(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117893
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023970
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 華子
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川添 信幸
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】車線変更に際して報知すべき他車両が存在する場合に、当該他車両へどの程度の注意を払うべきかをドライバーに認識させる。
【解決手段】車両制御装置1は、自車両10が走行する第一車線R1に隣接する第二車線R2のうち自車両10より後方の所定の検出範囲DR内を走行する他車両20を検出する他車両検出部1Aと、他車両検出部1Aにより検出された他車両20が所定の警告条件を満たす場合に他車両20の注意度Cを設定する設定部1C,1Dと、設定部1C,1Dで設定された注意度Cが高いほどウィンカーレバー11Lの操作反力を大きくする制御部1Fと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する第一車線に隣接する第二車線のうち前記自車両より後方の所定の検出範囲内を走行する他車両を検出する他車両検出部と、
前記他車両検出部により検出された前記他車両が所定の警告条件を満たす場合に前記他車両の注意度を設定する設定部と、
前記設定部で設定された注意度が高いほどウィンカーレバーの操作反力を大きくする制御部と、を備える
ことを特徴とする、車両制御装置。
【請求項2】
前記設定部として、前記他車両が前記自車両の隣に到達するまでの時間に応じて前記注意度を設定する第一設定部を備え、
前記第一設定部は、前記時間が短いほど前記注意度を高く設定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記設定部として、前記自車両と前記他車両との距離に応じて前記注意度を設定する第二設定部を備え、
前記第二設定部は、前記距離が短いほど前記注意度を高く設定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記設定部として、前記自車両と前記他車両との距離に応じて前記注意度を設定する第二設定部を備え、
前記第二設定部は、前記距離が短いほど前記注意度を高く設定する
ことを特徴とする、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記自車両に対する前記他車両の相対速度が所定閾値よりも大きいかを判断する判断部を備え、
前記第一設定部は、前記判断部により前記相対速度が前記所定閾値よりも大きいと判断された場合に前記注意度を設定し、
前記第二設定部は、前記判断部により前記相対速度が前記所定閾値以下であると判断された場合に前記注意度を設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記自車両が前記第二車線寄りを走行している場合には、前記自車両の位置が前記第二車線に近いほど、設定した前記注意度を引き上げる再設定を行う
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、自車両の後側方を走行する他車両の存在を、車線変更時に自車両のドライバーへ報知する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自車両の走行車線に隣接する隣接車線を走行する他車両に気付かずに車線変更をしようとするドライバーに対して、当該他車両の存在を報知(Blind Spot Warning:BSW)する車両制御装置が知られている。このような車両制御装置には、音や表示による報知に代えて、或いは、加えて、ウィンカーレバーを制御することで報知するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、自車両の後側方に警告すべき他車両が存在すると判断した場合に、ウィンカーレバーを用いて報知する車線変更報知装置が開示されている。この装置では、ウィンカーレバーを中立位置から動かせないようにしたり、ウィンカーレバーを操作してもウィンカーレバーが中立位置に戻されるようにしたりすることで、他車両が存在することが報知される。なお、特許文献1において、上記の判断は、ウィンカーレバーが操作されたこと、操舵角が大きく変化したこと、又は、自車両の前方に障害物が存在することを契機として実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の装置では、ウィンカーレバーを用いた報知が、上述の通り、ウィンカーレバーを動かないようにするか、操作してもウィンカーレバーが中立位置に戻されるようにするか、の二択でしかない。このため、ドライバーに対して、このドライバーが後側方の他車両へどの程度の注意を払うべきかを報知することが難しい。
【0006】
