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特開2024-117758改変ナチュラルキラー細胞及び抗原特異的T細胞を含む医薬組成物、その製造方法、並びにそれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117758
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】改変ナチュラルキラー細胞及び抗原特異的T細胞を含む医薬組成物、その製造方法、並びにそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/12 20150101AFI20240822BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240822BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240822BHJP
   A61K 35/14 20150101ALI20240822BHJP
   A61K 35/51 20150101ALI20240822BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240822BHJP
   A61K 35/15 20150101ALI20240822BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240822BHJP
【FI】
A61K35/12
C12N5/0783
A61P35/00
A61K35/14
A61K35/51
A61K35/17
A61K35/15
A61K35/28
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024021985
(22)【出願日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】18/170,671
(32)【優先日】2023-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516199061
【氏名又は名称】フルホープ バイオメディカル カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】524061172
【氏名又は名称】ナショナル・ヤン・ミン・チャオ・トゥン・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-モウ・リー
(72)【発明者】
【氏名】ケン-リ・ラン
(72)【発明者】
【氏名】チー-ハオ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤ-ファン・チェン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AC20
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB34
4C087BB37
4C087BB44
4C087BB59
4C087BB64
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
(57)【要約】
【課題】改変ナチュラルキラー細胞及び抗原特異的T細胞を含む医薬組成物、その製造方法、並びにそれを使用する方法を提供すること。
【解決手段】本開示は、CD3-CD19-CD14-に関するネガティブ選択を実施しないことにより、高い細胞収率を提供する、がんを処置するための医薬組成物を製造する方法を提供する。その医薬組成物の投与により、対象におけるがん細胞は、細胞性免疫によって効果的に阻害されうる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを処置するための医薬組成物を製造する方法であって、
がんを有する対象から単核細胞を得る工程;
前記単核細胞を、IL-15、IL-12、及びIL-18を含む第1の培養培地と約1~6日間、接触させて、培養細胞集団を得る工程;並びに
前記第1の培養培地と接触させた後、前記培養細胞集団を、IL-15及びIL-12を含む第2の培養培地と約1~6日間、接触させる工程
を含み、CD3-CD19-CD14-のネガティブ選択が前記接触工程前の前記単核細胞に実施されない、方法。
【請求項2】
単核細胞が、末梢血、臍帯血又は骨髄に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の培養培地及び第2の培養培地が、造血細胞培地を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
造血細胞培地が、AIM-V培地を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
第1の培養培地が、血清タンパク質を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
血清タンパク質が、ヒト血小板溶解物を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(a)CD3-CD19-CD14-CD56hiCD16dimNKG2D+CD11c+CD86+HLA-DR+CD83-の表現型を有する改変ナチュラルキラー(NK)細胞;
(b)4-1BB+CD8+の表現型を有する抗原特異的T細胞;及び
(c)薬学的に許容される担体又は賦形剤
を含む、がんを処置するための医薬組成物。
【請求項8】
NK細胞及び抗原特異的T細胞が、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法により作成される、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
がんを処置する方法であって、
それを必要としている対象に有効量の請求項7に記載の医薬組成物を投与する工程
を含む、方法。
【請求項10】
有効量が、用量あたり約l×103~約l×109細胞である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
改変NK細胞又は抗原特異的T細胞が自己又は同種異系である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
改変NK細胞又は抗原特異的T細胞が、末梢血、臍帯血、又は骨髄に由来する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
がんが、口腔及び咽頭(唇、舌、唾液腺、口腔底部、歯肉及び他の口、鼻咽頭、扁桃腺、中咽頭、下咽頭、他の口/咽頭)のがん;消化器系(食道;胃;小腸;結腸及び直腸;肛門、肛門管及び肛門直腸;肝臓;肝内胆管;胆嚢;他の胆管;膵臓;後腹膜;腹膜、網及び腸間膜;他の消化器)のがん;呼吸器系(鼻腔、中耳及び洞;喉頭;肺及び気管支;胸膜;気管、縦隔及び他の呼吸器)のがん;中皮腫;骨及び関節;並びに心臓を含む軟組織のがん;黒色腫及び他の非上皮性皮膚がんを含む皮膚がん;カポジ肉腫及び乳がん;女性生殖器系(子宮頸;子宮体;子宮、卵巣;腟;外陰部;及び他の女性生殖器)のがん;男性生殖器系(前立腺;精巣;陰茎;及び他の男性生殖器)のがん;泌尿系(膀胱;腎臓及び腎盂;尿管;並びに他の泌尿器)のがん;眼及び眼窩のがん;脳及び神経系(脳;及び他の神経系)のがん;内分泌系(甲状腺、及び胸腺を含む他の内分泌腺)のがん;リンパ腫(ホジキン病及び非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、並びに/又は白血病(リンパ球性白血病;骨髄性白血病;単球性白血病;及び他の白血病)を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改変ナチュラルキラー(NK)細胞及び抗原特異的T細胞を含む医薬組成物に関する。改変NK細胞及び抗原特異的T細胞の培養のための方法も又、提供される。
