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特開2024-117871認証装置、認証情報更新方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117871
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】認証装置、認証情報更新方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/31 20130101AFI20240823BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240823BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240823BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G06F21/31
B41J29/00 Z
B41J29/38 203
H04N1/00 838
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023932
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】金田 裕
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061CL08
2C061HK19
2C061HN08
2C061HN15
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB42
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AE07
5C062AF06
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】認証装置、認証情報更新方法、及びプログラムにおいて、認証情報の秘匿性を簡単に高める。
【解決手段】認証装置(印刷装置1)は、認証情報を記憶する認証情報記憶部61と、この認証情報記憶部61に記憶された認証情報と、入力された入力情報とが一致するかの照合を行う認証部51と、変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部62と、この調整不能時刻情報記憶部62に記憶された調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新する更新部53とを備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証情報を記憶する認証情報記憶部と、
前記認証情報記憶部に記憶された前記認証情報と、入力された入力情報とが一致するかの照合を行う認証部と、
変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部と、
前記調整不能時刻情報記憶部に記憶された前記調整不能時刻情報に基づいて前記認証情報を更新する更新部と
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記認証情報記憶部は、前記調整不能時刻情報の時刻に応じた複数の前記認証情報を記憶し、
前記更新部は、前記調整不能時刻情報の時刻に基づいて前記認証情報記憶部に記憶された前記複数の認証情報から前記認証情報を選択する
ことを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項3】
コンピュータによって行われる認証情報更新方法であって、
変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部から前記調整不能時刻情報を取得することと、
取得された前記調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新することと
を含むことを特徴とする認証情報更新方法。
【請求項4】
変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部から前記調整不能時刻情報を取得する機能と、
取得された前記調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新する機能と
をコンピュータに実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証情報を更新する、認証装置、認証情報更新方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メンテナンスが行われる印刷装置などの被メンテナンス装置において、不適切なメンテナンスが行われると、装置の機能を十分に発揮できなかったり、装置の故障を招いたりし得る。そのため、被メンテナンス装置には、メンテナンスモードの実行を許可するための認証パスワードが設定される場合がある。
【0003】
