(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117764
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】カテーテル装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20240822BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
A61B17/22
A61M25/14 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024022992
(22)【出願日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】18/171,234
(32)【優先日】2023-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524064449
【氏名又は名称】プロメディカ ヘルシー システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ピー.カシ ラマナサン
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン ジェイ.ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ダイアン エム.チェルシー
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160MM34
4C160MM36
4C267AA05
4C267AA14
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB06
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB26
4C267BB31
4C267BB39
4C267BB40
4C267BB43
4C267BB63
4C267CC08
4C267CC09
4C267CC19
4C267GG02
4C267GG21
4C267HH01
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】カテーテル装置を改良する。
【解決手段】カテーテル装置は、近位端から遠位端まで延びるハウジングと、ハウジングに不動に連結された、近位端から遠位端まで延びる固定管状部分と、ハウジングに連結された、近位端から遠位端まで延びる外側管状部材と、近位端から遠位端まで延びる内側管状部材とを有する。内側管状部材は、外側管状部材の内部内に摺動可能に受容され、固定管状区画の外部にわたって摺動可能に受容されている。内側管状部材は、外側管状部材の遠位端に対して内側管状部材の遠位端を選択的に伸長又は後退させるために、固定管状区画及び外側管状部材の各々に対して摺動するように構成されている。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル装置において、
前記カテーテル装置は、
近位端から遠位端まで延びるハウジングと、
近位端から遠位端まで延びる固定管状区画であって、前記固定管状区画の前記近位端は、前記ハウジングの前記近位端に隣接して前記ハウジングに連結されている、固定管状区画と、
近位端から遠位端まで延びる外側管状部材であって、前記外側管状部材の前記近位端は、前記ハウジングの前記遠位端に隣接して前記ハウジングに不動に連結されている、外側管状部材と、
近位端から遠位端まで延びる内側管状部材であって、前記外側管状部材の内部に摺動可能に受容され、前記固定管状区画の外部にわたって摺動可能に受容されている内側管状部材であって、前記内側管状部材の前記遠位端を前記外側管状部材の前記遠位端から遠位方向に選択的に伸長しかつ/又は前記内側管状部材の前記遠位端を前記外側管状部材の前記遠位端に向かって近位方向に後退させるように、前記内側管状部材は、前記固定管状区画及び前記外側管状部材の各々に対して摺動するように構成されており、前記固定管状区画は、前記内側管状部材の前記固定管状区画及び前記外側管状部材に対する摺動中において、前記ハウジングに対して予め定めた位置に固定されたままである、内側管状部材とを備える、カテーテル装置。
【請求項2】
前記固定管状区画が金属材料から形成されており、前記固定管状区画にわたって摺動するように構成された前記内側管状部材の第1の区画が熱硬化性ポリマーから形成されている、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項3】
前記熱硬化性ポリマーから形成されている前記内側管状部材の前記第1の区画が、熱可塑性ポリマーから形成されている前記内側管状部材の第2の区画に連結されている、請求項2に記載のカテーテル装置。
【請求項4】
前記内側管状部材の前記第1の区画が前記内側管状部材の前記第2の区画に連結されている、重ねジョイント部が形成されている、請求項3に記載のカテーテル装置。
【請求項5】
前記内側管状部材の第3の区画は、前記内側管状部材の第2の区画に連結されており、前記内側管状部材の前記第3の区画は、熱可塑性ポリマーから形成されたオーバーコート内に配置された補強編組を有する、請求項3に記載のカテーテル装置。
【請求項6】
前記熱硬化性樹脂ポリマーから形成された前記内側管状部材の前記第1の区画が、熱硬化性樹脂ポリマーから形成された前記外側管状部材の第1の区画内で摺動するように構成されている、請求項3に記載のカテーテル装置。
【請求項7】
前記内側管状部材が、第1の区画と、前記内側管状部材の前記第1の区画に対して前記内側管状部材の前記遠位端に向かって配置された第2の区画とを有し、前記内側管状部材の前記第2の区画が、前記内側管状部材の前記第1の区画よりも低い曲げ剛性を有し、前記外側管状部材が、第1の区画と、前記外側管状部材の前記第1の区画に対して前記外側管状部材の前記遠位端に向かって配置された第2の区画とを有し、前記外側管状部材の前記第2の区画が、前記外側管状部材の前記第1の区画よりも低い曲げ剛性を有する、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項8】
前記内側管状部材が前記遠位方向に摺動させられるとき、前記外側管状部材の前記遠位端を越えて延びる前記内側管状部材の一部の長さが増し、前記内側管状部材が前記遠位方向に摺動させられるとき、前記内側管状部材の一部の長さが低減し、前記内側管状部材が前記遠位方向に摺動させられるとき、前記固定管状区画の内部と前記内側管状部材の内部との協働によって形成されている内側管腔空間の長さが増大する、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項9】
前記内側管状部材は、前記固定管状区画の半径方向外側に直接的に配置され、前記内側管状部材は、前記固定管状区画にわたって受容され、前記外側管状部材は、前記内側管状部材の半径方向外側に直接的に配置され、前記内側管状部材は、前記外側管状部材内に受容されている、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項10】
前記外側管状部材は、前記近位端と前記遠位端との間で柔軟性が変化し、前記内側管状部材は、前記近位端と前記遠位端との間で柔軟性が変化する、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項11】
前記内側管状部材の前記遠位端は、前記内側管状部材の半径方向内向きテーパ状区画の端部に形成されており、前記内側管状部材の前記半径方向内向きテーパ状区画は、筒状構造の遠位端が前記内側管状部材の前記遠位端を越えて遠位方向に伸長されるときに前記内側管状部材の内部を通って延びる筒状構造の外面を柔軟に把持するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項12】
前記外側管状部材の前記遠位端は、前記外側管状部材の半径方向内向きテーパ状区画の前記端部に形成されており、前記外側管状部材の前記半径方向内向きテーパ状区画は、前記内側管状部材の前記遠位端が前記外側管状部材の前記遠位端を越えて遠位方向に伸長されるときに前記内側管状部材の外面を柔軟に把持するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項13】
前記内側管状部材は、第1の区画と第2の区画とを有し、前記内側管状部材の前記第1の区画の内面は、その端部分で半径方向外向きに先細りしており、前記内側管状部材の前記第1の区画と前記第2の区画との間に重ねジョイント部が形成されており、前記内側管状部材の前記第2の区画の第1の部分は、熱接合処理中に前記内側管状部材の前記第1の区画の前記内面の前記端部分の半径方向内向きに流れる、請求項1に記載のカテーテル装置。
【請求項14】
前記重ねジョイント部は、前記内側管状部材の前記第1の区画にわたって半径方向外向きに流れる、前記内側管状部材の前記第2の区画の第2の部分をさらに有する、請求項13に記載のカテーテル装置。
【請求項15】
前記重ねジョイント部の形成に続いて、前記内側管状部材の前記第1の区画の前記内面と前記内側管状部材の前記第2の区画の前記内面との協働によって連続面が形成されている、請求項13に記載のカテーテル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年6月6日に出願された米国仮出願第62/857,998号の優先権を主張する、2020年6月8日に出願された米国特許出願第16/894,966号の一部継続出願である、2023年2月17日に出願された米国特許出願公開第2023/0201531号の優先権を主張する。上記に列挙された出願の各々の全開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、その遠位構成の改善された制御を提供するガイド伸長カテーテルを有する、カテーテル装置に関する。
【背景技術】
【0003】
この欄の記載は、必ずしも従来技術ではない本開示に関連する背景技術の情報を提供する。
【0004】
ガイドカテーテルは、世界で毎年実施されている約300万件の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の手術のほぼ全てで使用されている。経皮的冠動脈インターベンションの手術は、血液で心臓に栄養を与える冠動脈の閉塞物を除去することを意図している。閉塞した動脈が重度の場合は、その閉塞を治療せずに放置すると、取り返しのつかない心筋障害や脳卒中や死に至ることがある。ガイドカテーテルは、操作者が血管閉塞を治療しかつ心臓への血流を回復するために血管形成バルーン又は冠動脈ステントなどの治療装置を送達できるように、PCI中に冠動脈にアクセスするように設計されている。ガイドカテーテルの性能は、PCI手術の成功にとって重要である。
【0005】
ガイドカテーテル、ガイドワイヤ、及び、バルーンカテーテルに取り付けられたステントが、PCIの主要な器具である。使用される適所の装置は他にもあるが、前述の3つの装置は、今日、ほとんど全てのPCI手術で使用されている。冠状動脈ガイドワイヤ及びステントの設計における多大な改善が数年にわたって行われてきたが、ガイドカテーテルの設計における進歩は、せいぜい最小限であった。
【0006】
同時に、ガイドカテーテルの直径は、20年前の2.33mm(7Fr)又は2.67mm(8Fr)から、今日では1.67mm(5Fr)又は2mm(6Fr)に低減している。直径が小さいことによって、鼠径部付近又は腕の血管アクセス部位における複雑さを軽減するのに役立つ。
【0007】
しかしながら、ガイドカテーテルの寸法を低減する際の望ましくない結果は、支持の低減である。本明細書で使用する際の支持という語は、例えば冠動脈口又はその付近でのガイドカテーテルの位置決めの安定性を表す。ガイドワイヤ及びステントが治療部位に送達されうるように、ガイドカテーテルが予め定めた位置に留まることが必須である。支持の損失により、例えば、操作者がガイドワイヤ又はステントを例えば冠状動脈の病変部まで前進させようとするときに、ガイドカテーテルが冠状動脈口付近の位置から後退する状況となる。この状況となった場合、操作者は、閉塞部を治療しないように注意を払い、ガイドカテーテルを冠状動脈口付近の適切な位置に復元しようとしなければならない。多くの場合、ガイドカテーテルのバックアウト(脱退)は、同じ手術中に繰り返し再発し、操作者の欲求不満及び手術時間の延長につながる。加えて、冠状動脈における又は冠状動脈内でのカテーテル操作の繰り返しによって、血管への損傷をもたらす可能性があり、これは、患者に有害な合併症を引き起こす可能性がある。
【0008】
ガイド伸長カテーテルの概念、言い換えれば、ガイドカテーテル支持を強化するために外側カテーテル内に同心円状に配置された内側カテーテルの概念は、以前に探求されている。非特許文献1(高橋氏らによる「6フレンチガイディング冠動脈カテーテルのバックアップサポートを増す新手法(New Method to Increase a Backup Support of 6 French Guiding Coronary Catheter)」、カテーテル治療と心血管インターベンション(Catheterization and Cardiovascular Interventions)第63巻、第452頁~第456頁、2004年発行))において、従来の2mm(6Fr)外側ガイドカテーテル内の内側ガイドカテーテル伸長部の追加支持を測定するデータを公表した。この非特許文献1の研究では、カテーテル支持を評価するために、内側カテーテルの遠位端を、外側カテーテルの遠位端を越えて、冠状血管のモデルへと伸長させた。その結果、上記構成によって支持を改善し、1.67mm(5Fr)内側カテーテル及び2mm(6Fr)外側カテーテルのシステムによって比較的に大きなガイドカテーテルの支持量を超えることを可能にしたことを実証した。
【0009】
当技術分野における多くの装置は、ガイドカテーテル伸長装置を超える用途のために、2イン1のカテーテル概念をより広く使用する。例えば、ボウ(Bowe)氏による特許文献1(米国特許第7717899号明細書)及び特許文献2(米国特許第8401673号明細書)は、外側カテーテルに対して内側カテーテルを回転及び並進させることによって、カテーテル先端の形状を変化させることを教示している。さらに、スタイズ(Stys)氏及びゲイナー(Gainor)氏による特許文献3(米国特許出願公開第2008/0172036号明細書)及び特許文献4(米国特許出願公開第2015/0119853号明細書)は、複数のカテーテルの一方の回転及び軸線方向の位置を他方のカテーテルに対して操作することによって形状及び先端の剛性を変化させることができる2イン1カテーテルを記載している。しかしながら、2つの別個の非一体型カテーテルを有することは、使用時に面倒な作業を必要とする。
【0010】
また、ルート(Root)氏らによる特許文献5(米国再発行特許第45776号明細書)による別の2イン1カテーテル概念は、短い管状部材に取り付けられたプッシュロッドを利用する迅速交換型の構造を利用する。この装置は、支持を強化するために、ガイドカテーテルの遠位端を越えて冠状動脈内に延びる。しかしながら、ガイドカテーテル伸長装置の使用によって、手術に追加の装置を導入し、著しいコストを追加し、手術時間を増大させる。加えて、別個の伸長装置は、ガイドカテーテルの管腔内の空間を占め、他の装置に利用可能な空間を低減する。重要なことに、米国食品医薬品局の製造業者及び使用者設備機器エクスペリエンス(MAUDE)データベースに報告されているように、伸長装置は血管外傷を引き起こすことが報告されている。
【0011】
