(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117711
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240822BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023209065
(22)【出願日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2023023884
(32)【優先日】2023-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521511313
【氏名又は名称】株式会社one building
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】金田 真聡
(57)【要約】
【課題】より有益な技術を提供することとした。例えば、ユーザが建築物の情報をより効果的に比較することができる技術を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、次の各ステップを実行する1以上のプロセッサを備える情報処理システムが提供される。この情報処理システムにおける受付ステップでは、複数の建築物の中から、2以上の建築物の選択を受け付ける。表示制御ステップでは、受付ステップにて2以上の建築物の選択を受け付けた場合、それぞれの建築物のエネルギー消費量情報又は算出データを、比較可能な態様で表示させ、エネルギー消費量情報は、建築物が消費するエネルギーの量に関する情報であり、算出データは、エネルギー消費量情報から算出される数値のデータである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の各ステップを実行する1以上のプロセッサを備える情報処理システムであって、
受付ステップでは、複数の建築物の中から、2以上の建築物の選択を受け付け、
表示制御ステップでは、前記受付ステップにて2以上の建築物の選択を受け付けた場合、それぞれの建築物のエネルギー消費量情報又は算出データを、比較可能な態様で表示させ、前記エネルギー消費量情報は、建築物が消費するエネルギーの量に関する情報であり、前記算出データは、前記エネルギー消費量情報から算出される数値のデータである、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
出力制御ステップでは、建築物のエネルギー消費量情報又は算出データを算出し、
前記受付ステップでは、複数の建築物の中から、前記出力制御ステップを実行することにより、エネルギー消費量情報又は算出データが算出されている建築物のみの選択を受け付ける、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記エネルギー消費量情報は、設計一次エネルギー消費量を含み、前記設計一次エネルギー消費量は、建築物の設計の情報から算定された一次エネルギーの消費量であり、
前記算出データは、推定CO2排出量及び推定光熱費を含み、前記推定CO2排出量は、建築物が排出すると推定されるCO2の排出量を示す情報であり、前記推定光熱費は、建築物が支払うと推定される光熱費を示す情報であり、
前記表示制御ステップでは、前記受付ステップで選択を受け付けた2以上の建築物について、それぞれの建築物の、設計一次エネルギー消費量、推定CO2排出量及び推定光熱費を、一覧性を有し、かつ、比較可能な態様で表示させる、
情報処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理システムにおいて、
前記表示制御ステップでは、前記受付ステップで選択を受け付けた2以上の建築物について、最も設計一次エネルギーの消費量が少ない建築物の設計一次エネルギー消費量を、最も推定CO2排出量が少ない建築物の推定CO2排出量を、及び最も推定光熱費が低い建築物の推定光熱費を、それぞれ識別可能な態様で表示させる、
情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記エネルギー消費量情報は、設計一次エネルギー消費量を含み、前記設計一次エネルギー消費量は、建築物の設計の情報から算定された一次エネルギーの消費量であり、
前記表示制御ステップでは、前記受付ステップで選択を受け付けた2以上の建築物について、それぞれの建築物の一次エネルギー内訳情報を表示させ、
前記一次エネルギー内訳情報は、設計一次エネルギー消費量が何に由来しているかを示す情報であり、少なくとも、空調機器、換気機器、照明機器、給湯機器及び昇降機のうち少なくとも1つに由来していることを示す情報を含む、
情報処理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記算出データは、推定光熱費を含み、前記推定光熱費は、建築物が支払うと推定される光熱費を示す情報であり、
前記表示制御ステップでは、前記受付ステップで選択を受け付けた2以上の建築物について、それぞれの建築物の時間経過と共に発生する推定光熱費の累計額を比較可能な態様で表示させる、
情報処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の情報処理システムにおいて、
前記受付ステップでは、出力対象情報の入力を更にユーザから受け付け、前記出力対象情報は、前記ユーザの属する組織の経営者と、前記ユーザの属する組織の関係会社と、前記ユーザの属する組織の何れかの部署と、前記ユーザの属する組織の何れかのプロジェクトチームと、前記ユーザの属する組織の何れかのユーザと、前記建築物の開発又は設計の委託先と、のうち少なくとも1つを、前記エネルギー消費量情報又は前記算出データの出力先とする情報であり、
前記表示制御ステップでは、前記出力対象情報に紐づく前記出力先に、前記エネルギー消費量情報又は前記算出データを表示させる、
情報処理システム。
【請求項8】
プログラムであって、
少なくとも1つのコンピュータに、請求項1~請求項7の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させる、
プログラム。
【請求項9】
情報処理システムが実行する情報処理方法であって、
請求項1~請求項7の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを備える、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、種々の技術が開発されている。一方で、より有益な技術の開発が求められている。例えば、建築物の3次元モデルを用いて建設業の業務を効率的に管理することができる統合データ生成システム、建設業務支援システム、統合データ生成方法、建設業務支援方法、及びプログラムを提供する技術が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年において、ユーザが建築物の情報をより効果的に比較することができる技術が求められている。
【0005】
本発明では上記事情に鑑み、より有益な技術を提供することとした。例えば、ユーザが建築物の情報をより効果的に比較することができる技術を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、次の各ステップを実行する1以上のプロセッサを備える情報処理システムが提供される。この情報処理システムにおける受付ステップでは、複数の建築物の中から、2以上の建築物の選択を受け付ける。表示制御ステップでは、受付ステップにて2以上の建築物の選択を受け付けた場合、それぞれの建築物のエネルギー消費量情報又は算出データを、比較可能な態様で表示させ、エネルギー消費量情報は、建築物が消費するエネルギーの量に関する情報であり、算出データは、エネルギー消費量情報から算出される数値のデータである。
【0007】
