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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117710
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】打ち込み工具
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/00 20060101AFI20240822BHJP
   B25C 1/06 20060101ALI20240822BHJP
   B25C 1/04 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B25C1/00 A
B25C1/06
B25C1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208614
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】P 2023022988
(32)【優先日】2023-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 美隆
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 聖展
(72)【発明者】
【氏名】池戸 達也
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068AA08
3C068BB01
3C068CC02
3C068CC07
3C068FF06
3C068HH04
3C068JJ03
(57)【要約】
【課題】簡便な構成で適切なタイミングで打ち込み具を送る打ち込み工具を提供すること。
【解決手段】打ち込み工具10は、打ち込み具nを順にセット位置に送るフィーダ70を有する。ドライバ1cがセット位置の打ち込み具nを前進して打撃する。打ち込み具nは可撓性部材で連結される。リフタ5がドライバ1cに係合し、ドライバ1cを後退させる。位置検出センサがドライバ1c又はリフタ5の位置を検出する。制御部4cが位置検出センサからの信号に基づいてドライバ1cの前端がセット位置より後方に位置することを決定する。制御部4cがフィーダ70により打ち込み具nを送る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打ち込み工具であって、
可撓性部材で連結された打ち込み具を順にセット位置に送るフィーダと、
前記セット位置の前記打ち込み具を前進して打撃するドライバと、
前記ドライバに係合して前記ドライバを後退させるリフタと、
前記ドライバまたは前記リフタの位置を検知する位置検出センサと、
前記位置検出センサからの信号に基づいて前記ドライバの前端が前記セット位置より後方に位置することを決定して前記フィーダによって前記打ち込み具を送る制御部を有する打ち込み工具。
【請求項2】
請求項1に記載の打ち込み工具であって、
操作部に連動するスイッチを有し、
前記制御部は、前記スイッチの信号に基づいて前記操作部が操作されたことを決定し、かつ前記位置検出センサからの信号に基づいて前記ドライバの前端が前記セット位置より後方に位置することを決定して前記フィーダにより前記打ち込み具を送る打ち込み工具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の打ち込み工具であって、
操作部に連動するスイッチを有し、
前記スイッチからの信号に基づいて前進した前記ドライバを前記セット位置より後方の待機位置へ移動するように前記制御部が前記リフタを動作させ、
前記位置検出センサは、前記ドライバの前記待機位置を検出する打ち込み工具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記位置検出センサは、マグネットと、前記マグネットの磁気を検知するホールICを備える打ち込み工具。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記位置検出センサは、前記リフタの位置を検出する打ち込み工具。
【請求項6】
請求項5に記載の打ち込み工具であって、
前記リフタは、モータによって回転し、
前記位置検出センサは、前記リフタに設けられたマグネットと、前記リフタを収容するハウジングに設けられて前記マグネットの磁気を検知するホールICを有する打ち込み工具。
【請求項7】
請求項6に記載の打ち込み工具であって、
前記マグネットは、前記リフタに設けられて前記リフタの回転と同期して回転する回転部材に設けられる打ち込み工具。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の打ち込み工具であって、
前記リフタは、ホイールと、前記ホイールの回転軸の周りに間隔をおいて配置される複数のピンを有し、
前記マグネットが前記ホイールに設けられる打ち込み工具。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記フィーダは、爪と、前記爪を移動させるソレノイドを備える打ち込み工具。
【請求項10】
請求項9に記載の打ち込み工具であって、
前記フィーダは、前記爪を前記セット位置に向けて付勢するばねを有し、
前記ソレノイドが前記ばねに抗して前記爪を移動させる打ち込み工具。
【請求項11】
請求項9または10に記載の打ち込み工具であって、
