(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117820
(43)【公開日】2024-08-29
(54)【発明の名称】ウィンドウフィルム及びウィンドウフィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20240822BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240822BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240822BHJP
C09J 7/29 20180101ALI20240822BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20240822BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B27/18 Z
B32B27/00 M
C09J7/29
G02B5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024101554
(22)【出願日】2024-06-24
(62)【分割の表示】P 2023575378の分割
【原出願日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2022092719
(32)【優先日】2022-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023003358
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023009197
(32)【優先日】2023-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503417464
【氏名又は名称】綱島 敏也
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】崔 大植
(57)【要約】
【課題】ウィンドウフィルム及びウィンドウフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、耐久性と視認性が向上しながらも、熱及び紫外線の遮断率が高いウィンドウフィルム及びウィンドウフィルムの製造方法に関し、本発明は、UV遮断のための添加剤をPETフィルムに添加してUV遮断層を形成して耐久性が高く、反射フィルムの両面にカラーフィルムが接着されて反射フィルムに光が反射されて生じる眩しさによる不快感を低減することができ、ウレタン接着剤を用いてPET層同士が接着されるので弾性が高く、しかも、取り扱い易いウィンドウフィルムの提供を目的とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明PETフィルム(2)と、
透明PETフィルム(2)の上面に分散された酸化スズアンチモン(ATO:Antimony TinOxide)と酸化セシウムタングステン(CTO:Cesuim Tungsten Oxide)のいずれか又は両方が含有される熱遮断添加剤が塗布されて実現される熱遮断ハードコーティング層(1)、
紫外線領域を遮断するためのPETフィルム素材のUV遮断フィルム(4)であって、
前記UV遮断フィルムは、PETチップに紫外線遮断剤が添加されて溶融された後、フィルム状に加工されるものと、
を備えることを特徴とするウィンドウフィルム。
【請求項2】
透明PETフィルム(2)と、
透明PETフィルム(2)の上面に分散された酸化スズアンチモン(ATO:Antimony TinOxide)と酸化セシウムタングステン(CTO:Cesuim Tungsten Oxide)のいずれか又は両方が含有される熱遮断添加剤が塗布されて実現される熱遮断ハードコーティング層(1)、
可視光線領域の一部を遮断するためのものであり、ウレタン素材の接着剤に50nm以下の顔料を分散させて構成されるカラー接着層(3)と、
紫外線領域を遮断するためのPETフィルム素材のUV遮断フィルム(4)であって、
前記UV遮断フィルムは、PETチップに紫外線遮断剤が添加されて溶融された後、フィルム状に加工されるものであって前記カラー接着層(3)の下面に位置するように設けられ、
前記UV遮断フィルムの下面に位置するように設けられ、粘着剤が塗布されるガラス窓に接触される粘着層と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のウィンドウフィルム。
【請求項3】
前記カラー接着層(3)は、
前記透明PETフィルム(2)とUV遮断フィルム(4)との間に介在されていること
