特開 2024-117700 清掃具

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024117700

(43)【公開日】2024-08-29

(54)【発明の名称】清掃具

(51)【国際特許分類】

   A47L 13/24 20060101AFI20240822BHJP

   A47L 13/20 20060101ALI20240822BHJP

【ＦＩ】

A47L13/24 A

A47L13/20 A

【審査請求】未請求

【請求項の数】3

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023178664

(22)【出願日】2023-10-17

(31)【優先権主張番号】P 2023023462

(32)【優先日】2023-02-17

(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP

(31)【優先権主張番号】P 2023082071

(32)【優先日】2023-05-18

(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP

(71)【出願人】

【識別番号】391044797

【氏名又は名称】株式会社コーワ

(72)【発明者】

【氏名】町田 幸雄

(72)【発明者】

【氏名】横山 広

(72)【発明者】

【氏名】高井 勉

(72)【発明者】

【氏名】吉田 知弘

(72)【発明者】

【氏名】中川 和紀

【テーマコード（参考）】

3B074

【Ｆターム（参考）】

3B074AA08

3B074AB01

3B074EE01

(57)【要約】

【課題】 清掃体への着脱が容易であり、作業性を向上させることができると共に、清掃体の使用されない無駄な部分を少なくして有効活用することができる清掃具を提供する。
【解決手段】 清掃具１０は、清掃ヘッド１の被清掃面と対向する面に、複数の毛材５からなるブラシ部材６ａ、６ｂが形成されていると共に、複数の毛材５の先端が差し込まれつつ固定される複数の繊維が絡み合う不織布シート７からなる清掃体８が、清掃ヘッド１の被清掃面と対向する面に装着されており、ブラシ部材６ａ、６ｂは、清掃ヘッド１の被清掃面と対向する面に複数のブラシ列６ａ、６ｂが略平行に配置されていると共に、複数の毛材５の先端部はブラシ列６ａ、６ｂの長手方向に直交する方向に、ブラシ列６ａ、６ｂの短手方向の略中央から放射状に延出しており、複数の毛材５の先端表面は湾曲面にて形成されている。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

平面視が略長方形状の清掃ヘッドと、該清掃ヘッドに固定される操作用ハンドルと、を有する清掃具において、
前記清掃ヘッドは、被清掃面と対向する面に、複数の毛材からなるブラシ部材が形成されていると共に、
前記複数の毛材の先端が差し込まれつつ固定される複数の繊維が絡み合う不織布シートからなる清掃体が、前記清掃ヘッドの前記被清掃面と対向する面に装着されており、前記清掃体を前記被清掃面に当接させて使用するものであって、
前記ブラシ部材は、前記清掃ヘッドの被清掃面と対向する面に複数のブラシ列が略平行に配置されていると共に、前記複数の毛材の先端部は前記ブラシ列の長手方向に直交する方向に、前記ブラシ列の短手方向の略中央から放射状に延出しており、前記複数の毛材の先端表面は湾曲面であることを特徴とする清掃具

【請求項2】

複数の毛材は捲縮加工が施されていると共に、該複数の毛材の各々の先端部はランダムな方向に延出しているものであって、ブラシ列の短手方向側から清掃体を固定可能であることを特徴とする請求項１に記載の清掃具

【請求項3】

複数の毛材は先端部の一部は、清掃ヘッドと当接する位置まで延出していることを特徴とする請求項１又２に記載の清掃具

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、清掃ヘッドと操作用ハンドルとを備えた清掃具に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来から柄棒の先端に連結された拭布取付部材に、紙や布帛等からなる拭布を交換可能に取り付けたモップの発明が知られている（特許文献１）。