このような態様によれば、ユーザが建築物の情報をより効果的に比較することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】クライアント装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】サーバ装置2のプロセッサ23によって実現される機能を示すブロック図の一例である。
【
図5】本実施形態における情報処理の流れの一例を説明するための図である。
【
図8】バージョン選択画面6の一例を示す図である。
【
図12】レポート画面9a、9b、9c、9dの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
1.用語の定義
本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
「建築物」とは、土地に定着した屋根又は周壁がある建造物である。本明細書において、建築物は、建物の概念を含む。本明細書において、企画設計、基本設計、実施設計、建築情報及び設備情報として設定される情報のうち、少なくとも1つが異なる建築物同士は、異なる建築物として扱われてもよい。他の観点によると、意匠、設備及び住所のうち少なくとも1つが異なる建築物同士は、異なる建築物であるものとして扱われてもよい。
【0014】
「プロジェクト」とは、特定の建築物を設計するための単位として用いられる。例えば、Aビルの設計では、「Aビル設計プロジェクト」として管理される。
【0015】
「バージョン」とは、あるプロジェクトの建築物について、基本情報、建築情報及び設備情報のうち何れか1つが更新されることにより付与される。バージョンは、メジャーバージョンとマイナーバージョンとを組み合わせた数字で管理されてもよいが、プロジェクトの履歴として各建築物が管理可能であればよく、これに限定されない。本明細書では、バージョンが異なるがプロジェクトが同じ建築物は、それぞれ異なる建築物として扱われる。
【0016】
「建築物関連情報」は、建築物に関連する情報であり、少なくとも設計関連情報を含む。「設計関連情報」は、建築物の設計に関する情報である。設計関連情報は、基本情報と、建築情報と、設備情報と、省エネ情報と、エネルギー消費量情報と、算出データとを含んでもよい。
【0017】
「基本情報」とは、建築物の基本的な事項に関する情報である。基本情報は、建築物の場所、建築物の大きさ、建築物の広さ等の基本的な事項に関する情報を含む。より具体的には例えば、基本情報は、都道府県の情報(東京都等)と、市区町村の情報(千代田区等)と、省エネ基準地域区分の情報(市町村毎に割り当てられた1~8までの番号)と、構造の情報(木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)等)と、階数の情報(地上2階、地下1階等)と、敷地面積の情報(10,000m2等)と、建築面積の情報(8,000m2等)と、延べ面積の情報(24,000m2等)と、年間日射地域区分の情報(A1、A2、A3、A4、A5)と、「他人から供給された熱」の一次エネルギー換算値(冷熱)の情報(1.36等)と、「他人から供給された熱」の一次エネルギー換算値(温熱)の情報(1.36等)と、建築基準法施行規則別記入様式に定める用途の情報(記号として「08470」、用途の区分として「事務所」等)と、モデル建物法で適用する建物モデルの種類の情報(建物用途として「事務所等」、室用途として「事務室」等)とのうち少なくとも1以上の任意の情報を含み得る。基本情報として必要な情報は、標準入力法かモデル建物法かに応じて変化する。また、基本情報は、建築物の、延べ面積と、住所と、用途と、竣工年と、工程と、進捗とのうち少なくとも1つに関する情報を含んでもよい。
【0018】
「建築情報」は、建築物の建築に関する情報である。建築情報として必要な情報は、基本情報と同様に省エネ情報を算出する手法に応じて変化する。建築情報は、標準入力法の場合、室使用の情報(シート1の情報、例えば、階、室名、建物用途、室用途、室面積、階高、天井高、空調計算対象室、換気計算対象室、照明計算対象室、給湯計算対象室、建物の名称)、空調ゾーンの情報(シート2-1の情報、例えば、階、室名、建物用途、室用途、室面積、階高、天井高、空調ゾーン名、室負荷処理、外気負荷処理)、外壁構成の情報(シート2-2の情報、例えば、外壁名称、壁の種類、熱貫流率、建材番号、建材名称、熱伝導率、厚み、日射吸収率)、窓仕様の情報(シート2-3の情報、例えば、開口部名称、熱貫流率、日射熱取得率、建具の種類、ガラスの種類)、外皮の情報(シート2-4の情報、例えば、階、空調ゾーン名、方位、日除け効果係数、外壁名称、外皮面積、開口部名称、窓面積、ブラインドの有無)等を含む。建築情報は、モデル建物法の場合、開口部仕様の情報(様式B1の情報、例えば、建具の幅、建具の高さ、窓面積、建具の種類、ガラスの種類、熱貫流率、日射熱取得率)、断熱仕様の情報(様式B2の情報、例えば、部位種別、断熱材種類、熱伝導率、厚み、熱貫流率)、外皮仕様の情報(様式B3の情報、例えば、外皮の方位、外皮の幅、外皮の高さ、外皮面積、断熱仕様名称、建具使用名称、建具等個数、ブラインドの有無、日除け効果係数)、室名商(様式D及び様式E)、室用途(様式D及び様式E)及び床面積(様式D及び様式E)等を含む。
【0019】
「設備情報」は、建築物の設備建築に関する情報である。設備情報として必要な情報は、基本情報及び建築情報と同様に省エネ情報を算出する手法に応じて変化する。設備情報は、標準入力法の場合、換気室の情報(シート3-1)、換気送風機の情報(シート3-2)、換気空調機の情報(シート3-3)を含む。なお、設備情報は、モデル建物法の場合、空調熱源の情報(様式C1)、空調外気処理の情報(様式C2)、空調ポンプの情報(様式C3)、空調送風機の情報(様式C4)を含む。
【0020】
「省エネ情報」とは、エネルギーに関する情報である。ある観点によると、「省エネ情報」は、省エネルギーに関する情報であってもよい。省エネ情報は、例えば、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に定める適合又は届出を行うための情報である。省エネ情報は、BEI(Building Energy Index)とBPI(Building Palstar Index)との情報を含んでもよい。また、省エネ情報は、一次エネルギー消費量の情報と、年間熱負荷の情報との情報も含んでもよい。
【0021】
「BEI」とは、エネルギー消費性能計算プログラムに基づく、基準建築物と比較した時の設計建築物の一次エネルギー消費量の比率のことである。BEIは、0.50未満の場合に、ZEBを達成したと判定される。BEIは、設計一次エネルギー消費量から基準一次エネルギー消費量を除することにより計算される。「一次エネルギー消費量」とは、建築物のエネルギー消費性能を評価する指標であり、設計一次エネルギー消費量と基準一次エネルギー消費量とを含む。「基準一次エネルギー消費量」とは、設備毎、地域毎、室用途毎により定められる基準となる標準的な一次エネルギー消費量のことである。「設計一次エネルギー消費量」とは、ある建築物の基本情報、建築情報及び設備情報を基に算定した一次エネルギー消費量のことである。BEIは、モデル建物法が適用される場合、BEImと称される。
【0022】
「BPI」とは、PAL*により算出される年間熱負荷の基準のことである。BPIは、設計PAL*から基準PAL*を除することにより計算される。PAL*(パルスター)は、建築物の屋内周囲空間の床面積当たりの年間熱負荷のことであり、外皮基準の指標となる。「年間熱負荷」とは、建築物の外壁、開口部等を通じての熱の損失量又は外皮基準に関する指標である。なお、年間熱負荷は、年間熱負荷係数を含んでもよい。BPIは、モデル建物法が適用される場合、BPImと称される。
【0023】
「ZEB」とは、年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロ又はマイナスの建築物のことである。ZEBは、『ZEB』の概念も含んでもよい。「Nearly ZEB」とは、ZEBに限りなく近い建築物として、ZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近付けた建築物のことである。「ZEB Ready」とは、ZEBを見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えた建築物のことである。「ZEB Oriented」とは、ZEB Readyを見据えた建築物として、外皮の高性能化及び高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建築物のことである。
