(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117883
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】環境保全資材
(51)【国際特許分類】
E02D 17/20 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
E02D17/20 103F
E02D17/20 103G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023949
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】507395441
【氏名又は名称】株式会社パルパルス
(74)【代理人】
【識別番号】100194249
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】石森 良房
(72)【発明者】
【氏名】岡部 宏秋
(72)【発明者】
【氏名】石森 絵里香
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044DB32
2D044DB33
2D044DB41
2D044DB43
(57)【要約】 (修正有)
【課題】軽量化を図り、渦巻筒型構造体の空間層を全範囲にわたって保持でき、外力変形に強い環境保全資材を提供する。
【解決手段】内部空間に流入する土砂礫等を後充填可能とし、内部空間に流入する水を排水可能とする環境保全資材は、菱形金網10aを側面渦巻状として複数巻きに巻回し、巻き始端部に巻回軸方向に沿って中心空間部が形成され、径方向において内周側の網部と外周側の網部の間に渦巻状に所定厚みの渦巻筒状空間層が形成された渦巻筒型構造体10と、中心空間部の内径を保持する中空状の芯部材12と、渦巻筒状空間層内に巻回軸方向および巻回方向にそれぞれ複数配置され、渦巻筒状空間層の内外周面をなす菱形金網10aに当接して渦巻筒状空間層を所定厚みに保持する空間層保持部材14を有し、空間層保持部材14は、線材を螺旋状に複数巻きに巻回した剛性を有する螺旋体からなる環状の環状螺旋体部で構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に流入する土砂礫等を後充填可能とし、内部空間に流入する水を排水可能とする環境保全資材であって、
幅方向を巻回軸方向として網部材を側面渦巻状として円筒形状に複数巻きに巻回し、巻き始端部に巻回軸方向に沿って所定直径の中心空間部が形成されると共に、径方向において内周側の網部と外周側の網部の間に渦巻状に所定厚みの渦巻筒状空間層が形成された渦巻筒型構造体と、
前記中心空間部内に巻回軸方向に沿って配置され、前記中心空間部の内径を保持する中空状の芯部材と、
前記渦巻筒状空間層内に巻回軸方向および巻回方向にそれぞれ複数配置され、前記渦巻筒状空間層の弧状をなす内周側凸状網部と弧状をなす外周側凹状網部に当接して前記渦巻筒状空間層の所定厚みを保持する空間層保持部材と、
を有し、
前記空間層保持部材は、線材を螺旋状に複数巻きに巻回した剛性を有する螺旋体からなる環状の環状螺旋体部を有することを特徴とする環境保全資材。
【請求項2】
請求項1に記載の環境保全資材において、
前記複数の空間層保持部材は、前記巻回軸方向に沿って配置する2基の前記空間層保持部材を1組とし、巻回方向に複数組配置することを特徴とする環境保全資材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の環境保全資材において、
前記環状螺旋体部は、前記螺旋体の両端を結合して形成されることを特徴とする環境保全資材。
【請求項4】
請求項1に記載の環境保全資材において、
前記芯部材は、線材を螺旋状に複数巻きに巻回した構成であることを特徴とする環境保全資材。
【請求項5】
請求項1または2に記載の環境保全資材において、
