(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117815
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 11/405 20060101AFI20240822BHJP
H10B 41/70 20230101ALI20240822BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20240822BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240822BHJP
H10B 80/00 20230101ALI20240822BHJP
【FI】
G11C11/405
H10B41/70
H10B12/00 801
H01L29/78 613B
H01L29/78 612C
H01L29/78 618B
H10B80/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024100616
(22)【出願日】2024-06-21
(62)【分割の表示】P 2021550719の分割
【原出願日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】P 2019187386
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】大下 智
(72)【発明者】
【氏名】國武 寛司
(72)【発明者】
【氏名】津田 一樹
(57)【要約】
【課題】記憶容量の大きい記憶装置を提供する。
【解決手段】書き込み用トランジスタと、読み出し用トランジスタと、容量と、を備えるメモリセルを複数接続したNAND型の記憶装置であって、書き込み用トランジスタの半導体層に酸化物半導体を用いる。読み出し用トランジスタはバックゲートを備える。バックゲートに読み出し用の電圧を印加することにより、メモリセルが保持している情報を読み出す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のメモリセル乃至第3のメモリセルと、第1のトランジスタと、を有し、
前記第1のメモリセルは、第2のトランジスタと、第3のトランジスタと、第1の容量素子と、を有し、
前記第2のメモリセルは、第4のトランジスタと、第5のトランジスタと、第2の容量素子と、を有し、
前記第3のメモリセルは、第6のトランジスタと、第7のトランジスタと、第3の容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1の配線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのゲートは、第2の配線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第3の配線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第3のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのゲートは、第4の配線と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのバックゲートは、第5の配線と電気的に接続され、
前記第1の容量素子の第1の電極は、前記第3のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第1の容量素子の第2の電極は、第6の配線と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第5のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのゲートは、第7の配線と電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第7のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのバックゲートは、第8の配線と電気的に接続され、
前記第2の容量素子の第1の電極は、前記第5のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第2の容量素子の第2の電極は、前記第6の配線と電気的に接続され、
前記第6のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第5のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第6のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第7のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第6のトランジスタのゲートは、第9の配線と電気的に接続され、
前記第7のトランジスタのバックゲートは、第10の配線と電気的に接続され、
前記第3の容量素子の第1の電極は、前記第7のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第3の容量素子の第2の電極は、前記第6の配線と電気的に接続される、
記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、記憶装置に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうるもの全般を指す。よって、トランジスタやダイオードなどの半導体素子や、半導体素子を含む回路は半導体装置である。また、表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、撮像装置、記憶装置、通信装置および電子機器などは、半導体素子や半導体回路を含む場合がある。よって、表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、撮像装置、記憶装置、通信装置および電子機器なども、半導体装置と呼ばれる場合がある。
【背景技術】
【0004】
近年、チャネル形成領域に酸化物半導体または金属酸化物を用いたトランジスタ(Oxide Semiconductorトランジスタ、以下、「OSトランジスタ」または「OS-FET」ともいう)が注目されている(特許文献1)。
【0005】
OSトランジスタはオフ電流(トランジスタがオフ状態の時に、ソースとドレインの間に流れる電流。)が非常に小さい。この特徴を利用した不揮発性メモリが、特許文献2および特許文献3に開示されている。OSトランジスタを用いた不揮発性メモリは、データの書き換え可能回数に制限がなく、さらにデータを書き換えるときの消費電力も少ない。また、特許文献3には、OSトランジスタのみで不揮発性メモリのメモリセルを構成した例が開示されている。
【0006】
なお、本明細書においてOSトランジスタを用いた不揮発性メモリをNOSRAM(登録商標)と呼ぶ場合がある。NOSRAMとは「Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM」の略称であり、ゲインセル型(2T型、3T型)のメモリセルを有するRAMを指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-123861号公報
【特許文献2】特開2011-151383号公報
【特許文献3】特開2016-115387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様は、信頼性の高い記憶装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、記憶容量の大きい記憶装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、占有面積が小さい記憶装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、製造コストの低い記憶装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、信頼性の高い半導体装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、製造コストの低い半導体装置を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、書き込み用トランジスタと、読み出し用トランジスタと、を備えるメモリセルを複数接続したNAND型の記憶装置であって、書き込み用トランジスタの半導体層に酸化物半導体を用いることで、保持容量が不要もしくは保持容量の小型化が可能になる。読み出し用トランジスタはバックゲートを備える。バックゲートに読み出し用の電圧を印加することにより、メモリセルが保持している情報を読み出すことができる。
【0011】
本発明の一態様は、n個(nは3以上の整数)のメモリセルと、n本の第1配線と、n本の第2配線と、第3配線と、を備え、i番目(iは2以上n未満の整数)のメモリセルは、第1トランジスタ[i]と、第2トランジスタ[i]と、容量[i]と、を備え、i-1番目のメモリセルは、第1トランジスタ[i-1]と、第2トランジスタ[i-1]と、容量[i-1]と、を備え、i+1番目のメモリセルは、第1トランジスタ[i+1]と、第2トランジスタ[i+1]と、容量[i+1]と、を備え、第1トランジスタ[i]のゲートは、i番目の第1配線と電気的に接続され、第1トランジスタ[i]のソースは、第1トランジスタ[i-1]のドレインと電気的に接続され、第1トランジスタ[i]のドレインは、第1トランジスタ[i+1]のソースと電気的に接続され、第2トランジスタ[i]のゲートは、第1トランジスタ[i]のドレインと電気的に接続され、第2トランジスタ[i]のソースは、第2トランジスタ[i-1]のドレインと電気的に接続され、第2トランジスタ[i]のドレインは、第2トランジスタ[i+1]のソースと電気的に接続され、第2トランジスタ[i]のバックゲートは、i番目の第2配線と電気的に接続され、第2トランジスタ[i-1]のバックゲートは、i-1番目の第2配線と電気的に接続され、第2トランジスタ[i+1]のバックゲートは、i+1番目の第2配線と電気的に接続され、第2トランジスタ[i]のゲートと第3配線の間に容量[i]を備え、第2トランジスタ[i-1]のゲートと第3配線の間に容量[i-1]を備え、第2トランジスタ[i+1]のゲートと第3配線の間に容量[i+1]を備える、記憶装置である。
【0012】
第1トランジスタ[i]は、半導体層に酸化物半導体を含むことが好ましい。第2トランジスタ[i]は、半導体層に酸化物半導体を含むことが好ましい。酸化物半導体は、インジウムまたは亜鉛の少なくとも一方を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様により、信頼性の高い記憶装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、記憶容量の大きい記憶装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、占有面積が小さい記憶装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、製造コストの低い記憶装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、製造コストの低い半導体装置を提供することができる。または、本発明の一態様により、新規な半導体装置を提供することができる。
【0014】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1Aは、記憶装置の構成例を示す回路図である。
図1B乃至
図1Dは、メモリセルの構成例を示す回路図である。
図1Eは、トランジスタの構成例を示す回路図である。
【
図2】
図2は、記憶装置の構成例を示す回路図である。
【
図3】
図3は、記憶装置の構成例を示す回路図である。
【
図4】
図4は、記憶装置の構成例を示す回路図である。
【
図5】
図5は、記憶装置の構成例を示す回路図である。
【
図6】
図6Aは、書き込み動作を説明するタイミングチャートである。
図6Bは、読み出し動作を説明するタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、書き込み動作を説明する回路図である。
【
図14】
図14は、書き込み動作を説明するタイミングチャートである。
【
図19】
図19は、半導体装置の構成例を説明するブロック図である。
【
図26】
図26AはIGZOの結晶構造の分類を説明する図である。
図26BはCAAC-IGZO膜のXRDスペクトルを説明する図である。
図26CはCAAC-IGZO膜の極微電子線回折パターンを説明する図である。
【
図32】
図32Aは、書き込み動作を説明するタイミングチャートである。
図32Bは、読み出し動作を説明するタイミングチャートである。
【
図33】
図33Aは、CAAC-IGZOFETのオフ電流の温度依存を示す図である。
図33Bは、記憶装置に書き込まれた情報の保持可能時間の測定結果を示す図である。
【
図34】
図34Aは、配線WG5と配線WSLに供給される信号のタイミングチャートである。
図34Bは、書き換え耐性の検証結果を示す図である。
【
図36】
図36Aは、書き乱し耐性の検証結果を示す図である。
図36Bは、書き込みトランジスタのゲート電位とパルス幅のShmooプロットである。
【
図37】
図37は、各種の記憶装置を階層ごとに示す図である。
【
図38】
図38は、デバイスシミュレーションで用いた記憶装置の2次元構造図である。
【
図39】
図39は、書き込み動作および読み出し動作の計算結果である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その説明の繰り返しは省略する。
【0017】
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、発明の理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチングなどの処理によりレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするため図に反映しないことがある。
【0018】
また、上面図(「平面図」ともいう)や斜視図などにおいて、図面をわかりやすくするために、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。
【0019】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0020】
また、本明細書等において、電気回路における「端子」とは、電流の入力または出力、電圧の入力または出力、もしくは、信号の受信または送信が行なわれる部位を言う。よって、配線または電極の一部が端子として機能する場合がある。
【0021】
なお、本明細書等において「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0022】
また、ソースおよびドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合など、動作条件などによって互いに入れ替わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、本明細書においては、ソースおよびドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。よって、本発明の一態様に係る記載を理解し易くするため、本明細書等において、ソースまたはドレインの一方を「ソース」と呼び、ソースまたはドレインの他方を「ドレイン」と呼ぶ場合がある。
【0023】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、直接接続している場合と、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。
【0024】
また、本明細書などにおいて、「平行」とは、例えば、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「垂直」および「直交」とは、例えば、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。従って、85°以上95°以下の場合も含まれる。
【0025】
なお、本明細書などにおいて、計数値および計量値に関して「同一」、「同じ」、「等しい」または「均一」などと言う場合は、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
【0026】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧と電位は互いに言い換えることが可能な場合が多い。本明細書などでは、特段の明示が無いかぎり、電圧と電位を言い換えることができるものとする。
【0027】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する。よって、「半導体」を「絶縁体」に置き換えて用いることも可能である。この場合、「半導体」と「絶縁体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「絶縁体」は、互いに読み換えることができる場合がある。
【0028】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する。よって、「半導体」を「導電体」に置き換えて用いることも可能である。この場合、「半導体」と「導電体」の境界は曖昧であり、両者の厳密な区別は難しい。したがって、本明細書に記載の「半導体」と「導電体」は、互いに読み換えることができる場合がある。
【0029】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、工程順または積層順など、なんらかの順番や順位を示すものではない。また、本明細書等において序数詞が付されていない用語であっても、構成要素の混同を避けるため、特許請求の範囲において序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲において異なる序数詞が付される場合がある。また、本明細書等において序数詞が付されている用語であっても、特許請求の範囲などにおいて序数詞を省略する場合がある。
【0030】
なお、本明細書等において、トランジスタの「オン状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡しているとみなせる状態(「導通状態」ともいう。)をいう。また、トランジスタの「オフ状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断しているとみなせる状態(「非導通状態」ともいう。)をいう。
【0031】
また、本明細書等において、「オン電流」とは、トランジスタがオン状態の時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。また、「オフ電流」とは、トランジスタがオフ状態である時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。
【0032】
また、本明細書等において、高電源電位VDD(以下、単に「VDD」、「H電位」、または「H」ともいう)とは、低電源電位VSS(以下、単に「VSS」、「L電位」、または「L」ともいう)よりも高い電位の電源電位を示す。また、VSSとは、VDDよりも低い電位の電源電位を示す。また、接地電位(以下、単に「GND」、または「GND電位」ともいう)をVDDまたはVSSとして用いることもできる。例えばVDDが接地電位の場合には、VSSは接地電位より低い電位であり、VSSが接地電位の場合には、VDDは接地電位より高い電位である。
【0033】
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、エンハンスメント型(ノーマリーオフ型)のnチャネル型電界効果トランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう。)は、0Vより大きいものとする。また、明示されている場合を除き、「トランジスタのゲートにH電位を供給する。」とは、「トランジスタをオン状態にする。」と同義の場合がある。また、明示されている場合を除き、「トランジスタのゲートにL電位を供給する。」とは、「トランジスタをオフ状態にする。」と同義の場合がある。
