(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117870
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】グロメット
(51)【国際特許分類】
H02G 3/22 20060101AFI20240823BHJP
H01B 17/58 20060101ALI20240823BHJP
F16L 5/02 20060101ALI20240823BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H02G3/22
H01B17/58 D
F16L5/02 A
B60R16/02 622
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023931
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】清田 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】小野田 健
(72)【発明者】
【氏名】山田 利宜
【テーマコード(参考)】
5G333
5G363
【Fターム(参考)】
5G333AA09
5G333AB16
5G333CC04
5G333CC05
5G333DA03
5G333DA14
5G333DA16
5G333DC03
5G333EA01
5G363AA01
5G363AA16
5G363BA01
5G363BA02
5G363CA06
5G363CA17
5G363CB08
(57)【要約】
【課題】挿入力の軽減を図ること。
【解決手段】止水部材60Aは、ベース部材10Xとの組付け完了位置でフランジ面20cに同軸上で係止させる環状の本体61と、本体の内周縁部61bから同軸上で周縁部503に向けて突出させ、かつ、取付完了位置で弾性変形して一周に亘って周縁部の環状平面503aに密着させる環状の外周リップ63と、外周リップよりも筒状体30側に同軸上で配置され、かつ、取付完了位置で一周に亘って環状平面に密着させる環状の内周リップ64と、組付け完了位置でフランジ面に対して間隔を空けて配置され、本体の内周縁部又は/及び外周リップにおける本体側の根元に内周リップの根元を連結させ、かつ、取付完了位置で内周リップから力を受けてフランジ面側に撓み変形させる連結体65と、を有すること。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂材料から成り、一方の空間から他方の空間へと挿通対象物の貫通孔を通して渡す導電性の配索材を内方で挿通させるベース部材と、
前記ベース部材に組み付けて、前記挿通対象物の前記貫通孔の周縁部への取付完了位置で前記一方の空間に配置される環状のグロメット本体と、
を備え、
前記ベース部材は、前記取付完了位置で前記一方の空間に配置され、環状の前記周縁部における前記一方の空間側の環状平面に対して同軸上で隙間を空けて対向配置させる環状のフランジ面を有する環状のフランジと、前記フランジから同軸上で前記他方の空間に向けて突出させ且つ前記取付完了位置で前記貫通孔に挿通させる筒状体と、を有すると共に、前記取付完了位置での前記他方の空間で前記筒状体の外周面よりも突出させ、かつ、前記取付完了位置での前記他方の空間で前記周縁部に前記他方の空間側から接触させる係止部を前記筒状体の周方向に複数有し、
前記グロメット本体は、前記ベース部材よりも軟質の弾性変形可能な合成樹脂材料から成る環状の止水部材を備え、
前記止水部材は、前記ベース部材との組付け完了位置で前記フランジ面に同軸上で係止させる環状の本体と、前記本体の内周縁部から同軸上で前記周縁部に向けて突出させ、かつ、前記取付完了位置で弾性変形して一周に亘って前記周縁部の前記環状平面に密着させる環状の外周リップと、前記外周リップよりも前記筒状体側に同軸上で配置され、かつ、前記取付完了位置で一周に亘って前記周縁部の前記環状平面に密着させる環状の内周リップと、前記組付け完了位置で前記フランジ面に対して間隔を空けて配置され、前記本体の前記内周縁部又は/及び前記外周リップにおける前記本体側の根元に前記内周リップの根元を連結させ、かつ、前記取付完了位置で前記内周リップから力を受けて前記フランジ面側に撓み変形させる連結体と、を有することを特徴としたグロメット。
【請求項2】
前記連結体は、前記組付け完了位置にて前記フランジ面に対して同軸上で間隔を空けて配置された環状に形成され、
前記内周リップは、前記連結体の内周縁部から同軸上で前記周縁部に向けて突出させることを特徴とした請求項1に記載のグロメット。
【請求項3】
前記連結体は、前記取付完了位置でも前記フランジ面に対して間隔を空けて配置されることを特徴とした請求項1又は2に記載のグロメット。
【請求項4】
前記外周リップは、前記本体から同軸上で前記周縁部に近づくほど前記貫通孔の孔軸から引き離すよう前記周縁部に向けて突出させることを特徴とした請求項1又は2に記載のグロメット。
【請求項5】
前記外周リップは、前記本体から同軸上で前記周縁部に近づくほど前記貫通孔の孔軸から引き離すよう前記周縁部に向けて突出させ、
