(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117869
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】電子部品ユニットおよびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20240823BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240823BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240823BHJP
H01B 7/40 20060101ALI20240823BHJP
H01R 13/621 20060101ALI20240823BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20240823BHJP
B60R 16/02 20060101ALN20240823BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K5/02 V
H01B7/00 301
H01B7/00 306
H01B7/40 307Z
H01R13/621
H01R13/631
B60R16/02 610Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023930
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 一剛
【テーマコード(参考)】
4E360
5E021
5G309
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB18
4E360BA01
4E360BD02
4E360EA03
4E360EA24
4E360EA25
4E360EA28
4E360EC05
4E360ED02
4E360ED03
4E360ED14
4E360ED28
4E360ED29
4E360GA07
4E360GA08
4E360GA13
4E360GA46
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
5E021FA04
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FB20
5E021FB21
5E021FC31
5E021HA07
5E021HC19
5E021KA03
5G309AA09
5G309FA05
5G309GA01
5G361BA01
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気接続箱と接続ユニットとの接続作業の作業性をより高めることのできる電子部品ユニットおよびワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】電子部品ユニットは、電気接続箱20(一方)に設けられ軸線方向Xに沿って突出した突出部31と、接続ユニット10(他方)に設けられ軸線方向Xの一端が開放され突出部31が挿入される挿入空間部32fが設けられたポケット部32と、を有した第1位置決め部30と、ポケット部32の内面に設けられ相互に嵌合可能である凸部41aおよび凹部42aの一方によって形成されるポケット部側嵌合部41と、突出部31の外面に設けられ凸部41aおよび凹部42aの他方によって形成される突出部側嵌合部42と、を有し、ポケット部32におけるポケット部側嵌合部41の周縁部に当該ポケット部側嵌合部41を板バネ状に撓ませるための切欠部43が設けられた第2位置決め部40と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する配索材の端末に設けられるコネクタを有した接続ユニットと、
前記コネクタと電気的かつ機械的に接続される相手側コネクタを有した電気接続箱と、
前記接続ユニットおよび前記電気接続箱のうち一方に設けられ前記配索材の軸線方向に沿って突出しかつ前記軸線方向と交差した締結方向にボルトが締結される第1貫通孔が設けられた突出部と、前記接続ユニットおよび前記電気接続箱のうち他方に設けられ前記軸線方向の一端が開放され前記突出部が挿入される挿入空間部および当該挿入空間部における前記締結方向の一方側の上壁および前記締結方向の他方側の下壁に一対で設けられ前記第1貫通孔と前記締結方向に並んで前記ボルトが挿入される第2貫通孔が設けられたポケット部と、を有した第1位置決め部と、
前記ポケット部の内面に設けられ相互に嵌合可能である凸部および凹部の一方によって形成されるポケット部側嵌合部と、前記突出部の外面に設けられ前記凸部および前記凹部の他方によって形成される突出部側嵌合部と、を有し、前記ポケット部における前記ポケット部側嵌合部の周縁部に当該ポケット部側嵌合部を板バネ状に撓ませるための切欠部が設けられた第2位置決め部と、
を備えた、電子部品ユニット。
【請求項2】