【0003】

特許文献１に記載のモップは、払掃用の拭布と、該拭布を交換可能に装着するための扁平で細長い拭布取付部材と、該拭布取付部材に連結された操作用の柄棒とからなっていて、 上記拭布取付部材は、合成ゴムや合成樹脂のような柔軟性を持った弾性部材によって長方形をなす薄肉の平板状に形成され、四隅に近い位置に、巻き付けた拭布の端部を係止させるための係止手段が係止され、上面の中央部に、連結手段を介して上記柄棒が連結される構成としている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特許第３４５７４０２号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかしながら上記特許文献１に記載のモップの拭布は、四隅に近い位置に形成された係止手段に係止させる手間を必要とするものであると共に、係止手段が切り込み孔で形成されている場合には、拭布がちぎれて係止手段に残存する場合があるため、取り除く作業を必要としていた。また、拭布を拭布取付部材の下面から上面に形成されている係止手段まで巻き付ける構成としていることから、上面部分の拭布は、床面の清掃に寄与することが無く無駄になるという課題を有するものであった。

【0006】

本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、清掃体への着脱が容易であり、作業性を向上させることができると共に、清掃体の使用されない無駄な部分を少なくして製造コストを削減することができる清掃具を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

前記従来の課題を解決するために、請求項１の発明は、平面視が略長方形状の清掃ヘッドと、該清掃ヘッドに固定される操作用ハンドルと、を有する清掃具において、前記清掃ヘッドは、被清掃面と対向する面に、複数の毛材からなるブラシ部材が形成されていると共に、前記複数の毛材の先端が差し込まれつつ固定される複数の繊維が絡み合う不織布シートからなる清掃体が、前記清掃ヘッドの前記被清掃面と対向する面に装着されており、前記清掃体を前記被清掃面に当接させて使用するものであって、前記ブラシ部材は、前記清掃ヘッドの被清掃面と対向する面に複数のブラシ列が略平行に配置されていると共に、前記複数の毛材の先端部は前記ブラシ列の長手方向に直交する方向に、前記ブラシ列の短手方向の略中央から放射状に延出しており、前記複数の毛材の先端表面は湾曲面であることを特徴としている。

【0008】

請求項１の発明では、不織布シートからなる清掃体が、清掃ヘッドの被清掃面と対向する面に装着されると共に、清掃体を被清掃面に当接させて使用する構成としたことによって、清掃体を操作用ハンドル側の面に巻き付ける必要が無くなり、清掃体の無駄な部分を少なくし、コストを削減することができる。また、清掃ヘッドは、被清掃面と対向する面に複数の毛材からなるブラシ部材が形成されており、不織布シートに複数の毛材の先端が差し込まれつつ固定されるので、強く固定でき、清掃体への着脱を容易にすることができる。また、複数のブラシ列を用いることで、ブラシ列毎に不織布シートの固定強度を調節することができる。また、複数の毛材の先端部は、ブラシ列の長手方向に直交する方向に、ブラシ列の短手方向の略中央から放射状に延出させており、複数の毛材の先端表面を湾曲面としたことによって、不織布シートがブラシ列の側面側に入り込んだ場合でも、ブラシ列の側面側に複数の毛材の先端を延出させることができるので、不織布シートとの接触面積が増えると共に、不織布シートに対して毛材をより剥がれ難い差し込み角度で挿入することができる。

【0009】

請求項２の発明は、請求項１の発明において、複数の毛材は捲縮加工が施されていると共に、該複数の毛材の各々の先端部はランダムな方向に延出しているものであって、ブラシ列の短手方向側から清掃体を固定可能であることを特徴としている。これにより、毛材の各々の先端部が不織布シートの繊維にランダムな方向で絡み合うことで、不織布シートに対して毛材を一層剥がれ難くすることができると共に、不織布シートとの接触面積を拡大させることができる。また、毛材に捲縮加工が施されていることにより、隣り合う毛材同士がより支え合い、清掃体を強固に固定することができると共に、毛材が柔軟に可動可能なため、清掃体との着脱を一層容易にすることができる。