認証パスワードの更新に関しては、マネージャ機能を有する装置とエージェント機能を有する装置とを備える情報処理システムにおいて、マネージャ機能を有する装置がエージェント機能を有する装置に現有パスワードを用いてアクセスした際に、新規パスワードを割り当てる手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-289209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように新規パスワードを割り当てる手法は、エージェント機能を有する装置などの他の装置の処理を要するため、通信環境が必須となる。
【0006】
認証パスワード(認証情報)の更新は、通信環境がない場合でも、管理者が、特定のデバイス(RFID(Radio Frequency Identification)、タブレット端末など)を用いて、或いは手動で行うことも可能であるが、手間がかかる。そして、上記のデバイスを紛失した場合、権限のない第三者が認証パスワードの更新を行う可能性がある。
【0007】
一方で、認証パスワードを定期的に更新しないと、認証パスワードの流出のおそれが高まる。認証パスワードが流出すると、例えば、印刷装置などの被メンテナンス装置では、上述の不適切なメンテナンスが行われてしまう可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、認証情報の秘匿性を簡単に高めることができる、認証装置、認証情報更新方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、認証装置は、認証情報を記憶する認証情報記憶部と、前記認証情報記憶部に記憶された前記認証情報と、入力された入力情報とが一致するかの照合を行う認証部と、変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部と、前記調整不能時刻情報記憶部に記憶された前記調整不能時刻情報に基づいて前記認証情報を更新する更新部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、認証情報の秘匿性を簡単に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施の形態における印刷装置の制御構成を示すブロック図である。
図2】一実施の形態における認証パスワードの更新を説明するためのフローチャートである。
図3】一実施の形態の変形例における認証パスワードの更新を説明するためのフローチャートである。
図4】一実施の形態における認証パスワードの更新を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態に係る、認証装置、認証情報更新方法、及びプログラムについて、認証装置の一例を印刷装置1として図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一実施の形態における印刷装置1の制御構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、印刷装置1は、媒体供給部10と、搬送部20と、印刷部30と、媒体排出部40と、制御部50と、記憶部60と、操作パネル70と、インターフェース部80とを備える。
【0015】
媒体供給部10は、用紙等の媒体が積載される積載台を有し、この積載台に積載された媒体を印刷部30へ向けて供給する。
【0016】
搬送部20は、例えば、ローラ、ベルトなどを有し、印刷装置1の内部において、媒体を搬送する。
【0017】
印刷部30は、搬送部20によって搬送される媒体に印刷を行う。印刷部30の印刷方式は、特に制限されないが、例えば、インクジェット印刷方式、孔版印刷方式などである。
【0018】
媒体排出部40は、媒体が積載される積載台を有し、印刷部30による印刷が行われた媒体を積載台に排出する。
【0019】
制御部50は、例えば、印刷装置1の各部の動作を制御する演算処理装置として機能する1つ以上のプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有する。このプロセッサは、例えば、記憶部60から、或いは、印刷装置1に対して着脱可能な記憶媒体(非一過性のコンピュータ読取り可能記録媒体)から、所定のプログラムを読出して実行することにより、認証部51、取得部52、更新部53、及びメンテナンスモード制御部54として機能する。このように、制御部50、又は印刷装置1(制御部50及び記憶部60)は、プログラムを実行するコンピュータとして機能する。
【0020】
なお、印刷装置1を制御する印刷制御装置が印刷装置1と有線又は無線(LAN(Local Area Network)など)で接続される場合には、この印刷制御装置又はその制御部が上記のコンピュータとして機能してもよい。この場合、印刷制御装置自体が認証装置として機能する。また、この印刷制御装置と印刷装置1とを備える印刷システムも認証装置として機能し得る。なお、印刷制御装置がインターネットなど(WAN:Wide Area Network)を介して印刷装置1に接続される場合、印刷装置1における後述する認証パスワードの更新にインターネットなどの通信環境が必須となるため、望ましくは、認証装置として機能する印刷制御装置は、このような通信環境のない環境でも印刷装置1を制御し得るものであるとよい。
【0021】
認証部51は、認証情報記憶部61に記憶された認証パスワードと、管理者などのユーザによって入力された入力パスワードとが一致するかの照合を行う。
【0022】
