板状屋根材を敷設した際には、流れ方向で下段の前記板状屋根材の前記尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、桁方向では隣り合う前記板状屋根材の側面を当接するように配置し、前記流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置し、前記水上止水部は前記ルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔し、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、寄棟棟違い部、谷部などの全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置し、前記規格化形状屋根材は第2緊結穴を有し、前記規格化形状屋根材の前記緊結材は前記ビスを用いて前記屋根下地に固定することで、風雨による雨水の吹込みに対する防水性能を向上させることが出来る。
本発明では、板状屋根材にて1次防水を行いルーフィングで2次防水を行っている。
暴風雨などでは1次防水だけでは雨水の浸入を防ぎきることが出来ないため、屋根材の奥のルーフィング上まで雨水が吹き込んだ場合、ルーフィング上の雨水を緊結材の穴から屋根下地内部に浸入させることなく軒先側に円滑に流し出すことが防水性能として必要になる。
本発明の板状屋根材は、尻側に第1緊結穴を複数設け、第1緊結穴毎に下面の尻側に水上止水部を設けている。
板状屋根材は、緊結材としてビスを使用することで、板状屋根材を屋根下地に固定する際に水上止水部がルーフィング上面と強く密着され、屋根材の裏面にあるルーフィング上まで吹き込んだ雨水は水上止水部で完全に止水されることになる。
水上止水部の水下側にある板状屋根材を固定するビスには雨水が浸入することが無くなり、その結果、ビス固定部から屋根下地内部に雨水が浸入することが無くなる。
第1緊結穴毎に水上止水部を設け、水上止水部の両側にルーフィング上面と離隔している水抜き部を設ける構成とすることで、ルーフィング上まで吹き込んだ雨水は水上止水部で滞留せずにルーフィング上面と離隔している水抜き部から雨水を軒先側に円滑に流し出すことが出来る。
本発明の板状屋根材は、敷設の際に流れ方向で下段の板状屋根材の尻側に上段の板状屋根材の頭側を重ねて配置する構成により、ルーフィング上面と板状屋根材の下面は、軒先側に行くにしたがって板状屋根材の厚み分だけ離隔する為、水抜き穴から流れた雨水を軒先まで円滑に流し出すことが出来る。
軒先側に行くにしたがって板状屋根材の厚み分だけ離隔する構成については複数の水抜き穴を有する構成と合わさることにより、水抜き穴が空気の通り道となり、ルーフィング上面の空気が桁方向だけでなく流れ方向の両方向に動く効果を発揮し、板状屋根材下の空間で屋根面全体の通気が促進される。
屋根面全体で通気が促進されることにより、ルーフィング上に浸入した雨水や冬場の放射冷却現象により発生する結露水などを乾燥させるので、屋根下地の腐食を防止し、屋根全体の耐久性を上げることが出来る。
また、本発明の板状屋根材は、前記の効果によりビスを使用した場合でも防水における課題が解決できるようになった為、板状屋根材を屋根下地の上に設けたルーフィングの上に直接敷設し、屋根下地にビスで固定する構成が実現し、その結果、屋根材を損傷なく容易に取り外すことが出来る。
この構成により、工数を掛けなくても屋根材を容易に取り外せるようになったため、安価に屋根材を再利用することが出来るようになり、従来は葺き替えが必要だった建て替えやルーフィング材の交換などでも屋根材を廃棄せず本発明の板状屋根材を繰り返し再利用することが出来るようになった。
さらに、本発明の板状屋根材は、板状屋根材の働き幅寸法は前記建物の設計単位寸法の二分の一とし、前記板状屋根材の働き長さの水平投影寸法は前記働き幅寸法の二分の一とし、働き長さ寸法は前記屋根の前記勾配ごとに前記働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、前記板状屋根材を敷設した際には、流れ方向で下段の前記板状屋根材の前記尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、桁方向では隣り合う前記板状屋根材の側面を当接するように配置し、前記流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置することにより、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、寄棟棟違い部、谷部などの全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置することが出来る。全ての屋根端部には規格化した形状の規格化形状屋根材が配置されるので、どこの屋根端部にどの屋根材を配置していいたのかを記録する必要が無くなる。
そして、屋根端部に敷設する規格化形状屋根材の緊結材をビスとすることで、屋根端部の板状屋根材の取り外しが容易となり、再利用を簡単に行うことが出来る。
その結果、葺き替えの際に本発明の板状屋根材を再利用した方が、現状の屋根材を廃棄し新たな屋根材を用いて施工するよりもコスト的に安くなり、再利用によるメリットが多くなる。
