(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117874
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】眉毛カバー付き衛生キャップ
(51)【国際特許分類】
A42B 1/012 20210101AFI20240823BHJP
A42B 1/0188 20210101ALI20240823BHJP
A42B 1/04 20210101ALI20240823BHJP
【FI】
A42B1/012
A42B1/0188 Z
A42B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023935
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】592124137
【氏名又は名称】株式会社サンロード
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】水本 欣彦
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 陽子
(72)【発明者】
【氏名】高見 敏明
(57)【要約】
【課題】眉弓やその周辺への圧迫感が小さい眉毛カバー付き衛生キャップを提供する。
【解決手段】頭部を覆う帽体の開口部に両眉を覆う眉毛カバーを設けた眉毛カバー付き衛生キャップであって、前記眉毛カバーは非伸縮性生地からなり、該眉毛カバーと前記帽体の前記開口部の上縁部同士を左右の伸び代を有して伸縮自在に縫着した。眉毛カバーの素材としては、エレクトレット加工を施した不織布を用いる。また、帽体の開口部は額から襟首に向かって装着可能とし、該開口部の左右縁部それぞれにU字状の顎掛けバンドの両端を縫着する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部を覆う帽体の開口部に両眉を覆う眉毛カバーを設けた眉毛カバー付き衛生キャップであって、前記眉毛カバーは非伸縮性生地からなり、該眉毛カバーと前記帽体の前記開口部の上縁部同士を伸び代を有して横方向に伸縮自在に縫着したことを特徴とする眉毛カバー付き衛生キャップ。
【請求項2】
眉毛カバーは、エレクトレット加工を施した不織布である請求項1記載の眉毛カバー付き衛生キャップ。
【請求項3】
帽体の開口部は、全周が周方向にわたって伸縮性を有する請求項1または2記載の眉毛カバー付き衛生キャップ。
【請求項4】
帽体の開口部は額から襟首に向かって装着可能とし、該開口部の左右縁部それぞれにU字状の顎掛けバンドの両端を縫着した請求項3記載の眉毛カバー付き衛生キャップ。
【請求項5】
顎掛けバンドは、1本の平ゴムからなる請求項4記載の眉毛カバー付き衛生キャップ。
【請求項6】
顎掛けバンドは、左右一対の非伸縮性生地の一端部それぞれを帽体の開口部の左右縁部に縫着すると共に、当該一対の非伸縮性生地の遊端部同士を止め合わせ自在とした請求項4記載の眉毛カバー付き衛生キャップ。
【請求項7】
顎掛けバンドは、面ファスナーによって2本の非伸縮性生地の遊端部同士の止め合わせ位置を調整可能とした請求項6記載の眉毛カバー付き衛生キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品関係や電子部品等の製造または包装に従事する作業者が、毛髪やフケ等の脱落を効果的に防止するために利用する衛生キャップの改良に係り、作業者からの眉毛落下をも防止する眉毛カバー付き衛生キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品工場や製薬工場などのように衛生上の注意を払う必要がある場所や、半導体等の電子部品の製造ラインのように塵の飛散を回避する必要がある場所において、そこでの作業に従事する作業者が落とす毛髪やフケ、あるいは塵などは、衛生上または品質管理上の弊害が大きいため、作業者の頭を完全に覆う形態の衛生キャップが広く利用されている。
【0003】
しかし、一般的な衛生キャップでは、作業者の眉まで完全に被うことができないため、眉毛の脱落による環境汚染を効果的に解消することは困難であった。
【0004】
そこで本出願人は、着用者の頭部を覆うように袋状に構成した帽体の開口部の上縁側に沿って非伸縮性の前側連結部を逢着し、この前側連結部に、前記着用者の両眉を覆うと同時に額をも覆う上下方向に幅広の伸縮性素材からなる眉毛カバーを設け、前記帽体の前記着用者の両耳を覆う左右部分には前記前側連結部に連続して耳部を形成し、この耳部に対して前記眉毛カバーの両端部を逢着するとともに、前記眉毛カバーの両側には伸縮性素材からなるU字状の顎掛け部の両端部を逢着した眉毛カバー付きの衛生キャップを提案した(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の衛生キャップは、幅広の眉毛カバーが着用者の眉毛を含む額全体を全面接触の状態で覆うことで、より確実に眉毛の落下が防止できるのであるが、眉毛カバーが伸縮性素材からなるため、長時間使用すると眉毛カバーが伸縮性によって肌に密着することになり、眉弓やその周辺の額や瞼、こめかみに圧迫感が生じたり、頭囲に締め付け感が生じることがあった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、眉毛の落下を防止しつつ、圧迫感や締め付け感が少ない眉毛カバー付き衛生キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成するために本発明では、頭部を覆う帽体の開口部に両眉を覆う眉毛カバーを設けた眉毛カバー付き衛生キャップであって、前記眉毛カバーは非伸縮性生地からなり、該眉毛カバーと前記帽体の前記開口部の上縁部同士を伸び代を有して横方向に伸縮自在に縫着するという手段を用いた。
