(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117730
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】フルスピードプリンタ動作中の印刷ヘッド角度及びステッチ位置合わせ
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240822BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240822BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20240822BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B41J29/38 350
B41J2/01 201
B41J2/01 451
B41J2/21
B41J2/01 401
B41J29/393 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024013364
(22)【出願日】2024-01-31
(31)【優先権主張番号】18/170,681
(32)【優先日】2023-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エル.クニエリム
(72)【発明者】
【氏名】チャド ジェイ.スリーンス
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA11
2C056EB27
2C056EB41
2C056EB42
2C056EB52
2C056EB58
2C056EC25
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061AS06
2C061BB10
2C061BB11
2C061BB35
2C061CG02
2C061HH03
2C061HJ01
2C061HJ10
2C061HK11
2C061KK12
2C061KK18
2C061KK22
2C061KK26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】テスト画像から導出された画像データに基づいて印刷特性を測定することと、インクジェット印刷ヘッドの位置合わせを測定する方法を提供する。
【解決手段】印刷ヘッドと、印刷ヘッドに接続されたコントローラ(80)と、印刷媒体(S)に印刷ヘッドを通過させる1つ以上のアクチュエータと、印刷媒体(S)が印刷ヘッドを通過した後に印刷媒体(S)の1つ以上の光学画像をキャプチャする少なくとも1つのカメラ(82)と、を含み、光学画像内のテスト画像を検出し、テスト画像内の印刷特性を測定する。印刷ヘッドの位置合わせを測定する方法は、印刷された画像を含む媒体の1つ以上の光学画像をキャプチャすることと、特定の印刷されたテスト画像を含む光学画像を検出することと、特定の印刷されたテスト画像から導出された画像データに基づいて印刷特性を測定することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタであって、
印刷媒体上にインク滴を噴射して画像を形成するように構成された複数の印刷ヘッドと、
前記複数の印刷ヘッドに動作可能に接続されたコントローラであって、前記コントローラが、前記コントローラに、インク滴を噴射して1つ以上のテスト画像を含む前記画像を形成するために前記印刷ヘッドを制御させるコードを実行するように構成されている、コントローラと、
前記印刷媒体に前記複数の印刷ヘッドを通過させる1つ以上のアクチュエータと、
前記印刷媒体が動作速度で前記複数の印刷ヘッドを通過した後に前記印刷媒体の1つ以上の光学画像をキャプチャする少なくとも1つのカメラと、を備え、前記コントローラが、前記コントローラに、前記1つ以上の光学画像内の前記1つ以上のテスト画像を検出させ、前記1つ以上のテスト画像を分析させて、前記テスト画像内の印刷特性を測定させるコードを実行するように構成されている、プリンタ。
【請求項2】