本発明を用いる際に、その屋根材の素材を耐久性が非常に高い陶磁器にした場合、200年、300年と繰り返し使うことが出来るので、温室効果ガスの排出抑制、資源消費の最小化、廃棄物の抑制による環境保護といった人類共通の課題により多くの貢献が出来、屋根材における「循環経済」への移行を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の実施例による板状屋根材の製品図面の断面図
【
図3】本発明の実施例による板状屋根材と規格化形状屋根材の屋根伏せ図
【
図4】本発明の実施例による板状屋根材の施工断面図
【
図5】本発明の実施例による板状屋根材の施工断面図の拡大図
【
図6】本発明の実施例による板状屋根材と規格化形状屋根材の屋根伏せ図
【
図7】本発明の実施例による隅棟右規格化形状屋根材の製品図面
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施の形態における板状屋根材の屋根構造は、勾配を有する建物の屋根の屋根下地の上にルーフィングを設け、前記ルーフィングの上に板状屋根材を直接敷設し、緊結材はビスを用いて前記屋根下地に固定する前記板状屋根材の屋根構造において、前記板状屋根材の尻側には複数の第1緊結穴を設け、前記下面には前記第1緊結穴毎に前記第1緊結穴よりも前記尻側に水上止水部を設け、前記水上止水部の両端には水抜き部を設け、前記板状屋根材の働き幅寸法は前記建物の設計単位寸法の二分の一とし、前記板状屋根材の働き長さの水平投影寸法は前記働き幅寸法の二分の一とし、働き長さ寸法は前記屋根の前記勾配ごとに前記働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、前記板状屋根材を敷設した際には、流れ方向で下段の前記板状屋根材の前記尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、桁方向では隣り合う前記板状屋根材の側面を当接するように配置し、前記流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置し、前記水上止水部は前記ルーフィングの上面と接地し、前記水抜き部は前記ルーフィングの前記上面より離隔し、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、寄棟棟違い部、谷部などの全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置し、前記規格化形状屋根材は第2緊結穴を有し、前記規格化形状屋根材の前記緊結材は前記ビスを用いて前記屋根下地に固定するものである。
本実施の形態によれば、本発明の板状屋根材は、風雨による雨水の吹込みに対する防水性能を向上させることが出来る。
本発明では、板状屋根材にて1次防水を行いルーフィングで2次防水を行っている。
暴風雨などでは1次防水だけでは雨水の浸入を防ぎきることが出来ないため、屋根材の奥のルーフィング上まで雨水が吹き込んだ場合、ルーフィング上の雨水を緊結材の穴から屋根下地内部に浸入させることなく軒先側に円滑に流し出すことが防水性能として必要になる。
本発明の板状屋根材は、尻側に第1緊結穴を複数設け、第1緊結穴毎に下面の尻側に水上止水部を設けている。
板状屋根材は、緊結材としてビスを使用することで、板状屋根材を屋根下地に固定する際に水上止水部がルーフィング上面と強く密着され、屋根材の裏面にあるルーフィング上まで吹き込んだ雨水は水上止水部で完全に止水されることになる。
水上止水部の水下側にある板状屋根材を固定するビスには雨水が浸入することが無くなり、その結果、ビス固定部から屋根下地内部に雨水が浸入することが無くなる。
第1緊結穴毎に水上止水部を設け、水上止水部の両側にルーフィング上面と離隔する水抜き部を設ける構成とすることで、ルーフィング上まで吹き込んだ雨水は水上止水部で滞留せずにルーフィング上面と離隔している水抜き部から雨水を軒先側に円滑に流し出すことが出来る。
また、本発明の板状屋根材は、敷設の際に流れ方向で下段の板状屋根材の尻側に上段の板状屋根材の頭側を重ねて配置する構成により、ルーフィング上面と板状屋根材の下面は、軒先側に行くにしたがって板状屋根材の厚み分だけ離隔する為、水抜き穴から流れた雨水を軒先まで円滑に流し出すことが出来る。
軒先側に行くにしたがって板状屋根材の厚み分だけ離隔する構成については複数の水抜き穴を有する構成と合わさることにより、水抜き穴が空気の通り道となり、ルーフィング上面の空気が桁方向だけでなく流れ方向の両方向に動く効果を発揮し、板状屋根材下の空間で屋根面全体の通気が促進される。
屋根面全体で通気が促進されることにより、ルーフィング上に浸入した雨水や冬場の放射冷却現象により発生する結露水などを乾燥させるので、屋根下地の腐食を防止し、屋根全体の耐久性を上げることが出来る。
本発明の板状屋根材の屋根構造は、前記の効果によりビスを使用した場合でも防水における課題が解決できるようになった為、板状屋根材を屋根下地の上に設けたルーフィングの上に直接敷設し、屋根下地にビスで固定する構成が実現し、その結果、屋根材を損傷なく容易に取り外すことが出来る。