【0009】
当該手段による衛生キャップによれば、帽体による頭髪の落下防止と同時に、眉毛カバーによる眉毛の落下防止が図られる。そして本発明では、非伸縮性生地からなる眉毛カバーを用い、その一部分(上縁部)のみを伸び代を有して横方向に伸縮自在に縫着しているため、着用時には、伸縮自在な縫着部(の伸び代)が伸びて、当該縫着部周辺のフィット性が確保される一方、眉毛カバーそのもの(カバー面)は伸縮せずに両眉を軽く覆うだけであるから眉弓やその近辺に圧迫感や締め付け感が生じない。
【0010】
また、眉毛カバーをエレクトレット加工を施した不織布で構成すれば、眉毛の捕集効果が高まると共に、不織布以外の例えば平ゴム等の伸縮性生地で構成した場合と比べて、眉毛カバーを薄く、且つ、軽量化することができる。キャップの主体となる帽体の素材については、眉毛カバーと同じものを用いることができる他、眉毛カバーと別の素材によって帽体を構成することも可能であり、従来公知の素材から選択すれば良い。
【0011】
なお、帽体の開口部は、全周が周方向にわたって伸縮性を有するものとすれば、着用時のズレを抑制することができる。
【0012】
さらに、帽体の開口部は額から襟首に向かって装着可能とし、該開口部の左右縁部それぞれにU字状の顎掛けバンドの両端を縫着すれば、ズレをより確実に防止し、帽体と共に眉毛カバーも正しい位置に保持することができる。
【0013】
顎掛けバンドは伸縮性の有無を問わないが、1本の平ゴムから構成すれば、着用時に顎に掛けるだけで済む。また、その伸縮性によって顔の大小を吸収することができる。
【0014】
さらに、平ゴムの幅を十分な幅(2cm以上が目安)とすれば、着用時に顎掛けバンドによってもみあげの毛の落下も防止できるようになる。
【0015】
一方、顎掛けバンドとして、顎掛けバンドは、左右一対の非伸縮性生地の一端部それぞれを帽体の開口部の左右縁部に縫着すると共に、当該一対の非伸縮性生地の遊端部同士を止め合わせ自在としたものであってよい。この手段では、着用者が自身のサイズに合わせてバンド遊端部の止め合わせ位置を決定し、長さ調整をすることができる。その止め合わせ手段面ファスナーによるのが簡便である。ただし、長さ調整のために遊端部を着脱自在に止め合わせる手段であれば、バックルなどの他の公知技術を採用することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、眉毛カバーによる圧迫感や締め付け感が小さく、長時間にわたって使用感が良好な眉毛カバー付き衛生キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る眉毛カバー付き衛生キャップの着用イメージを示す斜視図
【
図4】本発明の第二の実施形態に係る眉毛カバー付き衛生キャップの着用イメージを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明において最低限必要な構成を示した概念図であって、1は帽体、2は眉毛カバーである。帽体1は顔面を露出する開口部20を有した袋状である。そして、この帽体1の開口部4と眉毛カバー2の上縁部同士を、弾性的な縫着部4によって伸び代を有して横方向に伸縮自在に縫着している。これによって、眉毛カバー2による圧迫感や締め付け感が小さく、長時間にわたって使用感が良好な眉毛カバー付き衛生キャップを提供するのであるが、細部について種々変更が可能であるので、以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
【0019】
図1・
図2は、本発明の第一の実施形態に係る眉毛カバー付き衛生キャップの着用イメージを示し、図中、1は帽体、2は眉毛カバー、3は顎掛けバンドである。
【0020】
帽体1は、本キャップの主体として、顔面を露出する開口部を備えつつ、頭髪の落下を防止するために頭部を覆う形態とする必要があるところ、この実施形態では、頭頂部1aと側頭部1bとによって袋状となるように立体的に縫製している。この構成において頭頂部1aは主に着用者の頭頂部を覆い、側頭部1bは側頭部と後頭部を覆う。ただし、この構成に限定するものではなく、頭部全体を覆うように袋状に構成されていればよい。また、素材についても特に限定するものではないが、例えば毛髪や塵等の吸着性に優れたエレクトレット加工を施した生地(所謂電石シート)を採用することが好ましい。また、頭頂部1aは、蒸れを軽減するために通気性を確保する観点からメッシュ地が採用されることもある。さらに、側頭部1bは、左右に分割されていてもよく、両耳位置に相当する部分は耳部1cを形成して、当該耳部1cもメッシュ地とするなど、周囲の音が遮蔽されないようにすることも可能である。