上述のような別個のガイド伸長カテーテルを使用することで、改善されたガイドカテーテル支持を提供することができる。しかしながら、このようなアプローチは、全長カテーテルを使用するか又はプッシュロッド要素を有するより短い迅速交換装置を使用するかにかかわらず、本質的には、一時的な解決策である。したがって、カテーテル直径の低減の改善を維持しつつ不十分な支持を克服するために、ガイドカテーテル設計を改善する必要性が残っている。支持を強化することは、別個のガイド伸長カテーテルを利用する頻繁な必要性を排除又は低減する。
【0012】
経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)手術は、同様に、本明細書に記載されているものを超える用途において、このような2イン1カテーテル装置から利益を得ることができる。一体型のガイドカテーテル/ガイド伸長システムは、改善されたワークフローと、この複雑で困難な手術を実行するために必要とされている装置の数の減少とに加えて、同じ利点を提供する。
【0013】
したがって、使用者に、カテーテルの遠位構成を正確かつ迅速に変更するための、比較的簡単かつ比較的容易な一連の制御を提供するために、ガイド伸長カテーテルをより洗練された形で一体化する必要性が依然として存在する。このような装置は、当技術分野において現在利用可能な製品及び技術で頻繁に経験される不十分なガイドカテーテル支持の課題を、より効率的かつ費用効果的に解決するはずである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第7717899号明細書
【特許文献2】米国特許第8401673号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0172036号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/0119853号明細書
【特許文献5】米国再発行特許第45776号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】6フレンチガイディング冠動脈カテーテルのバックアップサポートを増す新手法
【発明の概要】
【0016】
本技術は、一体化されたガイド伸長機能及び改善された支持特性を有する冠状動脈カテーテルを有するカテーテル装置に関する、製造物品、システ及び処理を含む。
【0017】
外側管状部材と内側管状部材と制御機構とを有するカテーテル装置を構築及び使用する方法を提供する。外側管状部材は、近位端と、成形された遠位端とを有する。内側管状部材は、外側管状部材内に同軸に配置されたその少なくとも一部分を有し、内側管状部材は、近位端と遠位端とを有する。制御機構は、その内側管腔空間を密封するための手段を備えたハウジングを有する。制御機構は、外側管状部材の近位端及び内側管状部材の近位端に連結されている。制御機構は、内側管状部材の遠位端を外側管状部材の成形された遠位端から伸長及び後退させるように構成されている。内側管状部材の管腔は、閉塞されておらず、内側管状部材が患者内の所望の位置に配備されているときに、様々な器具、治療動作、及び、バルーン及びステントなどの装置の送達を可能にすることができる。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、カテーテル装置は、近位端から遠位端まで延びるハウジングを備える。固定管状区画は、近位端から遠位端まで延び、固定管状区画の近位端は、ハウジングの近位端に隣接するハウジングに連結されている。外側管状部材は、近位端から遠位端まで延び、外側管状部材の近位端は、ハウジングの遠位端に隣接するハウジングに不動に連結されている。内側管状部材は、近位端から遠位端まで延び、内側管状部材は、外側管状部材の内部内に摺動可能に受容され、固定管状区画の外部にわたって摺動可能に受容されている。内側管状部材は、内側管状部材の遠位端を外側管状部材の遠位端から遠位方向に選択的に伸長し、及び/又は、内側管状部材の遠位端を外側管状部材の遠位端に向かって近位方向に後退させるように、固定管状区画及び外側管状部材の各々に対して摺動するように構成されている。固定管状区画は、内側管状部材の固定管状区画及び外側管状部材に対する摺動中、ハウジングに対して予め定めた位置に固定されたままである。
【0019】
さらなる適用可能領域は、本明細書の記載から明らかになるであろう。この概要における記載及び特定の具体例は、例示のみを目的とするものであり、本開示の技術的範囲を限定することを意図するものではない。
【0020】
本明細書で記載されている図面は、選択された実施形態の例示のみを目的とし、全ての可能な実施形態ではなく、本開示の技術的範囲を限定することは意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1A】
図1Aは、内側管状部材は後退状態にある、患者の生体構造内に配置した本発明による一実施形態のカテーテル装置を示しており、患者の冠血管の囲まれた部分の拡大図を有する。
【
図1B】
図1Bは、内側管状部材が伸長状態にある、
図1Aによる実施形態のカテーテル装置を示し、本発明の一部ではない血管形成バルーンの非伸長状態から伸長状態への進行を示す、冠状血管の囲まれた部分の拡大図を有する。
【
図1C】
図1Cは、内側管状部材が後退している、
図1Bによる実施形態のカテーテル装置を示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明による一実施形態のカテーテル装置を後退させた状態で示す。
【
図2B】
図2Bは、伸長位置にある摺動ハンドルを有する制御機構を有する、本発明による一実施形態のカテーテル装置を示す。
【
図3A】
図3Aは、コイル状のプッシュワイヤを有する、本発明による一実施形態のカテーテル装置の内部構成要素を示す。
【
図3B】
図3Bは、アクチュエータを有するその内部構成要素を示す本発明による一実施形態のカテーテル装置を示す。
【
図3C】
図3Cは、複数のアクチュエータを有する、本発明による一実施形態のカテーテル装置の内部構成要素を示す。
【
図3D】
図3Dは、
図3Cによる一実施形態のカテーテル装置の断面を示し、6つのアクチュエータを有するその内部構成要素を描写し、
図3Cの断面線D-Dの斜視図から取られている。
【
図4A】
図4Aは、ワイヤクチュエータを備えた回転制御機構と、後退状態にある内側管状部材とを有する、本技術による一実施形態の内側管状部材伸長用の制御機構を示す。
【
図4B】
図4Bは、伸長状態にあるワイヤクチュエータを有する、
図4Aの実施形態の内側管状部材のための制御機構を示す。
【
図4C】
図4Cは、後退状態にあるコイル状アクチュエータを備えた、本技術の代替実施形態による内側管状部材伸長のための制御機構を示す。
【
図5A】
図5Aは、2つの同心管を有する本技術による伸縮組立体を示し、一方が他方にわたって摺動することができ(明瞭にするために外側管状部材は省略されている)、ここで伸縮管は伸長される。
【
図6A】
図6Aは、本技術による内側管状部材の切欠図であり、内側管状部材は後退状態にある。
【
図7A】
図7Aは、本技術による内側管状部材組立体の構成要素を示し、部分的に圧縮可能な内側管状部材は伸長状態にある。
【
図7C】
図7Cは、本技術の代替実施形態による内側管状部材組立体を示しており、同心管を示す伸縮機構を有し、一方が他方の中に摺動している。
【
図7D】
図7Dは、本技術の代替実施形態による内側管状部材組立体を示しており、同心の管が分離された伸縮機構が示されており、単一プッシュワイヤを備えている。
【
図7E】
図7Eは本技術の代替実施形態による内側管状部材組立体を示しており、同心の管で分離されコイル状作動機構と共に示されて摺動している伸縮機構を有している。
【
図8A】
図8Aは、コイル状構成における本技術による代替実施形態の作動機構を示す。
【
図8B】
図8Bは、多重プーリ配置を備えた、本技術による代替実施形態の作動機構を示す。
【
図9A】
図9Aは、回転作動機構を有する本技術の一実施形態による制御機構を示す。
【
図9B】
図9Bは、摺動作動機構を有する、本技術の一実施形態による制御機構を示す。
【
図10A】
図10Aは、ルアーフィッティングに一体化された本技術による代替実施形態のプッシュロッド機構を示す。
【
図10B】
図10Bは、
図10Aによるプッシュロッド機構を示し、プッシュロッド機構は、内側管状部材管腔の外側に示されている。
【
図10C】
図10Cは、
図10Aによるプッシュロッド機構を示し、プッシュロッド組立体は、後退状態にある(明確にするために、外側管状部材は省略されている)。
【
図10D】
図10Dは、
図10Aによるプッシュロッド機構を示し、プッシュロッド組立体は、伸長状態にある(明確にするために、外側管状部材は省略されている)。
【
図11A】
図11Aは、部分的に圧縮可能な内側管状部材が伸長状態にある、本発明の一実施形態による内側管状部材を示す。
【
図11B】
図11Bは、部分的に圧縮可能な内側管状部材が後退(短縮)した状態である、本技術の一実施形態の内側管状部材を示している。
【
図11C】
図11Cは、本技術の一実施形態による内側管状部材を示しており、内側管状部材が伸長状態にあるときの制御ハウジングの位置(概要)を示している。
【
図11D】
図11Dは、本技術の一実施形態による内側管状部材を示しており、内側管状部材が後退状態にあるときの制御ハウジング(概要)の位置を示している。
【
図12】
図12は、本発明の一実施形態によるカテーテル装置の部分立面断面図を示す。
【
図15】
図15は、
図12のカテーテル装置の内側管状部材を形成する長手方向に延びる区画の組立体を示す部分図である。
【
図16】
図16は、
図12のカテーテル装置の外側管状部材を形成する長手方向に延びる区画の組立体を示す部分図である。
【
図17】
図17は、第2の管状区画に隣接する第1の管状区画をその接合前に示す部分断面図である。
【
図18】
図18は、第1の管状区画及び第2の管状区画の内部に受容されたマンドレルを示す部分断面図である。
【
図19】
図19は、熱接合処理中の第1の管状区画に対する第2の管状区画の流れを示す。
【
図20】
図20は、マンドレルの取り外しに続いて第1の区画と第2の区画との間に形成されている重ねジョイント部の最終構成を示す。
【
図21】
図21は、シース等に対応する内側筒状構造と、内側管状部材と、外管状部材との同心配置を示す要部断面図である。
【
図22】
図22は、
図21に示されているようなカテーテル装置の構成によって回避されるべき、2つの筒状構造間の望ましくない構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の技術の記載は、1つ以上の発明の主題、製造及び使用の性質における単なる例示であり、本願において又は本願に対して優先権を主張して用途されうる他の出願又はそれら出願から発行されている特許において特許請求されている任意の特定の発明の範囲、用途、又は使用を限定することを意図しない。開示されている方法に関して、提示されているステップの順序は、本質的に例示的であり、したがって、ステップの順序は、特定のステップが同時に実行されうる場合を含む、様々な態様において異なり得る。本明細書で使用されている「A」及び「an」という冠詞は、項目の「少なくとも1つ」が存在することを示し、可能であれば、複数の上記項目が存在しうる。特に明示的に示されていない限り、この記載における全ての数量は、「約(about)」という語によって変更されるものとして理解されるべきであり、全ての幾何学的及び空間的記述子は、技術の最も広い範囲を記載する際に、「実質的に(substantially)」という語によって変更されるものとして理解されるべきである。「約(About)」という語は、数値に適用される場合、計算又は測定が、値のいくらかのわずかな不正確さを可能にすることを示す(値の正確さへのいくらかのアプローチを伴い;値におよそ又は合理的に近く;ほぼ)。何らかの理由で、「約」及び/又は「実質的に」によって提供される不正確さが、この通常の意味で当技術分野において他に理解されない場合、本明細書で使用されている「約」及び/又は「実質的に」は、そのようなパラメータを測定又は使用する通常の方法から生じ得る少なくとも変動を示す。
【0023】
この詳細な説明において引用されている特許、特許出願、及び科学文献を含む全ての文献は、特に明示的に示されない限り、参照することにより本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる文献と本詳細な説明との間に何らかの矛盾又は曖昧さが存在する場合、本詳細な説明が優先する。
【0024】
「備える(comprising)」という語は、含む(including)、含む(containing)、有する(having)などの非限定的な語の同義語として、本技術の実施形態を記載及び特許請求するために本明細書で使用されているが、実施形態は、代替的に、「からなる(consisting of)」又は「から本質的になる(consisting essentially of)」などのより限定的な語を使用して記載されうる。したがって、材料、構成要素又は処理ステップを列挙する任意の所与の実施形態に関して、本技術は、そのような材料、構成要素、又は処理ステップからなる又はから本質的になる実施形態を含み、たとえ追加の材料、構成要素又は処理が本願で明示的に列挙されてなくても、(からなるための)追加の材料、構成要素又は処理を除外しかつ(本質的にからなるための)追加の材料、構成要素又は処理の重要な特性に影響を及ぼす追加の材料、構成要素、又は処理を除外する。例えば、要素A、B及びCを列挙する組成物又は処理の列挙は、要素Dが本明細書で除外されるものとして明示的に記載されていなくても、当技術分野で列挙されうる要素Dを除いた、A、B及びCからなる実施形態及び本質的にA、B及びCからなる実施形態を具体的に想定する。
【0025】
本明細書で記載されているように、全ての組成%は、別段の指定がない限り、全組成物の重量による。範囲の開示は、特に明記しない限り、終点を有し、全範囲内の全ての別個の値及びさらなる分割された範囲を有する。したがって、例えば、「A~B(from A to B)」又は「約A~約B(from about A to about B)」の範囲は、A及びBを含む。特定のパラメータ(量、重量%など)についての値及び値の範囲の開示は、本明細書では有用な他の値及び値の範囲を排除しない。所与のパラメータについての2つ以上の特定の例示された値が、そのパラメータについて特許請求されうる値の範囲についての終点を定義しうることが想定されている。例えば、パラメータXが、本明細書において、値Aを有するように例示され、また、値Zを有するように例示されている場合、パラメータXは、約A~約Zの値の範囲を有しうることが想定されている。同様に、パラメータの値の2つ以上の範囲(2つ以上の範囲が入れ子にされているか、重複しているか、又は別個であるかにかかわらず)の開示は、開示された範囲の終点を使用して特許請求されうる値の範囲の全ての可能な組み合わせを包含することが想定されている。例えば、パラメータXが、1~10、又は2~9、又は3~8の範囲の値を有すると本明細書で例示されている場合、パラメータXは、1~9、1~8、1~3、1~2、2~10、2~8、2~3、3~10、3~9などを含む他の範囲の値を含みうることも想定されている。
【0026】