この構成により、工数を掛けなくても屋根材を容易に取り外せるようになったため、安価に屋根材を再利用することが出来るようになり、従来は葺き替えが必要だった建て替えやルーフィング材の交換などでも屋根材を廃棄せず本発明の板状屋根材を繰り返し再利用することが出来るようになった。
さらに、本発明の板状屋根材の屋根構造は、板状屋根材の働き幅寸法は前記建物の設計単位寸法の二分の一とし、前記板状屋根材の働き長さの水平投影寸法は前記働き幅寸法の二分の一とし、働き長さ寸法は前記屋根の前記勾配ごとに前記働き長さの水平投影寸法に勾配伸び率を乗じた寸法とし、前記板状屋根材を敷設した際には、流れ方向で下段の前記板状屋根材の前記尻側に上段の前記板状屋根材の頭側を重ねて配置し、桁方向では隣り合う前記板状屋根材の側面を当接するように配置し、前記流れ方向の段毎で前記働き幅寸法の二分の一をずらして配置することにより、陸棟部、隅棟部、ケラバ部、三又部、寄棟棟違い部、谷部などの全ての屋根端部には、規格化した形状の規格化形状屋根材を配置することが出来る。
全ての屋根端部には規格化した形状の規格化形状屋根材が配置されるので、どこの屋根端部にどの屋根材を配置していいたのかを記録する必要が無くなる。
そして、屋根端部に敷設する規格化形状屋根材の緊結材をビスとすることで、屋根端部の板状屋根材の取り外しが容易となり、再利用を簡単に行うことが出来る。
その結果、葺き替えの際に本発明の板状屋根材の屋根構造を用いて板状屋根材と規格化形状屋根材を再利用した方が、現状の屋根材を廃棄し新たな屋根材を用いて施工するよりもコスト的に安くなり、本発明によるメリットが多くなる。
【0013】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による板状屋根材の屋根構造において、前記板状屋根材及び前記規格化形状板状屋根材の材質が陶磁器であるというものである。
本実施の形態によれば、屋根材の素材を耐久性が非常に高い陶磁器にした場合、200年、300年と繰り返し使うことが出来るので、温室効果ガスの排出抑制、資源消費の最小化、廃棄物の抑制による環境保護といった人類共通の課題に対して多くの貢献が出来、屋根材における「循環経済」への移行を実現することが出来る。
また、陶磁器の屋根材の場合、紫外線劣化による退色が無いため、屋根材の塗り替えにおけるメンテナンス費用が掛からない。
陶磁器の屋根材では、下葺き材の劣化から葺き替えといったメンテナンス費用が必要になるが、本実施の形態を用いることで、板状屋根材だけでなく規格化形状屋根材の再利用が非常に高い施工性で可能となるため、新たな屋根材を購入する必要が無くなり葺き替えの際に掛かる費用を大幅に下げることが出来る。
【0014】
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による板状屋根材の屋根構造において、前記水抜き部は前記第1緊結穴毎に前記下面の前記第1緊結穴の両側に前記第1緊結穴から離隔した位置で設けるというものである。
本実施の形態によれば、水上止水部で止水した雨水をより円滑に水抜き部から軒先側に円流し出すことが出来る。
【実施例0015】
以下本発明の実施例による板状屋根材1の屋根構造について説明する。
図1は実施例による板状屋根材1の製品図面である。
図1は板状屋根材1の製品図面で投影法による6面図である。
左側面図は右側面図と対象にあらわれるため省略している。
図1の平面図では製品の上面9をあらわしており、板状屋根材1を屋根2に敷設する際の伏せ図で用いる図である。
桁方向3は図面位置での左右方向、流れ方向4は図面位置での上下方向となり、図面位置の下側が板状屋根材1の頭側6、上側が尻側5となる。
実施例の板状屋根材1では、働き幅寸法Wは455mmであり建物の設計単位寸法Pでは、尺モジュールの0.5Pにあたる寸法としている。
実施例の板状屋根材1は、耐久性の高い陶磁器素材とし、金型で成形しやすい形状としている。
全長さ寸法LAについては300mmであり、働き幅寸法Wとの寸法比は次の通りとなる。
全長さ寸法LA:働き幅寸法W=1:約1.5
働き長さLについては、屋根2の勾配26ごとに勾配伸び率応じて設定を変えている。
実施例では、働き長さの水平投影寸法Lhを建物の設計単位寸法Pの1/4にあたる227.5mmとし、働き長さの水平投影寸法Lhに勾配伸び率を掛けて働き長さLを求めている。平面図には3寸勾配、4寸勾配、5寸勾配でのそれぞれの働き長さLを記載している。
尻側水切りと第1緊結穴11を働き長さLよりも尻側5に設けている。
第1緊結穴11は4個であり左右対称に設けている。
また、平面図では第1緊結穴11と同時に緊結穴上面側11Uも表している。
右側面図では、側端部7、下面8の尻側5に尻部垂直面17とルーフィング接地面18を表している。
実施例では、板状屋根材1の厚みTは8.5mmとしている。
下面8には凹面10が設けて有り、凹面深さDは1mmとしている。
底面図は、板状屋根材1の下面8を表す図である。
前記板状屋根材1の下面8には矩形の凹面10を一定間隔で複数個設け、格子状としている。
本発明の板状屋根材1は、下面8に矩形の凹面10を一定間隔で複数個設けた格子状とすることで、屋根材として必要な耐曲げ破壊荷重を維持しながら屋根材の軽量化を図ることが出来る。
下面8に矩形の凹面10を一定間隔で複数個設けた格子状とすることで、板状屋根材1の下面8とルーフィング25上面との空間容量が増え、板状屋根材1から屋根下地24への断熱性能が向上する。
