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特開2024-117901行動属性分析システム及び情報処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117901
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】行動属性分析システム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240823BHJP
   G06F 16/28 20190101ALI20240823BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06F16/28
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023981
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】520129311
【氏名又は名称】LocationMind株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 達郎
(72)【発明者】
【氏名】伊草 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】姜 珂
(72)【発明者】
【氏名】矢内 一男
【テーマコード(参考)】
5B175
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B175FB04
5B175GA04
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】人の行動のパターン別に人流を分析することができる行動属性分析システム及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】行動属性分析システムは、複数の地点に設置され、所定範囲内の人が携帯する通信機器からユーザ識別情報を取得する検知装置と、検知装置が取得したユーザ識別情報、検知装置を識別する検知識別情報、及びユーザ識別情報が取得された日時の情報を、収集情報として収集する収集装置と、収集情報を取得する情報処理装置とを備える。情報処理装置は、検知識別情報と地点の種別との対応情報を記憶する記憶部と、収集情報と対応情報とに基づき、地点における人の行動の種別と、地点の種別との組み合わせである行動属性を、ユーザ識別情報ごとに付与する行動属性付与部とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の地点に設置され、所定範囲内の人が携帯する通信機器からユーザ識別情報を取得する検知装置と、
前記検知装置が取得した前記ユーザ識別情報、前記検知装置を識別する検知識別情報、及び前記ユーザ識別情報が取得された日時の情報を、収集情報として収集する収集装置と、
前記収集情報を取得する情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記検知識別情報と前記地点の種別との対応情報を記憶する記憶部と、
前記収集情報と前記対応情報とに基づき、前記地点における前記人の行動の種別と、前記地点の種別との組み合わせである行動属性を、前記ユーザ識別情報ごとに付与する行動属性付与部と、
を有する、行動属性分析システム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記行動属性の選択操作を受け付ける入力部と、
複数の前記ユーザ識別情報のうち、前記行動属性が前記入力部の選択操作に一致する前記ユーザ識別情報を抽出する抽出処理部と、
を有する、請求項1に記載の行動属性分析システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
複数の前記行動属性を類似度に基づき複数のクラスタにクラスタリングするクラスタリング部と、
前記クラスタリング部がクラスタリングしたクラスタごとに、前記行動属性が前記クラスタに含まれる前記ユーザ識別情報を抽出する抽出処理部と、
を有する、請求項1に記載の行動属性分析システム。
【請求項4】
前記地点の種別は、
前記人のデモグラフィック属性に対応する種別を含む
請求項1~3の何れか一項に記載の行動属性分析システム。
【請求項5】
前記人の行動の種別は、
前記ユーザ識別情報が1つの前記地点で所定時間以上連続して取得された状態である滞在、
前記ユーザ識別情報が1つの前記地点で所定時間以上連続せずに取得された状態である通過、
一日における、複数の前記地点のうち前記ユーザ識別情報が最初に取得された地点である、最初に通過した地点、
一日における、複数の前記地点のうち前記ユーザ識別情報が最後に取得された地点である、最後に通過した地点、
一日における、前記ユーザ識別情報が最初に取得された時刻から最後に取得された時刻までの時間である全体滞在時間、
所定期間内の前記全体滞在時間の合計である期間内トータル滞在時間、
所定期間内に前記ユーザ識別情報が取得された日数である訪問回数、
前記ユーザ識別情報が最初に取得された時刻が属する時間帯である訪問時間帯、
前記ユーザ識別情報が取得された日の間隔である来訪間隔、
前記ユーザ識別情報が取得された日が所定日の割合であるイベント感応度、
前記ユーザ識別情報が取得された複数の前記地点の間の距離と、複数の前記地点で前記ユーザ識別情報が取得された時刻の時間差とから求まる移動スピード、
及び、
複数の前記地点を2以上のエリアに区分し、異なる前記ユーザ識別情報が取得された数が閾値を超える混雑状態である前記エリアに、前記ユーザ識別情報が所定時間以上連続して取得された場合である混雑許容者、
の少なくとも一つである
請求項1~3の何れか一項に記載の行動属性分析システム。
【請求項6】
前記ユーザ識別情報は、
