(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011774
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】MEMS装置およびMEMS装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
B81B 3/00 20060101AFI20240118BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20240118BHJP
G01P 15/125 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B81B3/00
B81C1/00
G01P15/125 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114035
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー,マーティン ウィルフリード
【テーマコード(参考)】
3C081
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081AA17
3C081BA03
3C081BA04
3C081BA11
3C081BA22
3C081BA29
3C081BA32
3C081BA41
3C081BA48
3C081BA53
3C081CA02
3C081CA14
3C081CA29
3C081CA40
3C081DA03
3C081DA04
3C081DA21
3C081DA25
3C081DA26
3C081DA30
3C081DA43
3C081EA02
(57)【要約】
【課題】MEMS電極の高さを均一化させる。
【解決手段】加速度センサ1は、第1主面10aと第1主面10aに対向する第2主面10bとを有し、第2主面10b側から第1主面10a側に向かって、シリコン基板である第1層11と導電性を有する炭化シリコン層である第2層12とシリコン層である第3層13とが順に積層された、基板10と、基板10の第1主面10aから第2主面10b側へ、第3層13、第2層12及び第1層11にわたって窪んでいる、キャビティ15と、キャビティ15内に配置されており、第3層13と第2層12とによって構成されており、キャビティ底面15aに対して第1主面10a側に離間している、MEMS電極5と、MEMS電極5を平面視において分断しており、MEMS電極5の分断された両側部を機械的に連結しつつ電気的に絶縁する、アイソレーションジョイント6とを備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有し、前記第2主面側から前記第1主面側に向かって、シリコン基板と導電性を有する炭化シリコン層とシリコン層とが順に積層された、基板と、
前記基板の前記第1主面から前記第2主面側へ、前記シリコン層、前記炭化シリコン層及び前記シリコン基板にわたって窪んでいる、キャビティと、
前記キャビティ内に配置されており、前記シリコン層と前記炭化シリコン層とによって構成されており、前記キャビティの底面に対して前記第1主面側に離間している、MEMS電極と、
前記MEMS電極を平面視において分断しており、該MEMS電極の分断された両側部を機械的に連結しつつ電気的に絶縁する、アイソレーションジョイントと
を備えたMEMS装置。
【請求項2】
前記炭化シリコン層は、前記シリコン層を前記第1主面から前記第2主面側へエッチングする際のエッチングストップ層である、
請求項1に記載のMEMS装置。
【請求項3】
前記炭化シリコン層は、エピタキシャル成長層である、
請求項1又は2に記載のMEMS装置。
【請求項4】
前記シリコン層は、エピタキシャル成長層である、
請求項1又は2に記載のMEMS装置。
【請求項5】
前記アイソレーションジョイントは、前記MEMS電極から前記第2主面側へ突出している、
請求項1又は2に記載のMEMS装置。
【請求項6】
前記炭化シリコン層の厚みは、100nm以上600nm以下である、
請求項1又は2に記載のMEMS装置。
【請求項7】
前記シリコン層の厚みは、15μm以上20μm以下である、
請求項1又は2に記載のMEMS装置。
【請求項8】
シリコン基板を用意し、前記シリコン基板上に炭化シリコン層を積層し、前記炭化シリコン層上にシリコン層を積層して、基板を形成すること、ここで、基板は、シリコン層の外表面である第1主面と、前記第1主面に対向しておりシリコン基板の外表面である第2主面と、を有しており、
前記基板を、前記第1主面から前記炭化シリコン層に至る第1トレンチを形成し、前記第1トレンチの壁面及び底面を熱酸化することによって、アイソレーションジョイントを形成すること、ここで、前記アイソレーションジョイントは、前記シリコン層が熱酸化された部分と前記炭化シリコン層が熱酸化された部分とを有しており、
前記基板を、前記第1主面から前記炭化シリコン層に至る第2トレンチを形成し、該第2トレンチによって少なくとも前記シリコン層にMEMS電極を平面視において区画すること、ここで、平面視において区画された前記MEMS電極は、前記アイソレーションジョイントによって平面視において分断されており、