要素又は層が、別の要素又は層の「上にある(on)」、「に係合されている(engaged to)」、「に接続されている(connected to)」、又は「に連結されている(coupled to)」と言及されているとき、要素又は層は、直接的に他の要素又は層上にあってもよく、係合されてもよく、接続されてもよく、又は連結されてもよく、又は、介在する要素又は層が存在しうる。対照的に、要素が、別の要素又は層「直接的に~の上に(directly on,)」、「直接的に~に係合され(directly engaged to)」、「直接的に~に接続され(directly connected to)」、又は「直接的に~に連結され(directly coupled to)」ていると言及されている場合、介在する要素又は層は存在しない場合がある。要素同士の間の関係を記載するために使用されている他の語(例えば、「の間に(between)」対「直接的に~の間に(directly between)」、「に隣接する(adjacent)」対「直接的に~に隣接する(directly adjacent)」など)は、同様に解釈されているべきである。本明細書で使用するとき、「及び/又は(and/or)」という語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の及び全ての組み合わせを含む。
【0027】
第1、第2、第3などの語は、様々な要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションを記載するために本明細書で使用されうるが、これらの要素、構成要素、領域、層及び/又はセクションは、これらの語によって限定されるべきではない。これらの語は、1つの要素、構成要素、領域、層、又はセクションを別の領域、層、又はセクションと区別するためにのみ使用されうる。「第1の(first)」、「第2の(second)」、及び他の数値用語は、本明細書で使用されている場合、その文脈で明確に示されない限り、配列又は順序の意味を含まない。したがって、以下で記載する第1の要素、構成要素、領域、層、又はセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、又はセクションと呼ぶことができる。
【0028】
「内側(inner)」、「外側(outer)」、「下(beneath)」、「下(below)」、「下(lower)」、「上(above)」、「上(upper)」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、記載を容易にするために、図に示されているように、1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を記載するために使用されうる。空間的に相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、使用中又は動作中の装置の異なる向きを包含するように意図されうる。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素又は特徴の「下(below)」又は「下(beneath)」として記載されている要素は、他の要素又は特徴の「上(above)」に配向される。したがって、例示的な「下(below)」という語は、上方及び下方の両方の配向を包含しうる。装置は、そうでなければ配向され(90度又は他の配向で回転させられ)、本明細書で使用されている空間的に相対的な記述子は、それに応じて解釈されうる。
【0029】
本技術は、内側管状部材及び外側管状部材並びに制御機構を有するカテーテル装置及びその使用に関する。外側管状部材は、近位端及び成形された遠位端を有し、内側管状部材は、近位端及び遠位端を有する。内側管状部材の少なくとも一部は、外側管状部材内に同軸的に位置決めされている。制御機構は、その内側管腔空間を密封するための手段を有するハウジングを有する。制御機構は、外側管状部材の近位端及び内側管状部材の近位端に連結されている。内側管状部材の遠位端は、制御機構の動作によって、外側管状部材の成形された遠位端から伸長及び後退することができる。
【0030】
カテーテル装置は、ガイドカテーテルの後退又は支持の損失を防止するために強化された支持を提供するように設計された、低プロファイル直径の、すなわち、2mm(6Fr)以下のガイドカテーテルを提供することによって、冠状動脈ガイドカテーテルの技術水準を改善する。加えて、カテーテル装置は、カテーテルの近位端内又は近位端付近に含まれる新規な機構に基づいて、単一の、便利で、使用が容易なカテーテルシステムにおいて上記の利益を提供するように構成されている。カテーテル装置は、ワークフロー便益の向上、使用の容易さを提供し、同時に、高価な補助装置の必要性を排除する。今日の手術に必要とされている余分な装置によって、作業空間に混乱を加え、ガイドカテーテル内部の貴重な空間を消費する。本発明のカテーテル装置内の空間は、代わりに、他の目的のために、例えば、バディワイヤ技術のための空間を可能にするために使用されうる。
【0031】
特定の実施形態のカテーテル装置は、成形された遠位端を有する外側管状部材と、直線状の内側管状部材と、制御機構及びそのハウジングとを有する。内側管状部材及び外側管状部材は、それぞれの近位端が装置の近位端又はその付近で制御機構に連結された状態で同軸に配置されている。制御機構ハウジングは、トーイボーストフィッティング(Touhy Borst fitting)などの補助的な密封手段を用いて内側管腔空間を密封するための一体化されたルアーフィッティング又は手段を有する。
【0032】
制御機構は、カテーテルシステムの近位端付近又は近位端において、制御機構ハウジング内に全体的又は部分的に含まれうる。制御機構は、内側管状部材が外側管状部材の遠位端を越えて延びるように、外側管状部材の内側から内側管状部材を伸長させる手段を提供する。制御機構は、また、内側管状部材が外側管状部材内に完全に収容されるように、内側管状部材を後退させるように適合されている。伸長及び後退の範囲は、制御機構内の停止部によって制御され、内側管状部材の最大伸長及び内側管状部材の外側管状部材の遠位端に対する移動の全範囲を画定する。制御機構及びその部品の全ては、カテーテルシステム管腔のいかなる空間も利用しないように内側管状部材の外側にあるように構成され、したがって、ガイドワイヤ、ステント送達カテーテルなどの他の装置を送達するための内側管腔の利用可能な空間を最大化する。
【0033】
内側管状部材を伸長しかつその移動を制御する手段は、内側管状部材を外側管状部材内から伸長し、内側管状部材を外側管状部材内に後退させるための手動式、機械式、電気式、電磁式及びその他の手段を有するが、これらに限定されない。一例として、外部制御リングと、回転ノブ、ギアセット、プーリ、及び/又はプッシュロッドなどの機械システムを使用して、外部制御リングの回転運動を内側管状部材の長手方向運動に変換する手段とを組み込んだ、一体化されたルアーを備えた手動で操作される制御機構が挙げられる。前述の制御機構は、内側管状部材に連結されており、これにより、内側管状部材を外側管状部材から伸長させかつ内側管状部材を外側管状部材内に後退させるように、外部制御リングの移動を変換する。
【0034】
外側管状部材の成形された遠位端は、ガイドカテーテルに使用されている多くの既存の形状のうちの1つとすることができる。一例は、ジャドキンス右曲線、アンプラッツァー左曲線、又は広く利用可能な標準のジャドキンスもしくはアンプラッツァー曲線のいずれかとしうる。これら及び他の湾曲形状の遠位端は、特定の冠状動脈へのより容易なアクセスを得るために、及び手術中にカテーテルが予め定めた位置に留まるための支持を提供するために開発された。
【0035】
外側管状部材は、制御機構及び/又はハブに不動に取り付けられ、その管腔空間は、失血又は空気の進入/退出を防止するために密封されている。ハブは、空気漏れを防ぐ密封された方法でカテーテルにアクセサリを取り付けるように設計されたインターフェイスジョイント部である。内側管状部材は制御機構に連結され、操作者の操作により、内側管状部材の先端を外側管状部材の遠位先端を越えて伸長させることができる。
【0036】
このカテーテル装置は、より大きなガイドカテーテル、又は、標準的なガイドカテーテルとガイド伸長カテーテルとの組み合わせの追加の支持及び安定性を提供する。上述の回転ノブ、ギアセット、プーリ、及び/又はプッシュロッドなどの機械システムは、内側管状部材の移動を作動させる手段を記載する。重要なことに、内側管状部材を伸長及び後退させることができる作動手段は、内側管状部材の内側管腔のいかなる空間も利用することなく作用する。したがって、管腔空間は、動脈内に追加の装置を挿入するなど、他の使用のために保存されている。
【0037】
要約すると、このカテーテル装置は、より小さい血管アクセス部位によって複雑さを低減することを可能にするという利点と、必要なときに、全てが単一の、使い容易カテーテルシステムで、内側管状部材を血管系内に伸長することができる制御機構とを提供する。これは、装置の長さを最小化し、その結果、カテーテル装置を通して挿入されている装置を血管系内で前進させることができる長さを維持する新規な方法で行われる。別の利点は、この設計によって、操作者がガイドワイヤ又はステント送達カテーテルなどの装置を操作しなければならない近位端における混乱を低減することである。本技術は、血管系を横断し、ガイドカテーテル支持を提供しかつ低プロファイルの装置を提供することが必要とされている、インターベンション心臓学、インターベンション神経学、及び末梢血管インターベンションなどの様々な用途に使用することができる。
【0038】
本技術の例示的な実施形態は、本明細書に添付されているいくつかの図を参照して提供されている。
【0039】
冠状血管103内に位置する、一実施形態のカテーテル装置101が、
図1A、
図1B及び
図1Cに示されている。カテーテル装置101は、
図1Bに示されているように、ガイドカテーテル支持を強化するために冠状血管103内に延びうる内側管状部材105を有する。各パネルの下部において、制御機構109におけるスライダ107の位置は、外側管状部材111に対する内側管状部材105の位置に対応している。スライダ107の位置及び対応する内側管状部材105の位置は、完全後退状態(
図1A)、完全伸長状態(
図1B)及び中間状態(
図1C)に示されている。手術の完了時に、
図1Cに進行中に示されているように、伸長された内側管状部材105を後退させ、ガイドカテーテルシステムを解剖学的構造から後退させることができる。
【0040】
図2A及び
図2Bは、別の実施形態のカテーテル装置200を示す。
図2Aでは、内側管状部材209が完全後退位置にありかつスライダ211がその最も近位の位置203にあるときのスライダ型の制御機構201が示されている。成形された遠位端215を備えた外側管状部材213が示されている。
図2Bでは、内側管状部材209がその最も伸長した位置207にあるのに対応して、スライダ型の制御機構201がその最も遠位の位置205において示されている。
【0041】
図2A及び
図2Bに示されているように、内側管状部材209の移動の利用可能な範囲は、制御機構201の設計によって制限され、制御機構201の開放スロット217は、内側管状部材209の移動の長手方向範囲を正確に画定する。このスロット217の機能は、移動範囲を画定し、操作者が、内側管状部材209の位置を操作するために他のタスクから目を離さなければならないことを免れる。加えて、他の実施形態では、レール、スロット又は他の手段を組み込んで、
図2A及び
図2Bに示されているものと同様の方法で、長手方向の移動範囲のみが生じることを保証することができる。レール又はスロット217を使用すると、カテーテル装置200を操作する操作者を混乱させる可能性があり、ひいては、操作者の注意を必要とする望ましくない注意散漫を引き起こしうる、制御機構201及び内側管状部材209の回転運動を排除することができる。
【0042】
参照番号227で示されているマークは、外側管状部材213から延びる内側管状部材209の伸長量を使用者が見るための測定単位又は尺度単位を提供することができる。このようなマーク227は、ハウジングに一体化することができ、かつ/又は、制御機構201上に付与することができる。マーク227は、数字、目盛り、記号、色等を有する様々な印を含みうる。特定の実施形態では、マーク227は、マーク227に対してスライダ211を位置決めする際に、内側管状部材209が外側管状部材213の成形遠位端215から延びる長さに直接的に対応する。
【0043】
さらに、外側管状部材213に関して、
図2A及び
図2Bに示されているように、外側管状部材213は、冠状動脈口などの標的血管へのアクセスを容易にするように設計された成形遠位端215を有するカテーテルシャフトとして構成されている。成形された遠位端215の例として、とりわけ、ジャドキンス右ガイド構成又はアンプラッツァー左ガイド構成が挙げられうる。外側管状部材213は、空気の進入/退出を防止するために密封されている。外側管状部材213は、また、制御機構201及び/又はハブ219に不動に取り付けられている。外側管状部材213は、外側管状部材213の最内層として機能するPTFE(ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標)))ライナと、編組と、編組を密封して凝集構造にするオーバーコートとから構成される、複合シャフト管(図示せず)としうる。ステンレス鋼製の編組は、前述のPTFEライナ上に織られうる。編組材料は、302LV、304LV、又は316LVなどの任意のグレードのステンレス鋼から作られうる。ニチノールなどの他の金属もまた、使用のために企図されている。さらに、ポリアミド樹脂(NYLON(登録商標))又は液晶モノフィラメントポリマー(LCP)などのポリマー材料を含む他の材料を編組に使用することができる。非鉄及び非金属の編組材料を使用して、装置MRIを適合可能にすることができる。編組の「PIC」数は、外側管状部材213の柔軟性及びトルク特性を最適化するために変化させることができる。PIC数は、より多くの柔軟性が所望されうる、成形された遠位端215において、また、より大きい剛性が所望されうる、近位端221において変化しうる。「PIC」は、編みパターンについて、編組がそれ自体を横断する回数(約2.54cm(1インチ)当たりの横断)を指す。PIC数が多いほど、カテーテルシャフトの柔軟性が向上し、PIC数が少ないほど、カテーテルシャフトの剛性が高くなる。PIC数は、可変の柔軟性を提供するために、指定された長さ内で変化させることができる。
【0044】
オーバーコートは、編組及びPTFEライナに付与することができる。オーバーコートは、編組ライナ上に押し出すことができ、又は、管状材料の別個の区画を使用して付与し、熱処理を使用して収縮管カバーと共に結合することができる。外側管状部材構造の他の公知の方法が予想される。オーバーコートは、当業者によく知られている任意の数の適切な生体適合性ポリマーから構成することができる。ポリマーとしては、ARKEMAから入手可能なPEBAX(登録商標)としても知られている、ポリエーテルブロックアミド又はPEBAが挙げられ、これは、27の剪断D硬度及び12MPAの曲げ弾性率から、69以上の剪断D硬度及び513MPA以上の曲げ弾性率までの剛性の範囲のいくつかのグレードで入手可能である。PEBAXの利用可能なグレードは、軟質から硬質、すなわち、PEBAX2533~PEBAX7433の範囲である。ルーブリゾール社から入手可能なPellathane(登録商標)などの熱可塑性ウレタンなどの他の適切な材料も使用することができる。一例の構成は、剛性を低減するためにPEBAX3533で作られたより柔らかい遠位区画に取り付けられた、軸線方向剛性を提供するためにPebax7233で作られた近位シャフトを有する。いくつかのポリマー区画の任意の組み合わせを使用して、遠位区画、近位区画、及び、その間の任意の場所の両方において、カテーテルシャフトの柔軟性及び剛性を最適化することができる。
【0045】
外側管状部材213の最遠位先端223は、PEBAX2533又は3533などの軟質グレードのポリマーから形成することによって、非外傷性にすることができる。最遠位先端223は、上述のように互いに結合することができる。外側管状部材213の最遠位先端223は、最遠位先端223を蛍光透視下で高度に可視化することができるように、20%以上の質量又は体積%でPEBAXに装填される、硫酸バリウムなどの放射線不透過性材料で装填される。重量又は体積による他の充填率でも、蛍光透視法の下で最遠位先端223を多かれ少なかれ見えるようにすることができる。