前記網部材は菱形金網であり、前記網部材の巻終端部の内周面に亀甲金網製の底当てシートを配置し、前記底当てシートを構成する亀甲金網の網目が前記網部材を構成する菱形金網の網目よりも小サイズであることを特徴とする環境保全資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨をはじめとする降水や斜面での表面流によって引き起こされるさまざまな土壌侵食痕の発達を抑止し、植生回復を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水等の水の流れによる土壌の浸食を抑止する技術として、特許文献1、2に開示された環境保全資材としての山腹保全資材が提案されている。これらの山腹保全資材は、所定幅の菱形金網を側面渦巻状として円筒形状に巻回したスケルトンタイプの立体構造体(渦巻筒型構造体とする)を有する。スケルトンタイプの渦巻筒型構造体は、径方向で見て、内周側の菱形金網と外周側の菱形金網の間に渦巻状に所定厚みの空間(空間層とする)が形成される。
【0003】
特許文献1の山腹保全資材は、渦巻筒型構造体の空間層を所定の厚み(層厚とする)に保持するため、径方向に鋼線等の線材を螺旋状に巻回したコイルスプリング状のクロスコイルを渦巻筒型構造体の径方向外方から菱形金網に適当間隔で螺入し、各空間層を形成する菱形金網の網目の回りの列線と係合させながら螺進させる。コイルスプリングが長さ方向で、菱形金網と所定間隔で係合することにより、各空間層を保持可能としている。
【0004】
特許文献2の山腹保全資材は、クロスコイルと同様の形状を有するコイルスペーサを空間層に列線の長さ方向に沿って適当間隔に配置し、各空間層を保持可能としている。
【0005】
特許文献1、2に開示の山腹保全資材は、渦巻筒型構造体の軸方向を正面側とすると、正面側を例えば山腹の斜面を流れる水に対して直角に向けて渦巻筒型構造体を斜面に設置する。そして、水と共に流れる石、落葉・落枝等が菱形金網を通り抜け、あるいは菱形金網に捕捉され、やがて空間層内は土砂礫で充填される。
【0006】
空間層内へ流入し充填根拠となる土石礫等は、層内に捕捉されたものと捉える。そして、渦巻筒型構造体設置箇所の上流側においては土砂礫等が堆積し流出抑止が、また下流側では土砂礫の流走による洗堀抑止が期待される。
【0007】
渦巻筒型構造体を構成する菱形金網は、鉄線等の線材を平面V字形状に連続して折り曲げた列線を列方向とし、列方向と直交する行方向に多数本の列線を絡み合わせて連結した構成としている。列線同士の絡み合わせは、隣接する列線のV字部同士を絡ませ、V字部の内面側同士を接触させている。渦巻筒型構造体は、菱形金網の列線の長さ方向を軸方向、行方向を巻回方向として巻回している。
【0008】
菱形金網の特徴として、隣接する列線を互いに離れる方向に引っ張るとV字部同士が係合し、菱形金網が行方向に緊張した状態になる。また、この緊張状態において、V字部同士が係合する連結部を支点とし、列方向に沿った軸線を中心に回転可能となっている。また、隣接する列線を互いに近づく方向に寄せると、列線同士の行方向における連結が解除されて行方向の緊張が無くなる。一方、列方向は、列線の剛性により所定長さ(菱形金網の幅)に保持される。
【0009】
特許文献1、2に開示の環境保全資材である山腹保全資材のクロスコイル、コイルスペーサは、渦巻筒型構造体の菱形金網を緊張保持して空間層の層厚を保持すると共に、流木、転石、落石等から渦巻筒型構造体の変形等を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2021-80686号公報
【非特許文献2】特開2020-112018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1、2に開示の環境保全資材において、クロスコイル、コイルスペーサ等の空間層保持部材により渦巻筒型構造体に対して加わる菱形金網の緊張状態を空間層の全範囲にわたって保持するためには、クロスコイル、コイルスペーサの本数を増やせば良いが、環境保全資材の重量増加を招く。環境保全資材を山腹等の足場の悪い設置場所へ運搬する負荷の軽減という要請から、環境保全資材をスケルトン型として軽量化を図っている。
【0012】