板状屋根材1の尻側5には複数の第1緊結穴11を設け、下面8には第1緊結穴11毎に第1緊結穴11よりも尻側5に水上止水部12を設けている。
実施例では、4つの第1緊結穴11に対して、それぞれの尻側5に水上止水部12を設け、第1緊結穴11毎に水上止水部12の両端に凹面10の水抜き部13を設けている。
水抜き部13は、一つひとつの第1緊結穴11毎に第1緊結穴11の両側で離隔した位置に設けている。
水上止水部12の両端に凹面10を設けることで、敷設の際に水抜き部13はルーフィング25の上面と離隔し、ルーフィング25上に浸入した雨水を滞留させることなく軒先側27へ排出する。
水上止水部12の長さは短い方が雨水の滞留は少なくなるが、第1緊結穴11からの離隔距離が短くなると軒先側27に流れる際にルーフィング25上で雨水が第1緊結穴11の方まで広がる恐れがある。
第1緊結穴11と水抜き穴13の離隔距離は5mmから60mmの範囲が望ましい。
言い換えれば、第1緊結穴11に対して尻側5に位置する水上止水部12は桁方向3の片側で5mmから60mmの範囲で第1緊結穴に重なる構成が望ましく、水上止水部12の長さで表現すれば10mmから120mmの長さの範囲が望ましい。
実施例の水上止水部12の桁方向3の長さ寸法は、46mmと32mmとなっている。
4つの第1緊結穴11に対して第1緊結穴11の両側に水抜き穴13を設けているが、3つの水抜き穴13は隣り合う第1緊結穴11と共用しているので、4つの第1緊結穴11に対して5つの水抜き穴13を設けている。
板状屋根材1の下面8の第1緊結穴11の周囲は、第1緊結穴11の周囲が水上止水部12と連続した矩形の平面としている。
板状屋根材1は下面8における第1緊結穴11の周囲面と水上止水部12とが連続した矩形の平面なのでルーフィング25上面との密着が第1緊結穴11周囲面まで及び止水性能が向上する。
また、第1緊結穴11の周囲の基材の肉厚が厚いため強風による吹き上げ荷重がかかった際にも高い耐風強度を発揮することが出来る。
水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12には水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設けている。
本実施例では、平面部15の尻側端部16が水上止水部12となるが、水上止水部12はルーフィング25上面とルーフィング接地面18と面で接地しルーフィング接地面18全体が水上止水部12として機能する。
板状屋根材1の下面8の頭側6には矩形で凹面10の緊結材収納空間14を4個設けている。緊結材収納空間14は第1緊結穴11と対応する構成のため、本実施例では第1緊結穴11が4個なので緊結材収納空間も4個を設けている。
本実施例の緊結材収納空間14は桁方向3に縦長になっているが、これは勾配26毎の勾配伸び率により重なり寸法が変わることで緊結材19と緊結材収納空間14の位置関係が変わったとしても緊結材収納空間14に収納できるよう縦長になっている。
図1には
図2に記載の断面図の断面位置を記載している。
【0016】
図2は実施例による板状屋根材1の製品図面の断面図である。
図2(a)は、
図1の平面図に図示されたA-A断面箇所における断面図である。
板状屋根材1の下面8には凹面深さDが1mmの凹面10が流れ方向4で連続している。
図2(a)の拡大図は第1緊結穴11の周囲及び水上止水部12の構成を示している。
板状屋根材1の下面8の水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12には水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設けている。
第1緊結穴11の下面8の周囲が水上止水部12と連続した平面となっている。
緊結穴上面側11Uは円錐形状になっており、断面図では上面9に向けて広がるテーパー形状になっている。
図2(b)は、
図1の平面図に図示されたB-B断面箇所における断面図である。
板状屋根材1の下面8の頭側6には、凹面深さDが1mmの緊結材収納空間14がある。
図2(b)の拡大図は水抜き部13の構成を示している。
水上止水部12の両側に凹面10を設け、その凹面10を水抜き止水部13としている構成なので、板状屋根材1を敷設する際、水抜き部13はルーフィング25上面より凹面深さDと近似する距離だけ離隔することにより、ルーフィング25上に浸入した雨水を緊結材19で屋根下地24に留め付けた留め付け穴に雨水を浸入させることなく軒先側27に排水することが出来る。
図2(c)は、
図1の底面図に図示されたC-C断面箇所における断面図である。
板状屋根材1の下面8には凹面深さDが1mmの凹面10が桁方向3で連続している。
【0017】
図3は実施例による板状屋根材1と規格化形状屋根材29の屋根伏せ図である。
本実施例の伏せ図は切妻屋根もしくは片流れ屋根形状の一つの屋根面における屋根伏せ図であり、平部と屋根端部28のケラバ部35に板状屋根材1と規格化形状屋根材29が敷設されている図である。
実施例の板状屋根材1の働き幅寸法Wは建物の設計単位寸法Pの二分の一であり、建物の設計単位寸法Pは尺モジュールの910mmなので、働き幅寸法Wは910mmの二分の一の455mmとなる。
