(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117900
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】机の上面構造、天板カバーおよび机
(51)【国際特許分類】
A47B 13/08 20060101AFI20240823BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A47B13/08 A
A47B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023978
(22)【出願日】2023-02-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (イ) 配布開始日 :令和4年11月1日 配布場所 :第一工業株式会社(静岡県浜松市東区大島町955番地の9) 公開者名 :第一工業株式会社 (ロ) 刊行物発行日 :令和5年1月1日 刊行物 :教育家庭新聞 令和5年1月1日付 第17面 公開者名 :株式会社教育家庭新聞社 (ハ) ウェブサイトの掲載開始日:令和4年11月18日 ウェブサイトのアドレス :YouTube「ひろがるぞ~紹介動画221107」(https://www.youtube.com/watch?v=85IGC8MV7uo) 公開者名:第一工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208684
【氏名又は名称】第一工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】冨田 豊
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NP07
3B053NP08
3B053NQ02
3B053NQ07
3B053NQ08
3B053NQ10
3B053PA01
3B053PA04
3B053PC02
3B053PC05
(57)【要約】
【課題】化粧シートの位置決めを容易に行うことができる、机の上面構造、天板カバーおよび机を提供する。
【解決手段】机12Bは天板カバー10を備え、天板カバー10は机の上面構造80を備える。机の上面構造80は、物品が載置される平坦な載置面Qを上面70eに有する板状のカバー部(基部)70と、カバー部(基部)70の上面70eにおける載置面Qの周囲に載置面Qから立ち上がって形成され、載置面Qに化粧シート82を位置決めする環状の突部(位置決め部)34とを備える。机12Bの使用者から見て遠い側を前側とし、近い側を後側とし、左手側を左側とし、右手側を右側としたとき、突部(位置決め部)34は、載置面Qに載置された化粧シート82に対して前後左右の各方向から対向可能に構成される。少なくともカバー部(基部)70の後端部72に形成された突部(位置決め部)34の高さは、化粧シート82の厚さの整数倍に定められる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
机の上面を構成する机の上面構造であって、
物品が載置される載置面を上面に有する板状の基部と、
前記基部の上面における前記載置面の周囲に前記載置面から立ち上がって形成され、前記載置面に化粧シートを位置決めする位置決め部とを備え、
前記載置面は、平坦かつ平滑な面に形成されており、
前記机の使用者から見て遠い側を前側とし、近い側を後側とし、左手側を左側とし、右手側を右側としたとき、前記位置決め部は、前記載置面に載置された前記化粧シートに対して前後左右の各方向から対向可能に形成される、机の上面構造。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記化粧シートの外周面に沿う内周面を有する環状に形成される、請求項1に記載の机の上面構造。
【請求項3】
少なくとも前記基部の後端部に形成された前記位置決め部の高さは、前記化粧シートの厚さの整数倍に定められる、請求項2に記載の机の上面構造。
【請求項4】
少なくとも前記基部の後端部に形成された前記位置決め部の高さは、前記化粧シートの厚さと同じに定められる、請求項3に記載の机の上面構造。
【請求項5】
機能拡張具が取り付けられる機能拡張具取付け部を備え、
前記基部の中央側を内側とし、その反対側を外側としたとき、
前記機能拡張具取付け部は、前記基部の上面における前記位置決め部の内面より外側に形成された溝を有する、請求項3に記載の机の上面構造。
【請求項6】
前記載置面に載置された前記化粧シートを備える、請求項5に記載の机の上面構造。
【請求項7】
前記化粧シートを前記載置面に固定する固定手段を備える、請求項6に記載の机の上面構造。
【請求項8】
前記固定手段は、前記化粧シートを前記載置面に着脱自在に固定するように構成される、請求項7に記載の机の上面構造。
【請求項9】