を特徴とする請求項2に記載のウィンドウフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンドウフィルム及びウィンドウフィルムの製造方法に係り、さらに詳しくは、耐久性と視認性が向上しながらも、熱及び紫外線の遮断率が高いウィンドウフィルム及びウィンドウフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光線は、大きく、紫外線(380m以下)、可視光線(380~780m)、赤外線(780nm以上)に分けられ、300nm~2,500nmの波長の透過度または反射度を調節する機能を有するものをウィンドウフィ
ルムと称する。
【0003】
従来、ビルや車両、展示用などのいわゆる窓(Window)は、太陽光線を透過させるために透明なガラス板や樹脂板から作製されていた。しかしながら、太陽光線には、上述したように、可視光線の他に、紫外線と赤外線が含まれている。
【0004】
太陽光線に含まれる紫外線に肌が長時間に亘って晒される場合には、日光ヤケドの原因となって、人体に悪影響を及ぼすことが指摘されており、肌の老化、癌の発生などの原因となる。なお、紫外線による包装材の劣化(deterioration)によって中身の変質と室内インテリアの変色の問題が生じることも頻繁に起こる。赤外線は、直射日光による室内の温度の上昇を引き起こして、夏場の冷房効果を低下させるなどの問題により、夏場の冷房コストの高騰の原因となる。なお、可視光線の眩しさによる視野の制限及び目の疲労度の増加の原因にもなる。
【0005】
最近には、このような紫外線、赤外線及び可視光線を含む太陽光線が直接的に室内に照射されることを遮断するために、自動車、建築物などのガラス窓に貼り付けられて紫外線、赤外線及び可視光線に晒されることを防ぐためのウィンドウフィルムといった製品が開発されて実用レベルに至っている。
【0006】
このようなウィンドウフィルムは、それ自体で紫外線、赤外線、可視光線を遮断する機能を行うだけではなく、窓ガラスの機械的な強度を補う機能、窓ガラスが破損される場合にガラス破片の飛散を防ぐ機能、着色フィルムを塗布する場合には室外から室内を覗けないように個人のプライバシーを保護する機能など種々の機能を行う。
【0007】
しかしながら、このようなウィンドウフィルムのうち、従来の反射タイプのフィルムは、フィルムが可視光線を反射することにより、眩しさによって不快感を与えてしまい、施工してから時間が経つにつれて脱変色が生じることにより、ウィンドウフィルムの機能を行うことができないという不都合が生じる。したがって、遮断率が高いながらも、耐久性に優れたウィンドウフィルムへの取り組みが盛んに行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2011-0032677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の如き不都合を解消するために案出されたものであって、本発明の目的は、UV遮断のための添加剤をPETフィルムに添加してUV遮断層を形成して耐久性が高いウィンドウフィルムを提供するところにある。また、反射フィルムの両面にカラー接着層が形成されて反射フィルムに光が反射されて生じる眩しさによる不快感を低減することのできるウィンドウフィルムを提供するところにある。さらに、ウレタン接着剤を用いてPETフィルム同士が接着されるので弾性が高く、しかも、取り扱い易いウィンドウフィルムを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のウィンドウフィルムは、紫外線領域を遮断するためのPETフィルム素材のUV遮断フィルムと、前記UV遮断フィルムの上面に位置するように設けられ、可視光線領域の一部を遮断するためのものであり、特定の色合いによって実現される第1のカラー接着層と、前記第1のカラー接着層の上面に位置するように設けられ、金属スパッター処理が施されて可視光線領域の一部及び熱を遮断し、太陽光の一部を反射するPETフィルム素材の反射フィルムと、前記反射フィルムの上面に位置するように設けられ、可視光線領域の一部を遮断するためのものであり、特定の色合いによって実現される第2のカラー接着層と、前記第2のカラー接着層の上面に位置するように設けられる透明PETフィルムと、前記透明PETフィルムの上面熱遮断添加剤が所定の厚みに塗布されて実現される熱遮断ハードコーティング層と、前記UV遮断フィルムの下面に位置するように設けられ、粘着剤が所定の厚み(高さ)に塗布され、ガラス窓に接触される粘着層と、を備えることを特徴とする。ここで、「上面」とは内側面、「下面」とは外側面と解釈しても良い。
【0011】
また、前記第1のカラー接着層は、前記UV遮断フィルムと前記反射フィル
