IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トルネックスの特許一覧

<>
  • 特開-室内空気清浄システム 図1
  • 特開-室内空気清浄システム 図2
  • 特開-室内空気清浄システム 図3
  • 特開-室内空気清浄システム 図4
  • 特開-室内空気清浄システム 図5
  • 特開-室内空気清浄システム 図6
  • 特開-室内空気清浄システム 図7
  • 特開-室内空気清浄システム 図8
  • 特開-室内空気清浄システム 図9
  • 特開-室内空気清浄システム 図10
  • 特開-室内空気清浄システム 図11
  • 特開-室内空気清浄システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117668
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】室内空気清浄システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 8/80 20210101AFI20240822BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 13/068 20060101ALI20240822BHJP
   F24F 8/158 20210101ALI20240822BHJP
   F24F 8/108 20210101ALI20240822BHJP
   F24F 8/192 20210101ALI20240822BHJP
   F24F 8/30 20210101ALI20240822BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
F24F8/80 135
F24F13/02 C
F24F13/02 A
F24F13/02 F
F24F13/068 A
F24F8/158
F24F8/108 110
F24F8/108 310
F24F8/192
F24F8/30
F24F8/80 218
F24F8/80 240
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023886
(22)【出願日】2023-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000228028
【氏名又は名称】株式会社トルネックス
(74)【代理人】
【識別番号】100111785
【弁理士】
【氏名又は名称】石渡 英房
(72)【発明者】
【氏名】松井 周生
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
【テーマコード(参考)】
2E025
3L080
【Fターム(参考)】
2E025AA03
2E025AA14
3L080AB04
3L080AC02
3L080BB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】室内に自由に注入口と吹出口を設けることができる二重床を利用した空気清浄システムを提供する。
【解決手段】二重床(W)と空気清浄機(10)とこれらを接続する接続ユニット(3)とを含む二重床を利用した室内空気清浄システム(S)であって、前記接続ユニット(3)は、平面板状部とその平面板状部から立ち上がる壁部とを備え、前記壁部は閉じた周壁を形成し、その周壁の内側に前記接続ユニッットを上下に貫く開口(M)が開けられて、二重床の注入口(7)を覆うように床上に配置され、その上に載置された空気清浄機の吐出口(4f)がその周囲を前記周壁で覆われるように、前記空気清浄機の底面が前記周壁の上面と当接する室内空気清浄システム(S)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二重床(W)と空気清浄機(4)とこれらを接続する接続ユニット(3)とを含む二重床を利用した室内空気清浄システム(S)であって、
前記二重床(W)は、その上側の床(W1)に前記空間(Wc)に空気を送り込む注入口(7)と送り込まれた空気を吹き出す吹出口(8)とを備え、
前記空気清浄機(10)は、その底面(4g)に、清浄空気の吐出口(4f)とその吐出口の周囲に配置された移動用の複数の車輪(4c)とを備え、
前記接続ユニット(3)は、平面板状部(P)とその平面板状部から立ち上がる壁部(L1~L4)とを備え、
前記壁部(L1~L4)は閉じた周壁(L)を形成し、その周壁の内側に前記接続ユニッット(3)を上下に貫く開口(N)が開けられており、
前記周壁(L)は、前記空気清浄機(10)が前記接続ユニット(3)上に載置されてその底面(4g)に当接した際に、前期吐出口(4f)がその内部に位置し、かつ、前記車輪(4c)がその外部に位置するように設けられ、
前記接続ユニット(3)は、前記注入口(7)を覆うように前記床(W1)上に配置され、
前記空気清浄機(3)は、前記吐出口(4f)が前記周壁(L)でその周囲を覆われるとともに前記車輪(4c)は覆われないようにその底面(4g)が前記周壁(L)の上面と当接するように前記接続ユニット(3)の上に着脱可能に載置されて、
前記吐出口(4f)と前記注入口(7)が前記開口(N)を介して空気的に密に接続され、前記吐出口(4f)から前記注入口(7)を介して前記空間(Wc)に送り込まれた清浄空気(Aout)が前記吹出口(8)から吹き出すことにより、前記二重床(W)の前記注入口(7)と前記吹出口(8)の位置を自由に決定することができる、室内空気清浄システム(S)。
【請求項2】
前記二重床(W)は、下側の床(W2)の上に設けられた支持部材の上にフロアタイル(T)を脱着及び装着可能に敷き詰めて上側の床(W1)を構成するフリーアクセスフロアである請求項1記載の室内空気清浄システム。