【背景技術】
【0002】
免疫監視は、がんに対して重要な役割を果たし、特に、がんの管理における従来の外科手術、放射線及び化学療法の多くの欠点を考慮すると、非常に魅力的な治療手法となる。
【0003】
がんに対する防御のヒト身体の最前線は、CD3-CD14-CD19-CD56+CD16+NGK2D+CD11cdimHLA-DR-CD86-CD83-の表現型を有するナチュラルキラー(NK)細胞である。NK細胞は、異常な細胞について身体を能動的にスキャンし、それらが実際のがん細胞へ発達しうる前にそれらを破壊する、細胞傷害性リンパ球である。NK細胞は身体をパトロールしている時、それらは、それらの、活性化及び抑制性表面受容体のアレイを使用して、多くの型の細胞と相互作用する。たいていのがん細胞は、NK細胞の活性化受容体と会合し、そのことが、それの自然殺傷応答を引き起こす。
【0004】
米国特許出願公開第20210260115号は、NK細胞機能及び樹状細胞機能の両方を有する改変NK細胞、並びにそれを培養する方法を開示した。改変NK細胞を、がんを有する対象に投与した場合、インビボで、改変NK細胞は、対象において、腫瘍細胞を殺傷し、腫瘍関連抗原(TAA)をナイーブT細胞へ提示し、T細胞応答を送達する(図1)。しかしながら、培養工程の前に、CD3-CD14-CD19-単核細胞のネガティブ選択の工程が必要とされ、そのことは、低い細胞収率のために、高いコスト及び複雑な製造方法という問題をもたらしている。それでもなお、インビボで改変NK細胞によって誘導されるTAA特異的CD8 T細胞の効力への不確実性も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第20210260115号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Remington's Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company社、Easton、Paの第21版
【非特許文献2】Sonderstrup、Springer、Sem. Immunopathol. 25巻:35~45頁、2003年
【非特許文献3】Nikulaら、Inhal. Toxicol. 4(12j:123~53頁、2000年
【非特許文献4】PLoS ONE、2017、DOI: 10.1371/journal.pone.0186998
【非特許文献5】Sig Transduct Target Ther、2021、DOI: 10.1038/s41392-021-00589-1
【非特許文献6】Med Microbiol Immunol、2019、DOI: 10.1007/s00430-019-00608-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
がんについての有効な処置及び/又は予防に対する満たされていない必要性が依然として存在するので、これらの知見は、がん細胞に対するNKに基づく療法、及び臨床適用のための大量の治療的に適格なNK細胞を作成する培養方法を開発するための論拠を支持する。本開示は、改変ナチュラルキラー細胞及び抗原特異的T細胞を含む医薬組成物、並びにその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当技術分野の緊急の必要性を考慮して、がんの処置において安全かつ有効な、改変ナチュラルキラー(NK)細胞及び抗原特異的T細胞を含む医薬組成物を製造する方法が、本明細書で提供される。加えて、改変NK細胞及び抗原特異的T細胞は、低コストかつ高収率で製造することが容易である。
【0009】
1つの実施形態において、本開示は、がんを処置するための医薬組成物を製造する方法であって、
がんを有する対象から単核細胞を得る工程;
前記単核細胞を、IL-15、IL-12、及びIL-18を含む第1の培養培地と約1~6日間、接触させて、培養細胞集団を得る工程;並びに
前記第1の培養培地と接触させた後、前記培養細胞集団を、IL-15及びIL-12を含む第2の培養培地と約1~6日間、接触させる工程
を含み、CD3-CD19-CD14-のネガティブ選択が前記接触工程前の前記単核細胞に実施されない、方法を提供する。
【0010】
1つの実施形態において、本開示は、CD45+CD3-CD19-CD14-の表現型を有する改変NK細胞; 4-1BB+CD8+の表現型を有する抗原特異的T細胞;及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。好ましい実施形態において、改変NK細胞は、CD56hiCD16dimNKG2D+CD11c+CD86+HLA-DR+CD83-HLA-ABC+の表現型を更に含むことができ、すなわち、改変NK細胞は、CD45+CD3-CD19-CD14-CD56hiCD16dimNKG2D+CD11c+CD86+HLA-DR+CD83-HLA-ABC+の表現型を含むことができる。実施形態において、抗原特異的T細胞は、CD25hiCD27-CD28-の表現型を更に含むことができる。別の実施形態において、抗原特異的T細胞は、パーフォリンdimグランザイムBdimCD107a+TNF-α+IFN-γdimの表現型を含むことができる。好ましい実施形態において、改変NK細胞は、CD25hiCD27-CD28-4-1BB+パーフォリンdimグランザイムBdimCD107a+TNF-α+IFN-γdimの表現型を更に含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載された方法により製造される医薬組成物を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態は、がん細胞を処置する方法であって、有効量の本明細書に記載される医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0013】
好ましい実施形態において、有効量は、用量あたり約l×103~約l×109個細胞でありうる。
【0014】
好ましい実施形態において、改変NK細胞又は抗原特異的T細胞は、自己又は同種異系でありうる。
【0015】
好ましい実施形態において、改変NK細胞又は抗原特異的T細胞は、末梢血、臍帯血又は骨髄に由来することができる。
【0016】
好ましい実施形態において、方法は、改変NK細胞を抗原特異的T細胞と共にインビトロで増殖させる工程を更に含むことができる。
【0017】
好ましい実施形態において、第1の培養培地及び第2の培養培地は、造血細胞培地、好ましくはAIM-V培地を更に含むことができる。
【0018】
好ましい実施形態において、第1の培養培地及び第2の培養培地は、血清タンパク質、好ましくはヒト血小板溶解物を更に含むことができる。
【0019】
本明細書に記載される培養する方法は、固定量の試料、例えば10mLの血液からの多数の改変NK細胞の単離を可能にする。
【0020】
