(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117784
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】多孔性材料及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 67/20 20060101AFI20240822BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240822BHJP
A61L 27/56 20060101ALI20240822BHJP
A61F 2/28 20060101ALI20240822BHJP
C08J 9/26 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B29C67/20 A
A61L27/18
A61L27/56
A61F2/28
C08J9/26 101
C08J9/26 CEZ
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024095100
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2021525714の分割
【原出願日】2019-11-12
(31)【優先権主張番号】62/758,833
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521201872
【氏名又は名称】グループ・ピーピーディー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・モリセット
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンサン・モリセット
(57)【要約】
【課題】インプラントに適した多孔性ポリマー及びその製造方法を提供する。
【解決手段】多数の実質的に球状の挿入された中空をポリマーに含むインプラントに適した多孔性材料を開示する。熱及び圧力下でポリマーを散逸性材料と合わせ、続いて、散逸性材料を取り除いて中空を暴露することによって、中空は形成される。散逸性材料をポリマーと合わせる前に、散逸性材料を合一成形工程に供することによって、挿入を増加させることができる。多孔性材料を固体のポリマー等の固体材料と合わせて、様々な特徴を有する複雑な移植可能な材料を製造することができる。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相互接続した中空を含む強固な生体適合性ポリマーを含み、
前記中空の実質的全ては球状であり、前記中空の実質的全ては、180μm~600μmの直径を有し、さらに、容積の50%未満は、前記生体適合性ポリマーを含む、インプラントに適した材料。
【請求項2】
前記多孔性部分の容積の50%~15%は前記生体適合性ポリマーを含む、請求項1に記載のインプラントに適した材料。
【請求項3】
容積で前記中空は315μm~425μmの直径を有する、請求項1に記載のインプラントに適した材料。
【請求項4】
前記中空は多孔性部分であり、少なくとも20Mpaの圧力に耐えることができる、請求項1に記載のインプラントに適した材料。
【請求項5】
前記中空のそれぞれは、実質的に円形の開口部によって複数の隣接する中空のそれぞれと相互接続する、請求項1に記載のインプラントに適した材料。
【請求項6】
前記中空のそれぞれは、生物活性剤を充填され、前記生物活性剤は、生物学的過程によって移植後に置換することができる、請求項1に記載のインプラントに適した材料。
【請求項7】
前記生物活性剤は、バイオグラスを含む、請求項1に記載のインプラントに適した材料。
【請求項8】
固体の生体適合性ポリマーを含む固体部分、及び
複数の相互接続した中空を含む強固な生体適合性ポリマーを含む多孔性部分を含み、実質的に全ての前記中空は、球状であり、容積で実質的に全ての前記中空は、180μm~600μmの直径を有し、さらに前記多孔部分の容積の50%未満が前記生体適合性ポリマーを含む、インプラントに適した材料。
【請求項9】
容積で実質的に全ての前記中空は315μm~425μmの直径を有する、請求項8に記載のインプラントに適した材料。
【請求項10】
強固な生体適合性ポリマー、