【0024】
「エネルギー消費量情報」とは、建築物が消費するエネルギーの量に関する情報である。エネルギー消費量情報は、上記した設計一次エネルギー消費量と、二次エネルギー消費量と、エネルギー消費実績値と、を含む。「二次エネルギー消費量」とは、一次エネルギーを転換又は加工して得られる電力の消費量である。「エネルギー消費実績値」とは、既存の建築物が実際に消費したエネルギーの値である。設計一次エネルギー消費量及びエネルギー消費実績値は、空調設備、換気設備、照明設備、給湯設備、昇降機、太陽光発電(PV)、コージェネレーション設備(CGS)及びその他毎に求められてもよいし、それらの合計が求められてもよい。その他に分類されるエネルギーは、主にOA機器(パソコン、プリンター等)による消費が想定されている。エネルギーの量の単位は、エネルギーの量と見なせる単位であればよく、GJ/年、MWh/年等の任意の単位を取りうる。
【0025】
「算出データ」とは、エネルギー消費量情報から算出される数値のデータである。すなわち、BEIは、算出データに含まれる。算出データは、後述する、推定CO2の排出量及び推定光熱費も含んでもよい。
【0026】
省エネ情報は、公知の手法により計算される。公知の手法は、例えば、ルールベースによる手法であってもよいし、機械学習による手法でもよい。例えば、年間熱負荷及び一次エネルギー消費量は、国立研究開発法人建築研究所が提供する「モデル建物法入力支援ツール」に、基本情報と、建築情報と、設備情報とを入力することにより計算される。モデル建物法入力支援ツールは、公知の手法の一例である。
【0027】
省エネ情報は、その建築物の推定光熱費及び推定CO2排出量に関する情報を含んでもよい。推定CO2排出量は、その建築物が排出すると推定されるCO2の排出量に関する情報である。推定CO2排出量の単位は、CO2の排出量を算出可能な単位であればよく、例えばt-CO2/年であるが、これに限定されない。推定光熱費は、その建築物が支払うと推定される光熱費に関する情報である。推定光熱費の単位は、光熱費を算出可能な単位であればよく、例えば円/年であるが、これに限定されない。
【0028】
推定CO2排出量又は推定光熱費については、まず、国立研究開発法人建築研究所が提供する「建築物のエネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)」に、基本情報と、建築情報と、設備情報とを入力することにより計算結果を出力する。そして、この計算結果の情報(すなわち、エネルギー消費量情報)に、CO2換算係数又は光熱費単価を適用することで、推定CO2排出量又は推定光熱費が計算される。ここで、プロセッサ23は、ユーザからCO2換算係数もしくは光熱費単価の入力を受け付け、又はCO2換算係数もしくは光熱費単価を自動で取得することにより、CO2換算係数もしくは光熱費単価を計算に適用する。なお、建築物のエネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)は、公知の手法の一例である。
【0029】
CO2換算係数は、CO2の排出量を計算するための係数である。CO2換算係数は、CO2の排出量に換算できればよく、特に限定されないが、例えば、t-CO2/kWh、t-CO2/GJ等のエネルギー量と掛け合わせることでCO2の排出量を算出できる単位の係数である。光熱費単価は、光熱費を計算するための係数である。光熱費単価は、推定光熱費に換算できればよく、特に限定されないが、例えば、円/kWh、円/GJ等のエネルギー量と掛け合わせることで推定光熱費を算出できる単位の係数である。
【0030】
[実施形態]
2.ハードウェア構成
本節では、本実施形態のハードウェア構成について説明する。
【0031】
2.1.情報処理システム1
図1は、情報処理システム1のシステム構成の一例を示す図である。また、
図2は、サーバ装置2のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3は、クライアント装置3のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、サーバ装置2と、複数のクライアント装置3とを備え、これらが電気的に接続されている。これらの構成要素について更に説明する。ここで、情報処理システム1に例示されるシステムとは、1つ又はそれ以上の装置又は構成要素からなるものである。したがって、サーバ装置2単体であっても、あるいはサーバ装置2とクライアント装置3との組合せであっても、情報処理システム1に含まれることに留意されたい。より詳細には、情報処理システム1は、サーバ装置2とクライアント装置3とからなる群より選択される要素を備えていてもよい。選択されない要素は、情報処理システム1に含まれずとも、外部の要素として、選択された要素と電気的に接続されている。
【0032】
2.2.サーバ装置2
図2に示されるように、サーバ装置2は、通信部21と、記憶部22と、プロセッサ23とを備え、これらの構成要素がサーバ装置2の内部において通信バス20を介して電気的に接続されている。各構成要素について更に説明する。
【0033】
通信部21は、USB、IEEE1394、Thunderbolt(登録商標)、有線LANネットワーク通信等といった有線型の通信手段が好ましいものの、無線LANネットワーク通信、3G/LTE/5G等のモバイル通信、BLUETOOTH(登録商標)通信等を必要に応じて含めてもよい。すなわち、これら複数の通信手段の集合として実施することがより好ましい。すなわち、サーバ装置2は、通信部21及びネットワークNを介して、外部から種々の情報を通信してもよい。
【0034】
記憶部22は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、プロセッサ23によって実行されるサーバ装置2に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施されうる。記憶部22は、プロセッサ23によって実行されるサーバ装置2に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0035】
プロセッサ23は、サーバ装置2に関連する全体動作の処理・制御を行う。プロセッサ23は、例えば不図示の中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)である。プロセッサ23は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、サーバ装置2に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理が、ハードウェアの一例であるプロセッサ23によって具体的に実現されることで、プロセッサ23に含まれる各機能部として実行されうる。これらについては、次節において更に詳述する。なお、プロセッサ23は単一であることに限定されず、機能ごとに複数のプロセッサ23を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
【0036】
2.3.クライアント装置3
情報処理システム1は、複数のクライアント装置3を備えている。例えば、
図1の例示では、複数のクライアント装置3が図示されている。また、
図3に示されるように、クライアント装置3は、通信部31と、記憶部32と、プロセッサ33と、表示部34と、入力部35とを備え、これらの構成要素がクライアント装置3の内部において通信バス30を介して電気的に接続されている。通信部31、記憶部32及びプロセッサ33の説明は、サーバ装置2における各部の説明と同様のため省略する。
【0037】