前記フィーダを備える送り機構に、前記打ち込み具が前記フィーダの前記爪による送り方向の反対方向に戻ることを規制する逆止爪が設けられる打ち込み工具。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の打ち込み工具であって、
前記ドライバに連結されたピストンと、
前記ピストンによってガス圧を生じさせるシリンダを有する打ち込み工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、釘やステープル等の打ち込み具を木材等に打ち込むための打ち込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1と2の打ち込み工具は、コイルに連結されている複数の釘を順に供給するフィーダを有する。フィーダは、先頭の釘に係合する爪と、爪を往復動させるソレノイドを有する。フィーダによって供給された釘は、射出装置のセット位置にセットされる。射出装置のドライバがセット位置の釘を打ち出す。ドライバがリフタによって待機位置に戻される。ドライバが待機位置に戻るタイミングでソレノイドが爪を移動させる。しかし打ち込み工具のバッテリ残量が減ると、リフタに供給される電圧が降下する。これによりドライバの戻りが遅くなる場合がある。この場合、ドライバが待機位置へ戻る前にフィーダが釘を送る。これにより射出装置内で釘が詰まる。
【0003】
特許文献3の打ち込み工具も射出装置に装着されるフィーダを有する。フィーダはリフタと複数の部材を経て連結される。したがってリフタがドライバを待機位置へ戻す際、リフタに連動してフィーダが釘を送る。しかしフィーダとリフタが機械的に係合すると構成が複雑になる場合がある。この場合ロバスト性が弱く、釘送り動作の精度にばらつきが生じる懸念がある。あるいはメカニカルロスが大きくなりやすい、あるいは工具が高価になりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第11224960号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2022/0161404号明細書
【特許文献3】米国特許第11446801号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って簡便な構成で適切なタイミングで打ち込み具を送る打ち込み工具が従来、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの局面によると、打ち込み工具は、打ち込み具を順にセット位置に送るフィーダを有する。ドライバがセット位置の打ち込み具を前進して打撃する。打ち込み具は可撓性部材で連結される。リフタがドライバに係合し、ドライバを後退させる。位置検出センサがドライバ又はリフタの位置を検出する。制御部が位置検出センサからの信号に基づいてドライバの前端がセット位置より後方に位置することを決定する。制御部がフィーダにより打ち込み具を送る。
【0007】
従ってフィーダは制御部により動作される。これによりフィーダは、リフタと機械的に係合される必要がない。このため、打ち込み工具の構成を簡便にすることができる。フィーダは、ドライバの前端がセット位置より後方に位置してから制御部により動かされる。これにより、ドライバと干渉させることなく打ち込み具を送ることができる。このように簡便な構成で適切なタイミングで打ち込み具を送ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一部断面を含む打ち込み工具の概略側面図である。
図2図1のII-II線断面矢視図である。
図3図1のIII-III線断面矢視図である。
図4】リフタの斜視図である。
図5】ドライバが打ち込み具を打撃した状態における図2に対応する図である。
図6】リフタがドライバを後退させる状態における図2に対応する図である。
図7】ドライバの前端がセット位置より後方に位置する状態における図2に対応する図である。
図8】送り爪が反送り方向に戻される途中の状態における図3に対応する図である。
図9】送り爪が反送り方向に戻された状態における図3に対応する図である。
図10】本開示の第2実施例に係るリフタの斜視図である。
図11】第2実施例に係るドライバが待機位置にセットされた状態における前断面図である。
図12図11の状態における左断面図である。
図13】ドライバの前端がセット位置より後方に位置する状態における図11に対応する図である。
図14】ドライバが打ち込み具を打撃した状態における図11に対応する図である。
図15図11のXV矢視部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の他の局面によると、打ち込み工具は操作部に連動するスイッチを有する。制御部は、スイッチの信号に基づいて操作部が操作されたことを決定する。制御部は、位置検出センサからの信号に基づいてドライバの前端がセット位置より後方に位置することを決定する。制御部がフィーダにより打ち込み具を送る。従って制御部は、ドライバの前端がセット位置より後方に位置し、かつ操作部が操作された際に打ち込み具を送る。すなわち操作部が操作される前には、打ち込み具がセット位置に送られない。その結果、ドライバが誤作動した際に誤って打ち込み具を打撃することを抑制できる。なお、ドライバの位置の決定と操作部の操作の決定はどちらが先に行われても良い。
【0010】
本開示の他の局面によると、打ち込み工具は操作部に連動するスイッチを有する。制御部は、スイッチからの信号に基づいてリフタを動作させる。リフタは、前進したドライバをセット位置より後方の待機位置へ移動する。位置検出センサは、ドライバの待機位置を検出する。そのためリフタがドライバを待機位置に移動させる動作を位置検出センサが検出する。そのため精度の高いタイミングで打ち込み具をセット位置に送ることができる。