【0046】
外側管状部材213の成形された遠位端215は、任意の数の所望の形状に予め形成することができる。形状は、3、4、5のJudkins Rightを有することができ、又は、形状は、AL-1もしくはAL-2もしくはAL-3としうる。装置の操作者によって理解されている用語体系によって定義されている他のガイドカテーテル先端形状は、成形された遠位端215に予め形成されうる。成形マンドレルが外側管状部材213に挿入され、次いで、内側管状部材209との組み立てに先立って指定された期間だけ高温で焼成された成形マンドレルで、成形された遠位端215は形成されうる。種々の温度及びオーブン焼成時間を使用して、外側管状部材213の成形遠位端215を予備成形することができる。これは、内側管状部材209との組み立ての前に行うことができ、当業者にはよく理解されている。
【0047】
代替実施形態では、外側管状部材213は、撓み可能としうる。したがって、制御機構201内の追加の制御部を組み込んで、外側管状部材213に組み込まれたプルワイヤ/遠位アンカー環組立体を作動させることができる。プルワイヤ組立体のプルワイヤは、円滑な作動を促進するために、PTFEライナ内に覆われうる。プルワイヤ組立体及びポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))製のシースは、外側管状部材213壁内の専用ルーメンを通して挿入されうる。一方向ステアリング及び双方向ステアリングの両方を可能にする、単一及び二重のプルワイヤ構成が予想される。任意の数の管腔を外側管状部材213の壁に組み込むことができる。例えば、壁に組み込まれた4つの管腔は、4軸ステアリングを可能にすることができる。内側管状部材209は、同様に、撓みを可能にするように構成されうることも企図されている。同様に、内側管状部材209の壁に一体化された1つ以上の管腔は、内側管状部材209の撓みを容易にするためにプルワイヤ機構を収容することができる。
【0048】
内側管状部材209又は外側管状部材213の何れか一方を撓ませることができる。内側管状部材209及び外側管状部材213の両方が撓み可能としうることも企図されている。この制御機構201と一体化された撓み可能な内側管状部材209及び外側管状部材213の配置、例えばスロット構成によって、内側管状部材209及び外側管状部材213の他方に対する撓みが不変のままであることを保証する。例えば、外側管状部材213は、後方及び前方方向に撓むように設計することができ、一方、内側管状部材209は、外側管状部材213から正確に90度偏向する(撓む)ように構成することができ、その結果、上方及び下方に移動する。したがって、解剖学的構造内でのカテーテル装置の最遠位先端223の正確かつ反復可能な配置が可能である。
【0049】
さらに、内側管状部材209に関して、以下の態様を考慮することができる。内側管状部材209は、内側管状部材209を外側管状部材213に対して移動させるように設計された組立体を有しうる。このようにして、内側管状部材209の遠位端225は、外側管状部材213の成形遠位端215を越えて延びうる。外側管状部材の最遠位先端223は、身体内で使用されているとき、冠状動脈口付近又はその位置に配置され、次いで、内側管状部材209の遠位端225は、カテーテル支持を強化するために、冠状動脈内で前進させられる。カテーテル装置200は、身体の他の領域で使用されうることも企図されている。内側管状部材209は、制御機構201の位置に応じて、外側管状部材の遠位端を10cm~40cm過ぎて伸長するように設計されている。しかしながら、伸長可能な範囲は、特定の用途により良く適応するために、任意の他の長さにすることができる。内側管状部材209が外側管状部材213から延びる長さを操作者が正確に制御することを可能にすることができるように、スライダ211は内側管状部材209に不動に連結されている。
【0050】
カテーテル装置300A、300B、及び300Cの他の実施形態が、
図3A、
図3B及び
図3Cに示されており、これらは、異なる実施形態の内側管状部材303及び他の内部構成要素を明らかにするために描かれた外側管状部材301を通した図を示す。内側管状部材303は、管状部分313と、管状部分313及び制御機構307の両方に連結されたケーブルとしうるワイヤ305を有しうる。
図3Aの制御機構307は、より大きな制御機構ハウジング315を示す。
図3Aは、外側管状部材301に対して伸長及び後退させるために内側管状部材303を作動させるコンパクトな手段を提供するコイル状ワイヤとしてワイヤ305を示している。
図3Bは、ケーブルとしうる、代替の実施形態のワイヤ309を示す。
図3Cは、内側管状部材の周りに放射状に配置された、ケーブルとしうる6本のワイヤ311を示す。
図3Dは、内側管状部材303の周りの、ケーブルとしうるワイヤ311の放射状配置を示す断面図を表す。内側管状部材303の移動を作動させるために、任意の数のワイヤ311又はケーブル等を制御機構307の一部として利用することができる。後述する作動手段は、内側管状部材303が外側管状部材301内から伸長又は後退するのを容易にするために、ケーブルなどとしうるワイヤ311に連結されている。
【0051】
図4A、
図4B、
図4C及び
図4Dは、代替実施形態のカテーテル装置400A、400B、400C、400Dを示し、各々は、
図3A~
図3Dの実施形態と比較して、薄型又は小径の制御機構403を有する。外側管状部材409の透視図は内側管状部材401の組立体をより明確に示す。内側管状部材組立体401は、直線状のワイヤ又はケーブル405又はコイル状のワイヤ又はケーブル407を介して制御機構403に連結されている。作動手段は他の図に図示されている。
【0052】
図4Aは、回転制御機構403を示し、この移動は湾曲した矢印で強調され、ケーブルとしうる1つ又は複数のワイヤ405と内側管状部材401は後退状態にある。
図4Bは、
図4Aの内側管状部材401を示し、ワイヤ405は伸長状態にある。
図4Cは、1つ又は複数のコイル状ワイヤ407が後退状態にある、回転制御機構403を備えた代替実施形態を示す。
図4Dは、コイル状ワイヤ407が伸長した状態である、
図4Cの内側管状部材を示す。コイル状ワイヤ407は、制御機構403の内部の必要な空間を減らすために使用することができ、制御機構403のハウジングを短縮することができる。
【0053】
図5A及び
図5Bは、本発明の別の実施形態によるカテーテル装置500を示す。カテーテル装置500は、その近位端502aと遠位端502bとの間を長手方向に延びるハウジング502を有する。ハウジング502は、その近位端502aに向かって配置された近位停止部507と、その遠位端502bに向かって配置された遠位停止部509を画定し、近位停止部507と遠位停止部509は、ハウジング502の長手方向に関して互いに離間しており、これはまた、固定管状区画501の各々の軸線方向と、ハウジング502の近位端502aと遠位端502bとの間に配置された内側管状部材511の一部分とに対応する。ハウジング502の近位端502aは、密封された方法でカテーテルにアクセサリを取り付けるように設計されたインターフェイスジョイント部として設けられたルアー又はハブ513を有し、ルアー又はハブ513は、以下でより詳しく記載するように、カテーテル装置500内に形成された内側管腔空間への機械的又は流体的なアクセスを提供することができる。
【0054】
固定管状区画501は、ハウジング502の近位端502aの位置又はその近傍の位置でハウジング502及び/又はルアー又はハブ513に不動に連結されている近位端501aと、ハウジング502の遠位端502bに向かって離間されて配置されている遠位端501bとを有する。図示の実施形態では、ルアー又はハブ513は、その近位端502aにおいてハウジング502に不動に連結され、固定管状区画501の近位端501aは、ルアー又はハブ513に不動に連結されているが、固定管状区画501、ハウジング502、及び、対応するルアー又はハブ513の任意の固定部が、ハウジング502の近位端502aにおいて互いに対して固定位置を維持する限り、代替構成を利用しうる。固定管状部材501の近位端501aは、ハウジング502及び/又はルアー又はハブ513の対応する面に密封され、その内側管腔空間を密封する。固定管状部材501の遠位端501bは、ハウジング502の外側の位置において、ハウジング502の遠位端502bを越えて軸線方向に配置されている。固定管状区画501の遠位端501bは、内側管状区画501が対向する停止部507と停止部509の間に存在する軸線方向距離に対応する内側管状部材511の運動範囲に沿って存在することを保証するために、ハウジング502によって形成された遠位停止部509を越えて軸線方向に配置されている。同様に、近位停止部507は、内側管状区画501が対向する停止部507と停止部509の間に存在する軸線方向間隔に対応する内側管状部材511の運動範囲に沿って存在することを保証するために、固定管状区画501の近位端501aに対してハウジング502の遠位端502bに向かって(より近くで)配置されうる。
【0055】
カテーテル装置500の外側管状部材603は、その遠位端502bにおいてハウジング502から離れるように軸線方向に延びる。外側管状部材603は、その遠位端502b又はその近傍でハウジング502に不動に連結されている近位端603aと、ハウジング500の遠位端502bから離間されている遠位端603bとを有する。近位端603aは、ハウジング502によって画定されている遠位停止部509を越えて軸線方向遠位側に配置されている位置において、ハウジング502に対して不動に連結することができる。
【0056】
カテーテル装置500は、伸縮機構(入れ子式機構)505を有し、近位停止部507及び遠位停止部509は、内側管状部材511が固定管状区画501及び外側管状部材603の各々に対して摺動させられるときに、内側管状部材511の移動範囲を画定する。伸縮機構505は、カテーテル装置500の長さを有益に短縮するために、互いに摺動するように設計された複数の同心管状区画から構成されている。伸縮機構505は、固定管状区画501にわたって(の周囲で)伸縮(摺動)可能に配置された内側管状部材511の長さの少なくとも一部と、外側管状部材603内に伸縮(摺動)可能に配置された内側管状部材511の長さの一部とを有する。内側管状部材511は、その間に存在する伸縮/摺動関係を容易にするための比較的小さい半径方向間隙を形成するように、固定管状区画501の外径よりも大きい内径を有し、外側管状部材603は、同じくその間に存在する伸縮/摺動関係を容易にするための比較的小さい半径方向間隙を形成するように、内側管状部材511の外径よりも大きい内径を有する。
【0057】
カテーテル装置500は、固定管状区画501と内側管状部材511と外側管状部材603のコンパクトな構造に起因して、低減されたプロファイルを有する。すなわち、内側管状部材511は、半径方向に配置された介在する要素が存在しない状態で固定管状区画501上に直接的に(半径方向外側に)受けられ、内側管状部材511は、半径方向に配置された介在する要素が存在しない状態で外側管状部材603内に直接的に(半径方向内側に)受けられ、これにより、構成要素501、511、603の重なり部分の半径方向厚さが低減される。したがって、これらの重なり構成要素501、511、603の低減した厚さによって、外側管状部材603の低減した外径と併せて、構成要素501、511、603によって形成されている内側管腔空間の内径の増大を可能にすることができる。したがって、記載された組立体は、特定の狭い血管を扱うときなど、特に狭いカテーテル装置を必要とするタスクに対応することができ、一方で、いくつかの所望の治療装置のうちのいずれかを患者内の所望位置に送達するための比較的大きい内側管腔空間を依然として提供する。
【0058】
内側管状部材511は、内側管状部材511の外面に対して半径方向外側に延びる停止要素503に不動に連結されている。停止要素503は、ハウジング502の近位端502aに向かって配置された内側管状部材511の近位端511aに不動に連結されうる。停止要素503は、いくつかの構成要素を延伸加工、圧着、熱接合、接着接合、及び/又は、共に固定する任意の他の手段によって、内側管状部材511に取り付けることができる。停止要素503は、内側管状部材511が受けられる固定管状区画501に対する内側管状部材511の軸線方向運動範囲を画定するように構成されている。内側管状部材511が外側管状部材603に対して完全に後退している状態に対応する近位最位置(
図5Bに示されている)まで軸線方向に摺動させられたとき、内側管状部材511が外側管状部材603又は近位停止部507を越えて内側管状部材511の最大伸長と相関する最遠位位置(
図5Aに示されている)まで軸線方向に摺動させられたとき、停止要素503が遠位停止部509に選択的に接触するように停止要素503は半径方向外側に延びている。
【0059】
内側管状部材511の伸縮自在の特徴505は、ルアー又はハブ513に密封された少なくとも1つの固定管状区画501と、内側管状部材511の形態の少なくとも1つの摺動可能管状区画とを有する。しかしながら、必要に応じて、追加の摺動可能な伸縮区画を内側管状部材511の組立体に組み込むことができることが予想される。
【0060】
ハウジング502及び停止要素503は、
図2A及び
図2Bに関して図示及び記載した制御機構201の構成を有することができ、停止要素503はスライダ211を形成し、停止部507と停止部509は、スライダ/停止要素503がそれに沿って摺動するように構成されている、スロット217、レールなどの対向する端部として画定されている。スライダ/停止要素503の少なくとも一部は、固定管状区画501と内側管状部材511との組立体の外側の位置で操作者がスライダ/停止要素503に接近するために、その中に形成された対応するスロット又は開口部217などを通って、ハウジング502から半径方向外向きに延びうる。
【0061】
カテーテル装置500を通して形成されている内側管腔空間は、その近位端501aと遠位端501bとの間の固定管状区画501の内部と、固定管状区画501の遠位端501bと内側管状部材511の遠位端511bとの間の内側管状部材511の内部とを有しうる。いくつかの実施形態では、内側管腔空間は、また、内側管状部材511の遠位端511bが外側管状部材603の遠位端603bを越えて近位に後退する場合又はとき、外側管状部材603の遠位端部分によって画定されうる。他の実施形態では、内側管状部材511が完全後退位置にあるとき、内側管状部材511の遠位端511bは、外側管状部材603の遠位端603bと同じ軸線方向位置にあり得る。さらに他の実施形態では、内側管状部材511が完全後退位置にあるとき、内側管状部材511の遠位端511bは、外側管状部材603の遠位端603bを軸線方向に越えてそれから離間した位置で露出されうる。固定管状区画501内の内側管腔空間は、密封されて提供されている、ハウジング502の近位端502aのルアー又はハブ513内に形成された流れ空間を介してアクセスされうる。
【0062】
図5の実施形態における内側管状部材511の伸縮機構505は、
図6における外側管状部材603の内側に示されている。制御機構ハウジング502は、明瞭にするために省略している。停止要素503は、外側管状部材603に対する内側管状部材511のそれぞれの位置を示している。
図6Aにおいて、内側管状部材511の摺動可能内側管状区画は後退状態で示されており、
図6Bにおいて、内側管状部材511の摺動可能内側管状区画は伸長状態で示されている。
【0063】
