(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117881
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ズームレンズ、およびそれを有する撮像装置、撮像システム
(51)【国際特許分類】
G02B 15/20 20060101AFI20240823BHJP
G02B 13/18 20060101ALN20240823BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023947
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】仲田 丈晴
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA15
2H087MA17
2H087MA19
2H087PA11
2H087PA12
2H087PA16
2H087PB16
2H087PB17
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA14
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA32
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087SA57
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SA72
2H087SA73
2H087SA75
2H087SB04
2H087SB14
2H087SB22
2H087SB32
2H087SB33
2H087SB43
2H087SB44
(57)【要約】
【課題】全系が小型でありながら全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有するポジティブリード型のズームレンズを提供する。
【解決手段】ズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、1または複数のレンズ群を含む後続群LRからなり、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズである。第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、第1正レンズG1、第2正レンズG2、第1負レンズG3を含む。第1レンズ群の焦点距離f1、第2レンズ群の焦点距離f2、第2正レンズの焦点距離fG2、第1負レンズの焦点距離fG3は、所定の条件式を満足する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1または複数のレンズ群を含む後続群からなり、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、第1正レンズ、第2正レンズ、第1負レンズを含み、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記第2正レンズの焦点距離をfG2、前記第1負レンズの焦点距離をfG3とするとき、
0.00<f1/(-f2)<3.75
0.00<fG2/(-fG3)<1.02
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第1レンズ群に含まれる全ての正レンズの材料のd線におけるアッベ数の平均値をνdL1paveとするとき、
60<νdL1pave<100
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第1正レンズの焦点距離をfG1とするとき、
0.5<fG1/f1<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
0.5<fG2/f1<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項5】
無限遠物体合焦時の望遠端における前記第2レンズ群の横倍率をβ2t、無限遠物体合焦時の広角端における前記第2レンズ群の横倍率をβ2wとするとき、
1.8<β2t/β2w<3.5
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項6】
望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をftとするとき、
0.4<f1/ft<1.2
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項7】
広角端における前記ズームレンズにおいて最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離の空気換算量をBFw、広角端における前記ズームレンズにおいて最も物体側に配置されたレンズの物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離の空気換算長をTTLwとするとき、
0.10<BFw/TTLw<0.35
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1正レンズ、前記第2正レンズ、前記第1負レンズから構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記後続群は、1または複数のフォーカスレンズ群を含むことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記1または複数のフォーカスレンズ群は、負の屈折力のフォーカスレンズ群を含むことを特徴とする請求項9に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記後続群は、像振れ補正に際して光軸に対して垂直な方向の成分を含む方向へ移動する1または複数の防振群を含むことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記後続群は、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、負の屈折力の第6レンズ群、正の屈折力の第7レンズ群から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記第2レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際し、像面に対して固定されていることを特徴とする請求項12に記載のズームレンズ。
