(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117889
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ピペリジン化合物及びその用途
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20240823BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240823BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240823BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K31/454
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023957
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】大神田 淳子
(72)【発明者】
【氏名】堀内 直己
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB06
4C063CC42
4C063DD25
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC60
4C086GA07
4C086GA13
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素に対するデュアル阻害作用を示し、代謝に対して安定で、癌治療剤として有用な化合物を提供する。
【解決手段】下記式(III)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を提供する。
(Rは、4-アミノベンゾイル基、4-アミジノベンゾイル基等。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【化1】
式中、
X及びYは、それぞれ独立してCH又はNであり、
L
1は、L
2基に、炭素数3~10のアルキレン基、前記アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子で置換したアルキレン基、前記アルキレン基の炭素原子が-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基、及び前記アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子及び-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基を含む群から選択されるアルキレン基が結合した基を示し、
L
2は、含窒素複素環基、-NH-C(=O)-又はC(=O)-NH-であり、
Qは、-NH-CO-又はCO-であり、
R
1は、水素原子、炭素数1~6個のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいベンジル基又は置換基を有していてもよいフェネチル基であり、
nは1又は2であり、nが2の場合、各々のR
1は、同一であっても異なっていてもよく、
R
2は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
R
3は、アミノ酸残基であり、
R
4は、ヒドロキシ基又は炭素数1~8個のアルコキシ基であり、そして
R
5は、アミノ基、アンモニウム基、アミジノ基及びグアニジノ基からなる群の中から選ばれる塩基性基である。
【請求項2】
下記一般式(II)で表される請求項1に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【化2】
式中、L
1、Q、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は前記と同じ意味を示し、L
1はパラ位又はオルト位で結合する。
【請求項3】
L
1が、以下の基である、請求項1に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【化3-1】
、
【化3-2】
、
【化3-3】
、
【化3-4】
、
【化3-5】
、
【化3-6】
、又は
【化3-7】
【請求項4】
L
1が、以下の基である、請求項2に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【化3-1】
、
【化3-2】
、
【化3-3】
、
【化3-4】
、
【化3-5】
、
【化3-6】
、又は
【化3-7】
【請求項5】
下記一般式(III)で表される請求項2に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、
それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【化4】
式中、
Rは、下記(I-1)、(I-2)及び(I-3)から選択される基である。
【化5】
【請求項6】
活性成分として、請求項1から5のいずれか1項に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含む医薬組成物。
【請求項7】
医薬組成物が抗がん作用を有する組成物である、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含むファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、又はファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、K-Rasの脂質修飾を担うファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素に対してデュアル(dual)阻害作用を有する新規なピペリジン化合物、当該化合物を有効成分として含む医薬組成物、並びにファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤に関する。本発明の化合物は、K-Rasの脂質修飾及び細胞膜への局在化を阻害するため、医薬組成物、特にがんの治療薬として使用することができる。
【背景技術】
【0002】
RasファミリーのRasたんぱく質は、低分子量GTP(グアノシン5’-三リン酸)結合たんぱく質の一種であり、Rasたんぱく質(本明細書において、Rasたんぱく質を単にRasと記載することがある。)にはH-Rasたんぱく質、K-Rasたんぱく質、N-Rasたんぱく質等のアイソフォームが含まれる。
【0003】
哺乳動物には、3種類(H-ras、K-ras、及びN-ras)のras遺伝子が存在し、これらのras遺伝子はそれぞれH-Rasたんぱく質、K-Rasたんぱく質、及びN-Rasたんぱく質をコードしている。これらのRasたんぱく質は、いずれも分子量21000で、互いに90%の相同性を有する。
【0004】
Rasたんぱく質は、細胞受容体から細胞の増殖など種々のシグナルを受けて活性化され、活性化されたRasたんぱく質は、Rafキナーゼを活性化してMAP(mitogen-activated protein)キナーゼカスケードを作動させる。その結果、Rasたんぱく質は、
種々の遺伝子の発現を介して細胞の増殖や分化を制御している。しかし、Rasたんぱく質に変異が生じると、細胞増殖が制御不能になり細胞ががん化することが知られている。
【0005】
多くの種類のがんの中でも特に進行性難治がんと言われるがんの治療は、現代社会の重要な課題である。進行性難治がんに対する厳密な定義はないとされているが、進行性難治がんは、一般的に、ステージ3やステージ4にまで進行してしまったがんであって、5年生存率が低いがん、根治が難しいがん、又は早期に再発してしまうがん等を意味する。
【0006】
Rasたんぱく質の中でも特にK-Rasは、進行性難治がんに深く関与している。例えば、K-Rasに関して、膵臓がんの98%、大腸がん(結腸直腸がん)の45%、肺がんの31%、及び骨髄腫の23%にK-Rasの変異、すなわち、変異K-Rasの存在が認められたことが報告されている。したがって、K-Rasたんぱく質は、抗がん剤の開発における分子標的として注目されている。
【0007】
たんぱく質に行われる修飾の一種であるファルネシル化により、たんぱく質の末端には疎水性のプレニル基が結合する。プレニル基はたんぱく質の細胞膜への結合を促進する。ファルネシル化により末端が疎水性になったたんぱく質は、その疎水性の部分を細胞膜内に挿入するため、細胞の内側の細胞膜上に存在するようになる。Rasたんぱく質は、このファルネシル化を受けており、Rasたんぱく質が働くためにはファルネシル化による脂質修飾が重要であることが分かっている。この際、Rasたんぱく質をファルネシル化する酵素を阻害することによって、Rasたんぱく質の働きを妨げる物質、すなわち、ファルネシル転移酵素阻害剤(Farnesyl transferase inhibitors:FTase inhibitors)は、がん細胞の増殖を抑制すると考えられる。しかし、Rasたんぱく質の脂質修飾は、ファルネシル転移酵素(本明細書においてファルネシル転移酵素を「FTase」と記載することがある。)だけではなく、I型ゲラニルゲラニル転移酵素(Type-1 geranylgeranyl transferase:GGTase I)も関与することが知られている。したがって、ファルネシル転移酵素阻害剤によってRasたんぱく質の脂質修飾が阻害されても、I型ゲラニルゲラニル転移酵素(本明細書においてI型ゲラニルゲラニル転移酵素を「GGTase I」と記載することがある。)によって脂質修飾がなされれば、Rasたんぱく質は活性化される。
【0008】
このような状況を背景として、様々な観点から細胞増殖シグナルの調節を司るRasたんぱく質の阻害剤の研究が行われてきた。その結果、Rasたんぱく質を直接的若しくは間接的に標的とする数多くの阻害剤及び抗がん剤が提案されている。例えば、特許文献1は、がんの治療を目的としたI型ゲラニルゲラニル-タンパク質転移酵素の選択的阻害剤とファルネシル-タンパク質転移酵素の選択的阻害剤との組合せを開示している。また、特許文献2及び特許文献3は、ras腫瘍遺伝子発現に必然的に伴う酵素であるファルネシルたんぱく質転移酵素を抑制し、I型及びII型ゲラニルゲラニル転移酵素のインヒビターとしても作用し得る縮合二環式複素環を含む化合物を開示している。特許文献4及び特許文献5は、Ras変異型細胞株の増殖を阻害する活性を有するキナーゼ調節のための縮合二環式複素環を含む化合物を開示している。特許文献6は、Rasタンパク質に対して親和性を有するRasたんぱく質親和性分子と、プロテアーゼに対して親和性を有し、且つ、プロテアーゼによるタンパク質の分解を阻害しないたんぱく質分解誘導タグとのコンジュゲートであり、前記Rasタンパク質の分解を誘導可能なRasたんぱく質分解誘導分子を開示している。このRasたんぱく質分解誘導分子は、Rasたんぱく質の機能を直接的に阻害する代わりに、Rasたんぱく質の量(発現)を減少させることを目的とする。特許文献7は、GST-πの標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むRNAi分子及び薬学的に許容される賦形剤を含む、K-Ras遺伝子の突然変異又は野生型K-Ras遺伝子の過剰発現に関連する腫瘍の治療又は処置のための医薬組成物を開示している。
【0009】
しかしながら、Rasたんぱく質とGTPとの結合は極めて強固である上、Rasたんぱく質の表面には阻害剤としての薬剤分子が結合できるポケットが乏しいという困難な問題が横たわっている。そのため、未だ有効ながん治療薬、特に、進行性難治がんの治療薬の開発には至っていない。
【0010】
本発明者らは、K-Rasの異常な脂質翻訳後修飾の原因であるK-Rasと修飾酵素間のたんぱく質間相互作用(protein-proteininteraction:PPI)に着目し、ファルネシル転移酵素(FTase)とI型ゲラニルゲラニル転移酵素(GGTase I)のそれぞれの活性ポケットとK-Rasとのたんぱく質間相互作用面とを1分子で認識するdual阻害剤として有用な2座型化合物を開発し、当該化合物が従来の酵素阻害剤を遥かに上回る酵素阻害活性を示すことを見出し、報告した(非特許文献1)。
【0011】
本発明者らが先に開発したdual阻害剤として有用な2座型化合物(MT-103)は下式で表される。
【0012】
【0013】
化合物MT-103は、非特許文献1のFigure 4に記載されている化合物8aである。
本発明者らは、化合物MT-103が、K-Rasの細胞内脂質修飾及び細胞膜への局在化を阻害し、信号伝達系の下流因子c-Rafとの相互作用を抑制すること、並びにFTaseとGGTase Iの双方に対して阻害活性を示し、K-Ras脂質修飾に対してdual阻害剤として機能することを確認した。
【0014】
MT-103は、FTaseとGGTase Iの双方に対して阻害活性を示すが、分子内にチオール基(-SH)を有しており、チオール基を有する化合物は一般的に代謝的に不安定であるという問題があることが知られている。そこで、本発明者は、この代謝的に不安定なチオール基を有さず、且つ、活性の点でより優れたファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤として有用な化合物(以下、本明細書においては「biv- I(化合物)」という。)を見出し、報告した(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特表2000-513711号公報
【特許文献2】特表2001-519387号公報
【特許文献3】特表2002-507989号公報
【特許文献4】特表2013-511541号公報
【特許文献5】特表2013-515736号公報
【特許文献6】再公表WO2018/092723号公報
【特許文献7】特表2019-508379号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】M. Tsubamoto, T.Le, M. Li, T. Watanabe, C. Matsumi, P. Parvatkar, H. Fujii, N. Kato, J.Sun, J. Ohkanda, Chem. Eur. J.2019, 25, 13531-13536.