本出願の実施形態の実例を、以下の図面を参照して下記で詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、先行技術、米国特許出願公開第20210260115号においてのように、インビボで、腫瘍関連抗原(TAA)が、改変NK細胞によってCD8 T細胞へ提示されたことを図示する。改変NK細胞の養子細胞移植は、NK依存性細胞傷害性を媒介して、腫瘍細胞を殺傷し、結果として、腫瘍関連抗原(TAA)の遊離を生じる。それと同時に、改変NK細胞は又、腫瘍抗原を獲得し、TAAの完全スペクトルをCD8 T細胞へ提示し、結果的に、複数エピトープ腫瘍特異的CD8 T細胞増殖及び活性化を誘導する。これらの腫瘍特異的T細胞は更に、インビボで、腫瘍床部位へ遊走して、長期抗腫瘍T細胞応答を開始することができる。
図2図2は、インビボで、腫瘍関連抗原(TAA)が、改変NK細胞によってCD8 T細胞へ提示され、インビトロで、抗原特異的CD8 T細胞が、増殖され、処置されるべき患者へ養子的に戻されたことを図示する。医薬組成物は、改変NK細胞及び腫瘍特異的CD8 T細胞、すなわち、抗原特異的T細胞を含む。改変NK細胞は、インビボで、抗原提示細胞活性によって腫瘍特異的CD8 T細胞を活性化することができ、その腫瘍特異的CD8 T細胞は、改変NK細胞の製造において更に増殖させることができる。図1に記載されたものと比較して、本開示の養子細胞移植は、改変NK細胞の本来の特性を保持して、複数エピトープ腫瘍特異的CD8 T細胞活性化を駆動させる。加えて、それは又、インビトロで増殖した改変NK細胞駆動性CD8 T細胞を通して、ロバストな抗腫瘍細胞傷害性Tリンパ球(CTL)細胞応答を、送達する。この新規な医薬組成物の反復養子細胞移植は、最新の抗腫瘍免疫応答を送達することができる。
図3図3は、先行技術の方法及び本開示の方法に従って培養された改変NK細胞の絶対細胞数を図示する。
図4図4は、本開示の方法が、新鮮な末梢血単核細胞(PBMC)と比較して、CD8 T細胞集団を有意に増殖させたことを図示する。
図5A図5Aは、本開示の方法が有意に、CD8 T細胞集団を増殖させ、かつCD8のCD4に対する比を増加させたことを図示する。
図5B図5Bは、本開示の方法が有意に、CD8 T細胞集団を増殖させ、かつCD8のCD4に対する比を増加させたことを図示する。
図6図6は、本開示の方法が、抗原(Ag)特異的活性化誘導性マーカー(AIM)+CD8 T細胞を誘導したことを図示する。
図7図7は、本開示の方法が、Ag特異的T細胞表現型を発現するCD8 T細胞を誘導したことを図示する。
図8図8は、本開示の方法が、CD8 T細胞の脱顆粒を誘導したことを図示する。
図9図9は、本開示の方法が、パーフォリン、グランザイムB、CD107a、TNF-α、及びIFN-γを含む脱顆粒分子を送達するようにCD8 T細胞を誘導したことを図示する。
図10図10は、本開示の方法に従って製造された医薬組成物が、原発卵巣上皮がん(EOC)細胞に対して殺腫瘍性活性を示したことを図示する。
図11図11は、本開示の方法に従って製造された医薬組成物が、原発卵巣上皮がん(EOC)細胞に対して殺腫瘍性活性を示したことを図示する。
図12図12は、医薬組成物を製造する方法の実施形態に従うフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示の前述及び他の態様を、ここに、本明細書に記載される他の実施形態に関してより詳細に説明する。本発明が、異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施態様に限定して解釈されるべきではないことが理解されるべきである。むしろ、これらの実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に十分伝えるように提供される。
【0023】
本明細書の本発明の説明において使用される専門用語は、具体的な実施例を説明する目的のためだけのものであって、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に他を指示しない限り、同様に複数の形態を含むことが意図される。
【0024】
本明細書において使用される場合、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、「含有する(containing)」、「によって特徴付けられる(characterized by)」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含に及び、明示的に指示される任意の限定の支配下にあることが意図される。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス又は方法は、これらの要素のみに必ずしも限定されないが、明白にリストされていない、又はそのような組成物、混合物、プロセス若しくは方法に固有の他の要素を含むことができる。
【0025】
「からなる」という移行句は、明記されていない任意の要素、工程又は成分を除外する。特許請求の範囲では、そのような移行句は、それらに元々関連する不純物を除き、列挙されたもの以外の材料の包含に対して請求項をクローズにするであろう。「からなる」という句が、プレアンブルの直後よりもむしろ請求項のボディの節に現れる場合、これは、その節に記載された要素のみを限定し、他の要素は、全体として請求項から除外されない。
【0026】
出願人が、「含む(comprising)」等のオープンエンドの用語で本発明又はその一部を定義している場合、(他に規定されない限り)その説明が「からなる」という用語を使用してそのような発明も記載すると解釈されるものとすることが理解されるべきである。
【0027】
本明細書の全ての数は、「約」によって修飾されているものとして理解されうる。本明細書において使用される場合、「約」という用語は、値が、例えば、値を決定するために用いられる測定デバイス、方法についての固有の誤差の変動、又は研究対象間に存在する変動を含むことを示すために使用される。典型的には、この用語は、状況に応じて、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%若しくは20%、又は1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%若しくは20%未満の変動性を包含することを意味する。
【0028】
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、選択肢のみを指すか又は選択肢が互いに排他的であることが明示的に指示されない限り、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、選択肢のみ、及び「及び/又は」を指すという定義を支持する。
【0029】
「対象」は、本明細書において使用される場合、例えば、がんを有している若しくはがんが発生していると診断されたか、又はその疑いがある哺乳動物対象を含む、動物を指す。実施形態において、「対象」という用語は、がんを有する脊椎動物、又はがん処置を必要とするとみなされた脊椎動物を指すことができる。対象としては、温血動物、例えば、哺乳動物、例えば霊長類、より好ましくはヒトが挙げられる。非ヒト霊長類も同様に対象である。対象という用語は、家畜動物、例えば、ネコ、イヌ、類人猿等、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ等)、及び実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、スナネズミ、モルモット等)が挙げられる。そのため、獣医学的使用及び医学製剤が本明細書で企図される。