【請求項14】
前記後続群は、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、負の屈折力の第6レンズ群、正の屈折力の第7レンズ群、負の屈折力の第8レンズ群から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項15】
前記第2レンズ群および前記第8レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際し、像面に対して固定されていることを特徴とする請求項14に記載のズームレンズ。
【請求項16】
前記後続群は、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、負の屈折力の第5レンズ群、正の屈折力の第6レンズ群、負の屈折力の第7レンズ群、正の屈折力の第8レンズ群、負の屈折力の第9レンズ群から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項17】
前記第1レンズ群、前記第4レンズ群、前記第6レンズ群、および前記第9レンズ群、広角端から望遠端へのズーミングに際し、像面に対して固定されていることを特徴とする請求項16に記載のズームレンズ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のズームレンズと、該ズームレンズによって形成された像を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか一項に記載のズームレンズと、ズーミングに際して前記ズームレンズを制御する制御部を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項20】
前記制御部は、前記ズームレンズとは別体として構成されており、前記ズームレンズを制御するための制御信号を送信する送信部を有することを特徴とする請求項19に記載の撮像システム。
【請求項21】
前記制御部は、前記ズームレンズとは別体として構成されており、前記ズームレンズを操作するための操作部を有することを特徴とする請求項19に記載の撮像システム。
【請求項22】
前記ズームレンズのズームに関する情報を表示する表示部を有することを特徴とする請求項19に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズに関し、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、放送用カメラ、監視用カメラ、車載カメラ、銀塩フィルム用カメラ等の撮像装置に用いられる撮像光学系として好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像装置に用いられる撮像光学系は、全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有した小型のズームレンズであることが望まれている。
【0003】
従来、最も物体側に正の屈折力のレンズ群が配置されたポジティブリード型のズームレンズが提案されている。特許文献1には、物体側から順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、複数のレンズ群を含む後続群からなるポジティブリード型の望遠ズームレンズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ポジティブリード型のズームレンズにおいて、全系の小型化のために、最も物体側に配置された正の屈折力のレンズ群の屈折力を強くすると、球面収差や色収差等の諸収差が増大する。これらの諸収差を低減するためには、各レンズ群および各レンズ群に含まれるレンズの屈折力を適切に設定することが重要である。
【0006】
本発明は、全系が小型でありながら全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有するポジティブリード型のズームレンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1または複数のレンズ群を含む後続群からなり、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、第1正レンズ、第2正レンズ、第1負レンズを含み、前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記第2正レンズの焦点距離をfG2、前記第1負レンズの焦点距離をfG3とするとき、
0.00<f1/(-f2)<3.75
0.00<fG2/(-fG3)<1.02
なる条件式を満足することを特徴とする。
【0008】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、全系が小型でありながら全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有するポジティブリード型のズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1のズームレンズの広角端及び望遠端における無限遠物体合焦時のレンズ断面図である。
【
図2】実施例1のズームレンズの(a)広角端及び(b)望遠端における無限遠物体合焦時の縦収差図である。
【
図3】実施例2のズームレンズの広角端及び望遠端における無限遠物体合焦時のレンズ断面図である。
【
図4】実施例2のズームレンズの(a)広角端及び(b)望遠端における無限遠物体合焦時の縦収差図である。
【
図5】実施例3のズームレンズの広角端及び望遠端における無限遠物体合焦時のレンズ断面図である。
【
図6】実施例3のズームレンズの(a)広角端及び(b)望遠端における無限遠物体合焦時の縦収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のズームレンズおよびそれを有する撮像装置、撮像システムの実施例について、添付の図面に基づいて説明する。
