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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117687
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】治療場所への入室可能性の予測方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/40 20180101AFI20240822BHJP
【FI】
G16H10/40
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133852
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】10-2023-0021356
(32)【優先日】2023-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520047532
【氏名又は名称】ビュノ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VUNO, INC.
【住所又は居所原語表記】9F, 479, Gangnam-daero, Seocho-gu, Seoul 06541 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ミンチョル
(72)【発明者】
【氏名】チェ キョンチェ
(72)【発明者】
【氏名】チェ チェウ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】患者の生体情報を人工神経回路網モデルに入力して治療場所に対する患者の入室可能性を予測する多重予測情報を生成できる予測方法を提供すること。
【解決手段】コンピューティング装置により実行される、患者の治療場所への入室可能性を予測する治療場所への入室可能性の予測方法であって、コンピューティング装置が、患者の生体情報を取得し、人工神経回路網モデルを活用し、上記取得された生体情報を基に、上記患者の治療場所への入室可能性を予測する予測情報を生成し、上記予測情報は、複数の時点の各々における、上記患者の治療場所への入室可能性を表す複数の多重予測を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピューティング装置により実行される、患者の治療場所への入室可能性を予測する治療場所への入室可能性の予測方法であって、
前記患者の生体情報を取得する段階、及び、
人工神経回路網モデルを活用し、取得された前記生体情報を基に、前記患者の前記治療場所への入室可能性を表す予測情報を生成する段階、
を含み、
前記予測情報は、予測時点以降の複数の時点の各々における入室可能性を含む
ことを特徴とする治療場所への入室可能性の予測方法。
【請求項2】
請求項1に記載された治療場所への入室可能性の予測方法において、
前記人工神経回路網モデルは、多重ラベリングが行われた学習データを基に学習されたモデルである
ことを特徴とする治療場所への入室可能性の予測方法。
【請求項3】
請求項1に記載された治療場所への入室可能性の予測方法において、
前記治療場所は、集中治療室を含み、
前記予測情報は、前記患者が前記集中治療室から退室する場合、前記患者が前記集中治療室に再入室する可能性を表す
ことを特徴とする治療場所への入室可能性の予測方法。
【請求項4】
請求項1に記載された治療場所への入室可能性の予測方法において、
前記複数の時点における前記入室可能性に係るグラフを生成する段階
をさらに含む
ことを特徴とする治療場所への入室可能性の予測方法。
【請求項5】
請求項1に記載された治療場所への入室可能性の予測方法において、
予め決められたしきい値を基に、前記患者が前記治療場所に入室すると予想される時点をユーザーに提供する段階
をさらに含む
ことを特徴とする治療場所への入室可能性の予測方法。
【請求項6】
請求項5に記載された治療場所への入室可能性の予測方法において、
前記予想される時点を基に、前記治療場所の病床管理に係る情報を前記ユーザーに提供する段階
をさらに含む
ことを特徴とする治療場所への入室可能性の予測方法。
【請求項7】
請求項6に記載された治療場所への入室可能性の予測方法において、
前記治療場所の前記病床管理に係る情報は、
前記治療場所に在室中の患者の退室計画に係る情報、又は、
前記治療場所に係る新しい患者の入室計画に係る情報
のうち少なくとも1つを含む
ことを特徴とする治療場所への入室可能性の予測方法。
【請求項8】
コンピューティング装置により実行される、患者の治療場所への入室可能性を予測する人工神経回路網モデルを学習させる方法であって、
前記患者の生体情報を取得する段階、及び、
前記生体情報に対して多重ラベリングを行い、人工神経回路網モデルを学習させるための学習データを生成する段階、
を含み、
前記多重ラベリングは、
複数の時点の各々における、前記患者の前記治療場所に係る入室状態を表す多重ラベリングである
ことを特徴とする人工神経回路網モデルを学習させる方法。
【請求項9】
請求項8に記載の人工神経回路網モデルを学習させる方法において、
前記学習データは 前記複数の時点のうち、前記患者が前記治療場所に入室する前の複数の時点に係るラベルと、前記患者が前記治療場所に入室した後の複数の時点に係るラベルとが、相異なるバイナリー値にラベリングされたデータである
ことを特徴とする人工神経回路網モデルを学習させる方法。
【請求項10】
請求項8に記載の人工神経回路網モデルを学習させる方法において、
前記患者の前記生体情報は、
前記患者が前記治療場所に在室した期間中に測定された生体信号を含む
ことを特徴とする人工神経回路網モデルを学習させる方法。
【請求項11】
コンピューティング装置が患者の治療場所への入室可能性を予測するための動作を実行するようにする命令を含むコンピューター可読保存媒体に保存されているコンピュータープログラムであって、
前記動作は、
前記患者の生体情報を取得する動作、及び、
人工神経回路網モデルを活用し、取得された前記生体情報を基に、 前記患者の前記治療場所への入室可能性を表す予測情報を生成する動作、
を含み、
前記予測情報は、予測時点以降の複数の時点の各々における入室可能性を含む
ことを特徴とするコンピュータープログラム。
【請求項12】
コンピューティング装置であって、
1つ以上のコアを含むプロセッサー、
ネットワーク部、及び、
メモリー、を含み、
前記プロセッサーは、
患者の生体情報を取得し、
人工神経回路網モデルを活用し、取得された前記生体情報を基に、前記患者の治療場所への入室可能性を表す予測情報を生成し、且つ、
前記予測情報は、予測時点以降の複数の時点の各々における入室可能性を含む
ことを特徴とするコンピューティング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、治療場所への入室可能性の予測方法に係り、具体的には、患者の生体情報を人工神経回路網モデルに入力して治療場所に対する患者の入室可能性を予測する多重予測情報を生成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重症度の高い患者を集中治療室のような特殊なタイプの治療場所に収容して患者の状態を随時把握し、病状が悪化しないように適切な措置を取ることは、病床の運営において必須要素だといえる。
【0003】
しかし、昨今の医療現場においては、集中治療室からの退室に係る定量的な指標又は対応マニュアルが設けられておらず、患者の現在の総合的な状況を考慮して入室又は退室を決めている。
【0004】
このような場合、現在は重症度が低く集中治療室から退室したが、すぐにまた重症度が高くなり再入室する必要がある患者のようなケースは、適切な病床の運営が難しくなるという問題がある。
【0005】
したがって、現在の状態だけでなく、今後病状が悪化する可能性も併せて考慮し、集中治療室を含む多様な治療場所に入室する可能性を予測することで、病院の病床運営を適切に行えるように補助できる方法に対するニーズが当業界において存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、前述の背景技術に対応して案出されたものであり、患者の生体情報を人工神経回路網モデルに入力して治療場所に対する患者の入室可能性を予測する多重予測情報を生成することを目的とする。
【0007】
しかし、本開示が解決しようとする技術的課題は、前述の技術的課題に限られるわけではなく、以下に説明する内容から、当業者にとって自明な範囲内において、多様な技術的課題が含まれることが可能であるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述のような課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、コンピューティング装置が患者の治療場所への入室可能性を予測するための方法が開示される。上記方法は、患者の生体情報を取得する段階と、人工神経回路網モデルを活用し、上記取得された生体情報を基に、上記患者の治療場所への入室可能性を表す予測情報を生成する段階とを含むことが可能であり、上記予測情報は、予測時点以降の複数の時点の各々における入室可能性を含むことが可能である。
【0009】
一実施例において、上記人工神経回路網モデルは、多重ラベリング(Multi-labeling)が行われた学習データを基に学習されたモデルになり得る。
【0010】
一実施例において、上記治療場所は、集中治療室を含み、上記予測情報は、上記患者が集中治療室から退室する場合、上記患者が集中治療室に再入室する可能性を表すことが可能である。
【0011】