【請求項3】
二重床(W)を利用して清浄空気を送る室内空気清浄システム(S)のための二重床(W)の注入口(7)と室内移動可能な空気清浄機(10)の吐出口(4f)とを接続する接続ユニット(3)であって、
背面板(3a1)に2つの側面板(3a2)を背面板(3a1)の端部付近にそれぞれ直角に組み合わされて形成された壁部(L1、L2)を形成する基台本体(3a)と、
各側面板(3a2)の上側に固定されて側面板とともに壁部(L2,L3)を形成する差込み板(3b)と、
この2つの差込み板3bに固定されて壁部(L4)を形成する正面板(3c)と、を備え、
前記背面板(3a1)は、前記側面板(3a2)が組み合わされた個所の近傍に前記差込み板(3b)を差し込むために開けられた2か所のスリット(3a3)を有し、
各側面板(3a2)は、各側面板の下端から前記基台本体(3a)の外側に伸びた平面状の形状を有する平面形状部(P)を有し、
前記差込み板(3b)は、前記スリット(3a3)にそれぞれ差し込まれて側面板3a2とともに壁部(L2,L3)を形成するように側面板(3a2)に固定され、
前記正面板は、それぞれの差込み板3bに固定されて、
基台本体(3a)と差込み板(3b)で三方を囲い、残りの一方は正面板(3c)で囲って、一定の高さの壁部(L1、L2、L3、L4)で囲まれたその中央部に開口(N)を有する矩形形状の周壁3が形成されるとともに各側面板の壁部(L2)の下端から前記基台本体(3a)の外側に伸びた平面形状部(P)を備え、
接続の際、
前記平面形状部(P)は、前記二重床(W)の注入口(7)を覆い、前記周壁(L)は、前記吐出口(4f)がその内部に位置するように設けられている、接続ユニット。
【請求項4】
前記空気清浄装置(10)は、その底面(4g)に清浄空気の吐出口(4f)とその周囲を囲むように配置された移動のための車輪(4C)を備え、
前記空気清浄機(10)がその上に接続のために載置される際に、
前記平面形状部(P)は、その上に前記車輪が載って前記空気清浄機を支持するように設けられている請求項3記載の接続ユニット。
【請求項5】
空気清浄機と請求項3の接続ユニット(3)と二重床とを備えた部屋であって、
前記二重床(W)は、その上側の床(W1)に前記空間(Wc)に空気を送り込む注入口(7)と送り込まれた空気を吹き出す吹出口(8)とを備え、
前記空気清浄機(10)は、その底面(4g)に、清浄空気の吐出口(4f)とその吐出口の周囲に配置された移動用の複数の車輪(4c)とを備え、
前記接続ユニット(3)は、前記注入口(7)を覆うように前記床(W1)上に配置され、
前記空気清浄機(10)は、前記接続ユニット(3)上に着脱可能に載置され、
前記接続ユニット(3)の前記周壁(L)は、前期吐出口(4f)が周壁の内部に位置し、かつ、前記車輪(4c)が周壁の外部に位置するように前記空気清浄機の底面(4g)に当接し、
前記吐出口(4f)と前記注入口(7)が前記開口(N)を介して空気的に密に接続され、前記吐出口(4f)から前記注入口(7)を介して前記空間(Wc)に送り込まれた清浄空気(Aout)が前記吹出口(8)から吹き出すことにより、前記二重床(W)の前記注入口(7)と前記吹出口(8)の位置を自由に決定することができる、二重床(W)を利用して清浄空気を送る部屋(R)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重床の床を有するオフィスなどに設置される空気清浄システムに関するもので、特に、移動可能な空気清浄機を二重床の任意の場所に設置して、任意の場所から吹き出すことができる空気清浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウイルスの流行に伴って在宅勤務が広がりオフィスへの出社が減少し、オフィス出社の場合も感染対策のために換気や空気清浄能力の向上のニーズが高まった。
しかし、既存の建物では、建築工事や換気設備工事が大掛かりになるため、換気風量の能力アップやビル空調システムとしての空気清浄機の導入及び更新は非常に困難であった。
【0003】
このため、既存の建物内のオフィスルームの空気清浄能力を向上させるには、当該オフィスルーム内に、1)床置き型の大風量業務用空気清浄機を導入するか、2)家庭用の空気清浄機などの小型の空気清浄機を多数設置するなどの手段が考えられた。
ところが、前者の場合、床置き型であるため、清浄空気の供給は床に置いた当該機の一か所のみとなるため、当該機から遠い箇所に清浄空気を届けることは困難で、この結果、室内空間の必要な個所に清浄空気を行き渡らせることができなかった。また、後者の場合、当該室内に設置する空気清浄機の数が多くなるため、室内空間の必要な個所に清浄空気を生成することはできるものの、フィルターの交換などのメンテナンス管理の手間がこれに比例して増大するだけでなく、そもそも多数設置するための設置スペースや給電線の確保が必要となるので、解決策としては難点があった。
【0004】
一方、二重床を用いるオフィスルームは、近年、自由なオフィスレイアウトが実現できる利点があるため、増加しており、室内空調の分野では、空調機で空調を行った空気を二重床の床下空間を利用して搬送する空調システムが存在する(特許文献1、2)。
しかしながらこれらの二重床の空調システムは、天井裏や壁裏などに空調機を据え付けることが前提となり、必然的に大掛かりな工事が必要となるため、既存の建物に簡易に導入可能なシステムとは言い難かった。
【0005】
このような技術背景のもと、発明者らは解決策を鋭意検討し、二重床を利用するオフィスは、二重床の上に自由なオフィスレイアウトを採用することができる事が利点であるため、この利点を阻害しないような清浄空気の供給ができるシステムとすべきことに思い至った。
【0006】