表示部34は、クライアント装置3筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。表示部34は、ユーザが操作可能なグラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface:GUI)の画面を表示する。これは例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示デバイスを、クライアント装置3の種類に応じて使い分けて実施することが好ましい。
【0038】
入力部35は、クライアント装置3の筐体に含まれてもよいし、外付けされてもよい。例えば、入力部35は、表示部34と一体となってタッチパネルとして実施されてもよい。タッチパネルであれば、ユーザは、タップ操作、スワイプ操作等を入力することができる。もちろん、タッチパネルに代えて、スイッチボタン、マウス、QWERTYキーボード等を採用してもよい。すなわち、入力部35がユーザによってなされた操作入力を受け付ける。当該入力が命令信号として、通信バス30を介してプロセッサ33に転送され、プロセッサ33が必要に応じて所定の制御や演算を実行しうる。また、入力部35は、撮像部(いわゆる内蔵カメラ)を含みうる。
【0039】
3.機能構成
本節では、
図4を示しながら本実施形態の機能構成について説明する。
図4は、サーバ装置2のプロセッサ23によって実現される機能を示すブロック図の一例である。前述の通り、記憶部22に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例であるプロセッサ23によって具体的に実現されることで、プロセッサ23に含まれる各機能部として実行されうる。情報処理システム1の一例であるサーバ装置2のプロセッサ23は、情報送受信部230と表示制御部231と出力制御部232とを備える。或いは、記憶部32に記憶されているソフトウェアによる情報処理がハードウェアの一例であるプロセッサ33によって具体的に実現されることで、プロセッサ33に含まれる各機能部として実行されうる。
【0040】
情報送受信部230は、ネットワークN及び通信部21を介して、種々の情報を他の装置から受け付け、受信し、又は取得するように構成される。情報送受信部230は、通信部21及びネットワークNを介して、種々の情報を他の装置に送信又は出力するように構成される。情報送受信部230は、送信ステップ及び受付ステップを実行する。
【0041】
表示制御部231は、クライアント装置3の表示部34に表示する表示情報を制御するように構成される。なお、表示情報とは、画面、画像、アイコン、テキスト等といった、ユーザが視認可能な態様で生成された視覚情報そのものでもよいし、例えば各種端末に画面、画像、アイコン、テキスト等の視覚情報を表示させるためのレンダリング情報であってもよい。表示制御部231は、表示制御ステップを実行する。
【0042】
出力制御部232は、種々の情報を出力する。出力制御部232は、出力制御ステップを実行する。
【0043】
情報送受信部230、表示制御部231及び出力制御部232の詳細は後述する。
【0044】
4.情報処理
本設では、本実施形態の情報処理について説明する。
【0045】
4.1.情報処理の概要
図5を用いながら本実施形態の情報処理システム1で実行される好ましい情報処理の一例を説明する。
図5は、本実施形態における情報処理の流れの一例を説明するための図である。
【0046】
また、本明細書において、クライアント装置3の表示部34に情報を表示させる情報処理について、表示制御部231が当該情報を表示部34に表示させるものとして記載することがある。この場合、次のような情報処理が実行される。すなわち、表示制御部231は、ユーザによる画面に情報を表示させるための指示に基づいて表示情報を生成する。情報送受信部230は、通信部21及びネットワークNを介して、生成した表示情報をクライアント装置3に送信する。クライアント装置3のプロセッサ33は、ネットワークN及び通信部31を介して、生成した表示情報をサーバ装置2から受信する。プロセッサ33は、生成した表示情報に基づいて、表示部34への表示を制御する。
【0047】
(ステップS1)
ユーザによるサービスへのログインに関する情報処理を経て、表示制御部231は、機能選択画面を表示部34に表示させる。機能選択画面には、例えば、建築物関連情報の入力を受け付けるための画面、又は表示させる複数の建築物関連情報を設定するための画面に、遷移する機能(例えば、ボタン)が含まれる。クライアント装置3のプロセッサ33は、ユーザによる入力部35を使用した機能選択画面への操作を介して、建築物関連情報の入力を受け付けるための画面を表示させる指示、又は出力する複数の建築物関連情報を設定するための画面を表示させる指示を受け付ける。プロセッサ33は、通信部31及びネットワークNを介して、サーバ装置2に当該指示を送信する。サーバ装置2の表示制御部231は、建築物関連情報の入力を受け付けるための画面を表示させる指示を受け付けた場合、当該建築物関連情報の入力を受け付けるための画面を表示部34に表示させ、ステップS2に情報処理を進める。また、表示制御部231は、出力する複数の建築物関連情報を設定するための画面を表示させる指示を受け付けた場合、当該出力する複数の建築物関連情報を設定するための画面を表示部34に表示させ、ステップS3に情報処理を進める。機能選択画面は、例えば、後述する機能選択画面4を含む。
【0048】
(ステップS2)
クライアント装置3のプロセッサ33は、建築物関連情報の入力を受け付けるための画面に対するユーザによる入力部35への操作を介して、建築物関連情報を受け付ける。建築物関連情報の入力を受け付けるための画面では、省エネ情報、エネルギー消費量情報又は算出データの計算が行われてもよい。計算が行われる場合、出力制御部232は、建築物関連情報に基づいて建築物の、省エネ情報、エネルギー消費量情報又は算出データを出力する。プロセッサ33は、通信部31及びネットワークNを介して、建築物関連情報をサーバ装置2に送信する。情報送受信部230は、建築物関連情報をクライアント装置3から受け付ける。
【0049】
(ステップS3)
クライアント装置3のプロセッサ33は、出力する複数の建築物関連情報を設定するための画面に対するユーザによる入力部35への操作を介して、出力する複数の建築物関連情報の設定を受け付ける。プロセッサ33は、通信部31及びネットワークNを介して、出力する複数の建築物関連情報の情報をサーバ装置2に送信する。情報送受信部230は、出力する建築物関連情報を特定するための情報をクライアント装置3から受け付ける。
【0050】
(ステップS4)
出力制御部232は、出力する建築物関連情報を特定するための情報に基づいて、特定した建築物関連情報を出力する。例えば、出力制御部232は、建築物関連情報を任意の形式で出力する。出力制御部232は、ウェブブラウザ上に建築物関連情報を出力してもよい。例えば、出力制御部232は、建築物関連情報を、html、pdf、xlsx、docx、pptx、csv、png、jpeg、txt等の任意のファイル形式で出力してもよい。表示制御部231は、建築物関連情報が含まれる画面を表示部34に表示させてもよい。レポート画面7、8、9a、9b、9c、9dは、建築物関連情報が含まれる画面の一例である。
【0051】
4.2.情報処理の詳細
本設では
図5を示しながら説明した概要に基づいて、より詳細な情報処理について説明する。具体的には、上記した情報処理の概要を実行する2つのサービスの詳細について説明する。
【0052】
図6は、機能選択画面4の一例を示す図である。
図6の機能選択画面4は、作成した建築物について実行する機能が選択可能に構成される画面である。機能選択画面4は、建築物領域40a、40b、40cと、プロジェクト作成ボタン43と、を少なくとも含む。
【0053】