一実施例において、上記複数の時点における上記入室可能性に係るグラフを生成する段階をさらに含むことが可能である。
【0012】
一実施例において、予め決められたしきい値を基に、上記患者が上記治療場所に入室すると予想される時点をユーザーに提供する段階をさらに含むことが可能である。
【0013】
一実施例において、上記予想される時点を基に、治療場所の病床管理に係る情報をユーザーに提供する段階をさらに含むことが可能である。
【0014】
一実施例において、上記治療場所の病床管理に係る情報は、上記治療場所に在室中の患者の退室計画に係る情報と、上記治療場所に係る新しい患者の入室計画に係る情報のうち、少なくとも1つを含むことが可能である。
【0015】
前述のような課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、コンピューティング装置が患者の治療場所への入室可能性を予測するための人工神経回路網モデルを学習させる方法が開示される。上記方法は、患者の生体情報を取得する段階と上記患者の生体情報に対して多重ラベリング(Multi-labeling)を行い、上記人工神経回路網モデルを学習させるための学習データを生成する段階を含むことが可能であり、上記多重ラベリングは、複数の時点の各々における、上記患者の治療場所に係る入室状態を表す多重ラベリングを含むことが可能である。
【0016】
一実施例において、上記学習データは、上記複数の時点のうち、患者が治療場所に入室する前の複数の時点に係るラベルと、上記治療場所に入室した後の複数の時点に係るラベルとが、相異なるバイナリー値にラベリングされたデータになり得る。
【0017】
一実施例において、上記患者の生体情報は、上記患者が上記治療場所に在室している期間中に測定された生体情報を含むことが可能である。
【0018】
前述のような課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、コンピューティング装置に、患者の治療場所への入室可能性を予測するための複数の動作を行うようにするコンピュータープログラムが開示される。上記複数の動作は、患者の生体情報を取得する動作及び人工神経回路網モデルを活用し、上記取得された生体情報を基に、上記患者の治療場所への入室可能性を表す予測情報を生成する動作を含み、上記予測情報は、予測時点以降の複数の時点の各々における入室可能性を表す複数の多重予測を含むことが可能である。
【0019】
前述のような課題を実現するための本開示の一実施例に基づき、患者の治療場所への入室可能性を予測するためのコンピューティング装置が開示される。上記コンピューティング装置は、1つ以上のコアを含むプロセッサー、ネットワーク部及びメモリーを含み、上記プロセッサーは、患者の生体情報を取得し、人工神経回路網モデルを活用し、上記取得された生体情報を基に、上記患者の治療場所への入室可能性を表す予測情報を生成することが可能であり、上記予測情報は、予測時点以降の複数の時点の各々における入室可能性を表す複数の多重予測を含むことが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本開示は、患者の生体情報を基に、患者が治療場所に入室する可能性を予測することが可能である。例えば 本開示は、患者の生体情報を人工神経回路網モデルに入力し、患者の集中治療室への入室可能性を表す予測情報を生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施例における、患者の治療場所への入室可能性を予測するコンピューティング装置のブロック構成図である。
図2】本開示の一実施例におけるネットワーク関数を示す概略図である。
図3】本開示の一実施例において、患者の治療場所への入室可能性を予測する過程を示すフローチャートである。
図4】本開示の一実施例における、患者の生体情報を含むデータを示す概念図である。
図5】本開示の一実施例における、患者の時間による治療場所への入室可能性に係るグラフを示す概念図である。
図6】本開示の一実施例における、患者の治療場所への入室可能性を予測する人工神経回路網モデルを学習させるための学習データのラベルを示す概念図である。
図7】本開示の実施例を具現化できる例示的なコンピューティング環境に係る簡略かつ一般的な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、患者の生体情報を人工神経回路網モデルに入力し、予測時点以降の複数の時点の各々における患者の治療場所への入室可能性を表す予測情報を生成する方法について開示する。
【0023】
多様な実施例について以下に図面を用いて説明する。本明細書において多様な説明が本開示に対する理解を容易にするために示される。しかし、かかる実施例がかかる具体的な説明がなくても実施されることが可能であることは自明である。
【0024】
本明細書において、「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」等の用語は、コンピューター関連エンティティ、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、又はソフトウェアの実行を指す。例えば、コンポーネントは、プロセッサー上で実行される処理手順(procedure)、プロセッサー、オブジェクト、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピューターになり得るが、これらに限定されるものではない。例えば、コンピューティング装置で実行されるアプリケーションとコンピューティング装置は、両方ともコンポーネントになり得る。1つ以上のコンポーネントは、プロセッサー及び/又は実行スレッドの中に常駐することが可能である。1つのコンポーネントは、1つのコンピューターの中でローカル化されることが可能である。1つのコンポーネントは、2つ以上のコンピューターに配分されることが可能である。また、このようなコンポーネントは、その内部に保存されている多様なデータ構造を有する多様なコンピューター可読媒体において実行することが可能である。コンポーネントは、例えば1つ以上のデータパケットを含む信号(例えば、ローカルシステムや分散システムにおいて他のコンポーネントと相互作用する1つのコンポーネントからのデータ及び/又は信号を用いて、他のシステムと、インターネットのようなネットワークを介して伝送されるデータ)を用いてローカル及び/又は遠隔処理等を通じて通信することが可能である。
【0025】
なお、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく、内包的な「又は」を意味する意図で使われる。つまり、特に特定されておらず、文脈上明確ではない場合、「Xは、A又はBを利用する」は、自然な内包的置換のうち1つを意味するものとする。つまり、XがAを利用したり;XがBを利用したり;又はXがA及びBの両方を利用する場合、「XはA又はBを利用する」は、これらのいずれにも当てはまるとすることが可能である。また、本明細書における「及び/又は」という用語は、取り挙げられた複数の関連アイテムのうち、1つ以上のアイテムの可能なすべての組み合わせを指し、含むものと理解されるべきである。
【0026】
また、述語としての「含む(含める)」及び/又は修飾語としての「含む(含める)」という用語は、当該特徴及び/又は構成要素が存在することを意味するものと理解されるべきである。ただし、述語としての「含む(含める)」及び/又は修飾語として「含む(含める)」という用語は、1つ以上の他のさらなる特徴、構成要素及び/又はこれらのグループの存在又は追加を排除しないものと理解されるべきである。また、特に数が特定されていない場合や、単数の形を示すことが文脈上明確でない場合、本明細書と請求範囲において単数は、一般的に「1つ又はそれ以上」を意味するものと解釈されるべきである。
【0027】
そして、「A又はBのうち少なくとも1つ」という用語については、「Aだけを含む場合」、「Bだけを含む場合」、「AとBの組み合わせの場合」を意味するものと解釈されるべきである。
【0028】
当業者は、さらに、ここに開示されている実施例に係るものとして説明された多様な例示的論理的ブロック、構成、モジュール、回路、手段、ロジック及びアルゴリズム段階が、電子ハードウェア、コンピューターソフトウェア、又はその両方の組み合わせによって実現されることが可能であることを認識すべきである。ハードウェアとソフトウェアとの相互交換性を明確に例示するために、多様な例示的コンポーネント、ブロック、構成、手段、ロジック、モジュール、回路及び段階が、それらの機能性の側面で一般的に上述された。そのような機能性がハードウェアとして実装されるか或いはソフトウェアとして実装されるかは、全般的なシステムに係る特定のアプリケーション(application)及び設計制限によって決まる。熟練した技術者は、個々の特定アプリケーションのために多様な方法で説明された機能性を実現することが可能である。ただし、そのような実現に係る決定が本開示内容の領域を逸脱するものと解釈されてはならない。
【0029】
ここに示す実施例に係る説明は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が本発明を利用したり、又は実施したりできるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者には明確に理解できるものである。ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることが可能である。したがって、本発明はここに示す実施例だけに限定されるものではない。本発明はここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
【0030】