前記コントローラが、測定された前記印刷特性に応答して、前記印刷ヘッドの動作を調整するために前記複数の印刷ヘッド及び前記1つ以上のアクチュエータのうちの少なくとも1つを制御するように更に動作可能である、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記コントローラに前記1つ以上のテスト画像を分析させて、前記印刷特性を測定させる前記コードが、前記コントローラに前記画像を分析させて、印刷ヘッド角度、各印刷ヘッドの他の印刷ヘッドに対する印刷ヘッドクロスプロセス方向位置、各印刷ヘッドの他の印刷ヘッドに対する印刷ヘッドプロセス方向位置、及び前記印刷ヘッド内の識別された動作不能なジェットのうちの少なくとも1つを測定させるコードを含む、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記コントローラが、測定されたプリンタ特性に基づいて前記コントローラにプリンタ動作を調整させるコードを実行するように更に構成されている、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記カメラが、前記複数の印刷ヘッドの印刷解像度の半分以下の解像度で動作する、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記カメラが、照明源を含み、前記照明源が、モーションブラーを最小限に抑えるためにストロボ発光される、請求項1に記載のプリンタ。
【請求項7】
インクジェット印刷ヘッドの位置合わせを測定する方法であって、
印刷された画像を含む媒体の1つ以上の光学画像をキャプチャすることと、
特定の印刷されたテスト画像を含む光学画像を検出することと、
前記特定の印刷されたテスト画像から導出された画像データに基づいて印刷特性を測定することと、を含む、方法。
【請求項8】
測定された前記印刷特性に基づいてプリンタ動作を調整することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記印刷特性が、印刷ヘッド角度、他の印刷ヘッドに対する印刷ヘッドクロスプロセス方向位置、他の印刷ヘッドに対する印刷ヘッドプロセス方向位置、及び正しく機能していない識別されたジェットのうちの1つ以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記印刷特性を測定することが、単一のテスト印刷について複数の特性を測定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
キャプチャされた前記1つ以上の光学画像のキャプチャされた画像解像度が、前記印刷された画像の印刷解像度の半分未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
モーションブラーを最小限に抑えるために、前記1つ以上の光学画像をキャプチャする間に照明をストロボ発光することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
ある程度のモーションブラーを許容するために、特定の印刷されたテスト画像を含む前記光学画像に対して画像処理を実行することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記画像処理が、前記カメラのレンズバレル歪みの補償を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
バレル歪みの補償が、画像クロスプロセス方向及びプロセス方向に対して別々に行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記プロセス方向における補償が、カメラ画素空間において行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記クロスプロセス方向における補償が、検出され印刷された垂直ライン位置に対して行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記特定の印刷されたテスト画像が、前記キャプチャされた画像のうちの1つ以上のプロセス方向高さの少なくとも2倍の長さを有し、少なくとも1つのキャプチャされた画像の全体がテスト印刷内にあることを保証する、請求項7に記載の方法。
【請求項19】
前記特定の印刷されたテスト画像が、繰り返しパターンを有し、各パターンが、カメラ画像内にフィットする、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ以上の光学画像が、テスト印刷を測定するために使用される複数の連続する光学画像を含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、媒体上にインク画像を生成するデバイスに関し、より詳細には、印刷中にそのようなデバイスにおいてインク滴を噴射するためのインクジェットの選択に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタとしても知られるインクジェット画像化デバイスは、印刷ヘッドから液体インクを噴射して、画像を画像受容表面上に形成する。印刷ヘッドは、アレイ状に配置された複数のインクジェットを含む。各インクジェットは、印刷ヘッドコントローラに結合された熱又は圧電アクチュエータを有する。印刷ヘッドコントローラは、画像に対応するデジタルデータコンテンツに対応する発射信号を生成する。印刷ヘッド内のアクチュエータは、インクチャンバ内に膨張することによって発射信号に応答し、インク滴を受像面上に噴射する。インク滴は、発射信号を生成するために使用されるデジタル画像コンテンツに対応するインク画像を形成する。画像受容表面は、通常、媒体材料の連続ウェブ又は一連の媒体シートを含む。