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、車線変更に際して報知すべき他車両が存在する場合に、当該他車両へどの程度の注意を払うべきかをドライバーに認識させることができる車両制御装置を提供することを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の車両制御装置は、以下に開示する態様又は適用例として実現でき、上記の課題の少なくとも一部を解決する。
ここで開示する車両制御装置は、自車両が走行する第一車線に隣接する第二車線のうち前記自車両より後方の所定の検出範囲内を走行する他車両を検出する他車両検出部と、前記他車両検出部により検出された前記他車両が所定の警告条件を満たす場合に前記他車両の注意度を設定する設定部と、前記設定部で設定された注意度が高いほどウィンカーレバーの操作反力を大きくする制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
開示の車両制御装置によれば、車線変更に際して報知すべき他車両が存在する場合に、当該他車両へどの程度の注意を払うべきかをドライバーに認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る車両制御装置が適用された車両及びその周辺の道路を示す模式図と、車両制御装置のブロック図と、を併せて示す図である。
【
図2】
図1の車両制御装置が備える第一設定部により設定される注意度と、予想時間の閾値と、の関係を規定した表の一例である。
【
図3】
図1の第一設定部によって注意度が設定されるケースの一例を示した図である。
【
図4】
図1の第一設定部によって注意度が設定されるケースの他の例を示した図である。
【
図5】
図1の第一設定部によって注意度が設定されないケースの一例を示した図である。
【
図6】
図1の車両制御装置が備える第二設定部により設定される注意度と、車間距離の閾値と、の関係を規定した表の一例である。
【
図7】
図1の第二設定部によって注意度が設定されるケースの一例を示した図である。
【
図8】
図1の車両制御装置が備える再設定部が注意度の再設定をする際に、設定した注意度に加算される加算値と、偏向長さの閾値と、の関係を規定した表の一例である。
【
図9】
図1の車両制御装置で実施される制御を説明するためのフローチャート例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、実施形態としての車両制御装置について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0011】
[1.概要]
図1は、本実施形態の車両制御装置1(以下、単に「制御装置1」とよぶ)が適用された車両10及びその周辺の道路を示す模式図と制御装置1のブロック図とを併せて示す図である。制御装置1は、車両10を制御する電子制御装置(コンピューター)である。以下、制御装置1により制御される車両10を、「自車両10」ともよぶ。なお、制御装置1は、
図1に示すように自車両10に搭載されるものであってもよく、自車両10の外部に設けられて自車両10を遠隔で制御するものであってもよい。
【0012】
制御装置1は、自車両10が走行する第一車線R1に隣接する第二車線R2のうち、自車両10より後方の所定の検出範囲DR内を走行する他車両20を検出する。そして、制御装置1は、検出された他車両20が所定の警告条件を満たす場合に他車両20の注意度Cを設定し、設定した注意度Cが高いほどウィンカーレバー11Lの操作反力を大きくする。制御装置1は、このように、第一車線R1から第二車線R2への車線変更時(以下、単に「車線変更時」とよぶ)に操作されるウィンカーレバー11Lの操作反力を注意度Cに応じて変更することで、他車両20の存在とその注意度Cとを自車両10のドライバーに対して報知するものである。なお、
図1では、第一車線R1の右隣りに位置する第二車線R2のみを例示しているが、第二車線R2は、第一車線R1の左隣りに位置する車線であってもよい。
【0013】
制御装置1による他車両20の検出は、例えば、自車両10に搭載されたレーダー14から伝達された情報に基づいて行われる。検出範囲DRは、第二車線R2のうち自車両10よりも後方の範囲であって、例えば、自車両10の後端位置から、レーダー14の検知可能範囲の後端までの範囲とされる。
【0014】
注意度Cは、例えば、1~3の三段階で設定される。注意度Cが高いほど、自車両10の車線変更時に他車両20と接触する可能性が高いことを示す。ウィンカーレバー11Lの操作反力の変更は、例えば、ウィンカーレバー11Lを含むターンシグナルスイッチ装置11を制御することで実施される。
【0015】
なお、制御装置1による注意度Cの設定やウィンカーレバー11Lの操作反力の変更は、ウィンカーレバー11Lが操作されたか否かによらず実施される。例えば、自車両10の主電源の投入中に随時実施されてもよく、あるいは、自車両10の車速が0でないときに実施されてもよい。制御装置1は、このようにウィンカーレバー11Lの操作反力を予め変更しておくことで、ウィンカーレバー11Lが操作された際に、ドライバーに対する速やかな報知を実現する。
【0016】