前記ポリマーに浮遊し、部分的に平らな球状粒子から本質的になる散逸性材料を含む、インプラントを製造するための中間材料。
【請求項11】
容積で実質的に全ての前記球状粒子は180μm~600μmの直径を有する、請求項10に記載の中間材料。
【請求項12】
容積で実質的に全ての前記球状粒子は315μm~425μmの直径を有する、請求項11に記載の中間材料。
【請求項13】
前記散逸性材料の容積は50%~85%である、請求項10に記載の中間材料。
【請求項14】
前記球状粒子は部分的に平らである、請求項10に記載の中間材料。
【請求項15】
前記散逸性材料は水に分解することができる、請求項10に記載の中間材料。
【請求項16】
前記散逸性材料はNaClである、請求項10に記載の中間材料。
【請求項17】
前記散逸性材料は生物活性である、請求項10に記載の中間材料。
【請求項18】
多孔性インプラントを製造する方法であって、
散逸性材料の非弾性粒子の量を型に置くこと、
部分的に平らな前記非弾性粒子に第1の機械的圧力をかけながら、前記型を第1の温度に加熱すること、
前記部分的に平らな粒子と一緒に、前記型に生体適合性ポリマーを置くこと、
第2の機械的圧力をかけながら、前記型を第2の温度に加熱して、前記生体適合性ポリマー及び前記部分的に平らな粒子の混合物を形成すること、
前記部分的に平らな粒子を前記混合物から取り除くことを含み、
前記ポリマーに対して前記部分的に平らな粒子の量は、前記混合物から前記部分的に平らな粒子を取り除くことで、前記ポリマー及び複数の相互接続した中空を含む得られる多孔性材料が残るように存在する、方法。
【請求項19】
散逸性材料の前記粒子は実質的に球状である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記混合物が硬化するまで、第3の機械的圧力下で、前記型を冷却することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマーは、ポリアリールエーテルケトンである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリアリールエーテルケトンは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記球状粒子の量は、前記ポリマーと反応しない溶媒に分解することができ、前記取り除くステップは、前記溶媒の浴において前記混合物を洗浄することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記球状粒子の量は、食卓塩を含み、前記溶媒は水である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の圧力は前記第1の圧力よりも大きい、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の圧力より大きい第3の圧力をかけながら、前記混合物を冷却することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記多孔性構造をアニーリングすることをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項28】
前記中間材料は実質的に球状の合一した粒子の塊から本質的になる、インプラントに適した多孔性材料の製造に続いて使用するための材料。
【請求項29】
前記球状の合一した粒子は部分的に平らである、請求項28に記載の材料。
【請求項30】
前記球状の合一した粒子は水に分解することができる、請求項28に記載の材料。
【請求項31】
前記球状の合一した粒子はNaClから製造される、請求項28に記載の材料。
【請求項32】
前記球状の合一した粒子は生物活性である、請求項28に記載の材料。
【請求項33】