ムとの間に介在されて前記UV遮断フィルムと前記反射フィルムとが貼り合わせられるようにすることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記第2のカラー接着層は、前記反射フィルムと前記透明PETフ
ィルムとの間に介在されて前記反射フィルムと前記透明PETフィルムとが貼り合わせられるようにすることを特徴とする。
【0013】
さらにまた、前記第1のカラー接着層または前記第2のカラー接着層は、ウレタン素材の接着剤が塗布されて形成されることを特徴とする。
【0014】
熱遮断添加剤が所定の厚みに塗布されて実現される熱遮断ハードコーティング層(1)、前記熱遮断ハードコーティング層(1)の上面に位置するように設けられる透明PETフィルム(2)と可視光線領域の一部を遮断するためのものであり、特定の色合いによって実現されるカラー接着層(3)と紫外線領域を遮断するためのPETフィルム素材のUV遮断フィルム(4)と 前記UV遮断フィルムの下面に位置するように設けられ、粘着剤が所定の高さに塗布され、ガラス窓に接触される粘着層とを備えることを特徴とするウィンドウフィルムを提供する。
【0015】
また、前記カラー接着層(3)は、前記透明PETフィルム(2)とUV遮断フィルム(4)との間に介在されていることを特徴とする。
【0016】
さらにまた、前記UV遮断フィルムは、PETチップに紫外線遮断剤が添加されて溶融された後、フィルム状に加工されることを特徴とする。
【0017】
さらにまた、前記第1のカラー接着層または第2のカラー接着層は、50nm以下の粉末状の顔料が分散されて色合いが実現されることを特徴とする。
【0018】
さらにまた、熱遮断ハードコーティング層は、分散された酸化スズアンチモ
ン(ATO:Antimony Tin Oxide)と酸化セシウムタングステン(CTO:Cesuim Tungsten Oxide)とが予め定められた割合にて混合されて前記透明PETフィルムの上面に塗布されることを特徴とする。ATOとCTOの割合は適宜設定できるものとして、またいずれか一方を使用しても良い。
【0019】
さらにまた、前記ウィンドウフィルムは、巻き取られて保管され、保管するとき、前記粘着層を保護するために前記粘着層の下面に位置するように設けられる離型フィルムをさらに備え、前記離型フィルムは、前記ウィンドウフィルムがガラス窓に貼り付けられるときに剥がし取られることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
上記のような構成による本発明のウィンドウフィルム及びウィンドウフィルムの製造方法によれば、UV遮断のための添加剤をPETフィルムに添加してUV遮断層を形成して耐久性が高いウィンドウフィルムを提供することができる。また、反射フィルムの両面にカラーフィルムが接着されて反射フィルムに光が反射されて生じる眩しさによる不快感を低減できるウィンドウフィルムを提供することができる。さらに、ウレタン接着剤を用いてPETフィルム同士が接着されるので弾性が高く、しかも、取り扱い易いウィンドウフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態(3層構造のもの)によるウィンドウフィルムの構造を示す断面図。
【
図2】本発明の一実施形態(3層構造のもの)によるウィンドウフィルムの拡大断面図。
【
図3】本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの1次半製品の製造方法を示す手順図。
【
図4】本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの2次半製品の製造方法を示す手順図。
【
図5】本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの3次半製品の製造方法を示す手順図。
【
図6】(a)から(c)は、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの1次半製品、2次半製品及び3次半製品の断面図。
【
図7】本発明(2層構造のもの)の一実施形態によるウィンドウフィルムの構造を示す説明図。
【
図8】TSM-10M(3層構造のもの)の分光透過率に関するデータ
【
図9】TSM-30M(3層構造のもの)の分光透過率に関するデータ。
【
図10】TSM-50M(3層構造のもの)の分光透過率に関するデータ
【
図11】本発明ウィンドウフィルム(可視光の透過性のあるもの、(2層構造のもの))の分光透過率に関するデータ。
【
図12】本発明ウィンドウフィルムの分光透過率(可視光の透過性が中程度のもの、(2層構造のもの))に関するデータ。
【