前記通信機器と前記検知装置との間で送信又は受信するビーコン信号に含まれる情報である
請求項1~3の何れか一項に記載の行動属性分析システム。
【請求項7】
前記収集装置は、
複数の前記検知装置のそれぞれの前記所定範囲を示す位置座標の情報が予め記憶され、
前記通信機器と前記検知装置との間で送信又は受信する電波に基づき前記通信機器の位置座標を求め、
前記通信機器の位置座標が前記所定範囲の位置座標に含まれる前記検知装置を、当該通信機器のユーザ識別情報を取得した前記検知装置とする
請求項1~3の何れか一項に記載の行動属性分析システム。
【請求項8】
複数の地点に設置され、所定範囲内の人を撮影した画像から前記人の特徴量を取得する検知装置と、
前記人の特徴量、前記検知装置を識別する検知識別情報、及び前記検知装置が前記特徴量を取得した日時の情報を収集する収集装置と、
前記収集装置からの情報を取得する情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記人の特徴量に基づき認証を行い、同一人物と判定した前記人の特徴量に同一のユーザ識別情報を付与し、複数の前記ユーザ識別情報、前記検知装置を識別する検知識別情報、及び前記検知装置が前記特徴量を取得した日時の情報を、収集情報として取得する取得部と、
前記検知識別情報と前記地点の種別との対応情報を記憶する記憶部と、
前記収集情報と前記対応情報とに基づき、前記地点における前記人の行動の種別と、前記地点の種別との組み合わせである行動属性を、前記ユーザ識別情報ごとに付与する行動属性付与部と、
を有する、行動属性分析システム。
【請求項9】
複数の地点に設置された検知装置が取得した、所定範囲内の人が携帯する通信機器のユーザ識別情報、前記検知装置を識別する検知識別情報、及び前記検知装置が前記ユーザ識別情報を取得した日時の情報を、収集情報として取得する情報処理装置であって、
前記検知識別情報と前記地点の種別との対応情報を記憶する記憶部と、
前記収集情報と前記対応情報とに基づき、前記地点における前記人の行動の種別と、前記地点の種別との組み合わせである行動属性を、前記ユーザ識別情報ごとに付与する行動属性付与部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項10】
複数の地点に設置された検知装置が取得した、所定範囲内の人の特徴量、前記検知装置を識別する検知識別情報、及び前記検知装置が前記特徴量を取得した日時の情報を取得する情報処理装置であって、
前記人の特徴量に基づき認証を行い、同一人物と判定した前記人の特徴量に同一のユーザ識別情報を付与し、複数の前記ユーザ識別情報、前記検知装置を識別する検知識別情報、及び前記検知装置が前記特徴量を取得した日時の情報を、収集情報として取得する取得部と、
前記検知識別情報と前記地点の種別との対応情報を記憶する記憶部と、
前記収集情報と前記対応情報とに基づき、前記地点における前記人の行動の種別と、前記地点の種別との組み合わせである行動属性を、前記ユーザ識別情報ごとに付与する行動属性付与部と、
を有する、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人流を分析する行動属性分析システム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の移動経路を分析する技術が提案されている。例えば特許文献1には、複数の地点に設置されたセンサからのセンサデータを解析するデータ解析装置が開示されている。このデータ解析装置は、無線ネットワークを介してセンサデータを受信するデータ受信部と、データ受信部によって受信されたセンサデータをもとに2地点間移動量を細切れに集計し、2地点間移動量が大きい経路を辿ることで一連の移動経路を解析するデータ解析部とを備えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-175240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のデータ解析装置によれば、2地点間の移動量や総検知数をはじめ、スポット別の検知数などの解析結果を表示することが可能とされている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、人の行動のパターン別に人流を分析することができない、という問題点があった。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、人の行動のパターン別に人流を分析することができる行動属性分析システム及び情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る行動属性分析システムは、複数の地点に設置され、所定範囲内の人が携帯する通信機器からユーザ識別情報を取得する検知装置と、前記検知装置が取得した前記ユーザ識別情報、前記検知装置を識別する検知識別情報、及び前記ユーザ識別情報が取得された日時の情報を、収集情報として収集する収集装置と、前記収集情報を取得する情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、前記検知識別情報と前記地点の種別との対応情報を記憶する記憶部と、前記収集情報と前記対応情報とに基づき、前記地点における前記人の行動の種別と、前記地点の種別との組み合わせである行動属性を、前記ユーザ識別情報ごとに付与する行動属性付与部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、収集情報と対応情報とに基づき、地点における人の行動の種別と、地点の種別との組み合わせである行動属性を、ユーザ識別情報ごとに付与することにより、人の行動のパターン別に人流を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る行動属性分析システムの概略構成図である。