容積で実質的に全ての前記球状の合一した粒子は315μm~425μmの直径を有する、請求項28に記載の材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔性材料及びその製造方法に関する。特に、本発明は、インプラントに適した多孔性ポリマー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔性マイクロプラスチック材料を形成するための様々な方法が当該技術に存在する。特に、先行技術は、塩化ナトリウム等の塩タイプの細孔形成剤を樹脂に混合して、成形材を形成し、成形材を成形工程に供して成形部分を製造し、次に製品を洗浄して、塩タイプ細孔形成剤を溶出又は浸出させ、それによって細孔を形成することによって多孔性製品を製造することを開示している。先行技術は、球状又は円形塩粒子を使用して、多孔性構造等を製造する方法も教示している。しかしながら、その球状性質のために、これらの球状塩粒子はその直径縁に互いに接触するだけで、結果として多孔性材料の細孔の相互接続性を弱くしている。
【発明の概要】
【0003】
前述及びその他の欠点に対処するために、複数の相互接続した中空を含む強固な生体適合性ポリマーを含むインプラントに適した材料を提供し、実質的に全てのこの中空は、球状であり、実質的に全てのこの中空は、180μm~600μmの直径を有し、さらに容積の50%未満がこの生体適合性ポリマーを含む。
【0004】
固体の生体適合性ポリマーを含む固体部分を含むインプラントに適した材料も提供し、多孔部分は複数の相互接続した中空を含む強固な生体適合性ポリマーを含み、実質的に全てのこの中空は、球状であり、容積で実質的に全てのこの中空は、180μm~600μmの直径を有し、さらにこの多孔部分の容積の50%未満がこの生体適合性ポリマーを含む。
【0005】
さらに、このポリマーに浮遊し、部分的に平らな球状粒子から本質的になる強固な生体適合性ポリマー及び散逸性材料を含むインプラントを製造するための中間材料を提供する。
【0006】
多孔性インプラントの製造方法も提供する。方法は、散逸性材料の非弾性粒子の量を型に置くこと、第1の機械的圧力を部分的に平らなこの非弾性粒子にかけながら、この型を第1の温度に加熱すること、この部分的に平らな粒子と一緒に生体適合性ポリマーをこの型に置くこと、第2の機械的圧力をかけながら、この型を第2の温度に加熱して、この生体適合性ポリマー及びこの部分的に平らな粒子の混合物を形成すること、この混合物からこの部分的に平らな粒子を取り除くことを含む。ポリマーに対してこの部分的に平らな粒子の量は、この混合物からこの部分的に平らな粒子を取り除くことで、ポリマー及び複数の相互接続した中空を含む得られる多孔性材料が残るように存在する。
【0007】
さらに、インプラントに適した多孔性材料の製造において続いて使用するための中間材料を提供する。中間材料は、実質的に球状の合一した粒子の塊から本質的になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1A及び1Bは、それぞれ、本発明の例示的な実施形態による多孔性材料の平面図並びに本発明の例示的な実施形態による多孔性材料のCTスキャンされた画像を提供する。
【
図2】
図2は、本発明の例示的な実施形態による固体の生体適合性材料と合わされた多孔性生体適合性材料の透視図を提供する。
【
図3】
図3は、本発明の例示的な実施形態による散逸性材料の平面図を提供し、
【
図4A】
図4A及び4Bは、それぞれ、本発明の例示的な実施形態による散逸性材料を充填された型及び散逸性材料を圧縮する成形組立体の断面図を提供する。
【
図5A】
図5A、5B及び5Cは、それぞれ、本発明の例示的な実施形態による圧縮された散逸性材料及びPEEKを充填された型、圧縮された散逸性材料及びPEEKを圧縮する成形組立体、並びに圧縮された散逸性材料及びPEEKの圧縮の後の成形組立体の断面図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1A及び1Bを参照すると、概して参照番号10によって示される、インプラントに適した材料を記載する。材料10は、そこに多数の球状中空14を含む多孔性生体適合性ポリマー12を含む。中空14は、例えば、300μm~415μmの実質的に同様の直径であり、開口部16によって複数のその他の中空14のそれぞれと相互接続している。各開口部16は同様の大きさで、実質的に円形の形状である。さらに、中空14の間隔は、生体適合性ポリマー12が多くて15%~50%を占有し、その他は材料10が占有し得る間隔である。
【0010】