前記内周リップは、前記外周リップ側の壁面を前記連結体から垂設させることを特徴とした請求項1又は2に記載のグロメット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グロメットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスにおいては、挿通対象物(例えば、車両における車体のパネル等)に設けた貫通孔に電線等の配索材を挿通させることによって、この挿通対象物によって隔てられた一方の空間から他方の空間へと配索材を引き込ませる。このため、その挿通対象物には、貫通孔の周縁から配索材を保護すると共に、貫通孔と配索材との間の隙間への液体の浸入を防ぐため、その隙間を塞ぐグロメットが取り付けられる。例えば、グロメットは、硬質の合成樹脂材料から成るベース部材とゴム等の柔軟性を持たせた合成樹脂材料から成る環状の止水部材とで構成され、貫通孔に差し込んで、挿通対象物における貫通孔の周縁に止水部材を密着させる。例えば、下記の特許文献1には、そのように構成されたグロメットについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のグロメットにおいては、止水部材と貫通孔の周縁との間の止水性を高めるべく、その止水部材に環状のリップを設けることがある。このリップは、グロメットにおける貫通孔への挿入方向に突出させ、このグロメットを貫通孔の周縁へと組み付ける際に、この周縁に当接させて撓ませながら密着させる。このため、この種のグロメットにおいては、そのリップが貫通孔への挿入力の増大要因となる。
【0005】
そこで、本発明は、挿入力の軽減が可能なグロメットを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、合成樹脂材料から成り、一方の空間から他方の空間へと挿通対象物の貫通孔を通して渡す導電性の配索材を内方で挿通させるベース部材と、前記ベース部材に組み付けて、前記挿通対象物の前記貫通孔の周縁部への取付完了位置で前記一方の空間に配置される環状のグロメット本体と、を備え、前記ベース部材は、前記取付完了位置で前記一方の空間に配置され、環状の前記周縁部における前記一方の空間側の環状平面に対して同軸上で隙間を空けて対向配置させる環状のフランジ面を有する環状のフランジと、前記フランジから同軸上で前記他方の空間に向けて突出させ且つ前記取付完了位置で前記貫通孔に挿通させる筒状体と、を有すると共に、前記取付完了位置での前記他方の空間で前記筒状体の外周面よりも突出させ、かつ、前記取付完了位置での前記他方の空間で前記周縁部に前記他方の空間側から接触させる係止部を前記筒状体の周方向に複数有し、前記グロメット本体は、前記ベース部材よりも軟質の弾性変形可能な合成樹脂材料から成る環状の止水部材を備え、前記止水部材は、前記ベース部材との組付け完了位置で前記フランジ面に同軸上で係止させる環状の本体と、前記本体の内周縁部から同軸上で前記周縁部に向けて突出させ、かつ、前記取付完了位置で弾性変形して一周に亘って前記周縁部の前記環状平面に密着させる環状の外周リップと、前記外周リップよりも前記筒状体側に同軸上で配置され、かつ、前記取付完了位置で一周に亘って前記周縁部の前記環状平面に密着させる環状の内周リップと、前記組付け完了位置で前記フランジ面に対して間隔を空けて配置され、前記本体の前記内周縁部又は/及び前記外周リップにおける前記本体側の根元に前記内周リップの根元を連結させ、かつ、前記取付完了位置で前記内周リップから力を受けて前記フランジ面側に撓み変形させる連結体と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るグロメットは、挿通対象物の貫通孔の周縁部に取り付ける際に、外周リップが周縁部の環状平面に当接して弾性変形し、かつ、内周リップが周縁部の環状平面に当接して連結体を弾性変形させる。そして、その連結体については、フランジ面側へと撓むことになるので、周縁部の環状平面に押し潰されるなどして起こる内周リップの弾性変形を抑制できる。このため、本発明に係るグロメットにおいては、貫通孔に差し込むための挿入力の軽減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、挿通対象物に取り付ける前の実施形態のグロメットを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のグロメットを別角度から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態のグロメットを筒状体側から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図3のX-X線断面に相当する図であり、挿通対象物に取り付ける前について示している。
【
図5】
図5は、
図3のX-X線断面に相当する図であり、挿通対象物に取り付けた後について示している。
【
図6】
図6は、実施形態のグロメットを示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態のグロメットを別角度から見た分解斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態のグロメットを組付け後の2つのベース部材とグロメット本体に分けて示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態のベース部材と防水部材の分解斜視図である。