図2】実施の形態1に係る行動属性分析システムの検知装置の設置例を示す概略配置図である。
図3】実施の形態1に係る行動属性分析システムの情報処理装置の制御ブロック図である。
図4】実施の形態1に係る行動属性分析システムの対応情報のデータ構造を示す図である。
図5】実施の形態1に係る行動属性分析システムの収集情報のデータ構造を示す図である。
図6】実施の形態1に係る行動属性分析システムの行動の種別の付与例を示す図である。
図7】実施の形態1に係る行動属性分析システムの行動属性の付与例を示す図である。
図8】実施の形態1に係る行動属性分析システムの入力画面を示す図である。
図9】実施の形態1に係る行動属性分析システムの入力画面を示す図である。
図10】実施の形態1に係る行動属性分析システムの出力画面を示す図である。
図11】実施の形態3に係る行動属性分析システムの情報処理装置の制御ブロック図である。
図12】実施の形態3に係る行動属性分析システムの出力画面を示す図である。
図13】実施の形態4に係る行動属性分析システムの位置測位の説明図である。
図14】実施の形態5に係る行動属性分析システムの概略構成図である。
図15】実施の形態5に係る行動属性分析システムの顔認証の説明図である。
図16】実施の形態5に係る行動属性分析システム1のユーザ識別情報付与の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
本実施の形態1の行動属性分析システム1は、例えば商業施設又は空港など特定の領域内の人流を分析するものである。なお、行動属性分析システム1が人流を分析する領域は、屋内又は屋外を問わず任意の領域に適用できる。例えば、商店街又はテーマパークなど屋外の領域に適用してもよい。
【0010】
(システム構成)
図1は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の概略構成図である。図1に示すように、行動属性分析システム1は、複数の検知装置10と、収集装置20と、情報処理装置100とを備える。
【0011】
検知装置10は、人流を分析する対象となる領域内の地点に複数設置され、所定範囲内に位置する人Pが携帯する通信機器2と通信を行う。通信機器2は、例えば、スマートフォンを含む携帯電話機、タブレット端末、時計型情報端末、ノートPC(Personal Computer)等の情報処理端末である。
【0012】
検知装置10は、通信機器2との間の通信信号に含まれるユーザ識別情報を取得する。検知装置10と通信機器2との間の通信は、例えばビーコン信号であり、ユーザ識別情報は、ビーコン信号に含まれる情報である。具体的には、検知装置10は、例えば、Wi-Fiパケットセンサ、Wi-Fiアクセスポイント又はWi-Fi通信可能なPCにより構成される。検知装置10は、通信機器2から送信されたProbe Requestパケットを受信し、Probe Requestパケットに含まれるMACアドレス(Media Access Control address)又はSSID(Service Set Identifier)など、通信機器2を識別する固有の情報をユーザ識別情報として取得する。なお、Wi-Fiは登録商標である。
【0013】
収集装置20は、PC又はサーバにより構成され、複数の検知装置10とネットワークを介して有線又は無線により通信可能に接続される。収集装置20は、検知装置10が取得したユーザ識別情報と、当該検知装置10を識別する検知識別情報と、ユーザ識別情報が取得された日時の情報とを、収集情報として収集する。また、収集装置20は、情報処理装置100とネットワークを介して有線又は無線により通信可能に接続され、収集情報を定期的に又は都度、情報処理装置100へ送信する。
【0014】
情報処理装置100は、PC又はサーバにより構成され、人流の分析を行うものである。詳細は後述する。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の検知装置10の設置例を示す概略配置図である。本実施の形態1においては、複数の小売店や飲食店、娯楽施設などを有する複合型の商業施設の屋内の人流の分析に、行動属性分析システム1を適用した場合を例に説明する。
【0016】
図2に示すように、検知装置10は、商業施設内の複数の地点に設置される。検知装置10は、設置された地点から所定範囲内に位置する通信機器2と通信が可能である。図2において、検知装置10が通信機器2と通信可能な所定範囲を点線円で示す。この所定範囲は、例えば、各小売店や飲食店の店舗面積の範囲が含まれる。また、所定範囲は、例えば、商業施設の出入口、男子トイレ、女子トイレ、ベビールーム、キッズスペース、エスカレータ、及びエレベーターなどの施設の範囲が含まれる。
【0017】
このように検知装置10は、商業施設内において用途及び利用目的が異なる複数の地点に設置される。以下、検知装置10が設置された地点の用途及び利用目的の種類若しくは区分を、「地点の種別」と称する。ここで、検知装置10が設置される地点の種別には、人Pのデモグラフィック属性に対応する種別が含まれる。デモグラフィック属性とは、例えば、人の性別、年代、職業、家族構成等の人口統計学的属性に基づいた属性である。例えば、性別が男性に対応する地点の種別は、男子トイレである。また例えば、年代が子供に対応する地点の種別は、学習塾である。また例えば、職業が商業施設の従業員に対応する地点の種別は、従業員出入口である。また例えば、家族構成が子供有り家庭に対応する地点の種別は、キッズスペースである。
【0018】