【0003】
色画像を生成するために使用されるインクジェットプリンタは、典型的には、複数の印刷ヘッドアセンブリを含む。各印刷ヘッドアセンブリは、典型的には、単一色のインクを噴射する1つ以上の印刷ヘッドを含む。典型的なインクジェットカラープリンタでは、4つの印刷ヘッドアセンブリが、プロセス方向において位置付けられ、各印刷ヘッドアセンブリが、異なる色のインクを噴射する。最も頻繁に使用される4つのインク色は、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックである。そのようなプリンタの一般的な名前は、CMYKカラープリンタである。一部のCMYKプリンタは、各色のインクを印刷する2つの印刷ヘッドアセンブリを有する。同じ色のインクを印刷する印刷ヘッドアセンブリは、クロスプロセス方向において隣接する印刷ジェット間の距離の1/2だけ互いにオフセットされており、2つのアセンブリにある印刷ヘッドによって噴射されるインクの色のラインの、1インチ当たりの画素数の密度を2倍にする。本明細書で使用するとき、「プロセス方向」という用語は、プリンタ内の印刷ヘッドを通過するときの画像受容表面の移動の方向を意味し、「クロスプロセス方向」という用語は、画像受容表面の平面内でプロセス方向に対して垂直な方向を意味する。
【0004】
カラーインクジェットプリンタの画像品質は、インクの化学的性質、印刷ヘッド技術、インク滴の近傍における熱、印刷プロセス設定点、空気流、並びにインクの媒体への拡散及び乾燥の相互作用などの多くの要因に依存する。
【0005】
複数の印刷ヘッドプリンタでは、印刷ヘッドの位置合わせを伴う問題が生じる。インクジェット印刷ヘッドを位置合わせする多くの方法が存在する。いくつかの方法は、例えば、フォーム又は他のプリンタ構造に対してヘッドを位置合わせする。しかしながら、最適な印刷ヘッドの位置合わせは、印刷媒体の運動速度に対して行われる。媒体運動方向は、特に、ロールフィードプリンタにおいて、フレームなどの構造的プリンタ特徴と正確に位置合わせされていないことがある。媒体のスリップ及び伸張は、画素間隔をわずかに変化させることがある。媒体方向及び画素間隔に対するこれらの影響は、媒体速度及びタイプに応じて変動する。したがって、より良いアプローチは、プリンタがフルスピードで動作している間にプリンタの動作環境において印刷ヘッドの位置合わせを実行することを伴う。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で例示される態様によれば、印刷媒体上にインク滴を噴射して画像を形成するように構成された複数の印刷ヘッドと、複数の印刷ヘッドに動作可能に接続されたコントローラであって、コントローラが、コントローラに、インク滴を噴射して1つ以上のテスト画像を含む画像を形成するために印刷ヘッドを制御させるコードを実行するように構成されている、コントローラと、印刷媒体に複数の印刷ヘッドを通過させる1つ以上のアクチュエータと、印刷媒体が動作速度で複数の印刷ヘッドを通過した後に印刷媒体の1つ以上の光学画像をキャプチャする少なくとも1つのカメラと、を備え、コントローラが、コントローラに、1つ以上の光学画像内の1つ以上のテスト画像を検出させ、1つ以上のテスト画像を分析させて、テスト画像内の印刷特性を測定させるコードを実行するように構成されている、プリンタが提供される。
【0007】
本明細書で例示される態様によれば、印刷された画像を含む媒体の1つ以上の光学画像をキャプチャすることと、特定の印刷されたテスト画像を含む光学画像を検出することと、特定の印刷されたテスト画像から導出された画像データに基づいて印刷特性を測定することと、を含む、インクジェット印刷ヘッドの位置合わせを測定する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】媒体シートの後縁、前縁、及び側縁における気流の乱れによる影響を受けにくい後縁、前縁、及び側縁においてインク滴を噴射するためのインクジェットを選択するように構成されたカラーインクジェットプリンタを示す。