【0010】

請求項３の発明は、請求項１又は２の発明において、複数の毛材は先端部の一部は、清掃ヘッドと当接する位置まで延出していることを特徴としている。これにより、清掃ヘッドと不織布シートとの隙間が少なくなるため、不織布シートの剥がれやズレを抑制することができると共に、使用時に清掃ヘッドを被清掃面に押圧する力を清掃体に適切に伝えることができ、清掃能力を向上させることができる。また、一層不織布シートとの接触面積を拡大させることができ、清掃体を強固に固定することができると共に、清掃体への着脱を一層容易にすることができる。

【発明の効果】

【0011】

請求項１の発明は、清掃体の無駄な部分を少なくし、コストを削減することができると共に、清掃体への着脱を容易にすることができる。また、ブラシ列毎に不織布シートの固定強度を調節することができる。また、不織布シートとの接触面積が増えると共に、不織布シートに対して毛材をより剥がれ難い差し込み角度で挿入することができる。

【0012】

また、請求項２の発明は、毛材の各々の先端部が不織布シートの繊維にランダムな方向で絡み合うことで、不織布シートに対して毛材を一層剥がれ難くすることができると共に、不織布シートとの接触面積を拡大させることができる。また、毛材に捲縮加工が施されていることにより、清掃体を強固に固定することができると共に、清掃体との着脱を一層容易にすることができる。また、請求項３の発明は、清掃ヘッドと不織布シートとの隙間が少なくなるため、不織布シートの剥がれやズレを抑制することができると共に、使用時に清掃ヘッドを被清掃面に押圧する力を清掃体に適切に伝えることができ、清掃能力を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】（ａ）本発明に係る清掃具の第１実施形態を示す斜視図（ｂ）第１実施形態の清掃具を下方側から視た斜視図

【図2】（ａ）第１実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を示す斜視図（ｂ）第１実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を下方側から視た斜視図

【図3】（ａ）～（ｃ）第１実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を示す側面図

【図4】（ａ）ブラシ部材を構成する毛材の第１実施形態を示す斜視図（ｂ）同第２実施形態を示す斜視図（ｃ）同第３実施形態を示す斜視図（ｄ）同第４実施形態を示す斜視図

【図5】（ａ）毛材と不織布との固着状態の一例を示す斜視図（ｂ）毛材と不織布との固着状態の他例を示す斜視図

【図6】（ａ）本発明に係る清掃具を構成するブラシ部材の第１実施形態を示す断面図（ｂ）本発明に係る清掃具を構成するブラシ部材の第２実施形態を示す断面図

【図7】（ａ）及び（ｂ）第１実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を示す一部拡大側面図

【図8】（ａ）及び（ｂ）第２実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を示す一部拡大側面図

【図9】（ａ）第３実施形態の清掃具を清掃ヘッドの上面側から視た斜視図（ｂ）第４実施形態の清掃具の清掃ヘッドの底面図

【発明を実施するための形態】

【0014】

以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。図１（ａ）は、本発明に係る清掃具の第１実施形態を示す斜視図であり、図１（ｂ）は、第１実施形態の清掃具を下方側から視た斜視図である。図２（ａ）は、第１実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を示す斜視図あり、図２（ｂ）は、第１実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を下方側から視た斜視図である。また、図３（ａ）～（ｃ）は、第１実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を示す側面図である。これらの図を用いて本発明に係る清掃具の第１実施形態の詳細について以下に説明する。

【0015】

第１実施形態の清掃具１０は、平面視が略長方形状の清掃ヘッド１と、清掃ヘッド１の一方の面１ａに固定される操作用ハンドル２と、清掃ヘッド１と操作用ハンドル２とを連結するジョイント部材３とを有している。ジョイント部材３は、回動軸４を備えており、操作用ハンドル２は、回動軸４周りに回動可能な構成としている。