図3は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の情報処理装置100の制御ブロック図である。図3に示すように、情報処理装置100は、取得部110、行動属性付与部120、記憶部130、抽出処理部140、入力部150、及び出力部160を有する。取得部110、行動属性付与部120及び抽出処理部140は、CPUがプログラムを実行することにより実現される機能部である。入力部150は、入力デバイスとのインターフェースであり、後述する行動属性の選択操作を受け付ける。出力部160は、出力デバイスとのインターフェースであり、後述するユーザ識別情報の抽出結果を出力デバイスへ出力する。
【0019】
記憶部130は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDDなどの不揮発性のメモリからなる。記憶部130は、検知識別情報と地点の種別との対応情報を記憶する。この対応情報について図4を用いて説明する。
【0020】
図4は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の対応情報のデータ構造を示す図である。図4に示すように、対応情報は、検知識別情報(Sensor ID)、及び地点の種別を有する。検知識別情報は、検知装置10を識別する情報である。地点の種別は、検知装置10が設置された地点の用途及び利用目的の種類若しくは区分の名称である。なお、地点の種別は、地点の用途及び利用目的を示す一般名称でも良いし、固有の店舗名称又は施設名称でも良い。
【0021】
(動作)
情報処理装置100の動作を説明する。
取得部110は、定期的又は随時、収集装置20から収集情報を取得し、取得した収集情報を記憶部130に記憶させる。なお、取得部110は、収集装置20から取得した情報に対して、重複データの削除などのデータクレンジングを行ってもよい。記憶部130には、取得部110が収集情報を取得する度に収集情報が蓄積される。この収集情報について図5を用いて説明する。
【0022】
図5は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の収集情報のデータ構造を示す図である。図5に示すように、収集情報は、ユーザ識別情報(User ID)、検知識別情報(Sensor ID)、及び日時の情報(Date Time)を有する。ユーザ識別情報は、検知装置10が通信機器2から取得した情報である。検知識別情報は、当該ユーザ識別情報を取得した検知装置10を識別する情報である。日時の情報は、検知装置10が当該ユーザ識別情報を取得した日時の情報である。なお、以下の説明においては、検知識別情報が「S01」である検知装置10の地点を「地点1」と称し、検知識別情報が「S02」である検知装置10の地点を「地点2」などと称する場合がある。
【0023】
行動属性付与部120は、収集情報に基づき、ユーザ識別情報ごとに、検知装置10が設置された地点における人の行動の種別を付与する。ここで、人の行動の種別とは、人の特徴的な行動パターンの種類又は区分であり、例えば以下である。
【0024】
[滞在]
行動の種別が滞在とは、人Pがある地点(場所)に所定時間以上留まっている状態をいう。行動属性付与部120は、ユーザ識別情報が1つの地点で所定時間以上連続して取得された場合、行動の種別として「滞在」を付与する。例えば、所定時間は5分である。行動の種別が「滞在」である場合、人Pがその地点の店舗又は施設を利用した者であることが区別できる。
【0025】
[通過]
行動の種別が通過とは、人Pがある地点(場所)に所定時間以上留まっていない状態をいう。行動属性付与部120は、ユーザ識別情報が1つの地点で所定時間以上連続せずに取得された場合、行動の種別として「通過」を付与する。例えば、所定時間は5分である。行動の種別が「通過」である場合、人Pがその地点の出入口や通路を通過した者、又はエレベーター若しくはエスカレータなどの移動手段を利用した者であることが区別できる。
【0026】
[最初に通過した場所]
行動の種別が最初に通過した場所とは、特定の一日において、人Pが最初に通過した地点(場所)をいう。行動属性付与部120は、一日における、複数の地点のうちユーザ識別情報が最初に取得された地点を、行動の種別として「最初に通過した場所」とする。行動の種別が「最初に通過した場所」である場合、特定の日に、人Pが施設に入場した出入口等を区別できる。
【0027】
[最後に通過した場所]
行動の種別が最後に通過した場所とは、特定の一日において、人Pが最後に通過した地点(場所)をいう。行動属性付与部120は、一日における、複数の地点のうちユーザ識別情報が最後に取得された地点を、行動の種別として「最後に通過した場所」とする。行動の種別が「最後に通過した場所」である場合、特定の日に、人Pが施設から退場した出入口等を区別できる。
【0028】
[全体滞在時間]
行動の種別が全体滞在時間とは、特定の一日において、人Pが施設に最初に入場した時刻から最後に退場した時刻までの時間をいう。行動属性付与部120は、一日における、ユーザ識別情報が最初に取得された時刻から最後に取得された時刻までの時間を求め、その時間を、行動の種別としての「全体滞在時間」とする。この全体滞在時間によって、特定の日に、人Pが長時間滞在者であるか短時間滞在者であるかを区別できる。
【0029】
[訪問回数]
行動の種別が訪問回数とは、特定の期間又は特定の日から過去の所定期間において、人Pが施設に入場した日の日数をいう。行動属性付与部120は、所定期間内にユーザ識別情報が取得された日数を抽出し、行動属性としての「訪問回数」とする。この訪問回数によって、人Pが施設に初めて来訪した者(一見客)であるか、来訪回数が多い者(常連客)であるかを区別できる。
【0030】
行動属性付与部120は、ユーザ識別情報ごとに、上述した複数の「行動の種別」のうち、少なくとも一つを付与する。具体例を図6に示す。
【0031】
図6は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の行動の種別の付与例を示す図である。なお、図6に示す例は、行動の種別の一部を記載したものである。また、図6に示す例は、他の図で例示した情報と整合するものではない。