建築物領域40a、40b、40cは、作成された、何れかの建築物の情報が表示される領域である。建築物領域40a、40b、40cは、それぞれレポートボタン41a、41b、41cと、ワークスペースボタン42a、42b、42cと、を含む。建築物の情報は、例えば、「test1」等の建築物を特定するための建築物名、「東京都国分寺市」等の建築物の所在地を示す情報、「Nearly ZEB」等のZEBの目標を示す情報を含む。また、プロジェクトの情報は、当該プロジェクトが目標に達成しているかを示す情報を含む。例えば、プロジェクトの情報は、BPIの目標値(例えば、「-0.15」)を示す情報と、BPIの現在値(例えば、「0.64」)を示す情報と、BPIの目標値がBPIの目標値に達しているか否かを示す情報とを含む。プロジェクトの情報は、BEIの目標値(例えば、「-0.15」)を示す情報と、BEIの現在値(例えば、「0.0」)を示す情報と、BPIの目標値がBPIの目標値に達しているか否かを示す情報とを含んでもよい。プロジェクトの情報は、ZEB Readyの基準を達成しているか否かを示す情報を含んでもよい。プロジェクトの情報には、ZEB Readyの他にZEB Oriented、Nearly ZEB又はZEBの基準を達成しているか否かを示す情報が含まれてもよい。
【0054】
レポートボタン41a、41b、41cは、レポートを作成するためのボタンである。レポートボタン41a、41b、41cの押下に応じて、表示制御部231は、
図7のレポート選択画面5を表示部34に表示させる(情報処理システム1は、レポートボタン41a、41b、41cの押下を受け付けた場合に
図5のステップS2に情報処理を進める)。
【0055】
ワークスペースボタン42a、42b、42cは、エネルギー情報を入力するための画面に遷移するためのボタンである。ワークスペースボタン42a、42b、42cの押下に応じて、表示制御部231は、エネルギー情報の入力を受け付けるための画面を表示部34に表示させる。当該画面へのユーザによる入力部35への操作を介して、情報送受信部230は、新たなエネルギー情報を受け付ける(情報処理システム1は、ワークスペースボタン42a、42b、42cの押下を受け付けた場合に
図5のステップS3に情報処理を進める)。
【0056】
プロジェクト作成ボタン43は、新たにプロジェクトを作成するためのボタンである。
【0057】
図7は、レポート選択画面5の一例を示す図である。
図7のレポート選択画面5は、表示させるレポートを選択するための画面である。レポート選択画面5は、プロジェクト領域50と、レポート選択領域51と、レポート作成ボタン52とを含む。
【0058】
プロジェクト領域50は、上記した建築物の情報が表示される領域である。
【0059】
レポート選択領域51は、作成されたレポートが選択可能な領域である。レポート選択領域51に表示されるレポートの選択を受け付けることに応じて、表示制御部231は、
図9に示すレポート画面7を表示部34に表示させる。
【0060】
レポート作成ボタン52は、新規にレポートを作成するためのボタンである。レポート作成ボタン52の押下に応じて、表示制御部231は、
図8に示すバージョン選択画面6を表示部34に表示させる。
【0061】
図8は、バージョン選択画面6の一例を示す図である。
図8のバージョン選択画面6は、あるプロジェクトについて、バージョンを選択するための画面である。バージョン選択画面6は、プロジェクト領域60と、相関図領域61と、バージョン選択領域62a、62b、62c、62dと、レポート設定ボタン63とを含む。プロジェクト領域60は、プロジェクト領域50を参照されたい。
【0062】
相関図領域61は、バージョン毎のBPIとBEIとの値をそれぞれプロットした結果が表示される領域である。相関図領域61は、プロットのそれぞれが、ZEB、Nearly ZEB、ZEB Ready、ZEB Oriented等の何れかに該当することを示す領域が含まれてもよい。
【0063】
バージョン選択領域62a、62b、62c、62dは、レポートとして出力するバージョンの建築物の選択を受け付ける領域である。バージョン選択領域62a、62b、62dは、レポートとして出力可能な建築物として、ユーザからの選択が受付られるように構成されているのに対して、バージョン選択領域62cは、レポートとして出力する建築物として、ユーザからの選択が受付られないように構成されている。情報送受信部230は、意匠及び設備のうち少なくとも1つが異なる複数の建築物の中から、1つ、又は2以上の、建築物の選択を受け付ける。より具体的には例えば、情報送受信部230は、複数の建築物の中から、前記出力制御ステップを実行することにより、エネルギー消費量情報又は算出データが算出されている建築物のみの選択を受け付ける。受け付ける建築物の数は、
図9の例では3つまでであるが、1以上であればよい。このような態様によれば、エネルギー消費量情報又は算出データが算出されている建築物についてのみ比較の対象とすることができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率の検討にあたって、エネルギー消費量情報又は算出データを有さない建築物の選択を受け付けるないようにすることができる。
【0064】
レポート設定ボタン63は、バージョン選択領域62a、62b、62c、62dにて受け付けたバージョンの建築物に基づいてレポートを出力するためのボタンである。レポート設定ボタン63の押下に応じて、表示制御部231は、
図9に示すレポート画面7を表示部34に表示させる(情報処理システム1は、レポート設定ボタン63の押下を受け付けた場合に
図5のステップS4に情報処理を進める)。
【0065】
図9は、レポート画面7の一例を示す図である。レポート画面7は、1つ、又は2つ以上の建築物のデータのそれぞれを、一覧性を有し、かつ、比較可能な態様で参照するための画面である。レポート画面7は、計画領域70と、ZEB領域71と、BPI・BEI領域72と、杉換算領域73と、一次エネルギー消費量領域74と、CO
2排出量領域75と、年間光熱費領域76と、一次エネルギー分析領域77と、ライフサイクル光熱費領域78と、ダウンロードボタン79とを含む。
【0066】
計画領域70は、プロジェクトの情報が表示される領域である。プロジェクトの情報は、「ABCビル」等の建築物名、「事務所」等の建物用途、「2建て」等の階数、「RC造」等の構造、「1149.43m2」等の延べ面積、「東京都」等の計画地、「2020年」等の竣工予定時期等の情報が含まれる。
【0067】
ZEB領域71は、最も条件のよいバージョンの建築物が目標となるZEBに関する基準を満たすか否かが表示される領域である。
【0068】
BPI・BEI領域72は、比較のために選択された各バージョンのBPIの値及びBEIの値が表示される領域であり、BPI・BEI領域72には、例えば、バージョン11.1のBPIが「0.0」でありBEIが「0.85」であり、バージョン10.1のBPIが「0.0」でありBEIが「0.66」であり、バージョン6.3のBPIが「0.79」でありBEIが「0.83」であることが表示される。
【0069】
杉換算領域73は、比較される各バージョンの建築物うち、最もCO2排出量が削減可能な建築物について、そのCO2排出量から換算される、CO2の削減に使用される杉の本数(例えば、7,771本等)が表示される領域である。杉換算領域73に表示される情報は、CO2の削減量又は吸収量の程度がわかる態様であればよく、杉の本数でなくても良い。
【0070】
一次エネルギー消費量領域74は、比較のために選択された各バージョンの設計一次エネルギー消費量の値と、基準一次エネルギー消費量の値とが表示される領域である。一次エネルギー消費量領域74は、比較される各バージョンの建築物うち、最も設計一次エネルギー消費量の値が小さいバージョンの建築物が強調して表示されてもよい。
【0071】
CO2排出量領域75は、比較のために選択された各バージョンのCO2排出量の値と、基準となるCO2排出量の値とが表示される領域である。CO2排出量領域75は、比較される各バージョンの建築物うち、最もCO2排出量の値が小さいバージョンの建築物が強調して表示されてもよい。
【0072】
年間光熱費領域76は、比較のために選択された各バージョンの年間光熱費の値と、基準となる年間光熱費の値とが表示される領域である。年間光熱費領域76は、比較される各バージョンの建築物うち、最も年間光熱費の値が小さいバージョンの建築物が強調して表示されてもよい。
【0073】