図13】本発明ウィンドウフィルムの分光透過率(可視光の透過性を抑えたもの、(2層構造のもの))に関するデータ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、上記のような本発明の一実施形態(3層構造)について添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの構造を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムは、下部から離型フィルム110と、透明粘着層120と、UV遮断フィルム130と、第1のカラー接着層140と、反射フィルム150と、第2のカラー接着層160と、透明PETフィルム170及び熱遮断ハードコーティング層180がこの順に位置する。
【0024】
上述した順番に位置するウィンドウフィルム100は、ロールタイプに巻き取られて保管され、施工に際して所要分だけカットされて、ガラス窓に貼り付けられる。このとき、ガラス窓には透明粘着層120が接触されて、熱遮断ハードコーティング層180が最も外部に位置するようにウィンドウフィルム100がガラス窓に貼り付けられる。
【0025】
熱遮断ハードコーティング層180は、酸化スズアンチモン(ATO:An
timony Tin Oxide)と酸化セシウムタングステン(CTO:Cesuim Tungsten Oxide)とが混合されてコーティングされたハードコーティング層であり、ATOによる長波長領域の赤外線波長の遮断とCTOによる短波長領域の赤外線波長の遮断とを同時に行うとともに、透明PETフィルム170を保護する機能を行う。
【0026】
このとき、ATO単独で熱遮断ハードコーティング層が形成される場合には、高い熱遮断率を有する製品の設計を行うことができず、CTO単独で熱遮断ハードコーティング層が形成される場合には、熱体感に劣るという不都合がある。
【0027】
また、ATO単独でコーティングされたハードコーティング層とCTO単独でコーティングされたハードコーティング層とが積層されて熱遮断コーティング層が形成される場合には、一つ以上の工数が増えることに伴い、工程が複雑になるという問題が生じる結果、製品を設計し難く、ウィンドウフィルム100の構成要素が増加してしまうという不都合がある。
【0028】
したがって、本発明のウィンドウフィルム100の熱遮断ハードコーティング層180は、ATOとCTOとが混合されてコーティングされたPETフィルムから形成されて上記の不都合が生じることを防ぐことができる。このとき、ATOとCTOとの混合比は、ウィンドウフィルムの用途に応じて手軽に変更できるので、これに何ら限定しないことにする。
【0029】
透明PETフィルム170は、熱遮断ハードコーティング層180の下部に位置し、透明なPETフィルムから形成されることを特徴とする。
【0030】
反射フィルム150は、可視光線を遮断し、太陽光を選択的に反射して外部からプライバシーを保護することができ、可視光線と赤外線の波長を調節する機能がある。本発明の反射フィルム150は、スパッターフィルムであることを特徴とする。
【0031】
従来の蒸着フィルムは、真空中にアルミニウムを加熱して生じたアルミニウム蒸気をPETフィルムに貼り付けたフィルムであるが、白濁現象が生じる虞があり、しかも、視認性が良くないという不都合があった。しかしながら、本発明の反射フィルム150は、真空中にプラズマを生じさせてイオン化したターゲット金属に衝突させて原子が噴出されるようにしてPETフィルムに貼り付ける方式により作製されたスパッターフィルムであり、蒸着フィルムと比べたときに白濁が少なく、視認性が高い他、耐久性が良いという効果がある。
【0032】
また、本発明の反射フィルム150の上面及び下面にはカラー接着層がコーティングされることを特徴とする。説明のしやすさのために、反射フィルム150の上面にコーティングされるカラー接着層を第2のカラー接着層160と称し、反射フィルム150の下面にコーティングされるカラー接着層を第1のカラー接着層140と称する。
【0033】
第1のカラー接着層140と第2のカラー接着層160は、可視光線の遮へい機能及び色合いの実現機能のためのものである。ガラス窓を所望の色合いに呈色させるとともに、反射フィルムから反射される可視光線を遮断して室内や室外にいる人々が反射フィルム150から反射される光によって眩しさを感じてしまうことを防ぐことができる。
【0034】
このとき、第1のカラー接着層140と第2のカラー接着層160の色合いを実現するためにナノ分散顔料が用いられる。従来には染料を用いて色合いを実現していた。染料は、溶剤(水、有機溶剤)に溶けて単分子として分散して粘着剤や接着剤に結合して着色する物質であり、酸化され易い性質があり、しかも、日光に弱いが故に色合いがあせやすいという不都合がある。
【0035】
しかしながら、本発明は、ナノ寸法(50nm以下)の顔料を分散させて色合いが実現される。顔料は、溶剤(水、有機溶剤)に溶けない粉末状の着色剤であり、ナノ寸法の微小な粉末状であるので酸化され難く、日光に強いので脱色がほとんど生じないという効果がある。