本開示において、「治療場所」とは、集中治療室(ICU)、閉鎖病棟、隔離病室、無菌治療室及び一般入院病室を含む、医療行為が行われる場所を意味することが可能である。
【0031】
本開示において、「入室」とは、入院中の患者が現在の治療場所から他の治療場所へ移動したり、現在入院中ではない患者が入院して治療場所に移動したりすることを意味することが可能である。例えば、患者が集中治療室に入室することは、患者の病状が悪化し、一般病室から集中治療室へ移動することを意味することが可能であり、又は入院中ではない患者が集中治療室に入院することを意味することが可能である。
【0032】
本開示において「退室」とは、入院中の患者が他の治療場所に移動したり、入院中の患者が退院したりすることを意味することが可能である。例えば、患者が集中治療室から退室することは、患者の病状が良くなり集中治療室から一般病室へ移動することを意味することが可能であり、又は集中治療室に入院中の患者が退院することを意味することが可能である。
【0033】
図1は、本開示の一実施例における、患者の治療場所への入室可能性を予測するコンピューティング装置のブロック構成図である。
【0034】
図1に図示されたコンピューティング装置100の構成は、簡略化して示した例示に過ぎない。本開示の一実施例において、コンピューティング装置100には、コンピューティング装置100のコンピューティング環境を実装するための他の構成が含まれることが可能であり、開示されている構成のうち一部だけでコンピューティング装置100を構成することも可能である。
【0035】
コンピューティング装置100は、プロセッサー110、メモリー130、ネットワーク部150を含むことができる。
【0036】
本開示の一実施例において、プロセッサー110は、1つ以上のコアで構成されることが可能であり、コンピューティング中央処理装置(CPU:central processing unit)、汎用グラフィック処理装置(GPGPU:general purpose graphics processing unit)、テンサー処理装置(TPU:tensor processing unit)等のデータ分析、ディープラーニングのためのプロセッサーを含むことができる。プロセッサー110は、メモリー130に保存されたコンピュータープログラムを読み取り、本開示の一実施例における機械学習のためのデータ処理を実行することができる。本開示の一実施例に基づき、プロセッサー110は、ニューラルネットワークの学習のための演算を行うことができる。プロセッサー110は、ディープラーニング(DL:deep learning)において、学習のための入力データの処理、入力データからのフィーチャーの抽出、誤差計算、逆伝播(backpropagation)を利用したニューラルネットワークの重みの更新等のニューラルネットワークの学習のための計算を実行することができる。
【0037】
プロセッサー110のCPUとGPGPUとTPUとのうち、少なくとも1つが、ネットワーク関数の学習を処理できる。例えば、CPUとGPGPUとがともにネットワーク関数の学習やネットワーク関数を利用したデータの分類を行うことができる。なお、本開示の一実施例において、複数のコンピューティング装置のプロセッサーを一緒に使ってネットワーク関数の学習やネットワーク関数を利用したデータ分類を行うことができる。また、本開示の一実施例における、コンピューティング装置100において実行されるコンピュータープログラムは、CPU、GPGPU又はTPUで実行可能なプログラムになり得る。
【0038】
プロセッサー110は、患者の生体情報を取得することが可能である。ここで患者の生体情報は、時系列的な生体信号になり得る。例えば、患者の生体情報は、患者の体温、患者の収縮期血圧、患者の拡張期血圧、患者の1分当たりの心拍数を含むことが可能である。プロセッサー110が取得する患者の生体情報は、コンピューティング装置100のメモリー130に保存されたデータになり得るが、ネットワーク部150を通じて伝達されたデータになり得るとともに、コンピューティング装置100に繋がっている生体信号測定装備(図示は省略)から取得されたデータになり得る。しかし、本開示は、かかるデータ取得経路に限らない。
【0039】
プロセッサー110は、人工神経回路網モデルを活用し、取得された生体情報を基に、患者の治療場所への入室可能性を予測する予測情報を生成することが可能である。
【0040】
本開示の一実施例において、人工神経回路網モデルが出力する予測情報は、予測時点以降の複数の時点の各々における患者の治療場所への入室可能性を表す多重予測を含む。例えば、予測情報は、予測時点から0日後、1日後、2日後、3日後、7日後、30日後のように、予め設定された予測時点以降の複数の時点に係る個別の出力値を含むことが可能である。具体的に、患者が集中治療室から退室する場合、人工神経回路網モデルは、患者が集中治療室に在室している間の生体情報を入力データとして受け取り、予測時点以降、上記予め設定された各々の時点において、当該患者が集中治療室に再び入室する可能性を0から1までの値で出力することが可能である。上記のような例において、人工神経回路網が出力する値は、[0.1、0.2、0.25、0.7、0.8、0.9]の形になり得る。しかし、本開示において、予測情報は、集中治療室から退室する患者について、当該患者が再び集中治療室に入室する可能性以外にも、一般病棟に在室している患者が無菌治療室に入室する可能性等、治療場所への入室可能性を表す様々な種類の予測を行うことが可能である。また、本開示において、複数の時点は、上記の例示とは異なるように設定されることが可能であり、各々の時点に係る出力値の大きさも他のスケールで設定されることが可能である。
【0041】
本開示の一実施例において、予測情報を生成する人工神経回路網モデルは、多重ラベリング(Multi-labeling)が行われた学習データを基に学習されたモデルになり得る。また、人工神経回路網モデルを学習させるための学習データは、入室時点以前の時点については、全て第1ラベリング値としてラベリングされ、入室以降の時点については、全て第2ラベリング値としてラベリングされた学習データになり得る。本開示の人工神経回路網モデルを学習させる具体的な方法は、図6を用いて後述する。
【0042】
プロセッサー110は、人工神経回路網モデルを活用して出力された予測情報を基に、時間による患者の治療場所への入室可能性に係るグラフを生成することが可能である。例えば、人工神経回路網モデルが、集中治療室から退室する患者について、患者が集中治療室に再び入室する可能性を出力するモデルであり、人工神経回路網モデルの出力が[0.1、0.2、0.25、0.7、0.8、0.9]である場合、プロセッサー110は、図5のようなグラフを生成し、これをユーザーに提供することが可能である。この場合、グラフの横軸の各地点は予め設定された時点であり、縦軸は患者が集中治療室に再び入室する可能性を意味することが可能である。
【0043】
プロセッサー110は、予め決められたしきい値を基に、患者が治療場所に再入室すると予想される時点をユーザーに提供することが可能である。例えば、集中治療室から退室する患者の生体情報から、患者が集中治療室に再入室する可能性を予測する人工神経回路網モデルの場合、プロセッサー110は、患者が集中治療室に再入室する可能性を表す予測値を、予め設定された各々の時点について出力し、再入室可能性が予め決められたしきい値を超える時点を、患者が集中治療室に再入室すると予想される時点として決定することが可能である。その後、プロセッサー110は、決定された再入室予想時点に係る情報をユーザーに提供することが可能である。
【0044】
具体的に、図5を用いて説明すると、予め決められた複数の時点が、予測時点から0日後、1日後、2日後、3日後、7日後、30日後の計6時点であり、各々の時点に係る人工神経回路網モデルの出力が[0.1、0.2、0.25、0.7、0.8、0.9]である場合、プロセッサー110は、人工神経回路網モデルの出力を、図5に示すものと同様のグラフに表現することが可能である。プロセッサー110は、予め決められたしきい値(cut-off)である0.5を基準に、患者が集中治療室に再入室する可能性がしきい値である0.5を超える時点、つまり、予測時点から2.5日(60時間)が経過した時点を、患者が集中治療室に再入室すると予想される時点(onset time)として決定し、これに係る情報をユーザーに提供することが可能である。
【0045】
プロセッサー110は、患者が治療場所に入室すると予想される時点を基に、治療場所の病床管理に係る情報を、ユーザーに提供することが可能である。この場合、治療場所の病床管理に係る情報は、上記治療場所に在室中の患者の退室計画に係る情報と、上記治療場所に係る新しい患者の入室計画に係る情報のうち、少なくとも1つを含むことが可能である。例えば、プロセッサー110は、集中治療室から退室しようとする患者について、上記の人工神経回路網モデルを活用し、集中治療室における在室期間中に測定されたユーザーの生体情報を基に、現在の時点から0日後、1日後、2日後、3日後、7日後、30日後に集中治療室に再入室する可能性を予測する予測情報を生成することが可能である。その後、プロセッサー110は、予測情報から患者が集中治療室に再び入室すると予想される時点を算出し、当該時点が予め決められたしきい値(例えば、3日)以内である場合、当該患者を集中治療室から退室させない方向で計画することが可能である。その後、プロセッサー110は、集中治療室退室計画に係る情報をユーザーに提案情報として提供することが可能である。他の例として、プロセッサー110は、集中治療室ではなく一般病棟に在室中の患者の生体信号を基に、患者が集中治療室に入室する可能性を予測する予測情報を生成し、予測情報から当該患者の病状が急激に悪化する時点を算出し、当該患者を集中治療室に入室させることを計画することが可能である。その後、プロセッサー110は、当該患者について、集中治療室入室計画に係る情報をユーザーに提案情報として提供することが可能である。