すなわち、表示制御部231は、比較のために選択を受け付けた、1つ、又は2つ以上の、建築物について、それぞれの建築物の、一次エネルギー消費量、推定CO2排出量及び推定光熱費を、一覧性を有し、かつ、比較可能な態様で、一次エネルギー消費量領域74、CO2排出量領域75及び年間光熱費領域76のそれぞれを、表示部34に表示させる。一覧性とは、表示させたい情報の全てが表示部34に同時に表示されている状態をいう。比較可能な態様とは、情報同士を並べる態様である。好ましくは、比較可能な態様において、比較したい情報同士の間には別の情報が含まれていないことが好ましい。このような態様によれば、一次エネルギー消費量、推定CO2排出量及び推定光熱費を建築物同士で比較することができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0074】
すなわち、表示制御部231は、比較のために選択を受け付けた、1つ、又は2つ以上の、建築物について、最も設計一次エネルギー消費量が少ない建築物の設計一次エネルギー消費量を、最も推定CO
2排出量が少ない建築物の推定CO
2排出量を、及び最も推定光熱費が低い建築物の推定光熱費を、それぞれ識別可能な態様で強調して表示させる。「識別可能な態様で強調」は、強調される建築物のデータが、他の建築物のデータと異なる態様で表示されることである。識別可能な態様で強調は、
図9の例では、強調されるデータが塗りつぶされているが、例えば、データの色を変更することによって行われたり、データの輪郭を太くすることによって行われたり、データと紐付く文字を変更したりすることによって行われてもよい。このような態様によれば、一次エネルギー消費量、推定CO
2排出量及び推定光熱費のそれぞれの条件が最もよい建築物について視認性を高めることができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0075】
一次エネルギー分析領域77は、各建築物の設計一次エネルギー消費量について、空調設備、換気設備、照明設備、給湯設備、昇降機、太陽光発電(PV)、コージェネレーション設備(CGS)及びその他毎に消費量が表示される領域である。一次エネルギー分析領域77は、基準一次エネルギー消費量についても同様に内訳を含む。一次エネルギー分析領域77は、比較される各バージョンの建築物うち、最も設計一次エネルギー消費量の値が小さいバージョンの建築物の内訳が強調(
図9の例ではバージョン10.1のデータの枠が太くされることで強調されている)して表示されてもよい。表示制御部231は、比較のために選択を受け付けた、1つ、又は2つ以上の、建築物について、それぞれの建築物の一次エネルギー内訳情報として一次エネルギー分析領域77を表示させる。一次エネルギー内訳情報は、設計一次エネルギー消費量が何に由来しているかを示す情報であり、少なくとも、空調機器、換気機器、照明機器、給湯機器及び昇降機のうち少なくとも1つに由来していることを示す情報を含む。このような態様によれば、設計一次エネルギー消費量の内訳を建築物同士で比較することができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0076】
ライフサイクル光熱費領域78は、時間経過と共に累積する光熱費の推定額が建築物毎に表示される領域である。ライフサイクル光熱費領域78は、時間経過と共に累積する光熱費の推定額の基準値も含む。また、ライフサイクル光熱費領域78は、時間経過と共に累積する、光熱費の推定額の基準値と最も光熱費が安い建築物の光熱費の推定額とを示す情報を、又はこれらの額の差を示す情報を含んでもよい。表示制御部231は、比較のために選択を受け付けた、1つ、又は2つ以上の、建築物について、それぞれの建築物の時間経過と共に発生する推定光熱費の累計額を比較可能な態様な領域としてライフサイクル光熱費領域78を表示させる。時間経過と共に発生する推定光熱費の累計額は、推定光熱費のライフサイクルコストである。このような態様によれば、推定光熱費の累計額を建築物同士で比較することができるため、ユーザがライフサイクルコストを検討する上で、参考とすることができる。
【0077】
ダウンロードボタン79は、エネルギー消費量情報及び算出データを含むデータを出力するためのボタンである。ダウンロードボタン79の押下に応じて、出力制御部232は、エネルギー消費量情報及び算出データを含むデータを出力する。出力されるデータは、
図9のレポート画面7のように、グラフが含まれる態様であってもよいし、グラフが作成可能な数値データが含まれる態様であってもよい。出力制御部232は、html、pdf、xlsx、docx、pptx、csv、png、jpeg、txt等のファイル形式でデータを出力してもよい。
【0078】
すなわち、出力制御部232は、比較のために選択を受け付けた、1つ、又は2つ以上の、建築物について、それぞれの建築物のエネルギー消費量情報又は算出データを、比較可能な態様で出力する。このような態様によれば、エネルギー消費量情報又は算出データを建築物同士で比較することができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0079】
また、
図10は、設定画面7aの一例を示す図であうる。
図10の設定画面7aは、
図9のレポート画面7に表示される、推定CO
2排出量及び推定光熱費のそれぞれの詳細を設定可能な画面である。設定画面7aは、光熱費単価領域70aとCO
2排出量換算係数領域71aと上昇率領域72aとライフサイクル年領域73aとを含む。なお、二次エネルギーは、電力、都市ガス、重油、灯油、LPガスに限定されず、ガソリン、水素、コークス等を含んでもよい。
【0080】
光熱費単価領域70aは、光熱費単価を設定可能な領域である。光熱費単価領域70aは、二次エネルギー毎に光熱費単価が設定可能に構成されている。二次エネルギー毎の光熱費単価として、電力会社等の組織が提供する数値がデフォルトで設定されていてもよいし、ユーザが入力した任意の数値が使用されてもよい。また、図示されていないが、光熱費単価領域70aは、使用する二次エネルギー毎の割合(例えば、電力が6割、都市ガスが2.5割、重油が1割、灯油が0割、LPガスが0.5割等)が設定可能に構成されてもよい。光熱費単価領域70aにて設定された情報は、
図9の、年間光熱費領域76及びライフサイクル光熱費領域78に反映される。
【0081】
CO
2排出量換算係数領域71aは、CO
2換算係数を設定可能な領域である。CO
2排出量換算係数領域71aは、二次エネルギー毎にCO
2換算係数が設定可能に構成されている。二次エネルギー毎のCO
2換算係数として、電力会社等の組織が提供する数値がデフォルトで設定されていてもよいし、ユーザが入力した任意の数値が使用されてもよい。また、図示されていないが、CO
2排出量換算係数領域71aは、使用する二次エネルギー毎の割合(例えば、電力が6割等)が設定可能に構成されてもよい。CO
2排出量換算係数領域71aにて設定された情報は、
図9の、CO2排出量領域75に反映される。
【0082】
上昇率領域72aは、光熱費単価の上昇率(例えば、5%等)が設定可能に構成される領域である。上昇率領域72aにて設定された光熱費単価の上昇率は、
図9の、年間光熱費領域76及びライフサイクル光熱費領域78に反映される。
【0083】
ライフサイクル年領域73aは、推定光熱費のライフサイクルコストを算出するための年数が設定可能に構成される領域である。ライフサイクル年領域73aにて設定された年数は、
図9のライフサイクル光熱費領域78の年数(グラフの横軸)に反映される。
【0084】
図9のレポート画面7には含まれていないが、次のように実施されてもよい。
情報送受信部230は、出力対象情報の入力を更にユーザから受け付け、出力対象情報は、ユーザの属する組織の経営者と、ユーザの属する組織の関係会社と、ユーザの属する組織の何れかの部署と、ユーザの属する組織の何れかのプロジェクトチームと、ユーザの属する組織の何れかのユーザとのうち少なくとも1つを、エネルギー消費量情報又は算出データの出力先とする情報である。表示制御部231は、出力対象情報に紐づく出力先に、エネルギー消費量情報又は算出データを表示部34に表示させる。このような態様によれば、ユーザから受け付けた出力対象情報に更に基づいて、エネルギー消費量情報又は算出データの出力先を自由に編集することが可能となる。