図2を参照すると、特定の実施形態において、多孔性生体適合性材料10は、固体の生体適合性材料18と合わされて、複合ブランク20を形成することができる。複合部ブランク20は、例えばCNCミリング機械(図示せず)等を使用して、加工されてインプラント22を提供して、多孔性材料12の多孔面24を暴露し、例えば位置決めピン(図示せず)等を受け取るための穿孔26、例えばネジ(図示せず)等の留め金具を受け取るためのネジ山30を含むことができる孔28、開口部32、ベベルエッジ34及び輪郭面36等の様々な特徴を導入することができる。
【0011】
図2の他に
図1Aに戻ると、特定の実施形態において、中空14は、多孔性生体適合性ポリマー12を製造している間に、又は続いて暴露された多孔面24を介して、次いでインプラント22を加工して、例えばバイオガラス(bioglas)(図示せず)等の骨の内殖を促進する材料を充填することができる。別の実施形態において、中空は、バイオガラス等の生物活性剤を充填することができ、生物学的過程によって移植後に置換することができる。
【0012】
図1Aの他に
図3を参照すると、一実施形態において、多孔性材料12は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及び散逸性材料34等のポリマーから製造され、その実質的に全ては、非球状粒子をほとんど有しない球状である。例示的な実施形態において、本明細書に記載のポリマーは、PEEK等のポリアリールエーテルケトンを含み、散逸性材料は塩化ナトリウム塩を含み、所与の実施形態において、その他の適切な材料を使用してもよい。方法は、4つの主要なステップを含み、散逸性材料を球形化(spherization)すること、球状の散逸性材料をポリマーと一緒に成形して、中間部分を製造すること、中間部分を加工して、多孔面を暴露し、特徴を導入すること、加工部分から散逸性材料を除去してインプラントを形成することを含む。
【0013】
図3を参照すると、散逸性材料は、それぞれ同様の直径Dを含む多数の球状粒子34から例示的に構成される。例示的な実施形態において、好ましい直径Dは300μm~600μmの範囲にあり、特に、300μm~400μmの球状粒子の少なくとも約1/3であり、これらの範囲の外側の残りは400μm~600μmの粒子の少なくとも約1/3である。特定の実施形態において、球状粒子の約5%~約20%は、300μm~600μmの範囲外にある。以下で詳述されるように、特に、特定の多孔性(すなわち、散逸性材料を取り除いた場合のポリマーに対する得られる中空空間の比)または挿入を達成することを助けるために、その他の範囲又は範囲の組み合わせを所与の実施形態に使用してもよい。
【0014】
図3を参照すると、上述のように、例示的な実施形態において、散逸性材料は、NaCl塩である。不規則な形状のNaCl塩粒子は、異なる大きさの塩粒子を含むグループにふるい分けされる。例示的に、4段階のふるいを使用して、塩を様々な大きさの範囲に分けることができる。一実施形態において、ふるい装置は、4つの大きさの範囲に選別することができる。例示的には、第1のふるいは、716μm~583μmの塩粒子の回収を可能にし、第2のふるいは、582μm~471μmの塩粒子の回収を可能にし、第3のふるいは、470μm~311μmの塩粒子の回収を可能にし、第4のふるいは、310μm未満の塩粒子を回収することができる。
【0015】
図3を参照すると、次のステップにおいて、球形化組立体(図示せず)を使用して、選択された範囲の塩粒子を球形化工程に供して、球状塩粒子の量を製造する。球形化組立体は、塩の粒子を不規則な形状から球状に物理的に改変する工程の実行を補助する。
【0016】
図3を参照すると、選択された範囲の塩粒子38を攪拌し、圧縮空気によって導管(図示せず)に沿って巻き込み、オーブン(これも図示せず)にくぐらせ、塩粒子38を加熱する。空気は、球形化するために、塩粒子38の流れを確実に良く分離させる。加熱された塩粒子38が導管を出ると、加熱された塩粒子38を、例えばトーチランプ等からの炎(これも図示せず)のなかでさらに加熱し、実質的に球状の散逸性材料34にする。球状の散逸性材料34は、実質的に冷却され、回収される。
【0017】
図3を参照すると、塩粒子38に加熱、攪拌及び続く冷却を組み合わせることで、所望の散逸性材料34を得る。球状の散逸性材料34は、回収され、例示的に、ふるい装置(図示せず)によって追加のふるいに供され、その後、各種の範囲に選別される。例示的に、球状の散逸性材料34は、以下の大きさの範囲に選別される:180μm~300μm、300μm~425μm、425μm~500μm、500μm~600μm、及び>600μm。