前記第1位置決め部および前記第2位置決め部は、前記コネクタおよび前記相手側コネクタを挟むように前記締結方向から見て前記軸線方向と交差した幅方向の両側に一対で設けられる、
請求項1に記載の電子部品ユニット。
【請求項3】
前記ポケット部側嵌合部と前記切欠部とは、前記ポケット部における前記幅方向の一方側で前記上壁と前記下壁との間に渡って延びた側壁に設けられ、
前記突出部側嵌合部は、前記突出部における前記側壁と前記幅方向に対向する側面に設けられる、
請求項2に記載の電子部品ユニット。
【請求項4】
前記凸部および前記凹部は、前記締結方向から見た場合に円弧状に構成される、
請求項3に記載の電子部品ユニット。
【請求項5】
前記ポケット部の前記挿入空間部の開放端部には、前記軸線方向の一方側に向かうにつれて少なくとも前記幅方向の両側に広がるように傾斜したテーパ面が設けられる、
請求項2に記載の電子部品ユニット。
【請求項6】
導電性を有する配索材と、
前記配索材の端末に設けられるコネクタを有した接続ユニットと、
前記コネクタと電気的かつ機械的に接続される相手側コネクタを有した電気接続箱と、
前記接続ユニットおよび前記電気接続箱のうち一方に設けられ前記配索材の軸線方向に沿って突出しかつ前記軸線方向と交差した締結方向にボルトが締結される第1貫通孔が設けられた突出部と、前記接続ユニットおよび前記電気接続箱のうち他方に設けられ前記軸線方向の一端が開放され前記突出部が挿入される挿入空間部および当該挿入空間部における前記締結方向の一方側の上壁および前記締結方向の他方側の下壁に一対で設けられ前記第1貫通孔と前記締結方向に並んで前記ボルトが挿入される第2貫通孔が設けられたポケット部と、を有した第1位置決め部と、
前記ポケット部の内面に設けられ相互に嵌合可能である凸部および凹部の一方によって形成されるポケット部側嵌合部と、前記突出部の外面に設けられ前記凸部および前記凹部の他方によって形成される突出部側嵌合部と、を有し、前記ポケット部における前記ポケット部側嵌合部の周縁部に当該ポケット部側嵌合部を板バネ状に撓ませるための切欠部が設けられた第2位置決め部と、
を備えた、ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品ユニットおよびワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品ユニットに関する技術として、例えば、特許文献1には、導電性を有する配索材の端末に設けられる端子を有した接続ユニットと、接続ユニットの端子とボルトを介して電気的かつ機械的に接続される接続端子を有した電気接続箱と、を備えた電子部品ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に記載の電子部品ユニットでは、例えば、電気接続箱と接続ユニットとの接続作業の作業性向上の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、接続作業の作業性をより高めることのできる電子部品ユニットおよびワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品ユニットは、導電性を有する配索材の端末に設けられるコネクタを有した接続ユニットと、前記コネクタと電気的かつ機械的に接続される相手側コネクタを有した電気接続箱と、前記接続ユニットおよび前記電気接続箱のうち一方に設けられ前記配索材の軸線方向に沿って突出しかつ前記軸線方向と交差した締結方向にボルトが締結される第1貫通孔が設けられた突出部と、前記接続ユニットおよび前記電気接続箱のうち他方に設けられ前記軸線方向の一端が開放され前記突出部が挿入される挿入空間部および当該挿入空間部における前記締結方向の一方側の上壁および前記締結方向の他方側の下壁に一対で設けられ前記第1貫通孔と前記締結方向に並んで前記ボルトが挿入される第2貫通孔が設けられたポケット部と、を有した第1位置決め部と、前記ポケット部の内面に設けられ相互に嵌合可能である凸部および凹部の一方によって形成されるポケット部側嵌合部と、前記突出部の外面に設けられ前記凸部および前記凹部の他方によって形成される突出部側嵌合部と、を有し、前記ポケット部における前記ポケット部側嵌合部の周縁部に当該ポケット部側嵌合部を板バネ状に撓ませるための切欠部が設けられた第2位置決め部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子部品ユニットおよびワイヤハーネスは、電気接続箱と接続ユニットとの接続作業時に、第1位置決め部の突出部をポケット部の挿入空間部に挿入することによって接続ユニットのコネクタと電気接続箱の相手側コネクタとの位置合わせを容易に行うことができる。また、このとき、第2位置決め部のポケット部側嵌合部を板バネ状に撓ませながら突出部側嵌合部に篏合することによって突出部の第1貫通孔とポケット部の第2貫通孔との位置合わせを行いつつ、接続ユニットを電気接続箱に対して仮固定することができる。この結果、電子部品ユニットおよびワイヤハーネスは、電気接続箱と接続ユニットとの接続作業の作業性をより高めることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスに適用される電子部品ユニットの例示的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るワイヤハーネスに適用される電子部品ユニットの例示的な斜視図であって、