【
図3】オリジナルのプリントテストパターンを示す。
【
図4】印刷されたテストパターンのカメラ画像を示す。
【
図5】印刷ヘッドを位置合わせする方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で開示したプリンタ及びプリンタの動作方法のための環境、並びにプリンタ及びプリンタの動作方法の詳細の一般的な理解のために、図面を参照する。図面では、同様の参照番号が、同様の要素を指定するために図面を通じて使用されている。本明細書で使用される場合、「プリンタ」という語は、インク滴を媒体上に噴射してインク画像を形成する任意の装置を包含する。本明細書で使用される場合、「媒体」という語は、画像を形成するようにインク滴を受容することができる任意の表面を意味する。
【0010】
図1は、高速カラーインクジェットプリンタ10を示す。例示されるように、プリンタ10は、媒体シートS
1又はS
2の供給部66及び62のうちの1つから取り出された媒体シートの表面上にインク画像を直接形成するプリンタであり、シートSは、プリンタの印刷ゾーンPZ(
図2に示す)を通過する媒体搬送部42の一部分を備えるコンベヤ52のローラ又は少なくとも1つの駆動ローラに動作可能に接続されているアクチュエータ40のうちの1つ以上を動作させるコントローラ80によってプリンタ10を通って移動される。他のインクジェットプリンタは、ロールから供給される連続媒体の表面上にインク画像を形成する。本開示内の技法は、このようなロールフィードプリンタに特に有利である。
【0011】
一実施形態では、プリンタ10の各印刷ヘッドモジュールは、プリンタによって印刷され得るクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅に対応する幅を有するたった1つの印刷ヘッドを有する。他の実施形態では、印刷ヘッドモジュールは、複数の印刷ヘッドを有し、各印刷ヘッドが、プリンタが印刷することができるクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅未満の幅を有する。これらのモジュールでは、印刷ヘッドは、単一の印刷ヘッドよりも広い媒体が印刷されることを可能にするずらされた印刷ヘッドのアレイ状に配置されている。追加的に、モジュール内、又はモジュール間の印刷ヘッドはまた、印刷ヘッドによってクロスプロセス方向に噴射された液滴の密度が、クロスプロセス方向において、印刷ヘッド内のインクジェット間の最小の間隔よりも大きくなり得るように組み合わせることができる。プリンタ10は、2つのみの媒体シート供給部を伴って描写されているが、プリンタは、各々が異なる種類又はサイズの媒体を含む、3つ以上のシート供給部で構成することができる。
【0012】
媒体搬送部42は、紙シート、封筒、又は印刷された画像を受容するのに好適な任意の他の物品などの印刷媒体を、印刷ゾーンを通して移動させるためのローラ48によって案内されるベルトを含んでもよく、したがって、印刷ヘッドは、移動する媒体上にインク滴を噴射して媒体上に印刷された画像を形成することができる。他の実施形態では、媒体は、連続ロール供給ウェブであってもよい。ベルトを使用する枚葉プリンタの場合、ベルトは穴を有し、ベルトは、コンベヤ52内の真空プレナム上を移動するので、ベルトの表面を通して吸引力を発生させることができる。各印刷媒体は、ベルトの表面上の穴の一部分と係合し、ベルトがプリンタを通って移動する際に印刷媒体がベルトの表面に対して滑るか又は他の方法で移動するのを防止するために、吸引力が印刷媒体をベルトの表面に保持する。各印刷媒体を移動ベルトの表面に対して定位置に保持することにより、プリンタは、印刷ヘッドの動作のタイミングを制御して、印刷ヘッドが各印刷媒体上の適切な場所に印刷された画像を形成することを確実にし、印刷媒体がプリンタに詰まり又は他の機械的な問題を引き起こさないことを確実にすることが可能となる。大規模プリンタ構成では、ベルトが複数の印刷媒体を同時に搬送することが多い。
【0013】
図1のプリンタ10における印刷ゾーンPZを
図2に示す。印刷ゾーンPZは、シートがプロセス方向において通過する最初のインクジェットから、シートがプロセス方向において通過する最後のインクジェットまでの距離と等しいプロセス方向における長さを有し、クロスプロセス方向において互いに真向かいにある、印刷ゾーンの両側の最も外側にあるインクジェット間の最大距離である幅を有する。