【0011】
本開示の他の局面によると、位置検出センサはマグネットと、マグネットの磁気を検知するホールICを備える。従って簡便なセンサでドライバ又はリフタの位置を検出できる。
【0012】
本開示の他の局面によると、位置検出センサはリフタの位置を検出する。従って前後に大きく移動するドライバに位置検出センサを設けることなくドライバの位置を検出できる。このため位置検出センサが破損しにくい。
【0013】
本開示の他の局面によると、リフタはモータによって回転する。位置検出センサはマグネットと、マグネットの磁気を検知するホールICを備える。マグネットはリフタに設けられる。ホールICはリフタを収容するハウジングに設けられる。そのため回転しないハウジングにホールICを設けることで、ホールICへ電力を供給しやすい。あるいはホールICの破損を抑制できる。
【0014】
本開示の他の局面によると、マグネットはリフタに設けられる回転部材に設けられる。回転部材は、リフタの回転と同期して回転する。従ってマグネットがリフタの回転に同期する。それにより、ホールICがリフタの位置を正確に検出しやすくなる。
【0015】
本開示の他の局面によると、リフタは、ホイールと、ホイールの回動軸の周りに間隔をおいて配置される複数のピンを有する。マグネットがホイールに設けられる。従ってマグネットは、小さなピンに設ける構成と比べて、大きなホイールに容易に設けられる。しかもピンは、ドライバから直接力を受ける。そのためホイールに設けられたマグネットは、破損し難い。
【0016】
本開示の他の局面によると、フィーダは爪と、爪を移動させるソレノイドを備える。そのためフィーダは、簡便な部材で構成され得る。
【0017】
本開示の他の局面によると、フィーダは爪をセット位置に向けて付勢するばねを有する。ソレノイドがばねに抗して爪を移動させる。そのためばね付勢により、爪をセット位置に保持することができる。
【0018】
本開示の他の局面によると、フィーダを備える送り機構が逆止爪を有する。逆止爪は、打ち込み具がフィーダの爪による送り方向の反対方向に戻ることを規制する。そのため打ち込み具の逆流を抑制できる。
【0019】
本開示の他の局面によると、打ち込み工具は、ドライバに連結されたピストンと、ピストンによってガス圧を生じさせるシリンダを有する。従ってドライバは、ガス圧によって打ち込み具を打撃できる。
【0020】
次に、本開示の実施例の1つを図1~9に基づいて説明する。図1に示すように打ち込み工具10は、例えばガス圧を用いて打ち込み具nを打ち込むガスばね式である。以下の説明では、打ち込み具nの打ち込み方向を下方向とし、反打ち込み方向を上方向と定義する。使用者は打ち込み工具10を手で把持し、図1において右側に位置する。使用者の手前側を後方向(使用者側)、奥側を前方向と定義する。使用者を基準に左右方向を定義する。
【0021】
図1に示すように打ち込み工具10は、工具本体1を有する。工具本体1は上下に延びる筒状のシリンダ1bを有する。シリンダ1bにはピストン1aが上下に往復動可能に収容される。ピストン1aよりも上方のシリンダ1bの上部は、蓄圧室1eに連通される。蓄圧室1eには例えば空気等の圧縮ガスが封入される。蓄圧室1eのガス圧は、ピストン1aを下動(打ち込み方向に前進)させる推力として作用する。
【0022】
図1に示すように工具本体1の下部には、打ち込みノーズ部2が設けられる。打ち込みノーズ部2の内部には、打ち込み通路2aが形成される。打ち込み通路2aの上端は、シリンダ1bの下部と連通する。打ち込みノーズ部2は、連結打ち込み具Nが装填されたマガジン3と結合される。連結打ち込み具Nは、多数本の打ち込み具nを有する。多数本の打ち込み具nが樹脂シート材やワイヤ等の可撓性部材により並列に仮結合される。図3に示すように連結打ち込み具Nは、コイル状に巻いた状態でマガジン3に装填される。図1に示すように打ち込み通路2aには、マガジン3内から打ち込み具nが1本ずつ上下に延出した姿勢で供給される。打ち込みノーズ部2の下部には上下にスライド可能な図示しないコンタクトアームが設けられる。コンタクトアームは被打ち込み材Wと当接することにより打ち込みノーズ部2に沿って上動する。
【0023】
図1に示すようにピストン1aの下面には、上下に長いドライバ1cが結合される。ドライバ1cの下部は打ち込み通路2a内に進入する。図5に示すようにドライバ1cは、ピストン1aの上面に作用する蓄圧室1eのガス圧によって打ち込み通路2a内を下動する。ドライバ1cの下端が打ち込み通路2a内に供給された1本の打ち込み具nを打撃する。打撃された打ち込み具nは、打ち込みノーズ部2の射出口2bから射出される。射出された打ち込み具nは被打ち込み材Wに打ち込まれる。シリンダ1bの下部には、ピストン1aの下動端での衝撃を吸収するためのダンパ1fが配置される。ダンパ1fは、例えばゴム材で形成される。
【0024】
図2に示すようにドライバ1cの右側部にはラック1dが設けられる。ラック1dは、ホイール5a側(右方)に突き出す凸状の被係合部Lを複数(例えば10個)有する。各被係合部Lは、ドライバ1cの長手方向(上下方向)に一定の間隔で配置される。以下、各被係合部Lを上側から順に第1被係合部L1、第2被係合部L2・・第10被係合部L10とも称する。各被係合部Lはリフタ5と係合する。
【0025】