例えば、認証部51は、メンテナンスモードへの移行要求(所定の操作)が行われた場合に、後述する操作パネル70の表示部71に入力画面を表示させ、操作パネル70の入力部72においてユーザによって入力された入力パスワードを取得する。メンテナンスモードへの移行要求に対応する上記の所定の操作は、例えば、入力部72における予め定められた複数キーの押下などである。メンテナンスモードは、パスワードの入力を経て実行されるものであるため、メンテナンスモードへの移行要求は、パスワードとは異なり必ずしも秘密にしなくともよい。したがって、移行要求は、管理者以外のユーザも選択可能な表示部71に表示された操作ボタンの選択などであってもよい。
【0023】
また、認証部51は、後述する認証情報記憶部61に記憶された現在設定されている認証パスワードを取得する。そして、認証部51は、認証パスワードと入力パスワードとが一致するかの照合を行う。なお、認証パスワードは、認証情報の一例であり、入力パスワードは、入力情報の一例である。認証情報及び入力情報としては、数字などの文字列からなるパスワードに限らず、入力部72において押下される所定のキーの組み合わせなどであってもよい。また、入力情報としては、入力部72のタッチパネルやテンキーなどで管理者により入力される情報に限られず、ICタグなどの記憶手段に記憶される情報などであってもよい。入力情報が記憶手段に記憶される情報である場合には、認証部51は、記憶手段の情報を読取る読取り装置から入力情報を取得することになる。
【0024】
取得部52は、調整不能時刻情報記憶部62に記憶された調整不能時刻情報を取得する。この調整不能時刻情報は、印刷装置1が調整不能時刻情報記憶部62に記憶された時刻情報を調整可能な手段を有さない(又は通常の操作では調整可能でない)ことで、変更調整不能にすることができる。なお、調整不能時刻情報は、例えば、印刷装置1の出荷時などに設定された時刻と、その後の経過時間(オフセット値)とを足し合わせた時間の情報とすることができる。また、時刻情報は、時刻を表す情報であるため、時刻そのものと言い換えることができる。
【0025】
更新部53は、取得部52によって調整不能時刻情報記憶部62から取得された調整不能時刻情報に基づいて認証パスワード(認証情報)を更新する。例えば、更新部53は、調整不能時刻情報に基づいて認証パスワードの変更時期を判別するとよい。また、詳しくは後述するが、更新部53は、調整不能時刻情報と所定のアルゴリズムとを用いて認証パスワードを生成するか、或いは、認証情報記憶部61に記憶された調整不能時刻情報の時刻に応じた複数の認証パスワード(例えば、図4に示す2020年用の認証パスワード「85930」、2021年用の認証パスワード「17422」、及び2022年用の認証パスワード「34719」)の中から、調整不能時刻情報の時刻に対応する認証パスワードを選択するとよい。
【0026】
更新部53は、認証パスワードを、このように生成又は選択された認証パスワードに変更することで更新する。なお、現在設定されている、認証情報記憶部61に記憶された認証パスワードは、複数種類あってもよい。そして、装置故障を相対的に招きやすいメンテナンス(電圧調整など)を行うことができる認証パスワード、装置故障を相対的に招きにくいメンテナンス(搬送設定など)のみを行うことができる認証パスワードなどの複数の認証パスワードが設定されていてもよい。この場合、各認証パスワードは、認証が行われた場合に実行可能なメンテナンス項目の内容などに差があってもよい。この複数種類の認証パスワードの更新時期に関しては、実行可能なメンテナンス項目の内容に応じて、秘匿性を高める必要があるメンテナンス項目を実行可能なものほど更新頻度を短くするなど、更新頻度が互いに異なっていてもよい。また、更新される認証パスワードは、上述のように生成又は選択された認証パスワードと、他の情報(例えば、管理者の識別情報、製品の識別情報など)とを組み合わせたものなどであってもよく、生成又は選択された認証パスワードのみからなるものでなくともよい。
【0027】
上述の取得部52及び更新部53による処理を方法の観点から捉えると、認証情報更新方法は、コンピュータによって行われる認証情報更新方法であって、変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部62から調整不能時刻情報を取得すること(工程)と、取得された調整不能時刻情報に基づいて認証情報(認証パスワード)を更新すること(工程)とを含むといえる。
【0028】
また、取得部52及び更新部53による処理をプログラムの観点から捉えると、プログラムは、変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部62から調整不能時刻情報を取得する機能と、取得された調整不能時刻情報に基づいて認証情報(認証パスワード)を更新する機能とをコンピュータに実現させるといえる。
【0029】
メンテナンスモード制御部54は、メンテナンスモードを実行する。例えば、メンテナンスモード制御部54は、認証部51によって認証パスワードと入力パスワードとが一致すると判定された場合に、搬送部20の搬送設定の変更、印刷部30の印刷設定の変更などのメンテナンスをユーザが選択するためのメンテナンス画面を、表示部71に表示させる。このようなメンテナンスは、例えば、インクカートリッジなどの消耗品が交換された場合や、印刷装置1に不調が生じた場合や、管理者が印刷装置1の状態を確認する場合などに行われる。
【0030】