図2に示す各印刷ヘッドモジュール34A、34B、34C、及び34Dは、それぞれ、印刷ヘッドキャリアプレート316A、316B、316C、及び316Dのうちの1つに装着された3つの印刷ヘッド204を有する。凡例TE、LE、及びIBは、それぞれ、印刷ゾーンを通過する媒体シートの後縁、前縁、及び内側縁を表す。連続するシートのTEとLEとの間で露出されたベルトの部分は、ドキュメント間ゾーン(inter-document zone、IDZ)と呼ばれ、ベルトはIBエリアでも露出される。
【0014】
引き続き
図1を参照すると、印刷された画像は、インク画像がシートS上に印刷された後、画像乾燥機30の下を通過する。画像乾燥機30は、インク画像を加熱し、画像をウェブに少なくとも部分的に固定するために、赤外線ヒータ、加熱空気送風機、エアリターン、又はこれらの構成要素の組み合わせを含むことができる。赤外線加熱器は、ウェブの表面上の印刷された画像に赤外線熱を加えて、インク中の水又は溶媒を蒸発させる。加熱空気送風機は、扇風機、又は他の加圧空気源を使用して、インク上に加熱空気を方向付けて、インクからの水又は溶媒の蒸発を補う。次いで、空気が収集され、空気戻りによって排気されて、プリンタ内の他の構成要素との乾燥機空気流の干渉を低減する。
【0015】
二重経路72は、基材が印刷された後に媒体搬送部42からシートを受容し、そのシートを、印刷ヘッドを通過する移動の方向とは反対の方向にローラの回転によって移動させるように提供される。二重経路72内の位置76において、基材は、媒体搬送部42によって運ばれているジョブストリームに合流することができるように、反転することができる。コントローラ80は、シートを選択的にひっくり返すように構成されている。すなわち、コントローラ80は、シートの裏面を印刷できるようにシートを反転させるためにアクチュエータを動作させることができるか、又はシートの印刷された面を再び印刷できるように、シートを反転させることなくシートが搬送経路に戻されるように、アクチュエータを動作させることができる。枢動部材88の移動により、二重経路72へのアクセスが提供される。枢動部材88の回転は、枢動部材88に動作可能に接続されたアクチュエータ40を選択的に動作させるコントローラ80によって制御される。
図1に示されるように、枢動部材88が反時計回りに回転されるとき、媒体搬送部42からの基材は、二重経路72に方向転換される。枢動部材88を方向転換位置から時計回り方向に回転させることにより、二重経路72へのアクセスが閉じられるため、媒体搬送部上の基材は、容器56に移動する。別の枢動部材86が、二重経路72にある位置76と媒体搬送部42との間に位置決めされている。コントローラ80が、アクチュエータを動作させて、枢動部材86を反時計回り方向に回転させると、二重経路72からの基材は、媒体搬送部42上でジョブストリームに合流する。枢動部材86を時計回り方向に回転させることにより、媒体搬送部42への二重経路アクセスが閉じられる。
【0016】
図1に更に示されるように、二重経路72に方向転換されなかった印刷された媒体シートSは、媒体搬送部によって、これらのシートが収集されるシート容器56に運ばれる。
【0017】
機械又はプリンタ10の様々なサブシステム、構成要素及び機能の動作及び制御は、コントローラ又は電子サブシステム(electronic subsystem、ESS)80の助けを借りて実施される。ESS又はコントローラ80’は、印刷ヘッドモジュール34A~34D(したがって印刷ヘッド)、アクチュエータ40、及び乾燥機30の構成要素に動作可能に接続されている。ESS又はコントローラ80は、例えば、電子データ記憶装置を伴う中央処理装置(central processor unit、CPU)、及びディスプレイ又はユーザインターフェース(user interface、UI)50を有する自己完結型コンピュータである。ESS又はコントローラ80は、例えば、センサ入力及び制御回路、並びに画素配置及び制御回路を含む。加えて、CPUは、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続(図示せず)などの画像入力源と、印刷ヘッドモジュール34A~34Dとの間の画像コンテンツデータの流れを読み出し、キャプチャし、準備し、かつ管理する。したがって、ESS又はコントローラ80は、印刷プロセスを含む他の全ての機械サブシステム及び機能を操作及び制御するための主要なマルチタスクプロセッサである。
【0018】