【
図10】
図10は、実施形態のグロメット本体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係るグロメットの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
[実施形態]
本発明に係るグロメットの実施形態の1つを
図1から
図10に基づいて説明する。
【0011】
図1から
図8の符号1は、本実施形態のグロメットを示す。このグロメット1は、一方の空間S1から他方の空間S2へと挿通対象物501の貫通孔502を通して渡す導電性の配索材Weを当該挿通対象物501における貫通孔502の周縁部503から保護すると共に、その環状の周縁部503と配索材Weとの間の隙間への液体(水等)の浸入を防ぐものである(
図1、
図4及び
図5)。よって、このグロメット1は、配索材Weを挿通させた上で、挿通対象物501の貫通孔502の周縁部503に取り付ける。
【0012】
ここで、配索材Weとは、例えば、電線(通信線としての電線、電源線としての電線等)のことである。また、挿通対象物501とは、配索材Weを挿通させるための部材であり、例えば、車両の場合、車体のパネル等の壁体のことを示している。配索材Weは、その挿通対象物501の貫通孔502に挿通させることによって、挿通対象物501が隔てる一方の空間S1と他方の空間S2との間で引き回される。例えば、配索材Weは、一方の空間S1と他方の空間S2のそれぞれの装置間の通信を担ったり、一方の空間S1の電気機器に他方の空間S2の電源から給電等を担ったりする。
【0013】
挿通対象物501の貫通孔502の周縁部503は、環状の平板部(以下、「環状平板部」という。)504と、この環状平板部504の内周縁の端部(内周縁部504a)から他方の空間S2に向けて突出させた環状の突起部(以下、「環状突起部」という。)505と、を有している(
図1、
図4及び
図5)。グロメット1は、この周縁部503にて、その環状平板部504と環状突起部505に取り付ける。例えば、挿通対象物501は、プレス成形によって形作られたものであり、その際に環状平板部504と貫通孔502が形成される。そして、この挿通対象物501においては、その貫通孔502の周縁に対するバーリング加工によって、環状突起部505が形成される。ここでは、貫通孔502が円形に形成されているので、環状平板部504と環状突起部505が各々円環状に形成されている。
【0014】
グロメット1は、配索材Weを内方で挿通させるベース部材10Xを備える(
図1から
図9)。このベース部材10Xは、1つの部材から成るものであってもよく、複数の部材が組み付けられて成るものであってもよい。ここで示すベース部材10Xは、互いに組み付けられる2つのベース部材(第1ベース部材、第2ベース部材)を備える。この2つのベース部材は、それぞれに形状の異なる部材であってもよく、それぞれが形状の同じ同一部材であってもよい。ここで示すグロメット1においては、この2つのベース部材に形状の同じ同一部材(ベース部材10,10)を用いている(
図1から
図9)。
【0015】
このベース部材10Xは、少なくとも環状のフランジ20と筒状体30とを同軸上に有するものであり、これらの内方に配索材Weを挿通させる(
図1及び
図3から
図9)。ここで示すベース部材10Xは、そのフランジ20と筒状体30に加えて、これらと同軸上に管状体40を有しており、これらの内方に配索材Weを挿通させる(
図1、
図2及び
図4から
図9)。ここでは、その同軸上で、フランジ20から一方に向けて筒状体30を突出させ、かつ、フランジ20から他方に向けて管状体40を突出させている。
【0016】
ここで示すベース部材10Xにおいては、後述するように、互いに組み付けられたベース部材10,10によって、環状のフランジ20と筒状体30と管状体40とが同軸上に形成される。このため、その2つのベース部材10,10の間には、互いを組付け状態のまま保持させる保持機構(以下、「ベース保持機構」という。)50が設けられている(
図1、
図2及び
図6から
図9)。
【0017】
また、このグロメット1は、ベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)に対して組み付ける環状のグロメット本体60を備える(
図1から
図8及び
図10)。このグロメット本体60は、一方の空間S1から貫通孔502を介した他方の空間S2への液体(水等)の浸入を防ぐべく、周縁部503へのグロメット1の取付完了位置で一方の空間S1に配置される(
図4及び
図5)。尚、以下において、単に「取付完了位置」と記した場合、それは、周縁部503に対してのグロメット1の取付完了位置のことを示している。
【0018】
ベース部材10X(ベース部材10,10)は、絶縁性の硬質の合成樹脂材料(以下、「硬質樹脂」という。)を用いて成形される。ここでは、例えば、プラスチック等の硬質樹脂を用いてベース部材10X(ベース部材10,10)が成形される。
【0019】
2つのベース部材10,10は、互いの接合面10aを合わせて組み付けられる(
図3、
図6、
図7及び