【0034】
また、本明細書等において、ゲートとは、ゲート電極およびゲート配線の一部または全部のことをいう。ゲート配線とは、少なくとも一つのトランジスタのゲート電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0035】
また、本明細書等において、ソースとは、ソース領域、ソース電極、およびソース配線の一部または全部のことをいう。ソース領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ソース電極とは、ソース領域に接続される部分の導電層のことをいう。ソース配線とは、少なくとも一つのトランジスタのソース電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0036】
また、本明細書等において、ドレインとは、ドレイン領域、ドレイン電極、及びドレイン配線の一部または全部のことをいう。ドレイン領域とは、半導体層のうち、抵抗率が一定値以下の領域のことをいう。ドレイン電極とは、ドレイン領域に接続される部分の導電層のことをいう。ドレイン配線とは、少なくとも一つのトランジスタのドレイン電極と、別の電極や別の配線とを電気的に接続させるための配線のことをいう。
【0037】
また、図面などにおいて、配線および電極などの電位をわかりやすくするため、配線および電極などに隣接してH電位を示す“H”、またはL電位を示す“L”を付記する場合がある。また、電位変化が生じた配線および電極などには、“H”または“L”を囲み文字で付記する場合がある。また、トランジスタがオフ状態である場合、当該トランジスタに重ねて“×”記号を付記する場合がある。
【0038】
また、一般に、「容量」は、2つの電極が絶縁体(誘電体)を介して向かい合う構成を有する。本明細書等において、「容量素子」とは、前述の「容量」である場合が含まれる。すなわち、本明細書等において、「容量素子」とは、2つの電極が絶縁体を介して向かい合う構成を有したもの、2本の配線が絶縁体を介して向かい合う構成を有したもの、または、2本の配線が絶縁体を介して配置されたもの、である場合が含まれる。
【0039】
また、本明細書等において、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特にそれらを区別する必要があるときは、符号に、「_1」、「_2」、「[n]」、「[m,n]」等、識別用の符号を付して記載する場合がある。例えば、2番目の配線GLを、配線GL[2]と記載する場合がある。
【0040】
(実施の形態1)
図1Aに、本発明の一態様に係る記憶装置100の回路図を示す。記憶装置100は、トランジスタ131とトランジスタ132の間に、複数のメモリセル110を含む構成を有する。
【0041】
本実施の形態などでは、1番目のメモリセル110をメモリセル110[1]と示し、n番目(nは3以上の整数)のメモリセル110をメモリセル110[n]と示す。また、i番目(iは2以上n未満の整数)のメモリセル110をメモリセル110[i]と示す。なお、メモリセル110[1]乃至メモリセル110[n]に共通の事柄について説明する場合は、単に「メモリセル110」と示す場合がある。
【0042】
メモリセル110は、トランジスタ111、トランジスタ112、および容量113を有する。本実施の形態などでは、i番目のメモリセル110に含まれるトランジスタ111、トランジスタ112、および容量113を、トランジスタ111[i]、トランジスタ112[i]、および容量113[i]と示す。
【0043】
<記憶装置の構成例>
図1Aに示す記憶装置100の回路構成例について詳細に説明する。メモリセル110[1]に含まれるトランジスタ111[1]のゲートは、端子121[1]と電気的に接続される。トランジスタ111[1]のソースまたはドレインの一方は、端子137と電気的に接続され、他方は容量113[1]の一方の電極と電気的に接続される。容量113[1]の他方の電極は、端子123[1]と電気的に接続される。
【0044】
トランジスタ112[1]のゲートは、トランジスタ111[1]のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタ112[1]のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ131と電気的に接続される。トランジスタ112[1]のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ112[2]のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ112[1]のバックゲートは、端子122[1]と電気的に接続される。
【0045】
トランジスタ111[1]のソースまたはドレインの他方と、容量113[1]の一方の電極と、トランジスタ112[1]のゲートが電気的に接続する節点をノードND[1]という。
【0046】
また、トランジスタ131のソースまたはドレインの一方は、端子138と電気的に接続され、他方はトランジスタ112[1]のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ131のゲートは端子133と電気的に接続される。
【0047】
メモリセル110[2]に含まれるトランジスタ111[2]のゲートは、端子121[2]と電気的に接続される。トランジスタ111[2]のソースまたはドレインの一方は、ノードND[1]と電気的に接続され、他方は容量113[2]の一方の電極と電気的に接続される。容量113[2]の他方の電極は、端子123[2]と電気的に接続される。
【0048】
トランジスタ112[2]のゲートは、トランジスタ111[2]のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタ112[2]のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ112[1]のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタ112[2]のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ112[3](図示せず。)のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ112[2]のバックゲートは、端子122[2]と電気的に接続される。
【0049】
トランジスタ111[2]のソースまたはドレインの他方と、容量113[2]の一方の電極と、トランジスタ112[2]のゲートが電気的に接続する節点をノードND[2]という。
【0050】
メモリセル110[i]に含まれるトランジスタ111[i]のゲートは、端子121[i]と電気的に接続される。トランジスタ111[i]のソースまたはドレインの一方は、ノードND[i-1](図示せず。)と電気的に接続され、他方は容量113[i]の一方の電極と電気的に接続される。容量113[i]の他方の電極は、端子123[i]と電気的に接続される。
【0051】
トランジスタ112[i]のゲートは、トランジスタ111[i]のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタ112[i]のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ112[i-1]のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタ112[i]のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ112[i+1](図示せず。)のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ112[i]のバックゲートは、端子122[i]と電気的に接続される。
【0052】
トランジスタ111[i]のソースまたはドレインの他方と、容量113[i]の一方の電極と、トランジスタ112[i]のゲートが電気的に接続する節点をノードND[i]という。
【0053】
メモリセル110[n]に含まれるトランジスタ111[n]のゲートは、端子121[n]と電気的に接続される。トランジスタ111[n]のソースまたはドレインの一方は、ノードND[n-1](図示せず。)と電気的に接続され、他方は容量113[n]の一方の電極と電気的に接続される。容量113[n]の他方の電極は、端子123[n]と電気的に接続される。
【0054】
トランジスタ112[n]のゲートは、トランジスタ111[n]のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタ112[n]のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ112[n-1](図示せず。)のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタ112[n]のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ132と電気的に接続される。トランジスタ112[n]のバックゲートは、端子122[n]と電気的に接続される。
【0055】
トランジスタ111[n]のソースまたはドレインの他方と、容量113[n]の一方の電極と、トランジスタ112[n]のゲートが電気的に接続する節点をノードND[n]という。
【0056】
また、トランジスタ132のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ112[n]のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。トランジスタ132のソースまたはドレインの他方は端子139と電気的に接続される。トランジスタ132のゲートは端子134と電気的に接続される。
【0057】
図1Aに示す記憶装置100は、トランジスタ131とトランジスタ132の間にn個のメモリセル110を有し、トランジスタ111[1]乃至トランジスタ111[n]が、隣接トランジスタ間で一方のトランジスタのソースと他方のトランジスタのドレインを共用(電気的に接続)しながら直列に接続している。また、トランジスタ112[1]乃至トランジスタ112[n]が、隣接トランジスタ間でソースとドレインを共用(電気的に接続)しながら直列に接続している。
【0058】
より具体的には、トランジスタ111[i]のソースがトランジスタ111[i-1]のドレインと電気的に接続し、トランジスタ111[i]のドレインがトランジスタ111[i+1]のソースと電気的に接続している。また、トランジスタ112[i]のソースがトランジスタ112[i-1]のドレインと電気的に接続し、トランジスタ112[i]のドレインがトランジスタ112[i+1]のソースと電気的に接続している。
【0059】
また、本明細書などにおいて、トランジスタのゲートを第1端子、ソースまたはドレインの一方を第2端子、ソースまたはドレインの他方を第3端子、バックゲートを第4端子と呼ぶ場合がある。例えば、トランジスタ111[i]の第2端子がトランジスタ111[i-1]の第3端子と電気的に接続し、トランジスタ111[i]の第3端子がトランジスタ111[i+1]の第2端子と電気的に接続し、トランジスタ111[i]の第3端子がトランジスタ112[i]の第1端子と電気的に接続していると言うことができる。
【0060】
このように、1つのメモリセル110に含まれるトランジスタが、隣接するメモリセル110に含まれるトランジスタと直列接続して複数のメモリセル110が連なる構造を「ストリング」、「セルストリング」、または「メモリセルストリング」と呼ぶ場合がある。例えば、ストリング構造を有する1つの記憶装置100を「1つのストリング」、または単に「ストリング」と言う場合がある。なお、「ストリング」、「セルストリング」、および「メモリセルストリング」を単位として呼称する場合もある。
【0061】
〔メモリセル〕
メモリセル110は、ノードNDに書き込まれた電位(電荷)を保持する機能を有する。具体的には、トランジスタ111のゲートにトランジスタ111をオン状態にする電圧を供給し、トランジスタ111のソースおよびドレインを介して、ノードNDに、ノードNDを所定の電圧にするための電荷を供給する。その後、トランジスタ111のゲートにトランジスタ111をオフ状態にする電圧を供給する。トランジスタ111をオフ状態にすることで、ノードNDに書き込まれた電荷を保持できる。
【0062】
トランジスタ111およびトランジスタ112の半導体層は、単結晶半導体、多結晶半導体、微結晶半導体、または非晶質半導体などを、単体でまたは組み合わせて用いることができる。半導体材料としては、例えば、シリコンや、ゲルマニウムなどを用いることができる。また、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ヒ化ガリウム、酸化物半導体、窒化物半導体などの化合物半導体を用いてもよい。トランジスタ131の半導体層およびトランジスタ132の半導体層も同様の半導体材料を用いることができる。
【0063】
なお、トランジスタに用いる半導体層は積層してもよい。半導体層を積層する場合は、それぞれ異なる結晶状態を有する半導体を用いてもよいし、それぞれ異なる半導体材料を用いてもよい。
【0064】
特に、トランジスタ111は、OSトランジスタであることが好ましい。酸化物半導体はバンドギャップが2eV以上であるため、オフ電流が著しく少ない。トランジスタ111にOSトランジスタを用いると、ノードNDに書き込まれた電荷を長期間保持することができる。トランジスタ111にOSトランジスタを用いた場合、メモリセル110を「OSメモリ」と呼ぶことができる。
【0065】
OSメモリは、電力の供給を停止しても、1年以上、さらには10年以上の期間で書き込まれた情報を保持することができる。よって、OSメモリを不揮発性メモリと見なすこともできる。
【0066】
また、OSメモリは書き込まれた電荷量が長期間変化しにくいため、OSメモリは2値(1ビット)に限らず、多値(マルチビット)の情報を保持可能である。
【0067】
また、OSメモリはOSトランジスタを介してノードに電荷を書き込む方式であるため、従来のフラッシュメモリで必要であった高電圧が不要であり、高速な書き込み動作も実現できる。また、フラッシュメモリで行われるデータ書き換え前の消去動作が、OSメモリでは不要である。また、フローティングゲートまたは電荷捕獲層への電荷注入および引き抜きも行われないため、OSメモリは実質的に無制限回のデータの書き込みおよび読み出しが可能である。OSメモリは、従来のフラッシュメモリと比較して劣化が少なく、高い信頼性が得られる。
【0068】
また、OSメモリは磁気抵抗メモリ(MRAM)あるいは抵抗変化型メモリ(ReRAM)などのように原子レベルでの構造変化を伴わない。よって、OSメモリは、磁気抵抗メモリおよび抵抗変化型メモリよりも書き換え耐性に優れている。
【0069】
また、OSトランジスタは高温環境下でもオフ電流がほとんど増加しない。具体的には室温以上200℃以下の環境温度下でもオフ電流がほとんど増加しない。また、高温環境下でもオン電流が低下しにくい。OSメモリを含む記憶装置は、高温環境下においても動作が安定し、高い信頼性が得られる。また、OSトランジスタは、ソースとドレイン間の絶縁耐圧が高い。半導体装置を構成するトランジスタにOSトランジスタを用いることで、高温環境下においても動作が安定し、信頼性の良好な半導体装置が実現できる。
【0070】
また、
図1Bおよび
図1Cに示すように、メモリセル110に含まれるトランジスタ111にバックゲートを有するトランジスタを用いてもよい。
図1Bでは、トランジスタ111のバックゲートが端子124と電気的に接続する例を示している。
図1Cでは、トランジスタ111のゲートとバックゲートを電気的に接続する例を示している。
【0071】
また、
図1Dに示すように、トランジスタ111にオフ電流が少ないトランジスタを用いることで、容量113を省略できる。
【0072】
また、
図1Eに示すように、トランジスタ131および/またはトランジスタ132にバックゲートを有するトランジスタを用いてもよい。
図1Eでは、トランジスタのゲートとバックゲートを電気的に接続する例を示している。
【0073】
また、トランジスタ111のゲートを配線WLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ111のゲートを、端子121を介して配線WLと電気的に接続してもよい。また、トランジスタ112のバックゲートを配線CLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ112のバックゲートを、端子122を介して配線CLと電気的に接続してもよい。また、容量113の他方の端子を配線GLと電気的に接続してもよい。または、容量113の他方の端子を、端子123を介して配線GLと電気的に接続してもよい。
【0074】
図2では、トランジスタ111[1]のゲートを配線WL[1]と電気的に接続し、トランジスタ111[2]のゲートを配線WL[2]と電気的に接続し、トランジスタ111[i]のゲートを配線WL[i]と電気的に接続し、トランジスタ111[n]のゲートを配線WL[n]と電気的に接続する例を示している。
【0075】
また、
図2では、トランジスタ112[1]のバックゲートを配線CL[1]と電気的に接続し、トランジスタ112[2]のバックゲートを配線CL[2]と電気的に接続し、トランジスタ112[i]のバックゲートを配線CL[i]と電気的に接続し、トランジスタ112[n]のバックゲートを配線CL[n]と電気的に接続する例を示している。
【0076】
また、
図2では、容量113[1]、容量113[2]、容量113[i]、および容量113[n]のそれぞれの他方の端子を配線GLと電気的に接続する例を示している。配線GLには固定電位が供給されることが好ましい。例えば、配線GLにVSSまたはGNDなどの固定電位が供給されることが好ましい。なお、固定電位であればVSSまたはGND以外の電位であってもよい。例えば、VDDであってもよい。
【0077】
また、トランジスタ131のゲートを配線RSLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ131のゲートを、端子133を介して配線RSLと電気的に接続してもよい。また、トランジスタ131のソースまたはドレインの一方を配線RBLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ131のソースまたはドレインの一方を、端子138を介して配線RBLと電気的に接続してもよい。
【0078】
また、トランジスタ132のゲートを配線SSLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ132のゲートを、端子134を介して配線SSLと電気的に接続してもよい。また、トランジスタ132のソースまたはドレインの他方を配線SLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ132のソースまたはドレインの他方を、端子139を介して配線SLと電気的に接続してもよい。
【0079】
また、複数の記憶装置100を用いることで、記憶装置100を含む半導体装置の記憶容量を増やすことができる。すなわち、ストリングの数を増やすことで、半導体装置の記憶容量を増やすことができる。一例として、
図3および
図4に2つの記憶装置100(2つのストリング)を並列に接続した回路図を示す。
図3および
図4では、1つ目の記憶装置100を記憶装置100[1]、2つ目の記憶装置100を記憶装置100[2]と示している。
【0080】
この場合、例えば
図3に示すように、配線RBL、配線SSL、配線SL、配線WL、および配線CLを、複数の記憶装置100間で共通配線として用いることができる。よって、複数の記憶装置100を有する半導体装置の小型化が可能になる。また、
図4に示すように、配線RSLを共通配線として用いて、配線RBLを記憶装置100毎に設けてもよい。記憶装置100毎に配線RBLを設けることで、それぞれの記憶装置100が保持している情報を同時に読み出すことができる。よって、複数の記憶装置100を有する半導体装置において、情報の読み出し速度を高めることができる。
【0081】