前記区画されたMEMS電極の前記第2主面側に位置するシリコン基板を除去することによってキャビティを形成すると共に、前記キャビティの底面から離間した、MEMS電極を形成し、この結果、前記アイソレーションジョイントが、MEMS電極のうち該アイソレーションジョイントによって分断された両側部が、該アイソレーションジョイントによって機械的に連結されつつ電気的に絶縁されていること、
を含むMEMS装置の製造方法。
【請求項9】
前記炭化シリコン層の形成は、前記シリコン基板上に炭化シリコンをエピタキシャル成長させることによって実施される、
請求項8に記載のMEMS装置の製造方法。
【請求項10】
前記シリコン層の形成は、前記炭化シリコン層上にシリコンをエピタキシャル成長させることによって実施される、
請求項8又は9に記載のMEMS装置の製造方法。
【請求項11】
前記炭化シリコン層の形成と前記シリコン層の形成とは、エピタキシャル成長工程においてガスを切り換えることによって連続して実施される、
請求項10に記載のMEMS装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1トレンチの前記熱酸化は、前記アイソレーションジョイントが前記炭化シリコン層を貫通して前記第2主面側に突出するように実施される、
請求項8又は9に記載のMEMS装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS装置およびMEMS装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、半導体微細加工技術を用いて製造されるMEMS(Micro Electro Mechanical System)装置として、MEMS電極を有するMEMSセンサが開示されている。例えば、MEMS電極は、SCREAM(Single Crystal silicon Reactive Etch and Meal)法により形成される。SCREAM法によれば、まず、基板(例えばシリコン基板)にMEMS電極の平面視における輪郭に沿ってトレンチを形成し、トレンチの底部から基板を等方性エッチングにより除去することによって、隣り合うトレンチの底部同士が接続されてなるキャビティを形成しつつ、キャビティの底面からMEMS電極をリリースさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
MEMS電極は、トレンチの底部から等方性エッチングにより除去されて形成されるので、トレンチからの距離及びMEMS電極の幅及びトレンチの配置等の相違によって、MEMS電極の各部は底部が均一に除去されにくい。その結果、MEMS電極の各部の高さが均一化されにくく、MEMS電極の特性を安定化させにくい。
【0005】
本開示は、MEMS電極の高さを均一化させることができる、MEMS装置及びMEMS装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有し、前記第2主面側から前記第1主面側に向かって、シリコン基板と導電性を有する炭化シリコン層とシリコン層とが順に積層された、基板と、
前記基板の前記第1主面から前記第2主面側へ、前記シリコン層、前記炭化シリコン層及び前記シリコン基板にわたって窪んでいる、キャビティと、
前記キャビティ内に配置されており、前記シリコン層と前記炭化シリコン層とによって構成されており、前記キャビティの底面に対して前記第1主面側に離間している、MEMS電極と、
前記MEMS電極を平面視において分断しており、該MEMS電極の分断された両側部を機械的に連結しつつ電気的に絶縁する、アイソレーションジョイントと
を備えたMEMS装置を提供する。
【0007】
本開示に係るMEMS装置によれば、MEMS電極は、第1主面から炭化シリコン層まで延びるように構成できるので、第1主面から第2主面に向かう方向における高さを均一化できる。
【0008】
さらに、アイソレーションジョイントを、例えばシリコン層から炭化シリコン層に至るように形成したトレンチの内壁面を熱酸化することによってシリコン層及び炭化シリコン層にわたって酸化シリコンとして一体的に構成できる。
【0009】
さらにまた、炭化シリコン層は導電性を有しているので、炭化シリコン層を挟んだ両側に位置するシリコン基板とシリコン層とを導通させることができる。よって、シリコン基板とシリコン層との間の帯電が抑制される。しかも、炭化シリコン層の表面に電荷が溜まりにくく、MEMS電極の下面(炭化シリコン層)がキャビティの底面に例えば静電引力により引き付けられることが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係るMEMS装置によれば、MEMS電極の高さを均一化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本開示の一実施形態に係る加速度センサの平面図である。
【
図2】
図2は
図1のII-II線に沿った加速度センサの断面図である。
【
図3】
図3は本開示の一実施形態に係る加速度センサの製造工程の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施形態に係るMEMS装置を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0013】
図1は、本開示の一実施形態に係る加速度センサ1を概略的に示す平面図である。