【0018】
図4A及び4Bを参照すると、球形化の後、球状の散逸性材料34は空洞42を規定する型40に置かれ、続いてタイトフィット成形キャップ44で閉じられる。ピストン(図示せず)は、上板46を下板48に駆動し、成形キャップ44を型穴42に駆動する。型穴42及び成形キャップ44の制御された加熱は、例えば、複数の電気発熱体50によって提供される。さらに、型穴42及び成形キャップ44の制御された冷却は、水等の冷却流体を循環させることができる上板46と下板48の両方に、例えば、空洞(図示せず)によって提供される。型穴42の温度は、型穴42の下端に近接して設置された熱電対(これも図示せず)によって検出される。さらに、ピストンによって上板46と下板48との間にかかる実際の機械的圧力は、ロードセル(これも図示せず)の手段によって検出することができる。独立した発熱体50を含むことによって、冷却空洞、並びに複数の熱電対、上板46、及び成形キャップ44は、下板48及び型穴42から独立して、加熱及び冷却することができ、型穴42の材料の温度を確実に正確に制御する。ピストンは好ましくは電動アクチュエータ(図示せず)によって駆動されるが、水力空気又は圧縮空気等のその他の種類のアクチュエータが特定の適用に適する場合がある。さらに、上板46及び下板48の加熱及び冷却は、それぞれ、電気加熱及び水冷によって例示的に提供されるが、ペルチェ効果装置(図示せず)等で型40を加熱及び冷却するその他の手段によって、組立体に適切な改変を提供してもよい。
【0019】
図4A~4Bを参照すると、特に、多孔性材料の中空の相互接続性を増加させるために、型穴42に置かれた球状の散逸性材料34を最初に圧縮及び加熱工程に供する。これに関して、型穴42の球状の散逸性材料34で、上板46が下板48に向かって低くなるように、ピストンを駆動させ、成形キャップ44を型穴42に駆動させる。注目すべきこととして、成形キャップ44及び型穴42はいくつかの単純又は複雑な形状を取ることができ、それによって、次の加工のために形成された材料、又は様々な成形形状を有する部分を可能にする。この圧縮を行っている間、型40、及び球状の散逸性材料34を例示的に280℃に加熱するために、電気発熱体50に電流を印加する。所望の温度に到達すると、例示的には最大1.37Mpaまで追加の圧力をかける。
【0020】
図4A~4Bを参照すると、加熱しながら圧力をかけた後、球状の散逸性材料34は例示的に部分的に平らであり、大部分は合一される。通常、この段階で型を開けると、部分的に平らな合一の球状の散逸性材料34を、1つの片で、又は少数の大きな片で取り除くことができ、それぞれが多数の部分的に平らな球状の散逸性材料34を含む。いかなる場合も、型40を開けると、部分的に平らな合一の球状の散逸性材料34は、次の工程のステップに供される際に崩壊せず、その構造を保持する。
【0021】
図5A~5Cを参照すると、例示的な実施形態において、圧縮後、型40は開かれ、PEEK52の層が部分的に平らな、合一の球状の散逸性材料34の上に置かれる。型穴42は成形キャップ44によって再び閉じられ、発熱体50によって熱を加えて、型40を例示的には400℃に加熱し、PEEK52及び部分的に平らな散逸性材料34の混合物を含む中間材料54を形成しながら、PEEK52は、部分的に平らな散逸性材料34に圧縮される。融解相の持続期間は、型40内の中間材料54の量及び深さを含むいくつかの要因に依存する。所望の温度に達すると、追加の圧力、例示的には約3.45Mpaがかけられ、PEEK52及び散逸性材料34の混合物を含む中間材料は硬化する。加熱及び硬化相の最後に、発熱体50は停止状態になり、冷却相が始まる。冷却相の間、成形キャップ44を介して、ピストンによって高圧、例示的には約6.9Mpaが中間材料にかけられ、水等の冷却流体が空洞内に循環し、それによって、型40及び中間材料54を冷却する。中間材料54が充分に凝固すると、ピストンが動いて、成形キャップ44を型穴42から退縮させ、それによって、成形された中間材料54を型穴42から取り除くことができる。
【0022】
前述のように、また