なお、1つのストリングは1方向に延在して設けられる場合が多い。また、情報の書き込みまたは読み出しを制御する配線(例えば、配線WLおよび配線CL)は、ストリングの延在方向と直交する方向に延在する場合が多い。
【0082】
<変形例1>
図5に記憶装置100の変形例である記憶装置100Aを示す。記憶装置100Aの記憶装置100と異なる点は、トランジスタ111[1]のソースまたはドレインの一方を、トランジスタ131のソースまたはドレインの他方と電気的に接続している点である。記憶装置100Aでは、
図2乃至
図4に示した配線WBLを省略することができる。よって、記憶装置100の占有面積を低減できる。
【0083】
<記憶装置の動作例>
記憶装置100の動作例について図面を用いて説明する。本実施の形態では、4つのメモリセル110を備える
図2に示す記憶装置100を例示して説明する。
【0084】
〔書き込み動作〕
本実施の形態では、メモリセル110[1]、メモリセル110[2]、およびメモリセル110[4]にH電位を書き込み、メモリセル110[3]にL電位を書き込む場合の動作例を説明する。
図6Aは書き込み動作を説明するタイミングチャートである。
図7A、
図7B、
図8A、
図8B、および
図9は書き込み動作を説明するための回路図である。
【0085】
初期状態として、メモリセル110[1]乃至メモリセル110[4]にL電位が書き込まれているものとする。また、配線WL[1]乃至配線WL[4]、配線CL[1]乃至配線CL[4]、配線RSL、配線RBL、配線SSL、および配線SLにL電位が供給されているものとする。また、配線GLの電位はGNDとする。
【0086】
[期間T1]
期間T1において、配線WL[1]乃至配線WL[4]、および配線WBLにH電位を供給する(
図7A参照。)。すると、ノードND[1]乃至ノードND[4]の電位がH電位になる。よって、トランジスタ112[1]乃至トランジスタ112[4]がオン状態になる。
【0087】
[期間T2]
期間T2において、配線WL[4]にL電位を供給する(
図7B参照。)。すると、トランジスタ111[4]がオフ状態になり、ノードND[4]に書き込まれた電荷が保持される。ここでは、H電位に相当する電荷が保持される。また、トランジスタ111[4]をオフ状態にした後に、配線WBLにL電位を供給する。すると、ノードND[1]乃至ノードND[3]の電位がL電位になる。よって、トランジスタ112[1]乃至トランジスタ112[3]がオフ状態になる。
【0088】
[期間T3]
期間T3において、配線WL[3]にL電位を供給する(
図8A参照。)。すると、トランジスタ111[3]がオフ状態になり、ノードND[3]に書き込まれた電荷が保持される。ここでは、L電位に相当する電荷が保持される。また、トランジスタ111[3]をオフ状態にした後に、配線WBLにH電位を供給する。すると、ノードND[1]およびノードND[2]の電位がH電位になる。よって、トランジスタ112[1]およびトランジスタ112[2]がオン状態になる。
【0089】
[期間T4]
期間T4において、配線WL[2]にL電位を供給する(
図8B参照。)。すると、トランジスタ111[2]がオフ状態になり、ノードND[2]に書き込まれた電荷が保持される。ここでは、H電位に相当する電荷が保持される。
【0090】
[期間T5]
期間T5において、配線WL[1]にL電位を供給する(
図9参照。)。すると、トランジスタ111[1]がオフ状態になり、ノードND[1]に書き込まれた電荷が保持される。ここでは、H電位に相当する電荷が保持される。このようにして、メモリセル110[1]乃至メモリセル110[4]に情報を書き込むことができる。
【0091】
前述した通り、本発明の一態様にかかる記憶装置100は、フラッシュメモリで行われるデータ書き換え前の消去動作が不要である。よって、データの書き換えは上記の書き込み動作と同様に行うことができる。
【0092】
また、配線WBLに近いメモリセル110に情報を書き込む場合は、配線WBLから見て当該メモリセル110よりも遠い側のメモリセル110への情報の書き込み動作を省略することができる。例えば、メモリセル110[1]に情報を書き込む場合は、メモリセル110[2]乃至メモリセル110[4]への情報の書き込み動作を省略することができる。また、メモリセル110[2]に情報を書き込む場合は、メモリセル110[3]およびメモリセル110[4]への情報の書き込み動作を省略することができる。よって、書き換え頻度の高い情報は、配線WBLに近いメモリセル110に記憶することで、情報の書き込み(書き換え)に必要な時間を短縮することができる。すなわち、情報の書き込み(書き換え)速度を高めることができる。
【0093】
〔読み出し動作〕
本実施の形態では、メモリセル110[1]乃至メモリセル110[4]に保持されている情報のうち、メモリセル110[2]に保持されている情報の読み出し動作例について説明する。メモリセル110[2]にはH電位が保持されているものとする。
図6Bは読み出し動作を説明するタイミングチャートである。
図10A、
図10B、
図11A、および
図11Bは読み出し動作を説明するための回路図である。
【0094】
[期間T6]
期間T6において、配線CL[1]乃至配線CL[4]および配線RSLにH電位を供給し、トランジスタ112[1]乃至トランジスタ112[4]、およびトランジスタ131をオン状態にする。また、配線RBLにH電位をプリチャージする(
図10A参照。)。具体的には、配線RBLにH電位を供給した後、配線RBLをフローティング状態にする。
【0095】
[期間T7]
期間T7において、配線CL[2]にL電位を供給する(
図10B参照。)。ノードND[2]にはH電位が保持されているため、トランジスタ112[2]はオン状態のままである。
【0096】
[期間T8]
期間T8において、配線SSLにH電位を供給し、トランジスタ132をオン状態にする(
図11A参照。)。トランジスタ112[1]乃至トランジスタ112[4]は全てオン状態であるため、配線RBLと配線SLが電気的に接続され、配線RBLの電位がL電位に変化する。
【0097】
なお、ノードND[2]の電位がL電位だった場合は、配線CL[2]にL電位を供給するとトランジスタ112[2]はオフ状態になる。この場合、トランジスタ132がオン状態になっても配線RBLの電位はH電位のままである。配線RBLの電位変化を知ることで、メモリセル110に保持されている情報を知ることができる。
【0098】
すなわち、期間T8において、読み出したいメモリセル110に対応する配線CLの電位をL電位にすることで、当該メモリセル110に保持されている情報を読み出すことができる。
【0099】
[期間T9]
期間T9において、配線CL[1]乃至配線CL[4]、配線RSL、および配線SSLにL電位を供給する(
図11B参照。)。すると、トランジスタ131、およびトランジスタ132がオフ状態になる。
【0100】
このように、本実施の形態などに示す記憶装置100は、NAND型の記憶装置として機能する。
【0101】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0102】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態に示した記憶装置100の他の構成例および動作例について説明する。
【0103】
<記憶装置の構成例>
図12に記憶装置100Bの回路図を示す。
図13に記憶装置100Cの回路図を示す。記憶装置100Bおよび記憶装置100Cは、上記実施の形態に示した記憶装置100の変形例である。説明の繰り返しを減らすため、本実施の形態では、記憶装置100Bおよび記憶装置100Cの記憶装置100と異なる点について主に説明する。
【0104】
記憶装置100Bおよび記憶装置100Cは、記憶装置100にトランジスタ116を加えた構成を有する。
【0105】
図12に示す記憶装置100Bでは、トランジスタ111[1]のソースまたはドレインの一方は、配線WBL1と電気的に接続される。また、トランジスタ116のソースまたはドレインの一方はノードND[n]と電気的に接続され、他方は配線WBL2と電気的に接続される。トランジスタ116のゲートは端子136と電気的に接続される。
【0106】
図13に示す記憶装置100Cは、記憶装置100Bの変形例である。記憶装置100Cでは、トランジスタ111[1]のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ131のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。また、記憶装置100Cでは、トランジスタ116のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ132のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0107】
記憶装置100と同様に、記憶装置100Bおよび記憶装置100Cが備えるトランジスタ111のゲートを配線WLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ111のゲートを、端子121を介して配線WLと電気的に接続してもよい。また、トランジスタ112のバックゲートを配線CLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ112のバックゲートを、端子122を介して配線CLと電気的に接続してもよい。また、トランジスタ116のゲートを後述する配線WSLと電気的に接続してもよい。または、トランジスタ116のゲートを、端子136を介して配線WSLと電気的に接続してもよい。
【0108】
トランジスタ116は、トランジスタ111と同じトランジスタを用いることができる。トランジスタ116としてOSトランジスタを用いることが好ましい。また、トランジスタ116は、バックゲートを有するトランジスタであってもよい。
【0109】
<記憶装置の動作例>
記憶装置100Bの動作例を、
図14、
図15A、
図15B、および
図16を用いて説明する。ここでは、4つのメモリセル110を備える記憶装置100Bを例示して説明する。また、当該記憶装置100Bは、トランジスタ111[1]のゲートが配線WL[1]と電気的に接続され、トランジスタ111[2]のゲートが配線WL[2]と電気的に接続され、トランジスタ111[3]のゲートが配線WL[3]と電気的に接続され、トランジスタ111[4]のゲートが配線WL[4]と電気的に接続され、トランジスタ116のゲートが配線WSLと電気的に接続されているものとする。
【0110】
また、当該記憶装置100Bは、トランジスタ112[1]のバックゲートが配線CL[1]と電気的に接続され、トランジスタ112[2]のバックゲートが配線CL[2]と電気的に接続され、トランジスタ112[3]のバックゲートが配線CL[3]と電気的に接続され、トランジスタ112[4]のバックゲートが配線CL[4]と電気的に接続されているものとする。
【0111】
また、当該記憶装置100Bは、トランジスタ131のゲートが配線RSLと電気的に接続され、トランジスタ131のソースまたはドレインの一方が配線RBLと電気的に接続されているものとする。また、トランジスタ132のゲートが配線SSLと電気的に接続され、トランジスタ132のソースまたはドレインの他方が配線SLと電気的に接続されているものとする。
【0112】
〔書き込み動作〕
本実施の形態では、メモリセル110[1]、乃至メモリセル110[3]にH電位を書き込み、メモリセル110[4]にL電位を書き込む場合の動作例を説明する。
図14は書き込み動作を説明するタイミングチャートである。
図15A、
図15B、および
図16は書き込み動作を説明するための回路図である。
【0113】
初期状態として、メモリセル110[1]乃至メモリセル110[4]にL電位が書き込まれているものとする。また、配線WL[1]乃至配線WL[4]、配線CL[1]乃至配線CL[4]、配線RSL、配線RBL、配線SSL、配線SL、配線WSL、配線WBL1、および配線WBL2にL電位が供給されているものとする。
【0114】
[期間T11]
期間T11において、配線WL[1]、配線WL[2]、配線WL[4]、配線WSL、配線WBL1、および配線WBL2にH電位を供給する(
図15A参照。)。配線WL[3]はL電位のままにする。すると、トランジスタ111[1]、トランジスタ111[2]、トランジスタ111[4]、およびトランジスタ116がオン状態になり、ノードND[1]乃至ノードND[4]の電位がH電位になる。よって、トランジスタ112[1]乃至トランジスタ112[4]がオン状態になる。
【0115】
[期間T12]
期間T12において、配線WL[2]および配線WL[4]にL電位を供給する(
図15B参照。)。すると、トランジスタ111[2]およびトランジスタ111[4]がオフ状態になり、ノードND[2]およびノードND[3]に書き込まれた電荷が保持される。本実施の形態では、H電位に相当する電荷が保持される。また、配線WBL2にL電位を供給する。すると、ノードND[4]の電位がL電位になる。よって、トランジスタ112[4]がオフ状態になる。
【0116】
[期間T13]
期間T13において、配線WL[1]および配線WSLにL電位を供給する(
図16参照。)。すると、トランジスタ111[1]およびトランジスタ116がオフ状態になり、ノードND[1]およびノードND[4]に書き込まれた電荷が保持される。本実施の形態では、ノードND[1]にH電位に相当する電荷が保持され、ノードND[4]にL電位に相当する電荷が保持される。
【0117】
記憶装置100Bでは、配線WBL1および配線WBL2の双方から情報を書き込むことができるため、書き込み動作に必要な時間を記憶装置100よりも短くすることができる。
【0118】
記憶装置100Cも記憶装置100Bと同様に動作することができる。ただし、記憶装置100Cでは、書き込み動作時に配線RBLが配線WBL1として機能し、配線SLが配線WBL2として機能する。記憶装置100Cでは、書き込み動作時にトランジスタ131およびトランジスタ132をオン状態にする。この時、複数の配線CLの少なくとも1つにL電位を供給することで、配線RBLと配線SLの短絡を防ぐことができる。
【0119】
記憶装置100Bおよび記憶装置100Cでは、nは偶数が好ましい。nが偶数の時、期間T11でオフ状態にするトランジスタ111は、n/2+1番目のトランジスタ111である。
【0120】
〔読み出し動作〕
記憶装置100Bおよび記憶装置100Cの読み出し動作は、記憶装置100と同様に行うことができる。よって、本実施の形態での説明は省略する。
【0121】
<変形例>
記憶装置100Bの変形例を記憶装置100Dとして
図17に示す。記憶装置100Cの変形例を記憶装置100Eとして
図18に示す。記憶装置100Dおよび記憶装置100Eは、記憶装置100Bおよび記憶装置100Cからトランジスタ116を除き、トランジスタ111[k]とトランジスタ111[k+1]が電気的に分離された構成を有する。
【0122】
記憶装置100Dおよび記憶装置100Eは、nが偶数であることが好ましい。nが偶数のとき、kはn/2とすればよい。
【0123】
メモリセル110[k+1]において、トランジスタ111[k+1]のソースまたはドレインの一方はトランジスタ112[k+1]のゲートと電気的に接続され、他方はトランジスタ111[k+2](図示せず。)のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。
【0124】
また、メモリセル110[n]において、トランジスタ111[n]のソースまたはドレインの一方はトランジスタ112[n]のゲートと電気的に接続され、他方は配線WBL2と電気的に接続される。また、トランジスタ111[n]のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ111[n-1](図示せず。)のソースまたはドレインの他方と電気的に接続される。
【0125】
メモリセル110[k+1]乃至メモリセル110[n]において、トランジスタ111のソースまたはドレインの一方と、トランジスタ112のゲートが電気的に接続する節点が、ノードNDとして機能する。
【0126】
記憶装置100Dおよび記憶装置100Eの書き込み動作は、期間T11でオフ状態にするトランジスタ111(例えば、上記の書き込み動作説明におけるトランジスタ111[3]。)が無いこと以外は、記憶装置100Bおよび記憶装置100Cと同様に行うことができる。読み出し動作も記憶装置100Bおよび記憶装置100Cと同様に行うことができる。
【0127】
また、記憶装置100Dおよび記憶装置100Eでは、メモリセル110[1]乃至メモリセル110[k]の書き込み動作と、メモリセル110[k+1]乃至メモリセル110[n]の書き込み動作を分けて行うことができる。よって、書き込み動作に必要な消費電力を低減することができる。
【0128】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0129】
(実施の形態3)
本実施の形態では、記憶装置100を含む半導体装置200の構成例について説明する。
【0130】
図19に、本発明の一態様である半導体装置200の構成例を示すブロック図を示す。
図19に示す半導体装置200は、駆動回路210と、メモリアレイ220と、を有する。メモリアレイ220は、1以上の記憶装置100を有する。
図19では、メモリアレイ220がマトリクス状に配置された複数の記憶装置100(複数のストリング)を有する例を示している。
【0131】
駆動回路210は、PSW241(パワースイッチ)、PSW242、および周辺回路215を有する。周辺回路215は、周辺回路211、コントロール回路212(Control Circuit)、および電圧生成回路228を有する。
【0132】
半導体装置200において、各回路、各信号および各電圧は、必要に応じて、適宜取捨することができる。あるいは、他の回路または他の信号を追加してもよい。例えば、電源回路や昇圧回路などを設けてもよい。信号BW、CE、GW、CLK、WAKE、ADDR、WDA、PON1、PON2は外部からの入力信号であり、信号RDAは外部への出力信号である。信号CLKはクロック信号である。
【0133】
また、信号BW、CE、および信号GWは制御信号である。信号CEはチップイネーブル信号であり、信号GWはグローバル書き込みイネーブル信号であり、信号BWはバイト書き込みイネーブル信号である。信号ADDRはアドレス信号である。信号WDAは書き込みデータ信号であり、信号RDAは読み出しデータ信号である。信号PON1、PON2は、パワーゲーティング制御用信号である。なお、信号PON1、PON2は、コントロール回路212で生成してもよい。
【0134】
コントロール回路212は、半導体装置200の動作全般を制御する機能を有するロジック回路である。例えば、コントロール回路は、信号CE、信号GWおよび信号BWを論理演算して、半導体装置200の動作モード(例えば、書き込み動作、読み出し動作)を決定する。または、コントロール回路212は、この動作モードが実行されるように、周辺回路211の制御信号を生成する。
【0135】
電圧生成回路228は負電圧を生成する機能を有する。WAKEは、CLKの電圧生成回路228への入力を制御する機能を有する。例えば、WAKEにHレベルの信号が与えられると、信号CLKが電圧生成回路228へ入力され、電圧生成回路228は負電圧を生成する。
【0136】
周辺回路211は、記憶装置100に対するデータの書き込みおよび読み出しをするための回路である。周辺回路211は、行デコーダ221(Row Decoder)、列デコーダ222(Column Decoder)、行ドライバ223(Row Driver)、列ドライバ224(Column Driver)、入力回路225(Input Cir.)、出力回路226(Output Cir.)、センスアンプ227(Sense Amplifier)を有する。
【0137】
行デコーダ221および列デコーダ222は、信号ADDRをデコードする機能を有する。行デコーダ221は、アクセスする行を指定するための回路であり、列デコーダ222は、アクセスする列を指定するための回路である。行ドライバ223は、行デコーダ221が指定する配線WLを選択する機能を有する。列ドライバ224は、データを記憶装置100に書き込む機能、記憶装置100からデータを読み出す機能、読み出したデータを保持する機能等を有する。
【0138】