【0046】
プロセッサー110は、治療場所に在室中の患者の退室計画に係る情報、又は治療場所に対する新しい患者の入室計画に係る情報を生成するうえで、他の患者に係る予測情報を考慮することが可能である。例えば、集中治療室から退室しようとする患者A、Bがいて、集中治療室への入室可能性が高い患者Cがいる場合、プロセッサー110は、患者A、B、Cのうち、集中治療室に再び入室すると予想される時点がより早い患者だけを集中治療室に入室させる方向で計画することが可能である。具体的には、患者A、B、Cのうち、患者Bの入室予想時点が最も遅い場合、患者Bを集中治療室から退室させ、患者Cを集中治療室に入室させる方向で計画することが可能である。また、患者A、B、Cのうち、患者Cの入室予想時点が最も遅い場合、患者AとBを引き続き在室させ、患者Cは集中治療室に入室させない方向で計画することが可能である。
【0047】
つまり、本開示において、プロセッサー110は、複数の患者の各々について、治療場所への入室及び退室を計画することが可能である。
【0048】
本開示の一実施例において、メモリー130は、フラッシュメモリータイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリー(例えばSD又はXDメモリー等)、ラム(Random Access Memory、RAM)、SRAM(Static Random Access Memory)、ロム(Read-Only Memory、ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、PROM(Programmable Read-Only Memory)、磁気メモリー、磁気ディスク、光ディスクのうち少なくとも1つのタイプの保存媒体を含むことができる。コンピューティング装置100は、インターネット(internet)上で前記メモリー130の保存機能を実行するウェブストレージ(web storage)と連携して動作することも可能である。前述のメモリーに係る記述は、例示に過ぎず、本開示はこれらに限定されない。
【0049】
本開示の一実施例におけるネットワーク部150は、公衆電話交換網(PSTN:Public Switched Telephone Network)、xDSL(x Digital Subscriber Line)、RADSL(Rate Adaptive DSL)、MDSL(Multi Rate DSL)、VDSL(Very High Speed DSL)、UADSL(Universal Asymmetric DSL)、HDSL(High Bit Rate DSL)及び近距離通信網(LAN)等のような多様な有線通信システムを使用することが可能である。
【0050】
また、本明細書におけるネットワーク部150は、CDMA(Code Division Multi Access)、TDMA(Time Division Multi Access)、FDMA(Frequency Division Multi Access)、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multi Access)、SC-FDMA(Single Carrier-FDMA)及びその他のシステムのような多様な無線通信システムを利用することが可能である。
【0051】
本開示において、ネットワーク部150は、任意の形態の有・無線通信システムを利用することが可能である。
【0052】
本明細書において説明された技術は、上記のネットワークだけでなく、他のネットワークで使われることも可能である。
【0053】
図2は、本開示の一実施例において、ネットワーク関数を示す概略図である。
【0054】
本明細書の全体を通して、演算モデル、神経回路網、ネットワーク関数、ニューラルネットワーク(neural network)は、同一の意味で用いることができる。神経回路網は、一般的にノードと呼ばれる相互連結された計算単位の集合で構成されることが多い。このようなノードは、ニューロン(neuron)と称することもできる。神経回路網は、少なくとも1つ以上のノードを含めて構成される。神経回路網を構成するノード(又はニューロン)は1つ以上のリンクによって相互連結されることが可能である。
【0055】
神経回路網において、リンクを介して繋がっている1つ以上のノードは、相対的に入力ノード及び出力ノードの関係を形成することができる。入力ノード及び出力ノードの概念は相対的なものであり、あるノードに対して出力ノードとなる任意のノードは、他のノードとの関係においては入力ノードになり得るが、その逆も成立する。前述のように、入力ノードと出力ノードとの関係はリンクを中心にして成立することができる。1つの入力ノードに1つ以上の出力ノードがリンクを介して繋がることができ、その逆も成立する。
【0056】
1つのリンクを介して繋がっている入力ノード及び出力ノードの関係において、出力ノードのデータは入力ノードに入力されたデータに基づきその値が決められることが可能である。ここで入力ノードと出力ノードとを相互連結するノードは加重値(weight)を持つことができる。加重値は可変的なものになり得るが、神経回路網が所望の機能を行うために、利用者又はアルゴリズムによって変わることが可能である。例えば、1つの出力ノードに1つ以上の入力ノードが各リンクによって相互連結されている場合、出力ノードは前記出力ノードに繋がっている入力ノードに入力された値及び各入力ノードに対応するリンクに設定された加重値に基づき出力ノードの値を決定することができる。
【0057】
前述のように、神経回路網は、1つ以上のノードが1つ以上のリンクを介して相互連結され神経回路網の中で入力ノードと出力ノードの関係を形成する。神経回路網において、ノードとリンクの数及びノードとリンクとの間の相関関係、各リンクに付与された加重値の値によって、神経回路網の特性が決まることが可能である。例えば、同数のノード及びリンクが存在し、リンクの加重値の値がそれぞれ異なる2つの神経回路網が存在する場合、その2つの神経回路網を、相異なるものと認識することができる。
【0058】
神経回路網は、1つ以上のノードの集合で構成することができる。神経回路網を構成するノードの部分集合は、レイヤー(layer)を構成できる。神経回路網を構成する複数のノードのうち一部は、第1入力ノードからの距離に基づき、1つのレイヤー(layer)を構成することができる。例えば、第1入力ノードからの距離がnであるノードの集合は、nレイヤーを構成することができる。第1入力ノードからの距離は、第1入力ノードから当該ノードに到達するために経由しなければならないリンクの最小限の数を基に定義することができる。しかし、このようなレイヤーの定義は、説明のために任意に取り挙げたものであり、神経回路網の中におけるレイヤーの構成は、前述の説明と異なる方法で定義されることができる。例えば、ノードのレイヤーは、最終出力ノードからの距離を基に定義することもできる。
【0059】
第1入力ノードは、神経回路網の中のノードのうち、他のノードとの関係においてリンクを経由せずにデータが直接入力される1つ以上のノードを意味することができる。又は、神経回路網のネットワークの中で、リンクを基準にしたノード間の関係において、リンクを介して繋がっている他の入力ノードを持たないノードを意味することができる。これと同様に、最終出力ノードは、神経回路網の中のノードのうち、他のノードとの関係において、出力ノードを持たない1つ以上のノードを意味することができる。また、ヒドンノードは、第1入力ノード及び最終出力ノードではないノードで、神経回路網を構成するノードを意味することができる。
【0060】
本開示の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードと同数で、入力レイヤーからヒドンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が一度減ってから、再び増加する形の神経回路網になり得る。本開示の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードの数より少なく、入力レイヤーからヒドンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が減少していく形の神経回路網になり得る。また、本開示の他の一実施例による神経回路網は、入力レイヤーのノードの数が、出力レイヤーのノードの数より多く、入力レイヤーからヒドンレイヤーへと進むにつれ、ノードの数が増加していく形の神経回路網になり得る。本開示の他の一実施例における神経回路網は、上記の神経回路網を組み合わせた形の神経回路網になり得る。
【0061】
ディープニューラルネットワーク(DNN:deep neural network、深層神経回路網)は、入力レイヤーと出力レイヤー以外に複数のヒドンレイヤーを含む神経回路網を意味することができる。ディープニューラルネットワークを利用するとデータの潜在的な構造(latent structures)を把握することができる。つまり、写真、文章、ビデオ、音声、音楽の潜在的な構造(例えば、ある物が写真に映っているか、文章の内容と感情はどのようなものなのか、音声の内容と感情はどのようなものなのか等)を把握することができる。ディープニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)、リカレントニューラルネットワーク(RNN;:recurrent neural network)、オートエンコーダー(auto encoder)、GAN(Generative Adversarial Networks)、制限ボルツマンマシン(RBM:restricted boltzmann machine)、深層信頼ネットワーク(DBN:deep belief network)、Qネットワーク、Uネットワーク、シャムネットワーク、敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Network)等を含むことができる。前述のディープニューラルネットワークは、例示に過ぎず本開示はこれらに限定されない。