前記化粧シートは、一方面に設けられた第1化粧面と、他方面に設けられた第2化粧面とを有する、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の机の上面構造。
【請求項10】
机の天板を上方から覆う板状のカバー部を有するカバー本体と、
前記カバー本体を前記天板に取り付けるための取付け手段と、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の机の上面構造とを備え、
前記机の上面構造の前記基部によって前記カバー部が構成される、天板カバー。
【請求項11】
天板と、
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の机の上面構造とを備え、
前記机の上面構造の前記基部によって前記天板が構成される、机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートを取付け可能に構成された机の上面構造ならびに当該机の上面構造を備える天板カバーおよび机に関する。
【背景技術】
【0002】
机の天板を保護するために、或いは、机の天板の汚れや傷を覆い隠すために、従来から、天板に天板カバーを取り付けたり、天板の上面に化粧シートを載置したりすることが行われている。
【0003】
特許文献1に開示された机用天板(天板カバー)は、机の天板を覆う拡張天板と、天板から拡張天板が離脱することを防止する延出プレートとを有している。拡張天板の上面には、タブレットが挿し込まれる溝部が形成されており、使用者は、当該溝部にタブレットを挿し込むことによって、タブレットを起立させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
特許文献1に開示された机用天板(天板カバー)では、使用者は、拡張天板の上面に化粧シートを載置することによって、拡張天板の上面を覆うことができる。しかしながら、拡張天板の上面には、タブレットを支持する溝部が形成されているので、化粧シートを載置する際には、溝部を避ける必要があり、化粧シートを位置決めすることが困難であるという問題があった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、化粧シートの位置決めを容易に行うことができる、机の上面構造、天板カバーおよび机を提供することにある。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る机の上面構造の特徴は、机の上面を構成する机の上面構造であって、物品が載置される載置面を上面に有する板状の基部と、前記基部の上面における前記載置面の周囲に前記載置面から立ち上がって形成され、前記載置面に化粧シートを位置決めする位置決め部とを備え、前記載置面は、平坦かつ平滑な面に形成されており、前記机の使用者から見て遠い側を前側とし、近い側を後側とし、左手側を左側とし、右手側を右側としたとき、前記位置決め部は、前記載置面に載置された前記化粧シートに対して前後左右の各方向から対向可能に形成されることにある。
【0008】
この構成によれば、使用者が載置面に生じた傷を覆い隠したいときや、机面を装飾したいときには、使用者は、載置面に化粧シートを載置できる。載置面に化粧シートを載置する際には、位置決め部の内側に化粧シートを嵌め込むことによって、化粧シートを簡単かつ確実に位置決めできる。また、載置面に載置された化粧シートの前後左右の各方向への動きを位置決め部によって規制できる。また、載置面は、平坦かつ平滑な面で構成されているため、載置面に化粧シートが載置されていないときには、載置面を机面としてそのまま使用でき、載置面から物品が落下することを位置決め部によって防止することもできる。
【0009】
本発明に係る机の上面構造の他の特徴は、前記位置決め部は、前記化粧シートの外周面に沿う内周面を有する環状に形成されることにある。
【0010】
この構成によれば、載置面に載置された化粧シートの前後左右の動きを環状に形成された位置決め部によって確実に規制できる。
【0011】
本発明に係る机の上面構造の他の特徴は、少なくとも前記基部の後端部に形成された前記位置決め部の高さは、前記化粧シートの厚さの整数倍に定められることにある。
【0012】
この構成において、位置決め部の高さが化粧シートの厚さの1倍に定められているとき、1枚の化粧シートが載置面に載置されることによって、化粧シートの上面と基部の後端部に形成された位置決め部の上面とが面一にされる。また、位置決め部の高さが化粧シートの厚さの2倍以上に定められているとき、2枚以上の化粧シートが載置面に重ねて載置されることによって、最上に位置する化粧シートの上面と基部の後端部に形成された位置決め部の上面とが面一にされる。したがって、化粧シートと基部の後端部(使用者に近い側の端部)に形成された位置決め部との間の段差を無くして、使用者の作業性を向上できる。
【0013】