内側管状部材511の(停止要素503が近位停止部507に当接している)後退位置から(停止要素503が遠位停止部509に当接している)伸長位置への調節は、固定管状区画501の内部と、次に(固定管状区画501の遠位端501bを越えて軸線方向に配置された位置における)内側管状部材511の内部との協働によって形成された内側管腔空間を有し、固定管状区画501の近位端501aと内側管状部材511の遠位端511bとの間の長さが長くなる。上述の調節はまた、内側管状部材511の長さが外側管状部材603の遠位端603bを軸線方向に越えた位置で露出されるにつれて長さが増大する、内側管状部材511の遠位端511bと外側管状部材603の遠位端603bとの間の距離を有する。また、記載されている調節は、(外側管状部材603の外側の内側管状部材511の増大する伸長に起因して)固定管状区画501と軸線方向に重なった内側管状部材511の低減する長さと、外側管状部材603と軸線方向に重なった内側管状部材511の低減する長さとを有する。
【0064】
図7A、
図7B、
図7C、
図7D及び
図7Eに示すように、いくつかの実施形態の内側管状部材701は、ポリマー管703と、管サブ組立体705にわたるコイルとを有しうる。
図7Aに示すように、内側管状部材701は伸長状態にある。
図7Bは、内側管状部材が後退状態にあるときの、管サブ組立体705にわたる圧縮状態にある圧縮可能コイルを示す。
図7Cは、
図7Aの管組立体705にわたるコイルをワイヤ711と置き換えた代替実施形態を示す。加えて、
図7D及び
図7Eに示されているように、(例えば、
図6A~
図6Bに示されているような)少なくとも2つの別個の内側管状区画から作られた伸縮構造は、少なくとも1つの摺動可能な内側管状区画707と、少なくとも1つの非摺動の内側管状区画709とを有し、これらは、互いに前進又は後退することができる。作動の機構により、制御機構内に後退したときに、内側管状部材701の長さを圧縮することができる。内側管状部材701が完全に後退したときに制御ハウジング長さを短縮するように、伸縮配置を使用する複数の摺動可能な管を利用しうることが予想される。
【0065】
図8A、
図8B及び
図8Cは、内側管状部材の伸長又は後退を容易にするために少なくとも1つのワイヤ803と共に動作する複数のプーリ801を使用し、外側管状部材に対する内側管状部材の伸長又は後退を容易にするために制御機構(図示せず)に組み込むことができる、実施形態を示している。
【0066】
図9Aは、回転制御リング903を有する、一実施形態の制御機構901を示す。回転制御リング903は、把持を改良するために、その表面に一連の波状部911を有する。回転制御リング903及び外側制御機構ハウジング909上のマーク905は、内側管状部材伸長の程度を視覚的に示すことができる。代替的に、記号ではなく、マークは、同じ機能を果たすための数値単位を含みうる。
図9Bは、把持の改良を促進するために波状部911も組み込んだ前述の摺動機構907(例えば、
図1A~
図1C、
図2A~
図2B)を使用する制御機構901を示す。
【0067】
図10A、
図10B、
図10C及び
図10Dは、
図10Aの切断線A-Aの視点から示されている制御機構1001の端面図を示す、
図10Bに示されている、内側管状部材の管腔1007の外側に経路が決められているプッシュロッド1005を有する、制御機構1001の代替の実施形態を示す。言い換えれば、プッシュロッド1005は、管腔1007の外側のルアー又はハブ1003に入る。これにより、管腔空間1007が他の装置によって利用されうる。プッシュロッド1005は、プッシュロッド1005を内側管状部材1013に移動不能に締結するためにアンカーリング1015又は他の手段を介して内側管状部材1013に連結されている。プッシュロッド1005により、内側管状部材1013の移動を作動させる。
図10Cは、プッシュロッド1005の位置が操作者に向けて最大限に伸長され、内側管状部材1013が完全に後退した状態を示す。プッシュロッド1005がルアー1003内に最大限に前進させられると、内側管状部材1013は、外側管状部材(図示せず)を過ぎて完全に伸長される。
【0068】
別の実施形態は、内部管状部材は、プッシュロッド1005又は他の作動手段に作動されるとき(例えば、
図5A~
図5B、
図6A~
図6B参照)、短くなるか又は長くなるように、互いに対して摺動するように同心状に配置された複数の内側管状区画から構成することができる。プッシュロッド1005は、ガイドワイヤ及びカテーテルを送達するための管腔空間を保存するために、内側管腔1007の外側に配置されうる。プッシュロッド1005は、内側管状部材に不動に固定されたアンカーリング1015などの異なる手段によって内側管状部材に連結することができる。プッシュロッド1005を内側管状部材に連結する他の構成も可能である。
【0069】
図11A及び
図11Bに示されているさらに別の実施形態では、内側管状部材1100は、伸長状態及び後退状態の両方を有しうる。これは、圧縮可能なベローズ管の使用によって達成され、内側管状部材1100は、ベローズ構造から形成されている部分的圧縮可能部材から構成されうる。
図11Aは、完全伸長状態1101にある部分的に圧縮可能な部材を示す。
図11Bは、圧縮状態1103にある部分的に圧縮可能な部材を示す。内側管状部材1100の圧縮可能なベローズ区画1105は、制御機構内に存在することができ、これは、制御機構を過ぎて延びうる非圧縮性部材に接合されているか又は結合されている。このようにして、より短い制御機構が可能である。圧縮可能な又は折り畳み可能な内側管状部材1100の利点は、カテーテル装置の全長を短縮することである。折り畳み可能なセクションは、数ミリメートルから40センチメートルを超える範囲としうる。より好ましくは、折り畳み可能なセクションは、5センチメートル~20センチメートルで折り畳むことが意図されている。
【0070】
図11C及び
図11Dに示されている代替の実施形態では、非圧縮性の内側管状部材1107は、内側管状部材の一部分が外側管状部材から延びるように、外側管状部材(図示せず)内で近位から遠位方向に摺動することができる。この単純な構成は、より低い製造費用の利点を提供する。
【0071】
図12~
図20は、
図5A及び
図5Bを参照して記載した伸縮機構505を有する、例示的な実施形態のカテーテル装置500を示す。
図12~
図18のカテーテル装置500は、内側管状部材511及びその外側管状部材603の各々は、長手方向に配列された区画の各々内に望ましい特性を提供するために、互いに連結された長手方向に延びる複数の区画を有する組立体として提供されている、有益な構成を有している。
図12~
図20のカテーテル装置500は、また、同心状に配置された管状組立体の半径方向に隣接する層の間に形成された放射状空間を密封するための追加の密封手段を開示する。
【0072】
カテーテル装置500は、その近位端502aに形成された一体型ルアー又はハブ513を有し、ルアー又はハブ513は、固定管状区画501の近位端501aがそれに不動に連結されている位置まで延びている。固定管状区画501は、その近位端501aから、ハウジング502の遠位端502bを越えて遠位方向に位置するその遠位端501bまで軸線方向に延びている。ハウジング502は、ハウジング502に対する停止要素(スライダ)503の運動を案内するために、そこに形成されかつその軸線方向に延びるスロット217を有する。スロット217の対向する端部は、ハウジング502に対する停止要素503の軸線方向の運動範囲を画定するために、ハウジング502の近位停止部507及び遠位停止部509を画定する。停止要素503の一部は、操作者が停止要素503を操作して停止要素503を軸線方向に摺動させることができるように、ハウジング502の外面を越えて半径方向外向きに延びている。
【0073】
停止要素503は、
図12及び
図14において、近位密封要素541を保持するための環状溝を有して示されている。停止要素503は、また、停止要素503の遠位側で内側管状部材511の近位端511aに不動に連結されている。近位密封要素541は、固定管状区画501の外面と停止要素503の内面との間に周方向に延びるように配置されたOリングとして提供することができる。近位密封要素541は、固定管状区画501の外面と内側管状部材511の内面との間に放射状に形成された空間へのアクセスを密封するために、停止要素503と固定管状区画501との間を半径方向に対して密封圧縮することができる。近位密封要素541は、固定管状区画501の外面に沿って軸線方向に摺動しつつ、停止要素503がそれに沿って摺動させられるときにその密封効果を維持するするように構成されている。
【0074】
ハウジング502は、
図12及び
図13において、遠位密封要素542を保持するための環状溝を有して示されている。遠位密封要素542は、内側管状部材511の外面とハウジング502の内面との間に周方向に延びるように配置されたOリングとして提供することができる。遠位密封要素542は、内側管状部材511の外面と外側管状部材603の内面との間に半径方向に形成された空間へのアクセスを密封するために、ハウジング502と内側管状部材511との間を半径方向に対して密封圧縮することができる。遠位密封要素542は、内側管状部材511とハウジング502との間の相対運動中において、その密封効果を維持しつつ内側管状部材511の外面に対して摺動するように構成されている。
【0075】
ハウジング502は、内側管状部材511の外面と流体連通する洗浄ポート550を有し、内側管状部材511の外面は、洗浄ポート550から遠位の位置において、内側管状部材511の外面と外側管状部材603の内面との間に形成されている放射状空間と流体連通する。洗浄ポート550は、洗浄ポート550を、内側管状部材511の外面に洗浄流体を供給するように構成されたアクセサリと嵌合させるための構造を有しうる。膜551は、内側管状部材511の外面に延びかつそれと流体連通する開口部552への入口に配置されうる。洗浄ポート550は、洗浄流体が洗浄ポート550を介して洗浄流体の通路を介して放射状空間に送達される際に、内側管状部材511と外側管状部材603との間に形成された放射状空間を選択的に洗浄するために設けられうる。膜551は、流体を開口部552の外部に向かって逆流させる背圧の発生に抵抗するように設けられうる。
【0076】
外側管状部材603の近位端603aは、その遠位端502b又はその近傍でハウジング502に不動に連結されている。内側管状部材511は、外側管状部材603の遠位端603bに対する内側管状部材511の遠位端511bの位置を調節しつつ、固定管状区画501と内側管状部材511との協働によって形成されている内側管腔空間の全長を変更するために、外側管状部材603内で、かつ、固定管状区画501の周りを上述のように摺動するように構成されている。内側管状部材511のハウジング502の軸線方向への移動は、操作者がハウジング502の停止部507と停止部509の間に存在する軸線方向の間隔によって規定されているスライダ/停止要素503の全運動範囲で、スライダ/停止要素503を対応するスロット217に沿って摺動させることによって生じる。
【0077】
上述のように、
図12~
図20にわたって図示されている内側管状部材511は、結果として得られる内側管状部材511を形成するように、その端部において互いに連結されている、複数の長手方向に延びる区画を有する。
図15に示されているように、内側管状部材511は、近位端511aから遠位端511bまでの順序で、第1の区画561と、第2の区画562と、第3の区画563と、第4の区画564と、第5の区画565とを備える。以下に説明されているように、区画561、562、563、563、565のうちの1つ又は複数は、本開示による残りの区画561、562、563、564、565の組立体とカテーテル装置500の残りの部分との間に同じ関係が存在する限り、必ずしも本発明の技術的範囲から逸脱することなく、内側管状部材511を形成する組立体から除去されうる。同様に、追加の区画の使用が本開示による対応する区画の組立体間に存在する同じ関係を維持する限り、本発明の技術的範囲から必ずしも逸脱することなく、追加の区画を内側管状部材511に沿った任意の位置に追加することができる。すなわち、本発明の技術的範囲内に留まりつつ、隣接して配置された区画の間に、区画の次の区画への進行に関して同じ関係が存在しうる。以下に記載されている区画の各々は、その内部を画定する対応する内面と、外部を画定する外面とを有する管状構造(筒状)であると想定され、区画の各々は、区画の各々が内側管状部材511の全長の一部を占めるように、内側管状部材511の軸線方向又は長手方向の長さに延びると想定されている。
【0078】
本実施形態では、内側管状部材511の近位端511aを有する第1の区画561は、固定管状区画501の外面と内側管状部材511との間に存在する摺動運動に適合するための滑らかな摺動面を提供するように、熱硬化性ポリマー(熱硬化性プラスチック)から形成されうる。熱硬化性ポリマーは、ポリイミド樹脂としうる。第1の区画561は、その軸線方向運動の全範囲に沿った内側管状部材511の滑らかな摺動を保証するために、ハウジング502によって画定されている対向する停止部507と停止部509の間に存在する軸線方向の距離と少なくとも同程度の長さを有するように選択されうる。本実施形態では、第1の区画561は、約10cmの長さとしうる。いくつかの実施形態では、第1の区画561は、ポリイミド樹脂内に配置された最内層としてPTFEライナを有することができ、PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。
【0079】
第2の区画562は、第1の区画561に隣接して遠位方向に配置されている。内側管状部材511を組み立てる方法を記載する際に以下でより詳細に説明するように、第1の区画561及び第2の区画562は、それらの間に存在する重ねジョイント部で部分的に互いに重なり合って、対応するジョイント部に沿って互いに接触している区画561、562の表面積の増大を介してジョイント部を強化することができる。第2の区画562は、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーから形成することができる。本例では、第2の区画562を形成するポリアミド樹脂は、非限定的な例として、ナイロン12としうる。第2の区画562は、内側管状部材511の全長と比較して比較的短い長さ、例えば約0.5cm以下の長さを有しうる。第2の区画562は、主に、第1の区画561によって形成された熱硬化性樹脂ポリイミドポリマーを、第3の区画563によって形成された熱可塑性ポリアミドポリマーに連結するのを助けるために提供されうる。第2の区画562は、追加の強化材がない状態で提供することができ、外観を透明としうる。いくつかの実施形態では、第2の区画562は、ポリイミド樹脂内に配置された最内層としてPTFEライナを有することができ、PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.038mm(約0.0015インチ))の厚さを有しうる。
【0080】
第3の区画563は、第2の区画562に隣接して遠位方向に配置されている。前述の重ねジョイント部とは対照的に、第2の区画562及び第3の区画563は、区画562、563の筒状端面が軸線方向に位置合わせされ、適切な熱接合処理を介して互いに接合されている突き合わせジョイント部を介して、それぞれの対向する端部で接合されうる。第3の区画563は、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーから少なくとも部分的に形成されうる。本例では、第3の区画563を形成するポリアミド樹脂は、非限定的な実施例として、VESTAMID(登録商標)の商品名で知られる医療グレードのポリアミド樹脂12ポリマーとしうる。第3の区画563は、比較的長くすることができ、内側管状部材511の長さの大部分を形成しうる。本実施形態では、第3の区画563の長さは約74.0cmである。