図1とは異なる角度から見た図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るワイヤハーネスに適用される電子部品ユニットの第1位置決め部および第2位置決め部の例示的な斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るワイヤハーネスに適用される電子部品ユニットの第1位置決め部および第2位置決め部の例示的な断面図であって、挿入完了前の状態を示した図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るワイヤハーネスに適用される電子部品ユニットの第1位置決め部および第2位置決め部の例示的な断面図であって、挿入完了後の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、下記実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。なお、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0010】
[実施形態]
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスWHに適用される電子部品ユニット1の斜視図である。
図1に示される本実施形態の電子部品ユニット1は、自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスWHに組み込まれるものである。ここで、ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の配索材Wを束にして集合部品とし、コネクタ11等で当該複数の配索材Wを各装置に接続するようにしたものである。
【0011】
ワイヤハーネスWHは、導電性を有した複数の配索材Wと、複数の配索材Wの端末に設けられた電子部品ユニット1と、を備えている。配索材Wは、例えば、複数の線状の金属素線を撚り合わせた導体部(芯線)と、当該導体部の外側を覆う絶縁性の被覆部と、を含んで構成される。電子部品ユニット1は、例えば、配索材Wの端末が挿通される接続ユニット10や、接続ユニット10と接続される電気接続箱20、後述する第1位置決め部30および第2位置決め部40等を含んで構成される。なお、ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、プロテクタや、グロメット、固定具等を含んで構成されてもよい。
【0012】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、および第3方向のうち、第1方向を「軸線方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「締結方向Z」という。ここでは、軸線方向Xと幅方向Yと締結方向Zとは、相互に略直交する。軸線方向Xは、典型的には、接続ユニット10に挿通された配索材Wの延在方向、接続ユニット10のコネクタ11と電気接続箱20の相手側コネクタ21との挿抜方向等に相当する。締結方向Zは、典型的には、接続ユニット10および電気接続箱20の高さ方向(厚さ方向)、接続ユニット10と電気接続箱20とを固定するボルト33の締結方向に相当する。幅方向Yは、軸線方向Xおよび締結方向Zと交差する交差方向に相当する。また、以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、配索材Wが接続ユニット10に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0013】
電気接続箱20は、例えば、相手側コネクタ21や、不図示のDC/DCコンバータ、DC/ACインバータ、分岐部、制御ユニット等の電装品を集約して内部に収容するための筐体22等を有している。電気接続箱20は、配索材W等を介して、バッテリ等の電源と車両内に搭載される各種電子機器との間に接続され、電源から供給された電力を車両内の各種電子機器に分配することが可能である。電気接続箱20は、電源分配ボックスや、ジャンクションボックス等とも称される。
【0014】
筐体22は、例えば、ケース22Aと、カバー22Bと、コネクタハウジング22Cと、を含んで構成される。ケース22Aは、例えば、後述する第1位置決め部30の突出部31と共に金属材料等によって形成され、カバー22Bおよびコネクタハウジング22Cは、樹脂材料等によって形成される。カバー22Bおよびコネクタハウジング22Cは、ケース22Aに対して締結方向Zに積層された状態で組付けられると共に、コネクタハウジング22Cは、カバー22Bに対して軸線方向Xに並んだ状態で組み付けられる。この構成により、筐体22は、ケース22A、カバー22B、およびコネクタハウジング22Cが組み合わされて全体として中空箱状に形成される。筐体22は、ケース22A、カバー22B、およびコネクタハウジング22Cによって区画される内部の空間部が収容空間部として機能する。