【0016】

そして、清掃ヘッド１は、他方の面（被清掃面と対向する面）１ｂの端部に複数の毛材５、５・・からなるブラシ部材６ａ、６ｂが形成されていると共に、複数の毛材５、５・・の先端が差し込まれつつ固定される複数の繊維が絡み合う不織布シート７からなる清掃体８が、清掃ヘッド１の被清掃面と対向する面１ｂを覆うように装着されると共に、清掃体８を被清掃面に当接させて使用する構成としている。尚、符号１１は、ブラシ部材６ａ、６ｂ間の隙間を埋める緩衝部材である。

【0017】

また、後述するように、複数の毛材５、５・・の各々は、先端において線径方向に延出する突起部９を有すると共に、隣り合う前記毛材５、５同士は、互いに干渉し合う間隔で植毛されており、清掃ヘッド１の使用時に、毛材５と清掃体８とは、毛材５の突起部９が、清掃体８の繊維に引っ掛かり固定される構成としている。

【0018】

そして、ブラシ部材６ａ、６ｂは、清掃ヘッド１の被清掃面と対向する面１ｂに複数のブラシ列６ａ、６ｂが略平行に配置されていると共に、複数の毛材５、５・・の先端部はブラシ列６ａ、６ｂの長手方向に直交する方向に、ブラシ列６ａ、６ｂの短手方向の略中央から放射状に延出させており、複数の毛材５、５・・の先端表面は湾曲面で形成されている。

【0019】

第１実施形態の清掃具１０は、不織布シート７からなる清掃体８が、清掃ヘッド１の被清掃面と対向する面１ｂに装着されると共に、清掃体８を被清掃面に当接させて使用する構成としたことによって、清掃体８を操作用ハンドル側の面に巻き付ける必要が無くなり、清掃体８の無駄な部分を少なくし、コストを削減することができる。また、清掃ヘッド１は、被清掃面と対向する面１ｂに複数の毛材５、５・・からなるブラシ部材６ａ、６ｂが形成されており、不織布シート７に複数の毛材の先端が差し込まれつつ固定されるので、強く固定でき、清掃体８への着脱を容易にすることができる。

【0020】

また、複数のブラシ列６ａ、６ｂを用いることで、ブラシ列６ａ、６ｂ毎に不織布シート７の固定強度を調節することができる。また、複数の毛材５、５・・の先端部は、ブラシ列６ａ、６ｂの長手方向に直交する方向に、ブラシ列６ａ、６ｂの短手方向の略中央から放射状に延出させており、複数の毛材５、５・・の先端表面を湾曲面としたことによって、不織布シート７がブラシ列６ａ、６ｂの側面側に入り込んだ場合でも、ブラシ列６ａ、６ｂの側面側に複数の毛材５、５・・の先端を延出させることができるので、不織布シート７との接触面積が増えると共に、不織布シート７に対して毛材をより剥がれ難い差し込み角度で挿入することができる。

【0021】

第１実施形態の清掃具１０に清掃体８を簡易に装着する一例としては、先ず、図３（ａ）に示すように、清掃体８の上方から清掃具１０を押圧する。これにより、複数の毛材５、５・・の先端表面の湾曲面の頂部付近が不織布シート７に固定される。次に、図３（ｂ）に示すように、清掃具１０の操作用ハンドル２を使用して清掃ヘッド１に矢印方向の力を加えると、複数の毛材５、５・・の先端表面の湾曲面が変形して一方側の側面付近が不織布シートに固定される。同様に、図３（ｃ）に示すように、清掃具１０の操作用ハンドル２を使用して清掃ヘッド１に矢印方向の力を加えると、複数の毛材５、５・・の先端表面の湾曲面が変形して他方側の側面付近が不織布シートに固定される。これにより、清掃体８は、清掃ヘッド１に強固に固定されることとなる。