【0012】
図1、
図3、
図5は、それぞれ実施例1乃至3のズームレンズの広角端(WIDE)および望遠端(TELE)における無限遠合焦時のレンズ断面図である。各実施例のズームレンズは、デジタルスチルカメラ、銀塩フィルムカメラ、デジタルビデオカメラ、監視用カメラ、放送用カメラ、車載カメラなどの撮像装置に用いられるズームレンズである。
【0013】
各レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。各実施例のズームレンズは、複数のレンズ群を有して構成されている。本願明細書においてレンズ群とは、ズーミングに際して一体的に移動または静止するレンズのまとまりである。すなわち、各実施例のズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群同士の間隔が変化する。なお、レンズ群は1枚のレンズから構成されていてもよいし、複数のレンズから成っていてもよい。また、レンズ群は開口絞りを含んでいてもよい。
【0014】
各レンズ断面図において、Liは、ズームレンズのうち物体側から数えて第i番目(iは自然数)のレンズ群を表している。LRは、複数のレンズ群を含む後続群である。
【0015】
また、SPは開口絞りである。開口絞りSPは、開放Fナンバー(Fno)の光束を決定(制限)する。IPは像面であり、各実施例のズームレンズをデジタルスチルカメラやビデオカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例のズームレンズを銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際には像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
【0016】
光軸方向の矢印は、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際して移動するフォーカスレンズ群の移動方向を示している。また、各レンズ群の下に記載の実線の矢印は、広角端から望遠端へのズーミングにおける各レンズ群の移動軌跡を示している。なお、各レンズ群の下に記載の垂直方向の破線は、広角端から望遠端へのズーミングに際して各レンズ群が像面IPに対して固定されていることを示している。光軸に垂直な方向の両矢印は、手振れ補正(像振れ補正)に際してのレンズ群の移動を示している。
【0017】
なお、以下の各実施例において広角端と望遠端はズーミング用のレンズ群が機構上、光軸上を移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
【0018】
図2、
図4、
図6は、それぞれ実施例1乃至3のズームレンズの無限遠合焦時における収差図である。(a)は広角端における収差図を示し、(b)は望遠端における収差図を示す。
【0019】
球面収差図において、FnoはFナンバーであり、d線(波長587.56nm)、g線(波長435.84nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図においてSはd線におけるサジタル像面での非点収差量、Mはd線におけるメリディオナル像面での非点収差量を示している。歪曲収差図においてd線に対する歪曲収差量を示している。色収差図ではg線における色収差量を示している。ωは撮像半画角(°)(近軸計算における画角)であり、光線追跡値による画角を示す。
【0020】
次に、各実施例のズームレンズにおける特徴的な構成について述べる。
【0021】
各実施例のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1と、負の屈折力の第2レンズ群L2と、1または複数のレンズ群を含む後続群LRからなる。各実施例のズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化する。第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に配置された、第1正レンズG1、第2正レンズG2、第1負レンズG3を含む。
【0022】
さらに、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(1)および(2)を満足する。ここで、第1レンズ群L1の焦点距離をf1とする。第2レンズ群L2の焦点距離をf2とする。第2正レンズG2の焦点距離をfG2とする。第1負レンズG3の焦点距離をfG3とする。
【0023】
0.00<f1/(-f2)<3.75 ・・・(1)
0.00<fG2/(-fG3)<1.02 ・・・(2)
条件式(1)は、第1レンズ群L1の焦点距離f1と第2レンズ群L2の焦点距離f2との比を規定した条件式である。条件式(1)の上限値を上回るほど第1レンズ群L1の屈折力が弱くなると、ズームレンズの大型化を招く。なお、条件式(1)の下限値を下回ることはない。
【0024】
条件式(2)は、第2正レンズG2の焦点距離fG2と第1負レンズG3の焦点距離fG3との比を規定した条件式である。条件式(2)の上限値を上回るほど第2正レンズG2の屈折力が弱くなると、球面収差や色収差の補正が困難となる。なお、条件式(2)の下限値を下回ることはない。
【0025】
なお、条件式(1)、(2)の数値範囲は、以下の条件式(1a)、(2a)の範囲とすることがより好ましい。
【0026】
1.50<f1/(-f2)<3.65 ・・・(1a)
0.30<fG2/(-fG3)<0.98 ・・・(2a)
また、条件式(1)、(2)の数値範囲は、以下の条件式(1b)、(2b)の範囲とすることがさらに好ましい。
【0027】
3.00<f1/(-f2)<3.56 ・・・(1b)
0.60<fG2/(-fG3)<0.95 ・・・(2b)
以上説明したように、各実施例のズームレンズは、条件式(1)および(2)を満足するように構成されている。これにより、全系が小型でありながら全ズーム範囲にわたり高い光学性能を有するポジティブリード型の望遠ズームレンズを提供することができる。
【0028】
次に、各実施例に係るズームレンズにおいて、満足することが好ましい構成について述べる。