また、組織は、設計事務所を含む。表示制御部231は、出力先から、エネルギー消費量情報又は算出データに対する評価である評価情報を受け付け可能に表示させ、評価情報受け付けた場合、受け付けた評価情報を更に表示させる。このような態様によれば、エネルギー消費量情報又は算出データに対する評価情報を受け付けることができ、更にユーザはその評価情報を確認することが可能となる。
【0085】
図11は、レポート画面8の一例を示す図である。レポート画面8は、「品川ビル」、「無子ビル」等のプロジェクト毎に設計関連情報が比較可能な画面である。
図11のレポート画面8によると、設計関連情報は、BEIとBPIとが、ZEBにて定義される省エネルギーに関する基準(ZEB、Nearly ZEB等)を満たすか否かの情報を含む。一次エネルギー消費量及び年間熱負荷のそれぞれは、基本情報と、建築情報と、設備情報とに基づいて算出される。このような態様によれば、算出したZEBにて定義される省エネルギーが所定の基準を満たすか否か確認することが可能となる。
【0086】
図12は、レポート画面9a、9b、9c、9dの一例を示す図である。
図12では、ある建築物のレポートについて、出力先に応じて違う情報が表示されており、この表示される情報について、どの領域にどの情報を表示させるかは、レポートの作成者であるユーザが任意に選択できる。
すなわち、情報送受信部230は、ある組織が関与する建築物に関する設計関連情報と、設計関連情報を表示させる領域情報との入力をユーザから受け付ける。領域情報は、ユーザにより指定可能な領域を示す情報である。表示制御部231は、領域情報に紐づく領域に設計関連情報を表示させる。このような態様によれば、ユーザから受け付けたある組織が対応する建築物に関する設計関連情報と、設計関連情報を表示させる領域情報とに基づいて、設計関連情報を自由に表示させることが可能となる。
また、情報送受信部230は、出力対象情報の入力を更にユーザから受け付ける。出力対象情報は、ユーザの属する組織の経営者と、ユーザの属する組織の関係会社と、ユーザの属する組織の何れかの部署と、ユーザの属する組織の何れかのプロジェクトチームと、ユーザの属する組織の何れかのユーザとのうち少なくとも1つを設計関連情報の出力先とする情報である。表示制御部231は、出力対象情報に紐づく出力先に設計関連情報を表示させる。このような態様によれば、ユーザから受け付けた出力対象情報に更に基づいて、設計関連情報の出力先を自由に編集することが可能となる。
また、組織は、設計事務所を含む。このような態様によれば、このような態様によれば、ある設計事務所が対応した建築物の設計関連情報を自由に表示させることが可能となる。
【0087】
好ましくは、表示制御部231は、出力先から設計関連情報に対する評価である評価情報を受け付け可能に表示させ、評価情報受け付けた場合、受け付けた評価情報を更に表示させる。このような態様によれば、設計関連情報に対する評価情報を受け付けることができ、更にユーザはその評価情報を確認することが可能となる。
【0088】
好ましくは、設計関連情報は、第1基準と比較したCO2排出量の削減量を示す情報を含む。CO2排出量は、基本情報と、建築情報と、設備情報とに基づいて算出される。このような態様によれば、基本情報と、前記建築情報と、前記設備情報とに基づいて算出されたCO2排出量の削減量が、第1基準と比較してどうなのかを確認することが可能となる。
【0089】
好ましくは、設計関連情報は、その組織が対応した各建築物の竣工年毎の面積を累積した数値を示す情報を含む。このような態様によれば、その組織が対応した各建築物の竣工年毎の面積を累積した数値を確認することが可能となる。
【0090】
好ましくは、設計関連情報は、その組織が対応した各建築物の竣工年毎のCO2排出量を累積した数値を示す情報を含む。CO2排出量は、基本情報と、建築情報と、設備情報とに基づいて算出される。このような態様によれば、その組織が対応した各建築物の竣工年毎のCO2排出量を累積した数値を確認することが可能となる。
【0091】
【0092】
[その他]
プログラムは、1以上のコンピュータに各機能部(ステップ)を実行させるプログラムである。また、情報処理システム1は、プログラムを実行する1以上のコンピュータを備える。前述の実施形態に係る情報処理システム1に関して、コンピュータを、情報処理システム1のプロセッサ23として機能させるプログラムであってもよい。また、情報処理システム1(又はサーバ装置2のプロセッサ23)が実行する情報処理方法であってもよい。このような態様によれば、ユーザが建築物の情報をより効果的に比較することができる。
【0093】
情報処理システム1に含まれる装置のうちの少なくとも1つは、日本国外に設置されていてもよい。例えば、サーバ装置2が日本国外に設置され、各端末装置が日本国内に設置されていてもよい。同様に、ユーザが日本国外から自身の端末装置を用いて、日本国内に設置されたサーバ装置2にアクセスしていてもよい。このような態様によれば、様々な管理形態によって、より利便性の高い体験をユーザに提供することができる。
【0094】
サーバ装置2は、オンプレミス形態であってもよく、クラウド形態であってもよい。クラウド形態のサーバ装置2としては、例えば、SaaS(Software as a Service)、クラウドコンピューティングという形態で、上記の機能や処理を提供してもよい。
【0095】
上記実施形態では、サーバ装置2が種々の記憶・制御を行ったが、サーバ装置2に代えて、複数の外部装置が用いられてもよい。すなわち、種々の情報やプログラムは、ブロックチェーン技術等を用いて複数の外部装置に分散して記憶されてもよい。
【0096】
図9のレポート画面7では、エネルギー消費量情報として、一次エネルギー消費量を使用する例について説明したが、変形例では、エネルギー消費量情報として、エネルギー消費実績値を含めてレポート画面が表示されてもよい。これにより、新築の建築物の設計の他に、既存の建築物の改修時を想定して情報を比較して、ユーザが検討することができる。
【0097】
実施形態では、エネルギー消費量情報又は算出データが算出されていることを条件に出力する建築物の選択を受け付けるものとして説明したが、変形例では、BEI又はBPIの値が、所定の値の条件を満たす建築物のみの選択を受け付けてもよい。より具体的には例えば、情報送受信部230は、複数の建築物の中から、BEI又はBPIの値が、所定の値の条件を満たす建築物のみの選択を受け付ける。この所定の値の条件は、例えば、ユーザが設定したBPI及びBEIの値を下回るかの条件であってもよい。また、この所定の値の条件は、BPIの値がZEB、Nearly ZEB又はZEB Readyの条件を満たすかによって設定されてもよい。
【0098】
また次のような請求項の発明が提供されてもよい。
次の各ステップを実行する1以上のプロセッサを備える情報処理システムであって、
受付ステップでは、複数の建築物の中から、1以上の建築物の選択を受け付け、
表示制御ステップでは、前記受付ステップにて1以上の建築物の選択を受け付けた場合、それぞれの建築物の算出データを、比較可能な態様で表示させ、前記算出データは、エネルギー消費量情報から算出される数値のデータであり、前記エネルギー消費量情報は、建築物が消費するエネルギーの量に関する情報である、
情報処理システム。
【0099】
更に、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0100】
(1)次の各ステップを実行する1以上のプロセッサを備える情報処理システムであって、受付ステップでは、複数の建築物の中から、2以上の建築物の選択を受け付け、表示制御ステップでは、前記受付ステップにて2以上の建築物の選択を受け付けた場合、それぞれの建築物のエネルギー消費量情報又は算出データを、比較可能な態様で表示させ、前記エネルギー消費量情報は、建築物が消費するエネルギーの量に関する情報であり、前記算出データは、前記エネルギー消費量情報から算出される数値のデータである、情報処理システム。