【非特許文献2】堀内直己、杉野文俊、大神田淳子、日本化学会第101回春季年会(A23-4am-09)、「ピペリジン含有KRas脂質修飾阻害剤の合理設計と活性評価」、2021年3月22日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述のとおり、本発明者は、FTaseとGGTase Iとの双方に対して阻害活性を示し、分子内に代謝的に不安定なチオール基を有しない化合物として、biv-I化合物を提供したが、かかる化合物は、ファルネシル転移酵素に対しては優れた阻害活性を示すものの、ゲラニルゲラニル転移酵素に対しての阻害活性は十分ではないことから、デュアル阻害の観点からは必ずしも満足のいくものではなかった。
本発明の課題は、分子内に代謝的に不安定なチオール基を有さず、且つ、活性の点でより優れたファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害を示す有用な化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、K-Rasと修飾酵素間のたんぱく質間相互作用と脂質修飾を阻害する中分子薬を設計・合成すべく、鋭意研究を重ねた結果、アゾール骨格とピペリジン骨格を土台とするある種の擬似ペプチドが極めて高活性なFTase阻害作用とGGTase I阻害作用とを有することを見いだした。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0019】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]下記一般式(I)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【0020】
【化2】
式中、
X及びYは、それぞれ独立してCH又はNであり、
L
1は、L
2基に、炭素数3~10のアルキレン基、前記アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子で置換したアルキレン基、前記アルキレン基の炭素原子が-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基、及び前記アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子及び-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基を含む群から選択されるアルキレン基が結合した基を示し、
L
2は、含窒素複素環基、-NH-C(=O)-又はC(=O)-NH-であり、
Qは、-NH-CO-又はCO-であり、
R
1は、水素原子、炭素数1~6個のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいベンジル基又は置換基を有していてもよいフェネチル基であり、
nは1又は2であり、nが2の場合、各々のR
1は、同一であっても異なっていてもよく、
R
2は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
R
3は、アミノ酸残基であり、
R
4は、ヒドロキシ基又は炭素数1~8個のアルコキシ基であり、そして
R
5は、アミノ基、アンモニウム基、アミジノ基及びグアニジノ基からなる群の中から選ばれる塩基性基である。
【0021】
[2]下記一般式(II)で表される上記[1]に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【0022】
【化3】
式中、L
1、Q、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は前記と同じ意味を示し、L
1はパラ位又はオルト位で結合する。
【0023】
[3]L
1が、以下の基である、上記[1]に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【化4-1】
、
【化4-2】
、
【化4-3】
、
【化4-4】
、
【化4-5】
、
【化4-6】
、又は
【化4-7】
[4]L
1が、以下の基である、上記[2]に記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【化4-1】
、
【化4-2】
、
【化4-3】
、
【化4-4】
、
【化4-5】
、
【化4-6】
、又は
【化4-7】
[5]下記一般式(III)で表される上記[2]に記載のピペリジン化合物、その各種異性
体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物。
【0024】
【化5】
式中、
Rは、下記(I-1)、(I-2)及び(I-3)から選択される基である。
【化6】
【0025】
[6]活性成分として、上記[1]から[5]のいずれかに記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含む医薬組成物。
【0026】
[7]医薬組成物が抗がん作用を有する組成物である、上記[6]に記載の医薬組成物。
【0027】
[8]上記[1]から[5]のいずれかに記載のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含むファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、又はファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤。
【発明の効果】
【0028】
本発明の化合物は、FTaseとGGTase Iとのそれぞれの活性ポケットとK-Rasとのたん
ぱく質間相互作用面とを1分子で認識することができ、これらの酵素の機能を効果的に阻害することができる。したがって、本発明の化合物は、医薬組成物の有効成分として有用であり、また、がん、特に難治性がんの治療に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の化合物のファルネシル転移酵素(FTase)に対する阻害活性を示すグラフである。
【
図2】本発明の化合物のゲラニルゲラニル転移酵素(GGTase I)に対する阻害活性を示すグラフである。
【
図3】本発明の化合物のヒトすい臓がん細胞MIAPaCa-2に対する増殖抑制試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の化合物は、下記一般式(I)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を含む。
【0031】
【化7】
式中、
X及びYは、それぞれ独立してCH又はNであり、
L
1は、L
2基に、炭素数3~10のアルキレン基、前記アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子で置換したアルキレン基、前記アルキレン基の炭素原子が-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基、及び前記アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子及び-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基を含む群から選択されるアルキレン基が結合した基を示し、
L
2は、含窒素複素環基、-NH-C(=O)-又はC(=O)-NH-であり、
Qは、-NH-CO-又はCO-であり、
R
1は、水素原子、炭素数1~6個のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいベンジル基又は置換基を有していてもよいフェネチル基であり、
nは1又は2であり、nが2の場合、各々のR
1は、同一であっても異なっていてもよく、
R
2は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基であり、
R
3は、アミノ酸残基であり、
R
4は、ヒドロキシ基又は炭素数1~8個のアルコキシ基であり、そして
R
5は、アミノ基、アンモニウム基、アミジノ基及びグアニジノ基からなる群の中から選ばれる塩基性基である。
【0032】
本発明における一般式(I)で表されるピペリジン化合物において、アゾール骨格のX及びYは、それぞれ独立してCH又はNである。本発明の一態様において、X及びYがいずれもCHである場合、アゾール骨格はイミダゾール環である。また、XがCH、YがNである場合、1,2,4-トリアゾール環であり、XがN、YがCHである場合、1,2,3-トリアゾール環であり、X及びYがいずれもNである場合、テトラゾール環である。本発明において、アゾール骨格としてはイミダゾール環が最も好ましい。
【0033】
本願で用いられる「アリール基」の例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基(1-ナフチル基、2-ナフチル基)等が挙げられる。また、置換基を有するアリール基における置換基は、本発明に係るファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、並びにファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤の機能に障害を引き起こさない限り特に限定されない。「置換基を有していてもよいアリール基」における置換基の数は、1個若しくは2個以上であり、置換基の数が2個以上の場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0034】
本願で用いられる「芳香族複素環基」の例としては、フリル基(例えば、フラン-2-イル基)、チエニル基(例えば、チオフェン-2-イル基)、ピロリル基(例えば、ピロール-1-イル基)、ピラゾリル基(例えば、ピラゾール-1-イル基)、イミダゾリル基(例えば、イミダゾール-1-イル基)、1,2,3-トリアゾリル基(例えば、1,2,3-トリアゾール-1-イル基)、1,2,4-トリアゾリル基(例えば、1,2,4-トリアゾール-1-イル基)、ピリジル基(例えば、ピリジン-2-イル基)、ピリダジニル基(例えば、ピリダジン-3-イル基)、ピリミジニル基(例えば、ピリミジン-2-イル基)、ピラジニル基(例えば、ピラジン-2-イル基)等が挙げられる。また、置換基を有する芳香族複素環基における置換基は、本発明に係るファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、並びにファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤の機能に障害を引き起こさない限り特に限定されない。「置換基を有していてもよい芳香族複素環基」における置換基の数は、1個若しくは2個以上であり、置換基の数が2個以上の場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
本願で用いられる「置換基を有していてもよいシクロアルキル基」の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等を挙げることができる。置換基を有するシクロアルキル基における置換基は、本発明に係るファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、並びにファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤の機能に障害を引き起こさない限り特に限定されない。「置換基を有していてもよいシクロアルキル基」における置換基の数は、1個若しくは2個以上であり、置換基の数が2個以上の場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
本願で用いられるR3における「アミノ酸残基」という用語は、一般式-NH-C(R)(H)-CO-で表される基を意味する。当該式におけるRとしては、水素原子、メチル基、-CH2-COOH、-CH2-CONH2、-CH2-SH、-(CH2)2-COOH、-(CH2)2-CONH、-(CH2)2-CH(CH3)2、-CH(CH3)C2H5、-(CH2)4-NH2、-(CH2)2-S-CH3、-CH2-OH、-CH(CH3)OH、-CH(CH3)2、-(CH2)3-C(=NH)NH2、及び下記式で示される基が例示される。
【0037】
【0038】
本発明の一般式(I)のL1における炭素数3~10のアルキレン基の炭素数は3~10の間で任意に選択ができ、好ましい炭素数は4~8である。また、アルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子で置換したアルキレン基、アルキレン基の炭素原子が-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基、及びアルキレン基の炭素原子が1又は2以上の酸素原子及び-C(=O)-NH-で置換したアルキレン基を含む群からアルキレン基が選択される場合、アルキレン基における酸素原子及び-C(=O)-NH-の置換位置は、ファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、並びにファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤の機能に障害を引き起こさない限り、アルキレン基の任意の位置で置換することができる。本願で用いられる「含窒素複素環」はイミダゾール環、1,2,4-トリアゾール環、1,2,3-トリアゾール環、テトラゾール環が挙げられ、好ましくは1,2,3-トリアゾール環である。
【0039】
本発明の一般式(I)におけるQは、-NH-CO-が好ましい。R1は、水素原子又は炭素数1~3個のアルキル基が好ましく、より好ましくは水素原子である。nは、1が好ましい。R2は、置換基を有していてもよいアリール基が好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニル基である。R4は、ヒドロキシ基が好ましい。R5は、結合するベンゼン環の任意の位置に結合することができるが、パラ位又はオルト位に結合することが好ましく、パラ位に結合することが最も好ましい。
【0040】
本発明の一般式(I)で示される化合物は、公知の反応を適宜組み合わせることによって合成することができる。原料は市販購入品又は市販購入品に一般的な保護基等を付与して用いることができる。また、合成におけるいずれの工程も有機化学で汎用される保護・脱保護による合成、精製等を適応することができる。本発明の一般式(I)で示される化合物を合成する反応としては、例えば、アジド含有ペプチドミメティックスとスペーサ―とをそれぞれ製造した上で、両者をクリック反応で結合することにより、又は、カルボキシル基を有するペプチドミメティックスと末端にアミノ基を有するスペーサーをそれぞれ製造した上で、両者をアミド縮合反応で連結することにより、合成することができる。
【0041】
本願で用いられる「医薬上許容される塩」という用語は、ヒト及び動物の組織と接触して用いるのに、過度の毒性、刺激性、アレルギー応答又は他の問題又は合併症を伴うことのない酸又は塩基との塩を意味する。かかる塩は、慣用的な手段により製造することができる。
【0042】
本発明の化合物の医薬上許容される塩は、酸付加塩と塩基塩が存在する。本発明の化合物の医薬上許容される酸付加塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンフルスルホン酸塩、コリン、クエン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、ジエチレンジアミン、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、2-ヒドロキシエチルスルホン酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、キナ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルファニル酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシレート(p-トルエンスルホン酸塩)及びウンデカン酸塩が含まれる。
【0043】
本発明の化合物の医薬上許容される塩基塩の例には、アンモニウム塩;ナトリウム塩、リチウム塩及びカリウム塩などのアルカリ金属塩;アルミニウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ジシクロヘキシルアミン塩及びN-メチル-D-グルカミンなどの有機塩基との塩;及びアルギニン、リシン、オルニチン等などのアミノ酸との塩が含まれる。
【0044】
一般式(I)で表される本発明のピペリジン化合物の種々の異性体(例えば、光学異性体、位置異性体、互変異性体等)、水和物等の溶媒和物、結晶多形、及びエステル体等のプロドラッグは、いずれも本発明の範囲に包含される。
また、一般式(I)で表される本発明の化合物を構成する1個若しくは2個以上の原子が同位体である化合物、及びその医薬上許容される塩も本発明に含まれる。本発明の化合物に含まれる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、臭素、及び塩素の同位体、例えば、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、75Br、76Br、77Br、82Br、及び37Clなどが挙げられる。
【0045】
以下に本発明の化合物の具体例を掲げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0046】
【0047】
一般式(I)で表される本発明のピペリジン化合物は、ファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素の双方を阻害する。したがって、本発明のピペリジン化合物は、ファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、並びにファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤として用いることができる。
【0048】
また、一般式(I)で表される本発明のピペリジン化合物は、K-Rasの異常な脂質翻訳後修飾に関与するファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素の双方を阻害するので、抗がん剤としても用いることができる。
【0049】
本発明の一側面は、一般式(I)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物である。
本発明の別の一側面は、一般式(I)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含む医薬組成物である。
本発明の別の一側面は、一般式(I)で表されるピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含むファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、並びにファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤である。
【0050】
一般式(I)で表される本発明のピペリジン化合物、その各種異性体、それらの医薬上許容される塩、又はそれらの水和物を有効成分として含む医薬組成物を抗がん剤として用いる場合、対象となるがんの種類は特に限定されないが、特に進行性難治がんの治療に有効である。対象となるがんとしては、胃がん、食道がん、肺がん、十二指腸がん、結腸直腸がん(大腸がん)、乳がん、子宮がん、卵管がん、子宮内膜がん腫、子宮頚部のがん腫、膣のがん腫、外陰部のがん腫、中皮腫、肝胆道の(胆道及び胆管)がん、原発性又は続発性CNS腫瘍、原発性又は続発性脳腫瘍、咽頭がん、口腔がん、鼻腔がん、骨がん、肝がん、膵臓がん、皮膚がん、頭部又は頚部のがん、皮膚又は眼内の黒色腫、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、肛門部のがん、ホジキン病、小腸がん、内分泌系のがん、甲状腺がん、副甲状腺がん、副腎腺がん、軟組織の肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん、精巣がん、慢性又は急性の白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓がん、尿管がん、腎細胞がん腫、腎盂のがん腫、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫、副腎皮質がん、胆嚢がん、多発性骨髄腫、胆管がん、線維肉腫、神経芽細胞腫、及び網膜芽細胞腫、等が例示される。