本発明に係る机の上面構造の他の特徴は、少なくとも前記基部の後端部に形成された前記位置決め部の高さは、前記化粧シートの厚さと同じに定められることにある。
【0014】
この構成によれば、1枚の化粧シートが載置面に載置されることによって、化粧シートの上面と基部の後端部に形成された位置決め部の上面とが面一にされる。したがって、化粧シートと基部の後端部(使用者に近い側の端部)に形成された位置決め部との間の段差を無くして、使用者の作業性を向上できる。
【0015】
本発明に係る机の上面構造の他の特徴は、機能拡張具が取り付けられる機能拡張具取付け部を備え、前記基部の中央側を内側とし、その反対側を外側としたとき、前記機能拡張具取付け部は、前記基部の上面における前記位置決め部の内面より外側に形成された溝を有することにある。
【0016】
この構成では、機能拡張具の一部を溝に挿し込むだけで、機能拡張具を機能拡張具取付け部に簡単に取り付けることができる。機能拡張具取付け部の溝は、位置決め部の内面より外側に形成されるので、機能拡張具を機能拡張具取付け部に取り付けた状態でも、位置決め部によって化粧シートを位置決めできる。
【0017】
本発明に係る机の上面構造の他の特徴は、前記載置面に載置された前記化粧シートを備えることにある。
【0018】
この構成によれば、載置面に生じた傷を隠すことができるとともに、机面を装飾できる。
【0019】
本発明に係る机の上面構造の他の特徴は、前記化粧シートを前記載置面に固定する固定手段を備えることにある。
【0020】
この構成によれば、化粧シートが載置面から離脱することを防止できる。
【0021】
本発明に係る机の上面構造の他の特徴は、前記固定手段は、前記化粧シートを前記載置面に着脱自在に固定するように構成されることにある。
【0022】
この構成によれば、化粧シートを他の化粧シートに交換し易い。
【0023】
本発明に係る机の上面構造の他の特徴は、前記化粧シートは、一方面に設けられた第1化粧面と、他方面に設けられた第2化粧面とを有することにある。
【0024】
この構成によれば、化粧シートの表裏を反対にするだけで、化粧面を変更できる。
【0025】
上記目的を達成するため、本発明に係る天板カバーの特徴は、机の天板を上方から覆う板状のカバー部を有するカバー本体と、前記カバー本体を前記天板に取り付けるための取付け手段と、前記机の上面構造とを備え、前記机の上面構造の前記基部によって前記カバー部が構成されることにある。
【0026】
この構成によれば、カバー本体を既存の机の天板に取り付けることによって、既存の机に机の上面構造を付加することができる。
【0027】
上記目的を達成するため、本発明に係る机の特徴は、天板と、前記机の上面構造とを備え、前記机の上面構造の前記基部によって前記天板が構成されることにある。
【0028】
この構成によれば、机単体で机の上面構造の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】第1実施形態に係る天板カバーの使用状態を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は部分断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る天板カバーおよび机の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る天板カバーの構成を示す図であり、(A)は上面側から見た斜視図、(B)は下面側から見た斜視図である。
【
図4】(A)は
図3(A)におけるIVA部分の拡大図、(B)は
図3(B)におけるIVB部分の拡大図である。
【
図5】(A)は第1実施形態に係る天板カバーの構成を示す底面図、(B)は
図5(A)におけるVB-VB線拡大断面図である。
【
図6】(A)は
図5(A)におけるVIA-VIA線拡大断面図、(B)は
図5(A)におけるVIB-VIB線拡大断面図、(C)は
図5(A)におけるVIC-VIC線拡大断面図である。
【
図7】(A)は転び止め(機能拡張具)の取付け構造を示す部分拡大断面図、(B)は物品立て(機能拡張具)の取付け構造を示す部分拡大断面図である。
【
図8】(A)は突部(位置決め部)の変形例を示す部分拡大断面図、(B)は突部(位置決め部)の他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る机の上面構造、天板カバーおよび机の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
図1は、第1実施形態に係る天板カバー10の使用状態を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は部分断面図である。
図2は、天板カバー10および机12Bの構成を示す分解斜視図である。以下の説明で用いる前後、左右、上下の各方向は、机12Bを使用する使用者から見た方向を基準として定めており、使用者から見て遠い側を前側とし、近い側を後側とし、左手側を左側とし、右手側を右側としている。これらの各方向は、図中に矢印で示した各方向と一致する。また、以下の説明では、天板カバー10を構成するカバー部70(基部)の中央側を内側とし、その反対側を外側としている。