本実施形態において、制御装置1は、注意度Cを二通りの方法で設定する。第一の設定方法では、他車両20の先端が自車両10の後端に達するまでの時間(Time to Collision:TTC)に基づいて注意度Cが設定される。以下、この時間を「予想時間T」とよぶ。第一の設定方法において、制御装置1は、予想時間Tが所定の判定時間Tth未満である場合に、予想時間Tが短いほど注意度Cを高く設定する。つまり、第一の設定方法において、上記の警告条件は、「予想時間Tが所定の判定時間Tth未満であること」となる。判定時間Tthについては後述する。
【0017】
第二の設定方法では、自車両10と他車両20との車間距離Dに基づいて注意度Cが設定される。第二の設定方法において、制御装置1は、車間距離Dが所定の判定距離Dth未満である場合に、車間距離Dが短いほど注意度Cを高く設定する。つまり、第二の設定方法において、上記の警告条件は、「車間距離Dが所定の判定距離Dth未満であること」となる。判定距離Dthについては後述する。
【0018】
また、本実施形態の制御装置1は、自車両10に対する他車両20の相対速度V(他車両20の車速から自車両10の車速を減じた値)が所定閾値Vthよりも大きいかを判断し、この判断結果に基づいて上記二つの設定方法のいずれの方法で注意度Cを設定するかを決定する。制御装置1は、相対速度Vが所定閾値Vthよりも大きい場合には、第一の設定方法で注意度Cを設定し、相対速度Vが所定閾値Vth以下の場合には、第二の設定方法で注意度Cを設定する。
【0019】
所定閾値Vthは、他車両20が自車両10に接近しているか否かを判断するための閾値であって、例えば、5[km/h]とされる。つまり、制御装置1は、他車両20が自車両10に接近している場合には第一の設定方法で注意度Cを設定し、自車両10と他車両20とが略並走している場合、あるいは、自車両10と他車両20とが離れていく場合には第二の設定方法で注意度Cを設定する。これにより、他車両20の走行状態をも考慮した適切な報知が実現される。
【0020】
ところで、自車両10は、車線変更時に、第一車線R1上の第二車線R2寄りの位置を走行している場合、第一車線R1の中央を走行している場合よりも早く第二車線R2に進入する。このため、ドライバーが他車両20に気付かずに車線変更しようとした場合には、前者の場合の方が後者の場合よりも他車両20と接触する可能性が高くなる。
【0021】
そこで、本実施形態の制御装置1は、自車両10が第二車線R2寄りを走行しているか否かを判断し、自車両10が第二車線R2寄りを走行している場合には、自車両10の位置が第二車線R2に近いほど、設定した注意度Cを引き上げる再設定を行う。
【0022】
本実施形態において、制御装置1は、第一車線R1の車線中央に対して、自車両10の幅方向の中央位置が、第二車線R2側に寄っている長さ(以下、「偏向長さL」とよぶ)を算出する。偏向長さLの算出は、例えば、自車両10に搭載された前方カメラ16から伝達された情報に基づいて行われる。そして、制御装置1は、偏向長さLが所定の判定長さLth以上である場合に、自車両10が第二車線R2寄りを走行していると判断する。判定長さLthについては後述する。
【0023】
制御装置1は、自車両10が第二車線R2寄りを走行している場合には、偏向長さLが長いほど、設定した注意度Cを引き上げる。例えば、第一の設定方法又は第二の設定方法で注意度Cとして「1」を設定した場合、制御装置1は、設定した注意度Cを偏向長さLに応じて「+1」又は「+2」だけ引き上げて、注意度Cとして「2」又は「3」を再設定する。
【0024】
なお、制御装置1は、設定した注意度Cに応じて、視覚的に他車両20の存在及びその注意度Cを報知してもよい。制御装置1による視覚的な報知は、例えば、自車両10のディスプレイ12を制御することで実施される。また、制御装置1は、ウィンカーレバー11Lが操作されたことを示す信号をターンシグナルスイッチ装置11から受信した場合には、設定した注意度Cに応じて、聴覚的に他車両20の存在及びその注意度Cを報知してもよい。制御装置1による聴覚的な報知は、例えば、自車両10のスピーカ13を制御することで実施される。制御装置1は、このように車線変更時に注意すべき他車両20の存在及びその注意度Cを、ドライバーの視覚,聴覚及び触覚の三つの感覚で知覚させるように報知することで、他車両20へどの程度の注意を払うべきかをより強くドライバーに認識させる。
【0025】
[2.装置(ハードウェア)構成]
図1を参照しながら、各装置構成について詳述する。制御装置1は、上述の通り、自車両10を制御する電子制御装置(コンピューター)であり、マイクロプロセッサー(中央処理装置),メモリ(メインメモリ),記憶装置(ストレージ),インタフェース装置などが内蔵される。
【0026】
制御装置1の制御対象には、自車両10のターンシグナルスイッチ装置11,ディスプレイ12,スピーカ13が含まれる。ターンシグナルスイッチ装置11は、図示しないターンシグナル(方向指示灯)の作動状態を制御するためのスイッチであり、自車両10のステアリングコラムに片持ち支持されたウィンカーレバー11Lを有する。ウィンカーレバー11Lの操作反力は、例えば、ターンシグナルスイッチ装置11に内蔵された図示しないバネの反発力を変更することで実現される。なお、ターンシグナルスイッチ装置11は、ウィンカーレバー11Lが操作された場合に、ウィンカーレバー11Lが操作されたことを示す信号を制御装置1に伝達してよい。
【0027】