図9)。この2つのベース部材10,10は、その組付け状態で配索材Weを挟み込み、この配索材Weを挿通させた状態にする。ここでは、その2つのベース部材10,10を組み付けることによって、円環状のフランジ20と円筒状の筒状体30と円管状の管状体40とが形成される。尚、ここでは、直管の管状体40を例に挙げている。但し、管状体40は、フランジ20から突出させた後で屈曲させるものであってもよい。
【0020】
フランジ20は、取付完了位置で一方の空間S1に配置され、周縁部503における一方の空間S1側の環状平面503aに対して同軸上で隙間を空けて対向配置させる(
図5)。この環状平面503aは、環状平板部504に設けられている。ここで示す環状平面503aは、環状平板部504における一方の空間S1側の環状平面そのものである。このフランジ20は、環状平面503aに対して、環状の外周縁部(以下、「フランジ外周縁部」という。)20a側を取付完了位置で貫通孔502の孔軸方向に隙間を空けて同軸上で対向配置させる(
図5)。そして、このフランジ20は、環状の内周縁部(以下、「フランジ内周縁部」という。)20bよりも内側に配索材Weを挿通させる(
図4及び
図5)。
【0021】
このフランジ20は、板状に形成される。このため、このフランジ20のフランジ外周縁部20a側には、取付完了位置で環状平面503aに対して同軸上で隙間を空けて対向配置させる環状の壁面(以下、「フランジ面」という。)20cが設けられている(
図4から
図8)。ここでは、フランジ20が円環状に形成されている。
【0022】
2つのベース部材10,10は、それぞれに、互いの接合面10aを合わせてフランジ20を形成する分割フランジ11を有している(
図1から
図8)。ここで示す分割フランジ11は、フランジ20を中心軸に沿って半分に分割したものであり、半円弧状に形成されている。
【0023】
筒状体30は、フランジ20から同軸上で他方の空間S2に向けて突出させ、かつ、取付完了位置で貫通孔502に挿通させる(
図4及び
図5)。つまり、この筒状体30においては、フランジ20から突出させたその先の先端が他方の空間S2に配置される。この筒状体30は、円筒状に形成される。筒状体30は、フランジ20におけるフランジ外周縁部20aとフランジ内周縁部20bの間から突出させ、その内方に配索材Weを挿通させる(
図4及び
図5)。ここでは、例えば、フランジ20をその径方向でフランジ外周縁部20a側とフランジ内周縁部20b側とに二分させ、そのフランジ外周縁部20a側とフランジ内周縁部20b側の境界部分から筒状体30を突出させている。
【0024】
2つのベース部材10,10は、それぞれに、互いの接合面10aを合わせて筒状体30を形成する分割筒12を有している(
図1及び
図3から
図8)。ここで示す分割筒12は、筒状体30を中心軸に沿って半分に分割したものであり、半円弧状に形成されている。
【0025】
管状体40は、フランジ20から同軸上で筒状体30とは逆向きに突出させる(
図4及び
図5)。この管状体40は、円管状に形成される。ここで示す管状体40は、フランジ20のフランジ内周縁部20bから突出させ、その内方に配索材Weを挿通させる(
図4及び
図5)。
【0026】
2つのベース部材10,10は、それぞれに、互いの接合面10aを合わせて管状体40を形成する分割管13を有している(
図1、
図2及び
図4から
図8)。ここで示す分割管13は、管状体40を中心軸に沿って半分に分割したものであり、半円弧状に形成されている。
【0027】
ここで、この例示のフランジ20は、そのフランジ外周縁部20aとフランジ内周縁部20bを繋ぐ円環の板状の第1フランジ部21と、取付完了位置の第1フランジ部21の外周縁部21a側と周縁部503の環状平面503aとの間にてその外周縁部21a側と環状平面503aに対してそれぞれ同軸上で隙間を空けて対向配置させた円環の板状の第2フランジ部22と、を有する(
図1、
図2及び
図4から
図8)。第2フランジ部22は、その外周縁部22aを径方向で第1フランジ部21の外周縁部21aよりも貫通孔502の孔軸側に配置して、第1フランジ部21よりも外径を小さくしている(
図4から
図8)。但し、この第2フランジ部22は、その外周縁部22aを径方向で第1フランジ部21の外周縁部21aと同等の位置に配置してもよい。また、この第2フランジ部22は、その内周縁部22bを筒状体30の外周面30aに連結させている(
図4から
図6及び
図8)。よって、この例示のフランジ20は、フランジ外周縁部20a側が第1フランジ部21の外周縁部21a側と第2フランジ部22とで形成された二重壁構造となっており、フランジ内周縁部20b側が第1フランジ部21の内周縁部21b側で形成された一重壁構造となっている(
図4から
図8)。このフランジ20においては、第1フランジ部21の外周縁部21a側と内周縁部21b側の境界部分から筒状体30を突出させ、この筒状体30を更に第2フランジ部22の内周縁部22bから突出させている。また、このフランジ20においては、第2フランジ部22における周縁部503の環状平面503a側の壁面がその環状平面503aに対して同軸上で隙間を空けて対向配置させるフランジ面20cになる。
【0028】