【0022】

ここで、隣り合う複数の毛材５、５・・同士は、干渉し合う間隔で植毛されているため、隣り合う複数の毛材５、５・・同士が互いに支え合い、不織布シート７の繊維との引っ掛かりが外れることを、抑制することができる。具体的には、毛材５の材質としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなどを採用することができる。また、毛材５の線径としては、０.０２ｍｍ以上０.２ｍｍ以下の範囲ものを採用することができ、好適には毛材５の線径が０.０６ｍｍ以上０.１５ｍｍ以下の範囲であることが好ましい。かかる材質、線径とすることにより、毛材５が撓みやすく、毛材の先端が不織布の絡み合う繊維の内部に侵入し易くなると共に、毛材５の突起部を不織布の繊維に引っ掛けることができる。また、毛材５の毛丈としては、１ｍｍ以上１５ｍｍ以下の範囲のものを採用することができ、好適には毛材５の毛丈が３ｍｍ以上８ｍｍ以下の範囲であることが好ましい。毛材５の先端部間の距離としては、０ｍｍ以上２ｍｍ以下の範囲のものを採用することができ、好適には毛材５、５先端部間の距離が、０ｍｍ以上０.３ｍｍ以下の範囲であることが好ましい。かかる毛材５の毛丈、毛材間の距離とすることにより、隣り合う毛材同士が干渉し易く、支え合うことができるため、毛材５の突起部９と不織布シート７の繊維との引っ掛かりを強固にすることができる。

【0023】

図４（ａ）は、ブラシ部材を構成する毛材の第１実施形態を示す斜視図である。第１実施形態の毛材５は、突起部９を毛材５の先端において線径方向に延出させているものであって、毛材５の長手方向に対して略９０度となる方向に延出させている。また、毛材５は、突起部９の延出方向が清掃ヘッド１の使用時における可動方向（清掃ヘッド１の短手方向、又は長手方向）に対して略直交する方向（清掃ヘッド１の長手方向、又は短手方向）となるように清掃ヘッド１に固定される。これにより、清掃体８への固定を確実に行うことができる。また、清掃体８の取り外し時には、毛材の突起部９の延出方向とは逆側から清掃体８の取り外しを容易に行うことができる。

【0024】

図４（ｂ）は、ブラシ部材を構成する毛材の第２実施形態を示す斜視図である。第２実施形態の毛材５ａは、突起部９ａを毛材５ａの先端において線径方向に延出させているものであって、突起部９ａを毛材５ａの線径方向の全周に亘り形成している。これにより、清掃体８への固定を一層確実に行うことができる。

【0025】

図４（ｃ）は、ブラシ部材を構成する毛材の第３実施形態を示す斜視図である。第３実施形態の毛材５ｂは、突起部９ｂを毛材５ｂの先端において線径方向に延出させているものであって、略球状にすると共に、毛材５ｂの線径方向の全周に亘り形成している。これにより、清掃体８への固定を一層確実に行うことができる。

【0026】

図４（ｄ）は、ブラシ部材を構成する毛材の第４実施形態を示す斜視図である。第４実施形態の毛材５ｃは、突起部９ｃを毛材５ｃの先端において線径方向に延出させているものであって、毛材５ｃの長手方向に対して所定の角度となる方向に延出させている。これにより、毛材５ｃは、突起部９ｃの延出方向が清掃ヘッド１の使用時における可動方向（清掃ヘッド１の短手方向）に対して所定の角度を有する方向となるように清掃ヘッド１に固定される。これにより、清掃体８への固定具合を調整することができる。また、清掃体８の取り外し時には、毛材の突起部９ｃの延出方向とは逆側から清掃体８の取り外しを容易に行うことができる。

【0027】

尚、毛材５、５ａ、５ｂ、５ｃの突起部９、９ａ、９ｂ、９ｃにおける延出長さは、０.０１ｍｍ以上０.１ｍｍ以下の範囲であって、清掃体８として適用できる不織布シート７の繊維の線径は、０.００５ｍｍ以上０.０５ｍｍ以下の範囲であることが好ましい。また、突起部９、９ａ、９ｂ、９ｃにおける延出長さと、不織布シート７の繊維の線径との関係は、突起部の延出長さが繊維の線径の１／２以上あれば、突起部が繊維に引っ掛かることが期待できるものであり、好適には、突起部の延出長さが繊維の線径の２倍以上あれば、確実に突起部を繊維に引っ掛けることができる。