ディスプレイ12は、自車両10のドライバーに視覚情報を提供する画面を表示するものであり、例えば液晶ディスプレイ,有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ,ヘッドアップディスプレイ(プロジェクタ)などである。ディスプレイ12は、自車両10の車室内における任意の位置に配置され、好ましくはドライバーから見やすい位置(例えばステアリングの前方)に配置される。スピーカ13は、自車両10のドライバーに聴こえる音声やブザー音等を吹鳴する音響装置である。
【0028】
制御装置1に情報を入力する入力装置には、自車両10のレーダー14及び前方カメラ16が含まれる。また、自車両10の車速センサ15も上記の入力装置に含まれる。車速センサ15は、自車両10の車速V10を検出するセンサである。ウィンカーレバー11Lの操作に係る信号が制御装置1に伝達される場合には、上記のターンシグナルスイッチ装置11も入力装置に含まれてよい。制御装置1は、これらの各種装置から得られる情報に基づいて、制御対象の作動状態を制御する。
【0029】
レーダー14は、自車両10から自車両10の後方に位置する対象物までの距離や方向を測る電波探知機であり、例えば、ミリ波レーダーが適用される。対象物としては、例えば、他車両20や、第一車線R1及び第二車線R2のそれぞれを区画する白線やガードレールなどが挙げられる。レーダー14は、例えば、自車両10のリアバンパーの右端部及び左端部のそれぞれに内蔵され、少なくとも自車両10よりも後方の検出範囲DRが観測範囲に含まれるように設定される。なお、レーダー14は、ミリ波レーダーに限らず、例えば、赤外線レーダーや超音波レーダー、レーザーレーダーでもよい。
【0030】
前方カメラ16は、自車両10の前方を撮影する撮像装置である。前方カメラ16で撮影された画像データは、制御装置1に伝達される。なお、前方カメラ16で撮影される画像データは、静止画であってもよく動画であってもよい。前方カメラ16は、例えば、自車両10の図示しないフロントガラスの上部且つ車幅方向中央部に配設される。
【0031】
[3.制御構成]
制御装置1には、上述の制御を実施する機能要素として、検出部1A(他車両検出部),判断部1B,第一設定部1C,第二設定部1D,再設定部1E及び制御部1Fが設けられる。
【0032】
第一設定部1Cは、上述の第一の設定方法で注意度Cを設定する機能要素であり、第二設定部1Dは、上述の第二の設定方法で注意度Cを設定する機能要素である。第一設定部1C及び第二設定部1Dは、特許請求の範囲に記載の「設定部」として設けられる。また、再設定部1Eは、特許請求の範囲に記載の「設定部」に含まれる機能要素である。
【0033】
なお、これらの要素は電子回路(ハードウェア)によって実現してもよく、ソフトウェアとしてプログラミングされたものとしてもよいし、あるいはこれらの機能のうちの一部をハードウェアとして設け、他部をソフトウェアとしたものであってもよい。
【0034】
検出部1Aは、検出範囲DR内を走行する他車両20を検出するものである。本実施形態において、検出部1Aは、検出範囲DR内を自車両10と同方向に走行する他車両20を検出する。
【0035】
検出部1Aは、例えば、レーダー14から取得した自車両10と対象物との距離や方向の情報から、第一車線R1及び第二車線R2を認識するとともに、第二車線R2上(すなわち、検出範囲DR内)に他車両20が存在するか否かを判定する。そして、検出部1Aは、検出範囲DR内に他車両20が存在すると判定した場合に、当該他車両20が自車両10と同方向に走行しているか否かを判定する。検出部1Aは、当該他車両20が同方向に走行していると判定した場合には、これを以て、「検出範囲DR内を走行する他車両20を検出した」と判断する。
【0036】
他車両20が自車両10と同方向に走行しているか否かの判定として、検出部1Aは、自車両10に対する他車両20の相対速度Vを算出し、算出した相対速度Vに基づいて当該判定を実施する。相対速度Vは、例えば、レーダー14から取得された自車両10と他車両20との車間距離Dから、所定時間Δt経過後に取得した車間距離Dを、差し引いた値を算出し、算出した値を所定時間Δtで除することで算出される。所定時間Δtは、例えば、相対速度Vを算出可能な程度に短い時間に設定される。あるいは、他車両20の車速を取得又は算出し、車速センサ15で検出された自車両10の車速V10を減じることで相対速度Vを算出してもよい。
【0037】
そして、検出部1Aは、算出した相対速度Vが、0[km/h]以上である場合には、他車両20が自車両10と同方向に走行しているものと判定する。また、検出部1Aは、相対速度Vが0[km/h]未満(負の値)である場合には、相対速度Vの絶対値が、車速センサ15で検出された車速V10未満であるか否かを判定することで、他車両20が自車両10と同方向に走行しているか否かを判定する。
【0038】
検出部1Aは、検出範囲DR内を走行する他車両20を検出した場合、他車両20を検出したことを示す信号を判断部1Bに伝達する。このとき、検出部1Aは、算出した相対速度Vも併せて判断部1Bに伝達してよい。また、検出部1Aは、取得した車間距離D及び算出した相対速度Vを第一設定部1Cや第二設定部1Dに伝達してよい。
【0039】