【0036】
UV遮断フィルム130は、紫外線領域を400nmまで遮断するための機能性フィルムである。従来にはUV遮断剤を粘着剤や接着剤に添加して用いていたが、これは、耐久性が低いが故にウィンドウフィルム100を施工してから数ヶ月で脱変色が生じてしまうという不都合があり、しかも、UV遮断率が低下してしまうという不都合がある。
【0037】
しかしながら、本発明のUV遮断フィルム130は、PETフィルムに紫外線遮断剤が添加されて作製されることを特徴とする。PETフィルムの作製工程に際してPETチップと紫外線遮断剤入り樹脂チップとを混合してPETフィルムを作製して太陽光線に含まれている紫外線が遮断されるようにし、耐久性が強いというメリットがある。紫外線遮断剤は、By 109、By 99-2などが例示的に挙げられる。
【0038】
このとき、紫外線遮断剤入り樹脂チップは、高温に溶解し易くてPETチップと混合され易い必要がある。混合され易いためには、PETチップと紫外線遮断剤入り樹脂チップとがほとんど同じ形状に形成され、しかも、類似の比重を有するように形成されてPETチップと紫外線遮断剤入り樹脂チップとが均一に混合されてPETフィルムの上にPETチップと紫外線遮断剤入り樹脂チップとが特定の区域に塊状に固まったままで存在せず、規則的に並べられるようにすることが好ましい。
【0039】
したがって、従来の粘着剤や接着剤にUV遮断剤を添加する方式よりも、フィルムにUV遮断機能を与えたフィルム方式の方が耐久性に優れている。
【0040】
透明粘着層120は、基材をガラス窓の表面に接触させる層であり、ガラスなどの基材に接着されるために粘り(タック)のある粘着剤が塗布されている。透明粘着層120は、時間が経ってもベタベタする状態を保つので、フィルムが作製された後にガラス窓に施工することができる。
【0041】
しかしながら、透明粘着層120が開かれた状態で保管される場合、塵埃や異物が透明粘着層120に付着する虞もあるため、透明粘着層120の汚れを防ぐために、透明粘着層120の下面には透明粘着層120を保護するための離型フィルム110が貼り付けられて保管される。
【0042】
離型フィルム110は、透明粘着層120の下面に貼り付けられて透明粘着層120を保護するためのものであり、ウィンドウフィルム100を保管するときには離型フィルム110が貼り付けられた状態で保管されていて、ガラス窓に施工するときに離型フィルム110を剥がし取った後に透明粘着層120がガラス窓に接触されるように施工されることが好ましい。離型フィルム110は、平常時に透明粘着層120と接触しているため、透明粘着層120と反応する化合物が含まれていれば、透明粘着層120に含まれている反応器と反応して粘着性能を低下させる虞があるため、透明粘着層120と反応する化合物が含まれていない必要があり、季節に応じて、離型フィルム110が変形されることを防ぐために耐熱性を有するように形成されなければならない。
【0043】
このとき、ウィンドウフィルム100を構成する各層の層厚さは、熱遮断ハードコーティング層180は2μm~4μmに、透明PETフィルム170は21μm~25μmに、反射フィルム150は21μm~25μmに、第1のカラー接着層140と第2のカラー接着層160は7μm~9μmに、UV遮断フィルム130は23μm~27μmに、透明粘着層120は8μm~10μmに、離型フィルム110は21μm~25μmに形成されることが好ましい。
【0044】
図2は、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの拡大断面図である。本発明のウィンドウフィルム100を構成するPETフィルムは、UV遮断フィルム130と、反射フィルム150及び透明PETフィルム170が積層されてなり、UV遮断フィルム130と反射フィルム150との間には第1のカラー接着層140が介在され、反射フィルム150と透明PETフィルム170との間には第2のカラー接着層160が介在されてUV遮断フィルム130と、第1のカラー接着層140と、反射フィルム150と、第2のカラー接着層160及び透明PETフィルム170がこの順に積層される。
【0045】
本発明の第1のカラー接着層140と第2のカラー接着層160は、ウレタン素材の接着剤が塗布されて形成される。従来には接着剤が用いられず、アクリルタイプの粘着剤を用いて接着層を実現していた。粘着剤は、付箋のように時間が経ってもタック(粘り)を保つものであり、接着剤は、ボンドのように一定の時間が経てばベタベタすることなく硬化されるものを意味する。
【0046】