すなわち、清浄空気を供給するにあたり、供給元である空気清浄機は底面に車輪などの水平移動が容易にできる構造を採用するとともに、移動したままフリーアクセスフロアの床タイル単位で作られた開口と簡単に脱着できる接続が可能な接続ユニットを介して接続できるシステムとすると、室内の自由なレイアウトができるフリーアクセスフロアの利点が生きるのみならず、供給元についても自由なレイアウトを確保することができる。
このようにすれば、共通の二重床においてフロアへの注入口及びフロアからの吹出口をを任意に選択することができ自由に注入口と吹出口を設けることができる空気清浄システムを提供できると考えた。
【0007】
そこで、発明者らは、清浄空気の発生源と供給源、特に供給源を容易に移動・変更できるシステムを模索し、移動可能な空気清浄機とこれを二重床に簡易に脱着できる接続ユニットを開発し、室内に自由に注入口と吹出口を設けることができる二重床を利用した空気清浄システムを提供するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-153444号公報
【特許文献2】特開2002-139232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来事情に鑑みてなされたもので、その目的は、室内に自由に注入口と吹出口を設けることができる二重床を利用した空気清浄システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(解決手段1)
本発明は、
二重床(W)と空気清浄機(4)とこれらを接続する接続ユニット(3)とを含む二重床を利用した室内空気清浄システム(S)であって、
前記二重床(W)は、その上側の床(W1)に前記空間(Wc)に空気を送り込む注入口(7)と送り込まれた空気を吹き出す吹出口(8)とを備え、
前記空気清浄機(10)は、その底面(4g)に、清浄空気の吐出口(4f)とその吐出口の周囲に配置された移動用の複数の車輪(4c)とを備え、
前記接続ユニット(3)は、平面板状部(P)とその平面板状部から立ち上がる壁部(L1~L4)とを備え、
前記壁部(L1~L4)は閉じた周壁(L)を形成し、その周壁の内側に前記接続ユニッット(3)を上下に貫く開口(N)が開けられており、
前記周壁(L)は、前記空気清浄機(10)が前記接続ユニット(3)上に載置されてその底面(4g)に当接した際に、前期吐出口(4f)がその内部に位置し、かつ、前記車輪(4c)がその外部に位置するように設けられ、
前記接続ユニット(3)は、前記注入口(7)を覆うように前記床(W1)上に配置され、
前記空気清浄機(3)は、前記吐出口(4f)が前記周壁(L)でその周囲を覆われるとともに前記車輪(4f)は覆われないようにその底面(4g)が前記周壁(L)の上面と当接するように前記接続ユニット(3)の上に着脱可能に載置されて、
前記吐出口(4f)と前記注入口(7)が前記開口(N)を介して空気的に密に接続され、前記吐出口(4f)から前記注入口(7)を介して前記空間(Wc)に送り込まれた清浄空気(Aout)が前記吹出口(8)から吹き出すことにより、前記二重床(W)の前記注入口(7)と前記吹出口(8)の位置を自由に決定することができる、室内空気清浄システム(S)である。
これにより、室内に自由に注入口と吹出口を設けることができる二重床を利用した空気清浄システムを提供することができる。
【0011】
(解決手段2)
この場合、前記二重床(W)は、下側の床(W2)の上に設けられた支持部材の上にフロアタイル(T)を脱着及び装着可能に敷き詰めて上側の床(W1)を構成するフリーアクセスフロアであることが好ましい。
これにより、フリーアクセスフロアで享受できる室内レイアウトの高い自由度を生かしながら室内に自由に注入口と吹出口を設けることができる二重床を利用した空気清浄システムを提供することができる。
【0012】
(解決手段3)
本発明は、
二重床(W)を利用して清浄空気を送る室内空気清浄システム(S)のための二重床(W)の注入口(7)と室内移動可能な空気清浄機(10)の吐出口(4f)とを接続する接続ユニット(3)であって、
背面板(3a1)に2つの側面板(3a2)を背面板(3a1)の端部付近にそれぞれ直角に組み合わされて形成された壁部(L1、L2)を形成する基台本体(3a)と、
各側面板(3a2)の上側に固定されて側面板とともに壁部(L2,L3)を形成する差込み板(3b)と、
この2つの差込み板3bに固定されて壁部(L4)を形成する正面板(3c)と、を備え、
前記背面板(3a1)は、前記側面板(3a2)が組み合わされた個所の近傍に前記差込み板(3b)を差し込むために開けられた2か所のスリット(3a3)を有し、
各側面板(3a2)は、各側面板の下端から前記基台本体(3a)の外側に伸びた平面状の形状を有する平面形状部(P)を有し、
前記差込み板(3b)は、前記スリット(3a3)にそれぞれ差し込まれて側面板3a2とともに壁部(L2,L3)を形成するように側面板(3a2)に固定され、
前記正面板は、それぞれの差込み板3bに固定されて、
基台本体(3a)と差込み板(3b)で三方を囲い、残りの一方は正面板(3c)で囲って、一定の高さの壁部(L1、L2、L3、L4)で囲まれたその中央部に開口(N)を有する矩形形状の周壁3が形成されるとともに各側面板の壁部(L2)の下端から前記基台本体(3a)の外側に伸びた平面形状部(P)を備え、
接続の際、
前記平面形状部(P)は、前記二重床(W)の注入口(7)を覆い、前記周壁(L)は、前記吐出口(4f)がその内部に位置するように設けられている、接続ユニットである。
これにより、二重床(W)を利用して清浄空気を送る室内空気清浄システム(S)のために二重床(W)の注入口(7)と室内移動可能な空気清浄機(10)の吐出口(4f)とを接続する接続ユニット(3)を提供することができる。
【0013】
(解決手段4)
この場合、
前記空気清浄装置(10)は、その底面(4g)に清浄空気の吐出口(4f)とその周囲を囲むように配置された移動のための車輪(4C)を備え、