判断部1Bは、検出部1Aから信号を受信した場合に、相対速度Vが所定閾値Vthよりも大きいかを判断するものである。判断部1Bは、上述の通り、相対速度Vが所定閾値Vthよりも大きい場合には、他車両20が接近しているものと判断して、第一設定部1Cに判断結果を伝達する。一方で、判断部1Bは、相対速度Vが所定閾値Vth以下である場合には、他車両20が接近していないものと判断して、第二設定部1Dに判断結果を伝達する。
【0040】
第一設定部1Cは、上述の第一の設定方法、すなわち、予想時間Tに基づいて注意度Cを設定するものである。第一設定部1Cは、検出部1Aから取得した情報に基づき予想時間Tを算出し、算出した予想時間Tが判定時間Tth未満である場合に、予想時間Tに基づいて注意度Cを設定する。また、第一設定部1Cは、設定した注意度Cを再設定部1Eに伝達する。
【0041】
予想時間Tの算出は、検出部1Aから取得した車間距離Dを相対速度Vで除することで算出される。そして、第一設定部1Cは、算出した予想時間Tが判定時間Tth未満である場合に、予想時間Tが短いほど注意度Cを高く設定する。
【0042】
第一設定部1Cは、例えば、
図2に示すような、注意度Cと予想時間Tの閾値との関係を規定した表に基づき注意度Cを設定する。
図2は、第一の設定方法で注意度Cが設定される場合に、注意度Cの値の設定に用いる予想時間Tの閾値(下限値及び上限値)を、注意度Cごとに予め設定した表の一例である。第一設定部1Cは、予想時間Tが、
図2の表の右列に示す閾値のどの範囲内に該当するかを判断し、該当する閾値の範囲に対応する注意度Cを
図2の表の左列から特定し、この値を予想時間Tに基づく注意度Cとして設定する。なお、
図2では、予想時間Tが5[sec]以上の場合には、車線変更時における他車両20との接触の可能性は低いものとして、注意度Cが設定されない。つまり、
図2では、上記の判定時間Tthが、5[sec]に設定されている。
【0043】
図3~
図5を参照して、第一設定部1Cで設定される注意度Cについて詳述する。なお、
図3~
図5のケースでは、後述するように、相対速度Vが所定閾値Vth(=5[km/h])よりも大きい値であるため、注意度Cが第一設定部1Cで設定される。
【0044】
図3は、50[km/h]で走行する自車両10の後端位置を0[m]として、他車両20が、自車両10の25[m]後方を70[km/h]で接近しているケースを図示したものである。この場合、車間距離Dは25[m]となり、相対速度Vは20[km/h](=70[km/h]-50[km/h])となる。
【0045】
このとき、予想時間Tは、4.5[sec]と算出される。第一設定部1Cは、
図2の表を参照して、算出した予想時間Tに対応する注意度Cを設定する。この場合、注意度Cには「1」が設定される。
【0046】
一方で、
図4は、
図3よりも短い予想時間Tが算出されるケースを図示したものである。
図4では、50[km/h]で走行する自車両10に対して、他車両20が、自車両10の70[m]後方を130[km/h]で接近しているケースを図示している。この場合、車間距離Dは70[m]となり、相対速度Vは80[km/h](=130[km/h]-50[km/h])となる。
【0047】
このとき、予想時間Tは、
図3のケースの予想時間Tよりも短い3.15[sec](<4.5[sec])と算出される。第一設定部1Cは、
図2の表を参照して、算出した予想時間Tに対応する注意度Cを設定する。この場合、注意度Cには、
図3のケースで設定される注意度Cよりも高い「2」が設定される。
【0048】
図5は、注意度Cが設定されないケースを図示したものである。
図5では、50[km/h]で走行する自車両10に対して、他車両20が、自車両10の50[m]後方を70[km/h]で接近しているケースを図示している。この場合、車間距離Dは50[m]となり、相対速度Vは20[km/h](=70[km/h]-50[km/h])となる。
【0049】
このとき、予想時間Tは、9[sec]と算出される。第一設定部1Cは、
図2の表を参照して、算出した予想時間Tに対応する注意度Cを設定する。この場合、予想時間Tは、判定時間Tth(=5[sec])以上の9[sec]であるため、第一設定部1Cは、所定の警告条件を満たさないものと判断して、注意度Cを設定しない。
【0050】
第二設定部1Dは、上述の第二の設定方法、すなわち、車間距離Dに基づいて注意度Cを設定するものである。第二設定部1Dは、検出部1Aから取得した車間距離Dが判定距離Dth未満である場合に、車間距離Dが短いほど注意度Cを高く設定する。また、第二設定部1Dは、設定した注意度Cを再設定部1Eに伝達する。
【0051】
第二設定部1Dは、例えば、
図6に示すような、注意度Cと車間距離Dの閾値との関係を規定した表に基づき注意度Cを設定する。
図6は、第二の設定方法で注意度Cが設定される場合に、注意度Cの値の設定に用いる車間距離Dの閾値(下限値及び上限値)を、注意度Cごとに予め設定した表の一例である。第二設定部1Dは、車間距離Dが、
図6の表の右列に示す閾値のどの範囲内に該当するかを判断し、該当する閾値の範囲に対応する注意度Cを
図6の表の左列から特定し、この値を車間距離Dに基づく注意度Cとして設定する。なお、
図6では、車間距離Dが5[m]以上の場合には、車線変更時における他車両20との接触の可能性は低いものとして、注意度Cが設定されない。つまり、