板状屋根材1の働き長さの水平投影寸法Lhは働き幅寸法Wの二分の一であり、実施例では227.5mmとなる。
働き長さ寸法Lは屋根2の勾配26ごとに働き長さの水平投影寸法Lhに勾配伸び率を乗じた寸法である。
働き長さの水平投影寸法Lhは働き幅寸法Wの二分の一であり、かつ設計単位寸法Pの四分の一の227.5mmである。働き長さの水平投影寸法Lhは一定だが、働き長さLは勾配26毎に勾配伸び率が異なるため勾配26毎に変化する。
屋根2の勾配26は5寸勾配としているので、勾配伸び率は1.118となる。
よって、本図における板状屋根材1の働き長さLは、働き長さの水平投影寸法Lhの227.5mmに勾配伸び率の1.118を掛けた寸法の254.4mmとなる。
板状屋根材1の全長さ寸法LAは300mmなので、屋根材の重なり寸法は45.6mmとなる。
敷設は、軒先側27から葺き始める。軒先側27の1段目を桁方向3の左側のケラバ部35から葺き始めると仮定して敷設手順を記載する。
1段目の葺き始めは屋根端部28のケラバ部35に板状屋根材1を配置し、隣り合う板状屋根材1の側面7を当接するように右側に連続して配置する。
1段目が全て敷設出来たら、1段目の板状屋根材1の尻側5に2段目の板状屋根材1の頭側6を重ねて配置する。
流れ方向4においては、下段の板状屋根材1の尻側5に上段の板状屋根材1の頭側6を重ねて配置することを陸棟部33まで繰り返すが、
図3は施工手順をあらわすために途中で配置を終えている。
桁方向においては、1段毎に働き幅寸法Wの二分の一である227.5mmをずらして配置する。
1段目のケラバ部35には板状屋根材1を配置しているので、2段目は板状屋根材1の働き幅寸法Wの半分の働き幅寸法を有した規格化形状屋根材29の半瓦48をケラバ部35に配置する。
2段目に半瓦48をケラバ部35に配置することで、2段目の板状屋根材1は1段目と比べて働き幅寸法Wの二分の一である227.5mmをずらした配置となる。
屋根端部28のケラバ部35には、板状屋根材1と規格化した形状の規格化形状屋根材29である半瓦48を段ごとに交互に配置する。
規格化形状屋根材29である半瓦48は第2緊結穴30を有し、緊結材19はビス19Bを用いて屋根下地24に固定する。
1段目と2段目の板状屋根材1と規格化形状屋根材29の配置の関係は、3段目と4段目に繰り返され、以後も同じ配置の関係が繰り返される。
本実施例の板状屋根材1は、耐久性の高い陶磁器素材としている。
陶磁器素材は、紫外線劣化もなく、耐久性は200年、300年と長く使える素材であり、緊結材19をビス19Bとすることで屋根2から板状屋根材1及び規格化形状屋根材29を取り外す際に、板状屋根材1及び規格化形状屋根材29を損傷させることなく容易に取り外せる構成としている。
板状屋根材1の取り付け方法は、上面9の尻側5の屋根材重なり部に設けている4つの第1緊結穴11の内、内側の2つの第1緊結穴11を用いてジョイント板23と板状屋根材1を緊結材19で屋根下地24に共打ちで固定する。
ジョイント板23の中央ラインと板状屋根材1の側端部7を合わせることで容易に働き幅寸法Wの二分の一をずらした千鳥葺きを行うことが出来る。
緊結材19は屋根下地24への固定保持力が高く取り外しが容易なビス19Bを用いる。
留め付けの手順としては、先ず、板状屋根材1の4つの第1緊結穴11の内、外側の2つの第1緊結穴11を用いて、板状屋根材1と屋根下地24を固定する。
その後、内側の2つの第1緊結穴11を用いてジョイント板23と板状屋根材1を緊結材19で屋根下地24に共打ちで固定する。
ビス19Bを用いて屋根下地25に固定する構成としているので損傷なく板状屋根材1と規格化形状屋根材29を取り外すことが出来、再利用することで製品を廃棄することなく繰り返し使用することが出来る。
【0018】
図4は実施例による板状屋根材1の施工断面図である。
図4(a)は、
図3の屋根伏せ図に図示されたD-D断面箇所における断面図であり、流れ方向4での断面図である。
屋根2の勾配26は5寸勾配で、勾配伸び率は1.118となる。
屋根下地24の上にルーフィング25を施工し、そのルーフィング25上に板状屋根材1を直接敷設し、緊結材19にて屋根下地24に固定する構造である。
緊結材19はビス19Bを用いる。
緊結材19をビス19Bにすることで屋根下地24への固定強度が増すことで、大型台風などの強風においても飛散することなく板状屋根材1を固定することが出来る基本性能だけでなく、緊結穴上面側11Uの円錐形状の上面9又は板状屋根材1上面9とビス頭部20Hの下面8が密着することで板状屋根材1上面9からの止水性能が向上する。
さらに、ビス19Bで固定することで板状屋根材1の水上止水部12とルーフィング25上面が完全に密着するため板状屋根材1下面8からの止水性能を向上させることが出来る。
働き長さの水平投影寸法Lhは設計単位寸法の1/4の227.5mmであり、働き長さLは、働き長さの水平投影寸法Lhの227.5mmに勾配伸び率の1.118を掛けて254.4mmとなる。
流れ方向4で下段の板状屋根材1の尻側5に上段の板状屋根材1の頭側6を重ねて配置する。
水上止水部12はルーフィング25上面と接地し、水抜き部13はルーフィング25上面より離隔する。