【0021】
眉毛カバー2は、縦幅は額(の生え際)から瞼の少し上までを覆い、横幅は左右のこめかみに至るサイズとした横長のはちまき状に形成され、その素材は非伸縮性生地である。非伸縮性生地として不織布を採用することで薄さと軽量化を図りつつ、眉毛の落下を防止することができる。特に、上述したエレクトレット加工を施した不織布を採用することで、抜けた眉毛を吸着して落下させることなく捕捉することができる。
【0022】
そして、この眉毛カバー2を帽体1の開口部に縫着しているのであるが、本発明では両者の上縁部同士を、伸び代を有して横方向に伸縮自在なゴム縫い等の縫着部4によって縫着している。この点、
図1は着用イメージであるため、当該縫着部4がある程度伸びた状態となっているが、着用前は当該縫着部4は皺が寄ったギャザー状を示す。
【0023】
なお、眉毛カバー2の下縁部は裁ち目かがり5を施すことによって、より確実に眉毛の落下を防止することができる。ただし、この部分はカバー面と同様に伸縮性を有しないため、圧迫感や締め付け感は生じない。
【0024】
ところで、この実施形態の場合、帽体1については、その開口部を額から襟首に向かって装着するものとしている。そして、当該開口部を、上述した縫着部4と、該縫着部4の両端から襟首に至って伸縮自在なU字状開口縁部6とにより構成することで、その全周を周方向に伸縮するように構成している。したがって、着用時に当該開口部が収縮することによって肌に密着し、頭髪の落下をより確実に防止することができる。
【0025】
しかし、こうした開口部の収縮度が強すぎると圧迫感や締め付け感が生じるので、頭髪の落下を防止するのに必要最小限の収縮度とすることが好ましいが、そうすると今度は開口部が緩くなり、着用者の動作によってキャップが浮き上がるおそれがある。
【0026】
そこで、本実施形態ではU字状の顎掛けバンド3を採用している。即ち、顎掛けバンド3は、帽体開口部のU字状開口縁部6の左右縁部に沿って縫着すると共に、その両端部を眉毛カバーの両端部に重ねつつ、帽体開口部の縫着部4に縫着している。したがって、顎掛けバンド3によってキャップの浮き上がりを確実に防止することができる。
【0027】
また、この実施形態において顎掛けバンド3は、もみあげを被覆可能な幅の1本の平ゴムで構成している。したがって、帽体1や眉毛カバー2によっては補足できないもみあげの毛を顎掛けバンド3によって捕捉することができるようになる。
【0028】
なお、7は平ゴム等の伸縮性を有する襟巻バンドであって、帽体1の開口部におけるU字状開口縁部6に襟首に沿って縫着すると共に、両端部を顎掛けバンド3の中途に縫着してなる。したがって、キャップ着用時に、この襟巻バンド7を襟首に回し掛けることによって、帽体1や眉カバー2だけではなく、顎掛けバンド3のズレをも防止することができる。ただし、襟巻バンドは非伸縮性の生地で構成してもよい。
【0029】
当該実施形態の眉毛カバー付き衛生キャップによれば、着用時に、伸縮自在な縫着部4が伸びて額(の生え際)に対するフィット性が確保される一方、眉毛カバー2そのもの(カバー面)は伸縮せず両眉を軽く覆うだけであるから、眉弓やその近辺に圧迫感や締め付け感が生じない。さらに、顎掛け部3の両端部を眉毛カバー2の両側に上から重ね合わせて縫着しているため、顎掛け部3を顎に掛けたときの引っ張り力によって眉毛カバー2の両側が下方に引っ張られ、もって眉毛カバー2を含めてキャップ全体の浮き上がりが防止され、常に着用者の両眉を眉毛カバー2で覆った状態を維持することができる。
【0030】
図4は、本発明の第二の実施形態を示しており、第一実施形態との違いは、顎掛けバンド10を平ゴムからナイロン等の非伸縮性生地に変更した点にあり、その他の構成は第一実施形態と同じである。
【0031】
即ち、この第二実施形態における顎掛けバンド10を詳述すると、左右一対のバンド体11・12からなり、両者先端同士を雄雌の面ファスナー13・14により着脱自在に止め合わせるようにしている。なお、バンド体11・12の基端部は二股として、それぞれを帽体1における開口部のU字状開口縁部6に縫着している。これによって、バンド体11・12を止め合わせたとき、二股の基端部の2個所(左右で合計4個所)に帽体1を引張下げる力が働くため、より確実に帽体1の浮き上がりを防止することができる。ただし、バンド体11・12の基端部構造はこれに限定されず、これと同時に、バンド体11・12の止め合わせ手段も、止め合わせ位置(バンド長さ)が調整可能な着脱手段であれば、バックルなどの公知技術を採用することができる。
【0032】
なお、眼鏡を必要とする着用者のために、側頭部1bと耳部1cとの間の一部に未縫着部分を設けるなどして、眼鏡のテンプル(耳掛け用のつる)を挿通する挿通孔を形成することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 帽体
1a 頭頂部
1b 側頭部
1c 耳部
2 眉毛カバー
3・10 顎掛けバンド
4 伸縮自在な縫着部
20 開口部