先に示したように、2つのベース部材10,10は、その主体部分(分割フランジ11、分割筒12、分割管13)が弾性変形し難い硬度の高いものとなっている。このため、この2つのベース部材10,10は、例えば、その接合面10aの表面粗さ等に伴う微細な隙間を互いの接合面10aの間に形成してしまう可能性がある。そこで、本実施形態のグロメット1は、2つのベース部材10,10のそれぞれの接合面10aの内の少なくとも一方に、そのベース部材10の硬質樹脂よりも軟質で且つ弾性変形可能な合成樹脂材料(以下、「軟質樹脂」という。)から成り、それぞれの接合面10aの間の隙間を無くす防水部材71を備える(
図3、
図6、
図7及び
図9)。
【0029】
この防水部材71は、例えば、エラストマー等の合成樹脂材料を用いて成形される。そして、この防水部材71は、例えば、分割フランジ11と分割筒12と分割管13のそれぞれの接合面10aに亘って設けられる。ここで示すベース部材10は、分割フランジ11から分割管13に至るまでの2箇所の接合面10aの内の一方に溝部10bが形成されており、その溝部10bに防水部材71を嵌め込んでいる(
図9)。この防水部材71は、その溝部10bから突出させている。例えば、この防水部材71は、ベース部材10との二色成形によって作り出されたり、金型内に収めたベース部材10に対してインサート成形されたりして、ベース部材10に対して一体成形される。また、この防水部材71は、ベース部材10とは別の部品として成形し、このベース部材10の溝部10bに接着剤等で貼り付けてもよい。このベース部材10Xにおいては、2つのベース部材10,10を組み付けることによって、一方のベース部材10における一方の接合面10aの溝部10bから飛び出させた防水部材71を他方のベース部材10における他方の接合面10aに密着させる。
【0030】
ベース保持機構50は、2つのベース部材10,10をそれぞれの接合面10aを合わせたままの状態に保持させるための保持機構である。このベース保持機構50は、2つのベース部材10,10の間で複数箇所に設ける。例えば、ここで示すベース保持機構50は、2つのベース部材10,10の内の一方の接合面10aから突出させた片部51と、この片部51の壁面から突出させた爪状の第1係止部52と、を備える(
図6及び
図7)。そして、ここで示すベース保持機構50は、2つのベース部材10,10の内の他方の接合面10aに設け、その内の一方の片部51及び第1係止部52を挿入させる挿入口53と、2つのベース部材10,10の内の他方に設け、互いの接合面10aが合わさったときに第1係止部52に対向配置させ、2つのベース部材10,10をそれぞれの接合面10aを合わせたままの状態に保持させる第2係止部54と、を備える(
図6及び
図7)。その第2係止部54には、挿入口53から差し込まれた第1係止部52に押動されて撓み、互いの接合面10aが合わさったときに第1係止部52が離れて撓みを解消させる可撓性を持たせている。
【0031】
ここで示す2つのベース部材10,10は、それぞれに、分割筒12における周方向の一端に1組の片部51と第1係止部52を備え、かつ、この分割筒12における周方向の他端に1組の挿入口53と第2係止部54を備えている。この2つのベース部材10,10においては、それぞれの接合面10aを合わせたままの状態で、一方の分割筒12における一端の第1係止部52と他方の分割筒12における他端の第2係止部54とを係止させ、かつ、一方の分割筒12における他端の第2係止部54と他方の分割筒12における一端の第1係止部52とを係止させる。つまり、この2つのベース部材10,10においては、それぞれの分割筒12を連結させ且つ連結状態のまま保持させるベース保持機構50が2箇所に設けられている。更に、この2つのベース部材10,10は、それぞれに、分割管13における周方向の一端に1組の片部51と第1係止部52を備え、かつ、この分割管13における周方向の他端に1組の挿入口53と第2係止部54を備えている。この2つのベース部材10,10においては、それぞれの接合面10aを合わせたままの状態で、一方の分割管13における一端の第1係止部52と他方の分割管13における他端の第2係止部54とを係止させ、かつ、一方の分割管13における他端の第2係止部54と他方の分割管13における一端の第1係止部52とを係止させる。つまり、この2つのベース部材10,10においては、それぞれの分割管13を連結させ且つ連結状態のまま保持させるベース保持機構50が2箇所に設けられている。
【0032】
グロメット本体60は、軟質樹脂(つまり、ベース部材10X(ベース部材10)の硬質樹脂よりも軟質の弾性変形可能な合成樹脂材料)から成る環状の止水部材60Aと、この止水部材60Aの軟質樹脂よりも硬質の合成樹脂材料から成り、その止水部材60Aと一体になった環状の支持部材60Bと、を備える(
図1、
図2、
図4から
図8及び
図10)。止水部材60Aは、例えば、ベース部材10X(ベース部材10)や支持部材60Bの硬質樹脂よりも軟質の弾性変形可能なエラストマー等の合成樹脂材料を用いて成形される。また、支持部材60Bは、例えば、ベース部材10X(ベース部材10)と同じ硬質樹脂又はベース部材10X(ベース部材10)の硬質樹脂と同等の硬度を有する当該硬質樹脂とは別の硬質樹脂から成るものであり、プラスチック等の合成樹脂材料を用いて成形される。
【0033】