【0030】
「投与する」又は「投与」は、本明細書において、本出願のNK細胞又は医薬組成物を対象に提供することを言う。例として、限定されないが、投与は、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹内、嚢内、軟骨内、空洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頸管内、胃内、肝臓内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑膜内、胸腔内、子宮内、膀胱内、ボーラス、経膣、直腸、頬側、舌下、鼻腔内、及び経皮により行うことができる。例えば、注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、又は筋肉内(i.m.)注射によって行うことができる。1つ又は複数のそのような経路を用いることができる。非経口投与は、例えば、ボーラス注射によって、又は経時的なゆっくりとした灌流によってでありうる。代替的に、又は同時に、投与は、経口経路によってであってもよい。
【0031】
「処置する」又は「処置」という用語の使用は、本明細書において、障害、障害の症状、障害に続発する疾患状態若しくは障害になりやすい傾向を治癒、軽減、緩和、是正、予防又は回復する目的で、NK細胞又は医薬組成物の対象への投与を言う。「阻害する」、「低減する」若しくは「予防」という用語、又はこれらの用語の任意の変形は、特許請求の範囲及び/又は明細書で使用される場合、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0032】
本出願の医薬組成物によって処置することができる「がん」としては、口腔及び咽頭(唇、舌、唾液腺、口腔底部、歯肉及び他の口、鼻咽頭、扁桃腺、中咽頭、下咽頭、他の口/咽頭)のがん;消化器系(食道;胃;小腸;結腸及び直腸;肛門、肛門管及び肛門直腸;肝臓;肝内胆管;胆嚢;他の胆管;膵臓;後腹膜;腹膜、網及び腸間膜;他の消化器)のがん;呼吸器系(鼻腔、中耳及び洞;喉頭;肺及び気管支;胸膜;気管、縦隔及び他の呼吸器)のがん;中皮腫;骨及び関節;並びに心臓を含む軟組織のがん;黒色腫及び他の非上皮性皮膚がんを含む皮膚がん;カポジ肉腫及び乳がん;女性生殖器系(子宮頸;子宮体;子宮、卵巣;腟;外陰部;及び他の女性生殖器)のがん;男性生殖器系(前立腺;精巣;陰茎;及び他の男性生殖器)のがん;泌尿系(膀胱;腎臓及び腎盂;尿管;並びに他の泌尿器)のがん;眼及び眼窩のがん;脳及び神経系(脳;及び他の神経系)のがん;内分泌系(甲状腺、及び胸腺を含む他の内分泌腺)のがん;リンパ腫(ホジキン病及び非ホジキンリンパ腫)、多発性骨髄腫、並びに白血病(リンパ球性白血病;骨髄性白血病;単球性白血病;及び他の白血病)を含む部位によって分類されたものが挙げられる。
【0033】
本出願による治療用組成物のための好適な標的でありうる組織型によって分類される他のがんとしては、限定されるものではないが、悪性の新生物;癌腫、他に特定されない(NOS);未分化型の癌腫、NOS;巨細胞及び紡錘細胞癌;小細胞癌、NOS;乳頭癌、NOS;扁平上皮癌、NOS;リンパ上皮癌;基底細胞癌、NOS;ピロマトリックス癌;移行上皮癌、NOS;乳頭移行上皮癌;腺癌、NOS;悪性のガストリノーマ;胆管細胞癌;肝細胞癌、NOS;混合型肝細胞癌及び胆管細胞癌;小柱状腺癌;腺様嚢胞癌;腺腫性ポリープにおける腺癌;家族性大腸ポリポーシスの腺癌;固形癌腫、NOS;悪性のカルチノイド腫瘍;細気管支肺胞上皮腺癌;乳頭腺癌、NOS;嫌色素性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;好塩基性癌;明細胞腺癌、NOS;顆粒細胞癌;濾胞状腺癌、NOS;乳頭及び濾胞状腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌(Endometroid carcinoma);皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳道腺癌;粘膜表皮癌;嚢胞腺癌、NOS;乳頭状嚢胞腺癌、NOS;乳頭状漿液性嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌、NOS;粘液腺癌;印環細胞癌;浸潤性腺管癌;髄様癌、NOS;小葉癌;炎症性乳癌;乳房のパジェット病;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生を伴う腺癌;悪性の胸腺腫;悪性の卵巣間質性腫瘍;悪性の莢膜細胞腫;悪性の顆粒膜細胞腫;悪性のセルトリ間質細胞腫瘍;セルトリ細胞癌;悪性のライディッヒ細胞腫;悪性の脂質細胞腫瘍;悪性の傍神経節腫;悪性の乳房外傍神経節腫;褐色細胞腫;血管球血管肉腫;悪性黒色腫、NOS;メラニン欠乏性黒色腫;表在拡大型黒色腫;巨大色素性母斑における悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;悪性の青色母斑;肉腫、NOS;線維肉腫、NOS;悪性の線維性組織球腫;粘液肉腫;脂肪肉腫、NOS;平滑筋肉腫、NOS;横紋筋肉腫、NOS;胎児性横紋筋肉腫;胞巣状横紋筋肉腫;間質肉腫、NOS;悪性の混合腫瘍、NOS;ミュラー混合腫瘍;腎芽細胞腫;肝芽腫;癌肉腫、NOS;悪性の間葉腫;悪性のブレンナー腫瘍;悪性の葉状腫瘍;滑膜肉腫、NOS;悪性の中皮腫;未分化胚細胞腫;胚性癌腫、NOS;悪性の奇形腫、NOS;悪性の卵巣甲状腺腫;絨毛癌;悪性の中腎腫;血管肉腫;悪性の血管内皮腫;カポジ肉腫;悪性の血管周囲細胞腫;リンパ管肉腫;骨肉腫、NOS;傍骨性骨肉腫;軟骨肉腫、NOS;悪性の軟骨芽細胞腫;間葉性軟骨肉腫;骨の巨細胞腫;ユーイング肉腫;悪性の歯原性腫瘍;エナメル上皮肉腫;悪性のエナメル上皮腫;エナメル上皮線維肉腫;悪性の松果体腫;脊索腫;悪性の神経膠腫;上衣腫、NOS;星状細胞腫、NOS;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;神経膠芽腫、NOS;乏突起神経膠腫、NOS;乏突起膠腫;原始神経外胚葉性腫瘍;小脳肉腫、NOS;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫、NOS;網膜芽細胞腫、NOS;嗅神経原性腫瘍;悪性の髄膜腫;神経線維肉腫;悪性の神経鞘腫;悪性の顆粒細胞腫;悪性リンパ腫、NOS;ホジキン病、NOS;ホジキン;側肉芽腫、NOS;小リンパ球性悪性リンパ腫;びまん性の大細胞悪性リンパ腫;濾胞性悪性リンパ腫、NOS;菌状息肉腫;他の特異的非ホジキンリンパ腫;悪性組織球増殖症;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病、NOS;リンパ性白血病、NOS;形質細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞性白血病;骨髄性白血病、NOS;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病、NOS;肥満細胞性白血病;巨核芽球性白血病;骨髄性肉腫;並びにヘアリー細胞白血病が挙げられる。
【0034】
「有効量」は、本明細書において使用される場合、限定されるものではないが、体重減少、痛み、又は触診可能な塊として臨床的に又は様々な画像手段により放射線学的に検出可能な腫瘍量を含む、がんの症状及び徴候を低減するために十分な改変NK細胞又は医薬組成物の用量を指す。
【0035】