【0028】

図５（ａ）は、毛材と不織布シートとの固着状態の一例を示す斜視図である。この図に示すように、毛材５の先端の突起部９に、清掃体８を構成する不織布シート７の繊維が引っ掛かって固定された状態となっている。

【0029】

図５（ｂ）は、毛材と不織布シートとの固着状態の他例を示す斜視図である。この図に示すように、隣り合う毛材５、５同士が互いに干渉し合う間隔で植毛されていることから、挟み込まれるように絡まることで毛材５の先端の突起部９に、清掃体８を構成する不織布シート７の繊維が引っ掛かった状態を維持することができる。

【0030】

図６（ａ）は、本発明に係る清掃具を構成するブラシ部材の第１実施形態を示す断面図である。また、図７（ａ）及び（ｂ）は、第１実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を示す一部拡大側面図であり、第１実施形態のブラシ部材が使用されている。これらの図を用いて本発明に係る清掃具を構成するブラシ部材の第１実施形態の詳細について以下に説明する。

【0031】

第１実施形態の清掃具１０を構成する第１実施形態のブラシ部材６ａ（６ｂ）は、清掃ヘッド１に略板状の基台５２が固定されており、基台５２の一方の側面側から毛材５の基部５１ａが延出している。そして基部５１ａの先端は、ブラシ部材の短手方向の断面において略半球形状の毛材本体部５１が形成されている。尚、毛材本体部５１のみが清掃ヘッド１の外側に延出しており、基部５１ａは清掃ヘッド１の内部に収容されている。また、複数の毛材５、５・・の先端部は、ブラシ列６ａ（６ｂ）の長手方向に直交する方向に、ブラシ列６ａ（６ｂ）の短手方向の略中央から放射状に延出させており、複数の毛材５、５・・の先端表面を湾曲面としている。これにより、不織布シート７がブラシ列６ａ、６ｂの側面側に入り込んだ場合でも、ブラシ列６ａ、６ｂの側面側に複数の毛材の先端を延出させることができるので、不織布シート７との接触面積が増えると共に、不織布シート７に対して毛材５をより剥がれ難い差し込み角度で挿入することができる（図７（ｂ）参照）。

【0032】

第１実施形態のブラシ部材６ａ（６ｂ）を構成する複数の毛材５、５・・は、基部５１ａから毛材本体部５１に亘り捲縮加工が施されていると共に、複数の毛材の各々の先端部はランダムな方向に延出しているため、図７（ａ）及び（ｂ）に示すように、ブラシ列６ａ（６ｂ）の短手方向側から清掃体８を固定することができるようにしている。これにより、毛材５、５・・の各々の先端部が不織布シート７の繊維にランダムな方向で絡み合うことで、不織布シート７に対して毛材５、５・・を一層剥がれ難くすることができると共に、不織布シート７との接触面積を拡大させることができる。また、毛材５、５・・に捲縮加工が施されていることにより、隣り合う毛材同士がより支え合い、清掃体８を強固に固定することができると共に、毛材５、５・・が柔軟に可動可能なため、清掃体８との着脱を一層容易にすることができる。尚、捲縮加工は毛材５、５・・の基部５１ａから毛材本体部５１に亘り形成されているため、より毛材５、５・・が柔軟に可動し易くなり、毛材の先端が不織布シート７を貫通して、使用時に被清掃面を傷つけることを防止できる。