【0032】
図2に示す天板カバー10は、学校の教室、図書室および自習室などで使用される既存の机12Aの天板14を保護するために、或いは、天板14の汚れや傷を覆い隠すために、天板14に取り付けられて、実質的な天板として使用されるものである。したがって、本実施形態では、天板カバー10が、机12Aの実質的な上面を構成する机の上面構造80を備えている。また、既存の机12Aおよび天板カバー10の全体を1個の机12Bとする立場から見ると、
図1(A)に示す机12Bが、机12Bの上面を構成する机の上面構造80を備えている。
【0033】
図2に示すように、机12Aは、平面視で四角形の天板14と、天板14を支持する本体部16と、本体部16から下方へ延びて設けられ、天板14および本体部16を支持する4本の脚部18と、本体部16の左側面および右側面のそれぞれから突出して設けられた2個のフック20とを有している。なお、左側のフック20は、天板14および本体部16に隠れて見えない。
【0034】
図1(B)に示すように、天板14の上面14aおよび下面14bは、平坦面に形成されており、天板14の外側面14cは、厚さ方向の中央部が外側へ向けて凸となる曲面に形成されている。この場合、上面14aは、更に文書または図柄などを書いたりすることができる平滑面で構成されている。
図2に示すように、本体部16は、天板14の下方に物入れ空間Sを構成するように箱状に形成されている。物入れ空間Sは、本体部16の後部に形成された開口16aを通して後方(使用者側)に向けて開かれている。机12Aの使用者は、開口16aから物入れ空間Sの内部に手を入れて、物入れ空間Sに対して物を出し入れできる。
【0035】
図2に示す本実施形態の机12Aは、JIS規格に基づいて設計されたものであり、天板14の左右方向長さが650mmに定められており、天板14の前後方向長さが450mmに定められている。なお、天板14のサイズは、上記サイズに限定されるものではなく、適宜変更されてもよい。
【0036】
(第1実施形態に係る天板カバーの構成)
図3は、第1実施形態に係る天板カバー10の構成を示す図であり、
図3(A)は上面側から見た斜視図、
図3(B)は下面側から見た斜視図である。
図4(A)は
図3(A)におけるIVA部分の拡大図、
図4(B)は
図3(B)におけるIVB部分の拡大図である。
【0037】
図2に示す机の上面構造80は、本およびノートなどの物品が載置される載置面Qを上面70eに有する「基部」としての板状のカバー部70と、載置面Qに化粧シート82を位置決めする「位置決め部」としての環状の突部34とを備えている。本実施形態では、机の上面構造80が天板カバー10の一部として構成されている。また、載置面Qは、平坦かつ平滑な平面で構成されている。すなわち、載置面Qは、机12Aの天板14の上面14aと同様に、文書または図柄などを書いたりすることができる平滑面で構成されている。
【0038】
図3(A),(B)に示すように、天板カバー10は、机12Aの天板14(
図2)を上方から覆うカバー本体22と、カバー本体22の周縁部から垂下して形成された周壁部24とを備えている。また、
図3(B)に示すように、天板カバー10は、カバー本体22に設けられ、天板14を上下方向に対して直交する方向から挟む4個の挟持手段26,28,30,32を備えている。
図2に示すように、天板カバー10は、さらに、機能拡張具取付け部78と、化粧シート82とを備えている。本実施形態の天板カバー10は、化粧シート82を除いて、合成樹脂によって一体に形成されている。
【0039】
図3(B)に示す4個の挟持手段26,28,30,32のそれぞれは、カバー本体22を天板14に取り付けるための「取付け手段」として機能する。第1挟持手段26は、第1挟み片26aおよび第2挟み片26bで構成されている。第2挟持手段28は、第1挟み片28aおよび第2挟み片28bで構成されている。第3挟持手段30は、第1挟み片30aおよび第2挟み片30bで構成されており、第4挟持手段32は、第1挟み片32aおよび第2挟み片32bで構成されている。したがって、上記「4個の挟持手段」は、「4組の第1挟み片および第2挟み片」と言い換えることができる。つまり、本実施形態では、「取付け手段」が4組の第1挟み片および第2挟み片を有している。
【0040】
図3(A)に示すように、カバー本体22は、机12Aの天板14(
図2)を上方から覆う板状のカバー部70を有している。カバー部70は、机の上面構造80の「基部」であり、平面視で四角形の板状に形成されている。カバー部70の左辺70aおよび右辺70bは、平面視で互いに平行となるように形成されており、前辺70cは、左辺70aおよび右辺70bに対して平面視で垂直となるように形成されている。カバー部70の後端部72における左側部分72aおよび右側部分72bは、後側へ張り出して形成されており、これにより、カバー部70の後辺70dは、平面視で前側に凸となるように湾曲して形成されている。