このグロメット本体60は、その止水部材60Aと支持部材60Bとが一体になって成形された成形品として構成する。このグロメット本体60においては、支持部材60Bに対して止水部材60Aを一体化させる。例えば、止水部材60Aは、金型内で支持部材60Bとの二色成形によって作り出されたり、金型内に収めた支持部材60Bに対してインサート成形されたりして、支持部材60Bに対して一体成形される。また、この止水部材60Aは、支持部材60Bとは別の部品として成形し、この支持部材60Bに接着剤等で貼り付けてもよい。
【0034】
このグロメット本体60は、支持部材60Bを介してベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)に組み付ける。
【0035】
止水部材60Aは、ベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)との組付け完了位置でフランジ20のフランジ面20cに同軸上で係止させる環状の本体61を有する(
図1、
図2、
図4から
図8及び
図10)。この本体61は、円環の板状に形成される。ここで示す本体61は、その外周縁部61aを径方向で第2フランジ部22よりも突出させて第1フランジ部21の外周縁部21aに隙間を空けて対向配置させる(
図4及び
図5)。尚、以下において、単に「組付け完了位置」と記した場合、それは、ベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)とグロメット本体60の組付け完了位置のことを示している。
【0036】
ここで示す止水部材60Aは、その組付け完了位置で弾性変形して同軸上で一周に亘ってフランジ面20cに密着させる環状のリップ(以下、「フランジ側リップ」という。)62を有しており、このフランジ側リップ62を介してフランジ面20cに本体61を係止させる(
図4及び
図5)。よって、この止水部材60Aは、その組付け完了位置で本体61をフランジ面20cに対して同軸上で隙間を空けて対向配置させ、この本体61からフランジ面20cに向けてフランジ側リップ62を同軸上で突出させる。
【0037】
更に、この止水部材60Aは、本体61の内周縁部61bから同軸上で周縁部503に向けて突出させ、かつ、取付完了位置で弾性変形して一周に亘って周縁部503の環状平面503aに密着させる環状の外周リップ63を有する(
図1から
図8及び
図10)。この外周リップ63は、本体61から同軸上で周縁部503に近づくほど貫通孔502の孔軸から引き離すよう周縁部503に向けて突出させ、取付完了位置で撓み変形して一周に亘って周縁部503の環状平面503aに密着させる(
図4及び
図5)。この外周リップ63は、径方向で内側の壁面63aに、この壁面63aから同軸上で突出させた2つの環状の副リップ部63bを有している(
図4及び
図5)。この外周リップ63は、取付完了位置で本体61側の根元から撓み変形させ、その2つの副リップ部63bを周縁部503の環状平面503aに密着させる。
【0038】
また更に、この止水部材60Aは、外周リップ63よりも筒状体30側に同軸上で配置され、かつ、取付完了位置で一周に亘って周縁部503の環状平面503aに密着させる環状の内周リップ64を有する(
図1、
図3から
図8及び
図10)。そして、この止水部材60Aは、組付け完了位置でフランジ面20cに対して間隔を空けて配置される連結体65を有する(
図1、
図3から
図8及び
図10)。この連結体65は、本体61の内周縁部61b又は/及び外周リップ63における本体61側の根元に内周リップ64の根元を連結させ、かつ、取付完了位置で内周リップ64から力を受けてフランジ面20c側に撓み変形させる。内周リップ64は、この連結体65の撓み変形に伴う弾発力を受けて、周縁部503の環状平面503aに密着させる。
【0039】
連結体65は、止水部材60Aに1つ又は複数設けて、本体61の内周縁部61b又は/及び外周リップ63における本体61側の根元と内周リップ64とを繋ぐ。ここで示す連結体65は、内周リップ64を外周リップ63における本体61側の根元に繋いでいる。また、ここで示す連結体65は、止水部材60Aに1つ設け、組付け完了位置にてフランジ面20cに対して同軸上で間隔を空けて配置された環状に形成される。内周リップ64は、この連結体65の内周縁部から同軸上で周縁部503に向けて突出させる。ここでは、連結体65が円環の板状に形成されている。
【0040】
この止水部材60Aにおいては、フランジ面20c側に位置することになる本体61の平面とフランジ側リップ62と連結体65の平面とが止水部材60Aの軸方向における一方を抜取り方向とする金型(図示略)で形成される。このため、この止水部材60Aにおいては、その抜取り方向へと金型を成形後に抜き取る際の離型性を向上させることができる。
【0041】
ここで、外周リップ63は、先に示したように、本体61から同軸上で周縁部503に近づくほど貫通孔502の孔軸から引き離すよう周縁部503に向けて突出させ、かつ、径方向で内側の壁面63aから同軸上で2つの環状の副リップ部63bを突出させている。そして、内周リップ64は、先に示したように、連結体65の内周縁部から同軸上で周縁部503に向けて突出させている。この止水部材60Aにおいては、その外周リップ63における径方向の内側と内周リップ64と連結体65の周縁部503側の平面とが止水部材60Aの軸方向における他方を抜取り方向とする金型(図示略)で形成される。このため、この止水部材60Aにおいては、外周リップ63と内周リップ64を下記の如き形状に定めることによって、その抜取り方向へと金型を成形後に抜き取る際に、この金型から外周リップ63と内周リップ64に加えられる荷重を軽減させる。