本実施例では、働き幅寸法Wの半分ずらした千鳥葺きなので1段ごとにビス19Bにて留め付けている図になっている。水上止水部12とルーフィング25上から離隔している水抜き部13の納まりが交互となっている。
本発明では、板状屋根材1にて1次防水を行いルーフィング25で2次防水を行っている。
暴風雨などでは1次防水だけでは雨水の浸入を防ぎきることが出来ないため、屋根材の奥のルーフィング25上まで雨水が吹き込んだ場合、ルーフィング25上の雨水を緊結材19で屋根下地24に開けた穴から屋根下地24内部に浸入させることなく軒先側27に円滑に流し出すことが防水性能として必要になる。
板状屋根材1は、尻側5に設けた複数の第1緊結穴11に対して尻側5の下面8に水上止水部12を設けている。
この水上止水部12が板状屋根材1を敷設した際にルーフィング25上面と接地することで水上止水部12は雨水の水下側への浸入を止水する。
板状屋根材1は、緊結材19で屋根下地24に固定する際にことで、水上止水部12とルーフィング25上面の接地面は密着され、屋根材の下面8側のルーフィング25上まで吹き込んだ雨水は水上止水部12で完全に止水される。
水上止水部12の水下側にある第1緊結穴11への雨水の浸入は無くなり、その結果、緊結材19で屋根下地24に開けた穴から屋根下地24内部に雨水が浸入することも無くなる。
本実施例におけるルーフィング接地面18の傾斜角度は、板状屋根材1を働き長さLを254.4mmで敷設した際に、板状屋根材1の厚みT8.5mmにより発生する戻り勾配の角度となる。
厚みT8.5mm÷働き長さLを254.4mm=0.0334となり、この0.0334をアークタンジェントで計算することで戻り勾配の角度を算出することが出来る。
本実施例における戻り勾配は1.9度となるため、ルーフィング接地面18の傾斜角度を1.9度で設定することでルーフィング25の上面とルーフィング接地面18とは面接地する。
図4(b)は、
図4(a)の施工断面図に図示されたE-E断面箇所における断面図であり、桁方向3での断面図である。
緊結材19の水上側に水上止水部12があり、その水上止水部12の両端には凹面10の水抜き部13を設けている。
水上止水部12はルーフィング25上と接地することでルーフィング25上に浸入した雨水を止水し、水上止水部12の両端に設けた水抜き部13にて雨水を軒先側に流す構造となっている。
ルーフィング25上まで吹き込んだ雨水は、水上止水部12で止水することで一旦雨水が滞留するが、水上止水部12の両端に設けた凹面10を有した水抜き部13がルーフィング25上面と離隔しているので、水上止水部12で滞留した雨水を軒先側27に流し出すことが出来る。
図4(c)は、
図4(a)の水抜き部13の拡大図である。
水抜き部13がルーフィング25上から離隔しているため、吹き込んだ雨水を水抜き部13で軒先側27に流す。
その結果、緊結材19で屋根下地24に開けた穴から屋根下地24内部に雨水を浸入させることが無い。
本発明の板状屋根材1は、敷設の際に流れ方向4で下段の板状屋根材1の尻側5に上段の板状屋根材1の頭側6を重ねて配置する構成により、ルーフィング25上面と板状屋根材1の下面8は、軒先側27に行くにしたがって板状屋根材1の厚みT分だけ離隔する為、水抜き部13から流れた雨水を軒先側27まで円滑に流し出すことが出来る。
【0019】
図5は実施例による板状屋根材の施工断面図における、
図4(a)のビス19B固定部の拡大図である。
図5(a)は、D-D断面図のビス19Bで固定している部分の拡大図であり、ビス頭部20Hの上面がフラット形状のビス19Bを使用している図である。
ビス19Bは、ビス頭部20Hと軸部21の接合部22が円錐形状となっている。
本実施の形態では、板状屋根材1の上面9からビス頭部20Hを極力出したくないことから、ビス頭部20Hの上面形状をフラット形状のビス19Bとしている。
また、第1緊結穴11の緊結穴上面側11Uもビス19Bと同様に円錐形状となっている。
ビス頭部20Hの上面9がフラット形状のビス19Bの場合、ビス頭部20Hと軸部21の剪断強度を上げるためにビス頭部20Hと軸部21の接合部22を円錐形状とし、ビス19Bの円錐形状部と第1緊結穴11が干渉しないように緊結穴上面側11Uも円錐形状にすることで、板状屋根材1の上面9からのビス頭20Hの出寸法を最小にすることが出来る。
板状屋根材1を敷設して固定する際にビス19Bで屋根下地24に留め付けることで、緊結穴上面側11Uの前記円錐形状の上面とビス19Bのビス頭部20Hの下面が密着する。
更に、ビス19Bで屋根下地24に固定することで、水上止水部12とルーフィング25上面が密着する。
その結果、板状屋根材1の重なり部に浸入した雨水や重なり部を越えてルーフィング25上まで浸入した雨水を止水することが出来る。
板状屋根材1の下面8の頭側6には、凹面10の緊結材収納空間14を設けている。
敷設した際に、上段の板状屋根材1の緊結材収納空間14の凹面深さDが、下段の板状屋根材1を留め付けているビス19Bのビス頭部20Hの高さより深くなっているので、ビス頭部20Hは板状屋根材1の下面8と干渉することなく緊結材収納空間14内に納まる。
本実施の形態によれば、板状屋根材1を留め付ける緊結材19は、緊結材19の緊結材頭部20の高さ分だけ板状屋根材1の上面9よりも高い位置に位置するが、緊結材19の緊結材頭部20の高さよりも深い凹面10を持った緊結材収納空間14が緊結材19の緊結材頭部20を収納するので、板状屋根材1の下面と緊結材19の緊結材頭部20が干渉して板状屋根材1の頭側6が浮き、隙間が出来てしまうことを防ぐことが出来る。