図2に戻って参照すると、多孔性構造をその後に加工することができる。いくつかの場合において、加工は任意であり、いくつかの実施形態において、埋め込み可能な部分は、任意の加工がなくとも到達することができる。さらに、散逸性材料34を取り除く前よりも後に加工を実行することができる。当業者は、様々な加工技術を使用して、多孔性構造を含む部分の所望の構造を得ることができることを理解する。PEEKは加工に優れ、本発明によって製造された多孔性PEEK部分を様々な切断ツールを使用して形作ることができる。
【0023】
球状粒子34の形状の散逸性材料を取り除くために、凝固した成形混合物54を加熱した蒸留水等の溶媒を含む超音波の浴(図示せず)に置く。例示的には、水は70℃に加熱する。塩が混合物54から溶解するまで凝固した成形混合物54を浴に浸漬し、それによって挿入された中空を有する多孔性材料を暴露する。凝固した成形混合物54は、その容積に応じた時間、浴に保持する。その後、多孔性材料を浴から取り出し、例えば、100℃で一晩、乾燥機(図示せず)内で乾燥させる。最後に、最終的な多孔性材料を乾燥機から取り出す。得られた多孔性PEEK材料は、骨の内殖を促進する相互接続した中空を有して、インプラントに適している。
【0024】
得られた多孔性部分の強度を改善するために、アニーリング技術を使用することができる。通常、使用されるアニーリング技術は、原材料の製造者によって供給される。
【0025】
図2の他に
図5A~5Cを参照すると、代替の実施形態において、固体のPEEK/多孔性PEEK複合体を形成するために、PEEK52の追加の層を型40の下、又はPEEK/塩混合物54の上に置くことができる。これに関して、固体層は、多孔性層とその他の部分との間のバリアとして作用し、例えば、得られた成形部分に骨の内殖を制限するために使用することができる。さらに、前述のように、PEEKは加工に優れ、結果として、例えば、PEEK又はチタン、タンタル等のその他の材料から製造されるその他の部分と相互接続するために、固体層を加工することができる。あるいは、炭素(例えば、PEEK炭素プリプレグ又はプレ含浸繊維)又はその他の繊維で補強されたPEEK等のその他のPEEK複合材料をPEEK/塩混合物と一緒に成形して、強度、剛性、柔軟性等について様々な異なる特徴を有する複合構造を提供することができ、それによって、結果として広く様々な適用に適した複合体を作製する。さらに、PEEK又はPEEK複合体及びPEEK/塩混合物の層を交互にすることによって、多層の固体/多孔性複合体を形成することができる。
【0026】
別の代替の例示的な実施形態において、本発明の方法は、PEEK及び食卓塩以外の材料を使用して、より一般的に適用することができる。確かに、当業者によって理解されるように、本発明は、第2の特定の材料の融点より低い温度で、液体又は流体の形態であり、続いて硬化して、固体の複合体を形成することができる任意の第1の材料に実質的に適用することができる。当然のことであるが、第2の特定の材料は、固体の複合体から取り除いて、硬化した第1の材料の多孔性構造を残すこともできるに違いない。
【0027】
さらに別の代替の例示的な実施形態において、本発明の方法は、より一般的には、エポキシ又はその他のポリマー等の室温で液体の形態の第1の材料に適用することができ、続いて触媒硬化剤等を導入することによって、第2の固体の特定の材料との混合後に硬化する。熱及び圧力を適用することによって、ヒートセット又は硬化させることができる第1の材料で同様の結果を得ることができる。
【0028】
本発明は、その特定の実施形態によって、前述してきたが、添付の請求項に規定される本発明の趣旨及び本質から逸脱することなく、修正することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 材料
12 生体適合性ポリマー
14 中空
16 開口部
18 生体適合性材料
20 複合ブランク
22 インプラント
24 多孔面
26 穿孔
28 孔
30 ネジ山
32 開口部
34 散逸性材料
36 輪郭面
38 塩粒子
40 型
42 空洞
44 成形キャップ
46 上板
48 下板
50 電気発熱体
52 PEEK
54 中間材料
【手続補正書】
【提出日】2024-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相互接続した中空を含む強固な生体適合性ポリマーを含み、
前記中空の実質的全ては球状であり、前記中空の実質的全ては、180μm~600μmの直径を有し、さらに、容積の50%未満は、前記生体適合性ポリマーを含む、インプラントに適した材料。
【外国語明細書】