【0041】
カバー部70の上面70eには、天板14(
図2)の上面14aに代替される平坦面が形成されており、当該平坦面が載置面Qとして機能する。言い換えると、本実施形態では、机の上面構造80の板状の「基部」によって天板カバー10のカバー部70が構成されており、カバー部(基部)70が平坦な載置面Qを上面70eに有している。
【0042】
図3(A)に示すように、カバー部(基部)70の上面70eにおける載置面Qの周囲には、平面視で環状の突部34が、載置面Qから立ち上がって形成されている。突部34は、机の上面構造80の「位置決め部」であり、載置面Qに化粧シート82(
図2)を位置決めするとともに、化粧シート82の前後左右の各方向への動きを規制する機能を有している。つまり、化粧シート82は、環状の突部(位置決め部)34で囲まれた凹部に位置決めされる。
【0043】
突部(位置決め部)34は、載置面Qに載置された化粧シート82(
図2)に対して前後左右の各方向から対向可能なように、化粧シート82の外周面に沿う内周面を有する環状に形成されている。本実施形態では、化粧シート82が平面視で四角形に形成されているので、突部34は、化粧シート82の各辺に沿うように配置された左片部34a、右片部34b、前片部34cおよび後片部34dを有している。
【0044】
本実施形態では、突部(位置決め部)34の高さは、周方向の全長に亘って、化粧シート82の厚さと同じに定められている。したがって、
図1(B)に示すように、1枚の化粧シート82が載置面Qに載置されると、化粧シート82の上面82aと突部34の上面34eとが面一になる。つまり、化粧シート82と突部34との間に段差は生じない。
【0045】
図3(A)に示すように、突部(位置決め部)34を構成する左片部34aの前部、右片部34bの前部および前片部34cの全体には、転び止め、本立て、スマートホンスタンド、タブレットスタンドおよび拡張天板部材などの「機能拡張具」が取り付けられる機能拡張具取付け部78が設けられている。
図4(A)に示すように、機能拡張具取付け部78は、カバー部(基部)70の上面70eにおける突部(位置決め部)34の内面より外側に形成された溝36を有している。溝36の内壁36aと外壁36bとは、複数の補強壁38によって繋がれている。
【0046】
図3(B)に示すように、カバー部70の外周部には、左壁部24a、右壁部24b、前壁部24cおよび後壁部24dが、カバー部70の外周縁から垂下して形成されており、これらが繋がって環状の周壁部24が構成されている。左壁部24aおよび右壁部24bの前後方向中央部には、これらの下端部から上方へ向けて凹んだ凹み部42a,42bが形成されている。カバー部70の下面70fには、複数の線状の補強リブ40が形成されている。
図4(B)に示すように、カバー部70の下面70fの前部には、溝36(
図4(A))の内壁36aおよび底部36cが表れている。
【0047】
図3(B)に示すように、左壁部24aおよび右壁部24bの上下方向長さは、これらの下端部がフック20(
図2)に当たらない程度に定められており、後壁部24dの上下方向長さは、本体部16の開口16a(
図2)を十分に確保できる程度に定められている。本実施形態では、左壁部24a、右壁部24b、前壁部24cおよび後壁部24dの上下方向長さが、凹み部42a,42bを除いて均一に定められている。なお、これらの上下方向長さは、必ずしも均一である必要はなく、適宜変更されてもよい。
【0048】
図3(B)に示すように、第1挟持手段26は、カバー本体22の前後方向中央部の左部に左壁部24aを介して設けられた第1挟み片26aと、カバー本体22の前後方向中央部の右部に右壁部24bを介して設けられた第2挟み片26bとによって、天板14を左右方向から挟むことができるように構成されている。第1挟み片26aは、凹み部42aにおける左壁部24aの下端縁に繋げられており、第2挟み片26bは、凹み部42bにおける右壁部24bの下端縁に繋げられている。
【0049】
図5(A)は天板カバー10の構成を示す底面図、
図5(B)は
図5(A)におけるVB-VB線拡大断面図である。
図6(A)は
図5(A)におけるVIA-VIA線拡大断面図、
図6(B)は
図5(A)におけるVIB-VIB線拡大断面図、
図6(C)は
図5(A)におけるVIC-VIC線拡大断面である。
【0050】
図5(A),(B)に示す第1挟み片26aは、第2挟み片26bに対して遠ざかる方向へ弾性変形可能なように、合成樹脂によって板状に形成されている。
図5(B)に示すように、第1挟み片26aの外側面44は、上方へ向かうにつれて外側に位置するように傾斜して形成されており、第1挟み片26aの内側面46は、