その結果、上下段の板状屋根材1は隙間なく敷設されるため、風雨の吹込みに対して高い防水性能を発揮することが出来る。
また、緊結材19の緊結材頭部20と板状屋根材1の下面8が干渉した場合、施工者が板状屋根材1に載った際に施工者の体重が点荷重として板状屋根材1に掛かるため、踏み割れなどの不具合が発生してしまうが、緊結材収納空間14を設けることで板状屋根材1の頭側6の下面8と板状屋根材1の尻側5の上面9が面で荷重を受けるので高い耐荷重性能を発揮することが出来る。
板状屋根材1の下面8に設けている水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設ける。
水上止水部12の内、ルーフィング25の上面と接地することで止水機能を発揮している部分は、尻側端部16とルーフィング接地面18となる。
本実施の形態によれば、本発明の板状屋根材1はルーフィング接地面18がルーフィング25の上面と面接地することで水上止水部12における止水性能がさらに向上する。
更に施工者が板状屋根材1の上に載ったり、積雪などにより板状屋根材1の上面9から板状屋根材1の本体に荷重が掛かった際に、ルーフィング接地面18がルーフィング25上面と面接地するため、板状屋根材1の強度を向上させることが出来る。
図5(b)はD-D断面図のビス19Bで固定している部分の拡大図であり、ビス頭部20Hの上面がフラットに近く厚みが薄い円弧形状のビス19Bを使用している図である。
板状屋根材1の上面9からビス頭部20Hを極力出したくないことから、ビス頭部20Hの上面形状をフラットに近い薄い頭部のビス19Bとしている。
ビス19Bは、ビス頭部20Hと軸部21の接合部22が円錐形状となっている。
また、第1緊結穴11の緊結穴上面側11Uもビス19Bと同様に円錐形状となっている。
ビス頭部20Hの上面9がフラットに近い薄い頭部形状のビス19Bの場合、ビス頭部20Hと軸部21の剪断強度を上げるためにビス頭部20Hと軸部21の接合部22を円錐形状とし、ビス19Bの円錐形状部と第1緊結穴11が干渉しないように緊結穴上面側11Uも円錐形状にすることで、板状屋根材1の上面9からのビス頭20Hの出寸法を最小にすることが出来る。
板状屋根材1を敷設して固定する際にビス19Bで屋根下地24に留め付けることで、板状屋根材1上面9と前記ビス19Bのビス頭部20Hの下面が密着する。
更に、ビス19Bで屋根下地24に固定することで、水上止水部12とルーフィング25上面が密着する。
その結果、板状屋根材1の重なり部に浸入した雨水や重なり部を越えてルーフィング25上まで浸入した雨水を止水することが出来る。
板状屋根材1の下面8の頭側6には、凹面10の緊結材収納空間14を設けている。
敷設した際に、上段の板状屋根材1の緊結材収納空間14の凹面深さDが、下段の板状屋根材1を留め付けているビス19Bのビス頭部20Hの高さより深くなっているので、ビス頭部20Hは板状屋根材1の下面8と干渉することなく緊結材収納空間14内に納まる。
板状屋根材1の下面8に設けている水上止水部12には板状屋根材1の上面9と平行な平面部15を有し、水上止水部12の平面部15の尻側端部16から尻部垂直面17の下端部に向けてルーフィング接地面18を設ける。
水上止水部12の内、ルーフィング25の上面と接地することで止水機能を発揮している部分は、尻側端部16とルーフィング接地面18となる。
【0020】
図6は実施例による板状屋根材1と規格化形状屋根材29の屋根伏せ図である。
屋根形状は寄棟切妻混合屋根で、屋根端部28に陸棟部33、隅棟部34、ケラバ部35、三又部36、寄棟棟違い部38、谷部37を有し、全ての屋根端部28には、規格化した形状の規格化形状屋根材29を配置している。
屋根2は、5つの屋根面を有する棟違い屋根であり、水平投影図ではL字型の屋根形状である。
設計単位寸法Pは、尺モジュールであり、1Pが910mmである。
軒の出31は455mm、破風の出32も455mmであり、設計単位寸法Pで表すと0.5Pとなる。
板状屋根材1の働き幅寸法Wは455mm、働き長さの水平投影寸法Lhは227.5mmであり、設計単位寸法Pで表すと0.5Pと0.25Pとなる。
屋根2には多くの屋根端部28を有しており、2本の陸棟部33、4本の隅棟部34、左右のケラバ部35、1本の谷部37といった屋根端部28を有している。
また、陸棟部33と2本の隅棟部34が交差する屋根端部28の三又部36、陸棟部33と隅棟部34と谷部37が交差する屋根端部28の寄棟棟違い部38を有している。
棟違い部は切妻屋根と寄棟屋根で異なった形状の規格化形状屋根材29を有する。
本実施例での棟違い部は寄棟棟違い部38である。
陸棟部33に配置される規格化形状屋根材29は陸棟規格化形状屋根材41であり、板状屋根材1の尻側5の縦重なり部分が切断された形状である。
全ての陸棟部33には同一形状の陸棟規格化形状屋根材41が用いられる。
隅棟部34に配置される規格化形状屋根材29は隅棟右規格化形状屋根材39と隅棟左規格化形状屋根材40であり、左右の隅棟部34の角度に合わせて板状屋根材1を切断した形状である。