前記空気清浄機(10)がその上に接続のために載置される際に、
前記平面形状部(P)は、その上に前記車輪が載って前記空気清浄機を支持するように設けられていることが好ましい。
このようにすると、空気清浄装置の設置場所の自由度をさらに向上させることができる。特に、フリーアクセスフロアのフロアタイルの真上に置けない場合であっても、接続が容易にできる。
【0014】
(解決手段5)
この発明は、
空気清浄機と請求項3の接続ユニット(3)と二重床とを備えた部屋であって、
前記二重床(W)は、その上側の床(W1)に前記空間(Wc)に空気を送り込む注入口(7)と送り込まれた空気を吹き出す吹出口(8)とを備え、
前記空気清浄機(10)は、その底面(4g)に、清浄空気の吐出口(4f)とその吐出口の周囲に配置された移動用の複数の車輪(4c)とを備え、
前記接続ユニット(3)は、前記注入口(7)を覆うように前記床(W1)上に配置され、
前記空気清浄機(10)は、前記接続ユニット(3)上に着脱可能に載置され、
前記接続ユニット(3)の前記周壁(L)は、前期吐出口(4f)が周壁の内部に位置し、かつ、前記車輪(4c)が周壁の外部に位置するように前記空気清浄機の底面(4g)に当接し、
前記吐出口(4f)と前記注入口(7)が前記開口(N)を介して空気的に密に接続され、前記吐出口(4f)から前記注入口(7)を介して前記空間(Wc)に送り込まれた清浄空気(Aout)が前記吹出口(8)から吹き出すことにより、前記二重床(W)の前記注入口(7)と前記吹出口(8)の位置を自由に決定することができる、二重床(W)を利用して清浄空気を送る部屋(R)、である。
これにより、室内レイアウトが自由にでき、清浄空気が必要な個所に供給できる二重床(W)を利用して清浄空気を送る部屋を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のような構成により、室内に自由に注入口と吹出口を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例である空気清浄機(実施例1)の外観斜視図である。(a)は上面側から見たものであり、(b)は下面側から見たものである。
図2図1の空気清浄機と接続ユニットを二重床に設置した部屋(空気清浄システム)を示す概略斜視図である。
図3図1の空気清浄機及び図2の部屋(空気清浄システム)の空気の流れを説明する断面模式図である。
図4】実施例1で用いられる接続ユニットの、(a)分解斜視図と、(b)組立後の斜視図である。
図5】(a)実施例1で用いられる接続ユニットと床フロア片の組み合わせを示す斜視図と、(b)これを二重床(上側床)に設置した概略斜視図である。
図6】(a)空気清浄機3をフロアタイルの目地の中央に置きたいケースを示す。(b)本例の接続ユニットがある場合は空気清浄機3の設置可能範囲が拡大することを示す斜視図である。
図7】本例の接続方法を示す斜視図で、(a)開口Mに接続ユニットの基台を設置する斜視図と(b)その上に空気清浄機を設置する斜視図である。
図8図7に続く本例の接続方法を示す斜視図で、(a)基台に差込み部材を差し込む手順を説明する斜視図と、(b)差し込んだのちに固定する手順を説明する斜視図である。
図9図8に続く本例の接続方法を示す斜視図で、(a)差込み部材に正面板を固定する手順を説明する斜視図と、(b)完成した接続ユニットと残った開口Mをタイル片で塞ぐ手順を説明する斜視図である。
図10】本例のシステムの集塵機能確認テストを行った部屋の状況を示す室内配置図である。
図11】(a)測定点MP1のテスト結果を示す粉塵濃度のグラフである。(b)測定点MP2のテスト結果を示す粉塵濃度のグラフである。
図12】(a)測定点MP3のテスト結果を示す粉塵濃度のグラフである。(b)測定点MP4のテスト結果を示す粉塵濃度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について、実施例にもとづいて、空気清浄システムについて説明する。
【実施例0018】
(室内空気清浄システム)
図2に、本例の室内空気清浄システムSの概略斜視図を示す。本例のシステムSは、空気清浄機10と接続ユニット3を部屋Rの二重床Wの注入口7に配置して構成されている。
図2に示すように、本システムは、フリーアクセスフロアと呼ばれる二重床構造を利用するものである。フリーアクセスフロアとは、上側の床を一定高さで支持するように下側の床に支持部材を設け、この支持部材に上側の床となるフロアタイルを脱着可能に敷き詰めて構成されるものをいう。
【0019】
フリーアクセスフロアWを備える部屋Rに清浄空気を供給するに当たり、移動可能な空気清浄機10とこの空気清浄機と二重床を接続する接続ユニット3を用いて、空気清浄機がフロアタイルの間に設置する場合であっても設置場所の部屋内のレイアウトの自由度を高めた室内空気清浄システムを提供する、室内空気清浄システムについて説明する。
【0020】
(空気清浄機)
図1に本例の空気清浄機10の外観斜視図を示す。(a)は上面側から見たものであり、(b)は下面側から見たものである。 本例の空気清浄機10は、図3に示すように筐体4と空気清浄ユニット5と送風ユニット9とを備える。
【0021】
(筐体)
前記筐体4は、その上面4aに位置する吸込口4bと筐体4の底面4gに位置する吐出口4fを備えている。
筐体4の底面4gには、吐出口4fを囲むように周知のキャスター4cが底面4gの各コーナー部に合計4か所配置されている。このため、人が筐体を押すことで容易に必要な場所に水平移動させることができる。各キャスター4cは車輪をロックするストッパーが付いており、人が任意の場所に移動させた後に停止状態を維持できる。
【0022】
筐体4の正面側には、図1に示す位置に空気清浄機10の操作パネル4eが備えられ、この空気清浄機10の始動及び停止などの電気的な操作を行うことができ、また動作中や警告などの空気清浄機の状態が表示される。