図1(B)に示す天板14の外側面14cおよび下面14bに沿うように屈曲して形成されている。なお、第1挟み片26aの内側面46は、天板14の外側面14cおよび下面14bに沿うように湾曲して形成されてもよい。
【0051】
より詳細に説明すると、第1挟み片26aは、凹み部42aにおける左壁部24aの下端縁から右下方へ延びるように傾斜して形成された板状の第1部分48と、第1部分48の下端部から右方へ水平に延びるように形成された板状の第2部分50とを有している。第1挟み片26aの外側面44は、第1部分48の外側面48aで構成されている。第1挟み片26aの内側面46は、天板14の外側面14c(
図1(B))に沿うように形成された第1部分48の内側面48bと、天板14の下面14b(
図1(B))に沿うように形成された第2部分50の上面50aとによって構成されている。
【0052】
図5(A)に示すように、第2挟み片26bは、第1挟み片26aと左右対称に構成されているため、第2挟み片26bの説明は省略する。
【0053】
自然状態における第1挟み片26aと第2挟み片26bとの間隔は、これらによって挟まれる天板14(
図2)の対応部分の幅よりも狭く定められている。ここで、第1挟み片26aと第2挟み片26bとの間隔は、天板14を挟む部分の間隔を意味する。本実施形態では、第1挟み片26aおよび第2挟み片26bのそれぞれの第1部分48(
図1(B))の下端部が天板14を挟む部分となっており、当該下端部どうしの間隔が、天板14の対応部分の幅よりも狭く定められている。
【0054】
図3(B)に示すように、第2挟持手段28は、カバー本体22の左部の前部に設けられた第1挟み片28aと、カバー本体22の左部の後部に設けられた第2挟み片28bとによって、天板14を前後方向から挟むように構成されている。第1挟み片28aは、前壁部24cから後方へ離れて形成されており、第2挟み片28bは、後壁部24dから前方へ離れて形成されている。
【0055】
図6(B)に示すように、第1挟み片28aは、第2挟み片28bに対して遠ざかる方向へ弾性変形可能な板状の部分であり、カバー部70の下面70fに表れた溝36の底部36cから後下方へ延びるように傾斜して形成されている。第1挟み片28aには、木ネジ(図示省略)が挿通される貫通孔52が形成されており、第1挟み片28aの先端部の内側面(後側面)は、滑らかに湾曲して形成されている。
【0056】
図6(A)に示すように、第2挟み片28bは、第1挟み片28aに対して遠ざかる方向へ弾性変形可能な板状の部分であり、カバー部70の下面70fから前下方へ延びるように傾斜して形成されている。第2挟み片28bには、木ネジ(図示省略)が挿通される貫通孔52が形成されており、第2挟み片28bの先端部は、前方へ屈曲して形成されている。この屈曲された部分の内側面(前側面)は、滑らかに湾曲して形成されている。
【0057】
自然状態における第1挟み片28aと第2挟み片28bとの間隔は、これらによって挟まれる天板14(
図2)の対応部分の幅よりも狭く定められている。ここで、第1挟み片28aと第2挟み片28bとの間隔は、天板14を挟む部分の間隔を意味する。本実施形態では、第1挟み片28aおよび第2挟み片28bのそれぞれの先端部が天板14を挟む部分となっており、当該先端部どうしの間隔が、天板14の対応部分の幅よりも狭く定められている。
【0058】
図6(B)に示すように、本実施形態では、カバー本体22における第1挟み片28aの外側(前側)の部分にカバー部70から垂下して前壁部24cが形成されており、この前壁部24cが第1挟み片28aを目隠しするための「垂下壁」となっている。また、
図6(A)に示すように、カバー本体22における第2挟み片28bの外側(後側)の部分にカバー部70から垂下して後壁部24dが形成されており、この後壁部24dが第2挟み片28bを目隠しするための「垂下壁」となっている。
【0059】
図5(A)に示すように、第3挟持手段30は、カバー本体22の左右方向中央部を挟んで、第2挟持手段28と左右対称に構成されているため、第3挟持手段30の説明は省略する。
【0060】
図3(B)に示すように、第4挟持手段32は、カバー本体22の左右方向中央部の前部に設けられた第1挟み片32aと、カバー本体22の左右方向中央部の後部に設けられた第2挟み片32bとによって、天板14を前後方向から挟むように構成されている。第1挟み片32aは、前壁部24cから後方へ離れて形成されており、第2挟み片32bは、後壁部24dの下端部に形成されている。
【0061】
第1挟み片32aは、
図6(B)に示す第2挟持手段28の第1挟み片28aと同様に形成されているので、第1挟み片32aの説明は省略する。
図6(C)に示すように、第2挟み片32bは、後壁部24dの下端部から内側(前側)に突出するように形成されており、第2挟み片32bの内側面(前側面)は、滑らかに湾曲して形成されている。したがって、第2挟み片32bは、僅かであるが、第1挟み片32aに対して遠ざかる方向へ弾性変形可能であり、後壁部24dが第2挟み片32bを目隠しするための「垂下壁」となっている。