記憶部60は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などのメモリや、ハードディスク装置などを有する。
【0031】
記憶部60は、認証部51によって入力情報との一致が照合される認証パスワードを記憶することによって、認証情報記憶部61として機能する。この認証情報記憶部61は、少なくとも現在設定されている認証パスワードを記憶するとよいが、例えば、図4に示すように2020年用の認証パスワード「85930」、2021年用の認証パスワード「17422」、2022年用の認証パスワード「34719」などの調整不能時刻情報に応じた複数の認証パスワードを記憶していてもよい。このように認証情報記憶部61が調整不能時刻情報に応じた複数の認証パスワードを記憶する場合、認証情報記憶部61に記憶される複数の認証パスワードの数は、例えば、30年分の年毎の30個、1年分の月毎の12個などである。
【0032】
また、記憶部60は、例えば、リアルタイムクロック(RTC:Real Time Clock)ICを有することによって、変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部62として機能する。一例ではあるが、この調整不能時刻情報記憶部62は、規定の周波数で動作するクロック(1秒を計測する)と12進数、60進数などのカウンタとで年/月/日/時/分/秒を計測し、カウンタ値はバッテリーバックアップで保存される。調整不能時刻情報は、認証パスワードの更新のほか、単純な現在時刻表示や、プリントジョブ及びスキャンジョブの実行時間管理などに使用することができる。但し、現在時刻表示や実行時間管理には、図示しない調整可能時刻情報記憶部に記憶された変更調整可能な調整可能時刻情報が用いられてもよい。この調整可能時刻情報は、後述する入力部72によるユーザの操作などによって、使用地域や時刻ずれの修正を行うことができる時刻情報であり、例えば、調整不能時刻情報と同様に、リアルタイムクロックICの基準時刻からの相対値で管理されてもよい。
【0033】
なお、リアルタイムクロックICを用いて調整不能時刻情報を保持する場合、1つの基準時刻とそこからの相対値とで時刻情報が管理されればよい。リアルタイムクロックICの初期の設定値である基準時刻は、工場出荷時(例えば、図4に示す生産年月の2020年3月)に確定させ、リアルタイムクロックICの設定値を直接変更する手段は実装(提供)されず、この設定値との相対値(上述のオフセット値)で調整不能時刻情報が管理されればよい。また、リアルタイムクロックICなどの電池切れを想定して、上述のカウンタ値は、フラッシュメモリや他の基板などにバックアップしておくとよい。なお、調整不能時刻情報が多少ずれて、例えば、実際は2021年になっているにもかかわらず2020年を表していることで、後述する認証パスワードの更新によって2021年用の認証パスワードに更新されていなくとも、管理者は、2020年の認証パスワードも把握していれば対応可能である。
【0034】
操作パネル70は、各種情報を表示するディスプレイである表示部71と、各種情報の入力を受け付ける入力部72とを有する。表示部71がタッチパネルを有する場合には、表示部71が入力部72を兼ねる。
【0035】
インターフェース部80は、ネットワークを介して無線で又は有線で接続されるユーザ端末などの各種機器との間での各種情報の授受を行う。例えば、インターフェース部80は、ユーザ端末からプリントジョブを受信したり、スキャナからスキャンジョブを受信したりする。
【0036】
なお、印刷装置1を一例とする認証装置としては、例えば、印刷装置1以外の被メンテナンス装置や、メンテナンスが行われない装置などであってもよい。このメンテナンスが行われない装置は、例えば、特定のユーザのみに使用可能とするために認証パスワードが設定される電子機器などである。
【0037】
次に、本実施の形態における認証パスワードの更新について説明する。
【0038】
図2は、認証パスワードの更新を説明するためのフローチャートである。
【0039】
図2に示す処理は、例えば、印刷装置1の電源投入時や所定の時間周期、或いは調整不能時刻情報記憶部62に記憶された調整不能時刻情報が所定の時刻に到達していたときに、制御部50によって開始される。なお、上述の説明と重複する事項については説明を省略する。
【0040】
まず、取得部52は、調整不能時刻情報記憶部62から調整不能時刻情報を取得する(ステップS11)。
【0041】
更新部53は、取得部52によって取得された調整不能時刻情報から、認証パスワードを変更する時期であるか(例えば、年や年度が新しくなっているか)を判定する(ステップS12)。なお、制御部50によって図2に示す処理が開始されるタイミングが、認証パスワードを変更する時刻に到達したときである場合には、ステップS12の処理は省略可能である。また、認証パスワードの更新周期は、年単位に限らず、月単位などの他の任意の時期であってもよい。
【0042】
更新部53は、認証パスワードを変更する時期ではないと判定すると(ステップS12:NO)、本処理を終了する。なお、認証情報の更新は高頻度で行われないのが通常であるため、調整不能時刻情報の取得処理(ステップS11)が改めて行われるタイミングは、一定期間経過後であってよい。
【0043】