右側の隅棟部34には同一形状の隅棟右規格化形状屋根材39が用いられ、左側の隅棟部34には同一形状の隅棟左規格化形状屋根材40が用いられる。
ケラバ部35に配置される規格化形状屋根材29は板状屋根材1を半分に切断した半瓦48である。
実施例では、板状屋根材1を千鳥葺きしているのでケラバ部35では規格化形状屋根材29として板状屋根材1と半瓦48を1段ごとに交互に用いている。
全てのケラバ部35には同一形状の半瓦48と板状屋根材1が用いられる。
三又部36に配置される規格化形状屋根材29は三角形形状の屋根面に用いる三又規格化形状屋根材42と陸棟部33を有する屋根面に用いる陸隅右規格化形状屋根材46と陸隅左規格化形状屋根材47である。
陸隅右規格化形状屋根材46と陸隅左規格化形状屋根材47は、隅棟右規格化形状屋根材39と隅棟左規格化形状屋根材40の尻側5の縦重なり部分が切断された形状である。
三又規格化形状屋根材42は、陸隅右規格化形状屋根材46と陸隅左規格化形状屋根材47の斜め切断部を合わせた二等辺三角形形状である。
全ての三又部36には同一形状の三又規格化形状屋根材42と陸隅右規格化形状屋根材46と陸隅左規格化形状屋根材47が用いられる。
谷部37に配置される規格化形状屋根材29は谷右規格化形状屋根材43と谷左規格化形状屋根材44であり、谷部37の角度に合わせて板状屋根材1を左右面で切断した形状である。
軒側から見て谷部37の左側に位置する方に谷右規格化形状屋根材43が用いられ、右側に位置する方に谷左規格化形状屋根材44が用いられる。
全ての谷部37には同一形状の谷右規格化形状屋根材43と谷左規格化形状屋根材44が用いられる。
寄棟棟違い部38に配置される規格化形状屋根材29は軒側から見て右方向に隅棟部34がある実施例においては寄棟棟違右規格化形状屋根材45である。
寄棟棟違右規格化形状屋根材45の形状は、板状屋根材1を隅棟部34の角度に合わせて切断し、陸棟部33に面している部分は板状屋根材1の尻側5の縦重なり部分が切断された形状である。
見え掛かり部は、板状屋根材1や陸棟規格化形状屋根材41と同様に見えるが、実際の形状は隅棟部34に面している部分は縦重なり部分があり他の規格化形状屋根材29とは異なる形状である。
実施例のように右側に隅棟部34がある全ての寄棟棟違い部38には同一形状の寄棟棟違右規格化形状屋根材45が用いられる。
本発明の構成とすることにより、本実施例のように全ての屋根端部28には規格化した形状の規格化形状屋根材29が配置される。
その結果、従来技術のようにどこの屋根端部28にどの屋根材を配置していたのかを記録する必要が無くなる。
また、屋根端部28に敷設する規格化形状屋根材29の緊結材19をビス19Bとすることで、屋根端部28の規格化形状屋根材29の取り外しが容易となり、板状屋根材1と同様に再利用を簡単に行うことが出来る。
その結果、葺き替えの際に、現状の屋根材を廃棄し新たな屋根材を用いて施工するよりも、本発明の板状屋根材1の屋根構造を用いて板状屋根材1と規格化形状屋根材29を再利用した方がコスト的に安くなり、本発明によるメリットが多くなる。
また、社会的には、屋根材を長期間繰り返し使うことにより、省資源、廃棄物の削減、省エネルギーといった地球環境の保護にも役立つ。
【0021】
図7は実施例による隅棟右規格化形状屋根材39の製品図面である。
隅棟右規格化形状屋根材39は規格化形状屋根材29であり、軒側から見て右側に隅棟部34があるときに隅棟際に配置される規格化形状屋根材29である。
図7は隅棟右規格化形状屋根材39の製品図面で投影法による投影図であり、平面図、正面図、底面図の3面図にて表している。
図7の平面図では製品の上面9をあらわしており、隅棟右規格化形状屋根材39を屋根2に敷設する際の伏せ図で用いる図である。
図面位置の下側が板状屋根材1の頭側6、上側が尻側5となる。
実施例の隅棟右規格化形状屋根材39では、働き幅寸法Wは455mmであり建物の設計単位寸法Pでは、尺モジュールの0.5Pにあたる寸法としている。
全長さ寸法LAは、板状屋根材1と同じ300mmである。
尻側5には、第2緊結穴30を2箇所設けている。
隅棟右規格化形状屋根材39の右側の側端部7は寄棟屋根における4寸勾配屋根の隅棟角度に合わせた形状になっている。
働き長さ寸法Lが4寸勾配の245mm、働き幅寸法Wの二分の一の寸法である227.5mmの交点と製品の頭部の右側端とを結んだ線が隅棟右規格化形状屋根材39の右側のラインになっている。
隅棟右規格化形状屋根材39は板状屋根材1を切断して製作することを想定している。
底面図は、隅棟右規格化形状屋根材39の下面8を表す図である。
板状屋根材1と同様に下面8には、水上止水部12、水抜き部13,ルーフィング接地面18、凹部10、緊結材収納空間14、第2緊結穴30を設けている。
本実施例のように、規格化形状屋根材29は、板状屋根材1を工場で加工して事前に作っておくことが出来る。
規格化形状屋根材29は、第2緊結穴30を有し、その第2緊結穴30を用いて屋根下地24にビス19Bで留め付けることにより、大型台風でも飛散しない固定強度を発揮することが出来る。
また、屋根端部28で形状を規格化出来、かつビス19Bを用いることで規格化形状屋根材29を容易に損傷させることなく取り外すことが出来るので、再利用を簡易にすることが出来る。