【0051】
本発明に係る医薬組成物、ファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、ファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤、並びに抗がん剤は、経口的に又は非経口的に投与される。
【0052】
投与に用いられる各種製剤は、当該技術分野において周知の慣用的な手法によって得ることができる。
【0053】
本発明に係る化合物をファルネシル転移酵素阻害剤、ゲラニルゲラニル転移酵素阻害剤、ファルネシル転移酵素及びゲラニルゲラニル転移酵素のデュアル(dual)阻害剤、又は抗がん剤として使用する場合、その治療のための用量は、例えば、治療が行われる特定の用途、化合物の投与方法、患者の性別、年齢、体重、健康及び状態、並びに処方する医師の判断に従って異なり得る。また、医薬組成物中の本発明の化合物の比率又は濃度は、用量、化学特性(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む、多数の因子に応じて異なり得る。
本発明に係る化合物を抗がん剤として使用する場合の用法、用量は、例えば、経口投与の場合、概ね、1日当たり約0.5mg~約500mg/体重kgを1~3回に分けて投与する。また、非経口投与の場合、概ね、1日当たり約50μg~約1g/体重kgを1~3回に分けて投与する。本発明の一態様において、用量範囲は、疾患又は障害の種類及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択される化合物の相対生物学的有用性、賦形剤の剤形、及びその投与経路等の可変要素に依存する可能性が高い。有効な用量は、管内又は動物モデル試験システムに由来する、用量応答曲線から推定することができる。
【0054】
本発明に係る化合物を抗がん剤として使用する場合、周知の抗がん剤の1種若しくは2種以上と組み合わせて使用することができる。投与方法は、組合せ製剤として同時に使用することも、周知の抗がん剤の1種若しくは2種以上の投与前に本発明の化合物を投与することも、周知の抗がん剤の1種若しくは2種以上の投与後に本発明の化合物を投与することも可能である。
【0055】
前記の周知の抗がん剤としては、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン(oxaliplatin)、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスター
ド、メルファラン、クロラムブシル、ベンダムスチン(bendamustine)、ブスルファン、テモゾラミド(temozolamide)及びニトロソ尿素);代謝拮抗薬(例えば、ジェムシタビン、クペシタビン(cpecitabine)、及び5-フルオロウラシル及びテガフルのよ
うなフルオロピリミジン類などの葉酸拮抗薬、ラルチトレキセド(raltitrexed)、メト
トレキサート、シトシンアラビノシド及びヒドロキシ尿素);抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン(idarubicin)、マイトマイシンC、ダクチノマイシン及びミトラマイシンのようなアントラサイクリン系);抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビン(vinorelbine)のようなビンカアルカロイド
系;及びタキソール及びタキソテレ(taxotere)のようなタキソイド類;及びポロキナーゼ又はキネシンモータータンパク質の阻害剤);及びトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド及びテニポシドのようなエピポドフィロトキシン類、アムサクリン、トポテカン(topotecan)、カンプトテシン、ピクサントロン(pixantrone)及び
イリノテカン(irinotecan));DNA修復機構の阻害剤であって、CHKキナーゼ、DNA依存性プロテインキナーゼの阻害剤及びポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP阻害剤)、ATM又はATRの阻害剤などであるがこれに制限されるわけではないもの;及びタネスパマイシン(tanespamycin)及びレタスピマイシン(retaspimycin)などのHsp90阻害剤などのもの;細胞周期を通して進行を阻害する化合物であって、抗有糸分裂薬(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン及びビノレルビンのようなビンカアルカロイド系;イクサベピロン(ixabepilone)などのエポチ
ロン類(epothilones);及びタキソール及びタキソテレのようなタキソイド類;ポ
ロ様キナーゼ阻害剤;及びEg5タンパク質阻害剤などのキネシンモータータンパク質の阻害剤であるがこれに制限されるわけではない);オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、AZD1152、PH739358、VX-680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX-528及びAX39459等が挙げられるがこれに制限されるわけではない)、及びCDK2及び/又はCDK4阻害剤などのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(例えば、フラボピリドール(flavopiridol)/Alvocidib、ロスコビ
チン(roscovitine)、セリシクリブ(seliciclib));CENP-E阻害剤などのセン
トロメアタンパク質機能の阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpointblockade)(例えば、ニボルマブ(nivolmab)、ペムブロリズマブ(pembrolizumab)等の
抗PD-1抗体;アテゾリズマブ(atezolizumab)、デュルバルマブ(durvalumab)、アベルマブ(avelumab)等の抗PD-L1抗体;イピリムマブ(ipilimumab)、トレメリムマブ(tremelimumab)等の抗CTLA-4抗体)、などが例示される。
さらに、公知の細胞分裂抑制薬、抗浸潤薬、増殖因子機能の阻害剤、抗血管新生薬、血管損傷薬、エンドセリン受容体アンタゴニスト等を併用することもできる。
【0056】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例0057】
以下に、本発明に係る化合物等の合成例を記載する。
以下の合成例の記載においては、次のとおりの略語を用いて表記する場合がある。
Boc2O:di-tert-butyldecarbonate
CH2Cl2:dichloromethane
CHCl3:chloroform
DIEA:N,N-diisopropylethylamine
DMF:N,N-dimethylformamide
DPPA:diphenyl phosphoryl azide
equiv.:equivalent (試薬等量)
Et2O:diethyl ether
EtOAc:ethyl acetate
EtOH:ethanol
ESI:electrospray ionization
HRMS:high resolution massspectroscopy
HPLC:high performance liquidchromatography
MeOH:methanol
n-Hex:normal hexane
NaH:sodium hydride
NMR:nuclear magneticresonance
TEA:triethylamine
TFA:trifluoroacetic acid
THF:tetrahydrofuran
THPTA:tris[[1-(3-hydroxypropyl)-1H-1,2,3-triazol-4-yl]methyl]amine
TMSBr:trimethylsilyl bromide
satd.:Saturated (飽和水溶液)
なお、使用した試薬は特に記載がない限り、市販品をそのまま精製せずに用いた。
【0058】
さらに、得られた化合物の生成、確認については、特に記載がない限り、以下の条件で実施した。
化合物の精製に用いたカラムクロマトグラフィー用シリカゲルは、富士フィルム和光純薬株式会社のワコーゲル(R) 60N, 38~100 μmを用いた。
TLCプレートは、MERCK SupelcoのTLC Silica gel 60G F254を使用した。
分析HPLCは、JASCO PU-4185 binary pumpでCOSMOSIL (38144-31) Packed column 5C18-AR - II 4.16ID x 150 mmに送液し、JASCO UV-4075 UV/Vis detectorで検出した。グラジエント条件は、A: H2O, B: MeOHで、10-90% B in 20min, 100% B in 5 min, 10% B in 5 minとした。
分取HPLCは、SHIMADZU LC-10AT VPでGL Sciences Inc. (5020-06823) InertsilODS-3 5 μm 20 x 100 mmに送液し、SHIMADZUSPD-10A VP UV/Vis detectorで検出した。
溶媒はH2O(0.05 % v/v TFA), MeOHで、市販のHPLC用溶媒を適宜脱気して用いた。
核磁気共鳴スペクトルは、1H, 13Cともに信州大学基盤研究支援センター機器分析支援部門・伊那分室で測定していただいた。また化学シフトは1H-NMRはTMSを0.00 ppm, CHCl3を7.26 ppm, DMSOを2.50 ppmを内部標準とした。13C-NMRはTMSを0.00 ppm,CHCl3を77.0 ppm, DMSOを39.7 ppmを内部標準とした。
HRMS(ESI)は、LTQ Orbitrap XL(THERMO)を用いてESI (posi)で測定した。
【0059】
合成例1 ペプチドミメティクス4の合成
【化10】
【0060】
製造中間体1(上図、化合物番号1) の合成
100 mL容のナスフラスコに、4-phenyl-4-carboxy-piperidinetosylate 5 g 13.25 mmol, 1,4-diox 20 mL, 2N NaOH 20 mL, 40 mmol, 3 equiv.を加え、Boc2O 2.6 g 11.92 mmol 0.9 equiv.をTHF 12 mLに溶解しフラスコに滴下し、室温で一晩撹拌した。EtOAc 80 mL, satd. KHSO420 mLを加え分液し、有機層をH2O, brine 各20 mLで洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を4.23 g得た。EtOH 10 mL, H2O 100 mLで再結晶し、製造中間体1を白色結晶として3.45 g 85 %を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 7.40 (d, 2H, J = 7.5 Hz, aryl), 7.35 (t, 2H, J =7.5 Hz, aryl), 7.28 (d, 1H, J = 7.5 Hz, aryl), 3.91 (brs, 2H, piperidine), 3.10 (br s, 2H, piperidine), 2.50(d, 2H, J = 13.5 Hz, piperidine), 1.87 (t, 2H, J = 2.0 Hz,piperidine), 1.44 (s, 9H, Boc). HRMS (ESI): [M+Na] C17H23NO4Nacalcd for 328.1525, found 328.1513.
【0061】
製造中間体2(上図、化合物番号2) の合成
30 mL容のナスフラスコに、製造中間体1:100 mg 0.328 mmol, トルエン 2 mL, DPPA 79 mL 0.360 mmol 1.1 equiv., TEA 51 mL 0.360 mmol 1.1 equiv.を加え、120℃で還流した。2時間後、(L)-メチオニンメチルエステル塩酸塩 80 mg 0.393 mmol 1.2 equiv., DIEA 67 mL 0.3930 mmol 1.2 equiv.を加え、室温で一晩撹拌した。EtOAc 40 mL, satd. NH4Cl10 mLを加え分液し、有機層をbrine 5 mLで洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を318 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-Hex : EtOAc = 1 : 1)で製造中間体2を白色アモルファスとして154 mg, quantを得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δppm 7.40 (d, 2H, J = 7.5 Hz, aryl), 7.33 (t, 2H,J = 7.5 Hz, aryl), 7.23 (t, 1H, J = 7.5 Hz, aryl), 5.51 (br, 1H, urea), 4.43 (m, 1H, Met-a), 4.00 (br,2H, piperidine), 3.70 (s, 3H, Met-COOCH
3
), 3.11 (br, 2H, piperidine), 1.99 (m, 11H, piperidine, Met-CH
2
-CH
2
-S-CH
3
),1.46 (s, 9H, Boc). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ ppm 173.47, 157.20, 154.81,146.38, 129.80, 128.53, 126.94, 125.28, 125.08, 79.65, 55.62, 53.54, 52.25,52.01, 40.15, 39.13, 32.08, 29.76, 28.48, 15.35. HRMS (ESI): [M+H] C23H36N3O5Scalcd for 466.2375, found 466.2371.
【0062】
製造中間体3(上図、化合物番号3)の合成
30 mL容のナスフラスコに、製造中間体2:100 mg 0.215 mmol, CH2Cl21 mL, TFA 0.3 mLを加え撹拌した。30分後溶媒を留去し、CHCl3 70 mL, satd. NaHCO3 2 mLで分液を行った。有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過後溶媒を留去し89mgを得た。残渣にimidazole-4-carboxyaldehyde 21 mg 0.215 mmol, ジクロロエタン 1.5 mLを加え、室温で撹拌した。30分後NaBH(OAc)3 135 mg 0.644 mmol 3 equiv.を加え、室温で一晩撹拌した。CHCl3 70 mL, satd. NaHCO3 2 mLで分液し、有機層をNa2SO4で乾燥し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を119 mg得た。SCXカラムクロマトグラフィー (MeOH → 0.2 M NH3 in MeOH) で製造中間体3を無色アモルファスとして35 mg, 32%を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 7.66 (s, 1H, imidazole), 7.39 (d, 2H, aryl), 7.29 (t,2H, aryl), 7.17 (t, 1H, aryl), 7.06 (s, 1H, imidazole), 4.31 (q, 1H, Met-a), 3.70 (s, 3H, Met-COOMe), 3.67 (s, 2H, N-CH
2
-imidazole),2.89 (m, 2H, piperidine), 2.53 (m, 4H, piperidine), 2.30 (m, 2H, piperidine),2.06 (m, 6H, C-CH
2-CH
2
-SCH
3
),1.87 (m, 1H, C-CH
2-CH2-S-CH3) HRMS (ESI): [M+Na]C22H31N5O3SNa calcdfor 468.2046, found 468.2033.
【0063】
ペプチドミメティクス4(上図、化合物番号4)の合成
20 mL容のナスフラスコに、製造中間体3:35 mg 0.079 mmol, MeOH3 mLを加え、氷浴上で2N KOH 393 μL 0.786 mmol 10 equiv.を滴下し、室温で撹拌した。6時間後氷浴上で2N HCl 500 μL 1 mmolを滴下し溶媒を留去した。C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2→ CH2Cl2)で脱塩を行い粗生成物を37 mg得た。HPLC分取精製によりペプチドミメティクス4を白色結晶として13 mg 33 % HPLC Purity (Area) = 91%を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ ppm 8.62 (s, 1H, imidazole), 7.64 (s,1H, imidazole), 7.34-7.30 (m, 4H, aryl), 7.23 (t, 1H, J = 5.7 Hz, aryl), 6.83(s, 1H, imidazole), 6.36 (d, 1H, J = 7.3 Hz, urea), 4.43 (s, 2H, N-CH
2
-imidazole),4.11 (d, 1H, J = 4.0 Hz, Met-a), 3.39 (d, 2H, J = 4.0 Hz, piperidine),3.18 (t, 2H, J = 8.8 Hz, piperidine), 2.44 (t, 2H, J = 7.1 Hz, -CH2-CH
2
-SCH3),2.17 (d, 2H, J = 9.8 Hz, piperidine), 2.02 (s, 3H, -CH2-SCH
3
),1.8 (m, 1H, C-CH
2
-CH2-S), 1.82-1.74 (m, 1H,C-CH
2
-CH2-S). 13C-NMR (100 MHz,DMSO-d6): δ ppm 174.1, 158.7, 158.4,157.1, 146.1, 136.2, 128.2, 126.7, 125.3, 124.9, 120.8, 53.7, 51.4, 50.1, 47.9,39.5, 33.0, 31.8, 29.5, 14.7. HRMS (ESI): [M+H] C21H30N5O3Scalcd for 432.2069, found 432.2057.
【0064】
合成例2 ベンジル置換異性体8、10の合成
【化11】
【0065】
製造中間体5、6(上図、化合物番号5、6)の合成
30 mL容のナスフラスコに、Imidazole-4-carboxyaldehyde317 mg 3.30 mmol, benzyl bromide 475 μL 4.00 mmol, CH3CN 10 mL, K2CO32.28 g 16.5 mmolを加え、50 oCで撹拌した。4時間後CH2Cl2 100 mL, H2O30 mLを加え分液し、有機層をbrine 30 mLで洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を636 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-Hex : EtOAc = 3 : 1 → 1 : 1→ 1 : 3)で製造中間体5を淡黄色アモルファスとして171 mg 28 %,製造中間体6を淡黄色アモルファスとして 356 mg 58 %を得た。
製造中間体5: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 9.84 (s, 1H, aldehyde), 7.61 (m, 2H, imidazole), 7.37 (m, 3H,aryl), 7.19 (m, 2H, aryl), 5.16 (s, 2H, benzyl).
製造中間体6: 1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 9.76 (s, 1H, aldehyde), 7.84 (s, 1H, imidazole), 7.71 (s, 1H,imidazole), 7.33 (m, 2H, aryl), 7.21 (m, 2H, aryl), 5.52 (s, 2H, benzyl).