操作パネル4eの下部には、開閉可能な正面パネル4dが設けられ、空気清浄ユニット4のメンテナンスなどの必要に応じて筐体4の内部にアクセスすることができる。
【0023】
図3は本例の空気清浄機と室内空気清浄システムの空気の流れを説明する断面模式図である。図3を用いて本例の空気清浄機10の筐体4の内部の空気の流れを説明する。筐体4の内部は、第1から第3チャンバーC1~C3に分割されており、各チャンバーは結合しており結合したチャンバーの内部は気密になっている。
なお、後述のように第2チャンバーC2内にシロッコファン9が設けられ、吸入口4bは大気圧に対して負圧になる。
【0024】
(整流手段)
吸込口4bから筐体4a内に吸い込まれた空気Ainは、吸込口4bに設けられた整流手段6を通過して第1チャンバーC1に流入する。この清流手段6は、本例では、パンチングメタルを用いており、吸込口を格子状の小開口に分割している。開口はスリット状のものでもよい。小開口に分割することにより、取込風速を均一化させ、乱流を抑制して吸込口4bから効率よく空気が吸い込まれるようにさせるものである。
【0025】
(空気清浄ユニット)
第1チャンバーC1の内部には空気清浄ユニット5が設けられている。空気清浄ユニット5は、前記吸込口4bから室内の空気Ainを吸い込み、空気清浄を行い、前記吐出口4fから清浄化された空気Aoutを送出する。すなわち、清浄空気となるように、塵埃及びにおいのもととなる化学物質が除去される。
【0026】
空気清浄ユニット5は、図3にその構成の概略を示すように、入側から3段のサブユニットに分かれている。すなわち、空気の流路の順に、プレフィルター5a、メイン清浄ユニット5b、脱臭フィルター5cが備えられている。
吸込口4bから、後述の送風ユニット(送風部)9で作られた負圧により吸入された未清浄の空気Ainは、プレフィルター5aおよびメイン清浄ユニット5bを通って順次空気中に含まれる粒子が取り除かれる。その後、脱臭フィルター5cを通って空気中に含まれる不要なガス成分が取り除かれる。
【0027】
(空気清浄部:プレフィルター)
プレフィルター5aは、メイン清浄ユニット5bの前段階として、吸引した空気中に浮遊する粗い粒子を除去するもので、不織布またはメッシュ状の金網で構成される。主として、目視可能な粒子をターゲットにしており、粒子径が10~20μm以上のものを除去する。プレフィルター5aを介することにより、空気清浄部の早期の目詰まりを防止して省メンテナンスを図るとともに、次段の電子式集塵ユニット5bでさらに細かい粒子を効率的に取り除くことができる。
【0028】
( 空気清浄部:メイン清浄ユニット5b)
次段のメイン清浄ユニット5bである電子式集塵ユニット5bは、筐体4内に吸引した空気中に浮遊するさらに細かい粒子、主として、粒子径が0.3μm程度以上のものを除去する。このため、空気流に乗って漂う飛沫核をも除去できる。
【0029】
電子式集塵ユニット5bは、いわゆる2段荷電型電子式集塵ユニットと呼ばれる公知のものを用いることができる。この電子式集塵ユニット5bは、コロナ放電などにより空気中の浮遊粒子を帯電させるイオン化部と、帯電させた浮遊粒子を電界により捕集する集塵部とこれらに電力を供給する電源を備える。イオン化部は、イオン化線およびイオン化電極を備え、集塵部は、集塵電極板と集塵対電極板を交互に配置しこれらをスペーサで等間隔に配置してなる。
【0030】
このような電子式集塵ユニット5bは、イオン化線とイオン化電極との間、及び集塵電極板と集塵対電極板との間を空気が通過する構造とすることができるため、圧力損失が少なく、空気中を漂う飛沫核などの微粒子を効率よく除去できる。
たとえば、定格風量800~900m/hの際に粒子0.3~0.5μmの集塵効率は、85%~95%となる。
【0031】
加えて、電源とイオン化部との間に定電流制御部を設けるとともに、電源と集塵部との間に測定部を備えた電圧段階制御部および電圧変更部を設けて、段階的制御を行うことができる。この制御は、たとえば、特許第5545559号に記載されており、この明細書に組み込まれるものとする。
【0032】
このような構成においては、イオン化部におけるコロナ放電などを安定して継続でき、集塵部に湿気などの環境の変動や集塵の継続による集塵物などにより、火花放電などの異常放電が起きても、印加電圧を下げて速やかに正常な電界形成を再開して集塵作用を継続し、異常放電の原因が解消されると、印加電圧を上げて速やかに集塵作用を継続する。したがって、湿気や結露などの自然回復可能な場合のみならず、集塵物の堆積などの自然回復の困難な場合も含めて、全体として、集塵作用を高効率で運用でき、その上メンテナンス頻度を減らすことができる。
【0033】
このような電子式集塵ユニット5bを用いると、塵埃を捕捉して除去することができ、感染症の原因となる飛沫核なども除去できるため、感染などの危険性を低減できる。
【0034】
(空気清浄部:脱臭フィルター)
電子式集塵ユニット5bの後段には脱臭フィルター5cが設けられている。脱臭フィルター5cは、通気性を有するシート状の公知のものを用いることができる。本例では、活性炭に無機脱臭剤を加えたものを用いている。このような脱臭フィルターで、においなどの化学物質をトラップすることができる。
【0035】
(送風ユニット)
図3に示すように、筐体4内には、空気の吸入・送出のための送風ユニット)であるシロッコファン9が第2チャンバーC2に設けられている。シロッコファン9は、第2チャンバーC2を負圧状態にさせて、これに気密に接続された第1チャンバーC1の上部に設けられた吸込口4bから周辺空気Ainを取り込むとともに、取り込んだ空気Ainを第1チャンバーC1の空気清浄ユニット6に引き込んで清浄化処理する。最終的には、吐出口4fから処理した清浄空気Aoutを機外に送出する。