入力回路225は、信号WDAを保持する機能を有する。入力回路225が保持するデータは、列ドライバ224に出力される。入力回路225の出力データが、記憶装置100に書き込むデータ(Din)である。列ドライバ224が記憶装置100から読み出したデータ(Dout)は、出力回路226に出力される。出力回路226は、Doutを保持する機能を有する。また、出力回路226は、Doutを半導体装置200の外部に出力する機能を有する。出力回路226から出力されるデータが信号RDAである。
【0139】
PSW241は周辺回路215へのVDDの供給を制御する機能を有する。PSW242は、行ドライバ223へのVHMの供給を制御する機能を有する。ここでは、半導体装置200の高電源電圧がVDDであり、低電源電圧はGND(接地電位)である。また、VHMは、ワード線を高レベルにするために用いられる高電源電圧であり、VDDよりも高い。信号PON1によってPSW241のオン・オフが制御され、信号PON2によってPSW242のオン・オフが制御される。
図19では、周辺回路215において、VDDが供給される電源ドメインの数を1としているが、複数にすることもできる。この場合、各電源ドメインに対してパワースイッチを設ければよい。
【0140】
駆動回路210とメモリアレイ220は同一平面上に設けてもよい。また、
図20Aに示すように、駆動回路210とメモリアレイ220を重ねて設けてもよい。駆動回路210とメモリアレイ220を重ねて設けることで、信号伝搬距離を短くすることができる。また、
図20Bに示すように、駆動回路210上にメモリアレイ220を複数層重ねて設けてもよい。
【0141】
また、
図20Cに示すように、駆動回路210の上層および下層に、メモリアレイ220を設けてもよい。
図20Cでは、駆動回路210の上層および下層にそれぞれ1層のメモリアレイ220を設ける例を示している。複数のメモリアレイ220で駆動回路210を挟むように配置することで、信号伝搬距離をさらに短くすることができる。なお、駆動回路210の上層に積層されるメモリアレイ220と、駆動回路210の下層に積層されるメモリアレイ220の層数は、それぞれ1層以上であればよい。駆動回路210の上層に積層されるメモリアレイ220の数と、駆動回路210の下層に積層されるメモリアレイ220の数は等しいことが好ましい。
【0142】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0143】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した記憶装置100および半導体装置200に適用可能なトランジスタの構成について説明する。一例として、異なる電気特性を有するトランジスタを積層して設ける構成について説明する。当該構成とすることで、半導体装置の設計自由度を高めることができる。また、異なる電気特性を有するトランジスタを積層して設けることで、半導体装置の集積度を高めることができる。
【0144】
半導体装置の断面構造の一部を
図21に示す。
図21に示す半導体装置は、トランジスタ550と、トランジスタ500と、容量600と、を有している。
図23Aはトランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、
図23Bはトランジスタ500のチャネル幅方向の断面図であり、
図23Cはトランジスタ550のチャネル幅方向の断面図である。例えば、トランジスタ500は上記実施の形態に示したトランジスタ111に相当し、トランジスタ550はトランジスタ112に相当する。また、容量600は容量113に相当する。
【0145】
トランジスタ500は、OSトランジスタである。OSトランジスタは、オフ電流が極めて少ない。よって、トランジスタ500を介して記憶ノードに書き込んだデータ電圧あるいは電荷を長期間保持することが可能である。つまり、記憶ノード(ノードND)のリフレッシュ動作頻度を低減、あるいは、リフレッシュ動作を必要としないため、半導体装置の消費電力を低減することができる。
【0146】
図21では、トランジスタ500はトランジスタ550の上方に設けられ、容量600はトランジスタ550、およびトランジスタ500の上方に設けられている。
【0147】
トランジスタ550は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、ソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
【0148】
図23Cに示すように、トランジスタ550は、半導体領域313の上面およびチャネル幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トランジスタ550をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大することによりトランジスタ550のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ550のオフ特性を向上させることができる。
【0149】
なお、トランジスタ550は、pチャネル型のトランジスタ、あるいはnチャネル型のトランジスタのいずれでもよい。
【0150】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、またはドレイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、GaAlAs(ヒ化ガリウムアルミニウム)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ550をHEMTとしてもよい。
【0151】
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
【0152】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0153】
なお、導電体の材料によって仕事関数が決まるため、当該導電体の材料を選択することで、トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0154】
トランジスタ550は、SOI(Silicon on Insulator)基板などを用いて形成してもよい。
【0155】
また、SOI基板としては、鏡面研磨ウエハに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて形成されたSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)基板や、水素イオン注入により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開するスマートカット法、ELTRAN法(登録商標:Epitaxial Layer Transfer)などを用いて形成されたSOI基板を用いてもよい。単結晶基板を用いて形成されたトランジスタは、チャネル形成領域に単結晶半導体を有する。
【0156】
なお、
図21に示すトランジスタ550は一例であり、その構成に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、半導体装置をOSトランジスタのみの単極性回路(nチャネル型トランジスタのみ、などと同極性のトランジスタを意味する)とする場合、
図22に示すように、トランジスタ550の構成を、トランジスタ500と同様の構成にすればよい。なお、トランジスタ500の詳細については後述する。
【0157】
トランジスタ550を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0158】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0159】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多いシリコンを指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いシリコンを示す。このように、本明細書中において、「酸化窒化」とは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、「窒化酸化」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0160】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ550などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0161】
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ550などから、トランジスタ500が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0162】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ550との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0163】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
【0164】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0165】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量600、またはトランジスタ500と接続する導電体328、および導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330は、プラグまたは配線としての機能を有する。また、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構成をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0166】
各プラグ、および配線(導電体328、導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。または、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0167】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図21では、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、トランジスタ550と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。なお導電体356は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0168】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0169】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ550からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構成であることが好ましい。
【0170】
絶縁体354、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図21では、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0171】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0172】
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図21では、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0173】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0174】
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図21では、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0175】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0176】
上記において、導電体356を含む配線層、導電体366を含む配線層、導電体376を含む配線層、および導電体386を含む配線層、について説明したが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層を3層以下にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を5層以上にしてもよい。
【0177】
絶縁体384上には絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516が、順に積層して設けられている。絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0178】
例えば、絶縁体510、および絶縁体514には、例えば、基板311、またはトランジスタ550を設ける領域などから、トランジスタ500を設ける領域に、水素や不純物に対するバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
【0179】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ550との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。
【0180】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体510、および絶縁体514には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0181】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0182】
また、例えば、絶縁体512、および絶縁体516には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体512、および絶縁体516として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0183】
また、絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516には、導電体518、およびトランジスタ500を構成する導電体(例えば、導電体503)等が埋め込まれている。なお、導電体518は、容量600、またはトランジスタ550と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体518は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0184】
特に、絶縁体510、および絶縁体514と接する領域の導電体518は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で、分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0185】
絶縁体516の上方には、トランジスタ500が設けられている。
【0186】
図23Aおよび
図23Bに示すように、トランジスタ500は、絶縁体514および絶縁体516に埋め込まれるように配置された導電体503と、絶縁体516および導電体503の上に配置された絶縁体520と、絶縁体520の上に配置された絶縁体522と、絶縁体522の上に配置された絶縁体524と、絶縁体524の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、酸化物530b上に互いに離れて配置された導電体542aおよび導電体542bと、導電体542aおよび導電体542b上に配置され、導電体542aと導電体542bの間に重畳して開口が形成された絶縁体580と、開口の底面および側面に配置された絶縁体545と、絶縁体545の形成面に配置された導電体560と、を有する。
【0187】
また、
図23Aおよび
図23Bに示すように、酸化物530a、酸化物530b、導電体542a、および導電体542bと、絶縁体580の間に絶縁体544が配置されることが好ましい。また、
図23Aおよび
図23Bに示すように、導電体560は、絶縁体545の内側に設けられた導電体560aと、導電体560aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体560bと、を有することが好ましい。また、
図23Aおよび
図23Bに示すように、絶縁体580、導電体560、および絶縁体545の上に絶縁体574が配置されることが好ましい。
【0188】
なお、本明細書などにおいて、酸化物530a、および酸化物530bをまとめて酸化物530という場合がある。
【0189】
なお、トランジスタ500では、チャネルが形成される領域と、その近傍において、酸化物530a、および酸化物530bの2層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物530bの単層、または3層以上の積層構成を設ける構成にしてもよい。
【0190】
また、トランジスタ500では、導電体560を2層の積層構成として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体560が、単層構成であってもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。また、
図21、
図22、および
図23Aに示すトランジスタ500は一例であり、その構成に限定されず、回路構成や駆動方法などに応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0191】
ここで、導電体560は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体542aおよび導電体542bは、それぞれソース電極またはドレイン電極として機能する。上記のように、導電体560は、絶縁体580の開口、および導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。導電体560、導電体542aおよび導電体542bの配置は、絶縁体580の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ500において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体560を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ500の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
【0192】
さらに、導電体560が、導電体542aと導電体542bの間の領域に自己整合的に形成されるので、導電体560は、導電体542aまたは導電体542bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体560と導電体542aおよび導電体542bとの間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ500のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有せしめることができる。
【0193】
導電体560は、第1ゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体503は、第2ゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体503に印加する電位を、導電体560に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ500のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体503に負の電位を印加することにより、トランジスタ500のしきい値電圧をより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0194】