本発明の目的は、軽量化を図り、渦巻筒型構造体を構成する空間層の全範囲にわたって保持でき、外力による変形に強い環境保全資材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的を実現する環境保全資材の第1発明は、内部空間に流入する土砂礫等を後充填可能とし、内部空間に流入する水を排水可能とする環境保全資材であって、幅方向を巻回軸方向として網部材を側面渦巻状として円筒形状に複数巻きに巻回し、巻き始端部に巻回軸方向に沿って所定直径の中心空間部が形成されると共に、径方向において内周側の網部と外周側の網部の間に渦巻状に所定厚みの渦巻筒状空間層が形成された渦巻筒型構造体と、前記中心空間部内に巻回軸方向に沿って配置され、前記中心空間部の内径を保持する中空状の芯部材と、前記渦巻筒状空間層内に巻回軸方向および巻回方向にそれぞれ複数配置され、前記渦巻筒状空間層の弧状をなす内周側凸状網部と弧状をなす外周側凹状網部に当接して前記渦巻筒状空間層の所定厚みを保持する空間層保持部材と、を有し、前記空間層保持部材は、線材を螺旋状に複数巻きに巻回した剛性を有する螺旋体からなる環状の環状螺旋体部を有する構成とする。
【0014】
本発明の目的を実現する環境保全資材の第2発明は、第1発明の環境保全資材において、前記複数の空間層保持部材は、前記巻回軸方向に沿って配置する2基の前記空間層保持部材を1組とし、巻回方向に複数組配置することができる。
【0015】
本発明の目的を実現する環境保全資材の第3発明は、第1または第2発明の環境保全資材において、前記環状螺旋体部は、前記螺旋体の両端を結合して形成される構成とすることができる。
【0016】
本発明の目的を実現する環境保全資材の第4発明は、第1発明の環境保全資材において、前記芯部材は、線材を螺旋状に複数巻きに巻回した構成とすることができる。
【0017】
本発明の目的を実現する環境保全資材の第5発明は、第1または第2発明の環境保全資材において、前記網部材は菱形金網であり、前記網部材の巻終端部の内周面に亀甲金網製の底当てシートを配置し、前記底当てシートを構成する亀甲金網の網目が前記網部材を構成する菱形金網の網目よりも小サイズである構成とすることができる。
【発明の効果】
【0018】
第1発明の環境保全資材によれば、空間層保持部材を環状の環状螺旋体部を有するスケルトン構成としているため、軽量化を図れ、また土砂礫等を環状螺旋体部の内側に貯溜でき、環状螺旋体部の外側に土砂礫等を捕捉しつつ環状螺旋体部の内側に渦巻筒状空間層内に入り込んだ水が通る通水路を確保することができる。
【0019】
また、渦巻筒状空間層を構成する網部材の内周面と外周面とに接触する空間層保持部材は、螺旋体を環状に形成する環状螺旋体部が面接触状態で接触する。このため、渦巻筒状空間層の大部分の容積を複数の空間層保持部材により埋めることができ、渦巻筒状空間層の層厚を安定して保持することができ、外力による変形を防止することができる。
【0020】
第2発明の環境保全資材によれば、2基の空間層保持部材を1組とすると、網部材上に空間層保持部材を均等に載置し易く、短時間に必要量を網部材に載置することができる。
【0021】
第3発明の環境保全資材によれば、環境螺旋体部を容易に製作することができる。
【0022】
第4発明の環境保全資材によれば、芯部材について剛性を有するスケルトン構造とすることができる。
【0023】
第5発明の環境保全資材によれば、環境保全資材を施工地面に設置する際に底当てシートを地面に向けて設置すると、環境保全資材内に流入する土砂礫等の中で小サイズの土砂礫等が環境保全資材の底から流出するのを確実に防ぐことができ、土砂礫等を環境保全資材内に早期に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明による環境保全資材の一実施形態を示す外観斜視図である。
【
図5】(a)
図1に示す環境保全資材を構成する空間層保持部材の外観斜視図、(b)は(a)の正面図である。
【
図6】
図5に示す空間層保持部材の製作手順を示す図である。
【
図7】
図1に示す環境保全資材を侵食抑止場所に3基直列に並べて設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明による環境保全資材の一実施形態を示し、X軸、Y軸、Z軸は互いに直交する3軸を示す。
図2は
図1に示す環境保全資材の左側面図を示す。
【0027】
図1および
図2において、第1実施形態の環境保全資材1は、