粘着剤によって接着層を実現する場合、PETフィルムとPETフィルムとが引き離れることが可能であるため、耐久性が低いという不都合がある。したがって、本発明のウィンドウフィルム100は、PETフィルムとPETフィルムとの間のウレタン素材の第1のカラー接着層140及び第2のカラー接着層160により接着層が実現される。
【0047】
ウレタン素材の特性からみて、施工性に優れており、しかも、弾性が高いた
め、ウィンドウフィルム100を施工する過程においてウィンドウフィルム100にシワが付いたりウィンドウフィルム100が折れ曲がったりするなどの不都合を防ぐことができる。
【0048】
図3は、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの1次半製品の製造方法を示す手順図である。
図3に示すように、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの1次半製品の製造方法は、UV遮断フィルム供給ステップ(S100)と、第1のカラー接着層形成ステップ(S110)と、乾燥及び硬化ステップ(S120)と、反射フィルム供給ステップ(S130)と、ラミネートステップ(S140)及び巻き取りステップ(S150)を含む。
【0049】
まず、紫外線を遮断するUV遮断フィルム130が供給されるUV遮断フィ
ルム供給ステップ(S100)が行われ、UV遮断フィルム130の上面に接着層が形成される第1のカラー接着層形成ステップ(S110)が行われる。第1のカラー接着層140は、ウレタン素材の接着剤が塗布されて形成され、太陽光に含まれている可視光線を一部遮断できるとともに、接着層の機能をも行うことができる。
【0050】
次いで、第1のカラー接着層40を乾燥させかつ硬化させる乾燥及び硬化ステップ(S120)が行われ、第1のカラー接着層140の上面に反射フィルム150が供給される反射フィルム供給ステップ(S130)が行われる。反射フィルム150の下面が第1のカラー接着層140に接着されるラミネートステップ(S140)によって1次半製品10が作製され、1次半製品10は巻き取りステップ(S150)を通じて巻き取られる。
【0051】
図4は、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの2次半製品の製造方法を示す手順図である。
図4に示すように、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの2次半製品の製造方法は、透明PETフィルム供給ステップ(S200)と、第2のカラー接着層形成ステップ(S210)と、乾燥及び硬化ステップ(S220)と、1次半製品供給ステップ(S230)と、ラミネートステップ(S240)及び巻き取りステップ(S250)を含む。
【0052】
まず、ベースフィルムの機能をする透明PETフィルム170が供給される透明PETフィルム供給ステップ(S200)が行われ、透明PETフィルム170の下面に接着層が形成される第2のカラー接着層形成ステップ(S210)が行われる。第2のカラー接着層160は、ウレタン素材の接着剤が塗布されて形成され、太陽光に含まれている可視光線を一部遮断できるとともに、接着層の機能をも行うことができる。
【0053】
次いで、第2のカラー接着層160を乾燥させかつ硬化させる乾燥及び硬化ステップ(S220)が行われ、第2のカラー接着層160の下面に1次半製品10が供給される1次半製品供給ステップ(S230)が行われる。1次半製品10の上面が第2のカラー接着層160に接着されるラミネートステップ(S240)によって2次半製品20が作製され、2次半製品20は、巻き取りステップ(S250)を通じて巻き取られる。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの3次半製品の製造方法を示す手順図である。
図5に示すように、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの3次半製品の製造方法は、2次半製品供給ステップ(S300)と、熱遮断ハードコーティングステップ(S310)と、第1の乾燥及び硬化ステップ(S320)と、透明粘着層形成ステップ(S330)と、第2の乾燥及び硬化ステップ(S340)と、離型フィルム供給ステップ(S350)と、ラミネートステップ(S360)及び巻き取りステップ(S370)を含む。
【0055】
まず、2次半製品20が供給される2次半製品供給ステップ(S300)が行われ、透明PETフィルム170の上面に熱遮断ハードコーティング層180が形成される熱遮断ハードコーティングステップ(S310)が行われ、熱遮断ハードコーティング層180が熱風によって乾燥され、かつ、UVによって硬化される第1の乾燥及び硬化ステップ(S320)が行われる。
【0056】