【0032】
図6に示す例では、行動の種別として「滞在」及び「通過」を付与した場合を示している。行動属性付与部120は、収集情報を基に、ユーザ識別情報と検知識別情報との組み合わせごとに、ユーザ識別情報が連続して取得された時間を滞在時間として算出する。
【0033】
行動属性付与部120は、算出した滞在時間が、所定時間以上であるか否かを判定し、所定時間以上であれば、行動の種別として「滞在」を付与し、所定時間未満であれば「通過」を付与する。図6に示す例では、User IDが「jSIK」の通信機器2を携帯する人Pが、Sensor IDが「S01」「S02」「S01」「S02」・・・[S04]の順、即ち、地点1→地点2→地点1→地点2・・・地点4の順で移動し、それぞれの地点での行動の種別が、「滞在」又は「通過」のいずれかが付与される。
【0034】
次に、行動属性付与部120は、収集情報と対応情報とに基づき、検知装置10が設置された地点における人の行動の種別と、地点の種別との組み合わせである行動属性を、ユーザ識別情報ごとに付与する。具体的には、行動属性付与部120は、収集情報に含まれるユーザ識別情報ごとに、検知識別情報に対応する「地点の種別」と、上述した複数の「行動の種別」のうち少なくとも一つを付与する。具体例を図7に示す。
【0035】
図7は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の行動属性の付与例を示す図である。なお、図7に示す例は、行動属性の一部を記載したものである。また、図7に示す例は、他の図で例示した情報と整合するものではない。
【0036】
図7に示す例では、User IDごとに、各地点の行動の種別が「通過」と「滞在」に該当する場合は「TRUE」が付与される。また、User IDごとに、行動の種別が「最初に通過した場所」と「最後に通過した場所」に該当する地点の番号(検知識別情報)が付与される。また、User IDごとに、行動の種別が「全体滞在時間」の算出値と、「訪問回数」の算出値とが付与される。具体例として、図7の1行目のレコードを参照すると、User IDが「HhpD」の通信機器2を携帯する人Pが、北出入口を最初に通過して施設に入場し、カフェ、100円ショップ、及びキッズスペースに滞在したあと、南出入口を最後に通過して施設から退場した者であって、かつ、検知日2022-10-1の全体滞在時間が125分であり、これまでの訪問回数が7回の者である、との行動属性が付与されている。
【0037】
次に、抽出処理部140は、入力部150からの行動属性の選択操作を受け付けると、複数のユーザ識別情報のうち、行動属性が入力部150の選択操作に一致するユーザ識別情報を抽出する。具体例を図8図10を用いて説明する。
【0038】
図8及び図9は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の入力画面200を示す図である。図10は、実施の形態1に係る行動属性分析システム1の出力画面300を示す図である。なお、図8図10に示す例は、各種情報の一部を記載したものである。また、他の図で例示した情報と整合するものではない。
【0039】
図8に示すように、入力画面200は、人流の分析対象とする特定の日若しくは期間、又は曜日を入力する日付入力部201と、行動の種別を入力する行動種別入力部202とを有する。日付入力部201から入力される選択操作は、上述した行動の種別における特定の日又は所定期間に相当する。また、行動種別入力部202から入力される選択操作は、上述した行動の種別に相当する。
【0040】
図9は、入力画面200の行動種別入力部202のうち、「滞在した場所」及び「訪問回数」を選択した状態を示している。例えば、行動種別入力部202の「滞在した場所」を選択すると、対応情報の地点の種別を選択する地点入力部203が選択候補として表示される。また例えば、行動種別入力部202の「訪問回数」を選択すると、当該訪問回数の回数別の選択候補が表示される。
【0041】
行動属性分析システム1の利用者は、入力画面200に表示された選択項目から、抽出を所望する行動属性の条件を選択する操作を行う。例えば、ある期間にラーメン店を利用した男性の常連客を抽出したい場合、日付入力部201に該当する期間を入力し、図9に示すように「地点入力部203」の「ラーメン」及び「男子トイレ」、並びに「行動種別入力部202」の訪問回数「10回以上」を選択する。
【0042】
抽出処理部140は、複数のユーザ識別情報のうち、行動属性が入力部150の選択操作に一致するユーザ識別情報を抽出し、その抽出結果を、出力部160を介して出力デバイスへ出力する。出力デバイスは、例えば出力画面への表示、又は他の情報処理機器へのデータ出力など任意である。
【0043】
図10に示すように、例えばモニタなど出力デバイスの出力画面300に、抽出結果が表示される。出力画面300には、行動属性の選択操作の結果を表示する行動属性表示301と、抽出結果表示302とを有する。抽出結果表示302は、例えば、所定期間の各日付について、抽出処理部140が抽出したユーザ識別情報の数を棒グラフで表示する。なお、表示方式はこれに限らず、表示項目に応じて適宜設定することができる。表示方式としては、棒グラフの他、例えば、円グラフ、ヒートマップ、OD表(Origin-Destination Table)、及び情報一覧などがある。また、抽出処理部140が抽出したユーザ識別情報の数の絶対数に限らず、全ユーザに対する割合、または特定の日と比較した増減率などでも良い。
【0044】
(効果)
以上のように本実施の形態1においては、行動属性付与部120は、収集情報と対応情報とに基づき、行動属性をユーザ識別情報ごとに付与する。このため、人の行動パターンに起因する行動属性によって人流を分析することができる。
【0045】