ある特定の実施形態において、腫瘍若しくはがん病変のサイズを限定、低減又は回復することが望ましい。投与の経路は、当然ながら標的にされる病変又は部位の場所及び性質により変わり、例えば、局部、非経口、静脈内、筋肉内及び/又は全身の投与並びに製剤を含む。直接注射、又は器官若しくは組織への及びそこからの並びにその内部の脈管構造若しくは血管への注射は、標的領域について具体的に企図される。局所、局部又は全身投与も適切でありうる。
【0036】
本明細書の開示において、FACS/フローサイトメトリー分析を使用する細胞表面抗原の発現レベル又は表面密度をTable 1(表1)に定義する。Table 1(表1)における様々な発現レベルについての解釈は、細胞表面抗原の発現レベルを定義する例である。フローサイトメトリーのシグナルレベルの強度が、以下の因子:フローサイトメトリー、ソフトウェア及び使用される抗体の異なるバッチにより変わることに留意すべきである。
【0037】
【表1】
【0038】
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において引用される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、参考文献が提示される文章及び/又は段落に関する教示についてそれらの全体が参照により組み込まれる。
【0039】
改変NK細胞及び抗原特異的T細胞
天然に存在するNK細胞又は従来のNK細胞は、CD16+CD56+表現型を有する。1つの実施形態において、天然に存在するNK細胞又は従来のNK細胞は、Table 2(表2)において説明されるように、CD3-CD14-CD19-CD56+CD16+NKG2D+CD11cdim表現型を有する。天然に存在するT細胞又は従来のT細胞は、CD3+CD56+表現型を有する。1つの実施形態において、天然に存在するT細胞又は従来のT細胞は、Table 3(表3)において説明されるように、CD3+CD14-CD19-CD56+表現型を有する。
【0040】
1つの実施形態において、本出願は、Table 2(表2)において説明されるように、CD3-CD19-CD14-CD56hiCD16dimNKG2D+CD11c+CD86+HLA-DR+CD83-細胞表現型を含む改変NK細胞を提供する。本出願の改変NK細胞は、天然に存在しない。改変NK細胞は、完全に活性化された樹状(DC)細胞表面抗原(例えば、HLA-DR及びCD86)の1つ又は複数を含み、NK細胞機能及びDC細胞機能の両方、並びに増強された抗がん活性をもつ。
【0041】
【表2】
【0042】
1つの実施形態において、本出願は、Table 3(表3)において説明されるように、CD3+CD14-CD19-CD56+CD25hiCD27-CD28-4-1BB+パーフォリンdimグランザイムBdimCD107a+TNF-α+IFN-γdim細胞表現型を含む抗原特異的T細胞を提供する。本出願の抗原特異的T細胞は天然に存在しない。抗原特異的T細胞は、4-1BB又はCD25等の、天然に存在するT細胞上に発現しないマーカーの1つ又は複数を含む。
【0043】
【表3】
【0044】
具体的には、本出願は、CD16dimCD56hi表現型を含む改変NK細胞であって、前記CD16dimCD56hi NK細胞が、CD83細胞表面抗原を含まない(CD16dimCD56hiCD83-の表現型を有する)、改変NK細胞を提供する。
【0045】
1つの実施形態において、細胞表面抗原の発現レベル又は表面密度は、改変NK細胞又は抗原特異的T細胞を、蛍光色素がタグ化された特異的抗ヒトモノクローナル抗体(例えば、CD86-PE(Beckman Coulter社;カタログ番号IM2729U)又は抗ヒトCD83-PE-Cy5(BioLegend社;カタログ番号305310)に曝露し、それに続いてフローサイトメーター(例えば、Navios、Beckman Coulter, Inc.社、米国から商業的に入手可能)を使用して改変NK細胞又は抗原特異的T細胞を分類することによって定量化される。
【0046】
改変NK細胞又は抗原特異的T細胞は、単一の個体から、例えば、自己又は同種異系で作成することができる。
【0047】
医薬組成物
1つの実施形態において、本出願は、本明細書に記載された改変NK細胞及び抗原特異的T細胞、並びに薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。1つの実施形態において、改変NK細胞及び抗原特異的T細胞は、単核細胞、例えば、末梢血単核細胞(PBMC)から一緒に製造される。
【0048】
本出願は、がん細胞を阻害するのに有効な量で、本医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することによるがん細胞を阻害する方法も提供する。任意の特定の理論によって拘束されないが、本医薬組成物は、抗原特異的T細胞、及びNK細胞/DC細胞機能:細胞傷害性を増強すること、がん特異的Tリンパ球増殖を刺激すること、又はIFN-γ分泌のうちの1つ又は複数を有する改変NK細胞により、がん細胞を阻害すると考えられる。
【0049】
本医薬組成物又は改変NK細胞の投与の経路としては、限定されるものではないが、静脈内、筋肉内、皮下、経口、局所的、皮内、経皮、皮下、非経口、直腸、脊髄、又は表皮投与が挙げられる。1つの実施形態において、改変NK細胞は、静脈内注射又は注入によって投与される。
【0050】
本出願の医薬組成物は、液状の溶液若しくは懸濁液のいずれかで注射可能として、又は注射の前に液状媒体中の溶液若しくは懸濁液に好適な固形形態として調製することができる。
【0051】
本改変NK細胞及び抗原特異的T細胞は、哺乳動物対象への送達のために医薬組成物に製剤化される。医薬組成物は、単独で、及び/又は薬学的に許容される媒体、賦形剤若しくは担体と混合して投与される。好適な媒体は、例えば、食塩水(例えば、生理食塩水)、デキストロース、グリセロール、多血小板血漿(PRP)等、及びそれらの組合せである。加えて、媒体は、小量の補助物質、例えば、湿潤剤若しくは乳化剤、pH緩衝剤又はアジュバントを含有することができる。薬学的に許容される担体は、本出願の医薬組成物の吸収若しくはクリアランス速度を、例えば、安定化、又は増加若しくは減少するように作用する生理学的に許容される化合物を含有することができる。生理学的に許容される化合物としては、例えば、グルコース、スクロース若しくはデキストラン等の炭水化物、アスコルビン酸若しくはグルタチオン等の抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質、界面活性剤、リポソーム担体、又は賦形剤、或いは他の安定剤及び/若しくは緩衝剤を挙げることができる。他の生理学的に許容される化合物としては、湿潤剤、乳化剤、分散剤又は保存剤が挙げられる。例えば、Remington's Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company社、Easton、Paの第21版(「Remington's」)を参照されたい。本出願の医薬組成物は、付属物質、例えば、薬理学的作用物質、サイトカイン、又は他の生体応答修飾物質を含むこともできる。
【0052】
そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に公知であり、又は当業者に明らかであろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company社、Easton、Pennsylvania、第21版を参照されたい。
【0053】