【0015】
具体的には、ケース22Aは、締結方向Zの一方側が開放された有底筒状(トレイ状)に形成され、カバー22Bは、締結方向Zの他方側が開放された有底筒状(トレイ状)に形成され、ケース22Aの周縁部とカバー22Bの周縁部とがスナップフィット等によって結合されている。また、
図1に示されるように、カバー22Bには、軸線方向Xの他方側(接続ユニット10側)の前壁22aと天壁22bとに渡って溝部22dが設けられており、この溝部22dを塞ぐようにコネクタハウジング22Cが組付けられている。コネクタハウジング22Cは、例えば、カバー22Bと共に前壁22aを構成する部分と天壁22bを構成する部分とを有した断面略L字状に形成され、軸線方向Xの一方側および幅方向Yの両側に開放されている。この構成により、筐体22の内部には、ケース22A、カバー22B、およびコネクタハウジング22Cによって囲まれた収容空間部が形成される。
【0016】
相手側コネクタ21は、例えば、コネクタ端子23と、コネクタ端子23を収容するコネクタハウジング22Cと、を有している。コネクタ端子23は、上述した収容空間部に収容された基板等に接続される。ここでは、コネクタ端子23は、コネクタ11と電気的に接続されるタブ端子部23aと、基板と電気的に接続される基板接続部と、を含んだオス型の端子金具として構成される。コネクタ端子23は、全体が導電性の金属によって構成され、各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス成形することにより各部が一体で形成される。本実施形態では、相手側コネクタ21には、幅方向Yに並んで複数(ここでは、3つ)のコネクタ端子23が設けられている。
【0017】
コネクタハウジング22Cは、コネクタ端子23を内部に保持するものである。コネクタハウジング22Cには、上述した前壁22aを構成する部分から軸線方向Xの他方側(接続ユニット10側)に突出した嵌合部24が設けられている。嵌合部24は、例えば、コネクタ端子23のタブ端子部23aの周囲を覆う矩形の筒状に形成され、コネクタ11側の開口部12a(
図2参照)に嵌合される。本実施形態では、相手側コネクタ21には、コネクタ端子23に対応して複数(ここでは、3つ)の嵌合部24が幅方向Yに並んで設けられている。嵌合部24は、それぞれコネクタ端子23におけるタブ端子部23aを保護している。なお、コネクタハウジング22Cには、嵌合部24と幅方向Yに隣接してLANケーブル等の通信ケーブルと接続可能な接続ポート25が設けられている。
【0018】
図2は、電子部品ユニット1の斜視図であって、
図1とは異なる角度から見た図である。
図2に示されるように、接続ユニット10は、例えば、コネクタ11や、複数の配索材Wの端末等を集約して内部に収容するための筐体12等を有している。筐体12は、例えば、後述する第1位置決め部30のポケット部32と共に樹脂材料等によって形成される。筐体12は、全体として中空箱状に形成され、筐体12の外壁によって区画される内部の空間部が収容空間部として機能する。接続ユニット10は、コネクタユニット等とも称される。
【0019】
コネクタ11は、例えば、接続端子13と、接続端子13を収容するコネクタハウジングとしての筐体12と、を有している。接続端子13は、配索材Wの端末に接続される。ここでは、接続端子13は、上述した相手側コネクタ21のタブ端子部23aと電気的に接続されるフォーク端子部13aと、配索材Wの端末に露出した導体部と電気的に接続される不図示の電線接続部と、を含んだメス型の端子金具として構成される。接続端子13は、全体が導電性の金属によって構成され、各部に対応した形状に打ち抜かれた一枚の板金をプレス成形することにより各部が一体で形成される。本実施形態では、コネクタ11には、コネクタ端子23に対応して複数(ここでは、3つ)の接続端子13が幅方向Yに並んで設けられている。
【0020】
筐体12は、接続端子13や配索材Wの端末を内部に保持するものである。筐体12の軸線方向Xの一方側(電気接続箱20側)の前壁12bには、上述した嵌合部24が嵌合する開口部12aが設けられている。開口部12aは、嵌合部24の外形形状に応じて当該嵌合部24が嵌合可能な大きさ、形状の空間部として形成され、ここでは、軸線方向Xと直交する断面形状が略矩形状に形成される。開口部12aには、筐体12に保持された接続端子13のフォーク端子部13aが軸線方向Xに露出した状態に設けられる。本実施形態では、コネクタ11には、接続端子13に対応して複数(ここでは、3つ)の開口部12aが幅方向Yに並んで設けられている。接続端子13のフォーク端子部13aは、開口部12aにおける周囲の壁部によって保護されている。
【0021】