【0029】
各実施例のズームレンズにおいて、後続群LRは、1または複数のフォーカスレンズ群を含むことが好ましい。また、1または複数のフォーカスレンズ群のうち少なくとも1つのフォーカスレンズ群は、負の屈折力を有することが好ましい。これにより、近距離物体から遠距離物体へのフォーカシングにわたり高い光学性能を実現できる。
【0030】
各実施例のズームレンズにおいて、後続群LRは、1または複数の防振群を含むことが好ましい。ここで、防振群とは、像ぶれ補正に際して光軸に対して垂直な方向の成分を含む方向へ移動するレンズ群あるいはレンズ群の一部である。これにより、高い防振性能を実現できる。
【0031】
次に、各実施例に係るズームレンズにおいて、満足することが好ましい条件について述べる。各実施例に係るズームレンズは、以下の条件式(3)乃至(10)のうち1つ以上を満足することが好ましい。
【0032】
ここで、第1レンズ群L1に含まれる全ての正レンズの材料のd線におけるアッベ数の平均値をνdL1paveとする。第1正レンズG1の焦点距離をfG1とする。無限遠物体合焦時の望遠端における第2レンズ群L2の横倍率をβ2t、無限遠物体合焦時の広角端における第2レンズ群L2の横倍率をβ2wとする。望遠端におけるズームレンズの焦点距離をftとする。無限遠物体合焦時の広角端におけるズームレンズにおいて最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離の空気換算量(フィルター等の平行平板を除去したときの距離)(バックフォーカス)をBFwとする。無限遠物体合焦時の広角端におけるズームレンズにおいて最も物体側に配置されたレンズの物体側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離の空気換算長(フィルター等の平行平板を除去したときの全長)(レンズ全長)をTTLwとする。
【0033】
60<νdL1pave<100 ・・・(3)
0.5<fG1/f1<2.0 ・・・(4)
0.5<fG2/f1<2.0 ・・・(5)
1.8<β2t/β2w<3.5 ・・・(6)
0.4<f1/ft<1.2 ・・・(7)
0.10<BFw/TTLw<0.35 ・・・(8)
条件式(3)は、第1レンズ群L1に含まれる全ての正レンズの材料のアッベ数の平均値νdL1paveの数値範囲を規定した条件式である。条件式(3)の数値範囲外になると、色収差補正が困難となるため好ましくない。
【0034】
条件式(4)は、第1正レンズG1の焦点距離fG1と第1レンズ群L1の焦点距離f1との比を規定した条件式である。条件式(4)の上限値を上回るほど第1正レンズG1の屈折力が弱まると、ズームレンズの大型化を招くため好ましくない。条件式(4)の下限値を下回るほど第1正レンズG1の屈折力が強くなると、球面収差の補正が困難となるため好ましくない。
【0035】
条件式(5)は、第2正レンズG2の焦点距離fG2と第1レンズ群L1の焦点距離f1との比を規定した条件式である。条件式(5)の上限値を上回るほど第2正レンズG2の屈折力が弱まると、ズームレンズの大型化を招くため好ましくない。条件式(5)の下限値を下回るほど第2正レンズG2の屈折力が強くなると、球面収差の補正が困難となるため好ましくない。
【0036】
条件式(6)は、無限遠物体合焦時の望遠端における第2レンズ群L2の横倍率β2tと無限遠物体合焦時の広角端における第2レンズ群L2の横倍率β2wとの比を規定した条件式である。条件式(6)の数値範囲外になると、全ズーム範囲にわたり収差補正が困難となり好ましくない。
【0037】
条件式(7)は、第1レンズ群L1の焦点距離f1と望遠端におけるズームレンズの焦点距離ftとの比を規定した条件式である。条件式(7)の上限値を上回るほど第1レンズ群L1の屈折力が弱くなると、ズームレンズの大型化を招くため好ましくない。条件式(7)の下限値を下回るほど第1レンズ群L1の屈折力が強くなると、球面収差の補正が困難となるため好ましくない。
【0038】
条件式(8)は、無限遠物体合焦時の広角端におけるズームレンズのバックフォーカスBFwと無限遠物体合焦時の広角端におけるズームレンズのレンズ全長TTLwとの比を規定した条件式である。条件式(8)の上限値を上回ると、テレセントリック性は高くなるが、ズームレンズの大型化を招くため好ましくない。条件式(8)の下限値を下回ると、テレセントリック性の確保が困難となるため好ましくない。
【0039】
さらに、条件式(3)乃至(8)の数値範囲を以下の条件式(3a)乃至(8a)の範囲とすることがより好ましい。
【0040】
70<νdL1pave<100 ・・・(3a)
0.79<fG1/f1<1.72 ・・・(4a)
0.84<fG2/f1<1.66 ・・・(5a)
2.09<β2t/β2w<3.26 ・・・(6a)
0.56<f1/ft<1.03 ・・・(7a)
0.13<BFw/TTLw<0.29 ・・・(8a)
また、条件式(3a)乃至(8a)の数値範囲を(3b)乃至(8b)の範囲とすることがさらに好ましい。
【0041】
80<νdL1pave<100 ・・・(3b)
1.06<fG1/f1<1.45 ・・・(4b)
1.18<fG2/f1<1.33 ・・・(5b)
2.30<β2t/β2w<3.05 ・・・(6b)
0.7<f1/ft<0.9 ・・・(7b)
0.16<BFw/TTLw<0.25 ・・・(8b)
次に、各実施例のズームレンズについて詳細に述べる。
【0042】
実施例1のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、後続群LRからなる。後続群LRは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第3レンズ群L3、負の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5、負の屈折力の第6レンズ群L6、正の屈折力の第7レンズ群L7からなる。広角端から望遠端へのズーミングに際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、第2レンズ群L2は像面IPに対して固定されている。フォーカシングに際し、第4レンズ群L4と第6レンズ群L6が移動する。第2レンズ群L2を光軸に対して垂直な方向の成分を含む方向へ移動させることで像ぶれ補正を行ってもよい。