図6では、上記の判定距離Dthが、5[m]に設定されている。
【0052】
図7を参照して、第二設定部1Dで設定される注意度Cについて詳述する。なお、
図7のケースでは、後述するように、相対速度Vが所定閾値Vth(=5[km/h])以下の値であるため、注意度Cが第二設定部1Dで設定される。
【0053】
図7は、50[km/h]で走行する自車両10の後端位置を0[m]として、他車両20が、自車両10の4[m]後方を50[km/h]で並走しているケースを図示したものである。この場合、車間距離Dは4[m]となり、相対速度Vは0[km/h](=50[km/h]-50[km/h])となる。第二設定部1Dは、
図6の表を参照して、車間距離Dに対応する注意度Cを設定する。この場合、注意度Cには「1」が設定される。
【0054】
なお、図示は省略するが、
図7のケースと同様の状況で、例えば車間距離Dが3[m]である場合には、第二設定部1Dは、
図6の表を参照して、
図7のケースで設定される注意度Cよりも高い「2」を注意度Cとして設定する。第二設定部1Dは、このように車間距離Dが短いほど注意度Cを高く設定する。
【0055】
再設定部1Eは、自車両10が第二車線R2寄りを走行している場合に、自車両10の位置が第二車線R2に近いほど、設定した注意度Cを引き上げる再設定を行うものである。再設定部1Eは、上述の通り、偏向長さLを算出し、算出した偏向長さLに基づいて、自車両10が第二車線R2寄りを走行しているか否かの判断及び注意度Cの再設定を実施する。
【0056】
偏向長さLの算出に際し、再設定部1Eは、前方カメラ16によって撮影された画像データを取得し、取得した画像データから白線やガードレールといった第一車線R1を区画する物体を抽出(識別)する。そして、再設定部1Eは、前方カメラ16の中心から、識別した物体までの距離を算出することで、偏向長さLを算出する。或いは、偏向長さLは、レーダー14から取得した対象物(ここでは、第一車線R1を区画する白線やガードレール)の方向や角度の情報に基づいて算出されてもよい。
【0057】
再設定部1Eは、例えば、
図8に示すような、注意度Cの加算値と偏向長さLの閾値との関係を規定した表に基づき注意度Cを再設定する。
図8は、注意度Cの再設定に用いる偏向長さLの閾値(下限値及び上限値)を、注意度Cに加算する値ごとに予め設定した表の一例である。再設定部1Eは、偏向長さLが、
図8の表の右列に示す閾値のどの範囲内に該当するかを判断し、該当する閾値の範囲に対応する加算値を
図8の左列から特定し、この値を注意度Cに加えることで、注意度Cを再設定する。なお、
図8では、偏向長さLが0.5[m]未満の場合には、自車両10が第一車線R1の略中央を走行しているものとして、注意度Cは再設定されない。つまり、
図8では、上記の判定長さLthが、0.5[m]に設定されている。
【0058】
例えば、
図3及び
図4に破線で示すケースのように、自車両10の中央が第一車線R1の車線中央に対して、第二車線R2側に0.9[m]ずれている場合、再設定部1Eは、
図8を参照して、注意度Cを「+1」だけ引き上げる。つまり、
図3の破線のケースでは、注意度Cが「1」から「2」に引き上げられ、
図4の破線のケースでは、注意度Cが「2」から「3」に引き上げられる。また、
図7に破線で示すケースのように、自車両10の中央が第一車線R1の車線中央に対して、第二車線R2側に1.0[m]ずれている場合、再設定部1Eは、
図8を参照して、「+1」よりも大きい「+2」だけ注意度Cを引き上げる。つまり、
図7の破線のケースでは、注意度Cが「1」から「3」に引き上げられる。
【0059】
なお、再設定部1Eは、再設定した注意度Cが飽和する(最大値である「3」を超える)場合には、その最大値を注意度Cとして再設定してよい。再設定部1Eで再設定された注意度C、或いは、再設定されなかった注意度Cは、制御部1Fに伝達される。
【0060】
制御部1Fは、再設定部1Eから伝達された注意度Cに応じてウィンカーレバー11Lの操作反力を変更するものである。制御部1Fは、取得した注意度Cが高いほど、ウィンカーレバー11Lの操作反力を大きくする。
【0061】
例えば、制御部1Fは、取得した注意度Cが「1」である場合には、ウィンカーレバー11Lの操作反力が変更されない通常時よりも、ウィンカーレバー11Lの操作反力を、操作反力が変更されたことにドライバーが気付ける程度に、僅かに重くする。これに対して、取得した注意度Cが「3」である場合には、通常時よりも、ウィンカーレバー11Lの操作反力を、例えば、自車両10のドライバーがウィンカーレバー11Lの操作を継続することを躊躇う程度に十分に重くする。また、取得した注意度Cが「2」である場合には、注意度Cが「1」である場合と「3」である場合との中間の重さにする。
【0062】
また、制御部1Fは、伝達された注意度Cに応じた警告が表示されるようにディスプレイ12を制御してよい。例えば、制御部1Fは、注意度Cが高いほど、よりドライバーの目につきやすい色や大きさで警告サインを表示する。制御部1Fは、ウィンカーレバー11Lが操作されたことを示す信号をターンシグナルスイッチ装置11から受信した場合には、伝達された注意度Cに応じた警告が吹鳴されるようにスピーカ13を制御してよい。