【0042】
外周リップ63においては、径方向で内側の壁面63aを周縁部503に近づくほど止水部材60Aの軸(貫通孔502の孔軸)から引き離すように傾斜させる。そして、副リップ部63bについては、径方向で内側の壁面を止水部材60Aの軸(貫通孔502の孔軸)に平行なものとし、かつ、周縁部503側の壁面を止水部材60Aの軸(貫通孔502の孔軸)に直交する平面として、周方向に対する直交断面形状が三角形となるよう形成する。これにより、この止水部材60Aにおいては、先の金型を成形後に抜取り方向へと抜き取る際に、この金型から外周リップ63に加えられる荷重を軽減させることができる。従って、この止水部材60Aにおいては、外周リップ63の成形時の品質低下を抑え、この外周リップ63による止水性を確保することができる。
【0043】
内周リップ64は、径方向で外側(外周リップ63側)の壁面を連結体65から垂設させる。これにより、この止水部材60Aにおいては、先の金型を成形後に抜取り方向へと抜き取る際に、この金型から内周リップ64における径方向の外側に加えられる荷重を軽減させることができる。また、内周リップ64は、径方向で内側の壁面を周縁部503に近づくほど止水部材60Aの軸(貫通孔502の孔軸)から引き離すように傾斜させる。これにより、この止水部材60Aにおいては、先の金型を成形後に抜取り方向へと抜き取る際に、この金型から内周リップ64における径方向の内側に加えられる荷重を軽減させることができる。内周リップ64については、このような形状を採ることで、先の金型を成形後に抜取り方向へと抜き取る際に、この金型から加えられる荷重を軽減させることができる。従って、この止水部材60Aにおいては、内周リップ64の成形時の品質低下を抑え、この内周リップ64による止水性を確保することができる。
【0044】
支持部材60Bは、この止水部材60Aにおける本体61の外周縁部61aに一体化させ、かつ、その外周縁部61aからフランジ20のフランジ外周縁部20aに向けて同軸上で突出させた環状部材として成形される(
図4から
図8及び
図10)。この支持部材60Bは、円環状に成形されている。この支持部材60Bは、第2フランジ部22を乗り越えて、第1フランジ部21と第2フランジ部22との間の環状の隙間を径方向の外側から覆う位置まで突出させる。
【0045】
ベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)と支持部材60Bとの間には、ベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)に設けた第1係合部81と支持部材60Bに設けた第2係合部82を係合させ、ベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)とグロメット本体60を組付け完了位置で保持する係合機構80が設けられる(
図1、
図2及び
図4から
図8)。第1係合部81は、第2フランジ部22の外周縁部22aから径方向で外側に突出させた爪状の突起部として形成されている。また、第2係合部82は、支持部材60Bに形成された貫通孔であり、組付け完了位置で第1係合部81を挿入させ且つその内周壁面に係止させる。この係合機構80は、ベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)の筒軸の軸周りに複数設けられる。ここでは、この係合機構80がベース部材10Xの筒軸の軸周りに等間隔で4つ設けられており、その内の2つが一方のベース部材10の分割フランジ11に設けられ、残りの2つが他方のベース部材10の分割フランジ11に設けられている。
【0046】
このように構成されたグロメット1は、互いに組み付けられたベース部材10X(互いに組み付けられたベース部材10,10)とグロメット本体60を挿通対象物501における貫通孔502の周縁部503に保持させる保持機構90を備える(
図1及び
図3から
図8)。ここで示す保持機構90は、止水部材60Aの外周リップ63と内周リップ64と連結体65の弾性変形に伴う弾発力を利用するものであり、その外周リップ63及び内周リップ64とベース部材10X(ベース部材10)に設けた下記の係止部91とで周縁部503を挟み込んで、この周縁部503にグロメット1を保持させる。
【0047】
ベース部材10Xは、取付完了位置での他方の空間S2で筒状体30の外周面30aよりも突出させ、かつ、取付完了位置での他方の空間S2で周縁部503に他方の空間S2側から接触させる係止部91を有する(
図1及び
図4から
図8)。この係止部91は、周縁部503における周方向の一部分を係止するものである。よって、ベース部材10Xは、この係止部91を筒状体30の周方向に複数有している。
【0048】
また、ベース部材10Xは、取付完了位置での他方の空間S2で自由端に係止部91を設けた片持ちの係止片部92を係止部91毎に有する(
図1及び
図3から