図1に示すように工具本体1の後部には、使用者が把持するグリップ4が設けられる。グリップ4の前部下面には、使用者が指先で引いて操作する操作部4aが設けられる。操作部4aは、コンタクトアームを打ち込みノーズ部2に対して相対的に上動させることで引き操作が有効になる。引き操作によりスイッチ4dが制御部4cに信号を送る。制御部4cは、スイッチ4dからの信号に基づいて駆動部6を動作させる。グリップ4の後部にはバッテリ取付部が設けられる。バッテリ取付部の後面には、バッテリパック4bを取り外し可能に装着できる。バッテリパック4bは、バッテリ取付部から取り外して別途用意した充電器で繰り返し充電して使用できる。
【0026】
図1に示す打ち込みノーズ部2の右側部には、図2に示すリフタ5が結合される。リフタ5は、打撃後にドライバ1cをピストン1aとともに上方へ戻す。これによりピストン1aが蓄圧室1eのガス圧を高める。図1に示すようにリフタ5の後部には、リフタ5を動作させるための駆動部6が並設される。駆動部6は、駆動源としてのモータ6aを有する。モータ6aはバッテリパック4bの電力を電源とする。モータ6aは、減速部6bを介してリフタ5に接続される。モータ6aの回転出力は減速部6bで減速されてリフタ5に出力される。
【0027】
図2に示すようにリフタ5は、略円筒状のハウジング5bに収容される。リフタ5は減速部6bに支持された回転軸5cと、回転軸5cに支持されたホイール5aを有する。モータ6aが起動すると、回転軸5cとホイール5aが一体で矢印Rの方向(図2において反時計回り方向)に回転する。ホイール5aは矢印Rの方向にだけ回転する構成とされる。図4に示すようにリフタ5は、対向する2枚のホイール5aを有する。ホイール5aの間には、複数の係合ピンPが配置される。図2に示すように複数の係合ピンPはホイール5aの外周に沿って一定の間隔で配置される。係合ピンPは、ホイール5aの回転方向の先頭側から順に第1係合ピンP1、第2係合ピンP2・・第10係合ピンP10とも称する。
【0028】
図2に示すようにリフタ5には、リフタ5の位置を検出する位置検出センサ8が設けられる。位置検出センサ8は2つのマグネット8b、8cと、各マグネット8b、8cの磁気を検知するホールIC8aを有する。各マグネット8b、8cは、ホイール5aの外周にホイール5aの回転方向に沿って設けられる。ホールIC8aは、ハウジング5bに設けられる。ホールIC8aは、各マグネット8b、8cの磁気を検知すると制御部4cに信号を送る。これにより、制御部4cはホイール5aの回転位置を決定できる。
【0029】
図2はリフタ5によりドライバ1cが上方に戻されて、待機位置にセットされた状態を示す。図2に示すように連結打ち込み具Nの先頭に位置する打ち込み具nは、打ち込み通路2aにセットされた状態とされる。またリフタ5の第10係合ピン(最終係合ピン)P10が、ラック1dの第10被係合部(最終被係合部)L10に係合した状態とされる。これにより、ドライバ1cは蓄圧室1eのガス圧に抗して待機位置に保持される。このとき第1マグネット8bが、ホールIC8aと対向するように位置する。これにより制御部4cは、ドライバ1cが待機位置にあることを決定する。そして使用者が操作部4aを引くと、制御部4cが駆動部6を動作させる。これにより、ホイール5aが矢印Rの方向に回転する。
【0030】
図5に示すようにホイール5aが回転することで、第10係合ピンP10が第10被係合部L10を乗り越えて互いの係合が外れる。そしてピストン1aが、蓄圧室1eのガス圧によりダンパ1fに当接するまで下動する。これによりドライバ1cが先頭の打ち込み具nを被打ち込み材Wに打ち込む。図6に示すようにホイール5aは、矢印Rの方向に引き続き回転する。そして第1係合ピンP1が、第1被係合部L1に係合する。更にホイール5aが回転を続けることで、第2係合ピンP2が第2被係合部L2に係合し、第3係合ピンP3が第3被係合部L3に係合する。以下各係合ピンPが、各被係合部Lに順次係合される。これによりドライバ1cとピストン1aが上動される。なお噛み合う係合ピンPの符号Pに付した数字と、被係合部Lの符号Lに付した数字が一致する場合が正常な噛み合い状態である。
【0031】
図7に示すようにホイール5aが引き続き回転することで、第2マグネット8cがホールIC8aと対向する。ホールIC8aは第2マグネット8cの磁気を検知する。そしてホールIC8aは制御部4cに信号を送る。制御部4cはドライバ1cの前端が打ち込み具nのセット位置(図7の仮想線で示す打ち込み具n)よりも後方に位置することを決定する。そして制御部4cは、ホイール5aの回転速度を低下させるように駆動部6を動作させる。これによりホイール5aの過剰な回転を抑制する。そしてホイール5aがドライバ1cの待機位置を通過しないようにできる。更に制御部4cは、打ち込み具nをセット位置に送るように送り機構7を動作させる。
【0032】
図3に示すように送り機構7は、打ち込み具nをセット位置に送るフィーダ70を有する。フィーダ70は、制御部4cにより動作するソレノイド7eを有する。ソレノイド7eは、前後方向に移動可能なロッド7fを有する。ロッド7fの先端には送り爪7aが取り付けられる。送り爪7aは、ばね7bにより打ち込み具n側に突き出すように付勢される。送り機構7は、送り爪7aとは打ち込み具nを挟んだ反対側に逆止爪7cを有する。逆止爪7cは、ばね7dにより打ち込み具n側に突き出すように付勢される。図1に示すように送り爪7aは、逆止爪7cの上下に配置される。
【0033】
図3に示すようにロッド7fは、送りばね7gにより送り方向に付勢される。制御部4cからの信号に基づいてソレノイド7eが電力を受けると、ロッド7fは送りばね7gの付勢力に抗して反送り方向に移動する。図8に示すように送り爪7aも反送り方向に移動する。送り爪7aは、打ち込み具n側に突き出す先端に向かうにつれて前方に傾斜する送り傾斜面7hを有する。送り傾斜面7hは、送り爪7aが反送り方向に移動することで打ち込み具nに当接する。これにより送り爪7aは、ばね7bの付勢力に抗して打ち込み具nから離間する方向に退避する。そして図9に示すように送り爪7aは、1本の打ち込み具nを乗り越えて後側に移動する。連結打ち込み具Nは逆止爪7cにより反送り方向への移動を規制される。このため連結打ち込み具Nは、送り爪7aの戻りに追従しないように保持される。