第1の乾燥及び硬化ステップ(S320)後に、UV遮断フィルム130の下面に透明粘着層120が形成される透明粘着層形成ステップ(S330)が行われ、透明粘着層120が乾燥及び硬化される第2の乾燥及び硬化ステップ(S340)が行われる。
【0057】
透明粘着層120を保護するために、透明粘着層120の下面に位置するように離型フィルム110が供給される離型フィルム供給ステップ(S350)が行われ、離型フィルム110が透明粘着層120にラミネートされるラミネートステップ(S360)によって3次半製品30が作製され、3次半製品30は、巻き取りステップ(S370)を通じて巻き取りされる。
【0058】
巻き取られた状態で保管される3次半製品30は、スリッティング装置に供
給されて予め定められた長さにカットされ、ワインディングとリワインディング工程後に包装済みの完製品の形で顧客に出荷される。
【0059】
図6は、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの1次半製品、2次半製品及び3次半製品の断面図である。
図6の(a)に示すように、1次半製品10は、下部からUV遮断フィルム130と、第1のカラー接着層140及び反射フィルム150がこの順に形成される。すなわち、第1のカラー接着層140によってUVと可視光線を遮断する1次半製品10が作製される。
【0060】
図6の(b)に示すように、2次半製品20は、1次半製品10に透明PETフィルム170が積層されるものであり、第2のカラー接着層160が反射フィルム150の上面に塗布され、透明PETフィルム170が第2のカラー接着層160の上面に接着される。
【0061】
したがって、本発明のウィンドウフィルム100は、カラー接着層が接着層を実現するだけではなく、顧客のニーズを満たすウィンドウフィルム100を提供できるようにし、可視光線をも一部遮断することができるという効果がある。
【0062】
図6の(c)に示すように、2次半製品20の透明PETフィルム170の上面には熱遮断ハードコーティング層180が形成されてウィンドウフィルム100の耐久性を高め、UV遮断フィルム130の下面には粘着剤が塗布されて透明粘着層120を形成する。
【0063】
透明粘着層120は、乾燥及び硬化された後、離型フィルム110が透明粘着層120に貼り付けられて透明粘着層120を保護し、ウィンドウフィルム100を窓に施工するときには離型フィルム110が剥がし取られた後、透明粘着層120が窓に接触して貼り付けられるようにする。
【0064】
図7は、本発明の別の実施形態によるウィンドウフィルムの構造(2層構造のもの)を示す説明図である。
図7に示すように、本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムは、下部から離型フィルム(6)と、透明粘着層(5)と、UV遮断フィルム(4)と、カラー接着層(3)と、透明PETフィルム(2)及び熱遮断ハードコーティング層(1)がこの順に位置する。このウィンドウフィルムの使用方法は、上記のウィンドウフィルム(3層構造のもの)と同様である。
【0065】
本発明の一実施形態によるウィンドウフィルム(2層構造のもの)の製造方法を示す。本発明の一実施形態によるウィンドウフィルムの1次半製品の製造方法は、UV遮断フィルム供給ステップ(S100)と、カラー接着層形成ステップ(S110)と、乾燥及び硬化ステップ(S120)と、ラミネートステップ(S140)及び巻き取りステップ(S150)を含む。
【0066】
まず、紫外線を遮断するUV遮断フィルム(4)が供給されるUV遮断フィルム供給ステップ(S100)が行われ、UV遮断フィルム(4)の上面に接着層が形成されるカラー接着層形成ステップ(S110)が行われる。カラー接着層(3)は、ウレタン素材の接着剤が塗布されて形成され、太陽光に含まれている可視光線を一部遮断できるとともに、接着層の機能をも行うことができる。
【0067】
次に、本発明のウィンドウフィルム100(3層構造のもの)に関する遮光効果などを示す。ウィンドウフィルム100は、可視光線の透過を抑制・遮断する程度をそれぞれ変えた3種類(TSM-10M, TSM-30M, TSM-50M)を用意した。可視光線の透過を抑制する程度は、着色剤の使用する含有量(濃度)で調整した。
【0068】
着色剤は、フタロシアニン (Phthalocyanine)、キナクリドン (Quinacridone)、イソイ ンドリン (Isoindoline)の 少なくとも1つをから選択して使用した。着色剤は、第1の カラー接着層又は第2のカラー接着層の少なくとも1つに含有させた。
【0069】
図8は、TSM-10M(最も可視光を透過させないもの、3層構造のもの)の分光透過率に関するデータである。250nm~400nmの紫外線領域は100%抑制していることが示される。約450nm~約800nmの可視光領域は10%の透過率を示しており、TSM-10Mの特長である可視光領域の透過率を実現している。
