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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117864
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】自動車用ウェザーストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/16 20160101AFI20240823BHJP
   B60J 10/246 20160101ALI20240823BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20240823BHJP
   B60J 10/84 20160101ALI20240823BHJP
【FI】
B60J10/16
B60J10/246
B60J10/27
B60J10/84
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023922
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】藤嶋 幸子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泰央
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA03
3D201AA14
3D201BA01
3D201CA13
3D201DA09
3D201DA14
3D201DA23
3D201DA49
3D201EA02B
3D201EA04D
3D201FA05
(57)【要約】
【課題】突起部によりウエルト部の連接部周囲の剛性を高めることによって、折り曲げ時における中空シール部の先端部の潰れ変形を抑制し得る自動車用ウェザーストリップを提供する。
【解決手段】一対の脚部14,15同士を連接部16で接続することによって断面略U字状に形成され、内部に芯材17が埋設されたウエルト部12と、連接部の上面に一体に設けられた中空シール部13と、を備え、ウエルト部をトランクルーム開口部01の周縁に有するフランジ部04に嵌合保持すると共に、中空シール部にトランクリッド02を圧接させてトランクルーム開口部をシールする。連接部の上面に、剛性が少なくとも連接部と同じかあるいはそれよりも高い突起部を設けて、折り曲げた部位に取り付けた際における中空シール部の先端部13aの潰れ変形を抑制した。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室側と車外側の一対の脚部同士を連接部で接続することによって断面略U字状に形成され、内部に芯材が埋設されたウエルト部と、前記連接部の外面に結合部によって一体に設けられた中空シール部と、を備え、
前記ウエルト部を車体開口部の周縁に有するフランジ部に嵌合保持すると共に、前記中空シール部に前記車体開口部を開閉する開閉体を圧接させることにより前記車体開口部と前記開閉体との間をシールする自動車用ウェザーストリップであって、
前記連接部の外面の前記結合部を避けた位置に、剛性が前記連接部と同じか、あるいはそれよりも高い突起部を設けたことを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項2】
請求項1に記載の自動車用ウェザーストリップであって、
前記突起部は、前記連接部の外面のうち、前記ウエルト部が前記車体開口部のフランジ部の車体前後方向あるいは車体幅方向に沿って折り曲げられた部位にのみ設けられていることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項3】
請求項1に記載の自動車用ウェザーストリップであって、
前記突起部は、前記ウエルト部と同じ材料で形成されているか、前記ウエルト部よりも剛性の高い硬質ゴムあるいは樹脂材によって形成されていることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項4】
請求項1に記載の自動車用ウェザーストリップであって、
前記中空シール部の結合部は、前記連接部の外面上に2つ有し、
前記突起部は、前記連接部の前記2つの結合部の間の中央に配置されていることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項5】
請求項4に記載の自動車用ウェザーストリップであって、
前記突起部は、前記連接部の前記中空シール部の2つの結合部のそれぞれの外側に2つ設けられていることを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【請求項6】
請求項4に記載の自動車用ウェザーストリップであって、