【0034】
ソレノイド7eへの電力が遮断されると、送り爪7aが送りばね7gの付勢力により送り方向に移動する。送り爪7aは打ち込み具nを送り方向に押圧する。そして連結打ち込み具Nが打ち込み通路2aに向かって送られる。先頭の打ち込み具nがセット位置にセットされる。図3に示すように逆止爪7cは、打ち込み具n側に突き出す先端に向かうにつれて前方に傾斜する逆止傾斜面7iを有する。連結打ち込み具Nが送られる際に、打ち込み具nは逆止傾斜面7iに後方から当接する。これにより、逆止爪7cはばね7dに抗して打ち込み具nから離間する方向に退避する。送り爪7aは打ち込み具nをセット位置に送った後も、送りばね7gの付勢力により打ち込み具nを送り方向に押圧する。これによりセット位置に送られた打ち込み具nが反送り方向に戻ることを抑制できる。
【0035】
以上のように図3に示すように打ち込み工具10は、打ち込み具nを順にセット位置に送るフィーダ70を有する。図1に示すようにドライバ1cがセット位置の打ち込み具nを前進して打撃する。打ち込み具nは可撓性部材で連結される。図2に示すようにリフタ5がドライバ1cに係合し、ドライバ1cを後退させる。位置検出センサ8がドライバ1c又はリフタ5の位置を検出する。制御部4cが位置検出センサ8からの信号に基づいてドライバ1cの前端がセット位置より後方に位置することを決定する。制御部4cがフィーダ70により打ち込み具nを送る。
【0036】
従ってフィーダ70は制御部4cにより動作される。これによりフィーダ70は、リフタ5と機械的に係合される必要がない。このため、打ち込み工具10の構成を簡便にすることができる。フィーダ70は、ドライバ1cの前端がセット位置より後方に位置してから制御部4cにより動かされる。これにより、ドライバ1cと干渉させることなく打ち込み具nを送ることができる。このように簡便な構成で適切なタイミングで打ち込み具nを送ることができる。
【0037】
図1に示すように打ち込み工具10は操作部4aに連動するスイッチ4dを有する。制御部4cは、スイッチ4dからの信号に基づいてリフタ5を動作させる。図2に示すようにリフタ5は、前進したドライバ1cをセット位置より後方の待機位置へ移動する。位置検出センサ8は、ドライバ1cの待機位置を検出する。そのためリフタ5がドライバ1cを待機位置に移動させる動作を位置検出センサ8が検出する。そのため精度の高いタイミングで打ち込み具nをセット位置に送ることができる。
【0038】
図2に示すように位置検出センサ8はマグネット8b、8cと、マグネット8b、8cの磁気を検知するホールIC8aを備える。従って簡便なセンサでドライバ1c又はリフタ5の位置を検出できる。
【0039】
図2に示すように位置検出センサ8はリフタ5の位置を検出する。従って前後に大きく移動するドライバ1cに位置検出センサ8を設けることなくドライバ1cの位置を検出できる。このため位置検出センサ8が破損しにくい。
【0040】
図1に示すようにリフタ5はモータ6aによって回転する。図2に示すように位置検出センサ8はマグネット8b、8cと、マグネット8b、8cの磁気を検知するホールIC8aを備える。マグネット8b、8cはリフタ5に設けられる。ホールIC8aはリフタ5を収容するハウジング5bに設けられる。そのため回転しないハウジング5bにホールIC8aを設けることで、ホールIC8aへ電力を供給しやすい。あるいはホールIC8aの破損を抑制できる。
【0041】
図4に示すようにリフタ5は、ホイール5aと、ホイール5aの回転軸5cの周りに間隔をおいて配置される複数の係合ピンPを有する。図2に示すようにマグネット8b、8cがホイール5aに設けられる。従ってマグネット8b、8cは、小さな係合ピンPに設ける構成と比べて、大きなホイール5aに容易に設けられる。しかも係合ピンPは、ドライバ1cから直接力を受ける。そのためホイール5aに設けられたマグネット8b、8cは、破損し難い。
【0042】
図3に示すようにフィーダ70は送り爪7aと、送り爪7aを移動させるソレノイド7eを備える。そのためフィーダ70は、簡便な部材で構成され得る。
【0043】
図3に示すようにフィーダ70は送り爪7aをセット位置に向けて付勢する送りばね7gを有する。ソレノイド7eが送りばね7gに抗して送り爪7aを移動させる。そのためばね付勢により、送り爪7aをセット位置に保持することができる。
【0044】
図3に示すようにフィーダ70を備える送り機構7が逆止爪7cを有する。逆止爪7cは、打ち込み具nがフィーダ70の送り爪7aによる送り方向の反対方向に戻ることを規制する。そのため打ち込み具nの逆流を抑制できる。
【0045】
図1に示すように打ち込み工具10は、ドライバ1cに連結されたピストン1aと、ピストン1aによってガス圧を生じさせるシリンダ1bを有する。従ってドライバ1cは、ガス圧によって打ち込み具nを打撃できる。
【0046】
次に本開示の第2実施例を図10~15に基づいて説明する。第2実施例の打ち込み工具20は、第1実施例に係る工具本体1、リフタ5、位置検出センサ8に代えて工具本体21、リフタ25、位置検出センサ28を有する。以下の説明においては、第1実施例と異なる部分のみ詳細に説明する。
【0047】