図2は、
図1のII-II線に沿った断面図である。本実施形態に係る加速度センサ1は半導体微細加工技術を用いて製造される静電容量型加速度センサである。
図1及び
図2を参照して、加速度センサ1は、MEMS電極5を有するデバイス側基板アセンブリ2と、デバイス側基板アセンブリ2に接合されて該デバイス側基板アセンブリ2との間にMEMS電極5を収容する収容空間を構成するリッド側基板アセンブリ3とを有している。
図1において、リッド側基板アセンブリ3は二点鎖線で囲った内側が透過状態とされMEMS電極5が透過して示されている。
【0014】
以下の説明では、便宜上、
図1に示す平面視において加速度センサ1の各辺に沿った方向のうち
図1の左右方向をX方向、
図1の上下方向をY方向と称し、
図2~
図11に示す各断面視において加速度センサ1の厚み方向(
図2~
図11における上下方向)をZ方向とそれぞれ称する。特に、
図1における、右側を+X方向、左側を-X方向、上側を+Y方向、下型を-Y方向とそれぞれ称する。
図2~
図11における、上側を+Z方向、下側を-Z方向と称する。
【0015】
図1に示されるように、デバイス側基板アセンブリ2は、基板10と、基板10内に設けられたMEMS電極5と、MEMS電極5との間で電気信号(電圧)が入出力される複数の電極パッド4とを有している。
【0016】
基板10は、+Z側に位置する第1主面10aと-Z側に位置しており第1主面10aに対向する第2主面10b(
図2参照)とを有している。第1主面10a及び第2主面10bは、X方向及びY方向に平行に延びている。基板10は、-Z側に第2主面10bを有する第1層11と、第1層11の+Z側に積層された第2層12と、第2層12の+Z側に積層されており+Z側に第1主面10aを有する第3層13とを有している。
【0017】
第1層11は、導電性シリコン基板であって基板10のハンドルウエハを構成している。第1層11は、本実施形態では、ボロンなどのp型不純物を高濃度(例えば1018~1020/cm3)でドービングして導電性が付与された導電性p型シリコン基板である。第1層11は、本実施形態では、厚みt1が700μmである。
【0018】
第2層12は、導電性を有する炭化シリコン(SiC)層である。第2層12は、本実施形態では、第1層11上に、炭化シリコンをボロンなどのp型不純物を高濃度(例えば1018~1020/cm3)でドーピングしながらエピタキシャル成長させることにより導電性を有するように形成されたp型炭化シリコンエピタキシャル成長層である。第2層12は、本実施形態では、厚みt2が100nm以上600nm以下である。
【0019】
第3層13は、導電性を有するシリコン(Si)層である。第3層13は、本実施形態では、第2層12上に、シリコンをボロンなどのp型不純物を高濃度(例えば1018~1020/cm3)でドーピングしながらエピタキシャル成長させることにより導電性を有するように形成されたp型シリコンエピタキシャル成長層である。第3層13は、本実施形態では、厚みt3が15μm以上20μm以下である。
【0020】
基板10には、第1主面10aから第3層13、第2層12を貫通して第1層11の途中まで-Z側に窪んだ平面視矩形状のキャビティ15が形成されている。
【0021】
以下、MEMS電極5について詳述する。MEMS電極5は、キャビティ15内に配置された、可動電極20及び固定電極30を有している。可動電極20は、キャビティ15の底面15a(以下、キャビティ底面15aと称する)から+Z側に離間している。固定電極30は、後述する固定電極支持部35を除いて、キャビティ底面15aから+Z側に離間している。
【0022】
図1に示されるように、可動電極20は、キャビティ15において+X側よりに位置しておりY方向に延びる第1可動電極子21と、第1可動電極子21の-X側に位置しておりY方向に延びる第2可動電極子22と、第1可動電極子21及び第2可動電極子22の-Y側端部が接続されておりX方向に延びる可動電極基部23と、キャビティ15の-X側の内壁面から+X側に延びる可動電極支持部25と、可動電極支持部25と可動電極基部23とを接続する可動電極スプリング部24とを有している。
【0023】
第1可動電極子21は、第2可動電極子22よりもX方向に幅広に構成されており、プルーフマスを有している。可動電極20はX方向の加速度が作用すると可動電極スプリング部24が弾性変形することによって、第1可動電極子21及び第2可動電極子22がX方向に変位する。
【0024】
図2に示されるように、第1可動電極子21及び第2可動電極子22は、第3層13及び第2層12にわたって構成されており、底面21a,22aが第2層12のうち第1層11との界面によって構成されているので第1主面10a又は第2主面10bに平行である。換言すれば、第1可動電極子21及び第2可動電極子22は、第1層11によって構成される部分を有していない。したがって、第1可動電極子21及び第2可動電極子22は、第1主面10aから底面21a,22aまでのZ方向における寸法である高さh1が、第3層13の厚みt3と第2層の厚みt2とを合計した寸法に略等しく、全体的に略均一に構成されている。
【0025】