更新部53は、認証パスワードを変更する時期であると判定すると(ステップS12:YES)、調整不能時刻情報を用いて認証パスワードを生成し、認証情報記憶部61に記憶された現在の認証パスワードを、この生成した認証パスワードへ更新する(ステップS13)。調整不能時刻情報を用いた認証パスワードの生成は、例えば、調整不能時刻情報と、この調整不能時刻情報を含む計算式などの所定のアルゴリズムとを用いて行うことができる。このアルゴリズムは、管理者が担当し得る装置で一律である場合、更新される認証パスワードも各装置で一律になるため、管理者の認証パスワードの管理が容易になる。
【0044】
次に、本実施の形態の変形例における認証パスワードの更新について説明する。
【0045】
図3は、本変形例における認証パスワードの更新を説明するためのフローチャートである。
【0046】
なお、図3に示す処理は、パスワード更新処理(ステップS23)が図2に示すパスワード更新処理(ステップS13)と相違すること以外は、図2に示す処理と同様にすることができる。そのため、詳細な説明は省略する。
【0047】
まず、取得部52は、調整不能時刻情報記憶部62から調整不能時刻情報を取得する(ステップS21)。
【0048】
更新部53は、取得部52によって取得された調整不能時刻情報から、認証パスワードを変更する時期であるかを判定する(ステップS22)。
【0049】
更新部53は、認証パスワードを変更する時期ではないと判定すると(ステップS22:NO)、処理を終了する。
【0050】
更新部53は、認証パスワードを変更する時期であると判定すると(ステップS22:YES)、調整不能時刻情報の時刻に基づいて、認証情報記憶部61に記憶された複数の認証パスワードの中から、その時刻に対応する認証パスワードを選択し、この選択した認証パスワードへ、認証情報記憶部61に記憶された現在の認証パスワードを更新する(ステップS23)。そして、図3に示す処理が終了する。
【0051】
ここで、調整不能時刻情報の時刻に基づく認証パスワードの選択については、上述のように、例えば、図4に示すように認証情報記憶部61が2020年用の認証パスワード「85930」、2021年用の認証パスワード「17422」、及び2022年用の認証パスワード「34719」を記憶していて、調整不能時刻情報が2021年のものである場合には、認証パスワード「17422」が選択されることになる。なお、このように認証情報記憶部61に調整不能時刻情報の時刻に応じた複数の認証パスワードが記憶されている場合でも、各認証パスワードは、1度(例えば1年)のみ使用されるものである必要はなく、例えば、3つの認証パスワードが1年ごとに更新されることで、各認証パスワードが3年ごとに用いられてもよい。この場合でも、各認証パスワードは、調整不能時刻情報の時刻に応じた認証パスワードということができる。
【0052】
例えば、認証パスワードが「85930」であることを知っているユーザが、退職などにより認証パスワードを知らされる立場ではなくなったとき、たとえ印刷装置1の認証パスワードを所定の時刻で更新したとしても、認証パスワードが5桁の数字の組み合わせであることは容易に推測できる。この場合、時間はかかるものの、数字の組み合わせを総当たりで入力することにより、正常に認証されることがあり得る。したがって例えば10回連続で認証パスワードを間違えた場合には、当該印刷装置1のメンテナンスモードを実行不能にする、あるいは一定時間パスワードの入力を無効にするなどの処理を搭載しておくことが望ましい。
【0053】
以上説明した本実施の形態では、認証装置の一例である印刷装置1は、認証情報(例えば、認証パスワード)を記憶する認証情報記憶部61と、この認証情報記憶部61に記憶された認証情報と入力された入力情報(例えば、入力パスワード)とが一致するかの照合を行う認証部51と、変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部62と、この調整不能時刻情報記憶部62に記憶された調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新する更新部53とを備える。
【0054】
方法の観点では、コンピュータ(例えば、制御部50又は印刷装置1)によって行われる認証情報更新方法は、変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部62から調整不能時刻情報を取得すること(ステップS11,S21)と、取得された調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新すること(ステップS13,S23)とを含む。
【0055】
プログラムの観点では、プログラムは、変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部62から前記調整不能時刻情報を取得する機能(ステップS11,S21)と、取得された調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新する機能(ステップS13,S23)とをコンピュータ(例えば、制御部50又は印刷装置1)に実現させる。
【0056】