図5に示すように、網部材として展開状態が平面矩形状の菱形金網10aにより側面が渦巻状で巻回軸方向である幅方向(X軸方向)に沿って筒形状に巻回形成された渦巻筒型構造体10と、渦巻筒型構造体10の巻回中心の中心空間部11に配置される巻回軸方向に沿って延び、渦巻筒型構造体10と同幅の芯部材12と、渦巻筒型構造体10の渦巻筒状空間層13に巻始端10d側から巻終端10e側の間に適宜の間隔を有して配置される複数の空間層保持部材14と、渦巻筒型構造体10を構成する菱形金網10aの巻終端10e側の内周面側に配置される亀甲金網製の底当てシート15と、を有する。環境保全資材1は、渦巻筒型構造体10の内部に形成される内部空間に流入する土砂礫等を後充填可能とし、前記内部空間に流入する水を排水可能とする。
【0028】
渦巻筒型構造体10を構成する菱形金網10aは、
図3に示すように、線材を略V字形状に連続して折曲した列線10bの長さ方向を幅方向(又は列方向)とし、列線10bの並設する方向を行方向とすると、行方向に隣接する列線10b同士を略V字状のV字部10c同士が交差するように絡ませている。また、菱形金網10aは、前記交差部分が一種のヒンジ部として作用し、隣接する列線10b同士が互いに行方向に向けて離れる方向に引っ張られると、前記交差部分のV字部10c同士が連結されて引っ張り方向に菱形金網10aが緊張する。さらに、この緊張状態において、前記交差部分を支点として隣接する列線10b同士が回転し、菱形金網10aの巻回を可能とする。
【0029】
渦巻筒型構造体10は、
図2に示すように、菱形金網10aの巻き始端10d側に略円筒状の中心空間部11が形成されており、中心空間部11に続き、径方向における内周側の網部と外周側の網部の間に渦巻状にY軸方向およびZ軸方向に所定厚みの渦巻筒状空間層13が形成されている。
図2に示すように、中心空間部11の内径(中心内径)をD1とし、渦巻筒状空間層13の層厚をD2とすると、本実施形態において、中心内径D1を層厚D2よりも大きくしている(D1>D2)。空間層保持部材14により渦巻筒状空間層13の層厚D2を保持している。環境保全資材1を地面上に設置する際、亀甲金網製の底当てシート15が設けられている領域を地面に向くようにし、環境保全資材1内に設置初期に流入した小石等の流入物をできるだけ流出しないようにしている。底当てシート15を構成する亀甲金網の網目は、菱形金網10aの網目よりも小サイズとしている。
【0030】
中心空間部11内に配置される芯部材12は、渦巻筒型構造体10の巻回軸方向の長さと略等長とし、環境保全資材1を構成する菱形金網10aの網部が巻かれることで中心空間部11の内径(D1)を保持する。芯部材12は、通水性の点において巻回軸方向に沿って空間が形成された中空形状であること、さらには径方向の通水性が備わっていること、また環境保全資材1の軽量化に寄与することが期待される。また、芯部材12に対して低コストであることも望まれる。このような点から、本実施形態において芯部材12を鉄線等の線材を螺旋状に所定ピッチで巻回形成し、例えば圧縮コイルバネのような形状としている。以下本実施形態の説明において芯部材をコアコイル12と称す。
【0031】
環境保全資材1は、
図3に示すように、菱形金網10aを矩形平面状に展開した状態で、菱形金網10aの上面(巻回した状態では内周面)の巻き始端10d側にコアコイル12を列方向に沿って載置し、巻き終端10e側に底当てシート15を載置する。そして、コアコイル12と底当てシート15との間に複数の空間保持部材14を載置する。
【0032】
空間保持部材14は、
図6に示すように、鉄線等の線材Wを螺旋状に所定ピッチで複数巻きに巻回して外径D3で長さLのコイルバネ状の剛性を有する円筒形状の螺旋体16を形成し、螺旋体16の両端を結合して環状に形成した環状螺旋体部17の内側に中央空間部18を有するドーナツ状に形成される。螺旋体16の両端を結合する結合部19は、例えば螺旋体16の一端部をリング状に曲げ、他端部を一端部のリング部に通してこれをリング状に曲げ加工して構成される。本実施形態において、空間保持部材14を以下ドーナツコイルと称す。
【0033】