【0066】
製造中間体7(上図、化合物番号7)の合成
製造中間体2: 70 mg 0.15 mmolをCH2Cl215 mLに溶解し、TES 120 μL, TFA 1.5 mLを加え、室温で撹拌した。30分後溶媒を留去し得た残渣にMeOH 3 mL, TEA 21 μL 0.15mmol,製造中間体5: 28 mg 0.15 mmolを加え室温で撹拌した。2時間後NaB(CN)H3 44 mg 0.70 mmolを加え、室温で一晩撹拌した。CH2Cl2 50 mLを加え、有機層をsatd. NaHCO3 2 mLで分液し、Na2SO4で乾燥し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を59 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CHCl3: Acetone : EtOH = 100 : 40 : 8)で製造中間体7: 31 mg 37 %を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 7.45 (m, 3H, imidazole and aryl), 7.35 (m, 5H, aryl), 7.16 (m,3H, aryl), 7.03 (s, 1H, imidazole), 5.08 (s, 2H, benzyl), 4.44 (q, 1H, J = 5.2 Hz, Met-α), 3.76 (s, 2H, N-CH
2
-imidazole), 3.67 (s,3H, Met-COOCH
3
), 3.03 (s, 2H, urea), 2.81 (m, 1H -CH
2
-CH2-SCH3),2.28 (m, 6H, -CH
2-CH
2
-S-CH
3
),2.00 (m, 4H, piperidine), 1.77 (m, 2H, piperidine), 1.25 (s, 2H, piperidine),0.89 (m, 1H -CH
2
-CH2-SCH3). HRMS(ESI): [M+Na] calcd. for C29H38N5O3S536.2695, found 536.2693.
【0067】
ベンジル置換体8(上図、化合物番号8)の合成
5 mL容ナスフラスコに、製造中間体7: 7 mg0.013 mmol, THF 250 μLを加え、1N LiOH500 μL 0.5 mmolを滴下し室温で撹拌した。5時間後1NHCl 1 mLを加え溶媒を留去し、C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2 →CH2Cl2)で脱塩を行い粗生成物を得た。HPLC分取精製によりベンジル置換体8の2TFA塩を2 mg 26 %を得た。
HRMS (ESI): [M+Na] calcd.for C26H36N5O3S 522.2539, found522.2547.
【0068】
製造中間体9(上図、化合物番号9)の合成
製造中間体2: 70 mg 0.15 mmolをCH2Cl215 mLに溶解し、TES 120 μL, TFA 1.5 mLを加え、室温で撹拌した。30分後溶媒を留去し得た残渣にMeOH 3 mL, TEA 21 μL 0.15mmol, 製造中間体6: 28 mg 0.15 mmolを加え室温で撹拌した。2時間後NaB(CN)H3 44 mg 0.70 mmolを加え、室温で一晩撹拌した。CH2Cl2 50 mLを加え、有機層をsatd. NaHCO3 2 mLで分液し、Na2SO4で乾燥し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を59 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CHCl3: Acetone : EtOH = 100 : 40 : 8)で製造中間体9: 31 mg 37 %を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 7.60 (s, 1H, imidazole), 7.39 (m, 9H, aryl), 7.11 (m, 2H,aryl), 7.10 (s, 1H, imidazole), 5.29 (s, 2H), 4.47 (q, J = 5.2 Hz, 1H, Met-a), 3.70 (s, 3H, -OMe), 3.36 (s, 2H), 2.56 (m, 2H), 1.81-2.31 (m, 13H), 1.26(m, 1H). HRMS (ESI): [M+Na] calcd.for C29H38N5O3S 536.2695, found536.2694.
【0069】
ベンジル置換体10(上図、化合物番号10)の合成
5 mL容ナスフラスコに、製造中間体9: 7 mg 0.013 mmol, THF250 μLを加え、1N LiOH 500 μL 0.5mmolを滴下し室温で撹拌した。5時間後1N HCl 1 mLを加え溶媒を留去し、C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2→ CH2Cl2)で脱塩を行い粗生成物を得た。HPLC分取精製によりベンジル置換体10の 2 TFA塩を2 mg 26 %得た。
HRMS (ESI): [M+Na] calcd.for C26H36N5O3S 522.2539, found522.2551.
【0070】
【0071】
製造中間体11(上図、化合物番号11)の合成
100 mL容のナスフラスコに、4-nitro-benzylalcohol 2 g13.2 mmol, FeCl3■6H2O 58 mg 0.33mmol 0.025 equiv., activated charcoal 263 mg 1.65 mmol 0.125 equiv., EtOH 20 mLを加え、80℃で還流した。1時間後ヒドラジン1水和物 1 mL 19.8 mmol 1.5 equiv.を滴下し、3時間後ヒドラジン1水和物 1 mL 19.8 mmol 1.5 equiv.滴下した。6時間後にセライトろ過後溶媒を留去し、残渣をEtOAc 80 mL, satd.NaHCO3 20 mLで分液し、Na2SO4で乾燥し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体11を褐色オイルとして2.36 g 98 %得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δppm 7.18 (m, 2H, aryl), 6.71 (m, 2H, aryl), 4.58 (s, 2H, NH2),3.71 (br, 2H, OH), 1.60 (s, 2H, benzyl). 13C-NMR(100 MHz, CDCl3): δ ppm 128.88,115.36, 112.80, 65.42, 53.47.
【0072】
製造中間体12(上記図、化合物番号12)の合成
100 mL容のナスフラスコに、製造中間体11:1.4 g 11.4 mmol,10%(v/v) HCl 30 mLを加え、氷浴上で撹拌した。試験管にNaNO2 1.6g 22.7 mmol 2 equiv.を加え、H2O 10 mLに溶解し、氷浴上でよく冷やした(A)。別の試験管にNaN3 1.1 g 17.1 mmol 1.5 equiv.を加え、H2O 10 mLに溶解し、氷浴上でよく冷やした(B)。十分に冷却してからフラスコにAを滴下し、氷浴上で撹拌した。1.5時間後、Bを滴下し室温で撹拌した。EtOAc 50 mLで3回抽出し、有機層をbrine20 mLで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体12を褐色オイルとして1.5 g, 90%で得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 7.18 (m, 2H, aryl), 6.71 (m, 2H, aryl), 4.58 (s, 2H, NH2),3.71 (br, 2H, OH), 1.60 (s, 2H, benzyl). 13C-NMR(100 MHz, CDCl3): δ ppm 139.36,137.57, 128.55, 119.13, 77.33, 76.82, 64.70.
【0073】
製造中間体13(上記図、化合物番号13)の合成
200 mL容のナスフラスコに、製造中間体12:1.5 g 10.3 mmol, Et2O50 mLを加え、氷浴上で撹拌した。30分後TMSBr 4.4 mL, 34.06 mmol, 2 equiv.を滴下し、室温で一晩撹拌した。Et2O 50 mLを加え、100 mLのH2Oで5回分液した。有機層をbrine 5 mLで洗浄し、brine 20 mLで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体13を褐色オイルとして2.3 g quant. を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 7.18 (m, 2H, aryl), 6.71 (m, 2H, aryl), 4.58 (s, 2H, NH2),3.71 (br, 2H, OH), 1.60 (s, 2H, benzyl). 13C-NMR(100 MHz, CDCl3): δ ppm 140.19,134.50, 130.62, 119.41, 32.99.
【0074】
製造中間体14(上記図、化合物番号14)の合成
500 mL容のナスフラスコに、Imidazole-4-carboxyaldehyde3 g, 31 mmol, TEA 6.24 g, 8.6 mL, 62 mmol, 2 equiv., DMF 20 mLを加え、室温で撹拌した。Trityl chloride 8.7 g, 31 mmol, 0.99 equiv.をDMF45 mLに溶解しフラスコに滴下し、室温で一晩撹拌した。H2O 300 mLを加え吸引ろ過し、得た固体をEtOAcに溶解し、Na2SO4で脱水し、溶媒を留去し粗生成物を9.93 g得た。EtOAc 20 mL, 石油エーテル 100 mLで再結晶し、製造中間体14を白色結晶として6.96 g 66 %を得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 9.88 (s, 1H, aldehyde), 7.61 (s, 1H, imidazole), 7.53 (s, 1H,imidazole), 7.37-7.33 (m, 9H, aryl), 7.12-7.10 (m, 6H, aryl).
【0075】
製造中間体15(上記図、化合物番号15)の合成
30 mL容のナスフラスコに、製造中間体13: 0.275 g, 1.48 mmol, 製造中間体14: 0.5 g, 1.48 mol, CH3CN 10 mLを加え、60℃で一晩撹拌した。溶媒を留去し、残渣にacetone 10 mLを加え、吸引ろ過で固体を回収した。得た固体をCH2Cl2200 mL, satd. NaHCO3 20 mLで分液し、有機層をbrine 5mLで洗い、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体15を褐色固体として229 mg, 68%得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ 9.75 (d, 1H, J = 0.9 Hz, aldehyde), 7.83 (s, 1H, imidazole),7.71 (s, 1H, imidazole), 7.21 (d, J = 8.5 Hz, 2H, aryl), 7.00 (d, J= 8.5, 2H, aryl), 5.48 (s, 2H, benzyl). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ ppm 179.27, 144.00, 143.56, 140.31, 132.21,130.94, 129.13, 119.54, 67.10, 49.81. HRMS (ESI): [M+Na]C11H9N5ONa calcd for250.0705, found 250.0694.
【0076】
製造中間体16(上記図、化合物番号16)の合成
10 mL容のナスフラスコに、製造中間体2:50 mg 0.12 mmol 1equiv., CH2Cl2 500 μLを加え、氷浴上でTFA 500 μLを加え、0°Cで撹拌した。30分後にCHCl345 mL, satd. NaHCO3 1 mLを加え、有機層をCHCl3で2回抽出しNa2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去した。残渣に製造中間体15:24 mg 0.11 mmol 1 equiv., AcOH 18 μL 0.32mmol 3 equiv., MeOH 1 mLを加え、室温で撹拌した。30分後にNaBH3CN 63 mg, 0.32 mmol, 3 equiv.を加え室温で一晩撹拌した。CHCl3 40 mL, satd. NaHCO3 5 mL で分液し、有機層はbrine 5 mL で分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物 68 mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (CHCl3 : Acetone : EtOH = 100 : 40 : 8)で製造中間体16を淡黄色アモルファスとして34 mg, 55%で得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 7.57 (s, 1H, imidazole), 7.41 (d, J = 7.5 Hz, 2H, aryl),7.36 (t, 2H, J = 7.5 Hz, aryl), 7.28 - 7.25 (m, 1H, aryl), 7.08 (d, 2H, J= 8.5 Hz, aryl), 6.98 (s, 1H, imidazole), 6.96 (d, 2H, J = 8.5 Hz,aryl), 5.22 (s, 2H, benzyl), 4.45 (m, 1H, Met-a), 3.67 (s, 3H, Met-COOMe), 3.34 (s, 2H, N-CH
2
-imidazole),2.59 (m, 2H, piperidine), 2.25 (m, 4H, piperidine), 1.98 (m, 5H, CH
2
-S-CH
3
),1.78 (m, 2H, Met(a)-CH
2
).13C-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 173.36 156.44 139.79 138.82 133.48129.80 128.74 128.37 128.09 127.25 125.27 119.40 5.89 55.21 52.32 52.10 51.8749.06 48.91 48.37 37.17 35.46 32.09 29.69 25.06 15.56 15.44. HRMS (ESI): [M+H]C29H37N8O3S calcdfor 577.2709, found 577.2701.
【0077】
パラ位アジド体17(上記図、化合物番号17)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体16:30 mg 0.05 mmol, MeOH10 mLを加え、氷浴上で0.1 N KOH 2.6 mL 0.26 mmol 5 equiv.を滴下し、室温で一晩撹拌した。氷浴上で2N HClを滴下し溶媒を留去した。C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2 →CH2Cl2)で脱塩しパラ位アジド体17の2塩酸塩を淡黄色アモルファスとして28 mg 96 % HPLC Purity (Area) = 66%を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ ppm δ 11.96 (s, 1H, COOH),9.02 (s, 1H, imidazole), 8.00 (d, 1H, J = 16.3 Hz, imidazole), 7.64 (d,1H, J = 7.3 Hz, imidazole), 7.49 (d, 2H, J = 7.5 Hz, aryl), 7.38(s, 2H, aryl), 7.31 (s, 2H, aryl), 7.20 (m, 3H, aryl), 6.71 (d, 1H, J =1.8 Hz, urea), 5.83 (s, 1H, urea), 5.72 (s, 2H, benzyl), 4.52 (s, 2H, N-CH
2
-imidazole),4.11 (s, 1H, Met-a),3.50-3.31 (m, 4H, piperidine), 2.44-2.33 (m, 2H, piperidine), 2.03 (s, 2H-CH2-CH2-SCH
3
),1.97-1.79 (m, 4H, -CH2-CH
2
-SCH3 -andpiperidine), 1.50 (m, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3),1.31-1.24 (m, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3)13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6): δ174.6, 140.3, 137.9, 131.5, 130.6, 128.5, 127.0,125.5, 120.3, 54.5, 52.0, 49.8, 32.3, 30.0, 28.1, 15.1. HRMS (ESI): [M+H] C28H35N8O3Scalcd for 5863.2553, found 563.2545.
【0078】
合成例4 biv-Iの合成
(4-1)スペーサーIの合成
【化13】
【0079】
製造中間体18(上図、化合物番号18)の合成
100 mL容のナスフラスコに、1-amidinopyrazolehydrochloride 2 g 6.83 mmol, DMF 10 mL, DIEA 2.8 mL 15.96 mmol 1.17 equiv.を加え、Ar雰囲気下氷浴上で15分撹拌した。Boc2O 2.68 g 0.9 equiv.をCH2Cl210 mLに溶解しフラスコに滴下し、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去し、EtOAc 120 mL, satd. NH4Cl 40 mLで分液し、有機層をsatd. NaHCO3 40 mL, brine 40 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体18を白色結晶として2.7 g, quant.得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 9.07 (br, 1H, guanidyl), 8.46 (s, 1H,pyrazole), 7.61. (m, 2H, guanidyl and pyrazole), 6.40 (s, 1H, pyrazole), 1.56(s, 9H, Boc).