導電体503は、酸化物530、および導電体560と、重なるように配置する。これにより、導電体560、および導電体503に電位を印加した場合、導電体560から生じる電界と、導電体503から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0195】
本明細書等において、一対のゲート電極(第1のゲート電極、および第2のゲート電極)の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構成を、surrounded channel(S-channel)構成とよぶ。また、本明細書等で開示するS-channel構成は、Fin型構成およびプレーナ型構成とは異なる。S-channel構成を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
【0196】
また、導電体503は、導電体518と同様の構成であり、絶縁体514および絶縁体516の開口の内壁に接して導電体503aが形成され、さらに内側に導電体503bが形成されている。なお、トランジスタ500では、導電体503aおよび導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、または3層以上の積層構成として設ける構成にしてもよい。
【0197】
ここで、導電体503aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、または上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0198】
例えば、導電体503aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0199】
また、導電体503が配線の機能を兼ねる場合、導電体503bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。なお、本実施の形態では導電体503を導電体503aと導電体503bの積層で図示したが、導電体503は単層構成であってもよい。
【0200】
絶縁体520、絶縁体522、および絶縁体524は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0201】
ここで、酸化物530と接する絶縁体524は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。当該酸素は、加熱により膜中から放出されやすい。本明細書などでは、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」と呼ぶ場合がある。つまり、絶縁体524には、過剰酸素を含む領域(「過剰酸素領域」ともいう。)が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物530に接して設けることにより、酸化物530中の酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)を低減し、トランジスタ500の信頼性を向上させることができる。なお、酸化物530中の酸素欠損に水素が入った場合、当該欠陥(以下、VOHと呼ぶ場合がある。)はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、酸化物半導体中の水素は、熱、電界などのストレスによって動きやすいため、酸化物半導体に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。本発明の一態様においては、酸化物530中のVOHをできる限り低減し、高純度真性または実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VOHが十分低減された酸化物半導体を得るには、酸化物半導体中の水分、水素などの不純物を除去すること(「脱水」または「脱水素化処理」ともいう。)と、酸化物半導体に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(「加酸素化処理」ともいう。)が重要である。VOHなどの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0202】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、または3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0203】
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と、酸化物530と、を接して加熱処理、マイクロ波処理、またはRF処理のいずれか一または複数の処理を行っても良い。当該処理を行うことで、酸化物530中の水、または水素を除去することができる。例えば、酸化物530において、VoHの結合が切断される反応が起きる、別言すると「VOH→Vo+H」という反応が起きて、脱水素化することができる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合してH2Oとして、酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体542にゲッタリングされる場合がある。
【0204】
また、上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、または、基板側にRFを印加する電源を有する装置を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、且つ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとしては、例えば、酸素と、アルゴンとを用い、酸素流量比(O2/(O2+Ar))が50%以下、好ましくは10%以上30%以下で行うとよい。
【0205】
また、トランジスタ500の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(VO)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
【0206】
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「Vo+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
【0207】
また、絶縁体524が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体522は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
【0208】
絶縁体522が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物530が有する酸素は、絶縁体520側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体503が、絶縁体524や、酸化物530が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0209】
絶縁体522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、または(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁膜として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0210】
特に、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウム、ハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム、ハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体522を形成した場合、絶縁体522は、酸化物530からの酸素の放出や、トランジスタ500の周辺部から酸化物530への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0211】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0212】
また、絶縁体520は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体を酸化シリコン、または酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成の絶縁体520や、絶縁体526を得ることができる。
【0213】
なお、
図23Aおよび
図23Bのトランジスタ500では、3層の積層構成からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体520、絶縁体522、および絶縁体524が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、または4層以上の積層構成を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構成に限定されず、異なる材料からなる積層構成でもよい。
【0214】
トランジスタ500は、チャネル形成領域を含む酸化物530に、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いる。例えば、酸化物530として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。
【0215】
酸化物半導体として機能する金属酸化物の形成は、スパッタリング法で行なってもよいし、ALD(Atomic Layer Deposition)法で行なってもよい。なお、酸化物半導体として機能する金属酸化物については、他の実施の形態で詳細に説明する。
【0216】
また、酸化物530においてチャネル形成領域として機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0217】
酸化物530は、酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構成物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0218】
なお、酸化物530は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構成を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0219】
また、酸化物530aの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物530bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物530a電子親和力が、酸化物530bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0220】
ここで、酸化物530aおよび酸化物530bの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530aおよび酸化物530bの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0221】
具体的には、酸化物530aと酸化物530bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物530aとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0222】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物530bとなる。酸化物530aを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ500は高いオン電流を得られる。
【0223】
酸化物530b上には、ソース電極、およびドレイン電極として機能する導電体542a、および導電体542bが設けられる。導電体542a、および導電体542bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。更に、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素または酸素に対するバリア性があるため好ましい。
【0224】
また、
図23Aでは、導電体542a、および導電体542bを単層構成として示したが、2層以上の積層構成としてもよい。例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜を積層するとよい。また、チタン膜とアルミニウム膜を積層してもよい。また、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構成、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構成、チタン膜上に銅膜を積層する二層構成、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構成としてもよい。
【0225】
また、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構成、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構成等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0226】
また、
図23Aに示すように、酸化物530の、導電体542a(導電体542b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域543a、および領域543bが形成される場合がある。このとき、領域543aはソース領域またはドレイン領域の一方として機能し、領域543bはソース領域またはドレイン領域の他方として機能する。また、領域543aと領域543bに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
【0227】
酸化物530と接するように上記導電体542a(導電体542b)を設けることで、領域543a(領域543b)の酸素濃度が低減する場合がある。また、領域543a(領域543b)に導電体542a(導電体542b)に含まれる金属と、酸化物530の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域543a(領域543b)のキャリア密度が増加し、領域543a(領域543b)は、低抵抗領域となる。
【0228】
絶縁体544は、導電体542a、および導電体542bを覆うように設けられ、導電体542a、および導電体542bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体544は、酸化物530の側面を覆い、絶縁体524と接するように設けられてもよい。
【0229】
絶縁体544として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタンまたは、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体544として、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなども用いることができる。
【0230】
特に、絶縁体544として、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム、およびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、導電体542a、および導電体542bが耐酸化性を有する材料、または、酸素を吸収しても著しく導電性が低下しない材料である場合、絶縁体544は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0231】
絶縁体544を有することで、絶縁体580に含まれる水、および水素などの不純物が酸化物530bに拡散することを抑制できる。また、絶縁体580が有する過剰酸素により、導電体542が酸化することを抑制できる。
【0232】
絶縁体545は、第1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体545は、上述した絶縁体524と同様に、過剰に酸素を含み、かつ加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
【0233】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0234】
過剰酸素を含む絶縁体を絶縁体545として設けることにより、絶縁体545から、酸化物530bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体524と同様に、絶縁体545中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体545の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。また、絶縁体545の形成前および/または形成後に、前述したマイクロ波処理を行なってもよい。
【0235】
また、絶縁体545が有する過剰酸素を、効率的に酸化物530へ供給するために、絶縁体545と導電体560との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体545から導電体560への酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体545から導電体560への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。当該金属酸化物としては、絶縁体544に用いることができる材料を用いればよい。
【0236】
なお、絶縁体545は、第2のゲート絶縁膜と同様に、積層構成としてもよい。トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合があるため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体を、high-k材料と、熱的に安定している材料との積層構成とすることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成とすることができる。
【0237】
第1のゲート電極として機能する導電体560は、
図23Aおよび
図23Bでは2層構成として示しているが、単層構成でもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。
【0238】
導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体545に含まれる酸素により、導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、導電体560aとして、酸化物530に適用できる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電体560bをスパッタリング法で成膜することで、導電体560aの電気抵抗値を低下させて導電体にすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0239】
また、導電体560bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体560bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは積層構成としてもよく、例えば、チタンまたは窒化チタンと上記導電性材料との積層構成としてもよい。
【0240】