【0043】
実施例2のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、後続群LRからなる。後続群LRは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第3レンズ群L3、負の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5、負の屈折力の第6レンズ群L6、正の屈折力の第7レンズ群L7、負の屈折力の第8レンズ群L8からなる。広角端から望遠端へのズーミングに際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、第2レンズ群L2と第8レンズ群L8は像面IPに対して固定されている。フォーカシングに際し、第4レンズ群L4と第6レンズ群L6が移動する。第2レンズ群L2を光軸に対して垂直な方向の成分を含む方向へ移動させることで像ぶれ補正を行ってもよい。
【0044】
実施例3のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群L1、負の屈折力の第2レンズ群L2、後続群LRからなる。後続群LRは、物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、負の屈折力の第5レンズ群L5、正の屈折力の第6レンズ群L6、負の屈折力の第7レンズ群L7、正の屈折力の第8レンズ群L8、負の屈折力の第9レンズ群L9からなる。広角端から望遠端へのズーミングに際して、隣り合うレンズ群の間隔が変化し、第1レンズ群L1と第4レンズ群L4と第6レンズ群L6と第9レンズ群L9は像面IPに対して固定されている。フォーカシングに際し、第7レンズ群L7と第8レンズ群L8が移動する。第6レンズ群L6の一部を光軸に対して垂直な方向の成分を含む方向へ移動させることで像ぶれ補正を行ってもよい。
【0045】
以下に、実施例1乃至3のそれぞれ対応する数値実施例1乃至3を示す。
【0046】
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表している。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のd線を基準としたアッベ数を表している。なお、ある材料のd線を基準としたアッべ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、νd=(Nd-1)/(NF-NC)で表される。
【0047】
なお、各数値実施例において、d、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(°)は全て各実施例のズームレンズが無限遠物体に焦点を合わせた時の値である。バックフォーカスBFはズームレンズの最終レンズ面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものである。ズームレンズのレンズ全長は、第1レンズ面(最も物体側のレンズ面)から最終レンズ面までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた値である。レンズ群は、複数のレンズから構成される場合に限らず、1枚のレンズから構成される場合も含むものとする。
【0048】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を各次数の非球面係数とするとき、
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)2}1/2]+A4×h4+A6×h6
+A8×h8+A10×h10+A12×h12
で表している。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
【0049】
(数値実施例1)
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 132.673 8.00 1.49700 81.5
2 -270.081 0.15
3 175.729 7.68 1.43875 94.7
4 -171.649 1.99 1.77250 49.6
5 3429.754 (可変)
6 ∞ 4.17
7 -288.755 1.29 1.69680 55.5
8 64.954 4.83
9 -63.305 1.29 1.49700 81.5
10 68.299 2.45 2.05090 26.9
11 151.093 (可変)
12(絞り) ∞ 0.50
13* 58.050 7.94 1.43875 94.7
14 -50.956 (可変)
15 -34.691 1.29 1.59551 39.2
16 119.781 3.41 2.00069 25.5
17 -168.446 (可変)
18 -398.535 1.29 1.84666 23.8
19 65.172 6.49 1.49700 81.5
20 -62.443 0.14
21* 46.457 7.30 1.58313 59.4
22* -60.627 (可変)
23 693.989 1.73 1.92286 20.9
24 -271.723 1.51 1.54072 47.2
25 38.480 3.65
26 311.488 1.29 1.60562 43.7
27 52.054 (可変)
28 73.620 2.65 2.05090 26.9
29 140.090 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第13面
K = 0.00000e+00 A 4=-1.26558e-06 A 6=-4.72510e-10 A 8= 3.89663e-12 A10=-1.28888e-14 A12= 1.58977e-17
第21面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.13775e-06 A 6= 1.46444e-09 A 8=-1.25477e-11 A10= 3.33087e-14 A12=-2.67452e-17