【0080】
製造中間体19(上図、化合物番号19)の合成
300 mL容ナスフラスコに、NaH 4.3 g 5 equiv., n-Hex 5 mLを加え室温で撹拌した。5分後製造中間体18: 4.22 g 120 mmolをTHF 30 mLに溶解しフラスコに滴下した。氷浴上で激しく撹拌し、5分後Boc2O 13 g, 0.060 mmol 3 equiv.をTHF20 mLに溶解しフラスコに滴下し、室温で150時間撹拌した。氷浴上でsatd. NH4Cl 50 mLを加え1時間撹拌した。EtOAc 300 mLで分液し、水層をEtOAc 300 mLで分液した。有機層をbrine 10 mLで洗浄後、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物9.4 gを得た。n-Hex 100 mLで再結晶し、製造中間体19を白色結晶として6.23 g, quant.得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 8.93 (s, 1H, guanidyl), 8.33 (s, 1H, pyrazole), 7.65. (s, 1H,pyrazole), 6.44 (s, 1H, pyrazole), 1.57 (s, 9H, Boc), 1.51 (s, 9H, Boc).
【0081】
製造中間体20(上図、化合物番号20)の合成
100 mL容ナスフラスコに、6-amino-1-hexanol 100 mg 0.85mmol, 製造中間体19: 400 mg 1.28 mmol 1.5 equiv., TEA 0.12 mL0.85 mmol 1 equiv., CH2Cl2 5 mLを加え室温で撹拌した。1時間後CH2Cl2 40 mL,satd. NH4Cl 10 mLで分液し、有機層をbrine 5 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を452 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc = 4 : 1)で製造中間体20を無色オイルとして305mg, quant. 得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 11.50 (s, 1H, guanidyl), 8.30 (s, 1H, guanidyl), 3.58 (t, J= 6.6 Hz, 13.2, 2H, CH
2
-O), 3.35 (m, 2H, N-CH
2
),2.00 (br, 1H, OH), 1.53 (m, 4H, CH2, CH2),1.45 (d 18H, Boc), 1.34 (m, 4H, CH2, CH2). 13C-NMR(500 MHz, CDCl3): δ ppm 163.57 156.11153.29 104.74 83.02 79.22 62.57 60.39 40.77 32.48 28.89 28.27 28.05 26.56 25.3421.02 14.17 HRMS (ESI): [M+Na] C17H33N3O5Nacalcd for 382.2318, found 382.2312.
【0082】
製造中間体21(スペーサーI、上図、化合物番号21)の合成
50 mL容ナスフラスコに、NaH 115 mg 0.32 mmol 2 equiv., THF0.2 mLを加え室温で撹拌した。製造中間体20: 45 mg 0.16 mmolをTHF 2 mL に溶解しフラスコに滴下し氷浴上で撹拌した。5分後9.2 M臭化プロパルギルトルエン溶液 35 μL, 0.32 mmol, 2 equiv.を滴下し室温で一晩撹拌した。EtOAc 40 mL, satd. NH4Cl10 mLで分液し、有機層をbrine 10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を40 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc = 10 : 1 to 4 : 1)で製造中間体21(スペーサー1)を淡黄色オイルとして35 mg, 75 %得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 11.50 (s, 1H, guanidyl), 8.30 (s, 1H, guanidyl), 4.13 (d, 2H, J= 2.5 Hz, propargyl), 3.50 (t, 2H, J = 6.6 Hz, CH
2
-O),3.40 (m, 2H, N-CH
2
), 1.59 (m, 4H, CH2),1.50 (s, 9H, Boc), 1.49 (s, 9H, Boc), 1.38 (m, 4H, CH2). 13C-NMR(500 MHz, CDCl3): δ ppm 163.62 156.11153.34 83.05 80.00 79.28 74.16 70.02 68.00 58.06 40.91 29.34 28.95 28.32 28.1026.65 25.79 25.63.
【0083】
(4-2)biv-Iの合成(クリック反応)
【化14】
【0084】
製造中間体22(上図、化合物番号22)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体16: 116 mg 0.20 mmol, 製造中間体21: 80 mg 0.20 mmol, アスコルビン酸ナトリウム 89 mg 0.50mmol 2.5 equiv., CuSO4 64 mg 0.40 mmol 2 equiv., THPTA 175 mg 0.40mmol 2 equiv., H2O 3 mL, THF 3 mLを加え、室温で撹拌した。15 分後にCH2Cl2 80 mL,satd. NH4Cl 20 mLを加え分液し、水層をCH2Cl280 mLで抽出し、有機層をbrine 10 mLで抽出し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体22を淡緑色アモルファスとして196 mg, quant.で得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 11.50 (s, 1H, guanidyl), 8.30 (s, 1H, guanidyl), 7.90 (s, 1H,triazole), 7.70 (d, 3H, J = 8.5 Hz, aryl), 7.40 (d, 2H, J = 7.2Hz, aryl), 7.28 (m, 6H, aryl), 5.33 (m, 3H, urea and benzyl), 4.68 (s, 2H,imidazole-CH
2
-piperidine), 4.42 (m, 1H, Met-a), 4.12 (m, 2H, O-CH
2
-triazole),3.66 (s, 3H, Met-COOCH
3
), 3.56 (t, 2H, J = 6.8Hz, CH
2
-O), 3.39 (m, 4H, piperidine and N-CH
2
),2.59 (m, 2H, piperidine), 2.22 (m, 4H, piperidine), 2.03 (m, 5H, CH
2
-S-CH
3
),1.80 (m, 2H, Met(a)-CH
2
),1.49 (m, 26H, CH
2
-CH
2
-CH
2
-CH
2
and Boc). 13C-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 173.25 171.19 163.64 156.21 156.12153.34 149.74 146.42 145.84 137.76 136.58 132.44 130.91 128.77 128.06 127.28125.29 120.94 120.55 83.07 80.00 79.27 74.16 70.94 70.02 68.53 64.33 60.4258.05 55.11 53.46 52.32 52.11 49.00 40.87 38.61 37.03 35.52 32.04 30.36 29.6729.54 29.34 28.95 28.32 28.10 26.72 26.65 25.85 25.78 23.74 22.97 22.67 22.2121.10 15.45 14.22 14.15 10.98
【0085】
製造中間体23(上図、化合物番号23)の合成
50 mL 容のナスフラスコに、製造中間体22: 196 mg 0.20 mmol, CH2Cl2 3 mLを加え、氷浴上でTFA 1 mLを滴下し撹拌した。6時間後に溶媒を留去し製造中間体23を黄褐色アモルファスとして253 mg, quant.で得た。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6)δ 9.73 (s, 1H, guanidyl), 8.78 (d, 1H, J = 19.8Hz, guanidyl), 7.96 (d, 2H, J = 7.3 Hz, aryl),7.67 (s, 1H, imidazole), 7.46 (d, 2H, J =6.5 Hz, aryl), 7.30-7.17 (m, 5H, aryl), 7.05 (s, 1H, imidazole), 6.56 (s, 1H,urea), 5.60 (s, 2H, guanidyl-CH
2
-CH2),4.61 (d, 2H, J = 21.5 Hz, N-CH
2
-imidazole),4.16 (d, 1H, J = 6.3 Hz, Met-a), 3.63-3.61 (m, 7H, piperidine and Met-COOCH
3
and benzyl), 3.51-3.48 (m, 2H, O-CH
2
-CH2),3.08 (m, 2H, piperidine), 2.54 (s, 2H, piperidine), 2.15-2.41 (m, 2H, -CH2-CH
2
-SCH3),2.05 (s, 3H, -CH2-CH2-SCH
3
),1.96-1.80 (m, 2H, guanidyl-CH2-CH
2
), 1.53(m, 2H, -CH2-), 1.46 (m, 2H, -CH2-), 1.27 (m, 5H,piperidine and -CH2- and -CH
2
-CH2-SCH3),0.89-0.85 (m, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3)13C-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ ppm 173.71 157.61 157.18 145.87 136.97129.75 128.62 127.08 125.27 122.55 120.90 70.12 63.46 54.31 52.34 51.89 48.5641.14 40.17 40.01 39.84 39.67 39.51 39.34 39.17 31.74 29.80 29.43 28.76 26.2925.66 15.02 HRMS(ESI): [M+H]+ calcd. for C39H56N11O4S:774.4232; found: 774.4233.
【0086】
biv-I(上図、化合物番号24)の合成
300 mL容のナスフラスコに、製造中間体23 253 mg 0.20 mmol, MeOH 30 mLを加え、氷浴上で0.1 NKOH 20 mL, 2 mmol, 10 equiv.を滴下し氷浴上で撹拌した。6時間後に2N HCl 2 mL, 4 mmolを滴下し溶媒を留去した。C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2 →CH2Cl2)で脱塩しbiv-Iの3塩酸塩を淡黄色アモルファスとして70 mg 30% HPLC Purity (Area) = 77%得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ ppm 12.05 (s, 1H, guanidyl), 10.64 (s, 1H,guanidyl), 9.27 (s, 1H, guanidyl), 8.87 (s, 1H, imidazole),8.04 (m, 6H, aryl and imidazole), 7.66 (s, 2H, aryl), 7.39 (d, 3H, J =6.8 Hz, aryl), 7.30 (t, 2H, J = 6.8 Hz, aryl), 7.21 (t, 1H, J =6.8 Hz, aryl), 6.85 (d, 1H, J = 6.8 Hz, urea), 5.90 (s, 2H, pieridine),4.58 (s, 4H, N-CH
2
-imidazoleand Met-a), 4.09 (s, 2H, O-CH
2
-triazole), 3.60-3.38(m, 8H, piperidine and guanidyl-CH
2
-CH2 andbenzyl and O-CH
2
-CH2),2.72-2.68 (m, 2H, piperidine), 2.04 (s, 3H, -CH2-CH2-SCH
3
),1.97-1.88 (m, 2H, -CH2-), 1.84-1.76 (m, 2H, -CH2-), 1.53(s, 4H, piperidine and -CH2-), 1.27 (m, 7H, -CH2- and -CH2-CH
2
-SCH3and -CH
2
-CH2-SCH3), 0.89-0.80(m, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3) 13C-NMR(500 MHz, DMSO-d6): δppm 174.74 159.35 159.04 158.71 157.20 145.96 137.15 130.00 128.76 127.25 125.37 122.64 121.04 90.19 77.26 72.93 70.21 69.59 63.53 54.27 53.41 52.99 51.93 49.50 48.69 44.37 41.22 40.23 40.06 39.89 39.73 39.56 39.39 39.22 32.25 29.93 29.49 28.83 26.36 25.73 15.12HRMS(ESI): [M+H]+ calcd. for C38H54N11O4S:760.4076; found: 760.4069.
【0087】
合成例5 biv-IIの合成
(5-1)スペーサーIIの合成
【化15】
【0088】
製造中間体25(上図、化合物番号25)の合成
300 mL容のナスフラスコに、6-amino-1-hexanol 3.76 g,32.08 mmol, 1,4-dioxiane 30 mL, 5N NaOH 20 mLを加え、氷浴上で撹拌した。Boc2O 6.3 g, 28.88 mmol, 0.9 equiv.をTHF 5 mLに溶解しフラスコに滴下し、室温で一晩撹拌した。氷浴上でsatd.KHSO4 50 mL, EtOAc 300 mLを加え、有機層をH2O, brine各50 mLで洗浄し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体25を白色固体として5.27 g 84%得た。
HRMS (ESI): [M+Na] C11H23NO3Nacalcd for 240.1576, found 240.1563.
【0089】
製造中間体26(スペーサーII、上図、化合物番号26)の合成
50 mL容のナスフラスコに、NaH 18 mg, 0.46 mmol, 2 equiv., THF 0.2 mLを加え室温で撹拌した。製造中間体25: 50 mg 0.23 mmolをTHF 2 mL に溶解しフラスコに滴下し氷浴上で撹拌した。5分後9.2 M臭化プロパルギルトルエン溶液 200 μL, 1.84 mmol, 8 equiv.を滴下し室温で一晩撹拌した。EtOAc 40 mL, satd.NH4Cl 10 mLで分液し、有機層をbrine 10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を61 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc = 10 : 1 to 4 : 1)で製造中間体26(スペーサーII)を淡黄色オイルとして43 mg, 73 %得た。
1H-NMR (500 MHz, CDCl3): δ ppm 4.55 (s, 1H, NH), 4.13 (d, J= 2.2 Hz, 2H, O-CH2-alkyne), 3.51 (t, 2H, O-CH
2
-CH2), 3.12(q, 2H, NH-CH2-), 2.43 (t, 1H, alkyne), 1.60 (m, 2H, CH2),1.51-1.31 (m, 15H, CH2 and Boc).
HRMS(ESI): [M+Na] C14H25NO3Nacalcd for 278.1732, found 278.1722.