【0062】
本開示の一実施例において、ネットワーク関数は、オートエンコーダー(autoencoder)を含むこともできる。オートエンコーダーは、入力データに類似した出力データを出力するための人工神経回路網の一種になり得る。オートエンコーダーは、少なくとも1つのヒドンレイヤーを含むことができ、奇数個のヒドンレイヤーが入出力レイヤーの間に配置されることができる。各レイヤーのノード数は、入力レイヤーのノード数から、ボトルネックレイヤー(エンコード)という中間レイヤーに向かって減っていき、ボトルネックレイヤーから出力レイヤー(入力レイヤーと対称を成す)に向かって、縮小と対称する形で、拡張することもできる。オートエンコーダーは、非線形次元減少を行うことができる。入力レイヤー及び出力レイヤーの数は、入力データの前処理後に次元に対応することができる。オートエンコーダー構造において、エンコーダーに含まれたヒドンレイヤーのノードの数は、入力データから遠くなるほど減っていく構造を持つことができる。ボトルネックレイヤー(エンコーダーとデコーダーの間に位置する、ノードの数が最も少ないレイヤー)のノードの数が少なすぎる場合、十分な量の情報が伝わらない可能性があるため、特定の数以上(例えば、入力レイヤーの半分以上等)に維持されることもあり得る。
【0063】
ニューラルネットワークは、教師あり学習(supervised learning)、教師なし学習(unsupervised learning)、半教師あり学習(semi supervised learning)、又は、強化学習(reinforcement learning)のうち、少なくともいずれか1つの方式で学習されることができる。ニューラルネットワークの学習は、ニューラルネットワークが特定の動作を行うための知識をニューラルネットワークに提供する過程になり得る。
【0064】
ニューラルネットワークは、出力のエラーを最小化する方向で学習されることが可能である。ニューラルネットワークの学習において、繰り返し学習データをニューラルネットワークに入力させ、学習データに関するニューラルネットワークの出力とターゲットのエラーを計算し、エラーを減らすための方向としてニューラルネットワークのエラーをニューラルネットワークの出力レイヤーから入力レイヤーの方向へ逆伝播(back propagation)してニューラルネットワークの各ノードの加重値を更新するプロセスが行われる。教師あり学習の場合、個々の学習データに正解がラベリングされている学習データを使い(つまり、ラベリングされた学習データ)、教師なし学習の場合は、個々の学習データに正解がラベリングされていない場合がある。つまり、例えばデータ分類に関する教師あり学習における学習データは、学習データの各々にカテゴリがラベリングされたデータになり得る。ラベリングされた学習データがニューラルネットワークに入力され、ニューラルネットワークの出力(カテゴリ)と学習データのラベルを比較することでエラー(error)を計算することが可能である。他の例として、データ分類に関する教師なし学習の場合、入力である学習データをニューラルネットワークの出力と比較することでエラーを計算することが可能である。計算されたエラーは、ニューラルネットワークにおいて逆方向(つまり、出力レイヤーから入力レイヤー方向)へ逆伝播され、逆伝播を通じてニューラルネットワークの各レイヤーの各ノードの連結加重値を更新することが可能である。更新される各ノードの連結加重値は、学習率(learing rate)によって変化量が決まることが可能である。入力データに対するニューラルネットワークの計算とエラーの逆伝播は、学習のサイクル(epoch)を構成することができる。学習率は、ニューラルネットワークの学習のサイクルの反復回数によって適用方式が変わることが可能である。例えば、ニューラルネットワークの学習初期においては、学習率を高くしてニューラルネットワークが早く一定のレベルの性能を確保するようにすることで効率を高め、学習の後半においては学習率を低くして精度を上げることが可能である。
【0065】
ニューラルネットワークの学習において、一般的に学習データは実際のデータ(つまり、学習されたニューラルネットワークを利用して処理しようとするデータ)の部分集合であることが可能であり、そのため学習データに係るエラーは減少するが、実際のデータに係るエラーは増加する学習サイクルが存在し得る。過剰適合(over fitting)は、このように学習データについて過度に学習したため、実際のデータにおいてエラーが増加する現象である。例えば、黄色い猫を見て猫を学習したニューラルネットワークが、黄色以外の色の猫を見ると猫であることを認識できない現象が過剰適合の一種になり得る。過剰適合は、マシンラーニングアルゴリズムのエラーを増加させる原因になり得る。このような過剰適合を防ぐために、多様な最適化方法を適用できる。過剰適合を防ぐためには、学習データを増加させる方法、正則化(regulaization)、学習の過程でネットワークのノードの一部を非活性化するドロップアウト(drop out)、バッチ正規化レイヤー(batch normalization layer)の活用等の方法を適用できる。
【0066】
図3は、本開示の一実施例において、患者の治療場所への入室可能性を予測する過程を示すフローチャートである。
【0067】
図3によると、本開示において、患者の治療場所への入室可能性を予測する過程は、患者の生体情報を取得する段階(S310)と、人工神経回路網モデルを活用し、上記取得された生体情報を基に、上記患者の治療場所への入室可能性を予測する予測情報を生成する段階(S320)とを含むことが可能である。
【0068】
段階S310において、プロセッサー110は、ユーザーの生体信号データを取得することが可能である。この場合、生体情報の種類及び取得経路は、図1を参照して前述した。
【0069】
段階S320において、プロセッサー110は、人工神経回路網モデルを活用し、上記取得された生体情報を基に、上記患者の治療場所への入室可能性を予測する予測情報を生成することが可能である。上記のように、予測情報は、複数の時点の各々における、上記患者の治療場所への入室可能性を表す複数の多重予測を含むことが可能である。また、患者の治療場所への入室可能性は、集中治療室から退室しようとする患者が集中治療室に再入室する可能性を含むことが可能である。この場合、プロセッサー110は、患者が集中治療室に再入室する可能性をグラフの形に作成し、ユーザーに提供したり、患者が集中治療室に再入室すると予測される時点に係る情報を算出し、ユーザーに提供したりすることが可能である。
【0070】
以下に、本開示において、患者の治療場所への入室可能性を予測する人工神経回路網モデルの学習方法について説明する。
【0071】
図4は、本開示の一実施例における、患者の生体情報を含むデータを示す概念図である。
【0072】
本開示の一実施例において、プロセッサー110は、人工神経回路網を学習させるために、患者が治療場所に在室している期間中に測定された患者の生体情報410、患者の退室時点420に係る生体情報、患者の再入室時点430に係る生体情報を基に、学習データを生成することが可能である。この場合、患者の生体情報410は、体温(Temp)、血圧(SBP、DBP)、脈拍(HR)等の時系列生体信号を含むことが可能である。
【0073】
プロセッサー110は、人工神経回路網モデルを学習させるために、前述のような患者の生体情報に対して多重ラベリング(Multi-labeling)を行い、人工神経回路網モデルを学習させるための学習データを生成することが可能である。この場合、多重ラベリングとは、複数の時点の各々に対して、上記患者の治療場所に係る入室状態を表す複数のラベルを付与することを意味することが可能である。
【0074】
例えば、本開示において、プロセッサー110は、複数の時点のうち、患者が治療場所に入室する前の複数の時点について第1ラベリング値としてラベリングし、治療場所に入室した後の複数の時点について第2ラベリング値としてラベリングすることで、人工神経回路網を学習させるための学習データを生成することが可能である。この場合、第1ラベリング値と第2ラベリング値は、相異なるバイナリー値になり得る。
【0075】
図6を用いて具体的に説明すると、プロセッサー110は、集中治療室から退室したが、60時間後に再び入室した患者について、60時間後より早い時点(0日後、1日後、2日後)については0としてラベリングし、60時間後より遅い時点(3日後、7日後、30日後)については1としてラベリングすることで、1つのデータに対して複数のラベルを付与する方法で1つの学習データを生成することが可能である。
【0076】
しかし、本開示において、患者の治療場所への入室可能性を予測する人工神経回路網モデルの学習データを生成する方法は、上記の例に限らず、様々な時点及び様々な数値において、人工神経回路網を学習させるための学習データが生成されることが可能である。
【0077】
本開示において、1つの生体信号データに対して1つのラベルを付与するのではなく、複数の時点に対して、治療場所への入室如何を基に、それぞれラベルを付与する方式で学習データが生成される。かかる学習データを基に、プロセッサー110は、複数の各時点について、人工神経回路網が出力した予測情報とラベルとの間の損失関数(loss function)を設計し、患者が集中治療室に再入室する可能性が高いほど、より高い値を出力するように、人工神経回路網モデルを学習させることが可能である。つまり、本開示の人工神経回路網は、マルチラベル分類(multi-label classification)を実行するように学習されることが可能である。