図10に示すようにリフタ25は、減速部6bに連結された回転軸25cと、回転軸25cに支持されたホイール25aを有する。またリフタ25は、ホイール25aの後方に設けられるホルダ25dを有する。ホルダ25dには、位置検出センサ28のマグネット28b、28cが設けられる。ホイール25aは、2つのフランジ25eを有する。各フランジ25eは、前後方向に一定の間隔をおいて互いに平行に設けられる。各フランジ25eの間には、複数の係合ピンPが配置される。
【0048】
図11に示すように係合ピンPは、ホイール25aの外周に沿って6本設けられる。各係合ピンPは、ホイール25aの周方向の約3/4周の領域に設けられる。残余の1/4周の領域は係合ピンPが配置されない逃がし領域とされる。回転軸25cは、不図示の軸受によりハウジング5bに対して回転可能に支持される。駆動部6が動作すると、回転軸25cは矢印Rの方向に回転する。またホイール25aとホルダ25dが、回転軸25cと一体に矢印R方向に回転する。リフタ25は、矢印Rの反対方向への回転を規制される。
【0049】
図11に示すように、工具本体21は上下に長いドライバ21cを有する。ドライバ21cの右側部にはラック21dが設けられる。ラック21dは、右方に突き出す6つの被係合部Lを有する。ドライバ21cの下端には、打ち込み具nを打撃するストライカ21gが設けられる。
【0050】
図11、12は、ドライバ21cが待機位置にセットされた状態を示す。待機位置において、第5係合ピンP5が第5被係合部L5に下方から係合する。第5係合ピンP5は、第5被係合部L5を下方から支持する。これにより、ドライバ21cが蓄圧室1eのガス圧に抗して待機位置に保持される。第1マグネット28bが、ホールIC8aと対向する位置からR方向に進んだ位置に配置される。第1マグネット28bは、ホールIC8aから約30度ずれる。このずれは、ドライバ21cを上動させるリフタ25の回転の慣性によって生じる。
【0051】
ホールIC8aは、第1マグネット28bがホールIC8aと対向する位置を通過する際に第1マグネット28bを検知する。その検知により、ホールIC8aは制御部4cに信号を送る。それにより制御部4cは、ドライバ21cが待機位置に差し掛かることを検知する。そして制御部4cは、駆動部6にブレーキを掛ける。リフタ25は慣性によりR方向に約30度回転し、その後停止する。
【0052】
図12に示すように待機位置のドライバ21cは、打ち込み通路2a内に進入する。ストライカ21gが、打ち込み具nのセット位置(図12の仮想線で示す打ち込み具n)と重なる。そのためドライバ21cが待機位置にある場合、打ち込み具nがセット位置にセットされない。その結果、ドライバ21cが意図しないタイミングで下動しても打ち込み具nを打撃しない。それにより、打ち込み具nの誤射出を確実に防止できる。
【0053】
図12に示すように、操作部4aが引き操作されると、スイッチ4dが制御部4cに信号を送る。制御部4cは、操作部4aが引き操作されたことを検知する。そして制御部4cは駆動部6のモータ6aを回転させる。図13に示すように、リフタ25が矢印Rの方向に回転する。ホイール25aが回転することで、第6係合ピンP6が第6被係合部L6に係合する。ドライバ21cが上方に押し上げられる。その結果、ストライカ21gが打ち込み具nのセット位置よりも上方に配置される。また第2マグネット28cが、ホールIC8aと対向する。それにより、ホールIC8aが制御部4cに信号を送る。
【0054】
上記信号により制御部4cは、ドライバ21cの下端がセット位置より上方に位置すること(ドライバ21cの装填位置)を検知する。この装填位置への配置と操作部4aの引き操作の両方を検知することで、制御部4cは送り機構7により打ち込み具nをセット位置に送る。具体的に制御部4cは、操作部4aの引き操作を検知した際にソレノイド7eに電力を送る。そして制御部4cは、ドライバ21cの装填位置への配置を検知した際にソレノイド7eへの電力を遮断する。それにより、送り爪7aが打ち込み具nを送り方向に移動する。その結果、先頭の打ち込み具nがセット位置に送られる。
【0055】
図14に示すように、打ち込み具nの送り動作と並行してホイール25aが引き続き回転する。ホイール25aが更に回転することで、第6係合ピンP6が第6被係合部L6を乗り越える。係合ピンPと被係合部Lの互いの係合が解除される。その結果、ドライバ21cが蓄圧室1eのガス圧により下動する。なおホイール25aの回転速度と比べて、ソレノイド7eの応答速度は十分に早い。このため、ドライバ21cが装填位置に配置されてから下動するまでの間に、打ち込み具nは確実にセット位置に送られる。
【0056】
そして下動したドライバ21cが、セット位置に送られた打ち込み具nを打撃する。このようにして打ち込み具nが打ち込まれる。打ち込み動作の後も、ホイール25aは矢印Rの方向に引き続き回転する。これにより、第1係合ピンP1が、第1被係合部L1の下面に係合する。この係合状態でホイール25aがR方向に回転する。それにより各係合ピンPが、各被係合部Lの下面に順番に係合する。噛み合う係合ピンPの符号Pに付した数字と、被係合部Lの符号Lに付した数字が一致する場合が正常な噛み合い状態である。これにより、ドライバ21cが上動される。制御部4cは、第1マグネット28bがホールIC8aと対向するまでリフタ25を動作させる。ドライバ21cは、上述の待機位置まで上動する。
【0057】