【0090】
(5-2)biv-IIの合成(クリック反応)
【化16】
【0091】
製造中間体27(上図、化合物番号27)の合成
30 mL容のナスフラスコに、製造中間体16: 50 mg 86.7 μmol,製造中間体26: 22 mg 86.7 μmol, THPTA 28 mg 64.44 μmol 0.74 equiv., ascorbic acid38 mg, 0.22 mmol, 2.5 equiv., CuSO4 28 mg, 0.17 mmol, 2 equiv., THF3 mL, H2O 1 mLを加え、室温で撹拌した。30分後にCH2Cl2 40 mL, satd. NH4Cl 5 mLを加え、satd. NaHCO3 5 mLを加え分液した。有機層をbrine10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体27を淡緑色アモルファスとして76 mg, quant.で得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δppm 7.88 (s, 1H, , imidazole), 7.69 (s, 3H, aryl andimidazole), 7.52 (s, 1H, triazole), 7.36-7.29 (m, 4H, aryl), 7.23 (s, 3H, J= 6.5 Hz, aryl), 5.32 (m, 3H, urea and -CH2-O-CH
2
-triazole),4.98 (s, 2H, NH-CH
2
-CH2),4.51-4.43 (m, 2H, NH and Met-a), 3.66 (s, 4H, s, 3H, Met-COOCH
3
),3.56 (t, 2H, J = 6.4 Hz, O-CH
2
-CH2), 3.09 (m, 2H, NH-CH2-CH
2
),2.60 (s, 2H, piperidine), 2.29-2.15 (m, 6H, piperidine and -CH2-),2.09-1.96 (m, 5H, -CH2-CH
2
-SCH
3
),1.77-1.60 (m, 4H, -CH2-), 1.45-1.25 (m, 12H, Boc and piperidine and-CH
2
-CH2-SCH3), 0.92 (m, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3).13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ ppm 173.2, 156.2, 146.5, 136.6, 130.9,128.8, 128.1, 127.3, 125.3, 120.9, 120.5, 70.9, 68.2, 64.3, 55.1, 52.3, 52.1,49.1, 38.8, 32.1, 30.4, 30.0, 29.7, 29.6, 28.9, 28.4, 26.6, 25.8, 23.8, 23.0,15.4, 14.1, 11.0. HRMS (ESI): [M+Na] C43H61N9O6SNacalcd for 854.4364, found 854.4366.
【0092】
製造中間体28(上図、化合物番号28)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体27:72 mg 86.53 μmol, CH2Cl24 mLを加え、氷浴上でTFA 1 mLを滴下し撹拌した。2時間後に溶媒を留去し製造中間体28を褐色アモルファスとして110 mg, quant.得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ ppm 8.83 (s, 1H, NH2), 7.96(s, 3H, aryl and imidazole), 7.24 (m, 4H, aryl), 6.96 (s, 1H, imidazole), 5.75(s, 1H, urea), 4.57 (s, 2H, benzyl), 4.15-4.08 (m, 3H, -CH2-O-CH
2
-triazoleand Met-a), 3.59 (s, 4H, N-CH
2
-imidazole and O-CH
2
-CH2),3.47 (t, 2H, J = 6.0 Hz, NH-CH
2
-CH2),3.43-3.38 (m, 2H, -CH2-), 2.75 (s, 2H,piperidine), 2.50 (m, 2H, piperidine), 2.32 (m, 2H, piperidine and NH-CH2-CH
2
),2.02 (s, 3H, Met-COOCH
3
), 1.93-1.77 (m, 2H, -CH2-),1.52 (d, 4H, J = 4.0 Hz, -CH2-CH
2
-SCH3and piperidine), 1.30 (m, 4H, -CH2-CH2-SCH
3
and -CH
2
-CH2-SCH3), 0.83 (m, 1H,-CH
2
-CH2-SCH3).
13C-NMR (100 MHz, CDCl3):δ ppm 173.7, 159.5, 159.2,157.8, 145.8, 137.0, 129.8, 128.5, 125.4, 122.6, 120.8, 77.3, 70.0, 69.4, 63.6,57.7, 54.5, 52.2, 52.0, 48.4, 31.8, 29.9, 29.3, 29.1, 27.3, 26.1, 26.0, 25.6,15.0. HRMS (ESI): [M+Na] C38H53N9O4SNacalcd for 754.3839, found 754.3838.
【0093】
biv-II(上図、化合物番号29)の合成
50 mL容のナスフラスコに製造中間体28: 29 mg 27 μmol, MeOH10 mLを加え、氷浴上で0.1 N KOH 4.5 mL 0.45 mmol 17 equiv.を滴下し室温で撹拌した。14時間後に1N HClを0.5 mL加え溶媒を留去した。C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2→ CH2Cl2)で脱塩しbiv-IIの3塩酸塩を淡黄色アモルファスとして19mg, 85% HPLC Purity (Area) = 81%得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ ppm 12.08 (s, 1H, NH2), 9.24(s, 1H, , imidazole), 8.88 (s, 1H, imidazole), 8.00(d, 2H, J = 7.8 Hz, aryl), 7.88 (s, 1H, imidazole), 7.67 (d, 2H, J= 7.8 Hz, aryl), 7.50-7.38 (m, 3H), 7.32-7.29 (m, 2H, aryl), 7.21 (t, 2H, J= 6.8 Hz, aryl), 7.06 (d, 1H, J = 6.8 Hz, aryl), 6.81 (d, 1H, J =7.3 Hz, urea), 5.88 (s, 2H, piperidine), 4.58 (s, 3H, N-CH
2
-imidazoleand Met-a), 4.10 (s, 2H, -CH2-O-CH
2
-triazole),3.61 (s, 2H, NH-CH
2
-CH2), 3.48 (m, 6H,piperidine and benzyl and O-CH
2
-CH2), 3.09(q, 2H, J = 6 Hz, piperidine), 2.04 (s, 3H, -CH2-CH2-SCH
3
),1.95-1.88 (m, 4H, -CH2-), 1.52 (t, 2H, J = 6 Hz, -CH2-),1.47 (t, 2H, J = 13.3 Hz, -CH2-), 1.31-1.23 (m, 5H, -CH2-CH
2
-SCH3and piperidine and -CH
2
-CH2-SCH3),0.89-0.84 (m, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3).13C-NMR (100 MHz, DMSO-d6):δ ppm 173.2, 156.2,146.5, 136.6, 130.9, 128.8, 128.1, 127.3, 125.3, 120.9, 120.5, 70.9, 68.2,64.3, 55.1, 52.3, 52.1, 49.1, 38.8, 32.1, 30.4, 30.0, 29.7, 29.6, 28.9, 28.4,26.6, 25.8, 23.8, 23.0, 15.4, 14.1, 11.0. HRMS (ESI): [M+Na]C37H51N9O4SNa calcdfor 740.3683, found 740.3682.
【0094】
合成例6 biv-IIIの合成
(6-1)スペーサーIIIの合成
【化17】
【0095】
製造中間体30(上図、化合物番号30)の合成
100 mL容のナスフラスコに、4-aminobenzoicacid 1 g 7.29 mmol, 2N NaOH 11 mL 22 mmol 3 equiv.,1,4-diox 20 mLを加えた。Boc2O 1.43 g 6.56 mmol0.9 equiv.をTHF 4 mLに溶解しフラスコに滴下し、室温で一晩撹拌した。EtOAc 250 mL,satd. KHSO4 30 mLを加え、有機層をH2O,brine各10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体30を白色固体として987 mg, 63%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δppm8.04 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aryl), 7.46 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aryl),6.73 (s, 1H, NH), 1.54 (s, 9H, Boc).
【0096】
製造中間体31(スペーサーIII、上図、化合物番号31)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体26:40 mg 0.16 mmol, CH2Cl20.75mLを加え、氷浴上でTFA 0.25 mLを滴下し室温で撹拌した。30分後エバポレーターで溶媒を留去しTEAを150 μL加えた(A)。
別の50 mL容ナスフラスコに、製造中間体30: 41 mg 0.17 mmol 1.1equiv., CH2Cl2 1 mL, TEA 78 μL0.56 mmol 2.1 equiv., PyBOP 135 mg 0.26 mmol 1.5equiv., HOBt 40 mg 0.26 mmol 1.5 equiv.を加え、室温で撹拌した。30分後、AをCH2Cl2 4 mLに溶解しフラスコに加え、室温で一晩撹拌した。CH2Cl2 35 mL, satd. NH4Cl 10 mLで分液し、有機層をsatd. NaHCO3 10 mL, brine 10 mLで各分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を139 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc = 4 : 1)で製造中間体31(スペーサーIII)を白色固体として58 mg 92%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 7.70 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aryl), 7.42 (d, 2H, J =8.8 Hz, aryl), 6.65 (s, 1H, NH), 6.06 (t, 1H, J = 5.0 Hz, NHCO), 4.12(d, 2H, J = 2.3 Hz, CH
2
-alkyne), 3.53-3.41 (m,4H, O-CH
2
-CH2 and NH-CH
2
-CH2),2.40 (q, 1H, J = 2.4 Hz, alkyne), 1.68-1.58 (m, 4H, O-CH2-CH
2
and NH-CH2-CH
2
),1.52 (s, 9H, Boc), 1.41 (m, 4H, CH2). 13C-NMR (100 MHz,CDCl3): δ ppm 167.0, 152.5, 141.4,129.1, 128.1, 117.9, 81.2, 80.1, 74.2, 70.2, 58.2, 40.1, 29.8, 29.5, 28.4,26.9, 26.0. HRMS (ESI): [M+Na] C21H30N2O4Nacalcd for 397.2104, found 397.2094.
【0097】
(6-2)biv-IIIの合成(クリック反応)
【化18】
【0098】
製造中間体32(上図、化合物番号32)の合成
30 mL容のナスフラスコに、製造中間体16: 31 mg 53.6 μmol, 製造中間体31:20 mg 53.6 μmol, THPTA 23 mg 53.6 μmol 1 equiv., ascorbic acid 24mg, 0.13 mmol, 2.5 equiv., CuSO4 17 mg, 0.11 mmol, 2 equiv., THF 2mL, H2O 1 mLを加え、室温で撹拌した。60分後にCH2Cl2 40 mL, satd. NH4Cl 5 mLを加え、satd. NaHCO3 5 mLを加え分液した。有機層をbrine10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物 70 mg を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3: Acetone : EtOH = 100 : 40 : 8)で製造中間体32を白色アモルファスとして29mg, 58%で得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 7.90 (s, 1H, NH), 7.70-7.68 (m, 7H, aryl), 7.53 (dd, 2H, J= 5.6, 3.4 Hz, aryl), 7.42 (s, 3H, aryl and imidazole), 7.32 (s, 1H, aryl),7.21 (d, 2H, aryl), 6.90 (s, 1H, imidazole), 6.20 (s, 1H, NHCO),5.22 (m, 2H, NHand urea), 4.67 (s, 2H, benzyl), 4.42 (d, 1H, J = 4.5 Hz, Met-a), 4.31-4.26 (m, 4H, NH-CH2-CH
2
and -CH2-O-CH
2
-triazole), 3.65 (s, 3H, s,3H, Met-COOCH
3
), 3.56 (t, 2H, J = 6.1 Hz, O-CH
2
-CH2),3.42 (t, 3H, J = 6.3 Hz, NH-CH
2
-CH2),2.54 (s, 2H, piperidine), 2.25 (s, 4H, piperidine), 2.04-1.99 (m, 5H, -CH2-CH
2
-SCH
3
),1.74 (dd, 2H, J = 13.1, 7.1 Hz, piperidine), 1.65-1.58 (m, 4H, -CH2-), 1.52 (s, 9H, Boc), 1.45-1.39 (m,2H, -CH2-), 1.32 (s, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3),0.94-0.88 (m, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3).13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ ppm 166.9, 152.4, 141.4, 131.0, 130.9,128.8, 128.7, 127.9, 125.2, 120.9, 120.6, 117.8, 81.0, 77.7, 70.8, 68.2, 64.3,55.2, 52.3, 52.1, 39.9, 38.8, 32.1, 30.4, 29.7, 29.6, 29.5, 28.9, 28.5, 28.3,26.7, 25.8, 23.8, 23.0, 15.4, 14.1, 14.1, 11.0, 1.0. HRMS (ESI): [M+Na] C50H66N10O7SNacalcd for 973.4735, found 973.4738.
【0099】
製造中間体33(上図、化合物番号33)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体32: 29 mg 30.52 μmol, CH2Cl23 mLを加え、氷浴上でTFA 1 mLを滴下し撹拌した。2時間後に溶媒を留去し製造中間体33を淡黄色アモルファスとして34 mg, 94%得た。
HRMS (ESI): [M+Na] C45H58N10O5SNacalcd for 873.4210, found 873.4214.
【0100】
biv-III(上図、化合物番号34)の合成
50 mL容のナスフラスコに製造中間体33: 20 mg 16.76 μmol,MeOH 10 mLを加え、氷浴上で0.1 N KOH 3 mL 0.3 mmol 18 equiv.を滴下し室温で撹拌した。8時間後に1N HClを0.5 mL加え溶媒を留去した。C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2→ CH2Cl2)で脱塩し、biv-IIIの3塩酸塩を淡黄色アモルファスとして18 mg, 90% HPLC Purity (Area) = 62%得た。
HRMS (ESI): [M+H] C44H57N10O5Scalcd for 837.4234, found 837.4235.