可動電極基部23、可動電極スプリング部24及び可動電極支持部25も同様に第3層13及び第2層12にわたって構成される一方で、第1層11によって構成された部分を有していない。よって、可動電極基部23、可動電極スプリング部24及び可動電極支持部25は、Z方向における高さが、第1可動電極子21及び第2可動電極子22と同じ高さであるh1に略均一に構成されている。
【0026】
図1及び
図2に示されるように、可動電極20は、可動電極支持部25をY方向及びZ方向に横断してX方向に分断する可動電極アイソレーションジョイント26をさらに有している。可動電極アイソレーションジョイント26は、可動電極支持部25をZ方向に貫通して-Z側に突出している。可動電極アイソレーションジョイント26の-Z側端部は、キャビティ底面15aに対して+Z側に離間している。
【0027】
可動電極アイソレーションジョイント26は、本実施形態では少なくとも第3層13を熱酸化して形成された酸化シリコンであるが、第2層12及び第1層11が熱酸化された部分を追加で有していてもよい。可動電極アイソレーションジョイント26は、可動電極支持部25のうち該可動電極アイソレーションジョイント26によってX方向に分断された両側部を機械的に連結しつつ電気的に絶縁している。
【0028】
可動電極支持部25には、可動電極アイソレーションジョイント26の+X側部分に可動電極配線層27が接続されている。可動電極20は、可動電極配線層27を介して複数の電極パッド4のうちの1つに電気的に接続されている。
【0029】
図1に示されるように、固定電極30は、第1可動電極子21と第2可動電極子22との間に位置しており第1可動電極子21に対向しておりY方向に延びる第1固定電極子31と、第1固定電極子31の-X側に位置しており第2可動電極子22に対向しておりY方向に延びる第2固定電極子32と、キャビティ15の+X側より位置においてキャビティ底面15aから+Z側に突出した固定電極支持部35と、第1固定電極子31及び第2固定電極子32の+Y側端部と固定電極支持部35とを接続する固定電極接続部33とを有している。
【0030】
図2に示されるように、第1固定電極子31及び第2固定電極子32は、第3層13及び第2層12にわたって構成されており、底面31a,32aが第2層12のうち第1層11との界面によって構成されているので第1主面10a又は第2主面10bに平行である。換言すれば、第1固定電極子31及び第2固定電極子32は、第1層11によって構成される部分を有していない。したがって、第1固定電極子31及び第2固定電極子32は、第1主面10aから底面31a,32aまでのZ方向における寸法である高さh2が、第3層13の厚みt3と第2層12の厚みt2とを合計した寸法に略等しく、全体的に略均一に構成されている。なお、第1固定電極子31及び第2固定電極子32の高さh2は、第1可動電極子21及び第2可動電極子22の高さh1と略同一である。
【0031】
固定電極接続部33も同様に第3層13及び第2層12にわたって構成される一方で、第1層11によって構成された部分を有していない。よって、固定電極接続部33のZ方向における高さは、第1固定電極子31及び第2固定電極子32と同じ高さであるh2に略均一に構成されている。
【0032】
固定電極30は、第1固定電極子31と第2固定電極子32とをX方向に機械的に接続しつつ電気的に絶縁する固定電極アイソレーションジョイント36をさらに有している。固定電極アイソレーションジョイント36は、第1固定電極子31及び第2固定電極子32よりも-Z側に突出している。固定電極アイソレーションジョイント36の-Z側端部は、キャビティ底面15aに対して+Z側に離間している。
【0033】
固定電極アイソレーションジョイント36は、本実施形態では少なくとも第3層13を熱酸化することによって形成された酸化シリコンであるが、第2層12及び第3層13が熱酸化された部分を追加で有していてもよい。
【0034】
図1に示されるように、固定電極接続部33は、第1固定電極子31に電気的に接続された第1接続部33aと、第2固定電極子32に電気的に接続された第2接続部33bとを有している。第1接続部33aと第2接続部33bとは電気的に絶縁されている。第1接続部33aには、固定電極第1配線層37が接続されており、固定電極第1配線層37を介して複数の電極パッド4のうちの1つに電気的に接続されている。同様に、第2接続部33bには、固定電極第2配線層38が接続されており、固定電極第2配線層38を介して複数の電極パッド4のうちの1つに電気的に接続されている。
【0035】
図2に示されるように、固定電極支持部35は、キャビティ底面15aから第1層11、第2層12及び第3層13にわたって+Z側に延びている。
【0036】
MEMS電極5は、第1可動電極子21と第1固定電極子31とによって第1コンデンサC1が構成されており、第2可動電極子22と第2固定電極子32とによって第2コンデンサC2が構成されている。加速度センサ1は、加速度が作用したとき可動電極20のX方向への変位に伴う、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2それぞれにおける静電容量の変化を電気信号として電極パッド4から取り出すことによって加速度を検出可能に構成されている。
【0037】
次に、加速度センサ1の製造方法について説明する。
図3~
図11を参照して、加速度センサ1の製造方法のうちデバイス側基板アセンブリ2の製造方法について説明する。