本医薬組成物が予防的目的又は治癒的目的等のために使用されるかにかかわらず、本医薬組成物は、対象の年齢、体重及び状態、使用される特定の組成物、並びに投与の経路に対して適切なスケジュール及び所定期間にわたって、単一用量処置又は複数用量処置で投与することができる。例えば、1つの実施形態において、本出願による医薬組成物は、1か月に1回、1か月に2回、1か月に3回、1週間おき(qow)、1週間に1回(qw)、1週間に2回(biw)、1週間に3回(tiw)、1週間に4回(qiw)、1週間に5回、1週間に6回、1日おき(qod)、毎日(qd)、1日に2回(bid)、1日に3回(tid)、又は1日に4回(qid)投与される。
【0054】
本出願による医薬組成物の処置の期間、例えば、医薬組成物が投与される期間は、各種の因子、例えば、対象の応答等のいずれかに応じて変わりうる。例えば、医薬組成物は、約1秒若しくはそれよりも長く~1分若しくはそれよりも長く、1時間若しくはそれよりも長く~1日~約1週間、約2週間~約4週間、約1か月~約2か月、約2か月~約4か月、約4か月~約6か月、約6か月~約8か月、約8か月~約1年、約1年~約2年、又は約2年~約4年の範囲の期間、或いはそれよりも長くにわたって投与することができる。
【0055】
投与の容易さ及び投薬量の均一性のために、投薬単位形態の非経口医薬組成物に製剤化することが有利である。投薬単位形態は、本明細書において使用される場合、処置される対象に対する単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し、それぞれの単位は、必要な薬学的担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された改変NK細胞及び抗原特異的T細胞の所定量を含有する。
【0056】
細胞培養アッセイ及び動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用のための投薬量の範囲を処方するのに使用することができる。1つの実施形態において、そのような医薬組成物の投薬量は、毒性がほとんどないか又はないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる剤形及び利用される投与の経路に応じて、この範囲内で変わりうる。別の実施形態において、治療有効用量は、細胞培養アッセイから、最初に推定することができる。用量は、細胞培養において決定されるように、IC50(すなわち、症状の最大阻害の半分を達成する改変NK細胞及び抗原特異的T細胞の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて処方することができる。Sonderstrup、Springer、Sem. Immunopathol. 25巻:35~45頁、2003年。Nikulaら、Inhal. Toxicol. 4(12j:123~53頁、2000年。
【0057】
医薬組成物は、有効量の改変NK細胞及び抗原特異的T細胞を含有するように製剤化され、ここで、量は、処置される動物及び処置される状態に依存する。任意の特定の対象のための具体的な用量レベルは、具体的な改変NK細胞及び抗原特異的T細胞の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の回数、投与の経路、及び排出の速度、薬物の組合せ、並びに治療を受けている特定の疾患の重症度を含む各種の因子に依存する。本出願の医薬組成物の治療的又は予防的に有効な量の例示的な非限定的な範囲は、少なくとも用量あたり約l×103個細胞~用量あたり約l×109個細胞である。限定されるものではないが、用量あたり1×104、1×105、1×106、1×107、1×108又は1×109個細胞を含む他の投薬量も可能である。
【0058】
医薬組成物は、単独で、或いは別の治療剤、例えば、化学療法、放射線療法若しくは標的化療法、又はがんワクチンと組み合わせて投与することができる。
【0059】
医薬組成物を製造する方法
1つの実施形態において、改変NK細胞及び抗原特異的T細胞を製造する方法は図12において図示される。簡潔には、方法は、単核細胞を得る工程;前記単核細胞を、IL-15、IL-12、及びIL-18を含む第1の培養培地と約1~6日間、接触させて、培養細胞集団を得る工程;並びに前記第1の培養培地と接触させた後、前記培養細胞集団を、IL-15及びIL-12を含む第2の培養培地と約1~6日間、接触させる工程を少なくとも含み、ただし、CD3-CD19-CD14-のネガティブ選択が前記接触工程前の前記単核細胞に実施されない。
【0060】
好ましくは、改変NK細胞及び抗原特異的T細胞の選択又は産生のために本明細書で使用される単核細胞は、増殖培養のための初期細胞集団として、CD3-CD14-CD19-細胞のネガティブ選択が実施されていない、単核細胞である。
【0061】
本開示の1つの実施形態は、以下の細胞表面抗原: CD3、CD14、又はCD19のうちの1つ又は複数を試料における単核細胞から除去する工程を含まない、試料から初期細胞を同定するための方法を提供する。
【0062】
IL-12を含む組成物の培養時間は、改変NK細胞の機能のために重要でありうる。実施形態において、単核細胞は、1~12日間、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12日間、IL-12、例えばヒトIL-12とともに培養して、改変NK細胞を作成することができる。実施形態において、3、6、9、又は12日間、IL-12とともに培養された単核細胞は、類似の細胞収率及び表現型パターンを有する改変NK細胞を生じる。別の実施形態において、IL-12の長期、例えば12日間の曝露は、より少ない時間、例えば9日間のIL-12曝露での細胞と比較して、その培養細胞の細胞傷害性及び抗原提示細胞活性を増大させた。
【0063】
1つの実施形態において、細胞を培養するための組成物は、IL-18を更に含む。1つの実施形態において、IL-18の有効濃度は、約1~300ng/mL、例えば、50、100、150、200、250、300ng/mL等である。別の実施形態において、IL-18の有効濃度は、約10~約250ng/mL、又は10ng/mLの増分でそれらの間の任意の値若しくは値の範囲(例えば、約30ng/mL、約220ng/mL等)である。
【0064】
別の実施形態において、IL-18は、改変NK細胞の表現型パターン及び機能活性に対する効果を減らす。長期間のIL-18曝露は、細胞サイズ、表現型及び機能活性に対する逆の効果を有する場合がある。実施形態において、単核細胞を、1~12日間、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12日間、IL-18、例えば、ヒトIL-18とともに培養して、改変NK細胞を作成することができる。実施形態において、3、6、9又は12日間、IL-18とともに培養された単核細胞は、様々な表現型を有する改変NK細胞を生じる。別の実施形態において、IL-18の十分な、例えば6日間の曝露は、より少ない時間、例えば6日間のIL-18曝露での細胞と比較して、改変NK細胞の細胞サイズ、表現型、及び機能へ逆効果を生じる可能性がある。
【0065】
1つの実施形態において、単核細胞は、IL-18、IL-15及び/又はIL-12を含む培養組成物と接触する。別の実施形態において、単核細胞は、造血細胞培地(例えば、X-vivo 20)、IL-18、IL-15、IL-12及び血清タンパク質(例えば、ヒト血小板溶解物)から実質的になる組成物と混合することができる。更に別の実施形態において、単核細胞は、X-vivo 20、IL-18、IL-15、IL-12及びヒト血小板溶解物から実質的になる組成物と混合することができる。