第1位置決め部30は、例えば、突出部31と、突出部31が挿入されるポケット部32と、を有している。本実施形態では、突出部31は、電気接続箱20側の筐体22の前壁22aに設けられ、ポケット部32は、接続ユニット10側の筐体12の側壁12cに設けられている。ここでは、第1位置決め部30は、コネクタ11および相手側コネクタ21を挟むように幅方向Yの両側に一対で設けられている。なお、第1位置決め部30は、この例には限定されず、例えば、突出部31が接続ユニット10側に設けられ、ポケット部32が電気接続箱20側に設けられてもよい。
【0022】
図3は、電子部品ユニット1の第1位置決め部30および第2位置決め部40の斜視図である。
図3に示されるように、突出部31は、電気接続箱20のケース22Aと一体で軸線方向Xに沿って突出して形成され接続ユニット10側のポケット部32に挿入される部分である。突出部31は、例えば、締結方向Zの一方側の上面31aと、締結方向Zの他方側の下面31bと、幅方向Yの両側の一対の側面31cと、軸線方向Xの他方側(接続ユニット10側)の先端面31dと、を含んで構成される。
【0023】
また、突出部31には、上面31aと下面31bとの間に渡って締結方向Zに貫通した第1貫通孔31eが設けられている。第1貫通孔31eは、第1位置決め部30の突出部31とポケット部32とを結合するボルト33(
図1参照)が締結される貫通孔である。第1貫通孔31eは、ボルト33の軸部に沿った丸穴状に形成される。また、突出部31の幅方向Yの一方側(外側)の側面31cには、後述する第2位置決め部40の突出部側嵌合部42が設けられている。本実施形態では、側面31cは、突出部31の外面の一例である。
【0024】
ポケット部32は、接続ユニット10の筐体12と一体で形成され内部に電気接続箱20側の突出部31が挿入される部分である。ポケット部32は、例えば、締結方向Zの一方側の上壁32aと、締結方向Zの他方側の下壁32bと、幅方向Yの両側の一対の側壁32cと、軸線方向Xの他方側の後壁32dと、を含んで構成される。上壁32aは、突出部31の上面31aと対向し、下壁32bは、突出部31の下面31bと対向し、一対の側壁32cは、突出部31の一対の側面31cと対向し、後壁32dは、突出部31の先端面31dと対向する。そして、ポケット部32には、上壁32a、下壁32b、一対の側壁32c、および後壁32dによって囲まれ、軸線方向Xの一方側(突出部31側)に開放された挿入空間部32f(
図4参照)が設けられている。
【0025】
また、ポケット部32の上壁32aおよび下壁32bには、それぞれ締結方向Zに沿って貫通した第2貫通孔32eが設けられている。第2貫通孔32eは、上述した第1貫通孔31eと共に突出部31とポケット部32とを結合するボルト33(
図1参照)が挿入される貫通孔である。第2貫通孔32eは、ボルト33の軸部に沿った丸穴状に形成される。また、ポケット部32の幅方向Yの一方側(外側)の側壁32cには、後述する第2位置決め部40のポケット部側嵌合部41と切欠部43とが設けられている。本実施形態では、側壁32cは、ポケット部32の外壁の一例であり、上壁32aと下壁32bとの間に渡って締結方向Zに延びている。
【0026】
図4は、電子部品ユニット1の第1位置決め部30および第2位置決め部40の断面図であって、挿入完了前の状態を示した図である。
図4に示されるように、第2位置決め部40は、例えば、ポケット部側嵌合部41と、突出部側嵌合部42と、ポケット部側嵌合部41を板バネ状に撓ませるための切欠部43と、を含んで構成される。本実施形態では、ポケット部側嵌合部41は、ポケット部32における側壁32cの内面に設けられ、突出部側嵌合部42は、突出部31における側壁32cと幅方向Yに対向する側面31cに設けられている。
【0027】
ポケット部側嵌合部41は、例えば、相互に嵌合可能である凸部41aおよび凹部42aの一方としての凸部41aによって形成される。凸部41aは、ポケット部32における側壁32cの内面から幅方向Yの他方側(中央側)、すなわち挿入空間部32f内に突出している。本実施形態では、凸部41aは、締結方向Zから見た場合に、円弧状(半円状)に形成される。凸部41aの外周面は、ポケット部側嵌合部41と突出部側嵌合部42とが嵌合した状態で、凹部42aの内周面と軸線方向Xに対向する。
【0028】
突出部側嵌合部42は、例えば、相互に嵌合可能である凸部41aおよび凹部42aの他方としての凹部42aによって形成される。凹部42aは、突出部31の側面31cから幅方向Yの他方側(中央側)に向けて凹み、幅方向Yの一方側(外側)に向けて開放されている。凹部42aは、凸部41aの外形形状に応じて当該凸部41aが嵌合可能な大きさ、形状の空間部として形成される。本実施形態では、凹部42aは、締結方向Zから見た場合に、凸部41aの外周面に沿った円弧状(曲面状)に形成される内周面を有している。
【0029】
切欠部43は、ポケット部32におけるポケット部側嵌合部41の周縁部に設けられている。切欠部43は、側壁32cを幅方向Yに沿って貫通するスリット溝状の開口部であり、例えば、ポケット部側嵌合部41の周縁部を軸線方向Xの一方側に向けて開放される略C字状(