前記連接部の外面に、前記2つの結合部がそれぞれ結合される2つの凸部を有することを特徴とする自動車用ウェザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側の開口部となるトランクルーム開口部、またはバックドア(テールゲート)開口部に装着されて、開閉体であるトランクリッド、またはバックドア等に弾接して車室内外をシールする自動車用ウェザーストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のトランクルーム開口部またはバックドア開口部における従来の自動車用ウェザーストリップ(以下、単にウェザーストリップと称する。)としては、本出願人が先に出願した特許文献1に記載したものが知られている。
【0003】
図1は本発明と従来のウェザーストリップが取り付けられた自動車のトランクルーム開口部を示す斜視図、図2は従来のウェザーストリップを示し、図1のA部箇所の断面図である。
【0004】
この公報記載のウェザーストリップ1は、図1及び図2に示すように、例えばトランクリッド02によって開閉されるトランクルーム開口部01の周縁に取り付けられており、車内側と車外側の一対の脚部3a、3bを該両者に跨る連接部4で接続することで断面略U字状に形成されたウエルト部2と、前記連接部4の外面に一体に設けられた中空シール部5と、前記ウエルト部2の各脚部3a、3bの下部外面に一体に設けられた一対のシールリップ6a、6bと、を備えている。
【0005】
前記ウエルト部2は、図2に示すように、内部に例えば金属材からなる芯材7が埋設されていると共に、各脚部3a、3bの対向する内面に、トランクルーム開口部01の周縁に有する車体パネル03のフランジ部04の両側面に弾接して嵌合保持される4つの保持リップ8a、8b、9a、9bが設けられている。
【0006】
前記中空シール部5は、断面ほぼ菱形円形状に形成され、固定端が断面円形状の両端末にある一対の結合部5b、5bによって連接部4の上面に一体に結合されていると共に、先端部5aの外面に外方へ傾斜状に突出した突部5cが設けられている。
【0007】
そして、ウェザーストリップ1は、ウエルト部2がトランクルーム開口部01のフランジ部04に各保持リップ7a、7b、8a、8bを介して嵌合保持して取り付けられると共に、トランクリッド02を閉じた際に、前記中空シール部5の先端部5aが弾接により潰れ変形して所定の反力(面圧)によりトランクルーム開口部01の周縁とトランクリッド02との間をシールするようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5984510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記トランクルーム開口部01の周縁に有するフランジ部04は、図1に示すように、トランクルームの造形上、図中A部やB部の部位が車両前後方向や車両幅方向へほぼ90°の曲率半径で縦方向あるいは横方向に湾曲状に折り曲げられている。したがって、前記ウェザーストリップ1のウエルト部2もフランジ部04の前記折り曲げ形状に沿って折り曲げられながら取り付けられるようになっている。このとき、ウエルト部2は、前記折り曲げ部位に対する追従性が悪くなって前記中空シール部5の先端部5aが図2の2点鎖線で示すようにウエルト部2側へ潰れ変形するおそれがある。なお、図1のA部やB部は複数個所あるが図面上では一箇所のみを示している。
【0010】
図5(a)は従来のウェザーストリップの中立軸の位置を示す概略図である。
【0011】
すなわち、従来のウェザーストリップ1は、図5(a)に示すように、フランジ部04の折り曲げ形状に沿って中空シール部5を湾曲状に折り曲げると、この折り曲げに伴って曲げモーメントが発生したときに断面内に応力度が生じない、いわゆる中立軸Pがウエルト部2の下部側に位置している。この中立軸Pが、ウエルト部2の下部側に位置する原因としては、ウエルト部2の中空シール部5が設けられた連接部4の剛性が低いことに起因しているものと考えられる。
【0012】
このため、ウェザーストリップ1のウエルト部2を、例えばA部の形状に沿って折り曲げると、ウエルト部2側と中空シール部5側の周長差が大きくなって、中空シール部5の先端部5aに対して中立軸P方向への引っ張り力が作用する。これによって、中空シール部5の先端部5aが、図2の2点鎖線で示すように、中立軸Pへ近づくように変形してウエルト部2の連接部4方向へ潰れ変形し易くなる。
【0013】
この結果、トランクリッド02を閉じた際において、このトランクリッド02に対する中空シール部5の面圧が十分に得られなくなる。この結果、トランクルーム開口部01の周縁とトランクリッド02との間のシール性能が低下して水密性を十分に確保できないおそれがある。
【0014】