【0101】
このような態様によれば、エネルギー消費量情報又は算出データを建築物同士で比較することができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0102】
(2)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、出力制御ステップでは、建築物のエネルギー消費量情報又は算出データを算出し、前記受付ステップでは、複数の建築物の中から、前記出力制御ステップを実行することにより、エネルギー消費量情報又は算出データが算出されている建築物のみの選択を受け付ける、情報処理システム。
【0103】
このような態様によれば、エネルギー消費量情報又は算出データが算出されている建築物についてのみ比較の対象とすることができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率の検討にあたって、エネルギー消費量情報又は算出データを有さない建築物の選択を受け付けるないようにすることができる。
【0104】
(3)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記エネルギー消費量情報は、設計一次エネルギー消費量を含み、前記設計一次エネルギー消費量は、建築物の設計の情報から算定された一次エネルギーの消費量であり、前記算出データは、推定CO2排出量及び推定光熱費を含み、前記推定CO2排出量は、建築物が排出すると推定されるCO2の排出量を示す情報であり、前記推定光熱費は、建築物が支払うと推定される光熱費を示す情報であり、前記表示制御ステップでは、前記受付ステップで選択を受け付けた2以上の建築物について、それぞれの建築物の、設計一次エネルギー消費量、推定CO2排出量及び推定光熱費を、一覧性を有し、かつ、比較可能な態様で表示させる、情報処理システム。
【0105】
このような態様によれば、設計一次エネルギー消費量、推定CO2排出量及び推定光熱費を建築物同士で比較することができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0106】
(4)上記(3)に記載の情報処理システムにおいて、前記表示制御ステップでは、前記受付ステップで選択を受け付けた2以上の建築物について、最も設計一次エネルギーの消費量が少ない建築物の設計一次エネルギー消費量を、最も推定CO2排出量が少ない建築物の推定CO2排出量を、及び最も推定光熱費が低い建築物の推定光熱費を、それぞれ識別可能な態様で表示させる、情報処理システム。
【0107】
このような態様によれば、設計一次エネルギー消費量、推定CO2排出量及び推定光熱費のそれぞれの条件が最もよい建築物について視認性を高めることができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0108】
(5)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記エネルギー消費量情報は、設計一次エネルギー消費量を含み、前記設計一次エネルギー消費量は、建築物の設計の情報から算定された一次エネルギーの消費量であり、前記表示制御ステップでは、前記受付ステップで選択を受け付けた2以上の建築物について、それぞれの建築物の一次エネルギー内訳情報を表示させ、前記一次エネルギー内訳情報は、設計一次エネルギー消費量が何に由来しているかを示す情報であり、少なくとも、空調機器、換気機器、照明機器、給湯機器及び昇降機のうち少なくとも1つに由来していることを示す情報を含む、情報処理システム。
【0109】
このような態様によれば、設計一次エネルギー消費量の内訳を建築物同士で比較することができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0110】
(6)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記算出データは、推定光熱費を含み、前記推定光熱費は、建築物が支払うと推定される光熱費を示す情報であり、前記表示制御ステップでは、前記受付ステップで選択を受け付けた2以上の建築物について、それぞれの建築物の時間経過と共に発生する推定光熱費の累計額を比較可能な態様で表示させる、情報処理システム。
【0111】
このような態様によれば、推定光熱費の累計額を建築物同士で比較することができるため、ユーザがライフサイクルコストを検討する上で、参考とすることができる。
【0112】
(7)上記(1)に記載の情報処理システムにおいて、前記受付ステップでは、出力対象情報の入力を更にユーザから受け付け、前記出力対象情報は、前記ユーザの属する組織の経営者と、前記ユーザの属する組織の関係会社と、前記ユーザの属する組織の何れかの部署と、前記ユーザの属する組織の何れかのプロジェクトチームと、前記ユーザの属する組織の何れかのユーザと、前記建築物の開発又は設計の委託先と、のうち少なくとも1つを、前記エネルギー消費量情報又は前記算出データの出力先とする情報であり、前記表示制御ステップでは、前記出力対象情報に紐づく前記出力先に、前記エネルギー消費量情報又は前記算出データを表示させる、情報処理システム。
【0113】
このような態様によれば、ユーザから受け付けた出力対象情報に更に基づいて、エネルギー消費量情報又は算出データの出力先を自由に編集することが可能となる。
【0114】
(8)プログラムであって、少なくとも1つのコンピュータに、上記(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを実行させる、プログラム。
【0115】
このような態様によれば、エネルギー消費量情報又は算出データを建築物同士で比較することができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
【0116】
(9)情報処理システムが実行する情報処理方法であって、上記(1)~(7)の何れか1つに記載の情報処理システムの各ステップを備える、情報処理方法。
【0117】
このような態様によれば、エネルギー消費量情報又は算出データを建築物同士で比較することができるため、ユーザが建築物のエネルギーの効率を検討する上で、参考とすることができる。
もちろん、この限りではない。
【0118】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0119】
1 :情報処理システム
2 :サーバ装置
20 :通信バス
21 :通信部
22 :記憶部
23 :プロセッサ
230 :情報送受信部
231 :表示制御部
232 :出力制御部
3 :クライアント装置
30 :通信バス
31 :通信部
32 :記憶部
33 :プロセッサ
34 :表示部
35 :入力部
4 :機能選択画面
40a :建築物領域
40b :建築物領域
40c :建築物領域
41a :レポートボタン
41b :レポートボタン
41c :レポートボタン
42a :ワークスペースボタン
42b :ワークスペースボタン
42c :ワークスペースボタン
43 :プロジェクト作成ボタン
5 :レポート選択画面
50 :プロジェクト領域
51 :レポート選択領域
52 :レポート作成ボタン
6 :バージョン選択画面
60 :プロジェクト領域
61 :相関図領域
62a :バージョン選択領域
62b :バージョン選択領域
62c :バージョン選択領域
62d :バージョン選択領域
63 :レポート設定ボタン
7 :レポート画面
70 :計画領域
71 :ZEB領域
72 :BPI・BEI領域
73 :杉換算領域
74 :一次エネルギー消費量領域
75 :CO2排出量領域
76 :年間光熱費領域
77 :一次エネルギー分析領域
78 :ライフサイクル光熱費領域
79 :ダウンロードボタン
7a :設定画面
70a :光熱費単価領域
71a :CO2排出量換算係数領域
72a :上昇率領域
73a :ライフサイクル年領域
8 :レポート画面
9a :レポート画面
9b :レポート画面
9c :レポート画面
9d :レポート画面
N :ネットワーク