【0033】

また、複数の毛材５、５・・は先端部の一部は、清掃ヘッド１と当接する位置まで延出させている。これにより、清掃ヘッド１と不織布シート７との隙間が少なくなるため、不織布シート７の剥がれやズレを抑制することができると共に、使用時に清掃ヘッド１を被清掃面に押圧する力を清掃体８に適切に伝えることができ、清掃能力を向上させることができる。また、一層不織布シート７との接触面積を拡大させることができ、清掃体８を強固に固定することができると共に、清掃体８への着脱を一層容易にすることができる。

【0034】

図６（ｂ）は、本発明に係る清掃具を構成するブラシ部材の第２実施形態を示す断面図である。また、図８（ａ）及び（ｂ）は、第２実施形態の清掃具に清掃体が装着された状態を示す一部拡大側面図であり、第２実施形態のブラシ部材が使用されている。これらの図を用いて本発明に係る清掃具を構成するブラシ部材の第１実施形態の詳細について以下に説明する。

【0035】

第２実施形態の清掃具２０を構成する第２実施形態のブラシ部材１６ａ（１６ｂ）は、清掃ヘッド２１に略板状の基台６２が固定されており、基台６２の一方の側面側から毛材１５の基部６１ａが略垂直に延出している。そして基部６１ａの先端は、ブラシ部材の短手方向の断面において略球形状の毛材本体部６１が形成されている。尚、毛材本体部６１と基部６１ａの一部が清掃ヘッド１の外側に延出している。また、複数の毛材１５、１５・・の先端部は、ブラシ列１６ａ（１６ｂ）の長手方向に直交する方向に、ブラシ列１６ａ（１６ｂ）の短手方向の略中央から放射状に延出させており、複数の毛材１５、１５・・の先端表面を湾曲面としている。これにより、不織布シート７がブラシ列１６ａ、１６ｂの側面側に入り込んだ場合でも、ブラシ列１６ａ、１６ｂの側面側に複数の毛材の先端を延出させることができるので、不織布シート７との接触面積が増えると共に、不織布シート７に対して毛材１５をより剥がれ難い差し込み角度で挿入することができる（図８（ｂ）参照）。

【0036】

第２実施形態のブラシ部材１６ａ（１６ｂ）を構成する複数の毛材１５、１５・・は、基部６１ａが直線状であり、毛材本体部６１に捲縮加工が施されていると共に、複数の毛材の各々の先端部はランダムな方向に延出しているため、図８（ａ）及び（ｂ）に示すように、ブラシ列１６ａ（１６ｂ）の短手方向側から清掃体８を固定することができるようにしている。これにより、ブラシ列１６ａ（１６ｂ）に対して多方向から不織布シート７を固定することができると共に、不織布シート７との接触面積を拡大させることができる。また、毛材１５、１５・・に捲縮加工が施されていることにより、隣り合う毛材同士がより支え合い、清掃体８を強固に固定することができると共に、毛材１５、１５・・が柔軟に可動可能なため、清掃体８との着脱を一層容易にすることができる。尚、毛材１５、１５・・は基部６１ａが直線状であるため、第１実施形態のブラシ部材１６ａ（１６ｂ）と比較して毛腰が強くなり、清掃体８を被清掃面に強く押し付けることができる。

【0037】

図９（ａ）は、第３実施形態の清掃具を清掃ヘッドの上面側から視た斜視図であり、図９（ｂ）は、同第３実施形態の清掃具の清掃ヘッドの底面図である。図９（ａ）に示すように、第３実施形態の清掃具３０は、平面視が略長方形状の清掃ヘッド３１と、清掃ヘッド３１の一方の面３１ａに固定させる操作用ハンドル３２と、清掃ヘッド３１と操作用ハンドル３２とを連結するジョイント部材３３とを有している。ジョイント部材３３は、回動軸３４を備えており、操作用ハンドル３２は、回動軸３４周りに回動可能な構成としている。清掃ヘッド３１は、他方の面３１ｂの前方側に開口３５ａを有する吸い込みノズル３５と、後方側に複数の毛材５５ａ、５５ｂからなるブラシ部材（ブラシ列）３６ａ、３６ｂが、清掃ヘッド３１の長辺の端部且つ略平行に、直線状に形成されている。