本発明は、前記従来の自動車用ウェザーストリップの技術的課題に鑑みて案出されたもので、突起部によりウエルト部の連接部の剛性を高めることによって、ウェザーストリップの中立軸を、ウエルト部の中空シール部方向の上側へ移動させて、折り曲げ時における中空シール部の先端部の潰れ変形を抑制し得る自動車用ウェザーストリップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願請求項1に記載の発明は、車室側と車外側の一対の脚部同士を連接部で接続することによって断面略U字状に形成され、内部に芯材が埋設されたウエルト部と、前記連接部の外面に結合部によって一体に設けられた中空シール部と、を備え、前記ウエルト部を車体開口部の周縁に有するフランジ部に嵌合保持すると共に、前記中空シール部に前記車体開口部を開閉する開閉体を圧接させることにより前記車体開口部と前記開閉体との間をシールする自動車用ウェザーストリップであって、
前記連接部の外面の前記結合部を避けた位置に、剛性が前記連接部と同じか、あるいはそれよりも高い突起部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本願請求項1に記載の発明によれば、折り曲げ部位における中空シール部の先端部の潰れ変形を抑えて中空シール部の面圧を高め、これによって、車体開口部と開閉体との間のシール性能の低下を抑制して水密性を十分に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明と従来のウェザーストリップが取り付けられた自動車トランクルーム開口部を示す斜視図である。
図2】従来のウェザーストリップを示し、図1のA部箇所の断面図である。
図3】本発明の第1実施形態のウェザーストリップを示し、図1のA部箇所を断面して示す斜視図である。
図4】本実施形態のウェザーストリップの自由状態における断面図である。
図5】(a)は従来のウェザーストリップの中立軸の位置を示す概略図、(b)は本発明の実施形態のウェザーストリップの中立軸の位置を示す概略図である。
図6】従来のウェザーストリップの中立軸の位置と本実施形態のウェザーストリップの中立軸の位置を実験によって測定したものを示し、図2におけるウェザーストリップの各測定位置での実際の長さを示す比較表である。
図7】本発明の第2実施形態のウェザーストリップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る自動車用ウェザーストリップの実施形態を図面に基づいて説明する。このウェザーストリップは、前記従来のものと同じく、車体開口部としてトランクルーム開口部の周縁に取り付けられるものに適用されている。
【0019】
図3は本発明の第1実施形態のウェザーストリップを示し、図1のA部の折り曲げ箇所を断面して示す斜視図、図4図3に示す本実施形態のウェザーストリップの断面図である。
【0020】
前述したように、図1に示す車体側のトランクルーム開口部01の周囲には、図3の2点鎖線で示すように、車体パネル03のフランジ部04が起立または直立形成されていて、このフランジ部04には、ウェザーストリップ11が取り付けられている。なお、図3では、フランジ部04の右側が車外側、左側が車内側になっている。
【0021】
ウェザーストリップ11は、取付基部として機能する断面略U字状のウエルト部12と、そのウエルト部12と一体に形成された中空シール部13と、を備えている。その中空シール部13に対して、開閉体である前記トランクリッド02が弾接することでトランクルームの内外がシールされることになる。
【0022】
ウエルト部12は、全体がソリッドゴム材によって成形されて、車内側の脚部14と車外側の脚部15と、該一対の脚部14,15同士をその両者に跨って接続する上側の連接部16と、を有し、これらをもって断面ほぼU字状に形成されている。また、ウエルト部12は、内部に金属製あるいは樹脂製の相似形の所定の芯材17が長手方向に沿って埋設されている。ウエルト部12の各脚部14,15の対向する内側面には、それぞれ一対の保持リップ18,19が突出形成されており、ウエルト部12をフランジ部04に差し込むことによって、それらの保持リップ18,19が撓みつつフランジ部04を両面から挟持し、これによって、断面略U字状のウエルト部12がフランジ部04に嵌合保持されるようになっている。
【0023】
前記連接部16は、ほぼ平坦な板状に形成されて、車内外の両肩に一対の凸部16a、16aがウエルト部12の長手方向に沿って設けられている。
【0024】
中空シール部13は、スポンジゴム材によって断面ほぼ菱形円形状に形成され、断面円形状の両端末にある固定端である一対の結合部13b、13bが連接部16の上面に一体に結合されていると共に、この両結合部13b、13bと径方向で反対側上方に位置する先端部13aの外面に外方へ傾斜状に突出した突部13cが設けられている。前記各結合部13b、13bは、連接部16の上面に有する前記一対の凸部16a、16aの上面に結合されている。
【0025】