シロッコファン9は、吸込口4bから取り込まれる空気量を賄う容量および圧力を有するものを用いることができる。本例では、空気清浄機10を移動可能とするため、その全重量を勘案し、送風風量は、約15m/分程度とした。
【0036】
(接続ユニット)
本例では、空気清浄機10と二重床Wを接続する新規な接続ユニット3が、二重床の上側床W1上に設けられる。この接続ユニット3は、空気清浄機10から吐出された清浄空気Aoutを上側床W1に開けられた開口Mである注入口7を介して空間Wcに能率よく送り出すとともに、このような二重床Wを有する部屋Rに設けられた注入口7に対する空気清浄機10の設置が可能なエリアBを拡大することができる。
【0037】
図4に本例で用いられる接続ユニット3の(a)分解斜視図と、(b)組立後の斜視図を示す。
図4(a)の分解斜視図に示すように、この接続ユニット3は、背面板3a1に直角に組み合わされた2つの側面板3a2からなる基台本体3aと、この背面板3a1に開けられた2か所のスリット3a3にそれぞれ差し込まれてそれぞれ側面板3a2に固定される2つの差込み板3bと、この差込み板3bに固定される正面板3cとを備える。
組み合わされた背面材3a1と2つの側面板3a2は鳥居型形状あるいはギリシア文字のπの形状を形成し、この鳥居型形状の2つの柱の間又はπ型形状の2つの足の内側に面した箇所には上側にそれぞれ延びた壁部L1、L2を有する。背面板3a1と正面板3cの壁部L1、L4は同じ高さであるが、側面板3a2壁部L2の高さは、これらより、やや低く形成されている。
【0038】
差込み板3bは、基台本体3aに向かって先端部がテーパ状になっているとともに、その反対側の端部にねじ穴3b1が開けられている。また、側面板3a2の壁部L2には、背面板3a1と反対側の端部にもねじ穴3a5が開けられている。これらのねじ穴は、差込み板3bを背面板3a1に固定する際に、背面板3a1のスリット3a3に側面板3a2の先端部を差し込んで全体がせりあがった状態で両ねじ穴3a5同士を重ねてねじで固定すると、差込み板3bと側面板3a2で形成する壁部L2、L3がちょうど背面板3a1及び正面板3cの壁部L1の高さと同じ高さに保持できるように、開けられている。
【0039】
側面板3a2は、前述の基台本体3aが形成する鳥居型形状の2つ柱の外側またはπ型形状の2つの足の外側に、移動可能な空気清浄機10の誘導路となる平面形状部Pを有している。後述のように、平面形状部Pの大きさと位置は、空気清浄機10の車輪4cが載るため、その車輪4cの位置で決定され、これにより、背面板3a1の長さが決定される。また、側面板3a2の背面板3a1に対する位置は、背面板3a1のスリット3a3の左右方向の位置で決定されるが、これは基台本体3aが空気清浄機10の吐出口4fを囲むことができる位置となるように決定される。
【0040】
(クッション材)
背面板3a1、2つの差込み板3b及び正面板3cの上面に、クッション材3dが接着剤されて固定されている。
クッション材3dは空気清浄機10の底面と床の間隙を埋める隙間充填材として用いられる。クッション材は一般的には各種素材を発泡させたもので、スポンジと呼ばれるものである。原料ゴムを発泡させたゴムスポンジ、ウレタンを発泡させたウレタンフォーム、オレフィン系プラスチックを発泡させたオレフィン系発泡体など、様々な原料から製造され、ゴムを発泡させたゴムスポンジ、ウレタンを発泡させたウレタンフォーム、オレフィン系プラスチックを発泡させたオレフィン系発泡体など、様々な種類がある。ここでは、気密性の観点から、ゴムスポンジを用いているが、これに限るものではない。
【0041】
図4(b)に組立完成後の接続ユニット3の斜視図を示す。鳥居型形状(π型形状)を形成する基台本体3aで三方を囲い、残りの一方は正面板3cで囲って、一定の高さの壁部L1、L2、L3で囲まれた中央部に開口Nを有する矩形形状の囲いである接続ユニット3を形成する。
この開口Nの大きさと前述の平面形状部分Pの大きさは、以下のように決定できる。
開口Nの大きさは、空気清浄機10の吐出口4fを覆うことができる大きさとすればよく、平面形状部Pは、空気清浄機10の移動手段すなわちキャスター4cをかわして周壁Lが吐出口4fを覆うことができる位置まで移動させることができればよい。
さらに、平面形状部Pの大きさに関係することとして、床面との関係があり、床面をどれだけ塞ぐかという必要性に応じて、各構成要素の大きさを決めればよい。
接続ユニットを構成する各部材は、その上に空気清浄機10が載置されることを考えて強度を有する材料を適宜選択できる。
【0042】
(組み合わせ)
図5(a)に本例の接続ユニット3と床タイル片Tpの組み合わせを示す斜視図を示す。後述するように、接続ユニット3は、本例のシステムSでは二重床Wの上側の床W1の注入口7の上に配置される。床タイル片Tpは、必要に応じ、接続ユニット3と注入口7の隙間を充填して閉塞するために用いられる。
図5(b)は二重床(上側床)に設置した概略斜視図である。
図5(b)に示すように、二重床Wはフリーアクセスフロアであることが好ましい。フリーアクセスフロアの場合は、上面の床W1に敷き詰められた床タイルTを1枚取り除いた開口Mの箇所が、注入口7として好適である。床タイルTの大きさはたとえば、500mm×500mmである。本例の接続ユニット3をその開口Mの上に平面板状部Pが開口Mの両側の床タイルTの上に載って左右にまたがるように載置し、次いで、開口Mの残った隙間を床タイル片Tpで充填して閉塞すると、気密性が高まり、能率的に清浄空気を注入口7に送り込める。
【0043】
ただし、この場合、開口Mに空気清浄装置3の位置が限定されレイアウトの自由度が少なくなることが懸念される。
同図に示すように、床タイルTの目地の交差する個所においては、設置が困難であるが、本例の接続ユニット3があれば、可能となる。この場合、空気清浄機の後面に生じた隙間を床フロア片Tpで充填することができる。このためには、接続ユニット3は、フロアタイルTの2つ分の左右の長さとすることができる。