図8)。この係止片部92は、取付完了位置での他方の空間S2で筒状体30の外周面30a側の固定端から一方の空間S1側に突出させたその先を自由端にして、この自由端側を筒状体30の外周面30aから飛び出させる(初期形状)。そして、この係止片部92は、その自由端側の外周面30aからの飛び出し量を変化させる撓み変形が可能な可撓性を持たせたものとして形成される。この係止片部92は、その撓み変形によって、筒状体30の一部を切り欠いた切欠き部30bの中を行き来する(
図1及び
図3から
図8)。係止部91と係止片部92と切欠き部30bの組み合わせは、筒状体30に対して周方向に等間隔で複数組設ける。ここで示す筒状体30には、この係止部91と係止片部92と切欠き部30bの組み合わせを周方向に等間隔で4組設けている。ここでは、それぞれのベース部材10の分割筒12に係止部91と係止片部92と切欠き部30bの組み合わせを2組ずつ設けている。
【0049】
この係止片部92は、筒状体30を一方の空間S1から貫通孔502に差し込んでいるときに、周縁部503の環状突起部505から力を受けて初期形状から切欠き部30b側に撓み変形し、その環状突起部505の位置を抜けて当該環状突起部505の先端(以下、「係止端部」という。)505a(
図1、
図4及び
図5)の先まで進み、環状突起部505から受ける力が無くなることで初期形状に戻り始める。このため、この係止片部92は、係止部91と一緒に環状突起部505の係止端部505aの先に配置される。一方、止水部材60Aにおいては、この係止部91と係止片部92の一連の動きが生じているときに、外周リップ63が周縁部503の環状平面503aに当接して弾性変形し、かつ、内周リップ64が周縁部503の環状平面503aに当接して連結体65を弾性変形させる。よって、グロメット1は、貫通孔502に差し込むための力(所謂挿入力)を抜くと、外周リップ63と連結体65の弾性変形に伴う弾発力によって一方の空間S1側に戻る動きをする。これに伴い、係止部91は、環状突起部505の係止端部505aに接触し、この係止端部505aによって係止される(
図5)。つまり、環状突起部505は、環状平板部504から突出させた先の先端(係止端部505a)で係止部91を係止する。その環状の係止端部505aにおいては、周方向におけるそれぞれの場所毎に係止部91を係止する。従って、周縁部503は、止水部材60Aの外周リップ63及び内周リップ64とベース部材10X(ベース部材10,10)のそれぞれの係止部91によって挟持される。
【0050】
このように、本実施形態のグロメット1は、挿通対象物501の貫通孔502の周縁部503に取り付ける際に、外周リップ63が周縁部503の環状平面503aに当接して弾性変形し、かつ、内周リップ64が周縁部503の環状平面503aに当接して連結体65を弾性変形させる。そして、その連結体65については、フランジ面20c側へと撓むことになるので、周縁部503の環状平面503aに押し潰されるなどして起こる内周リップ64の弾性変形を抑制できる。このため、本実施形態のグロメット1においては、貫通孔502に差し込むための挿入力の軽減が可能になる。
【0051】
ところで、連結体65は、グロメット1を挿通対象物501の貫通孔502の周縁部503に取り付ける際に撓み変形させるべく、先に示したように組付け完了位置でフランジ面20cに対して間隔を空けて配置されているが、その周縁部503への取り付けの最中にフランジ面20cに当接させてもよく、その周縁部503への取り付けの工程でフランジ面20cに接触させなくてもよい。但し、このグロメット1においては、周縁部503への取り付けの最中に連結体65をフランジ面20cに当接させた場合、その連結体65の撓み変形が止まり、その後、内周リップ64が周縁部503の環状平面503aに押し潰されるなどして弾性変形する可能性がある。この場合、グロメット1においては、連結体65がフランジ面20cに当接するまで貫通孔502に差し込むための挿入力が軽減され、連結体65がフランジ面20cに接触した後で挿入力が大きくなっていく。そこで、このグロメット1においては、例えば、連結体65を取付完了位置でもフランジ面20cに対して間隔を空けて配置させるなどして、周縁部503への取り付けの工程で連結体65をフランジ面20cに接触させないように構成しておくことが望ましい。これにより、このグロメット1は、周縁部503への取り付けを終えるまで、貫通孔502に差し込むための挿入力を軽減し続けることができる。
【0052】
また、ここで示すグロメット1においては、外周リップ63を本体61から同軸上で周縁部503に近づくほど貫通孔502の孔軸から引き離すよう周縁部503に向けて突出させている。このため、外周リップ63は、周縁部503の環状平面503aに押し潰されるなどした弾性変形とならずに、その環状平面503aに押された撓み変形を引き起こす。このため、このグロメット1においては、貫通孔502に差し込むための挿入力の更なる軽減が可能になる。
【符号の説明】
【0053】
1 グロメット
10X ベース部材
20 フランジ
20a フランジ外周縁部
20c フランジ面
30 筒状体
30a 外周面
60 グロメット本体
60A 止水部材
60B 支持部材
61 本体
61b 内周縁部
63 外周リップ
64 内周リップ
65 連結体
91 係止部
501 挿通対象物
502 貫通孔
503 周縁部
503a 環状平面
S1 一方の空間
S2 他方の空間
We 配索材