釘詰まり等によりドライバ21cが下動端まで正常に下動しない場合には、第1係合ピンP1が第1被係合部L1に正常に噛み合わない状態が生じ得る。例えば第1係合ピンP1が、第2被係合部L2や第3被係合部L3の突出端に干渉する場合がある。その際ホイール25aは、回転軸25cに対してドライバ21cから遠ざかる方向にスライドする。ホイール25aの軸孔25fは、回転軸25cに対して径方向に長い長孔状に形成される。それにより、ホイール25aは回転軸25cに対する径方向への変位が許容される。この変位により、第1係合ピンP1が被係合部Lから過剰な負荷を受けることを抑制できる。またリフタ25のホルダ25dは、ホイール25aの径方向の変位に対して追従しない。ホルダ25dは、回転軸25cの回転に同期する回転のみ行う。また第1マグネット28b及び第2マグネット28cも、回転軸25cの回転に同期する回転のみ行う。
【0058】
図15に示すように第6係合ピンP6は、矢印R方向に等間隔に並ぶ各係合ピンPのうち最も後方に設けられる。第6係合ピンP6は矢印R方向における最終ピンとされる。隣り合う各係合ピンPは、互いにR方向に50度ずつずれて配置される。リフタ25の回転中心から各係合ピンPまでの距離は約15mmとされる。上述したように待機位置のドライバ21cは、第5係合ピンP5に下方から支持される。すなわちドライバ21cは、第6係合ピンP6(最終ピン)からピン1本分前方に位置する係合ピンPに支持される。
【0059】
第5係合ピンP5は、ドライバ21cの第5被係合部L5に係止する。第5被係合部L5は、上下に並ぶ各被係合部Lのうち最も下方に形成される第6被係合部L6よりもラック歯一つ分上方に位置する。そのためドライバ21cは、第6被係合部L6が支持される場合よりも下方に下がった位置で待機する。その結果、ドライバ21cが打ち込み通路2aに比較的大きく進入する。それにより、ストライカ21gのセット位置へのオーバーラップ長がより大きく確保される(図12参照)。
【0060】
オーバーラップ長が大きいことで、セット位置への打ち込み具nのセットを確実に防止できる。本実施例において、ドライバ21cの打ち込み具nへのオーバーラップ長は、打ち込み具nの上端から約15mmとされる。このオーバーラップ長は、コイル釘送り機構を備えたものにおいて10~20mmとするのが望ましい。また本実施例において、打ち込み具nの上下長さは45mmとされる。このためドライバ21cは、打ち込み具nの上下長さの1/3ほどオーバーラップする。コイル釘送り機構を備えたものにおいて、オーバーラップ長は打ち込み具の1/5~2/5とするのが望ましい。
【0061】
図15に示すようにドライバ21cは、第6係合ピンP6(最終ピン)から角度R1以上かつ角度R2以下の範囲に配置される係合ピンに支持されることが望ましい。本実施例において角度R1は30度とされる。本実施例において角度R2は100度とされる。このためドライバ21cは、第6係合ピンP6から100度前方に配置される第4係合ピンP4の支持により待機されても良い。言い換えれば待機位置のドライバ21cは、第4被係合部L4が支持されても良い。このようにドライバは、最終ピンからピン2本分以上前方に位置する係合ピンに支持されても良い。待機位置においていずれの係合ピンがドライバを支持するかは、各係合ピンの間隔や回転半径に応じて適宜変更され得る。例えば係合ピンの回転半径が15mmかつ各係合ピンの間隔が30度の場合、ドライバは最終ピンから3本分前方に配置される係合ピンに支持されても良い。
【0062】
図11、13に示すようにドライバ21cが比較的下方に下がった位置で待機されることで、待機位置から装填位置までにおけるドライバ21cの移動距離が長くなる。そのため、ソレノイド7eに電力を送ってから遮断するまでの時間を比較的長く確保できる。それにより、ソレノイド7eの釘送り動作を安定させられる。第6被係合部L6は、第6係合ピンP6との係合が外れる際の摩擦により摩耗する場合がある。その場合、ドライバ21cの上死点が下がる。それにより、ドライバ21cの下動のタイミングが早くなる可能性がある。そのような場合でも、待機位置から装填位置までの距離を比較的長くすることでソレノイド7eの動作を確実に行える。
【0063】
オーバーラップ長が不要な場合でも、ドライバ21cを比較的下方で待機させることで下動直前のドライバ21cから打ち込み具nまでの距離を長く取ることができる。すなわち待機位置から装填位置までの距離が長いことで、ドライバ21cの助走距離を確保できる。これにより、ドライバ21cが下動から十分に加速した状態で打ち込み具nを打撃できる。そのためドライバ21cの打撃により、打ち込み具nの連結を確実に切り離して打ち込み具nを射出できる。
【0064】
このように打ち込み工具20は、打ち込み具nを打撃するドライバ21cを有する。複数のラック21dが、ドライバ21cの打撃方向に並んで形成される。リフタ25が、複数のラック21dに係合してドライバ21cを後退させる。制御部4cがドライバ21cを後退させる際、位置検出センサ28からの信号に基づいてドライバ21cの後退を停止して待機させる。位置検出センサ28は、リフタ25が複数のラック21dの最前位置より1~3個後に位置するラック21dに係合した際に制御部4cに信号を送る。
【0065】
以上のように、図12に示すように打ち込み工具20は操作部4aに連動するスイッチ4dを有する。制御部4cは、スイッチ4dの信号に基づいて操作部4aが操作されたことを決定する。制御部4cは、位置検出センサ28からの信号に基づいてドライバ21cの前端がセット位置より後方に位置することを決定する。制御部4cがフィーダ70により打ち込み具nを送る。従って制御部4cは、ドライバ21cの前端がセット位置より後方に位置し、かつ操作部4aが操作された際に打ち込み具nを送る。すなわち操作部4aが操作される前には、打ち込み具nがセット位置に送られない。その結果、ドライバ21cが誤作動した際に誤って打ち込み具nを打撃することを抑制できる。なお、ドライバ21cの位置の決定と操作部4aの操作の決定はどちらが先に行われても良い。
【0066】