絶縁体580は、絶縁体544を介して、導電体542a、および導電体542b上に設けられる。絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。例えば、絶縁体580として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などを有することが好ましい。特に、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で、容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
【0241】
絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体580を設けることで、絶縁体580中の酸素を酸化物530へと効率良く供給することができる。なお、絶縁体580中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0242】
絶縁体580の開口は、導電体542aと導電体542bの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体560は、絶縁体580の開口、および導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。
【0243】
半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電体560の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体560の膜厚を大きくすると、導電体560はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、導電体560を絶縁体580の開口に埋め込むように設けるため、導電体560をアスペクト比の高い形状にしても、工程中に導電体560を倒壊させることなく、形成することができる。
【0244】
絶縁体574は、絶縁体580の上面、導電体560の上面、および絶縁体545の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体574をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体545、および絶縁体580へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物530中に酸素を供給することができる。
【0245】
例えば、絶縁体574として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0246】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。したがって、スパッタリング法で成膜した酸化アルミニウムは、酸素供給源であるとともに、水素などの不純物のバリア膜としての機能も有することができる。
【0247】
また、絶縁体574の上に、層間膜として機能する絶縁体581を設けることが好ましい。絶縁体581は、絶縁体524などと同様に、膜中の水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0248】
また、絶縁体581、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体544に形成された開口に、導電体540a、および導電体540bを配置する。導電体540aおよび導電体540bは、導電体560を挟んで対向して設ける。導電体540aおよび導電体540bは、後述する導電体546、および導電体548と同様の構成である。
【0249】
絶縁体581上には、絶縁体582が設けられている。絶縁体582は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体582には、絶縁体514と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体582には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0250】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0251】
また、絶縁体582上には、絶縁体586が設けられている。絶縁体586は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体586として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0252】
また、絶縁体520、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、絶縁体574、絶縁体581、絶縁体582、および絶縁体586には、導電体546、および導電体548等が埋め込まれている。
【0253】
導電体546、および導電体548は、容量600、トランジスタ500、またはトランジスタ550と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体546、および導電体548は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0254】
また、トランジスタ500の形成後、トランジスタ500を囲むように開口を形成し、当該開口を覆うように、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体を形成してもよい。上述のバリア性の高い絶縁体でトランジスタ500を包み込むことで、外部から水分、および水素が侵入するのを防止することができる。または、複数のトランジスタ500をまとめて、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体で包み込んでもよい。なお、トランジスタ500を囲むように開口を形成する場合、例えば、絶縁体522または絶縁体514に達する開口を形成し、絶縁体522または絶縁体514に接するように上述のバリア性の高い絶縁体を形成すると、トランジスタ500の作製工程の一部を兼ねられるため、好適である。なお、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体としては、例えば、絶縁体522または絶縁体514と同様の材料を用いればよい。
【0255】
続いて、トランジスタ500の上方には、容量600が設けられている。容量600は、導電体610と、導電体620と、絶縁体630とを有する。
【0256】
また、導電体546、および導電体548上に、導電体612を設けてもよい。導電体612は、トランジスタ500と接続するプラグ、または配線としての機能を有する。導電体610は、容量600の電極としての機能を有する。なお、導電体612、および導電体610は、同時に形成することができる。
【0257】
導電体612、および導電体610には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。または、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
【0258】
本実施の形態では、導電体612、および導電体610を単層構成で示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構成でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
【0259】
絶縁体630を介して、導電体610と重畳するように、導電体620を設ける。なお、導電体620は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構成と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
【0260】
導電体620、および絶縁体630上には、絶縁体640が設けられている。絶縁体640は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体640は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0261】
本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
【0262】
本発明の一態様の半導体装置に用いることができる基板としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板(例えば、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板など)、半導体基板(例えば、単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、または化合物半導体基板など)SOI(SOI:Silicon on Insulator)基板、などを用いることができる。また、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラス、またはソーダライムガラスなどがある。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。
【0263】
または、基板として、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィルムなどを用いることができる。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、またはポリ塩化ビニルなどがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド樹脂、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、または紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、またはSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、または形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、または回路の高集積化を図ることができる。
【0264】
また、基板として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ、抵抗、および/または容量などを形成してもよい。または、基板と、トランジスタ、抵抗、および/または容量などの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタ、抵抗、および/または容量などは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構成の構成や、基板上にポリイミド等の有機樹脂膜が形成された構成、水素を含むシリコン膜等を用いることができる。
【0265】
つまり、ある基板上に半導体装置を形成し、その後、別の基板に半導体装置を転置してもよい。半導体装置が転置される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、またはゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、可撓性を有する半導体装置の製造、壊れにくい半導体装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、または薄型化を図ることができる。
【0266】
可撓性を有する基板上に半導体装置を設けることで、重量の増加を抑え、且つ破損しにくい半導体装置を提供することができる。
【0267】
<トランジスタの変形例1>
図24A、
図24B、および
図24Cに示すトランジスタ500Aは、
図23A、
図23Bに示す構成のトランジスタ500の変形例である。
図24Aはトランジスタ500Aの上面図であり、
図24Bはトランジスタ500Aのチャネル長方向の断面図であり、
図24Cはトランジスタ500Aのチャネル幅方向の断面図である。なお、
図24Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素の記載を省略している。
図24A、
図24B、および
図24Cに示す構成は、トランジスタ550等、本発明の一態様の半導体装置が有する他のトランジスタにも適用することができる。
【0268】
図24A、
図24B、および
図24Cに示す構成のトランジスタ500Aは、絶縁体552、絶縁体513および絶縁体404を有する点が、
図23A、
図23Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。また、導電体540aの側面に接して絶縁体552が設けられ、導電体540bの側面に接して絶縁体552が設けられる点が、
図23A、
図23Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。さらに、絶縁体520を有さない点が、
図23A、
図23Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。
【0269】
図24A、
図24B、および
図24Cに示す構成のトランジスタ500Aは、絶縁体512上に絶縁体513が設けられる。また、絶縁体574上、および絶縁体513上に絶縁体404が設けられる。
【0270】
図24A、
図24B、および
図24Cに示す構成のトランジスタ500Aでは、絶縁体514、絶縁体516、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、および絶縁体574がパターニングされており、絶縁体404がこれらを覆う構成になっている。つまり、絶縁体404は、絶縁体574の上面、絶縁体574の側面、絶縁体580の側面、絶縁体544の側面、絶縁体524の側面、絶縁体522の側面、絶縁体516の側面、絶縁体514の側面、絶縁体513の上面とそれぞれ接する。これにより、酸化物530等は、絶縁体404と絶縁体513によって外部から隔離される。
【0271】
絶縁体513および絶縁体404は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)または水分子の拡散を抑制する機能が高いことが好ましい。例えば、絶縁体513および絶縁体404として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを用いることが好ましい。これにより、酸化物530に水素等が拡散することを抑制することができるので、トランジスタ500Aの特性低下を抑制できる。よって、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0272】
絶縁体552は、絶縁体581、絶縁体404、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体544に接して設けられる。絶縁体552は、水素または水分子の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。たとえば、絶縁体552として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコン、酸化アルミニウム、または窒化酸化シリコン等の絶縁体を用いることが好ましい。特に、窒化シリコンは水素バリア性が高い材料であるので、絶縁体552として用いると好適である。絶縁体552として水素バリア性が高い材料を用いることにより、水または水素等の不純物が、絶縁体580等から導電体540aおよび導電体540bを通じて酸化物530に拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580に含まれる酸素が導電体540aおよび導電体540bに吸収されることを抑制することができる。以上により、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0273】
<トランジスタの変形例2>
図25A、
図25Bおよび
図25Cを用いて、トランジスタ500Bの構成例を説明する。
図25Aはトランジスタ500Bの上面図である。
図25Bは、
図25Aに一点鎖線で示すL1-L2部位の断面図である。
図25Cは、
図25Aに一点鎖線で示すW1-W2部位の断面図である。なお、
図25Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素の記載を省略している。
【0274】
トランジスタ500Bはトランジスタ500の変形例であり、トランジスタ500に置き換え可能なトランジスタである。よって、説明の繰り返しを防ぐため、主にトランジスタ500Bのトランジスタ500と異なる点について説明する。
【0275】
第1のゲート電極として機能する導電体560は、導電体560a、および導電体560a上の導電体560bを有する。導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0276】
導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体560bの材料選択性を向上することができる。つまり、導電体560aを有することで、導電体560bの酸化が抑制され、導電率が低下することを防止することができる。
【0277】
また、導電体560の上面および側面と絶縁体545の側面を覆うように、絶縁体544を設けることが好ましい。なお、絶縁体544は、水または水素などの不純物、および酸素の拡散を抑制する機能を有する絶縁性材料を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを用いることが好ましい。また、他にも、例えば、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0278】
絶縁体544を設けることで、導電体560の酸化を抑制することができる。また、絶縁体544を有することで、絶縁体580が有する水、および水素などの不純物がトランジスタ500Bへ拡散することを抑制することができる。
【0279】
トランジスタ500Bは、導電体542aの一部と導電体542bの一部に導電体560が重なるため、トランジスタ500よりも寄生容量が大きくなりやすい。よって、トランジスタ500に比べて動作周波数が低くなる傾向がある。しかしながら、絶縁体580などに開口を設けて導電体560や絶縁体545などを埋めこむ工程が不要であるため、トランジスタ500と比較して生産性が高い。
【0280】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態および実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0281】
(実施の形態5)
本実施の形態では、酸化物半導体の結晶構造などに関して詳細に説明する。
【0282】
〔結晶構造の分類〕
まず、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、
図26Aを用いて説明を行う。
図26Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0283】
図26Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(cloud-aligned composite)が含まれる。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
【0284】
なお、
図26Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」や、「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0285】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを
図26Bに示す。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。以降、
図26Bに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。なお、
図26Bに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、
図26Bに示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