コントローラ80は、プログラム命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装することができる。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられたメモリ内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、以下に説明される動作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供され得るか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供され得る。回路の各々は、別個のプロセッサで実装することができるか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装することができる。代替的に、回路は、超大規模集積回路(very large scale integrated、VLSI)内に提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に説明される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。
【0019】
コントローラは、上述のように印刷ヘッドを動作させることに加えて、クロスプロセス(X)方向及びプロセス(Y)方向の一方又は両方において、印刷ヘッドの角度及び様々な印刷ヘッド間の位置合わせを測定することも可能にしてもよい。最適な印刷ヘッド角度及び位置合わせは、印刷媒体の運動速度に対して行われる。フルスピード印刷動作中に印刷特性を測定することにより、コントローラは、プリンタの動作印刷特性に基づいて必要に応じて印刷動作を調整することが可能となる。ストロボ発光照明を有するカメラの使用により、フルスピード動作中の分析のために印刷された画像の画像をキャプチャすることが可能となる。分析を支援するために、プリンタは1つ以上のテスト画像を印刷してもよい。
【0020】
図1を参照すると、照明源を有するカメラは、82などの多くの可能な位置、又は印刷ヘッド34A~Cが印刷媒体上に画像を印刷した後の任意の位置のうちの1つに存在してもよい。カメラは、印刷媒体画像の画像をキャプチャする。印刷された画像をカメラによってキャプチャされた画像と区別するために、説明は、カメラによってキャプチャされた画像を「光学」画像と呼ぶ。
【0021】
図3は、テストパターンの一例を示す。このテストパターンはコントローラに送られ、プリンタ動作における任意の問題によっても影響されない。プリンタは、ユーザ入力に基づいて、又はより自動化された方式で定期的に、1つ以上のテストパターンを印刷してもよい。一実施形態では、テスト画像は、テストパターンの3回の繰り返しを含んでもよい。2回の繰り返しのみが必要であり、少なくとも1つのカメラ画像の全体がテスト画像内にあることを保証する。大体的には、単一のパターン全体が1つの光学画像に現れるように、カメラ画像キャプチャが画像印刷に同期される場合、単一のテストパターンで十分である。
【0022】
図3に示すテストパターンは、22個の水平バンドを有する。テストパターン内で、水平は、クロスプロセス方向に対応し、垂直は、プロセス方向に対応する。第1のバンド90は「参照」バンドを含み、94などのパターン内の他の21個のバンドは測定バンドである。テスト画像内の参照バンドは、その左端及び右端に空白スペース92を有する。空白スペース92は、ジェット間隔がスパークとなる印刷ヘッドのエンドステッチ領域の境界を定める。これらの端部領域内では、モジュール内の隣接するヘッドからのジェットが、この印刷ヘッドのジェット間隔のギャップに対応する画像列を印刷する。一実施形態では、バンドは、21印刷画素ピッチ(21/1200インチピッチ)の短い垂直ラインからなる。測定バンドラインは、単一ジェットによって印刷された1画素幅であり、参照バンドラインは、5画素幅であり、5の勾配で傾斜している。追加された幅及び傾斜は、いくつかのジェットが欠落している場合であっても、参照ラインの可視性を保証する。この実施形態はこれらの特定のパラメータを有するが、他のテストパターンは、特定のプリンタ又は印刷環境に依存し得る他のパラメータを用いてもよい。
【0023】
示される実施形態では、21画素ピッチは、低解像度カメラが正確な測定を検出及び実行することを可能にするように、ライン間に十分な分離を提供する。更に、この特定の印刷ヘッドの設定に基づいて、奇数を使用すると、印刷ヘッドのジェットアレイの上半分のジェットが1つおきのラインを印刷し、その間のラインは印刷アレイの下半分のジェットによって印刷される。加えて、この特定の印刷ヘッドは、21の倍数である合計5544個のジェットのアレイを有し、アレイ内の隣接するヘッドによって印刷されたテスト画像がこの印刷と整列することを可能にする。この印刷の右縁は、印刷ヘッドアレイの右のヘッドによって作成されたテスト印刷の左縁と交互に配置されるか、又はステッチされる。これは、この印刷の左縁と、左へのヘッドによって作成された右縁についても同じである。測定バンド94の両側の95のような空白スポットは、他のテスト印刷が現れる場所を示す。