第22面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.68253e-06 A 6= 6.82671e-10 A 8=-8.63489e-12 A10= 2.25695e-14 A12=-1.49460e-17
各種データ
ズーム比 2.69
広角 中間 望遠
焦点距離 72.11 139.05 193.98
Fナンバー 2.89 2.89 2.89
半画角(°) 16.70 8.84 6.36
像高 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 174.01 219.97 240.01
BF 41.11 53.95 54.81
d 5 1.49 47.45 67.50
d11 13.80 6.64 2.00
d14 8.49 10.22 10.43
d17 16.48 6.32 2.24
d22 13.46 5.63 0.98
d27 8.14 18.73 31.01
d29 41.11 53.95 54.81
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 167.68
2 6 -49.07
3 12 63.25
4 15 -132.02
5 18 43.39
6 23 -46.73
7 28 144.68
(数値実施例2)
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 102.212 9.05 1.49700 81.5
2 -433.009 4.49
3 133.846 7.96 1.43875 94.7
4 -201.144 1.99 1.88300 40.8
5 -10744.601 (可変)
6 -575.760 1.59 1.72916 54.7
7 59.208 6.22
8 -71.449 1.50 1.53775 74.7
9 62.495 3.12 2.00069 25.5
10 140.652 (可変)
11* 59.115 8.49 1.49700 81.5
12* -55.848 (可変)
13(絞り) ∞ 8.21
14 -44.027 1.40 1.64769 33.8
15 38.247 4.98 2.05090 26.9
16 759.689 (可変)
17 -970.235 1.39 1.85478 24.8
18 33.573 7.32 1.43875 94.7
19 -82.776 0.39
20 52.778 5.33 1.85400 40.4
21* -92.938 (可変)
22 -7941.881 2.26 2.05090 26.9
23 -101.069 1.09 1.80400 46.5
24 38.784 (可変)
25 304.216 4.89 2.00100 29.1
26 -72.607 (可変)
27 -79.378 2.00 1.85478 24.8
28 -1725.596 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第11面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.50523e-07 A 6=-1.66321e-09 A 8= 1.05643e-11 A10=-2.00468e-14
第12面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.80415e-06 A 6=-2.12861e-09 A 8= 1.09387e-11 A10=-2.01501e-14
第21面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.25881e-06 A 6=-8.28085e-10 A 8= 7.28244e-12 A10=-3.39946e-14 A12= 5.04075e-17
各種データ
ズーム比 2.69
広角 中間 望遠
焦点距離 72.12 139.05 194.00
Fナンバー 2.89 2.89 2.89
半画角(°) 16.70 8.84 6.36
像高 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 190.01 222.28 235.88
BF 39.14 39.14 39.14
d 5 2.99 35.27 48.87
d10 24.71 10.77 2.05
d12 1.98 6.98 6.69
d16 12.18 4.77 2.92
d21 13.04 5.89 0.97
d24 11.29 33.60 49.35
d26 1.00 2.21 2.22
d28 39.14 39.14 39.14
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 139.48
2 6 -46.31
3 11 59.23
4 13 -183.43
5 17 51.81
6 22 -54.37
7 25 58.94
8 27 -97.40
(数値実施例3)
単位mm
面データ
面番号 r d nd νd
1 127.215 8.13 1.43875 94.7
2 -337.381 4.19
3 112.288 7.88 1.43875 94.7
4 -300.612 2.00 1.80610 33.3
5 1321.242 (可変)
6 -346.497 1.50 1.77250 49.6
7 42.653 6.92
8 -84.174 1.49 1.49700 81.5
9 49.818 3.91 2.00100 29.1
10 135.450 (可変)
11 52.746 3.79 2.00069 25.5
12 131.372 (可変)
13* 59.399 5.25 1.69350 53.2
14* -289.071 (可変)
15(絞り) ∞ 2.96
16 -105.362 1.41 1.80518 25.5
17 29.755 5.22 1.49700 81.5
18 111.543 (可変)
19 43.637 1.92 1.65160 58.5
20 26.380 9.51 1.49700 81.5
21* -84.951 (可変)
22 58.266 3.42 1.73400 51.5
23 -1355.075 (可変)
24 272.070 3.20 2.00069 25.5