図3に示されるように、まず、導電性シリコン基板である第1層11を用意する。第1層11は、基板10のハンドルウエハを構成し、例えばp型導電性シリコンウエハである。第1層11の厚みt1(
図2参照)は例えば700μmである
【0038】
第1層11上(+Z側)に、炭化シリコン(SiC)をボロンなどのp型不純物を高濃度(例えば10
18~10
20/cm
3)でドーピングしながらエピタキシャル成長させることによって、p型炭化シリコンエピタキシャル成長層である第2層12を形成する。第2層12は、厚みt2(
図2参照)が100nm以上600nm以下となるまでエピタキシャル成長により形成される。
【0039】
炭化シリコン層は、例えば、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition)により形成される。炭化シリコン層の形成条件の一例として、シリコン種としてトリクロロシラン(TCS)を使用し、エチレン、水素及びp型ドーパントを含むガスを使用して、100mbar及び1400℃の条件下で、炭化シリコン層をエピタキシャル成長させる。形成される炭化シリコンは、エピタキシャル成長させる条件に応じて、3C、4H又は6Hのいずれかの結晶構造になり得る。
【0040】
次に
図4に示されるように、第2層12上(+Z側)に、シリコン(Si)をボロンなどのp型不純物を高濃度(例えば10
18~10
20/cm
3)でドーピングしながらエピタキシャル成長させることによって、p型シリコンエピタキシャル成長層である第3層13を形成する。第3層13は、厚みt3(
図2参照)が15μm以上20μm以下となるまでエピタキシャル成長により形成される。
【0041】
本実施形態では、第2層12の形成と第3層13の形成とは一連のエピタキシャル成長工程において途中でガスを切り換えることによって連続して実施される。しかしながら、第2層12の形成と、第3層13の形成とを個別に実施してもよい。
【0042】
次に
図5に示されるように、基板10の第1主面10a上に、可動電極アイソレーションジョイント26及び固定電極アイソレーションジョイント36(以下、纏めてアイソレーションジョイント6と称する場合がある)に対応する位置が表出する第1酸化シリコン層(SiO
2)41を形成する。本実施形態では、第1酸化シリコン層41は厚さが500nmである。次に、第1酸化シリコン層41をハードマスクとして、基板10を異方性エッチングにより第1主面10aから-Z側に掘り下げることによって、第1トレンチ42が形成される。
【0043】
ここで、基板10は、第3層13の-Z側に第2層12が位置している。第2層12は炭化シリコン層であるため、シリコン層である第1層11をエッチングするときの速度に比して、エッチング速度を顕著に低下させるエッチングストップ層として作用する。よって、第1トレンチ42は、-Z側端部が第1層11を貫通した後、第2層12の+Z側の表面で止まるか、若しくは第2層12を僅かに掘り下げた位置で止まる。
【0044】
次に
図6に示されるように、基板10から第1酸化シリコン層41を除去した後、基板10を+Z側から熱酸化させることによって、第1主面10a及び第1トレンチ42の内壁面上に熱酸化シリコンである熱酸化被膜43を形成する。第1トレンチ42の内壁面に形成された熱酸化被膜43は、第1トレンチ42の内側を略埋めると共に外側に拡張する一方で、底部が第2層12を貫通して第1層11に食い込むように-Z方向に成長して、アイソレーションジョイント6が形成される。
【0045】
アイソレーションジョイント6の-Z側への成長に伴って、炭化シリコンである第2層12及びシリコン基板である第1層11も熱酸化されて酸化シリコンとなり、アイソレーションジョイント6の一部を構成する。
【0046】
次に
図7に示されるように、基板10の第1主面10a上に形成された熱酸化被膜43のうち可動電極アイソレーションジョイント26よりも+X側に位置する部分を除去する。さらに、除去されずに残存している熱酸化被膜43のうち可動電極アイソレーションジョイント26よりも+X側に位置する部分に、Z方向に貫通して第1層11に連通するコンタクト孔44を形成しつつ、該コンタクト孔44に導電性金属であるコンタクト45を埋め込む。
【0047】
次いで、残存している熱酸化被膜43の+Z側の表面にコンタクト45に導通する可動電極配線層27をパターニングする。すなわち、可動電極配線層27は導電性コンタクト45を介して第3層13に導電可能に接続されている。この他、図示は省略するが、第3層13の+Z側に複数の電極パッド4、固定電極第1配線層37a固定電極第2配線層37b、パッシベーション層等が形成される。
【0048】
次に
図8に示されるように、基板10の第1主面10a上に、MEMS電極5に対応する部分に第2酸化シリコン層(SiO
2)46が形成される。次に、第2酸化シリコン層46をハードマスクとして、基板10を異方性エッチングにより第1主面10aから-Z側に掘り下げることによって、第2トレンチ47が形成される。第1トレンチ42の形成と同様に、第2層12がエッチングストップ層として作用するので、第2トレンチ47は、-Z側端部が第1層11を貫通した後、第2層12の+Z側の表面で止まるか、若しくは第2層12を僅かに掘り下げた位置で止まる。
【0049】
次に