【0062】
図2に示す化粧シート82は、載置面Qに生じた傷を覆い隠したり、机12Bの机面を装飾したりするために、載置面Qに載置される平面視で四角形のシートである。化粧シート82は、一方面に設けられた第1化粧面と、他方面に設けられた第2化粧面とを有しており、これらの一方が表にされて、「固定手段」としての両面粘着テープ(図示省略)を用いて載置面Qに固定されている。本実施形態の両面粘着テープは、化粧シート82を載置面Qに着脱自在に固定するように構成された「固定手段」である。
【0063】
化粧シート82の材料は、特に限定されるものではなく、例えば、高圧メラミンシート、低圧メラミンシートおよびオレフィンシートなどを使用できる。化粧シートの厚さは、特に限定されるものではなく、本実施形態では、1mmに定められている。
【0064】
「固定手段」の種類は、特に限定されるものではなく、両面粘着テープに代えて、接着剤、粘着剤、面ファスナーなどが用いられてもよい。また、「固定手段」は省略されてもよい。「固定手段」が省略された場合でも、載置面Qに載置された化粧シート82の動きを突部(位置決め部)34によって規制できるので、化粧シート82を位置決めできる。
【0065】
(第1実施形態に係る天板カバーの使用方法)
図7(A)は転び止め(機能拡張具)54の取付け状態を示す部分拡大断面図、
図7(B)は本立て(機能拡張具)56の取付け状態を示す部分拡大断面図である。
【0066】
作業者が天板カバー10を机12Aの天板14(
図2)に取り付けるとき、まず、作業者は、天板カバー10の前部に設けられた第1挟み片28a,30a,32a(
図3(B))を、天板14の前部に引掛ける。続いて、作業者は、引掛け状態を保持しながら、天板カバー10の後部を天板14に近づけるように移動させ、天板カバー10の左部に設けられた第1挟み片26aおよび右部に設けられた第2挟み片26bを天板14の左部および右部に引掛ける。
【0067】
その後、作業者は、天板カバー10の後部に設けられた第2挟み片28b,30b,32b(
図3(B))を、天板14の後部に引掛ける。天板カバー10が天板14から離脱することを確実に防止したいとき、作業者は、第1挟み片28a,30a,32aおよび第2挟み片28b,30bを、木ネジ(図示省略)を用いて天板14に固定する。
【0068】
天板カバー10を机12Aの天板14(
図2)に取り付けた状態において、第1挟み片28a,30a,32aは、「垂下壁」としての前壁部24cで目隠しされるので、外部から見えない。また、第2挟み片28b,30b,32bは、「垂下壁」としての後壁部24dで目隠しされるので、外部から見えない。
【0069】
図7(A)に示すように、カバー本体22の上面22aに置かれた筆記具や消しゴムなど(図示省略)が上面22aから落下することを防止する際には、使用者は、「機能拡張具」としての転び止め54を準備し、転び止め54に設けられた挿し込み部54aをカバー本体22の溝36に挿し込む。また、
図7(B)に示すように、カバー本体22の上面22aで「機能拡張具」としての本立て56を使用する際には、使用者は、本立て56に設けられた挿し込み部56aを溝36に挿し込む。
【0070】
(第1実施形態に係る天板カバーの効果)
本実施形態によれば、上記構成により以下の各効果を奏することができる。すなわち、
図2に示す載置面Qに化粧シート82を載置する際には、環状の突部(位置決め部)34の内側の凹部に化粧シート82を嵌め込むことによって、化粧シート82を簡単かつ確実に位置決めできる。また、載置面Qに載置された化粧シート82の前後左右の各方向への動きを突部(位置決め部)34によって規制できる。
【0071】
載置面Qに化粧シート82が載置されていないときには、載置面Qを机12Bの机面としてそのまま使用でき、載置面Qから物品が落下することを突部(位置決め部)34によって防止できる。したがって、使用者は、自身の好みによって化粧シート82を使用するか否かを自由に選択することができる。
【0072】
図1(B)に示すように、突部(位置決め部)34の高さが化粧シート82の厚さと同じに定められているので、化粧シート82と突部34との間の段差を無くして、使用者の作業性を向上できる。
【0073】
図7(A),(B)に示すように、転び止め(機能拡張具)54や本立て(機能拡張具)56を使用する際には、使用者は、これらの一部を溝36に挿し込むだけで、これらを機能拡張具取付け部78に簡単に取り付けることができる。溝36は、突部(位置決め部)34の内面より外側に形成されているので、転び止め(機能拡張具)54や本立て(機能拡張具)56を取り付けるときに化粧シート82は邪魔にならない。また、転び止め(機能拡張具)54や本立て(機能拡張具)56を取り付けた状態でも、突部(位置決め部)34によって化粧シート82を位置決めできる。
【0074】