図3に示すように、2個のドーナツコイル14を列方向に配置した構成を一組として、行方向に複数組、本実施形態では4組並設する。展開状態の菱形金網10aにコアコイル12と、各ドーナツコイル14を例えば針金等の連結手段で移動不能に固定するのが好ましい。また、菱形金網10aをコアコイル12側(巻き始端10d側)からコアコイル12を巻き込んで一巻き巻き始めた状態において、菱形金網10aの巻始端10eを菱形金網10aに針金等の連結手段で連結し、中心空間部11を形成する。さらに、一組目のドーナツコイル14を巻き込みながら順に二組目、三組目、四組目のドーナツコイル14を巻き込んで菱形金網10aの巻回を行い、底当てシート15を巻き込んで巻回を終了する。最後に、菱形金網10aの一本の列線10bを菱形金網10aの巻き終端10eと菱形金網10aとの間に縫い合わせるように通して固定する。このような方法により環境保全資材1が組み立てられる。
【0034】
ドーナツコイル14は、螺旋体16の外径D3がドーナツコイル14の厚さをなし、渦巻筒状空間13の層厚D2をなす。ドーナツコイル14は、ドーナツ状に形成されているため、本実施形態において4組で渦巻筒状空間層13の略全領域を占めることができ、渦巻筒状空間13の略全領域を所定の層厚D2に保持することができる。また、ドーナツコイルは環状螺旋体部17が径方向に対して剛性を有し、径方向外方に向けて弾性力が付与されているため、渦巻筒状空間13の層厚D2を弾性的に保持する。
【0035】
また、ドーナツコイル14は、
図5(b)に示すように、環状螺旋体部17の螺旋を描く線材Wが密に配置されており、菱形金網10aの網目を通り抜けた落葉落枝、砂利等を環状螺旋体部17が捕捉可能とし、環状螺旋体部17を通過した落葉落枝、砂利等が中央空間部18内に貯溜する。
【0036】
なお、本実施形態では、
図3に示す菱形金網10aを展開した状態において、ドーナツコイル14を菱形金網10a上に2列×4行で合計8基配置しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2列×3行、2列×5行、3列×3行、3列×4行、3列×5行等のm(m≧2以上の整数)列×n(n≧2以上の整数)行の態様にドーナツコイル14を配置する構成であっても良い。
【0037】
また、ドーナツコイル14を構成する螺旋体16を円筒形状としているが、三角形,四角形等の多角筒形状、楕円筒形状としても良い。
【0038】
続いて、環境保全資材1の施工方法の一例を
図7に基づいて説明する。
【0039】
図7において、複数(本施工方法では3基)の環境保全資材1を直列に隙間なく並べた構成を1ユニットとするユニット環境保全資材100とし、底当てシート15を底にして傾斜する設置地面GL上に設置する。ユニット環境保全資材100は、長手方向の軸線を設置地面GLの傾斜方向に対して直交する方向に向けて設置する。ユニット環境保全資材100には、ワイヤーロープ,チェーン等の保持部材101がユニット環境保全資材10の各コアコイル12内に予め貫通される。保持部材101の両端がユニット環境保全資材100の両端から長手方向外方位置にそれぞれ打ち込んだ杭102,103に固定される。
【0040】
本実施形態の環境保全資材によれば、渦巻筒状空間層13の層厚を保持するドーナツコイル14は、環状コイル部17の外径の面積で渦巻筒状空間層13の内周面及び外周面を構成する菱形金網10aと見掛け上当接するため、実際に螺旋体16が当接する面積よりも広い面積で渦巻筒状空間層13の内周面及び外周面を構成する菱形金網10aと当接し、渦巻筒状空間層13を略全範囲にわたって保持することができる。そして、ドーナツコイル14は中央空間部18が設けられているため、軽量化を図ることができる。
【0041】
また、菱形金網10aの列方向に沿って載置するドーナツコイル14を2基1組とすることにより、菱形金網10aの列方向両側から1基ずつドーナツコイル14を菱形金網10a上に載置することができ、環境保全資材1の組み立て作業性が良い。
【符号の説明】
【0042】
1:環境保全資材
10:渦巻筒型構造体
10a:菱形金網
10b:列線
10c:V字部
10d:巻き始端
10e:巻き終端
11:中心空間部
12:芯部材(コアコイル)
13:渦巻筒状空間層
14:空間層保持部材(ドーナツコイル)
15:底当てシート
16:螺旋体
17:環状螺旋体部
18:中央空間部
19:結合部
100:ユニット環境保全資材
101:保持部材
102,103:杭
GL:設置地面
W:線材
L:長さ