図3参照)に切り欠くように形成される。すなわち、切欠部43は、ポケット部側嵌合部41の締結方向Zの両側に位置される第1部分43aと、第1部分43aと連通すると共にポケット部側嵌合部41の軸線方向Xの他方側に位置される第2部分43bと、を含んで構成される。これにより、切欠部43は、ポケット部側嵌合部41を板バネ状に弾性変形させるための開口として機能する。
【0030】
本実施形態では、突出部31の幅方向Yに沿った横幅は、ポケット部32における挿入空間部32fの幅方向Yに沿った開口幅と略同じに設定されている。また、突出部31の締結方向Zに沿った厚さは、ポケット部32における挿入空間部32fの締結方向Zに沿った開口幅と略同じに設定されている。そして、突出部31は、ポケット部32の挿入空間部32fに圧入によって取り付けられる。
【0031】
また、本実施形態では、ポケット部32の挿入空間部32fの開放端部には、テーパ面37(
図4参照)が設けられている。テーパ面37は、軸線方向Xの一方側(電気接続箱20側)に向かうにつれて幅方向Yの両側に広がるように傾斜している。また、テーパ面37は、軸線方向Xの一方側に向かうにつれて締結方向Zの両側に広がるように傾斜している。すなわち、テーパ面37は、ポケット部32(
図2参照)における上壁32a、下壁32b、および一対の側壁32cのそれぞれの開放端部に設けられている。本実施形態では、このようなテーパ面37によるガイド機能によって突出部31の挿入空間部32fへの挿入性が高められている。
【0032】
図5は、電子部品ユニット1の第1位置決め部30および第2位置決め部40の断面図であって、挿入完了後の状態を示した図である。
図5に示されるように、本実施形態では、第2位置決め部40のポケット部側嵌合部41の凸部41aと突出部側嵌合部42の凹部42aとが嵌合した状態では、突出部31の第1貫通孔31eとポケット部32の第2貫通孔32eとが締結方向Zに一直線に並んで位置合わせされ、突出部31のポケット部32に対する移動が制限される。
【0033】
本実施形態では、突出部31の挿入空間部32fへの挿入途中時、すなわち
図4の状態と
図5の状態との間の状態において、突出部31の先端面31dによって凸部41aが二点鎖線で示すように幅方向Yの一方側(外側)に押し広げられ、当該凸部41aを乗り越えることによってポケット部側嵌合部41が自由状態に復帰し、凸部41aが凹部42aに嵌合される。そして、凸部41aと凹部42aとの嵌合によって、突出部31のポケット部32に対する軸線方向Xの一方側への移動(抜け)が制限される。
【0034】
作業者は、突出部31の挿入空間部32fへの挿入過程においては適度な挿入抵抗を感じ、かつ挿入完了時には抵抗感の抜け(節度感、カチッという音)を感じ取り、挿入作業を完了することができる。また、このとき、作業者が手を放しても突出部31とポケット部32との仮固定状態が保持される。そして、第1貫通孔31eと第2貫通孔32eとが締結方向Zに位置合わせされた状態で、上述したボルト33およびナット34(
図1参照)によって突出部31とポケット部32とが締結される。なお、ボルト33の頭部とポケット部32の上壁32aとの間、およびナット34とポケット部32の下壁32bとの間には、それぞれワッシャ等の介在部材35、36が設けられる。
【0035】
また、作業者は、例えば、接続ユニット10を電気接続箱20から取り外す場合には、上述したボルト33およびナット34による締結を解除し、ポケット部32の外側から手指等によってポケット部側嵌合部41を幅方向Yの一方側(外側)に撓ませることによって凸部41aと凹部42aとの篏合を解除することができる。なお、本実施形態では、第2位置決め部40は、ポケット部32における側壁32cと突出部31における側面31cとに設けられた場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、ポケット部32における下壁32bと突出部31における下面31bとに設けられる等、ポケット部32を構成する外壁や突出部31を構成する外面のうちどこに設けられてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、ポケット部側嵌合部41が凸部41aによって構成され、突出部側嵌合部42が凹部42aによって構成された場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、ポケット部側嵌合部41が凹部42aによって構成され、突出部側嵌合部42が凸部41aによって構成されてもよい。また、本実施形態では、第1位置決め部30および第2位置決め部40が幅方向Yの両側に一対で設けられた場合が例示されたが、この例には限定されず、例えば、それぞれ一つや三つ以上で設けられてもよいし、複数の第1位置決め部30に対して第2位置決め部40が一つ、あるいは一つの第1位置決め部30に対して複数の第2位置決め部40が設けられてもよい。
【0037】