化粧シート82は、「固定手段」としての両面粘着テープ(図示省略)を用いて載置面Qに固定されているので、載置面Qから容易に取り外すことが可能であり、化粧シート82の表裏を反対にすることによって、第1化粧面と第2化粧面とを適宜選択して使用できる。
【0075】
(変形例)
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。すなわち、
図2に示すように、上記実施形態では、カバー部70が平面視で四角形に形成されているが、カバー部70の形状は、適宜変更されてもよく、楕円形や円形に形成されてもよい。また、化粧シート82および突部(位置決め部)34の形状は、カバー部70の形状等に応じて適宜変更されてもよい。
【0076】
図3(B)に示すように、上記実施形態では、カバー本体22に4個の挟持手段26,28,30,32が設けられているが、挟持手段の数は、適宜変更可能であり、1~3個でもよいし、5個以上でもよい。つまり、天板カバー10は、少なくとも1個の挟持手段を備えていればよい。言い換えると、天板カバー10は、「取付け手段」としての少なくとも1組の第1挟み片および第2挟み片を有していればよい。また、第1挟み片および第2挟み片に代えて、ボルト・ナット、木ネジ、接着剤および両面テープなどの他の「取付け手段」が用いられてもよい。
【0077】
図2に示すように、上記実施形態では、「位置決め部」が環状の突部34で構成されているが、「位置決め部」は、化粧シート82に対して前後左右の各方向から対向する複数の突部(図示省略)で構成されてもよい。この場合、複数の突部のそれぞれは、平面視でL字状に形成されて、化粧シート82の各角部(出隅)に沿うように配置されてもよいし、線状または点状に形成されて、化粧シート82の各辺に沿うように配置されてもよい。
【0078】
図8(A)は突部(位置決め部)34の変形例を示す部分拡大断面図、
図8(B)は突部(位置決め部)34の他の変形例を示す斜視図である。
【0079】
図1(B)に示すように、上記実施形態では、突部(位置決め部)34の高さが、化粧シート82の厚さの1倍に定められているが、少なくともカバー部(基部)70の後端部72に形成された突部(位置決め部)34の高さは、化粧シート82の厚さの整数倍に定められてもよい。例えば、
図8(A)に示すように、突部(位置決め部)34の高さは、化粧シート82の厚さの2倍に定められてもよい。
【0080】
この構成では、複数(
図8(A)では2枚)の化粧シート82が載置面Qに重ねて載置されることによって、最上に位置する化粧シート82の上面82aと少なくともカバー部(基部)70の後端部72に形成された突部(位置決め部)34の上面34eとが面一にされる。したがって、化粧シート82とカバー部(基部)70の後端部72に形成された突部(位置決め部)34との間の段差を無くして、使用者の作業性を向上できる。
【0081】
図1(B)に示すように、上記実施形態では、突部(位置決め部)34の上面34eの高さが、載置面Qに載置された化粧シート82の上面82aの高さと同じに定められているが、これらの高さは異なるように定められてもよい。例えば、
図8(B)に示すように、左片部34aの前部、右片部34bの前部および前片部34cの全体の高さは、他の部分の高さより高く定められてもよい。また、
図8(B)に示すように、機能拡張具取付け部78は省略されてもよい。
【0082】
図2に示すように、上記実施形態では、机の上面構造80が、天板カバー10を介して机12Aの天板14に設けられているが、机の上面構造80は、机12Aの天板14に直接設けられてもよい。つまり、天板14の上面14aに設けられた載置面Qの周囲に、載置面Qから立ち上がって突部34が形成されてもよい。この場合には、天板14が机の上面構造80の基部となる。言い換えると、机の上面構造80の基部によって天板14が構成される。
【符号の説明】
【0083】
Q…載置面、S…物入れ空間、10…天板カバー、12A,12B…机、14…天板、14a…上面、14b…下面、14c…外側面、16…本体部、16a…開口、18…脚部、20…フック、22…カバー本体、22a…上面、24…周壁部、24a…左壁部、24b…右壁部、24c…前壁部、24d…後壁部、26…第1挟持手段、28…第2挟持手段、30…第3挟持手段、32…第4挟持手段、26a,28a,30a,32a…第1挟み片、26b,28b,30b,32b…第2挟み片、34…突部(位置決め部)、34a…左片部、34b…右片部、34c…前片部、34d…後片部、34e…上面、36…溝、36a…内壁、36b…外壁、36c…底部、38…補強壁、40…補強リブ、42a,42b…凹み部、44…外側面、46…内側面、48…第1部分、50…第2部分、52…貫通孔、70…カバー部(基部)、70a…左辺、70b…右辺、70c…前辺、70d…後辺、70e…上面、70f…下面、72…後端部、72a…左側部分、72b…右側部分、78…機能拡張具取付け部、80…机の上面構造、82…化粧シート、82a…上面。