【0044】
図6(a)に本例の接続ユニット3がない場合と(b)本例の接続ユニットがある場合、との比較を示す斜視図、を示す。図6(a)のような場合は、空気清浄機10は、フロアタイルTの目地の交差する個所においては、足場となるフロアタイルTがない箇所に取ることができず、設置が難しい。
しかしながら、図6(b)のように、本例の接続ユニット3を用いると、周囲のタイルに支えを取ることができるため、設置可能範囲Bが広がることになり、本例の接続ユニット3を使用する利点が明らかになる。
【0045】
(接続ユニットを用いた接続方法)
図7及び図8を用いて、本例のシステムSを構成するための本例の接続ユニット3と空気清浄機3とを接続する接続方法を説明する。
図7(a)に示すように、背面板3a1に2つの側面板3a2を組んだ基台本体3aを注入口7である1枚のフロア板Tを取り外した開口Mを囲むように載置する。このとき、背面板3a1の内側がちょうど、フロア板Tの境目になるようにすると、開口Mを囲むことができる。また、背面板3a1の上には、クッション材3dをあらかじめ固着しておくことが望ましい。クッション材3dは、空気清浄機10の底面4gに当接して密着する。クッション材の材料は、フォーム材を用いることができる。
【0046】
次に、図7(b)に示すようにこの2つの側面板3a2の平面形状部Pの上に空気清浄機10の底面のキャスター4cが載るように移動させて、背面板3a1に突き当たるまで押し込んでその載置位置を簡単に決めることができる。側面板3a2がガイドレールのように機能して、その上に底面4gにキャスター4cを有する空気清浄機10が移動できる。空気清浄機10が背面板3a1に突き当たる位置にあるときに、周壁Lがキャスター4cと干渉せずに吐出口4fに当接するように、周壁L、キャスター4c、吐出口4fの位置は決めればよい。なお、この状態では、差込み板3bがないので、側面板3a2が作る壁L2は高さが低いので、空気清浄機10の底面4gとは、干渉しない。
【0047】
その後、図8(a)に示すように、差込み板3bを側面板3a2に沿って床タイルTの上を滑らせながら押し込んでいき、その先端のテーパ形状の船形部を側面板3a2の取り付けられた箇所の根元にある、背面板3a1のスリット3a3に差し込んでいく。この場合も、差込み板3bの上には、クッション材3dをあらかじめ固着しておくことが望ましい。クッション材3dは、空気清浄機10の底面4gに当接して密着する。
【0048】
図8(b)にその詳細を示す。船形部がスリット3a3に差し込まれると、差込み板3bはスリット下端で定まる高さまで持ち上げられて上昇し、先端の船形部が完全にスリット3a3に入ったのちに差込み板3bに設けられたねじ孔3b5と側面板3a2のねじ孔を合わせてねじ3eで止める。このときに、差込み板3bは水平になるとともに、その高さが背面板3aと同じになるようにする。クッション材3dがある場合も同様である。同時に側面板3bと差込み板3bはそれぞれ側面板3a2の平面形状部Pから立ち上がる壁部L2,L3をそれぞれ構成するように、各ねじ孔3a5、3b5の位置決めをしておく。なお、この壁の高さは、背面板3aが作る壁部L1と高さが同じになるようにしておく。クッション材3dがある場合も同様である。左右の側面板3a2について順次組み上げる。この作業は、空気清浄機10の底面4gで行われるが、上記のように、差込み板3cを差し込んで持ち上げる工程を経ることにより、作業性が向上され、先に空気清浄機10が位置決めされ、スペースが狭いその底面4gでも接続ユニット3の接続作業が容易になる。
【0049】
図9(a)は、さらに正面板3cをねじ3eで側面板3a2に設けたねじ孔3b6で固定する。このときに、正面板3cは水平になるとともに、その高さが背面板3a、差込み板3bと同じになるようにする。クッション材3dがある場合も同様である。同時に正面板3cは側面板の平面形状部から立ち上がる壁部L4を構成するように、各ねじ孔3b6、3c6の位置決めをしておく。なお、この壁部の高さは、背面板3a、差込み板3cがそれぞれ作る壁部L1、L2、L3と高さが同じになるようにしておく。クッション材3dがある場合も同様である。
壁部L1、L2、L3、L4は、周壁Lを形成し、周壁Lは空気清浄機10の底面4gの吐出口4fを囲むとともにキャスター4cは囲まないように、空気清浄機10の底面に当接する。
【0050】
図9(b)に示すように、以上で、空気清浄機10と接続部材3は組み上がる。開口Mの塞がれていない部分は、床タイル片Tpで充填し、空気的に密に吐出口4fと注入口7は接続される。
本例の接続ユニットは、このような方法で組み上げることができるので、移動が可能な空気清浄機10の下面にある吐出口4fと上側の床W1の注入口7となる開口Mとの機械的及び空気的接続が容易にできる。また、この接続を解除する場合も、この反対の手順を取れば可能である。このため、上側の床W1の任意の位置で清浄空気を床下の空間Wcに供給でき、その位置の変更も容易である。
【0051】
(実験例)
本例の室内空気清浄システムSの効果について、測定実験を行って検証をした。図10に実験に用いた部屋のレイアウトを示す。
実験は、火をつけた線香を粉塵発生源Qとして図10に示す共通の二重床を有する部屋R1に15分間、R2に3分間、粉塵を発生させたのちに線香を消し、その後5分間そのままにした後に粉塵の減衰状況をパーティクルカウンターで測定した。
【0052】
(部屋の大きさと配置)
図10に実験に用いた部屋R′(R1、R2)のレイアウトを示す。部屋R1は、図の横が約20m、縦が9mであり、図面に向かって(以下、紙面という)右上の箇所が横10m縦4m20cmにわたって内部に向かって凹んでいる。天井高さは2.5mである。壁で囲まれた部屋R2は、紙面右下に設けられており、横5m、縦3m60cmの小部屋である。部屋R2の前には約1m30cmの廊下があり、部屋R1と連通している。