以上のように、本実施形態の電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHでは、電気接続箱20と接続ユニット10との接続作業時に、第1位置決め部30の突出部31をポケット部32の挿入空間部32fに挿入することによって接続ユニット10のコネクタ11と電気接続箱20の相手側コネクタ21との位置合わせを容易に行うことができる。また、このとき、第2位置決め部40のポケット部側嵌合部41を板バネ状に撓ませながら突出部側嵌合部42に篏合することによって突出部31の第1貫通孔31eとポケット部32の第2貫通孔32eとの位置合わせを行いつつ、接続ユニット10を電気接続箱20に対して仮固定することができる。この結果、電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHは、電気接続箱20と接続ユニット10との接続作業の作業性をより高めることができ、ひいては電気接続箱20と接続ユニット10とが車両の狭小部に搭載されるような場合にあっても、電気接続箱20と接続ユニット10との接続作業をより容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態の電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHでは、第1位置決め部30および第2位置決め部40は、コネクタ11および相手側コネクタ21を挟むように締結方向Zから見て軸線方向Xと交差した幅方向Yの両側に一対で設けられる。この構成により、電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHは、例えば、電気接続箱20と接続ユニット10との接続作業時に配索材Wのねじれ等によって生じるコネクタ11と相手側コネクタ21との篏合部分への応力の集中を抑制でき、当該応力を一対の第1位置決め部30のそれぞれに設けられた第2位置決め部40のポケット部側嵌合部41と突出部側嵌合部42との篏合部分に分散させることができる。この結果、電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHは、コネクタ11と相手側コネクタ21との電気的な接続の信頼性をより高めることができる。
【0039】
また、本実施形態の電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHでは、ポケット部側嵌合部41と切欠部43とは、ポケット部32における幅方向Yの一方側で上壁32aと下壁32bとの間に渡って延びた側壁32cに設けられ、突出部側嵌合部42は、突出部31における側壁32cと幅方向Yに対向する側面31cに設けられる。この構成により、電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHは、例えば、第2位置決め部40をポケット部32のうちボルト33が締結される上壁32aおよび下壁32bとは別の側壁32cや、突出部31のうちボルト33が締結される上面31aおよび下面31bとは別の側面31cに設けることができ、ひいては第1位置決め部30の強度を確保しやすくなる。
【0040】
また、本実施形態の電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHでは、凸部41aおよび凹部42aは、締結方向Zから見た場合に円弧状に構成される。この構成により、電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHは、例えば、円弧状の凸部41aおよび凹部42aによってポケット部側嵌合部41と突出部側嵌合部42との篏合作業を、より容易に、より円滑に、あるいはより精度よく行うことができる。
【0041】
また、本実施形態の電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHでは、ポケット部32の挿入空間部32fの開放端部には、軸線方向Xの一方側に向かうにつれて少なくとも幅方向Yの両側に広がるように傾斜したテーパ面37が設けられる。この構成により、電子部品ユニット1およびワイヤハーネスWHは、テーパ面37によるガイド機能によって突出部31のポケット部32の挿入空間部32fに対する挿入性が向上し、ひいては電気接続箱20と接続ユニット10との接続作業の作業性をより一層高めることができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 電子部品ユニット
10 接続ユニット
11 コネクタ
20 電気接続箱
21 相手側コネクタ
30 第1位置決め部
31 突出部
31c 側面(外面)
31e 第1貫通孔
32 ポケット部
32a 上壁
32b 下壁
32c 側壁
32e 第2貫通孔
32f 挿入空間部
33 ボルト
37 テーパ面
40 第2位置決め部
41 ポケット部側嵌合部
41a 凸部
42 突出部側嵌合部
42a 凹部
43 切欠部
W 配索材
WH ワイヤハーネス
X 軸線方向
Y 幅方向
Z 締結方向