このように、調整不能時刻情報記憶部62に記憶された調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新することで、実際の時刻に応じて認証情報を更新することができる。この実際の時刻に基づいて設定される認証情報を、管理者が所属する所属会社などが予め把握しておくことで、所定周期ごと(例えば1年ごと)に所属会社などが管理者に文書、メールなどで周知することができる。そのため、以前使用されていた認証情報が流出していても、例えば、認証情報を周知されないユーザによる不適切なメンテナンスで装置の機能を十分に発揮できなかったり装置の故障を招いたりするのを回避することができる。ところで、例えば、調整不能時刻情報ではなく調整可能時刻情報に基づいて認証情報を更新する態様(比較例)では、以前使用されていた認証情報が流出した場合に、印刷装置1に対して調整可能時刻情報の時刻を戻す調整により、その時刻に対応する認証情報で認証が可能となり流出した認証情報が設定され続ける。しかし、本実施の形態では、実際の時刻である調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新することで、時刻の調整によって以前使用されていた認証情報が設定され続けるのを回避し、認証情報を更新することができる。また、調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新することで、認証装置をサーバに接続して新規の認証情報を取得する処理や、管理者による特定のデバイスを用いた或いは手動の認証情報の設定を省略することもできる。さらに、ネットワークに接続されていない、オフラインで動作する印刷装置1においても、流出した認証パスワードが使い続けられることを防止できる。よって、本実施の形態によれば、認証情報の秘匿性を簡単に高めることができる。更には、認証装置が印刷装置1等の被メンテナンス装置である場合には、認証情報の秘匿性を高めることで、不適切なメンテナンスが行われて装置の機能を十分に発揮できなかったり装置の故障を招いたりするのを回避することもできる。なお、中古の印刷装置1などは、製造・販売会社の管理下に置かれず、自由に中古機市場に流通することがある。このような中古機においては、自動的に認証パスワードを更新する仕組みがないと、認証パスワードが流出した場合に不適切なメンテナンスが行われ続けてしまう可能性がある。
【0057】
また、本実施の形態では、更新部53は、調整不能時刻情報を用いて、認証情報を生成する(ステップS13)。例えば、更新部53は、調整不能時刻情報と所定のアルゴリズム(計算式など)とを用いて、詳細情報を生成する。
【0058】
これにより、管理者の所属会社などがアルゴリズムを予め把握しておくことで、管理者などが新たな認証情報を把握しやすくなる。また、複数の認証装置で例えば共通のアルゴリズムを用いることで共通の認証情報に更新することができるため、管理者が複数の認証装置それぞれの認証情報を管理する手間を省くことができる。
【0059】
また、本実施の形態の変形例では、認証情報記憶部61は、調整不能時刻情報の時刻に応じた複数の認証情報を記憶し、更新部53は、調整不能時刻情報の時刻に基づいて認証情報記憶部61に記憶された複数の認証情報から認証情報を選択する(ステップS23)。
【0060】
これにより、管理者の所属会社などが認証情報記憶部61に記憶された複数の認証情報を予め把握しておくことで、管理者などが新たな認証情報を把握しやすくなる。また、時刻に応じた複数の認証情報を複数の認証装置で共通のものとすることで共通の認証情報に更新することができるため、管理者が複数の認証装置それぞれの認証情報を管理する手間を省くことができる。
【0061】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0062】
[付記1]
認証情報を記憶する認証情報記憶部と、
前記認証情報記憶部に記憶された前記認証情報と、入力された入力情報とが一致するかの照合を行う認証部と、
変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部と、
前記調整不能時刻情報記憶部に記憶された前記調整不能時刻情報に基づいて前記認証情報を更新する更新部と
を備えることを特徴とする認証装置。
【0063】
[付記2]
前記認証情報記憶部は、前記調整不能時刻情報の時刻に応じた複数の前記認証情報を記憶し、
前記更新部は、前記調整不能時刻情報の時刻に基づいて前記認証情報記憶部に記憶された前記複数の認証情報から前記認証情報を選択する
ことを特徴とする付記1記載の認証装置。
【0064】
[付記3]
コンピュータによって行われる認証情報更新方法であって、
変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部から前記調整不能時刻情報を取得することと、
取得された前記調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新することと
を含むことを特徴とする認証情報更新方法。
【0065】
[付記4]
変更調整不能な調整不能時刻情報を記憶する調整不能時刻情報記憶部から前記調整不能時刻情報を取得する機能と、
取得された前記調整不能時刻情報に基づいて認証情報を更新する機能と
をコンピュータに実現させるプログラム。
【符号の説明】
【0066】
1 印刷装置(認証装置)
10 媒体供給部
20 搬送部
30 印刷部
40 媒体排出部
50 制御部
51 認証部
52 取得部
53 更新部
54 メンテナンスモード制御部
60 記憶部
61 認証情報記憶部
62 調整不能時刻情報記憶部
70 操作パネル
71 表示部
72 入力部
80 インターフェース部
図1
図2
図3
図4