また、図3及び図4に示すように、ウエルト部12の板状の連接部16の下面(内面)には、例えばブチルスポンジゴム材からなるハイシール部20が接着固定されている。このハイシール部20は、連接部16の幅方向に長い横断面略長円状に形成されていると共に、連接部16の内面幅方向のほぼ中央位置に長手方向に沿って延設されている。また、ハイシール部20は、その肉厚が比較的大きく形成されて、ウエルト部12がフランジ部04に差し込んで嵌合させた際に、フランジ部04の先端部04aが内部に差し込まれるようになっている。これによって、車内外のシール機能をさらに向上させるようになっている。なお、ハイシール部20は、他のスポンジゴム材によって形成することも可能である。
【0026】
また、前記ウエルト部12における車内側の脚部14の外側面の下端部には、カバーリップ21が突設されている。このカバーリップ21は、例えば車内側に装着されるフィニッシャー等の図示外のトリム部品の端末部を隠蔽または連続性を持たせる際に使用される。
【0027】
ウエルト部12における車外側の脚部15の外側面の下端部には、シールリップ22が一体に形成されている。このシールリップ22は、先端面22aがフランジ部04への正規の取付状態において、フランジ部04以外の車体パネル03の平坦なパネル面に当接してシール機能を発揮している。なお、前記カバーリップ21とシールリップ22は、スポンジゴム材によって成形されている。
【0028】
そして、図3及び図4に示すように、ウエルト部12は、連接部16の上面中央位置、つまり、2つの凸部16a、16aの間でかつ中空シール部13の両結合部13b、13bの間の上面中央位置に突起部23が一体に設けられている。この突起部23は、ウェザーストリップ11を押出成形によって成形する際にウエルト部12と同時に成形されるもので、ウエルト部12の材料と同じくソリッドゴム材によって形成されている。また、突起部23は、横断面ほぼ台形状に形成されて、連接部16の上面から先端面23aまでの高さHが前記両凸部16a、16aよりも高く形成されていると共に、その長手方向の形成範囲は連接部16の長手方向の全体ではなく、前述した図1のA部やB部の湾曲状に折り曲げられた部分のみだけとなっている。
〔本実施形態の作用効果〕
以下、本実施形態に係るウェザーストリップ11の作用効果について説明する。
【0029】
図5(b)は本発明の実施形態のウェザーストリップの中立軸の位置を示す概略図である。
【0030】
このウェザーストリップ11は、連接部16が突起部23によって剛性が高くなっていることから、図1に示すトランクルーム開口部01の車体パネル03のフランジ部04にウエルト部12を介して取り付けた際に、湾曲状に折り曲げられた例えばA部では、ウェザーストリップ11の中立軸P1が、図5(b)に示すように、前記従来のウェザーストリップ1の中立軸P(図5(a)参照)よりも高い位置になる。これによって、ウェザーストリップ11をフランジ部04に取り付けた際におけるA部での中空シール部13の先端部13aの過度な潰れ変形が抑制される。
【0031】
図6は本願の発明者が、従来のウェザーストリップの中立軸の位置と本実施形態のウェザーストリップの中立軸の位置を実験によって測定したものを示し、図2のウェザーストリップの各測定位置での実際の長さを示す比較表である。
【0032】
この実験では、サンプルとして従来のウェザーストリップ1と同じものと、突起部23を有する本実施形態のウェザーストリップ11と同じもの2つを用意し、それぞれの長手方向の基準長さを150mmに設定した。また、これら各ウェザーストリップ1,11を縦曲げ治具に取り付けて前記フランジ部04のA部と同じ曲率半径(ほぼ90°の角度)で湾曲状に折り曲げた。
【0033】
測定位置としては、図2に記載された従来のウェザーストリップ1を用いた複数の黒点で示せば、ウェザーストリップ1、11の中空シール部5,13の先端部5a、13aの突部5c、13cの位置(1)と、中空シール部5、13のウエルト部2,12に対する結合位置(2)と、ウエルト部2、12の上下方向のほぼ中央位置(3)と、ウエルト部2,12の下端部の位置(4)の4箇所で長さを測定した。
【0034】
この実験によれば、図6に示すように、(1)の測定位置では、従来のものでは173mmの伸びを示したが、本実施形態のものでは169mmとなり、伸び量は従来のものよりも本実施形態のものの方が約4mm程度小さくなっている。
【0035】
(2)の測定位置では、従来のものは160mm、本実施形態のものは159mmとなり、伸び量は従来のものよりも本実施形態のものの方が約1mm程度小さくなっている。
【0036】
(3)の測定位置では、従来のものは154mm、本実施形態のものは150mmとなり、この位置でも伸び量は従来のものよりも本実施形態のものの方が約3mm程度小さくなっている。
【0037】
さらに(4)の測定位置では、従来のものは150mm、本実施形態のものは145mmとなり、この位置でも伸び量は従来のものよりも本実施形態のものの方が約5mm程度小さくなっている。
【0038】
このように、いずれの測定位置(1)~(4)でも、伸び量は従来のウェザーストリップ1よりも本実施形態のウェザーストリップ11の方が小さくなることが判明した。