【0078】
例えば、本開示の人工神経回路網モデルは、複数の隠れ層及び全結合層(fully connected layer)を含み、全結合層が複数の時点の各々をクラスとして扱い、各クラスに対する複数の予測値を出力するように学習されることが可能である。しかし、本開示において、患者の治療場所への入室可能性を予測する人工神経回路網モデルの具体的な形態は、上記の例示に限らず、マルチラベル分類を行える多様な形態のモデルが、制限なく用いられることが可能である。
【0079】
本開示を通じて、患者の治療場所への入室可能性を予測する人工神経回路網モデルを活用し、集中治療室から退室しようとする患者の再入室予想時点のように、患者の治療場所への入室可能性を予測することが可能である。これを利用すると、患者の重症度のような要素を、長期的な観点から定量的に評価できる効果が発生する。また、患者の長期的な状態を予め予測することで集中治療室を含む治療場所の病床、医療機器、人員のようなリソースを、効率的に使用できる効果が発生する。
【0080】
本開示の一実施例に基づき、データ構造を保存したコンピューター可読保存媒体が開示される。
【0081】
データ構造は、データに効率的なアクセス及び修正を可能にするデータの組織、管理、保存を意味することができる。データ構造は、特定の問題(例えば、最短時間でデータ検索、データ保存、データ修正)を解決するためのデータ組織を意味することができる。データ構造は、特定のデータ処理機能をサポートするように設計されたデータ要素間の物理的又は論理的な関係と定義することもできる。
【0082】
データ要素間の論理的な関係は、ユーザーが考えるデータ要素間の連結関係を含むことができる。データ要素間の物理的な関係は、コンピューター可読保存媒体(例えば、ハードディスク)に物理的に保存されているデータ要素間の実際の関係を含むことができる。
【0083】
データ構造は具体的にデータの集合、データ間の関係、データに適用できる関数又はコマンドを含むことができる。効果的に設計されたデータ構造により、コンピューティング装置はコンピューティング装置のリソースを最小限に使用しながら計算を行うことができる。具体的にコンピューティング装置は効果的に設計されたデータ構造を通じて演算、読み取り、挿入、削除、比較、交換、検索の効率性を高めることができる。
【0084】
データ構造はデータ構造の形態によって線形データ構造と非線形データ構造に区分されることができる。線形データ構造は、一つのデータの後に一つのデータだけが連結される構造である可能性がある。線形データ構造はリスト(List)、スタック(Stack)、キュー(Queue)、デッキ(Deque)を含むことができる。
【0085】
リストは、内部的に順序が存在する一連のデータセットを意味することが可能である。リストは連結リスト(Linked List)を含むことができる。連結リストはそれぞれのデータがポインタを持って一列に連結されている方式でデータが連結されたデータ構造でありうる。連結リストでポインタは、次や以前のデータとの連結情報を含むことができる。連結リストは形態によって単一連結リスト、二重連結リスト、円形連結リストで表現できる。
【0086】
スタックは、制限的にデータにアクセスできるデータリスト構造である可能性がある。スタックは、データ構造の片端でのみデータを処理(例えば、挿入又は削除)できる線形データ構造である可能性がある。スタックに保存されたデータは、遅く入るほど早く出てくるデータ構造(LIFO-Last in First Out)である可能性がある。
【0087】
キューは、制限的にデータにアクセスできるデータ羅列構造であり、スタックとは異なり遅く保存されたデータほど遅く出てくるデータ構造(FIFO-FirstinFirstOut)であることができる。
【0088】
デッキは、データ構造の両端でデータを処理できるデータ構造になり得る。
【0089】
非線形データ構造は、一つのデータの後に複数のデータが連結される構造である可能性がある。非線形データ構造は、グラフ(Graph)データ構造を含むことができる。
【0090】
グラフデータ構造は、頂点(Vertex)と幹線(Edge)で定義でき、幹線は互いに異なる二つの頂点を連結する線を含むことができる。グラフデータ構造は、ツリー(Tree)データ構造を含むことができる。ツリーデータ構造はツリーに含まれる複数の頂点のうち、互いに異なる2つの頂点を連結させる経路が一つのデータ構造になり得る。すなわち、グラフデータ構造でループ(loop)を形成しないデータ構造になり得る。
【0091】
本明細書にかけて、演算モデル、神経回路網、ネットワーク関数、ニューラルネットワークは同じ意味で使用できる(以下では「ニューラルネットワーク」で統一して記述する)。
【0092】
データ構造は、ニューラルネットワークを含むことができる。そして、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータ、ニューラルネットワークの加重値、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ、ニューラルネットワークから獲得したデータ、ニューラルネットワークの各ノード又はレイヤーに関連する活性関数、ニューラルネットワークの学習のための損失関数を含むことができる。ニューラルネットワークを含むデータ構造は、前記開示された構成のうち任意の構成要素を含むことができる。
【0093】
すなわち、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータ、ニューラルネットワークの加重値、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ、ニューラルネットワークから獲得したデータ、ニューラルネットワークの各ノード又はレイヤーに関連する活性関数、ニューラルネットワークのトレーニングのための損失関数など、全部又はこれらの任意の組み合わせを含んで構成されることができる。前述した構成以外にも、ニューラルネットワークを含むデータ構造は、ニューラルネットワークの特性を決定する任意の他の情報を含むことができる。
【0094】
また、データ構造は、ニューラルネットワークの演算過程で使用されたり、発生したりするすべての形態のデータを含むことができ、前述の事項に制限されるわけではない。コンピューター可読保存媒体は、コンピューター可読記録媒体及び/又はコンピューター可読伝送媒体を含むことができる。
【0095】
ニューラルネットワークは、一般的にノードと呼ばれる相互接続された計算単位の集合で構成されることができる。このようなノードはニューロン(neuron)と呼ばれることができる。ニューラルネットワークは、少なくとも1つ以上のノードを含んで構成される。
【0096】
データ構造は、ニューラルネットワークに入力されるデータを含むことができる。ニューラルネットワークに入力されるデータを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。ニューラルネットワークに入力されるデータは、ニューラルネットワークの学習過程で入力される学習データ及び/又は学習が完了したニューラルネットワークに入力される入力データを含むことができる。ニューラルネットワークに入力されるデータは、前処理(pre-processing)を経たデータ及び/又は前処理対象となるデータを含むことができる。前処理はデータをニューラルネットワークに入力させるためのデータ処理過程を含むことができる。したがって、データ構造は前処理対象となるデータ及び前処理で発生するデータを含むことができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0097】
データ構造は、ニューラルネットワークの加重値を含むことができる(本明細書では、加重値、パラメータは同じ意味で使用できる)。そして、神経回路網の加重値を含むデータ構造はコンピューター可読保存媒体に保存されることができる。
【0098】
ニューラルネットワークは、複数の加重値を含むことができる。加重値は可変的であり、ニューラルネットワークが望む機能を遂行するために、ユーザー又はアルゴリズムによって可変することができる。例えば、一つの出力ノードに一つ以上の入力ノードがそれぞれのリンクによって相互接続された場合、出力ノードは前記出力ノードと連結された入力ノードに入力された値及びそれぞれの入力ノードに対応するリンクに設定されたパラメータに基づいて出力ノード値を決定することができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0099】
制限ではなく例として、加重値は、神経回路網学習過程で可変する加重値及び/又は神経回路網学習が完了した加重値を含むことができる。ニューラルネットワーク学習過程で可変される加重値は、学習サイクルが始まる時点の加重値及び/又は学習サイクルの間に可変される加重値を含むことができる。ニューラルネットワーク学習が完了した加重値は、学習サイクルが完了した加重値を含むことができる。
【0100】
したがって、ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、ニューラルネットワーク学習過程で可変される加重値及び/又はニューラルネットワーク学習が完了した加重値を含むデータ構造を含むことができる。したがって、上記した加重値及び/又は各加重値の組み合わせは、神経回路網の加重値を含むデータ構造に含まれるものとする。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0101】
ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、直列化(serialization)過程を経た後、コンピューター可読保存媒体(例えば、メモリ、ハードディスク)に保存されることができる。直列化は、データ構造を同一又は他のコンピューティングデバイスに保存し、後で再構成して使用できる形態に変換する過程である可能性がある。コンピューティングデバイスは、データ構造を直列化し、ネットワークを介してデータを送受信することができる。
【0102】
直列化されたニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、逆直列化(deserialization)を通じて同じコンピューティング装置又は他のコンピューティング装置で再構成されることができる。ニューラルネットワークの加重値を含むデータ構造は、シリアル化に限定されるものではない。さらに、神経回路網の加重値を含むデータ構造は、コンピューティング装置の資源を最小限に使用しながら演算の効率を高めるためのデータ構造(例えば、非線形データ構造で B-Tree、Trie、m-way search tree、AVLtree、Red-Black Tree)を含むことができる。前述の事項は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0103】
データ構造は、ニューラルネットワークのハイパーパラメータ(Hyper-parameter)を含むことができる。そして、ニューラルネットワークのハイパーパラメータを含むデータ構造は、コンピューター可読保存媒体に保存されることができる。
【0104】
ハイパーパラメータは、ユーザーによって可変される変数である可能性がある。ハイパーパラメータは、例えば、学習率(learning rate)、コスト関数(cost function)、学習サイクル反復回数、加重値初期化(例えば、加重値初期化対象となる加重値の範囲設定)、Hidden Unit個数(例えば、ヒドンレイヤーの個数、ヒドンレイヤーのノード数)を含むことができる。前述のデータ構造は例示に過ぎず、本開示はこれに限定されない。
【0105】
図7は、本開示の実施例が具現化されることのできる例示的なコンピューティング環境に係る簡略で一般的な概略図である。
【0106】
本開示が一般的にコンピューティング装置により具現化されることができると前述されているが、当業者であれば本開示が一つ以上のコンピューター上で実行されることのできるコンピューター実行可能命令及び/又はその他のプログラムモジュールと結合して及び/又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして具現化されることができるということをよく理解できるだろう。
【0107】
一般的に、本明細書におけるモジュールは、特定のタスクを実行したり特定の抽象的なデータ類型を実装したりするルーティン、プログラム、コンポーネント、データ構造、その他等々を含む。また、当業者なら本開示の方法がシングルプロセッサー又はマルチプロセッサーコンピューターシステム、ミニコンピューター、メインフレームコンピューターはもちろん、パーソナルコンピューター、ハンドヘルド(handheld)コンピューティング装置、マイクロプロセッサー基盤、又はプログラム可能な家電製品、その他等々(これらは、それぞれ1つ以上の関連する装置と繋がって動作することができる)をはじめとする、他のコンピューターシステムの構成によって実施されることができることをよく理解できるだろう。
【0108】
本開示において説明された実施例は、さらに、あるタスクが通信ネットワークを通じて繋がっている遠隔処理装置によって実行される分散コンピューティング環境で実施されることができる。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、ローカルや遠隔メモリー保存装置の両方に位置することができる。
【0109】
コンピューターは、多様なコンピューター可読媒体を含む。コンピューターによってアクセス可能な媒体はいずれもコンピューター可読媒体になり得るが、このようなコンピューター可読媒体は揮発性及び非揮発性媒体、一時的(transitory)及び非一時的(non-transitory)媒体、移動式及び非-移動式媒体を含む。制限ではなく例として、コンピューター可読媒体は、コンピューター可読保存媒体及びコンピューター可読伝送媒体を含むことができる。コンピューター可読保存媒体は、コンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータのような情報を保存する任意の方法又は技術により実装される揮発性及び非揮発性媒体、一時的及び非一時的媒体、移動式及び非移動式媒体を含む。コンピューター可読保存媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリー又はその他のメモリー技術、CD-ROM、DVD(digital video disk)又はその他の光ディスク保存装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク保存装置又はその他の磁気保存装置、又はコンピューターによってアクセスされることができ、情報を保存するのに使われることのできる任意のその他の媒体を含むが、これに限定されない。
【0110】
コンピューター可読伝送媒体は、通常、搬送波(carrier wave)又はその他の伝送メカニズム(transport mechanism)のような被変調データ信号(modulated data signal)にコンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータ等を実装し、すべての情報伝達媒体を含む。被変調データ信号という用語は、信号の中で情報をエンコードするように、その信号の特性のうち1つ以上を設定又は変更した信号を意味する。制限ではなく例として、コンピューター可読伝送媒体は、有線ネットワーク又は直接配線接続(direct-wired connection)のような有線媒体、そして音響、RF、赤外線、その他の無線媒体のような無線媒体を含む。前述の媒体のいずれかによる任意の組み合わせもまたコンピューター可読伝送媒体の範囲に含まれるものとする。
【0111】
コンピューター1102を含む本開示の多様な側面を実現する例示的な環境が示されており、コンピューター1102は、処理装置1104、システムメモリー1106、システムバス1108を含む。システムバス1108は、システムメモリー1106(これに限定されない)をはじめとするシステムコンポーネントを処理装置1104につなげる。処理装置1104は、多様な商用プロセッサーのうち任意のプロセッサーになり得る。デュエルプロセッサーとその他のマルチプロセッサーアーキテクチャもまた処理装置1104として利用されることができる。
【0112】
システムバス1108は、メモリーバス、周辺装置バス、そして多様な商用バスアーキテクチャの中から、任意のものを使用するローカルバスにさらに相互連結されることのできる複数の類型のバス構造のうちいずれかになり得る。システムメモリー1106は、読み取り専用メモリー(ROM)1110やランダムアクセスメモリー(RAM)1112を含む。基本的な入出力システム(BIOS)は、ROM1110、EPROM、EEPROM等の非揮発性メモリーに保存され、このBIOSは、起動中の時等にコンピューター1102の中の複数の構成要素間の情報のやりとりをサポートする基本的なルーティンを含む。RAM1112は、データをキャッシュするための静的RAM等の高速RAMを含むことができる。
【0113】
コンピューター1102においては、内蔵型のハードディスクドライブ(HDD)1114(例えば、EIDE、SATA)、磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)1116(例えば、移動式ディスケット1118から読み取ったりそれに書き込むためのものである)及び光ディスクドライブ1120(例えば、CD-ROMディスク1122を読み取ったり、DVD等のその他の高容量光媒体から読み取ったり、それに書き込むためのものである)を含む。なお、ハードディスクドライブ1114は、適切なシャシー(図示は省略)の中で外付け型の用途で構成されることができる(外付け型HDD)。ハードディスクドライブ1114、磁気ディスクドライブ1116及び光ディスクドライブ1120は、それぞれハードディスクドライブインターフェース1124、磁気ディスクドライブインターフェース1126及び光ドライブインターフェース1128によってシステムバス1108に繋がることができる。外付け型ドライブの実装のためのインターフェースは、例えば、USB(Universal Serial Bus)やIEEE1394インターフェース技術のうち、少なくとも1つ又はその両方を含む。
【0114】
これらのドライブ及びこれらに係るコンピューター可読媒体は、データ、データ構造、コンピューターで実行可能な命令、その他等々の非揮発性保存を提供する。コンピューター1102の場合、ドライブ及び媒体は、任意のデータを適切なデジタル形式に保存することに対応する。前述におけるコンピューター可読保存媒体に係る説明が、HDD、移動式磁気ディスク及びCD又はDVD等の移動式光媒体について触れているが、当業者ならジップドライブ(zip drive)、磁気カセット、フラッシュメモリーカード、カートリッジ、その他等々のコンピューターにより読み取り可能な他の類型の保存媒体もまた例示的な運営環境で使われることができ、さらに、このような媒体のうち任意のある媒体が、本開示の方法を実行するためのコンピューターで実行可能な命令を含むことができることをよく理解できるだろう。