また、対応情報の地点の種別は、人のデモグラフィック属性に対応する種別を含む。このため、通信機器2から取得した情報に、人Pのデモグラフィック属性に関する情報が無い場合であっても、人Pのデモグラフィック属性を推定することができる。即ち、検知装置10と通信機器2との間の通信がビーコン信号である場合であっても、人Pのデモグラフィック属性を推定することができる。
【0046】
また、行動属性付与部120は、収集情報に基づき、ユーザ識別情報ごとに、検知装置10が設置された地点における人の行動の種別を付与する。このため、人Pの個人の嗜好及び特徴的な行動パターンを区別することができる。
【0047】
また、抽出処理部140は、複数のユーザ識別情報のうち、行動属性が入力部150の選択操作に一致するユーザ識別情報を抽出する。このため、行動属性分析システム1の利用者が所望する行動属性について人流の分析を行うことができる。
【0048】
(変形例)
上記の説明では、検知装置10は、通信機器2が送信するビーコン信号を受信してユーザ識別情報を取得する構成を説明したが、本実施の形態1はこれに限定されない。複数の検知装置10のそれぞれは、検知識別情報を含むビーコン信号を送信する構成でも良い。この場合、通信機器2は、所定範囲内の検知装置10からのビーコン信号を受信し、検知識別情報を取得する。そして、通信機器2は、検知識別情報と当該通信機器2のユーザ識別情報と、ビーコン信号を受信した日時の情報を、収集装置20へ送信する。
【0049】
また、通信機器2と検知装置10との間の通信方式は、任意の通信方式を適用することができる。例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)通信を活用し、通信機器2と検知装置10との間でビーコン信号を送受信してもよい。なお、Bluetoothは登録商標である。
【0050】
実施の形態2.
本実施の形態2においては、「行動の種別」を更に追加した形態を説明する。以下、実施の形態1との相違点を中心に本実施の形態2を説明する。
【0051】
本実施の形態2の行動属性付与部120は、実施の形態1の「行動の種別」及び以下の「行動の種別」のうち、少なくとも一つを付与する。
【0052】
[訪問時間帯]
行動の種別が訪問時間帯とは、特定の一日において、人Pが施設に最初に入場した時刻が属する時間帯をいう。行動属性付与部120は、一日における、ユーザ識別情報が最初に取得された時刻が属する時間帯を、行動の種別として「訪問時間帯」とする。この訪問時間帯によって、時間帯別の人Pの行動パターンを区別できる。なお、時間帯としては、午前中、昼間、午後などの区分でも良いし、9時~12時、12時~16時など、具体的な時刻で区分してもよい。
【0053】
[移動経路]
行動の種別が行動経路とは、人Pが複数の地点(場所)を移動した順序をいう。行動属性付与部120は、同一のユーザ識別情報が取得された複数の地点の順序を、行動の種別としての「移動経路」とする。この移動経路によって、人Pが施設内の各地点をどのような順序で移動したのかを抽出できる。また、例えば、施設内に設けられた特定の利用者の専用通路を利用した者と、それ以外の者とを区別することができる。
【0054】
[来訪間隔]
行動の種別が来訪間隔とは、人Pが施設に来訪した日の間隔をいう。行動属性付与部120は、ユーザ識別情報が取得された日の間隔を、行動の種別としての「来訪間隔」とする。例えば、所定期間において、特定の周期で来訪しているか否かを判定することで、特定の目的で特定の周期に来訪している者であるか否かを区別することができる。例えば施設内で定期的に開催されるイベントや習い事の利用者を区別することができる。
【0055】
[イベント感応度]
行動の種別がイベント感応度とは、施設で開催されるイベントや割引施策を実施した特定の日に、人Pが来訪する割合をいう。行動属性付与部120は、ユーザ識別情報が取得された日が所定日の割合を、行動の種別としての「イベント感応度」とする。例えば、イベント実施日又は割引実施日に絞った来訪率を集計することができる。
【0056】
[移動量]
行動の種別が移動量とは、複数の地点(場所)を2以上のエリアに区分し、特定の一日において、人Pが複数のエリア間を移動した数量をいう。行動属性付与部120は、複数の地点を2以上のエリアに区分し、同一のユーザ識別情報が取得された複数の地点が属するエリアの数量を集計し、その数量を行動の種別としての「移動量」とする。例えば、人Pが移動量の多い者であるか否かを区別することができる。
【0057】
[移動スピード]
行動の種別が移動スピードとは、人Pが複数の地点(場所)間を移動した速度をいう。行動属性付与部120は、ユーザ識別情報が取得された複数の地点の間の距離と、複数の地点で同一のユーザ識別情報が取得された時刻の時間差とから移動スピードを求め、これを行動の種別としての「移動スピード」とする。例えば、移動スピードが所定速度以上であるか否かによって、地点間を素通りした者とゆっくり通った者との区別をすることができる。
【0058】
[混雑許容者]
行動の種別が混雑許容者とは、人Pが混雑したエリア(場所)でもそのエリアの施設を利用する者であるか否かの区分をいう。行動属性付与部120は、複数の地点を2以上のエリアに区分し、異なるユーザ識別情報が取得された数が閾値を超える混雑状態であるエリアに、ユーザ識別情報が所定時間以上連続して取得された場合、そのユーザ識別情報に、行動の種別としての「混雑許容者」を付与する。
【0059】
[期間内トータル滞在時間]
行動の種別が期間内トータル滞在時間とは、所定期間において、人Pが施設に滞在した滞在時間の合計時間をいう。行動属性付与部120は、上述した全体滞在時間を所定期間において合計した時間を、行動の種別として「期間内トータル滞在時間」とする。
【0060】
(効果)
以上のように本実施の形態2においては、上記実施の形態1の行動の種別に加えて、上述した行動の種別を更に加える。このため、人Pの個人の嗜好及び特徴的な行動パターンを更に区別することができる。
【0061】
実施の形態3.