【0039】
これは、従来のウェザーストリップ1の中立軸Pの位置が測定位置(4)となり、本実施形態のウェザーストリップ11の中立軸P1の位置が(4)よりも中空シール部13寄りの高い測定位置(3)になっているからであると考えられる。本実施形態のウェザーストリップ11の中立軸P1が高くなった理由は、突起部23によって、中空シール部13の結合箇所である連接部16の剛性が高くなったからである。
【0040】
したがって、本実施形態では、ウェザーストリップ11をフランジ部04に取り付けた際における図1に示すA部での中空シール部13の先端部13aの潰れ変形量は、図4の2点鎖線で示すように、図2の2点鎖線で示す従来の中空シール部5の先端部5aの潰れ変形量に比較して十分に抑制されている。
【0041】
この結果、トランクリッド開口部01をトランクリッド02で閉じた際に、当該トランクリッド02に対する中空シール部13の先端部13aの面圧が十分に高くなることから、トランクルーム開口部01の周縁とトランクリッド02との間のシール性能の低下を抑制でき、水密性を十分に確保することができる。
【0042】
また、本実施形態では、連接部16の上面に設けられた2つの凸部16a、16aが、突起部23と共に連接部16の剛性向上に貢献することから、前記A部での折り曲げ時における中空シール部13の先端部13aの潰れ変形をさらに抑制することが可能になる。
【0043】
さらに、本実施形態では、突起部23の長手方向の形成位置が、ウェザーストリップ11の長手方向の全体ではなく、A部やB部のウェザーストリップ11の折り曲げ箇所だけであるから、材料コストや製造コストの上昇を抑制できる。
〔第2実施形態〕
図7は本発明に係るウェザーストリップの第2実施形態を示し、ウエルト部12の連接部16の車内外側の両肩外面に一対の突起部24,25が一体に設けられている。
【0044】
この両突起部24,25は、ウエルト部12と同じソリッドゴム材によって成形されて、それぞれ横断面ほぼ台形状に形成されていると共に、長手方向の形成領域が第1実施形態のものと同じく図1に示すA部やB部の折り曲げ箇所のみでウェザーストリップ11の長手方向全体には形成されていない。
【0045】
また、両突起部24、25は、連接部16の両肩上面から各先端面24a、25aまでの高さHが同じになっていると共に、連接部16の各凸部16a、16aの高さよりも高く設定されている。また、両突起部24,25は、各内側面24b、25bが中空シール部13の結合部13b、13b付近の各外面と微小隙間を介して近接状態に対向配置されている。
【0046】
したがって、この実施形態によれば、ウエルト部12の連接部16が両突起部24,25によって剛性が高くなることから、第1実施形態と同じくウェザーストリップ11を図1の例えばA部の折り曲げ部に沿って折り曲げて取り付けた際に、中立軸P1がウエルト部12の中空シール部13寄りの高い位置になる。このため、中空シール部13の先端部13aの潰れ変形が十分に抑制される。
【0047】
この結果、トランクリッド02を閉じた際に、当該トランクリッド02に対する中空シール部13の先端部13aの面圧が十分に高くなって、トランクルーム開口部01の周縁とトランクリッド02との間のシール性能の低下を抑制できる。
【0048】
特に、本実施形態では、ウェザーストリップ11を、図1のA部あるいはB部の折り曲げ部位に沿って取り付けた際に、中空シール部13の結合部13b、13bの各外面が両突起部24,25の各内側面24b,25bに当接して支持されることから、連接部16の剛性化と相俟って中空シール部13の先端部13aの潰れ変形をさらに抑制することが可能になる。
【0049】
本発明は、前記第1、第2実施形態の構成に限定されるものではなく、ウェザーストリップ11の適用箇所としては、前記トランクルーム開口部01の周縁以外に、バックドア開口部の周縁などにも適用可能である。
【0050】
また、突起部23~25は、形状や大きさ、高さなどをウェザーストリップ11の取り付け箇所や仕様などによってさらに変更することも可能である。また、突起部23~25の材質は、各実施形態ではウエルト部12のソリッドゴム材と同じになっているが、別途、他の硬質ゴム材や硬質樹脂材などを用いることも可能である。
【0051】
さらに、例えば中空シール部13やシカバーリップ21,シールリップ22などをスポンジゴム材以外のゴムあるいは樹脂材によって形成することも可能である。
【符号の説明】
【0052】
01…トランクルーム開口部(車体開口部)
02…トランクリッド(開閉体)
03…車体パネル
04…フランジ部
11…ウェザーストリップ
12…ウエルト部
13…中空シール部
13a…先端部
13b・13b…結合部
14…車内側の脚部
15…車外側の脚部
16…連接部
16a・16a…凸部
17…芯材
18・19…保持リップ
23・24・25…突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7