【0115】
運営システム1130、1つ以上のアプリケーションプログラム1132、その他のプログラムモジュール1134及びプログラムデータ1136をはじめとする多数のプログラムモジュールが、ドライブ及びRAM1112に保存されることができる。運営システム、アプリケーション、モジュール及び/又はデータの全部又はその一部分がまたRAM1112にキャッシュされることができる。本開示が商業的に利用可能な様々な運営システム又は複数の運営システムの組み合わせにより実装されることができることをよく理解できるだろう。
【0116】
ユーザーは、1つ以上の有線・無線の入力装置、例えば、キーボード1138及びマウス1140等のポインティング装置を通じてコンピューター1102に命令及び情報を入力することができる。その他の入力装置(図示は省略)としてはマイク、IRリモコン、ジョイスティック、ゲームパッド、スタイラスペン、タッチスクリーン、その他等々があり得る。これら及びその他の入力装置が、よくシステムバス1108に繋がっている入力装置インターフェース1142を通じて処理装置1104に繋がることがあるが、並列ポート、IEEE1394直列ポート、ゲームポート、USBポート、IRインターフェース、その他等々のその他のインターフェースによって繋がることができる。
【0117】
モニター1144又は他の類型のディスプレイ装置も、ビデオアダプター1146等のインターフェースを通じてシステムバス1108に繋がる。モニター1144に加えて、コンピューターは一般的にスピーカー、プリンター、その他等々のその他の周辺出力装置(図示は省略)を含む。
【0118】
コンピューター1102は、有線及び/又は無線通信による(複数の)遠隔コンピューター1148等の1つ以上の遠隔コンピューターへの論理的接続を利用し、ネットワーク化された環境で動作することができる。(複数の)遠隔コンピューター1148は、ワークステーション、サーバーコンピューター、ルーター、パーソナルコンピューター、携帯用コンピューター、マイクロプロセッサー基盤の娯楽機器、ピア装置又はその他の通常のネットワークノードになることができ、一般的にコンピューター1102について述べられた構成要素のうち、多数又はその全部を含むが、簡略化するために、メモリー/保存装置1150のみ図示されている。図示されている論理的接続は、近距離通信網(LAN)1152及び/又は、より大きいネットワーク、例えば、遠距離通信網(WAN)1154における有線・無線の接続を含む。このようなLAN1152及びWAN1154のネットワーキング環境は、オフィスや会社では一般的なもので、イントラネット等の全社的コンピューターネットワーク(enterprise-wide computer network)を容易にし、これらはすべて全世界のコンピューターネットワーク、例えば、インターネットに繋がることができる。
【0119】
LANネットワーキング環境で使われるとき、コンピューター1102は、有線及び/又は無線通信ネットワークインターフェース、又は、ネットワークアダプター1156を通じてLAN1152に繋がる。ネットワークアダプター1156は、LAN1152への有線又は無線通信を容易にすることができ、このLAN1152は、無線のネットワークアダプター1156と通信するためにそれに設置されている無線アクセスポイントを含む。WANネットワーキング環境で使われるとき、コンピューター1102は、モデム1158を含むことができたり、WAN1154上の通信サーバーに繋がったり、又はインターネットを通じる等、WAN1154を通じて通信を設定するその他の手段を持つ。内蔵型又は外付け型、そして、有線又は無線装置になり得るモデム1158は、直列ポートの入力装置インターフェース1142を通じてシステムバス1108に繋がる。ネットワーク化された環境において、コンピューター1102について説明されたプログラムモジュール又はその一部分が、遠隔のメモリー/保存装置1150に保存されることができる。図示されたネットワーク接続が例示的なものであり、複数のコンピューター間で通信リンクを設定する他の手段が使われることができるということは容易に理解できることである。
【0120】
コンピューター1102は、無線通信で配置されて動作する任意の無線装置又はユニット、例えば、プリンター、スキャナー、デスクトップ及び/又は携帯用コンピューター、PDA(portable data assistant)、通信衛星、無線で検出可能なタグに係る任意の装備又は場所及、及び電話と通信する動作をする。これは、少なくともWi-Fi(Wireless Fidelity:登録商標)及びブルートゥース(Bluetooth:登録商標)無線技術を含む。したがって、通信は、従来のネットワークのように予め定義された構造であったり、単純に少なくとも2つの装置の間でのアドホック通信(ad hoc communication)になり得る。
【0121】
Wi-Fiは、有線で繋がっていなくても、インターネット等への接続を可能にする。Wi-Fiは、このような装置、例えば、コンピューターが室内及び室外で、つまり基地局の通話圏内のどこからでもデータを送受信できるようにするセル電話のような無線技術である。Wi-Fiネットワークは、安全で信頼性があり、高速である無線接続を提供するためにIEEE802.11(a、b、g、その他)という無線技術を使う。コンピューターを互いに、インターネット及び有線ネットワーク(IEEE802.3又はイーサネットを使う)に接続するためにWi-Fiが使われることができる。Wi-Fiネットワークは、非認可2.4や5GHzの無線帯域において、例えば、11Mbps(802.11a)又は54Mbps(802.11b)のデータレートで動作したり、両帯域(デュエル帯域)を含む製品において動作することができる。
【0122】
本開示の技術分野における通常の知識を持つ者は情報及び信号が任意の多様な異なる技術及び手法を利用して示されることができることを理解できる。例えば、前記の説明において参照できるデータ、指示、命令、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁気派、磁場等又は粒子、光学場等又は粒子、又はこれらの任意の組み合わせによって示されることができる。
【0123】
本開示の技術分野において通常の知識を持つ者は、ここに開示された実施例に係る説明で取り挙げられた多様な例示的な論理ブロック、モジュール、プロセッサー、手段、回路、アルゴリズム段階が電子ハードウェア(利便性のために、ここでは「ソフトウェア」と称される)多様な形のプログラム又は設計コード、又はこれらすべての結合により実装されることができることを理解できるだろう。ハードウェア及びソフトウェアのこのような相互互換性を明確に説明するために、多様な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及び段階がこれらの機能に着目して前記で一般的に説明された。このような機能がハードウェアやソフトウェアで実装されるかどうかは、特定のアプリケーション及び全体システムに対して付与される設計上の制限によって決まる。本開示の技術分野において通常の知識を持つ者は、個々の特定のアプリケーションについて多様な手法で説明された機能を実現することができるが、このような実現の決定は、本開示の範囲を逸脱するものと解釈されてはならない。
【0124】
ここに示された多様な実施例は、方法、装置、又は標準プログラミング及び/又はエンジニアリング技術を使った製造物品(article)によって実現できる。用語「製造物品」は、任意のコンピューターで可読な装置からアクセス可能なコンピュータープログラム、キャリアー、又は媒体(media)を含む。例えば、コンピューターで可読保存媒体は、磁気保存装置(例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、磁気ストリップ等)、光学ディスク(例えば、CD、DVD等)、スマートカード及びフラッシュメモリー装置(例えば、EEPROM、カード、スティック、キードライブ等)を含むが、これらに限定されるものではない。また、ここに示されている多様な保存媒体は、情報を保存するための1つ以上の装置及び/又は他の機械可読媒体を含む。
【0125】
本明細書に示されたプロセスにおける複数の段階の特定の順番又は階層構造は、例示的なアプローチの一例であることを理解すべきである。設計上の優先順位に基づき、本開示の範囲内で、プロセスにおける段階の特定の順番又は階層構造が再配列されることができることを理解すべきである。添付の方法請求項は、サンプルとしての順番で、多様な段階のエレメントを提供するが、示された特定の順番又は階層構造に限定されることを意味するわけではない。
【0126】
本明細書に示された実施例に関する説明は、任意の本開示の技術分野において通常の知識を持つ者が、本開示を利用したり又は実施したりできるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は、本開示の技術分野において通常の知識を持つ者には明確に理解できるものであり、ここに定義された一般的な原理は、本開示の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることができる。したがって、本開示はここに示す実施例によって限定されるものではなく、ここに示す原理及び新規な特徴と一貫する最広義の範囲で解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0127】
100 コンピューティング装置
110 プロセッサー
130 メモリー
150 ネットワーク部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7