【0070】
そして、約800nm~2000nmの広範囲な赤外線領域において、約2%から約10%の透過率を示している。すなわち、約90%~約98%の抑制・遮断する効果を示している。この赤外線領域の短い波長である約800nmから広範囲な赤外線領域の抑制・遮断する効果により赤外線の影響や熱遮断の効果を奏している。
【0071】
図9は、TSM-30M(中程度に可視光を透過されるもの、3層構造のもの)の分光透過率に関するデータである。250nm~400nmの紫外線領域は100%抑制していることが示される。約450nm~約800nmの可視光領域は30%の透過率を示しており、TSM-30Mの特長である可視光領域の透過率を実現している。
【0072】
そして、約800nm~2000nmの広範囲な赤外線領域において、約2%から約10%の透過率を示している。すなわち、約90%~約98%の抑制・遮断する効果を示している。この赤外線領域の短い波長である約800nmから広範囲な赤外線領域の抑制・遮断する効果により赤外線の影響や熱遮断の効果を奏している。
【0073】
図10は、TSM-50M(最も可視光を透過されるもの、3層構造のもの)の分光透過率に関するデータである。250nm~400nmの紫外線領域は100%抑制していることが示される。約450nm~約800nmの可視光領域は50%の透過率を示しており、TSM-50Mの特長である可視光領域の透過率を実現している。
【0074】
そして、約800nm~2000nmの広範囲な赤外線領域において、約2%から約22%の透過率を示している。すなわち、約78%~約98%の抑制・遮断する効果を示している。この赤外線領域の短い波長である約800nmから広範囲な赤外線領域の抑制・遮断する効果により赤外線の影響や熱遮断の効果を奏している。
【0075】
次に、本発明に係る2層構造のウィンドウフィルムに関する遮光効果などを示す。着色剤は、フタロシアニン (Phthalocyanine)、キナクリドン (Quinacridone)、イソインドリン (Isoindoline)の 少なくとも1つを選択して使用した。着色剤は、カラー接着層(3)に含有させた。ウィンドウフィルは、可視光線の透過を抑制・遮断する程度をそれぞれ変えた3種類を用意した。可視光線の透過を抑制する程度は、着色剤の使用する含有量(濃度)で調整した。
【0076】
図11は、本発明のウィンドウフィルム(最も可視光を透過されるもの、2層
構造のもの)の分光透過率に関するデータである。250nm~400nmの紫外線領
域は100%抑制していることが示される。約450nm~約800nmの可視光領域は約80%の透過率を示している。
【0077】
そして、約800nm~2000nmの広範囲な赤外線領域において、約5%から約30%の透過率を示している。すなわち、約70%~約95%の抑制・遮断する効果を示している。この赤外線領域の短い波長である約800nmから広範囲な赤外線領域の抑制・遮断する効果により赤外線の影響や熱遮断の効果を奏している。
【0078】
図12は、本発明のウィンドウフィルム(中程度に可視光を透過されるもの、2層構造のもの)の分光透過率に関するデータである。250nm~400nmの紫外線領域は100%抑制していることが示される。約450nm~約800nmの可視光領域は約30%の透過率を示している。
【0079】
そして、約800nm~2000nmの広範囲な赤外線領域において、約5%から約20%の透過率を示している。すなわち、約80%~約95%の抑制・遮断する効果を示している。この赤外線領域の短い波長である約800nmから広範囲な赤外線領域の抑制・遮断する効果により赤外線の影響や熱遮断の効果を奏している。
【0080】
図13は、本発明のウィンドウフィルム(可視光の透過を抑えたもの、2層構造のもの)の分光透過率に関するデータである。250nm~400nmの紫外線領域は100%抑制していることが示される。約450nm~約800nmの可視光領域は約2
0%の透過率を示している。
【0081】
本発明の上記の実施形態に限定して技術的思想を解釈してはならない。適用範囲が様々であるということはいうまでもなく、特許請求の範囲において請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当業者のレベルで種々の変形実施を行うことができる。よって、このような改良及び変更は、当業者にとって自明である限り、本発明の保護範囲に属する。
符号の説明
【0082】
10 1次半製品
20 2次半製品
30 3次半製品
100 ウィンドウフィルム
110 離型フィルム
120 透明粘着層
130 UV遮断フィルム
140 第1のカラー接着層
150 反射フィルム
160 第2のカラー接着層
170 透明PETフィルム
180 熱遮断ハードコーティング層