図9に示されるように、第2酸化シリコン層46及び第2トレンチ47の内壁面に第3酸化シリコン層48が形成される。第3酸化シリコン層48は、第2トレンチ47の底部において除去される。次いで、第2トレンチ47の底部がエッチングにより第2層12が除去されて、第2トレンチ47の底部に第1層11が現れる。第2層12の除去は、例えば、より高温下(例えば200~300℃)において、エッチングガスとして六フッ化硫黄(SF6)と酸素とを用いたエッチングにより実施される。
【0050】
次に
図10に示されるように、第2トレンチ47の底部を等方性エッチングにより除去することによって、MEMS電極5及びアイソレーションジョイント6の-Z側に位置する第1層11が除去され、隣り合う第2トレンチ47の底部同士が接続されることによって、キャビティ15が形成されると共に、MEMS電極5がキャビティ底面15aから+Z側に離間する(リリースされるともいう)ように形成される。このとき、第2層12はエッチングにより除去されず、MEMS電極5の-Z側端部に残る。
【0051】
次に
図11に示されるように、第2酸化シリコン層46及び第3酸化シリコン層48を除去することによって、デバイス側基板アセンブリ2が形成される。説明は省略するが、リッド側基板アセンブリ3も同様にMEMSプロセスによって形成される。デバイス側基板アセンブリ2とリッド側基板アセンブリ3とを接合することによって、加速度センサ1が製造される。
【0052】
上述した本実施形態に係る加速度センサ1によれば次の効果を奏する。
【0053】
(1)加速度センサ1は、第1主面10aと第1主面10aに対向する第2主面10bとを有し、第2主面10b側から第1主面10a側に向かって、シリコン基板である第1層11と導電性を有する炭化シリコン層である第2層12とシリコン層である第3層13とが順に積層された、基板10と、基板10の第1主面10aから第2主面10b側へ、第3層13、第2層12及び第1層11にわたって窪んでいる、キャビティ15と、キャビティ15内に配置されており、第3層13と第2層12とによって構成されており、キャビティ底面15aに対して第1主面10a側に離間している、MEMS電極5と、MEMS電極5を平面視において分断しており、MEMS電極5の分断された両側部を機械的に連結しつつ電気的に絶縁する、アイソレーションジョイント6とを備えている。
【0054】
すなわち、加速度センサ1の製造方法は、シリコン基板である第1層11を用意し、第1層11上に炭化シリコン層である第2層12を積層し、第2層12上にシリコン層である第3層13を積層して、基板10を形成すること、ここで、基板10は、第3層13の外表面である第1主面10aと、第1主面10aに対向しており第1層11の外表面である第2主面10bと、を有しており;基板10を、第1主面10aから第2層12に至る第1トレンチ42を形成し、第1トレンチ42の壁面及び底面を熱酸化することによって、アイソレーションジョイント6を形成すること、ここで、アイソレーションジョイント6は、シリコン層である第3層13が熱酸化された部分と炭化シリコン層である第2層12が熱酸化された部分とを有しており;基板10を、第1主面10aから第2層12に至る第2トレンチ47を形成し、第2トレンチ47によって少なくとも第3層13にMEMS電極5を平面視において区画すること、ここで、平面視において区画されたMEMS電極5は、アイソレーションジョイント6によって平面視において分断されており;区画されたMEMS電極5の第2主面10b側に位置する第1層11を除去することによってキャビティ15を形成すると共に、キャビティ底面15aから離間した、MEMS電極5を形成し、この結果、アイソレーションジョイント6が、MEMS電極5のうちアイソレーションジョイント6によって分断された両側部が、アイソレーションジョイント6によって機械的に連結されつつ電気的に絶縁されていること、を含んでいる。
【0055】
その結果、MEMS電極5は、第1主面10aから炭化シリコン層である第2層12まで延びるように構成できるので、Z方向における高さを均一化できる。
【0056】
さらに、アイソレーションジョイント6を、シリコン層である第3層13から炭化シリコン層である第2層12に至るように形成した第1トレンチ42及び第2トレンチ47の内壁面を熱酸化することによって第3層13及び第2層12にわたって酸化シリコンとして一体的に構成できる。
【0057】
さらにまた、導電性を有する第2層12によって、第2層12を挟んだZ方向の両側に位置する第1層11と第3層13とを電気的に導通させることができる。よって、第1層11と第3層13との間の帯電が抑制される。しかも、第2層12は導電性炭化シリコン層であるので表面に電荷が溜まりにくく、MEMS電極5の下面(炭化シリコン層)がキャビティ底面15aに静電引力により引き付けられることが抑制される。
【0058】
なお、MEMS電極5の高さを均一化するために、基板として第2層にエッチングストップ層として酸化シリコン層を有するSOI(Silicon On Insulator)を採用することも考えられる。しかしながら、この場合、トレンチの底部は酸化シリコン層である第2層により構成されているため熱酸化させにくいので、アイソレーションジョイントを第2層をZ方向に貫通するように形成しにくい。
【0059】