【0101】
合成例7 biv-IVの合成
(7-1)スペーサーIVの合成
【化19】
【0102】
製造中間体35(上図、化合物番号35)の合成
50 mL容のナスフラスコに、4-aminobenzoic acid 170 mg 1.24 mmol,製造中間体19: 500 mg 1.613 mmol 1.3 equiv., TEA 515 μL3.72 mmol 3 equiv., CH2Cl2 5 mLを加え室温で一晩撹拌した。EtOAc 40 mL, satd.NH4Cl 10 mLを加え、有機層をbrine 10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物561 mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc= 5 : 1)で製造中間体35を白色固体として103 mg 22%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 11.63 (s, 1H, guanidyl), 10.63 (s, 1H, guanidyl), 8.08 (d, 2H, J= 8.8 Hz, aryl), 7.78 (d, 2H, J = 8.8 Hz, aryl), 1.56 (s, 18H, Boc).HRMS (ESI): [M+Na] C18H25N3O6Nacalcd for 402.1641, found 402.1629.
【0103】
製造中間体36(スペーサーIV、上図、化合物番号36)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体26: 20 mg 78.32 μmol, CH2Cl20.75mLを加え、氷浴上でTFA 0.25 mLを滴下し室温で撹拌した。30分後エバポレーターで溶媒を留去しTEAを150 μL加えた(A)。
別の50 mL容ナスフラスコに、製造中間体35:33 mg 86.15 mmol 1.1equiv., CH2Cl2 1 mL, TEA 78 μL12.92 μmol 1.5 equiv., PyBOP 67 mg 12.92 μmol 1.5equiv., HOBt 20 mg 12.92 μmol 1.5 equiv.を加え、室温で撹拌した。30分後、AをCH2Cl2 2 mLに溶解しフラスコに加え、室温で一晩撹拌した。CH2Cl2 35 mL, satd. NH4Cl 10 mLで分液し、有機層をsatd. NaHCO3 10 mL, brine 10 mLで各分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を92 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc = 4 : 1)で製造中間体36(スペーサーIV)を白色固体として31 mg 77%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 7.70 (q, 4H, J = 8.8 Hz, aryl), 6.15 (t, 1H, J =5.5 Hz, NHCO), 4.12 (d, 2H, J = 2.5 Hz, O-CH
2
-alkyne),3.51 (t, 2H, J = 6.5 Hz, NH-CH
2
-CH2),3.41 (q, 2H, J = 6.7 Hz, O-CH
2
-CH2),2.42 (t, 1H, J = 2.5 Hz, alkyne), 1.64-1.57 (m, 4H, -CH2-), 1.52 (m, 18H, Boc), 1.46-1.35 (m,4H, -CH2-). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ ppm 167.0, 163.4, 153.5, 153.4, 139.8, 130.8, 127.8, 121.7, 84.2,80.1, 80.1, 77.5, 77.4, 77.2, 76.8, 74.3, 70.2, 58.2, 40.1, 29.7, 29.5, 28.2,26.9, 26.0, 1.2. HRMS (ESI): [M+Na] C27H40N4O6Nacalcd for 539.2846, found 539.2835.
【0104】
(7-2)biv-IVの合成(クリック反応)
【化20】
【0105】
製造中間体37(上図、化合物番号37)の合成
30 mL容のナスフラスコに、製造中間体16: 22 mg 38.7 μmol, 製造中間体36: 20 mg 38.7 μmol, THPTA 42 mg 96.78 μmol 2.5 equiv., ascorbic acid 17mg 96.78 μmol 2.5 equiv., CuSO4 12 mg, 77.42 μmol, 2 equiv., THF 3mL, H2O 2 mLを加え、室温で撹拌した。60分後にCH2Cl2 40 mL, satd. NH4Cl 5 mLを加え、satd. NaHCO3 5 mLを加え分液した。有機層をbrine10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物 43 mg を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3: acetone : EtOH = 100 : 40 : 8)で製造中間体37を白色アモルファスとして33mg, 79%で得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 11.62 (s, 1H, guanidyl), 10.50 (s, 1H, guanidyl), 7.91 (s, 1H,imidazole), 7.74-7.70 (m, 5H, aryl), 7.39 (m, 2H, aryl), 7.29 (d, 2H, J= 9.5 Hz, aryl), 7.21 (d, 1H, J = 6.5 Hz, aryl), 7.08 (s, 1H,imidazole), 6.97 (d, 2H, J = 7.0 Hz, aryl), 6.33 (s, 1H, NHCO),5.55-5.23 (m, 3H, -CH2-O-CH
2
-triazole andurea), 4.69 (s, 2H, benzyl), 4.44 (d, 1H, J = 5.3 Hz, Met-a), 3.66 (s, 3H, Met-COOCH
3
),3.57 (t, 2H, J = 6.0 Hz, NH-CH
2
-CH2),3.49-3.38 (m, 4H, N-CH
2
-imidazole and O-CH
2
-CH2),2.56 (s, 2H, piperidine), 2.29 (m, 4H, piperidine), 2.18-2.05 (m, 4H, O-CH2-CH
2
and NH-CH2-CH
2
), 2.00 (m, 5H, -CH2-CH
2
-SCH
3
),1.83-1.74 (m, 2H, -CH2-), 1.61 (q, 2H, J = 6.4 Hz, -CH2-),1.55 (s, 9H, Boc), 1.51 (s, 9H, Boc), 1.39 (m, 2H, piperidine), 1.26-1.16 (m,1H, -CH
2
-CH2-SCH3), 0.89 (s, 1H,-CH
2
-CH2-SCH3). 13C-NMR(100 MHz, CDCl3): δ ppm 173.4, 167.0, 163.3,156.5, 153.4, 153.3, 146.4, 139.7, 136.5, 130.5, 128.6, 128.1, 127.7, 127.0,125.2, 121.6, 120.9, 120.7, 119.4, 84.1, 80.0, 70.8, 64.3, 55.2, 52.2, 52.1,49.1, 40.0, 36.8, 35.7, 32.2, 29.8, 29.6, 29.5, 28.2, 28.1, 26.8, 25.8, 15.4HRMS (ESI): [M+Na] C56H76N12O9SNacalcd for 1115.5477, found 1115.5487.
【0106】
製造中間体38(上図、化合物番号38)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体37: 8 mg 7.32 μmol, CH2Cl20.5 mLを加え、氷浴上でTFA 0.5 mLを滴下し撹拌した。6時間後に溶媒を留去し製造中間体38を淡黄色アモルファスとして11 mg, quant.得た。
HRMS (ESI): [M+Na] C46H60N12O5SNacalcd for 915.4428, found 915.4427.
【0107】
biv-IV(上図、化合物番号39)の合成
30 mL容のナスフラスコに製造中間体38:9 mg 6.86 μmol, MeOH 3mLを加え、氷浴上で0.1 N KOH 3 mL 0.3 mmol 15 equiv.を滴下し室温で一晩撹拌した。1N HClを0.5 mL加え溶媒を留去した。C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2→ CH2Cl2)で脱塩し、biv-IVの3塩酸塩を淡黄色アモルファスとして7mg, quant. HPLC Purity (Area) = 70%得た。
HRMS (ESI): [M+Na] C45H58N12O5SNacalcd for 901.4272, found 901.4275.
【0108】
合成例8 biv-Vの合成
(8-1)スペーサーVの合成
【化21】
【0109】
製造中間体40(上図、化合物番号40)の合成
100 mL容のナスフラスコに、4-cyanobenzoic acid 2.14 g 14.5 mmol, MeOH40 mLを加え、室温で撹拌した。濃塩酸 5 mL 57.5 mmol 4 equiv.を滴下し、40℃で撹拌した。24時間後に溶媒を留去し、satd. NaHCO3 30 mL, EtOAc 100mLで分液し、水層をEtOAc 100 mLで2回分液した。有機層をbrine10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し製造中間体40を白色固体として2.16 g, 92%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 8.14-8.09 (d, 2H, J = 8.0 Hz, aryl), 7.74 (d, 2H, J= 8.0 Hz, aryl), 3.96 (s, 3H, -COOCH
3
).
【0110】
製造中間体41(上図、化合物番号41)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体40: 500 mg 3.10 mmol,hydroxylamine hydrochloride 647 mg 9.31 mmol 3 equiv., K2CO3750 mg 5.43 mmol 1.75 equiv., MeOH 10 mLを加え75℃で撹拌した。90分後EtOAc 90 mL, H2O 10 mLで分液し、水層をEtOAc 90 mLで分液した。有機層をbrine 10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を1.84 g得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc = 4 : 1 → 1 : 1)で製造中間体41を368 mg, 61%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 8.07 (d, 2H, J = 8.3 Hz aryl), 7.71 (d, 2H, J =8.3 Hz aryl), 6.57 (s, 1H, N’H), 4.87 (s,2H, NH-OH), 3.93 (s, 3H, -COOCH
3
).
【0111】
製造中間体42(上図、化合物番号42)の合成
300 mL容のナスフラスコに、palladium 10% on carbon 37mg, AcOH 10 mLを加え、フラスコ内を水素置換し室温で撹拌した。30分後、製造中間体41: 368 mg 1.9 mmol, Ac2O270 μL 2.83 mmol 1.5 equiv.をAcOH 15 mLに溶解しフラスコに滴下し室温で一晩撹拌した。セライトろ過後溶媒を留去し、製造中間体42の酢酸塩を白色固体として408 mg, 91%得た。
【0112】
製造中間体43(上図、化合物番号43)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体42: 466 mg 1.96 mmol,Boc2O 640 mg 2.93 mmol 1.5 equiv., TEA 812 μL5.87 mmol 3 equiv., MeOH 16 mLを加え、40℃で撹拌した。3時間後EtOAc 100 mL, satd. NH4Cl 10 mLで抽出し、水層をEtOAc 100 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物 542 mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc = 4 : 1)で製造中間地43を白色固体として460mg, 85 %得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 9.53 (s, 1H, NH), 7.99 (d, 2H, J = 8.3 Hz, aryl), 7.85(d, 2H, J = 8.3 Hz, aryl), 6.73 (s, 1H, N’H), 3.90 (s, 3H, -COOCH
3
), 1.52 (s, 9H,Boc).
【0113】
製造中間体44(上図、化合物番号44)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体43: 113 mg 0.41 mmol, CH2Cl25 mL, TEA 112 μL 0.81 mmol 2 equiv., DMAP 50 mg 0.41mmol 1 equiv.を加え、室温で撹拌した。Boc2O 221 mg 1.02mmol, 2.5 equiv.を加えた。30分後にEtOAc 40 mL, satd. KHSO4.3 mLを加え、有機層をH2O, satd. NaHCO3, brine各 5 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物 319 mgを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー (n-Hex : EtOAc = 9 : 1 → 4 : 1)で製造中間体44を無色オイルとして188 mg 97%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 8.09 (d, 2H, J = 8.0 Hz, aryl), 7.89 (d, 2H, J =8.0 Hz, aryl), 3.95 (s, 3H, -COOCH
3
), 1.55 (s, 9H, N’-Boc), 1.35 (s, 18H, N-Boc). HRMS (ESI): [M+Na]C24H34N2O8Na calcdfor 501.2213, found 501.2203.
【0114】
製造中間体45(上図、化合物番号45)の合成
100 mL容のナスフラスコに、製造中間体44: 188 mg 0.39 mmol,MeOH 10 mLを加え室温で撹拌した。氷浴上で2N KOH 1.96 mL 3.93 mmol 10equiv.を滴下し室温で撹拌した。2時間後に1N HCl 4mL 4 mmolを加え、EtOAc 100 mL H2O 1 mLで分液し、有機層をbrine 10mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し、製造中間体45を190 mg quant.得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 11.20 (s, 1H, -COOH), 8.17 (d, 2H, J = 8.3 Hz, aryl),7.93 (d, 2H, J = 8.3 Hz, aryl), 1.35 (s, 18H, Boc). 13C-NMR(100 MHz, CDCl3): δ ppm 170.7, 158.1,150.1, 148.3, 138.8, 132.6, 130.4, 128.3, 84.7, 83.5, 82.3, 80.7, 28.4, 28.1,27.8. HRMS (ESI): [M+Na] C23H32N2O8Nacalcd for 487.2057, found 487.2047.
【0115】
製造中間体46(上図、化合物番号46)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体26: 30 mg 117.5 μmol, CH2Cl20.7 mLを加え、氷浴上でTFA 0.3 mLを滴下し室温で撹拌した。30分後エバポレーターで溶媒を留去しTEAを150 μL加えた(A)。
別の50 mL容ナスフラスコに、製造中間体45:54 mg 117.5 μmol, CH2Cl23 mL, TEA 50 μL 0.35 mmol 3 equiv., PyBOP183 mg 0.35 mmol 3 equiv., HOBt 54 mg 0.35 mmol 3equiv.を加え、室温で撹拌した。30分後、AをCH2Cl22.5 mLに溶解しフラスコに加え、室温で一晩撹拌した。CH2Cl235 mL, satd. NH4Cl 10 mLで分液し、有機層をsatd. NaHCO310 mL, brine 10 mLで各分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物を197 mg得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n-Hex : EtOAc = 3 : 1 → 2 : 1)で製造中間体46を白色固体として40 mg 57%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ ppm 7.89 (d, 2H, J = 8.0 Hz, aryl), 7.81 (d, 2H, J =8.0 Hz, aryl), 6.20 (s, 1H, NHCO), 4.12 (s, 2H, O-CH
2
-alkyne),3.53-3.44 (m, 4H, O-CH
2
-CH2 and NH-CH
2
-CH2),2.40 (t, 1H, J = 2.3 Hz, alkyne), 1.66-1.60 (m, 6H, O-CH2-CH
2
and NH-CH2-CH
2
), 1.54 (s, 9H,N’-Boc), 1.43 (m, 4H, -CH2-),1.35 (s, 18H, N-Boc). 13C-NMR (100 MHz, CDCl3): δ ppm 166.6, 158.3, 148.4, 138.1, 136.7, 128.5, 127.3, 84.6, 83.4,80.1, 74.3, 70.2, 58.2, 40.3, 29.7, 29.5, 28.2, 27.8, 27.8, 26.9, 26.0. HRMS(ESI): [M+Na] C32H47N3O8Nacalcd for 624.3261, found 624.3251.