図10に示すようにマグネット28b、28cはリフタ25に設けられるホルダ25dに設けられる。ホルダ25dは、リフタ25の回転と同期して回転する。従ってマグネット28b、28cがリフタ25の回転に同期する。それにより、ホールIC8aがリフタ25の位置を正確に検出しやすくなる。
【0067】
以上説明した実施例には種々変更を加えることができる。例えば打ち込み工具10はガス圧を利用するガスばね式の打ち込み工具を例示した。これに代えてばね力を利用する機械ばね式の打ち込み工具についても同様に適用することができる。連結打ち込み具Nは板状に仮結合される構成でも良い。
【0068】
ソレノイド7eは制御部4cからの信号で送り方向に動作する構成でも良い。それによりソレノイド7eが打ち込み具nをセット位置に送る構成でも良い。
【0069】
位置検出センサ8はドライバ1cに設けられてドライバ1cの位置を検出する構成でも良い。位置検出センサ8はドライバ1cの待機位置を検出する構成でも良い。位置検出センサ8は、任意の位置に設けて良い。制御部4cは、ドライバ1cの待機位置を検知したらフィーダ70に信号を送る構成でも良い。ホールIC8aをホイール5aに設けて、マグネット8b、8cをハウジング5bに設ける構成でも良い。ホールIC8aやマグネット8b、8cは係合ピンPに設けられる構成でも良い。マグネット8b、8cは例えばホイール5aに設けた凹みに差し込む構成でも良い。マグネットは1つだけ設けられても良い。ドライバ1cが下動した位置を検出するマグネットを設けても良い。それによりドライバ1cが下動した際にリフタ5の回転を停止させることができる。
【0070】
リフタ5は係合ピンPを有する構成を例示した。これに代えてピニオン状の凸部を設けても良い。この場合ドライバ1cの被係合部Lとしてピンを用いる構成としても良い。係合ピンPと被係合部Lの個数は任意の数で良い。
【0071】
実施例の打ち込み工具10が本開示の1つの局面における打ち込み工具の一例である。実施例の打ち込み具nが本開示の1つの局面における打ち込み具の一例である。実施例のフィーダ70が本開示の1つの局面におけるフィーダの一例である。実施例のドライバ1cが本開示の1つの局面におけるドライバの一例である。実施例のリフタ5が本開示の1つの局面におけるリフタの一例である。実施例の位置検出センサ8が本開示の1つの局面における位置検出センサの一例である。実施例の制御部4cが本開示の1つの局面における制御部の一例である。
【0072】
実施例の操作部4aが本開示の1つの局面における操作部の一例である。実施例のスイッチ4dが本開示の1つの局面におけるスイッチの一例である。
【0073】
実施例のマグネット8b、8cが本開示の1つの局面におけるマグネットの一例である。実施例のホールIC8aが本開示の1つの局面におけるホールICの一例である。
【0074】
実施例のモータ6aが本開示の1つの局面におけるモータの一例である。実施例のハウジング5bが本開示の1つの局面におけるハウジングの一例である。
【0075】
実施例のホイール5aが本開示の1つの局面におけるホイールの一例である。実施例の係合ピンPが本開示の1つの局面におけるピンの一例である。実施例の回転軸5cが本開示の1つの局面における回転軸の一例である。
【0076】
実施例の送り爪7aが本開示の1つの局面における爪の一例である。実施例のソレノイド7eが本開示の1つの局面におけるソレノイドの一例である。
【0077】
実施例の送りばね7gが本開示の1つの局面におけるばねの一例である。
【0078】
実施例の送り機構7が本開示の1つの局面における送り機構の一例である。実施例の逆止爪7cが本開示の1つの局面における逆止爪の一例である。
【0079】
実施例のピストン1aが本開示の1つの局面におけるピストンの一例である。実施例のシリンダ1bが本開示の1つの局面におけるシリンダの一例である。
【0080】
実施例のホルダ25dが本開示の1つの局面における回転部材の一例である。
【符号の説明】
【0081】
N 連結打ち込み具
n 打ち込み具
10 打ち込み工具
1 工具本体
1a ピストン
1b シリンダ
1c ドライバ
1d ラック
L 被係合部
L1 第1被係合部
L2 第2被係合部
L3 第3被係合部
L4 第4被係合部
L5 第5被係合部
L6 第6被係合部
L7 第7被係合部
L8 第8被係合部
L9 第9被係合部
L10 第10被係合部
1e 蓄圧室
1f ダンパ
2 打ち込みノーズ部
2a 打ち込み通路
2b 射出口
3 マガジン
4 グリップ
4a 操作部
4b バッテリパック
4c 制御部
4d スイッチ
5 リフタ
5a ホイール
5b ハウジング
5c 回転軸
P 係合ピン(ピン)
P1 第1係合ピン
P2 第2係合ピン
P3 第3係合ピン
P4 第4係合ピン
P5 第5係合ピン
P6 第6係合ピン
P7 第7係合ピン
P8 第8係合ピン
P9 第9係合ピン
P10 第10係合ピン
6 駆動部
6a モータ
6b 減速部
7 送り機構
70 フィーダ
7a 送り爪(爪)
7b ばね
7c 逆止爪
7d ばね
7e ソレノイド
7f ロッド
7g 送りばね(ばね)
7h 送り傾斜面
7i 逆止傾斜面
8 位置検出センサ
8a ホールIC
8b 第1マグネット
8c 第2マグネット
W 被打ち込み材
20 打ち込み工具
21 工具本体
21c ドライバ
21d ラック
21g ストライカ
25 リフタ
25a ホイール
25c 回転軸
25d ホルダ(回転部材)
25e フランジ
25f 軸孔
28 位置検出センサ
28b 第1マグネット
28c 第2マグネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15