さらに、MEMS電極5の-Z側端部が酸化シリコン層である第2層で構成されていると、MEMS電極5の表面に電荷が帯電しやすく、該帯電した電荷がキャビティ底面15aに引き付けられて固着するおそれがある。このため、基板にSOIを採用した場合には、MEMS電極5の底部の第2層を除去する必要があるが、このとき、同じく酸化シリコンからなるアイソレーションジョイントも除去されてしまう(オーバーエッチングともいう)。
【0060】
さらにまた、第2層が酸化シリコンであると、第1層と第3層との間が第2層によって電気的に絶縁されて、第1層と第3層とによって構成されるコンデンサに静電容量が溜まってしまう。このため、第1層と第3層とを電気的に導通させるために、第2層に第1層と第3層とを導通させるコンタクト等を形成することを要する。
【0061】
したがって、本実施形態のように、第2層12を導電性を有する炭化シリコンにより構成することによって、上述した第2層に酸化シリコン層を有するSOIにおける問題が解決される。つまり、アイソレーションジョイント6の形成時に、炭化シリコン層である第2層12を熱酸化させてアイソレーションジョイント6を第2層12を貫通して-Z側に突出するように成長させることができる。さらに、MEMS電極5の底部は、炭化シリコンである第2層12で構成されているが、該炭化シリコンは導電性を有するため、酸化シリコン層のように表面に電荷が溜まることがなく、キャビティ底面15aに引き付けられることがない。さらにまた、第2層12は、導電性を有するので、別途コンタクト層を設けることなく、第1層11と第3層13とを電気的に導通させることができる。
【0062】
(2)炭化シリコン層である第2層12は、第3層13を第1主面10aから第2主面10b側へエッチングする際のエッチングストップ層である。
その結果、シリコン層である第3層13を第1主面10aから第2主面10b側にエッチングによりトレンチを形成する際に、エッチングの速度が第3層13(シリコン層)をエッチングするときに比して第2層12(炭化シリコン層)において遅くなるため、トレンチを底部が第2層に終端するようにエッチングを制御しやすい。
【0063】
(3)炭化シリコン層である第2層12は、エピタキシャル成長層である。
すなわち、炭化シリコン層である第2層12の形成は、シリコン基板である第1層11上に炭化シリコンをエピタキシャル成長させることによって実施される。
その結果、別部材として準備した炭化シリコン層を接合して第2層12を形成する場合に比して、炭化シリコン層をシリコン基板である第1層11上に容易に積層できる。
【0064】
(4)シリコン層である第3層13は、エピタキシャル成長層である。
すなわち、シリコン層である第3層13の形成は、炭化シリコン層である第2層12上にシリコンをエピタキシャル成長させることによって実施される。
その結果、別部材として準備したシリコン層を接合して第3層13を形成する場合に比して、シリコン層を炭化シリコン層である第2層12上に容易に積層できる。
【0065】
(5)アイソレーションジョイント6は、MEMS電極5から第2主面10b側へ突出している。
すなわち、第1トレンチ42の熱酸化は、アイソレーションジョイント6が炭化シリコン層である第2層12を貫通して第2主面10b側に突出するように実施される。
その結果、アイソレーションジョイント6によって、MEMS電極5のうちアイソレーションジョイント6により分断された両側部を確実に電気的に絶縁できる。
【0066】
(6)炭化シリコン層である第2層12の厚みは、100nm以上600nm以下である。
その結果、第2層12の厚みを適切に設定できる。具体的には、第2層12をエッチングストップ層として作用させつつ、MEMS電極5をキャビティ15からリリースさせるときには貫通させやすくこれによりMEMS電極5の下方にエッチングガスを容易に供給できるのでシリコン基板である第1層11の除去性を確保しやすい。
第2層12の厚みが100nm未満であると、トレンチ形成時に貫通しやすくエッチングストップ層としての作用が低下する。一方、第2層12の厚みが600nmを超過すると、MEMS電極5をキャビティの底面からリリースするとき、第2層12を貫通させにくく第1層11の除去性が低下する。
【0067】
(7)シリコン層である第3層13の厚みは、15μm以上20μm以下である。
その結果、第3層13の厚みを適切に設定でき、MEMS電極5を好適に形成しやすい。
【0068】
(8)炭化シリコン層である第2層12の形成とシリコン層である第3層13の形成とは、エピタキシャル成長工程においてガスを切り換えることによって連続して実施される。
その結果、一連のエピタキシャル成長工程においてガスを切り替えることによって炭化シリコン層である第2層12の形成とシリコン層である第1層11の形成とを連続して実施できるので、基板10を効率的に形成できる。
【0069】
なお、本開示に係る加速度センサ1は、上記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0070】
上記実施形態では、MEMS装置として加速度センサ1を例として説明したが、MEMS電極を有する種々のMEMS装置に適用できる。
【0071】
また、上記実施形態では、第2層12及び第3層13をそれぞれ、エピタキシャル成長させることによって形成する場合を例にとって説明したが、別部材として構成された第2層12及び/又は第3層13を接合することによって基板10を形成してもよい。
【0072】