25 -64.752 1.14 1.80610 40.9
26 30.961 (可変)
27 368.094 3.55 1.88300 40.8
28 -99.204 (可変)
29* -48.122 2.00 1.49700 81.5
30 -124.007 (可変)
像面 ∞
非球面データ
第13面
K = 0.00000e+00 A 4= 9.03813e-08 A 6= 1.25872e-10 A 8=-1.42553e-12 A10= 9.53919e-16
第14面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.56487e-06 A 6=-1.07847e-09 A 8=-1.39821e-12 A10= 1.88227e-15
第21面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.63296e-06 A 6= 9.00824e-10 A 8=-3.14269e-12 A10=-1.65502e-16
第29面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.56872e-06 A 6= 1.02038e-09 A 8=-1.15403e-12 A10= 1.65183e-15
各種データ
ズーム比 2.69
広角 中間 望遠
焦点距離 72.10 130.95 193.99
Fナンバー 2.88 2.88 2.88
半画角(°) 16.70 9.38 6.36
像高 21.64 21.64 21.64
レンズ全長 225.00 225.00 225.00
BF 37.50 37.50 37.50
d 5 5.31 36.26 54.17
d10 38.69 13.97 0.98
d12 12.14 5.93 1.00
d14 2.00 4.15 5.14
d18 6.51 4.37 3.37
d21 5.51 5.51 5.51
d23 1.00 3.14 1.52
d26 33.74 30.11 32.49
d28 3.22 4.71 3.95
d30 37.50 37.50 37.50
ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 146.89
2 6 -41.40
3 11 86.00
4 13 71.49
5 15 -43.81
6 19 39.00
7 24 -52.34
8 27 88.81
9 29 -159.62
各数値実施例における種々の値を、以下の表1にまとめて示す。
【0050】
【0051】
[撮像装置]
次に、各実施例のズームレンズを撮像光学系として用いたデジタルスチルカメラ(撮像装置)10の実施例について
図7を用いて説明する。
図7は、撮像装置10の構成を示す図である。撮像装置10は、カメラ本体13と、上述した実施例1乃至3のいずれかのズームレンズを含むレンズ装置11と、ズームレンズによって形成される像を光電変換する撮像素子(受光素子)12を備える。撮像素子12としては、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を用いることができる。レンズ装置11とカメラ本体13は一体に構成されていてもよいし、着脱可能に構成されていてもよい。カメラ本体13はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでもよいし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでもよい。
【0052】
このように、上記各実施例におけるズームレンズをデジタルスチルカメラなどの撮像装置10に適用することにより、小型かつ軽量でありながら高い光学性能を有する撮像装置10を得ることができる。
【0053】
なお、本実施例の撮像装置10は、
図7に示したデジタルスチルカメラに限らず、放送用カメラ、銀塩フィルム用カメラ、監視用カメラ等の種々の撮像装置に適用することができる。
【0054】
[撮像システム]
なお、各実施例のズームレンズと、ズームレンズを制御する制御部とを含めた撮像システム(監視カメラシステム)を構成してもよい。この場合、制御部は、ズーミングやフォーカシング、像振れ補正に際して各レンズ群が上述したように移動するようズームレンズを制御することができる。このとき、制御部がズームレンズと一体的に構成されている必要はなく、制御部をズームレンズとは別体として構成してもよい。例えば、ズームレンズの各レンズを駆動する駆動部に対して遠方に配置された制御部(制御装置)が、ズームレンズを制御するための制御信号(命令)を送る送信部を備える構成を採用してもよい。このような制御部によれば、ズームレンズを遠隔操作することができる。
【0055】
また、ズームレンズを遠隔操作するためのコントローラーやボタンなどの操作部を制御部に設けることで、ユーザーの操作部への入力に応じてズームレンズを制御する構成を採ってもよい。例えば、操作部として拡大ボタン及び縮小ボタンを設ける。そして、ユーザーが拡大ボタンを押したらズームレンズの倍率が大きくなり、ユーザーが縮小ボタンを押したらズームレンズの倍率が小さくなるように、制御部からズームレンズL0の駆動部に信号が送られるように構成すればよい。
【0056】
また、撮像システムは、ズームレンズのズームに関する情報(移動状態)を表示する液晶パネルなどの表示部を有していてもよい。ズームレンズのズームに関する情報とは、例えばズーム倍率(ズーム状態)や各レンズ群の移動量(移動状態)である。この場合、表示部に示されるズームレンズのズームに関する情報を見ながら、操作部を介してユーザーがズームレンズを遠隔操作することができる。このとき、例えばタッチパネルなどを採用することで表示部と操作部とを一体化してもよい。
【0057】
上記各実施例の開示は、以下の構成を含む。
【0058】
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、1または複数のレンズ群を含む後続群からなり、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、第1正レンズ、第2正レンズ、第1負レンズを含み、