【0081】
第3の区画563は、上述の外側管状部材213を参照して記載したのと同じ一般的な構造を有することができ、第3の区画563は、最内層としてのPTFEライナと、編組と、編組を凝集構造に密封するための記載したポリアミドポリマーから形成されたオーバーコートとを有しうる。PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。ワイヤ強化編組は、約0.038mm(0.0015インチ)の直径及び約80のPIC数を有するワイヤを有しうる。編組に利用されている織パターンは、オーバーアンダー(ダイヤモンド)パターンとしうる。編組材料は、302LV、304LV又は316LVなどの任意のグレードのステンレス鋼から作られうる。必要に応じて、追加のステンレス鋼製の編組を上述のPTFEライナ上に織ることができる。ニチノールなどの他の金属も、また、記載された編組のいずれかに関して使用するために企図されている。さらに、ポリアミド樹脂LCPなどのポリマー材料を有する他の材料を編組に使用することができる。非鉄及び非金属の編組材料を使用して、装置MRIを適合可能にすることができる。編組のPIC数は、その柔軟性及びトルク特性を最適化するために変化されうる。オーバーコートは、編組及びPTFEライナに付与することができる。オーバーコートは、編組ライナ上に押し出すことができ、又は、管状材料の別個の区画を使用して付与し、熱処理を使用して収縮管カバーと共に結合することができる。
【0082】
第4の区画564は、第3の区画563に隣接して遠位方向に配置されている。第3の区画563及び第4の区画564は、区画563、564の筒状端面が軸線方向に位置合わせされて互いに接合されている突き合わせジョイント部を介して、それぞれの対向する端部で接合されうる。第4の区画564は、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーから少なくとも部分的に形成されうる。本例では、第4の区画564を形成するポリアミド樹脂は、非限定的な例として、PEBAX5533としうる。本実施形態では、第4の区画564の長さは約24.5cmである。
【0083】
第4の区画564は、上述の第3の区画563を参照して記載したのと同じ一般的な構造を有することができ、第4の区画564は、最内層としてのPTFEライナと、編組と、編組を凝集構造に密封するための記載したポリアミドポリマー(PEBAX5533)から形成されたオーバーコートとを有しうる。PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。ワイヤ強化編組は、約0.038mm(0.0015インチ)の直径と、第4の区画564の近位端における約80のPIC数と、第4の区画564の遠位端における約125のPIC数とを有するワイヤを有しうる。80のPIC数から125のPIC数への移行は、第4の区画564の遠位端から約14.5cmに生じ得る。第4の区画564は、PTFEライナ内に形成された編組をさらに有しうる。第4の区画564の開示された編組のいずれかのために利用されている、編組パターン、構成及び材料は、第3の区画563を参照して上で記載されたものと同じパターン、構成及び材料としうる。
【0084】
第5の区画565は、第4の区画564に隣接して遠位方向に配置されている。第4の区画564及び第5の区画565は、区画564、565の筒状端面が軸線方向に位置合わせされ、互いに接合されている突き合わせジョイント部を介して、それぞれの対向する端部で接合されうる。第5の区画565は、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーから少なくとも部分的に形成されうる。本例では、第5の区画565を形成するポリアミド樹脂は、非限定的な例として、PEBAX3533としうる。本実施形態では、第5の区画565は、内側管状部材511の全長と比較して比較的短く、約0.5cmの長さとしうる。
【0085】
第5の区画565は、上述の第3の区画563を参照して記載したのと同じ一般的な構造を有することができ、第5の区画565は、最内層としてのPTFEライナと、編組と、編組を凝集構造に密封するための記載したポリアミドポリマー(PEBAX3533)から形成されたオーバーコートとを有しうる。PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。ワイヤ強化編組は、約0.038mm(0.0015インチ)の直径及び約125のPIC数を有するワイヤを有しうる。第5の区画565は、PTFEライナ内に形成された編組をさらに有しうる。第5の区画565の開示された編組のいずれかのために利用されている編組パターン、構成及び材料は、第3の区画563を参照して上で記載されたものと同じパターン、構成及び材料としうる。
【0086】
第5の区画565の遠位端によって形成されているような内側管状部材511の遠位端511bは、非外傷性にすることができ、X線不透過性材料又は他のX線透視マーカーを装填して、遠位端511bをX線透視下で高度に視認可能にすることができる。第5の区画565のその遠位端における約1.5mmの長さは、第5の区画565の遠位端を特に柔軟かつ柔らかくするために、PTFEライナ及び編組強化材の一方又は両方を欠きうる。
【0087】
内側管状部材511は、内側管状部材511がその近位端511aから遠位端511bまで延びるにつれて、様々な程度の曲げ剛性(flexural stiffness)又は曲げ剛性(bending stiffness)を有するように組み立てられうる。内側管状部材511のその長さに沿って変化する剛性は、区画561、562、563、564、565の隣接するものとは異なる曲げ剛性を有するように提供されている、開示されている異なる区画561、562、563、564、565のうちの1つ又は複数によって促進されうる。具体的には、いくつかの実施形態では、内側管状部材511を形成する複数の区画のうちの少なくとも1つは、内側管状部材511の近位端511aに向かって配置された複数の区画のうちの隣接する区画と比較して、低減した曲げ剛性を有する。言い換えると、内側管状部材511を形成する複数の区画のうちの少なくとも1つは、内側管状部材511の遠位端511bに向かって配置された複数の区画のうちの隣接する区画と比較して増大した曲げ剛性を有する。いくつかの実施形態では、複数の区画のうちの少なくとも3つは、遠位端511bに向かって曲げ剛性の低減を漸進的に有し、又は、(別途述べられる)近位端511aに向かって曲げ剛性の増大を漸進的に有する。他の実施形態では、複数の区画のうちの少なくとも4つは、遠位端511bに向かって曲げ剛性の低減を漸進的に有し、又は、近位端511aに向かって曲げ剛性の増大を漸進的に有する。さらに、他の実施形態では、区画の5つ全てが、遠位端511bに向かって曲げ剛性の低減を有し、又は、近位端511aに向かって曲げ剛性の増大を有する。具体的には、いくつかの実施形態では、第4の区画564は、第5の区画565よりも大きい曲げ剛性を有し、第3の区画563は、第4の区画564よりも大きい曲げ剛性を有する。他の実施形態では、第2の区画562は、また、第3の区画563よりも大きい曲げ剛性を有する。さらに他の実施形態では、第1の区画561は、第2の区画562よりも大きい曲げ剛性をさらに有する。
【0088】
本例は、区画561、562、563、564、565のうちの1つを形成する際に利用されうる異なるポリマー材料の各々に関連する異なる曲げ剛性の結果として、異なる区画561、562、563、564、565の各々内に存在する異なる相対曲げ剛性に少なくとも部分的に寄与するように、異なるポリマー材料から少なくとも部分的に形成されている異なる区画561、562、563、564、565の各々を有する。異なるポリマー材料は、そこに形成されたライナ及び編組も有する区画563、564、565の各々に凝集構造を提供するために利用されているポリマーオーバーコートを形成するものとして記載されている材料を指してもよく、又は、区画561、562のいずれかを形成する本体材料を指しうる。一般に、内側管状部材511は、内側管状部材511の近位端511aから遠位端511bに向かって進むときに曲げ剛性が低減する異なる区画561、562、563、564、565を形成するポリマー材料を有することができ、それによって、その近位端511aと比較して、その遠位端511bに隣接しかつそれに向かって内側管状部材511の柔軟性の増大を促進する。
【0089】
異なる区画561、562、563、564、565の間の異なる曲げ剛性は、また、そのような編組を有する異なる区画563、564、565において利用されているワイヤ編組のPIC数を変化させることによって容易にされ得、PIC数の増大は、対応する曲げ剛性の低下に対応する。本実施形態では、PIC数は、遠位端511bに向かう曲げ剛性の低下を促進するために、第5の区画565の遠位端における80から第3の区画563の近位端における125まで変化する。
【0090】
図12~
図20全体を通して示されている外側管状部材603は、また、その軸線方向端部において互いに連結されて、結果として得られる外側管状部材603を形成する、複数の軸線方向に延びる区画を有する。具体的には、
図16の外側管状部材603は、その近位端603aから遠位端603bまでの順に、第1の区画661と、第2の区画662と、第3の区画663と、第4の区画664と、第5の区画665とを備える。以下に説明されているように、区画661、662、663、663、665のうちの1つ又は複数は、本開示による残りの区画661、662、663、664、665の組立体とカテーテル装置500の残りの部分との間に同じ関係が存在する限り、必ずしも本発明の技術的範囲から逸脱することなく、外側管状部材603を形成する組立体から除去されうる。同様に、追加の区画の使用が、本開示による対応する区画の組立体とカテーテル装置500の残りの部分との間に存在する同じ関係を維持する限り、本発明の技術的範囲から必ずしも逸脱することなく、追加の区画を、外側管状部材603に沿った任意の位置に追加することができる。すなわち、本発明の技術的範囲内に留まりつつ、隣接して配置された区画の間に、区画の次の区画への進行に関して同じ関係が存在しうる。以下に記載されている区画の各々は、内部を画定する対応する内面と、外部を画定する外面とを有する構造の管状(筒状)であると想定され、区画の各々は、区画の各々が外側管状部材603の全長の一部を占めるように、外側管状部材603の軸線方向又は長手方向の長さに延びると想定されている。外側管状部材603は、本開示全体を通して示されて記載されているように、少なくとも1つの曲線を有する遠位端形状のいずれかで形成されうるが、簡略化及び明瞭化のために、
図12~
図16全体を通して、実質的に線形の構成で示されている。
【0091】
本実施形態では、外側管状部材603の近位端603aを有する第1の区画661は、内側管状部材511の外面と外側管状部材603との間に存在する摺動運動に適合するための滑らかな摺動面を提供するために、熱硬化性ポリマーから形成されうる。熱硬化性ポリマーは、ポリイミド樹脂としうる。第1の区画661は、その軸線方向運動の全範囲に沿った内側管状部材511の滑らかな摺動を保証するために、ハウジング502によって画定されている対向する停止部507と停止部509の間に存在する軸線方向の距離と少なくとも同程度の長さを有するように選択されうる。本実施形態では、第1の区画661は、約10cmの長さとしうる。いくつかの実施形態では、第1の区画661は、ポリイミド樹脂内に配置された最内層としてのPTFEライナを有することができ、PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。
【0092】
第2の区画662は、第1の区画661に隣接して遠位方向に配置されている。第1の区画661及び第2の区画662は、それらの間に存在する重ねジョイント部において部分的に互いに重なり合って、ジョイント部に沿って互いに接触している区画661、662の表面積の増大を介してジョイント部を強化することができる。第2の区画662は、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーから形成することができる。本例では、第2の区画562を形成するポリアミド樹脂は、非限定的な例として、ナイロン12としうる。第2の区画662は、外側管状部材603の全長と比較して比較的短い長さ、例えば約0.5cmの長さを有しうる。第2の区画662は、主に、第1の区画661によって形成された熱硬化性樹脂ポリイミドポリマーを、第3の区画663によって形成された熱可塑性ポリアミドポリマーに連結するのを助けるために提供されうる。第2の区画662は、追加の強化材がない状態で提供することができ、外観を透明としうる。いくつかの実施形態では、第2の区画662は、ポリイミド樹脂内に配置された最内層としてPTFEライナを有することができ、PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。
【0093】
第3の区画663は、第2の区画662に隣接して遠位方向に配置されている。前述の重ねジョイント部とは対照的に、第2の区画662及び第3の区画663は、区画662、663の筒状端面が軸線方向に位置合わせされて互いに接合されている突き合わせジョイント部を介して、それぞれの対向する端部で接合されうる。第3の区画663は、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーから少なくとも部分的に形成されうる。本例では、第3の区画663を形成するポリアミド樹脂は、非限定的な実施例として、VESTAMID(登録商標)の商品名で知られる医療グレードのポリアミド樹脂12ポリマーとしうる。第3の区画663は、比較的長くすることができ、外側管状部材603の長さの大部分を形成しうる。本実施形態では、第3の区画663の長さは約89.0cmである。
【0094】
第3の区画663は、上記の外側管状部材213及び内側管状部材511の区画563、564、565を参照して記載したのと同じ一般的な構造を有することができ、第3の区画663は、最内層としてのPTFEライナと、編組と、編組を凝集構造に密封するための記載したポリアミドポリマーから形成されたオーバーコートとを有しうる。PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。ワイヤ強化編組は、約65のPIC数を有する約0.025mm(0.001インチ)x約0.13mm(0.005インチ)のフラットワイヤを有しうる。編組に利用されている織パターンは、オーバーアンダー(ダイヤモンド)パターンとしうる。編組材料は、302LV、304LV又は316LVなどの任意のグレードのステンレス鋼から作られうる。追加のステンレス鋼製の編組を上述のPTFEライナ上に織ることができる。ニチノールなどの他の金属も、また、記載された編組のいずれかに関して使用するために企図されている。さらに、ポリアミド樹脂LCPなどのポリマー材料を有する他の材料を編組に使用することができる。非鉄及び非金属の編組材料を使用して、装置MRIを適合可能にすることができる。編組のPIC数は、その柔軟性及びトルク特性を最適化するために変化されうる。オーバーコートは、編組及びPTFEライナに付与することができる。オーバーコートは、編組ライナ上に押し出すことができ、又は、管状材料の別個の区画を使用して付与し、熱処理を使用して収縮管カバーと共に結合することができる。
【0095】