本実施の形態3においては、複数の行動属性を類似度に基づき複数のクラスタにクラスタリングする動作について説明する。以下、上記実施の形態1及び2との相違点を中心に本実施の形態3を説明する。
【0062】
図11は、実施の形態3に係る行動属性分析システム1の情報処理装置100の制御ブロック図である。図11に示すように、情報処理装置100は、クラスタリング部170を有する。クラスタリング部170は、CPUがプログラムを実行することにより実現される機能部である。なお、情報処理装置100は、入力部150を省略してもよい。
【0063】
(動作)
情報処理装置100の動作を説明する。
上記実施の形態1又は2と同様の動作により、行動属性付与部120は、収集情報と対応情報とに基づき、行動の種別と地点の種別との組み合わせである行動属性を、ユーザ識別情報ごとに付与する。
【0064】
次に、クラスタリング部170は、行動属性付与部120が付与した複数の行動属性を、類似度に基づき複数のクラスタにクラスタリングする。具体的には、クラスタリング部170は、各ユーザ識別情報における行動の種別及び地点の種別のそれぞれをパラメータとした多次元の空間に行動属性をマッピングし、マッピングされた各行動属性を、例えばk平均(k-means)法を用いて距離の近さに応じてクラスタリングする。なお、クラスタリングの手法は、k平均法などの非階層型クラスタリングに限らず、最短距離法などの階層型クラスタリングなど、任意の手法を用いることができる。
【0065】
抽出処理部140は、クラスタリング部170がクラスタリングしたクラスタごとに、行動属性がクラスタに含まれるユーザ識別情報を抽出する。また、抽出処理部140は、その抽出結果を、出力部160を介して出力デバイスへ出力する。具体例を、図12を用いて説明する。
【0066】
図12は、実施の形態3に係る行動属性分析システム1の出力画面400を示す図である。図12に示すように、出力画面400には、各クラスタが円で示される。円の大きさは、行動属性が当該クラスタに含まれるユーザ識別情報の絶対数又は全体ユーザ数に対する割合に応じて表示される。また、円の内部には、クラスタリングされた行動属性の行動の種別及び地点の種別が記載される。例えば、あるクラスタの行動属性が、滞在した場所が「キッズスペース」、滞在時間が「1~2時間」、来訪日が「平日」、訪問時間帯が「昼間」、訪問回数が「10回以上」である場合、これらの情報が円の内部に表示され、このクラスタに属するユーザ識別情報の数の全体ユーザに対する割合が、円の下に表示される。
【0067】
なお、例えば図12に示すように、滞在時間の「1~2時間」を「長時間」と表示し、訪問回数の「10回以上」を「常連」と表示するなど、行動の種別の表示を他の用語又は名称に変換して表示してもよい。また、例えば、複数の行動の種別を、一つの用語又は名称として纏めて表示しても良い。例えば、滞在時間の「30分~1時間」及び「1~2時間」を纏めて「長時間」と表示してもよい。
【0068】
(効果)
以上のように本実施の形態3においては、クラスタリング部170は、複数の行動属性を類似度に基づき複数のクラスタにクラスタリングし、抽出処理部140は、クラスタごとに、行動属性がクラスタに含まれるユーザ識別情報を抽出する。このため、行動属性分析システム1の利用者が把握していない特徴的な行動属性を利用者が知ることができる。
【0069】
また、各クラスタに分類された行動属性は、典型的な行動パターンの人物像を示すペルソナとして把握することが可能となる。即ち、行動属性分析システム1の利用者は、分析対象の施設の来訪者が、どのような行動を行う人物であるのかを端的に把握することができる。
【0070】
実施の形態4.