【0066】
別の実施形態において、組成物は、造血細胞培地を更に含む。造血細胞培地の非限定的な例としては、X-vivo 10、X-vivo 15、X-vivo 20(Lonza社、スイスから商業的に入手可能)、及びAIM-V(ThermoFisher Scientific社、米国から商業的に入手可能)が挙げられる。
【0067】
更に別の実施形態において、組成物は、血清タンパク質、例えば、ヒト血小板溶解物を更に含む。本出願において、「血清タンパク質」は、輸送及び細胞活性の調節を含む多くの異なる機能を果たす血液又は血漿中に存在するタンパク質である。血清タンパク質の非限定的な例としては、酵素、補体成分、プロテアーゼ阻害剤、キニン前駆体、血清アルブミン、グロブリン、及びフィブリノーゲン等が挙げられる。
【0068】
細胞を培養するための組成物の非限定的な例としては、(a)造血細胞培地+IL-15+IL-18;(b)造血細胞培地+IL-15+IL-18;(c)造血細胞培地+IL-15+IL-12+IL-18;(d)X-vivo 20+IL-15+IL-18;(e)X-vivo 20+IL-12+IL-18;(f)X-vivo 20+IL-15+IL-12+IL-18;(g)AIM-V+IL-15+IL-18;(h)AIM-V+IL-12+IL-18;(i)AIM-V+IL-15+IL-12+IL-18;(j)造血細胞培地+IL-15+IL-18+血清タンパク質;(k)造血細胞培地+IL-12+IL-18+血清タンパク質;(l)造血細胞培地+IL-15+IL-12+IL-18+血清タンパク質;(m)X-vivo 20+IL-15+IL-18+血清タンパク質;(n)X-vivo 20+IL-12+IL-18+血清タンパク質;(o)X-vivo 20+IL-15+IL-12+IL-18+血清タンパク質;(p)AIM-V+IL-15+IL-18+血清タンパク質;(q)AIM-V+IL-12+IL-18+血清タンパク質;及び(r)AIM-V+IL-15+IL-12+IL-18+血清タンパク質が挙げられる。
【0069】
1つの実施形態において、培養培地は、37℃において5%CO2の存在下で、改変NK細胞及び抗原特異的T細胞を培養するために使用される。
【0070】
CD3-CD14-CD19-のネガティブ選択を含まない、本出願のいくつかの実施形態による方法は、改変NK細胞及び抗原特異的T細胞の収率を増強する。改変NK細胞の収率は、FACSによる単核細胞の純度及び生細胞計数によって決定された。細胞増殖についての他のアッセイ、例えば、クローン原性アッセイ、代謝アッセイ、及び直接増殖アッセイは、当技術分野において周知である。
【0071】
単核細胞及び培養培地の接触時間についての例示的な非限定的な範囲は、約1分~約1時間、約1時間~約24時間、約1日~約3日、約1日~約6日、約1日~約9日、約1日~約12日、約3日~約6日、約3日~約9日、約3日~約12日、約6日~約9日、約6日~約12日、又は少なくとも1日である。1つの実施形態において、接触時間は、約3日である。別の実施形態において、接触時間は、約6日である。
【0072】
1つの実施形態において、単核細胞は、IL-15、IL-12、及びIL-18を含む第1の培養培地と接触し;続いて、IL-15及びIL-12を含む第2の培養培地と接触する。別の実施形態において、第1及び第2の培養培地は、AIM-V又はX-vivo等の造血細胞培地及び/又はヒト血小板溶解物等の血清タンパク質を更に含む。
【0073】
1つの実施形態において、改変NK細胞及び抗原特異的T細胞は、以下の工程により製造することができる:
(a) 0日目に、l×l06/mL 単核細胞を、AIM-V培地、HPL(濃度:4%w/w)、IL-15(濃度:30ng/mL)、IL-12(濃度:3ng/mL)、及びIL-18(濃度:50ng/mL)を含む組成物と接触させる工程、
(b)6日目に、工程(a)における初期細胞の半分を回収及び遠沈し、続いて、細胞ペレットを、AIM-V培地、HPL、IL-15、及びIL-12を含む組成物で再懸濁する工程、
(c)12日目に、工程(b)における培養細胞の全てを収集する工程。
【0074】
任意選択で、細胞を培養するための組成物を、例えば、3日目及び9日目に、0日目及び6日目、それぞれにおける同じ構成成分を有する新鮮な培地と、交換してもよく、初期細胞を以下の通り、培養してもよい:
(a) 0日目に、l×l06/mL 単核細胞を、AIM-V培地、HPL(濃度:4%w/w)、IL-15(濃度:30ng/mL)、IL-12(濃度:3ng/mL)、及びIL-18(濃度:50ng/mL)を含む組成物と接触させる工程、
(b)3日目に、AIM-V培地、HPL、IL-15、IL-12、及びIL-18を含む組成物と培地を交換する工程、
(c)6日目に、工程(b)における培養細胞の半分を回収及び遠沈し、続いて、細胞ペレットを、AIM-V培地、4%w/w HPL、30ng/mLのIL-15、及び3ng/mLのIL-12を含む組成物で再懸濁する工程、
(d)9日目に、AIM-V培地、HPL、IL-15、及びIL-12を含む組成物と培地を交換する工程、
(e)12日目に、工程(d)における培養細胞の全てを収集する工程。
【0075】
或いは、細胞を培養するための組成物を、例えば、3日目及び9日目に、0日目及び6日目、それぞれにおける同じ構成成分を有する新鮮な培地と、交換してもよく、初期細胞を以下の通り、培養してもよい:
(a) 0日目に、l×l06/mL 単核細胞を、AIM-V培地、HPL(濃度:4%w/w)、IL-15(濃度:30ng/mL)、IL-12(濃度:3ng/mL)、及びIL-18(濃度:50ng/mL)を含む組成物と接触させる工程、
(b)3日目に、AIM-V培地、HPL、IL-15、IL-12、及びIL-18を含む組成物と培地を交換する工程、
(c)6日目に、工程(b)における培養細胞の半分を回収及び遠沈し、続いて、細胞ペレットを、AIM-V培地、4%w/w HPL、30ng/mLのIL-15、3ng/mLのIL-12、及び50ng/mLのIL-18を含む組成物で再懸濁する工程、
(d)9日目に、AIM-V培地、HPL、IL-15、IL-12、及びIL-18を含む組成物と培地を交換する工程、
(e)12日目に、工程(d)における培養細胞の全てを収集する工程。
【0076】
本発明を行うための具体的な態様の以下の実施例は、実例の目的のみのために提供されており、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【実施例0077】
(実施例1)
初期細胞の調製
40mLの末梢血を、健康なボランティアから、K2EDTAを含有する真空管に収集した。血液試料を、等体積の事前に温めたリン酸緩衝食塩水(PBS)(Biological Industries社、イスラエル)と混合した。40mLの希釈された末梢血アリコートを、50mLの遠心分離管に入れ、10mLの事前に温めたFicoll-Paque(商標)PREMIUMを加えた。遠心分離管を、2000rpm、室温で30分間遠心分離した。界面層の単核細胞を収集し、PBSで1回洗浄した。細胞ペレットを、106細胞/100mL MACSバッファーの密度へ再懸濁した。
【0078】
(実施例2)
改変NK細胞及び抗原特異的T細胞の培養