【0024】
21個の測定バンドの各々は、上のバンドの右に1画素だけオフセットされる。これは、ジェットと測定バンドラインとの間の1:1の対応を保証する。各ジェットは、正確に1つのラインを印刷する。参照バンドラインは、ジェットが欠落している場合であってもカメラ画像に現れる。これにより、散乱した測定ラインが欠落していても、どの測定ラインがどの印刷ラインと一致するかの判定が可能となる。これは、これらの測定ラインを生成したはずの散乱ジェットが、媒体上にインクを正しく噴射していないことを意味する。このような機能しないジェットは、たとえ物理的ジェット構造が依然として存在していても、「欠落ジェット」と呼ばれる。
【0025】
これらの特定のパラメータは、本明細書の手法を他の印刷ヘッドにどのように適合させることができるかを実証しており、実施形態をこれらの特定のパラメータに限定する意図は意図されておらず、暗示されるべきでもない。
【0026】
図4は、プリンタ動作中にカメラによってキャプチャされたテストパターンの光学画像を示す。左及び右へのヘッドは、単一のヘッドに対するテスト印刷においてまばらであったステッチ領域を埋める。テスト印刷の空白スポット95は、右へのヘッドのジェットによって描かれる光学画像のライン95になる。ステッチ領域は、参照ラインを持たない参照バンド90の側部上の92のような空白領域によって境界が定められる。欠落ジェットは、96のような欠落測定バンドラインとして現れる。参照バンドラインはまだ完全である。カメラレンズバレル歪みは、湾曲した画像バンド及び縁に向かうラインピッチの圧縮をもたらす。コントローラで実行される画像処理アルゴリズムは、歪み及びカメラ位置合わせ誤差を測定及び補正する。この光学画像はたまたま単一の参照バンドのみを含むが、これは典型的な場合である。画像処理アルゴリズムは、参照バンドを使用して、測定バンドを識別し、真上及び真下に位置合わせする。次に、各測定バンドを使用して、次の測定バンドを上又は下に位置合わせする。
【0027】
図5は、印刷特性の測定を可能にするために印刷されたテストパターンの光学画像を処理するための一般的な実施形態のフローチャートを示す。最初に、コントローラ内の画像処理アルゴリズムは、100において画像内のバンドを識別し、次に、102において画像内の参照バンドを位置特定する。一実施形態では、これは、画像を横切る8つの水平位置で垂直スワスを見下ろすことによって、各バンドの上縁及び下縁を区切る水平ラインを見つけることを伴ってもよい。次いで、プロセスは、そのより狭い高さによって参照バンドを識別することができる。
【0028】
次いで、プロセスは、104において、照明及びレンズ強度の不均一性並びにレンズバレル歪みの垂直成分を補償する必要がある。一実施形態では、プロセスは、上記の8つの水平位置のうちの中心の6つに基づいて、放物線などの曲線を各バンドの垂直位置にフィットさせる。8つの水平位置のうち外側の2つは、左右に隣接するヘッドによって印刷されたので、ここでは使用されない。これにより、画像幅全体にわたって各バンドの中央部分を判定することが可能となる。中央部分は、モーションブラーがバンド間の境界を拡散した後であっても、上下に近接するバンドからの任意の寄与を含むことを回避するために十分に狭い。一実施形態では、画像画素強度は、各バンドの中心部分にわたって垂直に平均化される。次いで、垂直方向に平均化された画像強度を、各バンドの幅を横切る放物線にフィットさせる。次いで、これにより、プロセスは、強度曲線のフィットに基づいて各バンドにわたる強度を正規化することが可能になる。これは、照明及びレンズ強度の不均一性を補償する。参照バンド内では、「垂直」平均化が、参照バンド内の傾斜ラインをぼやけさせることを回避するために、正確に垂直ではなく5の傾斜で行われる。
【0029】
106において、画像処理は、次いで、カメラによって引き起こされたレンズバレル歪みの水平成分を調整する。一実施形態では、プロセスは、上記の垂直強度平均に基づいて各バンド内の各ラインの水平位置を位置特定する。次いで、プロセスは、バレル歪みについてこれらの水平位置を調整する。一例では、三次関数は、歪みによく整合する。各ラインの水平位置は、スケール係数×バンドの中心からの距離の三乗だけオフセットされる。
【0030】