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、前記第2正レンズの焦点距離をfG2、前記第1負レンズの焦点距離をfG3とするとき、
0.00<f1/(-f2)<3.75
0.00<fG2/(-fG3)<1.02
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
(構成2)
前記第1レンズ群に含まれる全ての正レンズの材料のd線におけるアッベ数の平均値をνdL1paveとするとき、
60<νdL1pave<100
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載のズームレンズ。
(構成3)
前記第1正レンズの焦点距離をfG1とするとき、
0.5<fG1/f1<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1または2に記載のズームレンズ。
(構成4)
0.5<fG2/f1<2.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成5)
無限遠物体合焦時の望遠端における前記第2レンズ群の横倍率をβ2t、無限遠物体合焦時の広角端における前記第2レンズ群の横倍率をβ2wとするとき、
1.8<β2t/β2w<3.5
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成6)
望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をftとするとき、
0.4<f1/ft<1.2
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成7)
広角端における前記ズームレンズにおいて最も像側に配置されたレンズの像側のレンズ面から像面までの光軸上の距離の空気換算量をBFw、広角端における前記ズームレンズにおいて最も物体側に配置されたレンズの物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離の空気換算長をTTLwとするとき、
0.10<BFw/TTLw<0.35
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成8)
前記第1レンズ群は、物体側から像側へ順に配置された、前記第1正レンズ、前記第2正レンズ、前記第1負レンズから構成されていることを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成9)
前記後続群は、1または複数のフォーカスレンズ群を含むことを特徴とする構成1から8のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成10)
前記1または複数のフォーカスレンズ群は、負の屈折力のフォーカスレンズ群を含むことを特徴とする構成9に記載のズームレンズ。
(構成11)
前記後続群は、像振れ補正に際して光軸に対して垂直な方向の成分を含む方向へ移動する1または複数の防振群を含むことを特徴とする構成1から10のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成12)
前記後続群は、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、負の屈折力の第6レンズ群、正の屈折力の第7レンズ群から構成されていることを特徴とする構成1から11のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成13)
前記第2レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際し、像面に対して固定されていることを特徴とする構成12に記載のズームレンズ。
(構成14)
前記後続群は、正の屈折力の第3レンズ群、負の屈折力の第4レンズ群、正の屈折力の第5レンズ群、負の屈折力の第6レンズ群、正の屈折力の第7レンズ群、負の屈折力の第8レンズ群から構成されていることを特徴とする構成1から11のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成15)
前記第2レンズ群および前記第8レンズ群は、広角端から望遠端へのズーミングに際し、像面に対して固定されていることを特徴とする構成14に記載のズームレンズ。
(構成16)
前記後続群は、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、負の屈折力の第5レンズ群、正の屈折力の第6レンズ群、負の屈折力の第7レンズ群、正の屈折力の第8レンズ群、負の屈折力の第9レンズ群から構成されていることを特徴とする構成1から11のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成17)
前記第1レンズ群、前記第4レンズ群、前記第6レンズ群、および前記第9レンズ群、広角端から望遠端へのズーミングに際し、像面に対して固定されていることを特徴とする構成16に記載のズームレンズ。
(構成18)
構成1から17のいずれかに記載のズームレンズと、該ズームレンズによって形成された像を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする撮像装置。
(構成19)
構成1から17のいずれかに記載のズームレンズと、ズーミングに際して前記ズームレンズを制御する制御部を有することを特徴とする撮像システム。
(構成20)
前記制御部は、前記ズームレンズとは別体として構成されており、前記ズームレンズを制御するための制御信号を送信する送信部を有することを特徴とする構成19に記載の撮像システム。
(構成21)
前記制御部は、前記ズームレンズとは別体として構成されており、前記ズームレンズを操作するための操作部を有することを特徴とする構成19または20に記載の撮像システム。
(構成22)
前記ズームレンズのズームに関する情報を表示する表示部を有することを特徴とする構成19から21のいずれかに記載の撮像システム。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0060】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
LR 後続群