実施例1からの単核細胞を、4%HPL、hIL-15(0、3、6、9日目)、3ng/ml hIL-12(0、3、6、9日目)、及びhIL-18(0、3、6日目)を含有するAIM-V培地中で12日間、培養した。総細胞計数及び生存率を、トリパンブルー色素排除により決定した。以下の式により絶対細胞数が計算された。
【0079】
結果: Table 3(表3)及び図3に示されているように、先行技術における富化工程は、製造のための初期細胞の数を有意に低下させた。改変NK細胞の純度はより高いものの、先行技術の改変NK細胞の絶対細胞数は、本開示の改変NK細胞のそれのたった5分の1である。他方、本開示の方法に関して、製造は、図4図5A、及び図5Bに示されているように、CD8 T細胞集団を有意に増殖させた。
【0080】
【表4】
【0081】
(実施例3)
Ag特異的CD8 T細胞
PBMCを、4%HPL、30ng/ml hIL-15(0、3、6、9日目)、3 ng/ml hIL-12(0、3、6、9日目)、及び50ng/ml hIL-18(0、3、6日目)を含有するAIM-V培地中で12日間、培養した。その製造物を、CD45-ECD、CD56-APC-Alexa Flour 700、CD3-APC-Alexa Flour 750、CD14-APC-Alexa Flour 750、CD19-APC-Alexa Flour 750、CD8-Krome Orange(Beckman Coulter社)、TCRαβ-FITC、4-1BB-PE、CD25-PE、CD28-PerCp-Cy5.5、CD4-PE-Cy7、TCRγδ-APC、CD27-Pacific Blue(Biolegend社)に対するmAbで染色した。Naviosフローサイトメーターによる試料取得及びKaluzaソフトウェア(Beckman Coulter社)によるデータ分析。統計解析を、スチューデントt検定を使用して実施し、結果を、P<0.05ならば有意とみなした。ns:有意ではない。*: P<0.05、**: P<0.01、***: P<0.001。
【0082】
結果:CD25(PLoS ONE、2017、DOI: 10.1371/journal.pone.0186998)、CD69、4-1BB (CD137)、IFN-γの上方制御(Sig Transduct Target Ther、2021、DOI: 10.1038/s41392-021-00589-1)、又はCD27及びCD28の下方制御(Med Microbiol Immunol、2019、DOI: 10.1007/s00430-019-00608-7)を含む、活性化誘導性マーカー(AIM)が、抗原特異的T細胞同定において使用される。図6及び図7に示されているように、本開示の製造の増殖したCD8 T細胞集団において、CD8 T細胞は、CD8 T細胞活性化を示す、活性化誘導性マーカー4-1BB及びCD25の上方制御並びに活性化誘導性マーカーCD27及びCD28の下方制御等のAg特異的T細胞表現型を発現した。AIMの発現は、PBMC中の新鮮なT細胞と比較して約4~170倍である。
【0083】
(実施例4)
CD8 T細胞の脱顆粒
PBMCを、4%HPL、30ng/ml hIL-15(0、3、6、9日目)、3ng/ml hIL-12(0、3、6、9日目)、及び50ng/ml hIL-18(0、3、6日目)を含有するAIM-V培地中で12日間、培養した。本開示の製造物を、CD56-APC-Alexa Flour 700、CD14-APC-Alexa Flour 750、CD19-APC-Alexa Flour 750(Beckman Coulter社)、パーフォリン-FITC、4-1BB-PE、CD107a-PE/Dazzle 594、IFN-γ-PerCp-Cy5.5、TNF-α-PE-Cy7、グランザイムB-Pacific Blue、CD3-BV510(Biolegend社)に対するmAbで染色した。Naviosフローサイトメーターによる試料取得及びKaluzaソフトウェア(Beckman Coulter社)によるデータ分析。統計解析を、スチューデントt検定を使用して実施し、結果を、P<0.05ならば有意とみなした。ns:有意ではない。*: P<0.05、**: P<0.01、***: P<0.001。
【0084】
結果:図8及び図9に示されているように、本開示に記載された製造において、CD8 T細胞は、パーフォリン、グランザイムB、CD107a、TNF-α、及びIFN-γ等の脱顆粒分子を送達するように誘導され、その脱顆粒分子は、PBMCにおける新鮮なT細胞と比較して約60倍である。
【0085】
(実施例5)
医薬組成物は抗腫瘍活性を実行した
改変NK細胞及び抗原特異的T細胞を、磁気ビーズによりそれぞれ、CD3+細胞及びCD56+細胞を除去することにより製造物から選別した。改変NK細胞及び抗原特異的T細胞の細胞傷害性の評価を、PanToxiluxキット(OncoImmunin, Inc.社)によって実施した。ヒト卵巣上皮がん(EOC)細胞は、標的細胞としての役割を果たし、TFL4で最適な濃度下、50分間、染色された。TFL-4標識標的細胞及び改変NK細胞又は抗原特異的T細胞をカスパーゼ基質とともに37℃で60分間、共インキュベートした。細胞を回収し、TFL-4+基質+のシグナルをフローサイトメトリーにより決定することにより細胞死を分析した。統計解析を、スチューデントt検定を使用して実施し、結果を、P<0.05ならば有意とみなした。ns:有意ではない。*: P<0.05、**: P<0.01、***: P<0.001。
【0086】
結果:図10及び図11に示されているように、カスパーゼ陽性標的細胞のパーセンテージ(改変NK細胞のみ又はAg特異的T細胞のみに関して)は、それぞれ、9.63%及び10.14%であり、一方、カスパーゼ陽性標的細胞のパーセンテージ(本開示の医薬組成物に関して)は、12.45%であり、改変NK細胞単独又はAg特異的T細胞単独と比較して少なくとも22.7%増加である。この結果は、患者から作成された、本開示の医薬組成物が、同じ患者由来の原発腫瘍細胞に対して殺腫瘍性活性を示したことを示している。
【0087】
【表5A】
【0088】
【表5B】
【0089】
【表5C】
【0090】
本発明の具体的な態様を、記載及び説明したが、そのような態様は、単に本発明の実例であって、添付の特許請求の範囲に従って解釈されるように本発明を限定するものではないとみなされるべきである。本明細書に引用された全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が、全ての目的で参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたかのように、全ての目的でそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。前述の発明は、理解の明確さの目的で実例及び実施例により幾らか詳細に記載したが、添付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明の教示を考慮してある特定の変更及び改変をそれらに行うことができることは、当業者に容易に明らかであろう。
【0091】
更なる詳細なしに、当業者は、上記の説明に基づいて、本発明をそれの最も完全な程度で利用することができると考えられる。したがって、以下の具体的な例は、単に実例として解釈されるべきであり、どんなものであれ、決して、本開示の残りの部分を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書で引用された全ての刊行物は、参照により組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】