第4の区画664は、第3の区画663に隣接して遠位方向に配置されている。第3の区画663及び第4の区画664は、区画663、664の筒状端面が軸線方向に位置合わせされ、互いに接合されている突き合わせジョイント部を介して、それぞれの対向する端部で接合されうる。第4の区画664は、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーから少なくとも部分的に形成されうる。本例では、第4の区画664を形成するポリアミド樹脂は、非限定的な例として、PEBAX5533としうる。本実施形態では、第4の区画664の長さは約1.0cmである。
【0096】
第4の区画664は、上述の第3の区画663を参照して記載したのと同じ一般的な構造を有することができ、第4の区画664は、最内層としてのPTFEライナと、編組と、編組を凝集構造に密封するための記載したポリアミドポリマー(PEBAX5533)から形成されたオーバーコートとを有しうる。PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。ワイヤ強化編組は、約65のPIC数を有する約0.025mm(0.001インチ)x約0.13mm(0.005インチ)のフラットワイヤを有しうる。第4の区画664は、PTFEライナ内に形成された編組をさらに有しうる。第4の区画664の開示された編組のいずれかのために利用されている編組パターン、構成及び材料は、第3の区画663を参照して上で記載されたものと同じパターン、構成、及び材料としうる。
【0097】
第5の区画665は、第4の区画664に隣接して遠位方向に配置されている。第4の区画664及び第5の区画665は、区画664、665の筒状端面が軸線方向に位置合わせされ、互いに接合されている突き合わせジョイント部を介して、それぞれの対向する端部で接合されうる。第5の区画665は、ポリアミドなどの熱可塑性ポリマーから少なくとも部分的に形成されうる。本例では、第5の区画665を形成するポリアミド樹脂は、非限定的な例として、PEBAX3533としうる。本実施形態では、第5の区画665は、外側管状部材603の全長と比較して比較的短く、約0.5cmの長さとしうる。
【0098】
第5の区画665は、上述の第3の区画663を参照して記載したのと同じ一般的な構造を有することができ、第5の区画665は、最内層としてのPTFEライナと、編組と、編組を凝集構造に密封するための記載したポリアミドポリマー(PEBAX3533)から形成されたオーバーコートとを有しうる。PTFEのライニングは、約0.038mm(約0.0015インチ)の厚さを有しうる。ワイヤ強化編組は、約65のPIC数を有する約0.025mm(0.001インチ)x約0.13mm(0.005インチ)のフラットワイヤを有しうる。第5の区画665は、PTFEライナ内に形成された編組をさらに有しうる。第5の区画665の開示された編組のいずれかのために利用されている編組パターン、構成及び材料は、第3の区画663を参照して上で記載されたものと同じパターン、構成及び材料としうる。
【0099】
第5の区画665の遠位端によって形成されているような外側管状部材603の遠位端603bは、非外傷性にすることができ、X線透視下で遠位端603bを高度に視認可能にするために、放射線不透過性材料を装填することができる。第5の区画665のその遠位端における約1.5mmの長さは、PTFEライナ及び編組強化材の一方又は両方を欠きうる。
【0100】
外側管状部材603は、外側管状部材603がその近位端603aから遠位端603bまで延びるにつれて、様々な程度の曲げ剛性又は曲げ剛性を有するように組み立てられうる。外側管状部材603のその長さに沿って変化する剛性は、区画661、662、663、664、665の隣接するものとは異なる曲げ剛性を有するように提供されている、開示されている異なる区画661、662、663、664、665のうちの1つ又は複数によって促進されうる。具体的には、いくつかの実施形態では、外側管状部材603を形成する複数の区画のうちの少なくとも1つは、外側管状部材603の近位端603aに向かって配置された複数の区画のうちの隣接する区画と比較して低減した曲げ剛性を有する。言い換えると、外側管状部材603を形成する複数の区画のうちの少なくとも1つは、外側管状部材603の遠位端603bに向かって配置された複数の区画のうちの隣接する区画と比較して増大した曲げ剛性を有する。いくつかの実施形態では、複数の区画のうちの少なくとも3つは、遠位端603bに向かって曲げ剛性の低減を漸進的に有し、又は(別途述べられる)近位端603aに向かって曲げ剛性の増大を漸進的に有する。
他の実施形態では、複数の区画のうちの少なくとも4つは、遠位端603bに向かって曲げ剛性の低減を有し、又は、近位端603aに向かって曲げ剛性の増大を漸進的に有する。さらに、他の実施形態では、区画の5つ全てが、遠位端603bに向かって曲げ剛性の低減を有し、又は、近位端603aに向かって曲げ剛性の増大を有する。具体的には、いくつかの実施形態では、第4の区画664は、第5の区画665よりも大きい曲げ剛性を有し、第3の区画663は、第4の区画664よりも大きい曲げ剛性を有する。他の実施形態では、第2の区画662はまた、第3の区画663よりも大きい曲げ剛性を有する。さらに他の実施形態では、第1の区画661は、第2の区画662よりも大きい曲げ剛性をさらに有する。
【0101】
本例は、区画661、662、663、664、665のうちの1つを形成する際に利用されうる異なるポリマー材料の各々に関連する異なる曲げ剛性の結果として、異なる区画661、662、663、664、665の各々内に存在する異なる相対曲げ剛性に少なくとも部分的に寄与するように、異なるポリマー材料から少なくとも部分的に形成されている異なる区画661、662、663、664、665の各々を有する。異なるポリマー材料は、そこに形成されたライナ及び編組も有する区画663、664、665の各々に凝集構造を提供するために利用されているポリマーオーバーコートを形成するものとして記載されている材料を指してもよく、又は区画661、662のいずれかを形成する本体材料を指しうる。一般に、外側管状部材603は、外側管状部材603の近位端603aから遠位端603bに向かって進むときに曲げ剛性が低減する異なる区画661、662、663、664、665を形成するポリマー材料を有することができ、それによって、その近位端603aと比較して、その遠位端603bに隣接する外側管状部材603の柔軟性の増大を促進する。異なる区画661、662、663、664、665の間の異なる曲げ剛性は、また、異なる区画663、664、665において利用されているワイヤ編組のPIC数を変化させることによって容易にされ得、PIC数の増大は、対応する曲げ剛性の低下に対応する。
【0102】
全体を通して言及されているように、カテーテル装置500の外側管状部材603は、本明細書で企図されている特定の手術を達成するために、1.67mm(5Fr)~2mm(6Fr)の範囲の外径を提供されうる。しかしながら、本明細書に開示されている関係は、本発明の技術的範囲から必ずしも逸脱することなく、異なる寸法を有するガイドカテーテルと併せて利用されうることが、当業者には明らかであろう。本例では、外側管状部材603は、約2.0mm(約0.080インチ)、又は、約1.5mm(約0.060インチ)~約2.3mm(約0.090インチ)の範囲の外径を有しうる。外側管状部材603の少なくとも区画662、663、664、665に対する半径方向壁厚は、約0.13mm(0.005インチ)、又は約0.10mm(0.004インチ)~約0.15mm(0.006インチ)の範囲としうる。外側管状部材603の内径と内側管状部材511の外径との間に存在する半径方向クリアランスは、約0.076mm(0.003インチ)、又は、約0.05mm(0.002インチ)~約0.10mm(0.004インチ)の範囲としうる。内側管状部材511の少なくとも区画562、563、564、565に対する半径方向壁厚は、約0.13mm(0.005インチ)、又は約0.10mm(0.004インチ)~約0.15mm(0.006インチ)の範囲としうる。内側管状部材511の内径と固定管状区画501の外径との間に存在する半径方向クリアランスは、約0.076mm(0.003インチ)、又は、約0.05mm(0.002インチ)~約0.10mm(0.004インチ)の範囲としうる。固定管状区画501の半径方向壁厚は、約0.076mm(0.003インチ)、又は、約0.05mm(0.002インチ)~約0.10mm(0.004インチ)の範囲としうる。
【0103】
上述のように、区画562、563、564、565の各々は、内側管状部材511に対して実質的に同じ内径、外径、及び結果として生じる壁厚を有することができ、区画662、663、664、665の各々は、同様に、外側管状部材603に対して実質的に同じ内径、外径、及び結果として生じる壁厚を有することができ、それによって、これらの区画の交差部に形成されている突き合わせジョイント部を容易にする。しかしながら、対照的に、内側管状部材511の第1の区画561は、その隣接して配置された第2の区画562と比較して異なる半径方向厚さを有することができ、一方、外側管状部材603の第1の区画661は、その隣接して配置された第2の区画662と比較して異なる半径方向厚さを同様に有しうる。異なる壁厚は、第1の区画561、661の各々が、それぞれの第2の区画562、662の各々と実質的に同じ内径を有するが、第1の区画561、661の各々が、それぞれの第2の区画562、662の各々と比較して低減された外径を有することをもたらしうる。ポリイミド管として記載された第1の区画561、661の各々の半径方向厚さは、例示的な第2の区画562、662の各々に利用されうる約0.13mm(0.005インチ)とは対照的に、約0.025mm(0.001インチ)~約0.076mm(0.003インチ)の範囲内としうる。具体的には、第2の区画562、662の各々は、それぞれの第1の区画561、661の各々の厚さよりも1.5~5倍大きい半径方向壁厚さを有するように選択されうる。
【0104】
図17~
図20に示すように、対応する第2の区画562、662の各々に対する第1の区画561、661の各々の肉厚の低減は、熱接合処理中に第1の区画561、661にわたって流れることができる材料の追加の厚さの結果として、重ねジョイント部を形成する能力をもたらす。
図17~
図20のそれぞれは、それぞれの重ねジョイント部を形成する際に同じ処理が利用されているために、内側管状部材511及び外側管状部材603のそれぞれに関してラベル付けされたその管状構成要素を有する。
【0105】
図17に示されているように、第1の区画561、661の遠位端部分680は、第1の区画561、661の内面が遠位方向に向かって半径方向外向きに先細るように半径方向外向きに広げられるように変形される。代替的に、第1の区画561、661の内面は、同様の効果を達成しつつ、上記の開示された広がりがない状態で、同じように面取りされるか又は先細りうる。第1の区画561、661は、第2の区画562、662の近位端に当接され、第2の区画は、第1の区画561、661と比較して増大した半径方向の壁厚を有し、実質的に同様又は同一の内径も有する。第1の区画561、661の半径方向外向きの広がりにより、遠位端部分680を、第2の区画562、662の内面及び外面のそれぞれから半径方向に離間した位置で、第2の区画562、662の近位端に接触させる。
図18に示されているように、マンドレル1500は、マンドレル1500の外面と対応する区画561、562、661、662の対のそれぞれの内面との間に存在するクリアランスが最小化された状態で、第1の区画561、661及び第2の区画562、662のそれぞれの内部に延びる。
【0106】
次に、
図18と
図19とを比較すると分かるように、区画561、562、661、662が互いに当接して、第2の区画562、662を形成する熱可塑性ポリアミドポリマーを溶融させ、第1の区画561、661の遠位端部分680の半径方向外側(上方)及び半径方向内側(下方)の両方に流れる、熱接合処理が利用されている。熱接合処理は、第2の区画562、662を加熱して流すことが望まれるジョイント部にわたって、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))製のスリーブ又はFEP収縮管などの熱接合ジャケットを配置することを有しうる。次に、熱を加えて、第2の区画562、662の所望の部分を溶融させて流す。第1の区画561、661は、熱接合処理中に溶融及び流れない熱硬化性ポリマーポリイミドから形成されている。マンドレル1500は、第2の区画562、662の溶融した部分の半径方向内向きの流れを区切るための半径方向内向きの区切面を形成する。第2の区画562、662が十分に流れると、熱接合ジャケットをジョイント部の上から取り外すことができ、マンドレル1500を区画561、562、661、662内から後退させることができ、それによって、
図20の重ねジョイント部が得られる。
【0107】
マンドレル1500の使用により、マンドレル1500の外面に沿って流れる第2の区画562、662の部分が、第1の区画561、661の内面と連続する表面を形成して、区画561、562、661、662の間のジョイント部を通過する装置又は管状部材を通しうる、その中のレッジ(ledge)又は隆起(bump)が形成するのを防止することを保証する。第1の区画561、661の遠位端部分680の内面及び対向する外面の両方に接触するように流れる第2の区画562、662の流れる部分は、接合している区画561、562、661、662の間の接触面積を著しく長くし、それによって、異なる区画561、562、661、662を形成する異なるポリマー間の堅牢なジョイント部を提供する。遠位端部分680の半径方向の広がりは、また、区画561、562、661、662間の接合をさらに固めるための軸線方向の干渉パターンを提供するのに役立つ。
【0108】
本発明の一実施形態によれば、内側管状部材511又は外側管状部材603は、以下の処理を介して形成されうる。最初に、細長いマンドレル(図示せず)が、それぞれの管状部材511、603の内側管腔空間に対応するように設けられうる。次に、上述のPTFEライナは、マンドレル上に受容され、ライナを必要とする対応する区画561、562、563、564、565又は区画661、662、663、664、665の任意のサブセットの内面に対応するように配置されている軸線方向に延びるシースとして提供することができ、それは、区画561、562、563、564、565又は区画661、662、663、664、665の全て又は一部にまたがるライナを有しうる。次いで、記載された補強編組は、遠位区画563、564、565内又は遠位区画663、664、665内などの、区画561、562、563、564、565又は区画661、662、663、664、665の対応する選択区画に織り込まれうる。次に、互いに独立して提供されうる、ポリマー材料から形成された記載のオーバーコートは、編組及び/又は露出ライナにわたって摺動させられうる。隣接する区画間で言及された前述の突き合わせジョイント部は、これらの異なるオーバーコート区画がライナ及び/又は編組にわたって互いに当接するように形成された突き合わせジョイント部に対応しうる。次いで、異なる区画561、562、563、564、565又は区画661、662、663、664、665の交差部のそれぞれは、それぞれのジョイントにわたる熱接合ジャケットにわたって配置することによって接合され、次いで、各ジャケットにおいて熱接合処理を実施することによって接合しうる。次に、マンドレルを引き抜くことができる。
【0109】