【0063】
[4.フローチャート]
図9は、制御装置1で実施される上述の制御を説明するためのフローチャート例である。
図9のフローチャートは、例えば、自車両10の主電源が投入されているときに所定の演算周期で繰り返し実施され、自車両10の主電源が切られたら終了する。
【0064】
ステップS1では、検出範囲DR内を走行する他車両20を検出したか否かが判定される。ステップS1において、他車両20を検出していないと判定された場合には、自車両10のドライバーに対する報知は不要であると判断されて、このフローをリターンする。
【0065】
一方で、ステップS1において、他車両20を検出したと判定された場合には、ステップS2に進む。ステップS2では、相対速度Vが所定閾値Vthよりも大きいか否かが判定される。
【0066】
ステップS2において、相対速度Vが所定閾値Vthよりも大きいと判定された場合には、他車両20が自車両10に接近しているものと判断されて、第一の設定方法によって注意度Cを設定する処理(ステップS3,S4)が実施される。すなわち、ステップS3で予想時間Tが判定時間Tthよりも短いか否かが判定され、ステップS3の判定が成立した場合には、ステップS4で予想時間Tが短いほど注意度Cが高く設定される。その後、続くステップS7に進む。なお、ステップS3で、予想時間Tが判定時間Tth以上であると判定された場合には、所定の警告条件を満たさないものと判断されて(すなわち、自車両10のドライバーに対する報知は不要であると判断されて)、このフローをリターンする。
【0067】
一方で、ステップS2において、相対速度Vが所定閾値Vth以下であると判定された場合には、他車両20が自車両10と並走しているか自車両10から離れていくものと判断されて、第二の設定方法によって注意度Cを設定する処理(ステップS5,S6)が実施される。すなわち、ステップS5で車間距離Dが判定距離Dthよりも短いか否かが判定され、ステップS5の判定が成立した場合には、ステップS6で車間距離Dが短いほど注意度Cが高く設定される。その後、続くステップS7に進む。なお、ステップS5で、車間距離Dが判定距離Dth以上であると判定された場合には、所定の警告条件を満たさないものと判断されて(すなわち、自車両10のドライバーに対する報知は不要であると判断されて)、このフローをリターンする。
【0068】
ステップS7では、自車両10が第二車線R2寄りを走行しているか否かが判定される。ステップS7において、自車両10が第二車線R2寄りを走行していると判定された場合には、ステップS8に進む。ステップS8では、自車両10の位置が第二車線R2に近いほど、設定した注意度Cを引き上げる再設定が実施され、ステップS9に進む。一方で、ステップS7において、判定が成立しなかった場合には、設定した注意度Cの再設定は不要と判断して、ステップS8の処理をスキップしてステップS9に進む。
【0069】
ステップS9~S12では、設定した注意度Cに応じた報知が実施されて、このフローをリターンする。つまり、ステップS9では、設定した注意度Cが高いほど、ウィンカーレバー11Lの操作反力が大きくなるようにターンシグナルスイッチ装置11が制御される。また、ステップS10では、設定した注意度Cが高いほど、よりドライバーの目につきやすい色や大きさで警告サインが表示されるようにディスプレイ12が制御される。ステップS11では、ウィンカーレバー11Lの操作があったか否かが判定され、判定が成立した場合には、ステップS12で、設定した注意度Cが高いほど、よりドライバーに認識されやすい音が吹鳴されるようにスピーカ13が制御される。なお、ステップS11において、ウィンカーレバー11Lの操作がないと判定された場合には、スピーカ13による報知をスキップして、このフローをリターンする。
【0070】
[5.効果]
(1)上述の制御装置1では、検出部1Aにより検出された他車両20が警告条件を満たす場合に、当該他車両20の注意度Cを設定する設定部(第一設定部1C及び第二設定部1D)が設けられる。また、制御部1Fは、設定された注意度Cが高いほど、ウィンカーレバー11Lの操作反力を大きくする。制御装置1は、このように、設定した注意度Cが高いほどウィンカーレバー11Lの操作反力を変更することで、車線変更に際して報知すべき他車両20が存在する場合に、当該他車両20へどの程度の注意を払うべきかをドライバーに認識させることができる。
【0071】
(2)上述した第一設定部1Cは、他車両20が自車両10の隣に到達するまでの予想時間Tが短いほど注意度Cを高く設定する。このように、第一設定部1Cが予想時間Tに応じて注意度Cを設定することで、一見、自車両10と他車両20との車間距離Dが長いため車線変更可能と思われる状況でも、他車両20の存在とその注意度Cとについて適切に報知できる。
【0072】
(3)上述した第二設定部1Dは、自車両10と他車両20との車間距離Dが短いほど注意度Cを高く設定する。このように、第二設定部1Dが車間距離Dに応じて注意度Cを設定することで、自車両10の後側方の死角にいる他車両20の存在とその注意度Cとについて適切に報知できる。
【0073】