【0116】
製造中間体47(スペーサーV、上図、化合物番号47)の合成
10 mL容ナスフラスコに、製造中間体46: 2 mg 3.32 mmol, CH2Cl2200 μLを加え、氷浴上でTFA 200 μLを滴下し室温で撹拌した。1時間後溶媒を留去し、2M NH3 MeOH溶液, 1N HClを500 μLを加えた。C18カラムクロマトグラフィー(10% MeOH in CH2Cl2 →CH2Cl2)で脱塩し製造中間体47(スペーサーV)の塩酸塩を淡黄色アモルファスとして2 mg, quant得た。
HRMS (ESI): [M+Na] C17H23N3O2Nacalcd for 324.1688, found 324.1676.
【0117】
(8-2)biv-Vの合成(クリック反応)
【化22】
【0118】
製造中間体48(上図、化合物番号48)の合成
30 mL容のナスフラスコに、製造中間体16: 25 mg 43.21 μmol, 製造中間体46: 26 mg 43.21 μmol, THPTA 47 mg 0.12 mmol 2.5 equiv., ascorbic acid19 mg 0.12 mmol 2.5 equiv., CuSO4 14 mg, 86.42 μmol, 2 equiv., THF 3mL, H2O 2 mLを加え、室温で撹拌した。60分後にCH2Cl2 100 mL, satd. NH4Cl 5 mLを加え、satd. NaHCO3 5 mLを加え分液した。有機層をbrine10 mLで分液し、Na2SO4で脱水し、ろ過後溶媒を留去し粗生成物 61 mg を得た。SCXカラム(MeOH→0.2 M NH3/MeOH)で製造中間体48を白色アモルファスとして46 mg,90%得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δppm 7.90-7.80 (m, 4H, aryl), 7.70(d, 2H, J = 8.3 Hz, aryl), 7.60 (s, 1H, imidazole), 7.38 (d, 2H, J= 7.5 Hz, aryl), 7.32 (t, 1H, J = 7.4 Hz, aryl), 7.23 (d, 2H, J =7.0 Hz, aryl), 6.98 (s, 1H, imidazole), 6.28 (t, 1H, J = 5.3 Hz, NHCO),5.32 (s, 2H, benzyl), 4.82 (d, 2H, urea), 4.68 (s, 2H, N-CH
2
-imidazole),4.43 (q, 1H, J = 7.6 Hz, Met-a), 3.66 (s, 3H, Met-COOCH
3
),3.58 (t, 2H, J = 6.4 Hz, O-CH
2
-CH2),3.46 (q, 2H, J = 6.6 Hz, NH-CH
2
-CH2),3.37 (s, 2H, piperidine), 2.62 (s, 2H, piperidine), 2.30 (t, 1H, J =12.0 Hz, O-CH2-CH
2
), 2.23-2.14 (m, 2H,NH-CH2-CH
2
), 1.99-1.94 (m, 4H, -CH2-O-CH
2
-triazole,-CH2-CH
2
-SCH3), 1.54 (s, 9H, N’-Boc), 1.44 (s, 4H, -CH2-),1.39 (s, 2H, piperidine), 1.36 (s, 18H, N-Boc), 1.25 (m, 3H, piperidineand -CH
2
-CH2-SCH3), 0.88 (m, 1H,-CH
2
-CH2-SCH3). 13C-NMR(100 MHz, CDCl3): δ ppm 173.4, 166.5, 158.1,156.5, 148.3, 146.3, 138.0, 136.5, 136.4, 128.6, 128.3, 127.3, 127.0, 125.2,120.9, 120.7, 84.5, 83.3, 70.8, 64.2, 55.2, 52.2, 52.1, 49.2, 40.2, 36.7, 35.8,32.2, 29.8, 29.5, 28.0, 27.7, 26.8, 25.8, 15.4. HRMS (ESI): [M+Na] C61H83N11O11SNacalcd for 1200.5892, found 1200.5902.
【0119】
製造中間体49(上図、化合物番号49)の合成
50 mL容のナスフラスコに、製造中間体48:10 mg 8.49 μmol, CH2Cl20.5 mLを加え、氷浴上でTFA 0.5 mLを滴下し撹拌した。2時間後に溶媒を留去し、製造中間体49を淡黄色アモルファスとして11 mg,quant.得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ ppm 12.06 (s, 1H, NH), 9.55 (s, 1H,imidazole), 9.31 (m, 2H, aryl), 8.82 (d, 1H, J = 23.0 Hz, imidazole),8.14-7.93 (m, 4H, aryl), 7.67 (s, 1H, imidazole), 7.47-7.21 (m, 4H, aryl), 7.02(s, 1H, aryl), 5.86 (s, 1H, NHCO), 4.56 (d, 2H, J = 9.8 Hz, benzyl),4.15 (s, 1H, Met-a),3.87-3.26 (m, 11H, Met-COOCH
3
and NH-CH
2
-CH2and N-CH
2
-imidazole and O-CH
2
-CH2and piperidine), 2.50 (m, 4H, piperidine), 1.96 (m, 4H, piperidine and -CH2-),1.52 (m, 5H, -CH2- and -CH2-CH2-SCH
3
),1.32 (m, 5H, -CH2- and -CH2-CH
2
-SCH3and -CH
2
-CH2-SCH3), 0.86(s, 1H, -CH
2
-CH2-SCH3). HRMS(ESI): [M+H] C46H60N11O5S calcd for 878.4499, found 878.4499.
【0120】
biv-V(上図、化合物番号50)の合成
30 mL容のナスフラスコに製造中間体49: 11 mg 9.38 μmol, MeOH8 mLを加え、氷浴上で0.1 N KOH 1.75 mL 0.175 mmol 18.7 equiv.を滴下し室温で一晩撹拌した。1N HClを0.5 mL加え溶媒を留去した。HPLC分取精製によりbiv-Vの3TFA塩を2 mg 22%, HPLC Purity (Area) = 96%得た。
HRMS (ESI): [M+Na] C45H57N11O5SNacalcd for 886.4163, found 886.4166.
【0121】
試験例1[酵素阻害活性試験]
文献「S. Machida, et al. Bioorg.Med. Chem. 2013, 21, 4004-4010」に記載の方法に基づいて、上記合成した化合物の酵素阻害活性を評価した。具体的な試薬等の調整、及び測定は以下の手順に従った。
環境応答型蛍光基のdansylを挿入したKRasC末端モデルペプチド(KKKKKKSK(Dansyl)TKCVIM, 5.2 mM in DMSO, 4 μL)にpeptide buffer 100 μLを加え、その溶液100 μLを900 μLのpeptidebufferに加えKRas model peptide 溶液 (20 μM)を調整した。また、遺伝子組み換えラット由来N-末端6His-FTase, 6His-GGTase Iは文献「P. J. Casey, et al. J. Biol. Chem. 1996, 271,28541-28548.」記載の方法で調整した。FTase (11 μM, 18 μL)にassay buffer (36 μL)を加えFTase溶液 (3.5 μM)を調整した。GGTase I (15 μM,20 μL)にassay buffer (80 μL)を加えGGTase I溶液 (3.1 μM)を調整した。96ウェル黒色プレートにDMSO又は化合物DMSO溶液 (1μL)を加え、assay buffer (185 μL)を加えた。FTase阻害試験の場合、FTase溶液 (3.5 μM, 2 μL)、ファルネシルピロリン酸重炭酸アンモニウム水溶液 (500 μM, 2 μL)を順に加えた。GGTase I阻害活性の場合、GGTase I溶液 (3.1 μM, 2 μL)、ゲラニルゲラニルピロリン酸重炭酸アンモニウム水溶液(500 μM, 2 μL)を順に加えた。その後KRas model peptide溶液 (20 μM, 10 μL)を加え、泡立たないように10回ピペッティングし、ピペッティング開始から30秒後にプレートリーダーで蛍光の経時変化を5分間測定した。
アッセイにおける最終濃度: [Assay Buffer] 50 mM Tris-HCl pH = 7.5, 12 μM MgCl2,12 μM ZnCl2,0.023 % n-dodecyl β-D-maltoside,5 mM DTT. [KRas model peptide] = 1 μM, [prenyl pyrophosphate] = 5 μM, [FTase] = 35 nM,[GGTase I] = 31 nM, [DMSO]= 0.5 % v/v. Excitation = 340 nm, Emission = 520 nm, T = 310 K (37 ℃), n = 3. N > 2.
阻害能の算出及びグラフの作成にはMicrosoft Excel及びSigmaplotを用いた。5分間測定した蛍光変化について、5分間の蛍光変化度からSLOPE関数で傾きを求め、阻害剤添加時の傾きをDMSO区の傾きで除し、比酵素活性を算出した。誤差について、阻害剤添加区の最大値をDMSO区の最大値で除したもの、同様に最小値同士を除したものの差を2で除した絶対値を誤差とした。Sigmaplotでフィッティングし、算出されたlog10(EC50)からIC50を求めた。最後にCheng-Prusoff式に文献「S.Machida, et al. Bioorg. Med. Chem. 2013,21, 4004-4010.」記載のKm値を代入し、阻害定数Kiを求めた。
【0122】
本発明に係るbiv-III~V、並びに参考化合物としてのbiv-I及びIIのFTaseの阻害活性を
図1に示し、阻害定数Kiを以下の表1に示す。
図1及び表1から明らかなとおり、本発明に係るbiv-III~V、並びに参考化合物としてのbiv-I及びIIは、FTaseを1桁のnMレベルでの極めて高い阻害活性を示すことがわかった。
【表1】
【0123】
本発明に係るbiv-III~V、並びに参考化合物としてのbiv-I及びIIのGGTaseIの阻害活性を
図2に示し、阻害定数Kiを以下の表2に示す。
図2及び表2から明らかなとおり、本発明に係るbiv-III~Vは、GGTaseIについてもnMレベルでの極めて高い阻害活性を示すことがわかり、2座型化合物による、高いデュアル阻害が可能であることがわかった。本発明に係るbiv-III~Vは、2座型化合物の末端に芳香環としてのベンゼン環を備えたことにより、タンパク質表面での疎水性相互作用若しくは水の排斥と静電相互作用の強化が図られたことにより、優れた阻害活性を示したものと考えられる。
【表2】
【0124】
試験例2 [ヒトすい臓がん細胞MIAPaCa-2に対する増殖抑制試験]
本発明に係るbiv-III~V、参考化合物としてのbiv-I及びII、ペプチドミメティックスのアジド体のそれぞれに対応するメチル体33、38及び49,23及び28、16並びにスペーサー47のヒトすい臓がん細胞MIAPaCa-2に対する増殖抑制試験を以下の手順に従って、実施した。 96ウェル透明プレートにMIAPaCa-2細胞 (P<10)を1000細胞/ウェル播種し、37℃, 5% CO2で一晩培養した。DMSO又は化合物DMSO溶液5 μLにPBS 45 μLを加えよく懸濁し、化合物10% DMSO溶液を調整した。化合物10% DMSO溶液10 μLを各ウェルに加え、37℃,5% CO2で72時間化合物処理を行った。培地の除去、PBS洗浄後にトリプシン-EDTA溶液(50μL)を加え、室温10分以上放置後、顕微鏡を見ながらウェルのピペッティングを行い細胞が完全にはがれることを確認した。ウェル内を30回ピペッティングで撹拌し、そのうち10 μLをトリパンブルー溶液(30 μL)と、懸濁し、血球計算盤を用いて細胞数を計測した。グラフの作成にはMicrosoftExcelを用いた。DMSO区(n = 3)の平均値を求め、各実験区におけるn = 3全細胞カウント数をDMSO区平均値で除すことで標準化した。各実験区における標準化値の平均を求めることで相対的細胞数を算出した。また誤差は標準偏差STDEV.Sで求めた。
【0125】
本発明に係るbiv-III~V、並びに参考化合物としてのbiv-I及びIIのそれぞれに対応するメチル体のヒトすい臓がん細胞MIAPaCa-2に対する増殖抑制結果を
図3に示す。本発明に係るbiv-III~Vの化合物に対応する33、38及び49は、参考例としてのbiv-Iに対応する23、及び比較例としてのスペーサー(V-Spacer)に対応する47に比べ、顕著に生細胞数が減少しており、本発明に係る化合物が高い細胞増殖抑制活性を有することが確認出来た。
膵臓がんの98%、大腸がん(結腸直腸がん)の45%、肺がんの31%、及び骨髄腫の23%にK-Rasの活性化によって生じ得る変異K-Rasの存在が認められたことが報告されている。本発明の化合物は、FTaseとGGTase Iのそれぞれの活性ポケットと
K-Rasとのたんぱく質間相互作用面を1分子で認識することができ、K-Rasの活性化に必要な脂質修飾を阻害する。したがって、本発明の化合物はK-Rasの変異を抑制することができ、進行性難治がんを初めとする種々のがんに対して、本発明の化合物を有効成分とする抗がん剤の創製が期待される。