内側管状部材511及び外側管状部材603のそれぞれの開示された構造によって、停止部507と停止部509の間に画定された運動範囲に沿った内側管状部材511の摺動の容易さを有利に促進する。カテーテル装置500の固定管状区画501は、ステンレス鋼管として提供することができ、これは、停止要素503が停止部507と停止部509のいずれかに向かう方向に軸線方向に動くように調節されたときに内側管状部材511の第1の区画561の内面をその上を摺動させることができる、硬質で滑らかで低摩擦の摺動面を提供する。内側管状部材511の第1の区画561は、内側管状部材511と固定管状部材603との間の滑らかで容易な摺動を更に促進する、ポリイミドの硬質で滑らかで低摩擦の管から形成されている。また、外側管状部材603の第1の区画661は、内側管状部材511の周囲の外側管状部材603に対する滑らかで容易な摺動を同様に促進する、ポリイミドの硬質で滑らかで低摩擦の管から形成されている。
【0110】
また、外側管状部材603の固定管状区画501と第1の区画661は、内側管状部材511の伸長又は後退の間において停止部507と停止部509のいずれかに向かって調節されるときに、内側管状部材511の第1の区画561が有益な摺動構成を維持することができるように、互いに軸線方向に離間される。つまり、内側管状部材511が完全に後退して停止要素503が近位停止部507に当接すると、第1の区画561は主に、固定管状区画501の周囲に配置され、これと軸線方向に重なる。停止要素503が遠位停止部509に向かって調節されると、内側管状部材511の第1の区画561は、固定管状区画501と主に軸線方向に重なり合う状態から、外側管状部材603の第1の区画661と主に軸線方向に重なり合う状態に移行する。この内側管状部材511の運動範囲に沿った、内側に配置された滑らかな表面から外側に配置された滑らかな表面への移行は、それに応じて、内側管状部材511の第1の区画561の対応する表面と外側管状部材603のそれぞれの固定された管状区画501及び第1の区画661との間に存在する同様の接触面積及び摩擦力により、内側管状部材511には実質的に一定の摩擦力が加えられる結果となる。
【0111】
固定管状区画501と内側管状部材511の第1の区画561と外側管状部材603の第1の区画661の比較的高い曲げ剛性及び曲げ剛性は、また、カテーテル装置500の所望の機能を維持しつつ、操作者がスライダ/停止要素503を調節するのを助ける。スライダ/停止要素503は、その位置合わせ不良又は変形が生じた場合にスライダ/停止要素503に加えられる任意の力が内側管状部材511を通って運ばれうるように、内側管状部材511の第1の区画561に直接的に連結されている。伸縮機構505を形成する摺動部品の強度及び剛性の増大により、それに応じて、固定された管状区画501及び外側管状部材603の各々に対して内側管状部材511の所望の案内を維持するのを助ける。
【0112】
ここで
図21を参照すると、本発明の一実施形態による、カテーテル装置500の追加の安全機能が開示されている。
図21に示されている安全特徴は、
図22に示されているような状況を回避するように構成されており、内側に配置された筒状物体が、外側に配置された筒状及び薄壁の構造の一方の直径側にオフセットされ、その間に三日月形の開口部を形成し、例えば、筒状装置が、内側管状部材511の遠位端511bを通って延びつつ軸線方向に位置合わせ不良であるとき、又は、内側管状部材511の筒状遠位端511bが、外側管状部材603の遠位端603bを通って延びつつ軸線方向に位置合わせ不良であるときに生じ得る。この三日月形の開口部は、開口部に隣接する切断縁部を形成する薄壁の外側筒壁に起因して、血管などの表面の内部に沿って走るときに、望ましくないことに、その中に組織を受容することがある。したがって、対応する内側の受容構成要素がそこから外向きに延びるときに遠位端511b、603bの各々においてそのような構成が発生するのを回避することが望ましい。
【0113】
図21の実施形態は、内側管状部材511が、その内部を通って延びる筒状構造695を有するものとして示し、筒状構造695は、本明細書に記載されている処理のいずれかに従ってカテーテル装置500の内側管腔空間を利用する手術に関連付けられうる任意の筒状のツール、装置、シース、導管などを表しうる。内側管状部材511は、その周囲の周りで筒状構造695の外側と接触する、直接的にその遠位端511bにおいて内向きにテーパ状の遠位端区画590を有し、遠位端区画590から近位に配置された、内側管状部材511の残部は、筒状構造695の外側から半径方向に離間して、それらの間に半径方向クリアランスを提供する。外側管状部材603は、同様に、その周囲の周りで内側管状部材511の外面に接触する、直接的にその遠位端603bにおいて内向きにテーパ状の遠位端区画690を有し、遠位端区画690から近位に配置された、外側管状部材603の残部は、内側管状部材511の外面から半径方向に離間して、それらの間に半径方向クリアランスを提供する。遠位端区画590、690の各々は、管状部材511、603の各々の遠位方向に進行しつつ、対応する遠位端511b、603bにおいて低減する内径を有するようにテーパ状である。この遠位端区画590、690の内向きテーパによって、外側に配置された管状部材603、511の各々が、内側に配置された構成要素511、695が対応する遠位端511b、603bを越えて軸線方向に延びるときに、その周囲の周りで対応する内側に配置された構成要素511、695の外面を把持、接触又は「ハギング(hugging)」することをもたらす。
【0114】
上述のように、遠位端511b、603bを形成する第5の区画565、665の各々の最遠位区画(約1.5mm)は、有益には、その対応する遠位端511b、603bにおける管状部材511、603の各々の最大の柔軟性を促進するために、強化材、ライニングなどを欠いて提供されうる。遠位端区画590、690の各々は、対応する第5の区画565、665の上記の強化されていない部分(又は、区画の代替構成が利用されている場合には、均等物)によって形成されており、遠位端区画590、690の各々が、対応する内側に配置された構成要素511、695の外面上の接触把持部を依然として維持しつつ、対応する内側に配置された構成要素511、695の軸線方向の位置合わせ不良を調整するために、任意の半径方向にわずかに屈曲する能力を促進することができる。遠位端区画590、690の各々の柔軟性は、また、遠位端区画590、690の各々が内側に配置された構成要素511、695の外面に沿って摺動する場合に、過度の摩擦を防止するために提供されうる。遠位端区画590、690の各々は、対応する第5の区画565、665の端部分であるのとは対照的に、対応する第5の区画565、665の遠位端に接合された追加の第6の区画として提供されうる。いずれにしても、遠位端区画590、690の各々は、非限定的な例として、PEBAX2533又はPEBAX3533などの比較的軟質で柔軟性のポリアミドポリマーから形成されうる。
【0115】
本明細書に記載のカテーテル装置は、様々な方法で使用することができる。多くの利用可能なガイドカテーテル形状の中で、装置の操作者は、上出来な介入のために十分な同軸支持をもたらすと考えるものを選択することができる。ガイドカテーテルは、現在利用可能な任意の他のタイプのガイドカテーテルと同様に、標準的に冠状動脈に係合するために使用することができる。例えば、右冠状動脈に係合するために、操作者は、ガイドカテーテルを標準的な2mm(6Fr)JR4の形状をとり、約0.89mm(0.035インチ)のガイドワイヤを用いてガイドカテーテルを上行大動脈に前進させる。次いで、操作者は、ガイドカテーテルを用いて大動脈弁に穏やかに接触し、次いで、右手で、ガイドカテーテルを後退させて近位部分上に置き、次いで、左(及び右)手で時計回りのトルクを印加して、カテーテルを右冠状動脈に回転させて、冠状動脈口に係合させる。同様に、左冠状動脈については、操作者は、2mm(6Fr)のJL4又はEBU4などの標準的な形状のガイドカテーテルを採用し、約0.89mm(0.035インチ)のガイドワイヤ上に挿入する。ガイドカテーテル及びガイドワイヤは、上行大動脈内で前進させることができ、このとき、ガイドワイヤは取り外される。ガイドカテーテルは、左冠状動脈内に進められ、冠状動脈口と係合する。
【0116】
その後の介入では、患者が十分に抗凝固療法を受けた後、約0.36mm(0.014インチ)のワイヤを慎重に冠動脈内に進めて狭窄病変部を越える。ワイヤがこの病変部を通過すると、操作者はバルーン及びステントカテーテルを前進させて病変部を治療することができる。しかしながら、バルーン/ステントカテーテルシステムの送達のための適切な支持がない場合がある。この場合、バディワイヤ(buddy wire)システムの使用、バルーンによる病変部のさらなる修正、ガイドカテーテル伸長部の使用、より支持的なガイドワイヤへの変更、より大きなガイドカテーテル又はより多くの支持を提供することができる異なる形状のガイドカテーテルへの変更など、使用することができる標準的な手法がある。これらの選択的な解決策は理想的ではなく、全て追加の機器を必要とすると共に、介入の円滑なワークフローを中断する。ワークフロー、患者の安全性、及びコストの観点から重要である、任意の追加の機器の使用を必要としない、より良好な解決策が必要とされる。理想的な解決策は、既にガイドカテーテルに組み込まれている。
【0117】
以下に概説する方法は、本技術が、改善された治療方法を提供するために、新規なガイドカテーテルシステムを有するカテーテル装置をどのように利用することができるかを記載する。内側管状部材は、その初期構成において、その遠位端が外側管状部材から突出しないように体に入る。カテーテル装置は、この初期構成では、上述のように冠状動脈に係合するために使用されている。該当の病変部は、上述の標準的な方法で約0.36mm(0.014インチ)のガイドワイヤと交差させることができる。バルーン/ステント送達システムを前進させることが困難である場合、又は前進させることが困難であると予想される場合、本技術の内側管状部材は、ガイドカテーテル支持を強化するために脈管構造内で伸長させることができる。
【0118】
カテーテル装置は、当業者に周知の技術を用いて、鼠径部付近の大腿動脈内の血管アクセス部位に挿入することができる。あるいは、装置は、患者の手首で橈骨動脈に挿入されうる。大腿又は半径方向の両方の技術において、カテーテル装置は、冠状動脈口に達するまで、血管系を通って前進させられる。カテーテルシャフト上のマーカーは、体内のカテーテル先端の位置を示すことができ、結果として、カテーテルを位置決めする際の放射線の使用を低減することができる。
【0119】
操作者は、カテーテル装置を使用して、まず、右手でバルーンカテーテルを冠動脈内に約10~15mm進め、左手で約0.36mm(0.014インチ)ガイドワイヤを適所に保持する。その後、進められたバルーンカテーテルは、カテーテル装置の内側管状部材を安全に伸長させるためのレールとして働くことができる。バルーンカテーテルが治療された血管の予め定めた位置に進められ、次いで左手を使用して、内側ガイドカテーテルは、制御機構の操作によってカテーテル装置から伸長されうる。内側管状部材に作用する制御機構によって、動脈内への前進又は外側管状部材内への後退の両方を可能にし、この作動手段は、内側管状部材の管腔内の空間を利用せず、したがって、他の目的のための管腔空間の使用を可能にする。この技術は、血管解離を防止するための安全性の追加の手段を提供する。
【0120】
内側管状部材を伸長させる1つの方法は、操作者が、ガイドワイヤ及びバルーンカテーテルを右手で保持しつつ、(回転リング制御機構を有する実施形態のために)小さなノブを時計回りに回すために、操作者の左手を使用することである。別の方法は、操作者がバルーン及びガイドワイヤを右手で保持しつつ左手で摺動機構を使用して内側管状部材を伸長させることである。
【0121】
内側管状部材が、支持を提供するのに十分に冠状動脈内に前進させられると、この介入は、典型的に完了することができる。この介入が完了したときに伸長させられた内側管状部材を後退させるために、操作者は、実施形態に応じて、左手を用いてノブを反時計回りに回すか又は摺動機構を後退させる。次いで、手術を実施するために使用される他の機器が後退させられ、アクセス部位が閉鎖されて、手術が完了する。
【0122】
図21を参照して示されかつ記載されている実施形態のカテーテル装置500は、ガイドカテーテルを受容するように構成された比較的大きなボアシースなどの望ましくない大きな外径を有する筒状構造の使用を回避し、次いで(大腿動脈と比較して)比較的狭い橈骨動脈などの特定の動脈にアクセスすることが望ましい、特定の手術を実施する際に有益としうる。代わりに、鉄道(railway)タイプの伸長器を備える「鉄道」タイプのシステムと称されうるものは、他の同様又は同等の手術の中でも、半径方向PCIなどの手術を実行する際に、カテーテル装置500とともに利用されうる。管状部材511、603の遠位端511b、603bの各々に比較的柔軟性がありかつ半径方向内向きにテーパ状の遠位端区画590、690を有することによって提供されている安全特徴により、
図22に示されている望ましくない構成の形成がないカテーテル装置500の使用中に、(筒状構造695に対応する)鉄道タイプの伸長器及び内側管状部材511が対応する遠位端511b、603bを過ぎて安全に延びる能力を介して、上記手術を可能にする。
【0123】
半径方向PCI手術は、橈骨アクセスを得るための針及びワイヤの使用を有することができ、これは、また、任意選択的に、1.67mm(5Fr)のシースの使用を含みうる。カテーテル装置500は、遠位端511bが遠位端603bから遠位方向に離間しかつ内側管状部材511の一部が露出した状態で、伸長位置に調節される。鉄道タイプの伸長器は、カテーテル装置500の内側管腔空間内に受容される。次いで、従来技術に従って知られている方法で、針を使用して橈骨動脈への橈骨アクセスが得られる。次いで、1.67mm(5Fr)のシースが橈骨動脈内に受容され、この1.67mm(5Fr)のシースを通して、0.89mm(0.035インチ)のワイヤが上行大動脈内で前進させられる。次いで、1.67mm(5Fr)のシースが取り外され、鉄道タイプの伸長器及び周囲のカテーテル装置500が、ワイヤ上を進められ、上行大動脈に入る。次いで、鉄道タイプの伸長器がワイヤから取り外され、内側管状部材511が後退させられる。トーイフィッティング(Touhy fitting)は、肝臓生理食塩水で内側管腔空間を洗い流すことを容易にするためにルアー又はハブ513を介して取り付けられうる。次いで、カテーテル装置500を利用して、血管に係合し、カテーテル装置500の記載された使用方法に従って手術を完了する。
【0124】
代替として、この手術は、代わりに、橈骨アクセスを得るための、鉄道タイプの伸長器のポートを通して後退する0.53mm(0.021インチ)のワイヤの使用を含みうる。次いで、カテーテル装置500は、鉄道の取り外しの直前に、鉄道タイプの伸長器によって形成された、以前に伸長された鉄道の端部まで伸長されうる。次に、0.89mm(0.035インチ)のワイヤは、内側管状部材511の前進及び本開示による手術の完了の前に、カテーテル装置500の内側管腔空間を通って前進させられる。
【0125】
例示的な実施形態は、本開示が完全でありかつ当業者に範囲を十分に伝えるように提供されている。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、及び方法の例など、多数の特定の詳細が記載されている。特定の詳細を使用する必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で実施されうること、及び、どちらも本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことが、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知の処理、周知の装置構造、及び周知の技術は、詳細に記載されない。いくつかの実施形態、材料、組成物、及び方法の均等な変更、修正、及び変動を、実質的に同様の結果が得られる、本技術の技術的範囲内で行うことができる。
【外国語明細書】