【0053】
部屋R1は、紙面左側中央に粉塵発生源Qを設け、空気清浄機10を部屋R′のほぼ中央となる位置に並べて2台置いた。二重床を利用した場合の吹出口8は、部屋R1の紙面左上隅、紙面左下隅、紙面右上隅、そして空気清浄機の紙面右側の近接した位置にそれぞれ設けた。測定点MP1を空気清浄機10から遠い壁に近い位置に設け、測定点MP2をその中間の位置に設けた。さらに、測定点MP3を、空気清浄機10と部屋R2の間に設けた。
また、部屋R2は、その紙面中央部右上側に粉塵発生源Qを設け、二重床を利用した場合の吹出口8は、部屋R2の中央部に設けた。測定点MP4をその吹出口8と壁の間に設けた。
【0054】
測定は、次の二つの場合、すなわち、
(1)(本例)本例の空気清浄機10と接続ユニット3を用いて二重床を利用して吹出口8から部屋内に清浄空気を供給した場合(各図中、実線で「二重床」と示したグラフ)と、
(2)(比較例)同じく本例の空気清浄機10を用いて、二重床を利用せず、直接部屋内に清浄空気を供給した場合(各図中、点線で「空気清浄機」と示したグラフ)、
とを、比較して図11及び図12の各グラフに示したものである。
なお、測定点MP4については、二重床Wが共通するが壁で仕切られた別な部屋R2について粉塵発生源Qと吹出口8がある場合とを、初期濃度C0に対する経過時間ごとの粉塵濃度Cの比を測定して比較した。この初期濃度C0は線香消火後に空気清浄機を動作させて集塵開始した時点の粉塵濃度である。
【0055】
測定結果は、図11図12に示す粉塵濃度のグラフのようになった。図11(a)は、測定点MP1のテスト結果を示し、図11(b)測定点MP2のテスト結果を示す。
また、図12(a)は、測定点MP3のテスト結果を示し、図12(b)測定点MP4のテスト結果を示している。
ここで、空気清浄能力の評価は、測定濃度Cが初期濃度C0の20%になる時間(C/C0=0.2)、すなわち、粉塵が80%減少する時間をそれぞれ比較して行った。
【0056】
その結果、本例は、比較例に対し、
測定点MP1では24/42=0.57、
測定点MP2では25/41=0.61、
測定点MP3では30/15=2.0、
測定点MP4では31/50=0.62、
となった。
この結果を見ると、本例は、空気清浄機10から離れた測定点MP1、MP3、MP4では、いずれも比較例と比べて約6割の時間で空気を清浄化した一方、空気清浄機10から近い測定点MP3では、比較例の2倍の時間がかかっていることが分かった。
【0057】
測定点MP3の結果は、本例の方が比較例より清浄時間がかかることを示している。これは、測定点MP3と空気清浄機10の距離が比較的短いことに起因するものと考えられる。距離が短いために、比較例の方が清浄空気を短時間でたくさん測定点MP3に到達させることができたため生じた。本例のような二重床を利用する場合は、床下全体に清浄空気が行き渡ってから吹出口8から吹き出すので、清浄空気が測定点MP3に到達して粉塵濃度が低下することが遅いからであると思われる。
【0058】
以上の結果から、部屋R1のような広い空間を有する部屋では、空気清浄機から直接吹き出しても部屋の隅のような空気清浄機から遠い箇所に清浄空気を行き渡らすことができないことが分かった(MP1,MP2,MP4)。このため、室内全体にわたり清浄空気を行き渡らすような空気清浄を行うには、本例のような、二重床を利用して吹出口を分散して清浄空気を供給することが効果的であることが示された。
加えて、壁やパーティションで分離された別室であっても共通の二重床Wを有する部屋であれば、必ずしもその部屋に空気清浄機を設置しなくても清浄空気の供給が得られることが分かった。
【0059】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。その場合でも、本発明の範囲に含まれるものである。
【0060】
ここで説明した実施例1は、本発明の例として、室内空気清浄システムS及び接続ユニット3について図1図8を用いて説明したものであるが、同じ図1図8を用いて実施例1に対応する機能を実現するものであれば室内空気清浄システムという範疇にとらわれることなく、室内空気清浄システムを備えた部屋Rの実施の形態としてとらえることができることは理解されよう。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本例の室内空気清浄システムSは、家庭、事業所、事務所等の二重床を用いる建物の各フロアで広く利用できる。
【符号の説明】
【0062】
3:接続ユニット
3a:基台本体、3a1:背面板、3a2:側面板、3a3:スリット、3a5:ねじ孔
3b:差込み板、3b3:切欠、3b5、3b6:ねじ孔
3c:正面板、3c6:ねじ孔、3d:クッション材、3e:ねじ
4:筐体(空気清浄機)
4a:天板、4b:吸込口、4c:車輪(キャスター)、4d:正面側パネル、4e:操作パネル、4f:吐出口、4g:底面、
5:空気清浄ユニット(空気清浄部)、5a:プレフィルター、5b:メイン清浄ユニット、5c:脱臭フィルター
6:整流手段
7:注入口
8:吹出口
9:送風ユニット(送風部)
10:空気清浄機
Ain:取り込まれる空気
Aout:送り出される空気
B:設置可能エリア
C1:第1チャンバー
C2:第2チャンバー
C3:第3チャンバー
L:周壁、L1~L4:壁部
M:開口(床に関するもの)
N:開口(接続ユニットに関するもの)
P:平面板状部
R、R′:部屋
S:室内空気清浄システム
Q:粉塵発生源
T:上側床を構成する床タイル
Tp:床タイル片
W:二重床(フリーアクセスフロア)
W1:上側床
W2:下側床
Wc:空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12