【0286】
図26Bに示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、
図26Bに示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度が検出された角度を軸に左右非対称である。
【0287】
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、
図26Cに示す。
図26Cは、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、
図26Cに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
【0288】
図26Cに示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
【0289】
[酸化物半導体の構造]
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、
図26Aとは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0290】
続いて、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0291】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0292】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0293】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
【0294】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0295】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう。)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0296】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0297】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0298】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0299】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0300】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0301】
[酸化物半導体の構成]
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0302】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0303】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0304】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、およびZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、および[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0305】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0306】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0307】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0308】
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、および良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0309】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0310】
〔酸化物半導体を有するトランジスタ〕
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0311】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0312】
トランジスタのチャネル形成領域には、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のチャネル形成領域のキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0313】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0314】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0315】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0316】
〔不純物〕
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0317】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体のチャネル形成領域におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体のチャネル形成領域との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0318】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体のチャネル形成領域中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0319】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体のチャネル形成領域中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
【0320】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体のチャネル形成領域における中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体のチャネル形成領域において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは5×1019atoms/cm3未満、より好ましくは1×1019atoms/cm3未満、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。
【0321】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0322】
〔その他の半導体材料〕
酸化物530に用いることができる半導体材料は、上述の金属酸化物に限られない。酸化物530として、バンドギャップを有する半導体材料(ゼロギャップ半導体ではない半導体材料)を用いてもよい。例えば、シリコンなどの単体元素の半導体、ヒ化ガリウムなどの化合物半導体、半導体として機能する層状物質(原子層物質、2次元材料などともいう。)などを半導体材料に用いることが好ましい。特に、半導体として機能する層状物質を半導体材料に用いると好適である。
【0323】
ここで、本明細書等において、層状物質とは、層状の結晶構造を有する材料群の総称である。層状の結晶構造は、共有結合やイオン結合によって形成される層が、ファンデルワールス力のような、共有結合やイオン結合よりも弱い結合を介して積層している構造である。層状物質は、単位層内における電気伝導性が高く、つまり、2次元電気伝導性が高い。半導体として機能し、かつ、2次元電気伝導性の高い材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。
【0324】
層状物質として、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物などがある。カルコゲン化物は、カルコゲンを含む化合物である。また、カルコゲンは、第16族に属する元素の総称であり、酸素、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム、リバモリウムが含まれる。また、カルコゲン化物として、遷移金属カルコゲナイド、13族カルコゲナイドなどが挙げられる。
【0325】
酸化物530として、例えば、半導体として機能する遷移金属カルコゲナイドを用いることが好ましい。酸化物530として適用可能な遷移金属カルコゲナイドとして、具体的には、硫化モリブデン(代表的にはMoS2)、セレン化モリブデン(代表的にはMoSe2)、モリブデンテルル(代表的にはMoTe2)、硫化タングステン(代表的にはWS2)、セレン化タングステン(代表的にはWSe2)、タングステンテルル(代表的にはWTe2)、硫化ハフニウム(代表的にはHfS2)、セレン化ハフニウム(代表的にはHfSe2)、硫化ジルコニウム(代表的にはZrS2)、セレン化ジルコニウム(代表的にはZrSe2)などが挙げられる。
【0326】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態および実施例などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0327】
(実施の形態6)
本実施の形態では、
図27Aおよび
図27Bを用いて、本発明の記憶装置が実装された半導体装置の一種であるチップ1200の一例を示す。チップ1200には、複数の回路(システム)が実装されている。このように、複数の回路(システム)を一つのチップに集積する技術を、システムオンチップ(System on Chip:SoC)と呼ぶ場合がある。
【0328】
図27Aに示すように、チップ1200は、CPU1211、GPU1212、一または複数のアナログ演算部1213、一または複数のメモリコントローラ1214、一または複数のインターフェース1215、一または複数のネットワーク回路1216等を有する。
【0329】
チップ1200には、バンプ(図示しない)が設けられ、
図27Bに示すように、プリント基板(Printed Circuit Board:PCB)1201の第1の面と接続する。また、PCB1201の第1の面の裏面には、複数のバンプ1202が設けられており、マザーボード1203と接続する。
【0330】
マザーボード1203には、DRAM1221、フラッシュメモリ1222等の記憶装置が設けられていてもよい。フラッシュメモリ1222として、先の実施の形態に示す半導体装置を用いることが好ましい。先の実施の形態に示す半導体装置をフラッシュメモリ1222に用いることで、フラッシュメモリ1222の記憶容量を大きくすることができる。
【0331】
CPU1211は、複数のCPUコアを有することが好ましい。また、GPU1212は、複数のGPUコアを有することが好ましい。また、CPU1211、およびGPU1212は、それぞれ一時的にデータを格納するメモリを有していてもよい。または、CPU1211、およびGPU1212に共通のメモリが、チップ1200に設けられていてもよい。また、GPU1212は、多数のデータの並列計算に適しており、画像処理や積和演算に用いることができる。GPU1212に、画像処理回路や、積和演算回路を設けることで、画像処理、および積和演算を低消費電力で実行することが可能になる。
【0332】
また、CPU1211、およびGPU1212が同一チップに設けられていることで、CPU1211およびGPU1212間の配線を短くすることができ、CPU1211からGPU1212へのデータ転送、CPU1211、およびGPU1212が有するメモリ間のデータ転送、およびGPU1212での演算後に、GPU1212からCPU1211への演算結果の転送を高速に行うことができる。
【0333】
アナログ演算部1213はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、およびD/A(デジタル/アナログ)変換回路の一、または両方を有する。また、アナログ演算部1213に上記積和演算回路を設けてもよい。
【0334】
メモリコントローラ1214は、DRAM1221のコントローラとして機能する回路、およびフラッシュメモリ1222のインターフェースとして機能する回路を有する。
【0335】
インターフェース1215は、表示装置、スピーカー、マイクロフォン、カメラ、コントローラなどの外部接続機器とのインターフェース回路を有する。コントローラとは、マウス、キーボード、ゲーム用コントローラなどを含む。このようなインターフェースとして、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)などを用いることができる。
【0336】
ネットワーク回路1216は、LAN(Local Area Network)などと接続するためのネットワーク回路を有する。また、ネットワークセキュリティー用の回路を有してもよい。
【0337】
チップ1200には、上記回路(システム)を同一の製造プロセスで形成することが可能である。そのため、チップ1200に必要な回路の数が増えても、製造プロセスを増やす必要が無く、チップ1200を低コストで作製することができる。
【0338】
GPU1212を有するチップ1200が設けられたPCB1201、DRAM1221、およびフラッシュメモリ1222が設けられたマザーボード1203は、GPUモジュール1204と呼ぶことができる。
【0339】
GPUモジュール1204は、SoC技術を用いたチップ1200を有しているため、そのサイズを小さくすることができる。また、画像処理に優れていることから、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップPC、携帯型(持ち出し可能な)ゲーム機などの携帯型電子機器に用いることが好適である。また、GPU1212を用いた積和演算回路により、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの手法を実行することができるため、チップ1200をAIチップ、またはGPUモジュール1204をAIシステムモジュールとして用いることができる。
【0340】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態などに示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0341】
(実施の形態7)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す記憶装置を用いた半導体装置の応用例について説明する。先の実施の形態に示す記憶装置は、メモリカード(例えば、SDカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置に適用することができる。
図28A乃至
図28Eにリムーバブル記憶装置の幾つかの構成例を模式的に示す。例えば、先の実施の形態に示す半導体装置は、パッケージングされたメモリチップに加工され、様々なストレージ装置、リムーバブルメモリに用いられる。
【0342】
図28AはUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101、キャップ1102、USBコネクタ1103および基板1104を有する。基板1104は、筐体1101に収納されている。例えば、基板1104には、メモリチップ1105、コントローラチップ1106が取り付けられている。メモリチップ1105などに先の実施の形態に示す記憶装置または半導体装置を組み込むことができる。
【0343】
図28BはSDカードの外観の模式図であり、
図28Cは、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112および基板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板1113には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メモリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。メモリチップ1114などに先の実施の形態に示す記憶装置または半導体装置を組み込むことができる。
【0344】
図28DはSSDの外観の模式図であり、
図28Eは、SSDの内部構造の模式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152および基板1153を有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メモリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けられている。メモリチップ1155はコントローラチップ1156のワークメモリであり、例えばDOSRAMチップを用いればよい。基板1153の裏面側にもメモリチップ1154を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。メモリチップ1154などに先の実施の形態に示す記憶装置または半導体装置を組み込むことができる。
【0345】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0346】
(実施の形態8)
図29A乃至
図29Gに、本発明の一態様に係る記憶装置または半導体装置を搭載した電子機器の具体例を示す。
【0347】
<電子機器・システム>
本発明の一態様に係る記憶装置または半導体装置は、様々な電子機器に搭載することができる。電子機器の例としては、例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、テレビジョン装置、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、録画再生装置、ナビゲーションシステム、音響再生装置、などが挙げられる。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。
【0348】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0349】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0350】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0351】
[情報端末]
本発明の一態様に係る記憶装置または半導体装置を用いて、マイクロコントローラのプログラム保持用記憶装置を形成することができる。よって、本発明の一態様によれば、マイクロコントローラチップを小型にすることができる。
【0352】
図29Aには、情報端末の一種である携帯電話(スマートフォン)が図示されている。情報端末5100は、筐体5101と、表示部5102と、を有しており、入力用インターフェースとして、タッチパネルが表示部5102に備えられ、ボタンが筐体5101に備えられている。本発明の一態様に係る、小型化されたマイクロコントローラを用いることで、携帯電話内部の限られた空間を有効に利用することができる。また、携帯電話のストレージに、本発明の一態様に係る記憶装置を用いてもよい。これにより、当該ストレージの単位面積当たりの記憶容量を大きくすることができる。
【0353】
図29Bには、ノート型情報端末5200が図示されている。ノート型情報端末5200は、情報端末の本体5201と、表示部5202と、キーボード5203と、を有する。本発明の一態様に係る、小型化されたマイクロコントローラを用いることで、ノート型情報端末内部の限られた空間を有効に利用することができる。また、ノート型情報端末のストレージに、本発明の一態様に係る記憶装置を用いてもよい。これにより、当該ストレージの単位面積当たりの記憶容量を大きくすることができる。
【0354】
なお、上述では、電子機器としてスマートフォン、およびノート型情報端末を例として、それぞれ