108において、プロセスは参照バンドラインを識別する。このプロセスは、全ての参照ラインが可視であると推定されるので、左ステッチ領域におけるギャップから右ステッチ領域におけるギャップまでの単純なカウントを実行することができる。これは、参照バンドに隣接するバンドから開始し、そこから上下に進む測定バンドラインの識別を可能にする。各測定ラインは、それを印刷したジェットに割り当てられる。プロセスは、欠落ラインに対する欠落ジェットにフラグを立て、動作不能なジェットのリストの開発を可能にする。
【0031】
この時点で、画像処理アルゴリズムは、照明並びにレンズの不均一性及びレンズの歪みを考慮するためにテストパターンの光学画像を処理しており、テストパターンの関連する特性を識別している。プロセスはここで、110において、様々な印刷特性を測定することができる。これらは、印刷ヘッド角度、隣接する印刷ヘッドに対する各印刷ヘッドの印刷ヘッドクロスプロセス方向位置(X)、隣接する印刷ヘッドに対する各印刷ヘッドの印刷ヘッドプロセス方向位置(Y)、及び印刷ヘッド内の識別された動作不能なジェットを含んでもよい。一実施形態では、これは、3つの隣接する測定ラインの各セットについて、外側の2つのラインに対する中心ライン水平位置を計算することを伴う。中心ラインの水平位置は、外側の2つのラインの平均水平位置からのオフセットとして計算される。中心ラインの水平位置は、42印刷画素離れている(42/1200インチ離れている)外側の2つのライン間の距離の分数として計算される。この分数距離は、印刷画素単位であり、したがって、前の工程で完全に補償されなかったレンズバレル歪みの小さな残りの影響には依存しない。このプロセスは、中央ジェットがヘッドの下半分からのものであった場合、測定値を無効にする(加法的に逆にする)ことができる。次いで、プロセスは、全ての有効な測定値を平均化し、印刷ヘッドの上部ジェット行と下部ジェット行との間の平均垂直距離で割ってもよい。これにより、印刷ヘッド角度をもたらす。
【0032】
別の測定では、左右のヘッドに対する水平方向の間隔を意味するXステッチを測定することができる。このプロセスは、一実施形態では、上記の印刷角度のプロセスと同様であってもよい。このプロセスは、各測定バンド内の3つの隣接するラインが交互のヘッドによって印刷される全ての場合を見出す。これは、中心ラインと外側ラインとの間の平均オフセットの計算を可能にし、X位置に対する水平間隔をもたらす。これはまた、残りのレンズバレル歪みの影響を回避するために印刷画素空間において計算される。
【0033】
同様のプロセスは、左右のヘッドに対する垂直方向の間隔を意味するYステッチを測定することができる。このプロセスは、上記で見出された最も左側及び最も右側のバンド縁垂直位置を、中央の6つの水平位置のみを使用した曲線のフィットに基づく予想垂直位置と比較する。左右の水平位置は左右へのヘッドによって印刷され、中央の6つはこの印刷ヘッドによって印刷されている。
【0034】
光学画像内の測定ラインの水平位置を使用して、許容できないX(水平)位置誤差で印刷しているジェットを識別することもできる。単一のジェットに対する過剰な位置誤差は、欠落ジェットとともに含まれることができ、欠落ジェットだけでなく、誤って挙動するジェットのマスキングを可能にする。印刷ヘッドの動作は、112で必要に応じて調整される。
【0035】
変形及び修正は、カメラ筐体の物理的サイズを低減するために、上記で使用されるカメラのプロセス方向において約35~40%の高さの視野を有するものなどの異なるカメラサイズを使用することを含んでもよい。これに対処するために、参照バンドは、異なる参照バンドを区別するための何らかの識別特徴を用いて、より頻繁に挿入される必要があってもよい。
【0036】
特許請求の範囲、要約、及び図面を含む本明細書、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全ての工程に開示される全ての特徴は、そのような特徴及び/又は工程のうちの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせられ得る。特許請求の範囲、要約、及び図面を含む本明細書に開示される各特徴は、特に明記しない限り、同じ目的、同等の目的、又は同様の目的を果たす代替的な特徴によって置き換えることができる。
【0037】
上記で開示されたものの変形、並びに他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、多くの他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることは、理解されるであろう。様々な現在予見されていないか又は予想されていない代替案、修正、変形、又は改善は、その後、当業者によって行われ得るが、これらはまた、本実施形態によって包含されることが意図されている。
【外国語明細書】