【0038】

また、吸い込みノズル３５は、操作用ハンドル３２の内部に設けられた吸引通路３２ａを通じて、塵埃を溜めるダストボックス（図示せず）と、吸い込み駆動機構（図示せず）とを有する掃除機本体（図示せず）と連通しており、被清掃面の塵埃を吸引する機能を有している。また、ブラシ部材３６ａ、３６ｂは、複数の毛材５５ａ、５５ｂの先端が差し込まれつつ固定される複数の繊維が絡み合う不織布シートにより形成された清掃体が、清掃ヘッド４１の被清掃面と対向する面３１ｂを覆うように装着される構成としている。また、清掃ヘッド３１の他方の面３１ｂの一部は、ブラシ部材（ブラシ列）３６ａ、３６ｂを構成する複数の毛材５５ａ・・、５５ｂ・・の長手方向に突出する緩衝部材３７が形成されている。そして、複数の毛材５５ａ・・、５５ｂ・・の先端部はブラシ列３６ａ、３６ｂの長手方向に直交する方向に、ブラシ列３６ａ、３６ｂの短手方向の略中央から放射状に延出しており、複数の毛材５５ａ・・、５５ｂ・・の先端表面を湾曲面としている。

【0039】

第３実施形態の清掃具３０は、清掃ヘッド３１の前方側に形成されている吸い込みノズル３５の開口３５ａにより、被清掃面上の大きな塵埃を吸引しつつ、細かな塵埃等は、清掃ヘッド３１の後方側に形成されている清掃体で捕捉することができるため、清掃効率を向上させることができる。また、清掃体と清掃ヘッド３１との固定が、清掃体の上に清掃ヘッド３１のブラシ部材３６ａ、３６ｂを載せつつ押し付けることで装着可能なため、複雑な取り付け構造が不要であると共に、複雑な取り付け構造に伴う吸い込みノズルの配置や構造に制限を受けないため、製造コストを削減できると共に、利便性を向上させることができる。また、複数の毛材５５ａ・・、５５ｂ・・の先端部はブラシ列３６ａ、３６ｂの長手方向に直交する方向に、ブラシ列３６ａ、３６ｂの短手方向の略中央から放射状に延出しており、複数の毛材５５ａ・・、５５ｂ・・の先端表面を湾曲面としたことによって、不織布シートがブラシ列３６ａ、３６ｂの側面側に入り込んだ場合でも、ブラシ列３６ａ、３６ｂの側面側に複数の毛材の先端を延出させることができるので、不織布シートとの接触面積が増えると共に、不織布シートに対して毛材５５ａ、５５ｂをより剥がれ難い差し込み角度で挿入することができる

【産業上の利用可能性】

【0040】

本発明に係る清掃具は、室内における床や壁、窓等の汚れや塵埃等を除去する掃除道具として利用される。

【符号の説明】

【0041】

１、２１、３１ 清掃ヘッド
１ａ、２１ａ、３１ａ 清掃ヘッドの一方の面
１ｂ、２１ｂ、３１ｂ 清掃ヘッドの他方の面（被清掃面と対向する面）
２ 操作用ハンドル
３、３３ ジョイント部材
４、３４ 回動軸
５、５ａ、５ｂ、５ｃ、１５、５５ａ、５５ｂ 毛材
６ａ、６ｂ、１６ａ、１６ｂ、３６ａ、３６ｂブラシ部材
７ 不織布シート
８ 清掃体
９、９ａ、９ｂ、９ｃ 突起部
１０、２０、３０ 清掃具
１１、３７ 緩衝部材
３５ 吸い込みノズル
３５ａ 開口
５１、６１ 毛材本体部
５１ａ、６１ａ 基部
５２、６２ 基台
Ｘ 被清掃面

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】