図29A、
図29Bに図示したが、スマートフォン、およびノート型情報端末以外の情報端末を適用することができる。スマートフォン、およびノート型情報端末以外の情報端末としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、デスクトップ型情報端末、ワークステーションなどが挙げられる。
【0355】
[ゲーム機]
図29Cは、ゲーム機の一例である携帯ゲーム機5300を示している。携帯ゲーム機5300は、筐体5301、筐体5302、筐体5303、表示部5304、接続部5305、操作キー5306等を有する。筐体5302、および筐体5303は、筐体5301から取り外すことが可能である。筐体5301に設けられている接続部5305を別の筐体(図示せず)に取り付けることで、表示部5304に出力される映像を、別の映像機器(図示せず)に出力することができる。このとき、筐体5302、および筐体5303は、それぞれ操作部として機能することができる。これにより、複数のプレイヤーが同時にゲームを行うことができる。筐体5301、筐体5302、および筐体5303の基板に設けられているチップなどに本発明の一態様に係る記憶装置または半導体装置などを組み込むことができる。
【0356】
また、
図29Dは、ゲーム機の一例である据え置き型ゲーム機5400を示している。据え置き型ゲーム機5400には、無線または有線でコントローラ5402が接続されている。
【0357】
携帯ゲーム機5300、据え置き型ゲーム機5400などのゲーム機に本発明の一態様に係る、小型化されたマイクロコントローラを用いることで、ゲーム機内部の限られた空間を有効に利用することができる。また、携帯ゲーム機のストレージに、本発明の一態様に係る記憶装置または半導体装置などを用いてもよい。これにより、当該ストレージの単位面積当たりの記憶容量を大きくすることができる。
【0358】
図29C、
図29Dでは、ゲーム機の一例として携帯ゲーム機、および据え置き型ゲーム機を図示しているが、本発明の一態様のマイクロコントローラを適用するゲーム機はこれに限定されない。本発明の一態様のマイクロコントローラを適用するゲーム機としては、例えば、娯楽施設(ゲームセンター、遊園地など)に設置されるアーケードゲーム機、スポーツ施設に設置されるバッティング練習用の投球マシンなどが挙げられる。
【0359】
[大型コンピュータ]
本発明の一態様の記憶装置または半導体装置などは、大型コンピュータに適用することができる。
【0360】
図29Eは、大型コンピュータの一例である、スーパーコンピュータ5500を示す図である。
図29Fは、スーパーコンピュータ5500が有するラックマウント型の計算機5502を示す図である。
【0361】
スーパーコンピュータ5500は、ラック5501と、複数のラックマウント型の計算機5502と、を有する。なお、複数の計算機5502は、ラック5501に格納されている。また、計算機5502には、複数の基板5504が設けられ、当該基板上に本発明の一態様に係るマイクロコントローラを搭載することができる。本発明の一態様に係る、小型化されたマイクロコントローラを用いることで、大型コンピュータの限られた空間を有効に利用することができる。また、大型コンピュータのストレージに、本発明の一態様に係る記憶装置または半導体装置などを用いてもよい。これにより、当該ストレージの単位面積当たりの記憶容量を大きくすることができる。
【0362】
図29E、
図29Fでは、大型コンピュータの一例としてスーパーコンピュータを図示しているが、本発明の一態様に係るマイクロコントローラを適用する大型コンピュータはこれに限定されない。本発明の一態様に係るマイクロコントローラを適用する大型コンピュータとしては、例えば、サービスを提供するコンピュータ(サーバー)、大型汎用コンピュータ(メインフレーム)などが挙げられる。
【0363】
[電化製品]
図29Gは、電化製品の一例である電気冷凍冷蔵庫5800を示している。電気冷凍冷蔵庫5800は、筐体5801、冷蔵室用扉5802、冷凍室用扉5803等を有する。
【0364】
本発明の一態様に係る記憶装置または半導体装置などは、電気冷凍冷蔵庫5800に適用することもできる。例えば、電気冷凍冷蔵庫5800に本発明の一態様に係る小型化されたマイクロコントローラを適用することによって、電気冷凍冷蔵庫の限られた空間を有効に利用することができる。
【0365】
電化製品の一例として電気冷凍冷蔵庫について説明したが、その他の電化製品としては、例えば、掃除機、電子レンジ、電気オーブン、炊飯器、湯沸かし器、IH調理器、ウォーターサーバ、エアーコンディショナーを含む冷暖房器具、洗濯機、乾燥機、オーディオビジュアル機器などが挙げられる。
【0366】
本実施の形態で説明した電子機器、その電子機器の機能、その効果などは、他の電子機器の記載と適宜組み合わせることができる。
【0367】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例0368】
上記実施の形態に示した記憶装置100Bに相当する記憶装置900を試作し、動作の検証を行った。
図30Aに、記憶装置900の上面の光学式顕微鏡写真を示す。
図30Bに、記憶装置900の一部の断面TEM写真を示す。
【0369】
<記憶装置900の回路構成>
図31に記憶装置900の回路図を示す。記憶装置900は、書き込み用のトランジスタであるトランジスタWTr1乃至トランジスタWTr5、読み出し用のトランジスタであるトランジスタRTr1乃至トランジスタRTr4、トランジスタSTr1、およびトランジスタSTr2を備える。これらのトランジスタは、チャネルが形成される半導体層にCAAC-IGZOを用いたトランジスタ(「CAAC-IGZO FET」ともいう。)である。また、これらのトランジスタのチャネル長Lは60nm、チャネル幅Wは60nmである。また、これらのトランジスタは、バックゲートを有するトランジスタである。
【0370】
また、記憶装置900は、容量Cs1乃至容量Cs4を備える。また、
図31ではノードSN1乃至ノードSN4を示している。容量Cs1乃至容量Cs4の静電容量は、それぞれ3fFである。
【0371】
記憶装置900において、トランジスタWTr1が上記実施の形態に示した記憶装置100Bのトランジスタ111[1]に相当し、トランジスタRTr1が記憶装置100Bのトランジスタ112[1]に相当する。また、トランジスタSTr1がトランジスタ131に相当し、トランジスタSTr2がトランジスタ132に相当する。また、容量Cs1が容量113[1]に相当し、ノードSN1がノードND[1]に相当する。
【0372】
トランジスタWTr1のゲートは配線WG1と電気的に接続され、トランジスタWTr2のゲートは配線WG2と電気的に接続され、トランジスタWTr3のゲートは配線WG3と電気的に接続され、トランジスタWTr4のゲートは配線WG4と電気的に接続され、トランジスタWTr5のゲートは配線WG5と電気的に接続される。トランジスタWTr1乃至トランジスタWTr5のバックゲートは配線WBGと電気的に接続される。トランジスタWTr1は配線WBLと電気的に接続され、トランジスタWTr5は配線WSLと電気的に接続される。
【0373】
トランジスタRTr1のゲートはノードSN1と電気的に接続され、トランジスタRTr2のゲートはノードSN2と電気的に接続され、トランジスタRTr3のゲートはノードSN3と電気的に接続され、トランジスタRTr4のゲートはノードSN4と電気的に接続される。
【0374】
トランジスタRTr1のバックゲートは配線CG1と電気的に接続され、トランジスタRTr2のバックゲートは配線CG2と電気的に接続され、トランジスタRTr3のバックゲートは配線CG3と電気的に接続され、トランジスタRTr4のバックゲートは配線CG4と電気的に接続される。トランジスタSTr1のゲートは配線SEL1と電気的に接続され、バックゲートは配線RBG1と電気的に接続される。トランジスタSTr2のゲートは配線SEL2と電気的に接続され、バックゲートは配線RBG2と電気的に接続される。また、トランジスタSTr1は配線RBLと電気的に接続され、トランジスタSTr2は配線RSLと電気的に接続される。
【0375】
<書き込みおよび読み出し動作の検証>
図32Aに書き込み動作の検証に用いたタイミングチャートを示す。配線WG1乃至配線WG5に供給するH電位は3.3V、L電位は-1.5Vとした。配線WSLに供給するH電位は1.2V、L電位は0Vとした。なお、配線WSLに供給するH電位はData“1”に相当し、配線WSLに供給するL電位はData“0”に相当する。配線WBLには0Vを供給した。
図32Aにおいて、Write SN1乃至Write SN4は、ノードSN1乃至ノードSN4に情報を書き込む期間を示している。
【0376】
図32Bに読み出し動作の検証に用いたタイミングチャートを示す。配線CG1乃至配線CG4に供給するH電位は3.3V、L電位は0Vとした。配線RSLに供給するH電位は1.2V、L電位は0Vとした。配線RBLに供給するH電位は3.3V、L電位は0Vとした。配線SEL1および配線SEL2に供給するH電位は3.3V、L電位は0Vとした。また、配線RBG1および配線RBG2には1.0Vを供給した。
図32Bにおいて、Read SN1乃至Read SN4は、ノードSN1乃至ノードSN4が保持している情報を読み出す期間を示している。
【0377】
<CAAC-IGZO FETのオフ電流の温度依存>
ここで、
図33Aに、記憶装置900に用いたCAAC-IGZO FETのオフ電流(リーク電流)の温度依存を示す。
図33Aの横軸は温度Tの逆数を示し、縦軸はチャネル幅1μm当たりのオフ電流(Off-state Current)を示す。また、
図33Aは、チャネル長Lが60nmでチャネル幅Wが60nmのトランジスタを、20000個並列接続して(M=20000)測定した結果を示している。
【0378】
150℃、125℃、100℃、85℃でのオフ電流をアレニウスプロットすることにより、室温(R.T.)でのオフ電流が約2[zA/μm]であることが確認できた。
【0379】
図33Bに、85℃における記憶装置900に書き込まれた情報の、保持可能時間の測定結果を示す。保持可能時間は、ノードSN(ノードSN1乃至ノードSN4のいずれか1つ)の電位が、当該ノードSNと電気的に接続するトランジスタWTr(トランジスタWTr1乃至トランジスタWTr5のいずれか1つ)をオフにした時の電位から0.2V低下するまでの時間とした。
図33Bの横軸は保持時間(Retention Time)であり、縦軸はノードSNの電位(電位V
SN)である。
図33Bより、85℃の環境下において1時間以上の情報保持が可能であることがわかる。なお、85℃でのオフ電流は、室温時の50倍であるため(
図33A参照)、室温時では2日程度のデータ保持が可能であることが示唆される。
【0380】
<書き換え耐性の検証>
次に、記憶装置900の書き換え耐性の検証を行なった。書き換え耐性の検証は、配線WG1乃至配線WG4に-1.5Vを供給し、配線WBL、配線WBG、および配線RBLに0Vを供給し、配線CG1乃至配線CG3に3.3Vを供給し、配線RBG1および配線RBG2に1Vを供給し、配線RSLに1.2Vを供給した状態で行なった。上記の状態で、配線WSLからノードSN4にH電位(Data“1”)とL電位(Data“0”)を交互に書き込んだ。ノードSN4に書き込まれる情報(電位)は、配線WG5にパルス幅20nsの信号(H電位)が供給される度に切り替わる。
図34Aに、配線WG5と配線WSLに供給される信号のタイミングチャートを示す。
【0381】
書き込み回数が10のX乗(Xは0以上の自然数)回になる度に、ノードSN4にData“1”が書き込まれている時の電位VSNと、ノードSN4にData“0”が書き込まれている時の電位VSNを、トランジスタのId-Vg特性と配線RBLの電流値から求めた。
【0382】
図34Bに、書き換え耐性の検証結果を示す。
図34Bの横軸は書き込み回数(Write cycle)であり、縦軸は電位V
SNである。
図34Bより、記憶装置900は10の13乗回の書き込み動作後もData“1”とData“0”で明確な電位差(電圧ウィンドウ)が得られており、良好な書き換え耐性を示していることがわかる。
【0383】
<書き乱し耐性の検証>
次に、記憶装置900の書き乱し(Write disturb)耐性の検証を行なった。記憶装置900は、トランジスタを介してノードSNが1本の配線で電気的に接続しており、配線WBLと配線WSLの両方から同時に別々のノードSNに情報を書き込むことができる。この場合、隣接するノードSNの書き込み動作に影響されて、保持中のデータが破損することが懸念される。
【0384】
図35Aは、書き乱し耐性を検証するための初期動作を説明するタイミングチャートである。初期動作として、ノードSN1とノードSN3にData“0”を書き込み、ノードSN2とノードSN4にData“1”を書き込み、これらの情報を保持する。なお、ノードSN1およびノードSN2へは配線WBLから情報を書き込んだ(Write from WBL)。ノードSN3およびノードSN4へは配線WSLから情報を書き込んだ(Write from WSL)。
【0385】
その後、ノードSN1とノードSN4の情報を、書き換え耐性の検証と同様の方法で繰り返し書き換えた。
図35Bに書き乱し耐性を検証するためのタイミングチャートを示す。
【0386】
検証期間中、ノードSN2にはData“1”が保持され、ノードSN3にはData“0”が保持されている。ノードSN1とノードSN4への書き込み(書き換え)回数が10のX乗(Xは0以上の自然数)回になる度に、ノードSN2およびノードSN3に保持されている情報(電位)を測定した。
図36Aに、書き乱し耐性の検証結果を示す。
図36Aの横軸は、ノードSN1およびノードSN4への書き込み回数(Write cycle)であり、縦軸はノードSN2およびノードSN3の電位V
SNである。
【0387】
図36Aより、10の9乗回経過後もノードSN2およびノードSN3に大きな電位変化が生じておらず、情報が保持されていることがわかる。よって、記憶装置900は、Write disturbの影響を受けにくいことがわかった。CAAC-IGZO FETはフリンジ要因などの寄生容量が小さい。よって、容量Csが小さくてもWrite disturbの影響を受けにくいことが推測される。
【0388】
<トランジスタWTrのゲート電位と書き込み速度のShmooプロット>
図36Bに、メモリセルに情報を書き込む際に書き込みトランジスタWTrのゲートに供給する信号の電位V
WGと、当該信号のパルス幅のShmooプロットを示す。
図36Bの横軸は当該信号のパルス幅(Write pulse width)であり、縦軸は電位V
WGである。また、
図36Bでは、情報の書き込みが正常に行われた時の電位V
WGとパルス幅の組み合わせに「PASS」と記し、情報の書き込みが正常に行われなかった時の組み合わせに「FAIL」と記している。
【0389】
図36Bより、電位V
WGが3.3Vであればパルス幅が20nsでも情報の書き込みが正常に行われることがわかる。なお、Data“1”をData“0”に書き換えた場合と、Data“0”をData“1”に書き換えた場合も同様である。なお、パルス幅は書き込み速度に相当する。情報の書き込みが正常に行われた時のパルス幅が短時間であるほど、書き込み速度が速いと言える。
【0390】
表1に、試作した記憶装置900(This work)と、NAND flash、PCM、およびSTT-MRAMとの比較表を示す。
【0391】
【0392】
一般に、コンピュータなどの半導体装置では、用途に応じて様々な記憶装置が用いられる。
図37に、各種の記憶装置を階層ごとに示す。上層に位置する記憶装置ほど速いアクセス速度が求められ、下層に位置する記憶装置ほど大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。
図37では、最上層から順に、CPUなどの演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、3D NANDメモリを示している。
【0393】
CPUなどの演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリは、演算結果の一時保存などに用いられるため、演算処理装置からのアクセス頻度が高い。よって、記憶容量よりも速い動作速度が求められる。また、レジスタは演算処理装置の設定情報などを保持する機能も有する。
【0394】
SRAMは、例えばキャッシュに用いられる。キャッシュは、メインメモリに保持されている情報の一部を複製して保持する機能を有する。使用頻度が高いデータをキャッシュに複製しておくことで、データへのアクセス速度を高めることができる。
【0395】
DRAMは、例えばメインメモリに用いられる。メインメモリは、ストレージから読み出されたプログラムやデータを保持する機能を有する。DRAMの記録密度は、おおよそ0.1乃至0.3Gbit/mm2である。
【0396】
3D NANDメモリは、例えばストレージに用いられる。ストレージは、長期保存が必要なデータや、演算処理装置で使用する各種のプログラムなどを保持する機能を有する。よって、ストレージには動作速度よりも大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。ストレージに用いられる記憶装置の記録密度は、おおよそ0.6乃至6.0Gbit/mm2である。
【0397】
本発明の一態様に係る記憶装置は、動作速度が速く、長期間のデータ保持が可能である。本発明の一態様に係る記憶装置は、キャッシュが位置する階層とメインメモリが位置する階層の双方を含む境界領域901に位置する記憶装置として好適に用いることができる。また、本発明の一態様に係る記憶装置は、メインメモリが位置する階層とストレージが位置する階層の双方を含む境界領域902に位置する記憶装置として好適に用いることができる。
【0398】
<3D OS NAND型記憶装置のデバイスシミュレーション>
記憶装置900に用いたCAAC-IGZOはALD法によっても形成することができる。このことは、本発明の一態様に係るトランジスタなどを、X-Y平面方向だけでなく三次元方向(Z軸方向)に作製可能であることを示唆している。本発明の一態様に係るNAND型の記憶装置を3次元方向に設ける3D OS NAND型の記憶装置を想定したデバイスシミュレーションを行なった。
【0399】
デバイスシミュレーションは、シノプシス社TCAD Sentaurusを用いて行った。
図38に当該デバイスシミュレーションで用いた記憶装置950の2次元構造図を示す。当該デバイスシミュレーションは、
図38に示した2次元構造を、Z軸(Z-axis)を中心軸として360°回転させた円柱構造の記憶装置950を想定して行なった。なお、記憶装置950ではノードSN1乃至ノードSN4に相当する導電体FG1乃至導電体FG4を想定している。また、Inner active layerのIGZO層と、Outer active layerのIGZO層のそれぞれに、不純物が導入された領域(doped region)と導入されていない領域(not doped region)を設定した。
【0400】
表2に、当該デバイスシミュレーションに用いた計算用パラメータを示す。
【0401】
【0402】
記憶装置950の書き込み動作および読み出し動作の計算結果を
図39に示す。
図9は、書き込み動作(Write Operation)および読み出し動作(Read Operation)における、配線RBL、配線CG、配線WG、および配線WSLの電位変化を示している。
図39の横軸は経過時間(Time)である。
【0403】
図39より、記憶装置950は上記実施の形態などに示した記憶装置と同様の原理でデータの書き込み、読み出し動作が行えることがわかった。これにより、試作した記憶装置900を縦型に作製することが可能であり、さらなる微細化および高集積化が可能であることが示された。
【0404】
本実施例は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
100:記憶装置、110:メモリセル、111:トランジスタ、112:トランジスタ、121:端子、122:端子、123:端子、131:トランジスタ、132:トランジスタ、133:端子、134:端子、200:半導体装置、210:駆動回路、211:周辺回路、212:コントロール回路、215:周辺回路、220:メモリアレイ、221:行デコーダ、222:列デコーダ、223:行ドライバ、224:列ドライバ、225:入力回路、226:出力回路、227:センスアンプ、228:電圧生成回路