(4)上述した制御装置1は、自車両10に対する他車両20の相対速度Vが所定閾値Vthよりも大きいかを判断する判断部1Bを備える。第一設定部1Cは、判断部1Bによる判断が成立した場合に注意度Cを設定し、第二設定部1Dは、判断部1Bによる判断が不成立である場合に注意度Cを設定する。つまり、第一設定部1Cで注意度Cが設定されるか第二設定部1Dで注意度Cが設定されるかが、判断部1Bの判断結果に応じて、択一的に選択される。これにより、第一設定部1Cでの処理と第二設定部1Dでの処理とが並行して実施されることがなく、制御装置1の処理(演算負荷)を軽くすることができる。
【0074】
また、制御装置1は、相対速度Vが所定閾値Vthよりも大きい場合には、他車両20が自車両10に接近していると判断して、第一設定部1Cで注意度Cを設定する。一方で、制御装置1は、相対速度Vが所定閾値Vth以下である場合には、他車両20が自車両10と並走しているか離れていくと判断して、第二設定部1Dで注意度Cを設定する。このように、他車両20の走行状態(他車両20が接近しているか否か)をも考慮して、注意度Cの設定方法を適宜選択することで、適切な報知を実現できる。
【0075】
(5)上述した制御装置1は、自車両10が第二車線R2寄りを走行している場合には、自車両10の位置が第二車線R2に近いほど、設定した注意度Cを引き上げる再設定を実施する。上述の通り、自車両10は、車線変更時に、第一車線R1上の第二車線R2寄りの位置を走行している場合に、第一車線R1の中央を走行している場合と比べて、他車両20と接触する可能性が高くなる。これに対し、制御装置1が上記の再設定を実施することで、自車両10の位置に応じた適切な注意度Cを設定できるため、より適切な報知を実現できる。
【0076】
[6.その他]
上述の制御装置1の構成及び制御装置1で実施される制御は一例である。また、制御装置1によって制御される自車両10の構成も一例である。例えば、上述の検出部1Aは、検出範囲DR内を「自車両10と同方向に」走行する他車両20を検出するものであったが、検出部1Aは、単純に検出範囲DR内を走行する他車両20を検出するものであってもよい。
【0077】
自車両10には、レーダー14に代えて、又は、加えて、自車両10の後方を撮影する後方カメラ17が設けられてよい。この場合、制御装置1は、後方カメラ17から取得した情報を基に、他車両20の検出や注意度Cの設定を実施してよい。例えば、検出部1Aは、後方カメラ17で撮像された画像データから対象物を識別することで、第一車線R1及び第二車線R2を認識し、第二車線R2上の検出範囲DR内を走行する他車両20を検出してよい。また、車間距離Dは、例えば、後方カメラ17で撮像された画像データの背景と対象物との大きさを比較することで推定されてよい。相対速度Vは、所定時間Δtの前後で推定した車間距離Dの差分と所定時間Δtとから算出されてよい。
【0078】
自車両10には、レーダー14に代えて、又は、加えて、車外のコンピューターと通信を行うことで他車両20の情報を取得する通信装置18が設けられてよい。また、自車両10には、自車両10の位置情報P10(緯度,経度及び高度など)を計測する測位装置19が設けられてもよい。この場合、通信装置18は、例えば、車車間通信により、他車両20の位置情報P20や車速V20を取得してよい。
【0079】
通信装置18及び測位装置19が設けられる場合、検出部1Aは、通信装置18から取得した他車両20の位置情報P20に基づき、検出範囲DRを走行する他車両20を検出してよい。また、車間距離Dは、通信装置18から取得した他車両20の位置情報P20と、測位装置19から取得した自車両10の位置情報P10とから算出されてよい。相対速度Vは、通信装置から取得した他車両20の車速V20と、車速センサ15から取得した車速V10とから算出されてよい。偏向長さLは、測位装置19から取得した自車両10の位置情報P10から算出されてもよい。
【0080】
制御装置1には、第一設定部1C及び第二設定部1Dに代えて、予想時間T及び車間距離Dに基づいて注意度Cを設定する機能要素(設定部)が設けられてもよい。この場合、設定部は、例えば、予想時間T,車間距離D及び設定される注意度Cの関係を三次元マップとして記憶し、当該三次元マップに基づいて注意度Cを設定してよい。なお、この場合、判断部1Bは省略されてもよい。
【0081】
制御装置1には、設定部として、第一設定部1Cのみが設けられていてもよいし、第二設定部1Dのみが設けられていてもよい。これらの場合にも、判断部1Bは省略されてよい。また、自車両10の位置に応じた再設定を実施しない場合には、再設定部1Eは省略されてよい。
【0082】
制御部1Fは、少なくとも、設定された注意度Cが高いほどウィンカーレバー11Lの操作反力を大きくするものであればよい。制御部1Fは、例えば、ディスプレイ12の制御やスピーカ13の制御を実施しなくてもよい。
判定時間Tth,判定距離Dth,判定長さLth及び所定閾値Vthの値は、上述の値に限らず適宜設定されてよい。
【符号の説明】
【0083】
1 制御装置(車両制御装置)
1A 検出部(他車両検出部)
1B 判断部
1C 第一設定部(設定部)
1D 第二設定部(設定部)
1F 制御部
10 自車両,車両
11L ウィンカーレバー
20 他車両
C 注意度
D 車間距離(自車両と他車両との距離)
DR 検出範囲
R1 第一車線
R2 第二車線
T 予想時間(他車両が自車両の隣に到達するまでの時間)
V 相対速度
Vth 所定閾値