[付記]
本開示に係るMEMS装置及びMEMS装置の製造方法は以下の態様を提供する。
【0073】
[態様1]
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有し、前記第2主面側から前記第1主面側に向かって、シリコン基板と導電性を有する炭化シリコン層とシリコン層とが順に積層された、基板と、
前記基板の前記第1主面から前記第2主面側へ、前記シリコン層、前記炭化シリコン層及び前記シリコン基板にわたって窪んでいる、キャビティと、
前記キャビティ内に配置されており、前記シリコン層と前記炭化シリコン層とによって構成されており、前記キャビティの底面に対して前記第1主面側に離間している、MEMS電極と、
前記MEMS電極を平面視において分断しており、該MEMS電極の分断された両側部を機械的に連結しつつ電気的に絶縁する、アイソレーションジョイントと
を備えたMEMS装置を提供する。
【0074】
[態様2]
前記炭化シリコン層は、前記シリコン層を前記第1主面から前記第2主面側へエッチングする際のエッチングストップ層である、
態様1に記載のMEMS装置を提供する。
【0075】
[態様3]
前記炭化シリコン層は、エピタキシャル成長層である、
態様1又は2に記載のMEMS装置を提供する。
【0076】
[態様4]
前記シリコン層は、エピタキシャル成長層である、
態様1~3のいずれか1つに記載のMEMS装置を提供する。
【0077】
[態様5]
前記アイソレーションジョイントは、前記MEMS電極から前記第2主面側へ突出している、
態様1~4のいずれか1つに記載のMEMS装置を提供する。
【0078】
[態様6]
前記炭化シリコン層の厚みは、100nm以上600nm以下である、
態様1~5のいずれか1つに記載のMEMS装置を提供する。
【0079】
[態様7]
前記シリコン層の厚みは、15μm以上20μm以下である、
態様1~6のいずれか1つに記載のMEMS装置を提供する。
【0080】
[態様8]
シリコン基板を用意し、前記シリコン基板上に炭化シリコン層を積層し、前記炭化シリコン層上にシリコン層を積層して、基板を形成すること、ここで、基板は、シリコン層の外表面である第1主面と、前記第1主面に対向しておりシリコン基板の外表面である第2主面と、を有しており、
前記基板を、前記第1主面から前記炭化シリコン層に至る第1トレンチを形成し、前記第1トレンチの壁面及び底面を熱酸化することによって、アイソレーションジョイントを形成すること、ここで、前記アイソレーションジョイントは、前記シリコン層が熱酸化された部分と前記炭化シリコン層が熱酸化された部分とを有しており、
前記基板を、前記第1主面から前記炭化シリコン層に至る第2トレンチを形成し、該第2トレンチによって少なくとも前記シリコン層にMEMS電極を平面視において区画すること、ここで、平面視において区画された前記MEMS電極は、前記アイソレーションジョイントによって平面視において分断されており、
前記区画されたMEMS電極の前記第2主面側に位置するシリコン基板を除去することによってキャビティを形成すると共に、前記キャビティの底面から離間した、MEMS電極を形成し、この結果、前記アイソレーションジョイントが、MEMS電極のうち該アイソレーションジョイントによって分断された両側部が、該アイソレーションジョイントによって機械的に連結されつつ電気的に絶縁されていること、
を含むMEMS装置の製造方法を提供する。
【0081】
[態様9]
前記炭化シリコン層の形成は、前記シリコン基板上に炭化シリコンをエピタキシャル成長させることによって実施される、
態様8に記載のMEMS装置の製造方法を提供する。
【0082】
[態様10]
前記シリコン層の形成は、前記炭化シリコン層上にシリコンをエピタキシャル成長させることによって実施される、
態様8又は9に記載のMEMS装置の製造方法を提供する。
【0083】
[態様11]
前記炭化シリコン層の形成と前記シリコン層の形成とは、エピタキシャル成長工程においてガスを切り換えることによって連続して実施される、
態様10に記載のMEMS装置の製造方法を提供する。
【0084】
[態様12]
前記第1トレンチの前記熱酸化は、前記アイソレーションジョイントが前記炭化シリコン層を貫通して前記第2主面側に突出するように実施される、
態様8~11のいずれか1つに記載のMEMS装置の製造方法を提供する。
【符号の説明】
【0085】
1 加速度センサ
2 デバイス側基板アセンブリ
3 リッド側基板アセンブリ
4 電極パッド
5 MEMS電極
6 アイソレーションジョイント
10 基板
10a 第1主面
10b 第2主面
11 第1層
12 第2層
13 第3層
15 キャビティ
15a キャビティ底面
20 可動電極
21 第1可動電極子
22 第2可動電極子
23 可動電極基部
24 可動電極スプリング部
25 可動電極支持部
26 可動電極アイソレーションジョイント
27 可動電極配線層
30 固定電極
31 第1固定電極子
32 第2固定電極子
33 固定電極接続部
35 固定電極支持部
36 固定電極アイソレーションジョイント
37 固定電極第1配線層
38 固定電極第2配線層
41 第1酸化シリコン層
42 第1トレンチ
43 熱酸化被膜
44 コンタクト孔
45 コンタクト
46 第2酸化シリコン層
47 第2トレンチ
48 第3酸化シリコン層