本実施の形態4においては、通信機器2の位置座標を求めることで、人Pが存在する地点を把握する動作について説明する。以下、上記実施の形態1~3との相違点を中心に本実施の形態4を説明する。
【0071】
本実施の形態4の収集装置20は、通信機器2と検知装置10との間で送信又は受信する電波に基づき通信機器2の位置座標を求める。具体的には、収集装置20は、UWB(Ultra Wide Band)を用いた位置測位を行う。
【0072】
UWBを使用した位置測位は、通信機器2が送信機、検知装置10が受信機となり、送信機から所定パターンの測位信号を発信する。位置測位においては、受信機に対する送信機の距離、または受信機に対する送信機の角度(方向)を使って送信機の位置を計算する。距離の測定方法としては、受信機が受信した測位信号の受信強度を用いる方法、送信機からの測位信号が送信機から受信機に届く時間を用いる方法、または、一つの送信機から送信された測位信号を複数の受信機で受信しその時間差を用いる方法がある。また、角度の測定方法としては、受信機のアンテナアレイを構成する各アンテナの指向性を用いて送信機が位置する角度を算出する方法などがある。
【0073】
図13は、実施の形態4に係る行動属性分析システム1の位置測位の説明図である。図13においては、受信機として機能する3つの検知装置10-1~10-3と、送信機として機能する通信機器2との位置を模式的に示している。
【0074】
測位対象である通信機器2は、測位信号を送信する。検知装置10-1~10-3は、それぞれ測位信号を受信し、その電波強度を取得する。収集装置20は、各検知装置10が取得した電波強度を収集する。収集装置20には、複数の検知装置10のそれぞれの位置座標の情報が予め記憶される。そして、収集装置20は、各検知装置10が取得した電波強度から、各検知装置10と通信機器2との間の距離(R1~R3)を算出する。これにより、収集装置20は、通信機器2の位置座標を算出することができる。
【0075】
次に、収集装置20は、通信機器2の位置座標が所定範囲の位置座標に含まれる検知装置10を、当該通信機器2のユーザ識別情報を取得した検知装置10とする。例えば、収集装置20には、複数の検知装置10のそれぞれの所定範囲を示す位置座標の情報が予め記憶され、この位置座標の情報と通信機器2の位置座標とを対比することで、通信機器2がどの地点(場所)に存在しているのかを判定できる。以降の動作は、上記実施の形態1~3のいずれかと同様である。
【0076】
なお、通信機器2の位置座標を求める位置測位の手法は、UWB測位に限定されない。例えば、BLE-AOA(Bluetooth Low Energy Angle of Arrival)を用いた測位など、任意の測位手法を用いても良い。
【0077】
(効果)
以上のように本実施の形態4においては、通信機器2と検知装置10との間で送信又は受信する電波に基づき通信機器2の位置座標を求める。このため、通信機器2が存在する地点を精度良く検知することができる。
【0078】
実施の形態5.
本実施の形態5においては、人Pを撮影した画像から人Pの顔の特徴量を取得し、ユーザ識別情報を付与する動作について説明する。以下、上記実施の形態1~4との相違点を中心に本実施の形態5を説明する。
【0079】
図14は、実施の形態5に係る行動属性分析システム1の概略構成図である。図14に示すように、実施の形態5に係る行動属性分析システム1は、複数の検知装置11を備えている。
【0080】
検知装置11は、人流を分析する対象となる領域内の地点に複数設置される。検知装置11は、カメラで構成され、所定範囲内の人を撮影した画像から人Pの顔の特徴量を取得する。具体的には、検知装置11は、顔の画像から多次元のベクトル(例えば128次元程度のベクトル)を抽出し、これを人Pの顔の特徴量とする。そして、検知装置11は、顔の特徴量の情報と、当該検知装置11の検知識別情報と、顔の特徴量を取得した日時の情報とを、収集装置20へ送信する。
【0081】
収集装置20は、複数の検知装置11から、顔の特徴量、検知装置10を識別する検知識別情報、及び検知装置10が特徴量を取得した日時の情報を収集し、収集した情報を情報処理装置100へ送信する。
【0082】
情報処理装置100の取得部110は、顔の特徴量に基づき顔認証を行い、同一人物と判定した顔の特徴量に同一のユーザ識別情報を付与する。具体例を図15及び図16を用いて説明する。
【0083】
図15は、実施の形態5に係る行動属性分析システム1の顔認証の説明図である。図15においては、検知装置11-A~11-Cが人X、Y、Zの顔を撮影した場合を模式的に示している。なお、図15において楕円点線は、各検知装置11が撮影する所定範囲を示す。
【0084】
図15に示すように、人Xは、施設内を移動することにより、検知装置11-Aと検知装置11-Bに撮影され、それぞれの検知装置11によって、顔の特徴量(Fx-A、Fx-B)が算出される。同様に、人Y及び人Zも、施設内を移動することで、複数の検知装置11によって顔の特徴量が算出される。なお、各検知装置11が撮影した顔の画像は、顔の表情または角度等によって異なるため、顔の特徴量は同一人物であっても完全には一致しない。
【0085】
図16は、実施の形態5に係る行動属性分析システム1のユーザ識別情報付与の説明図である。取得部110は、収集した顔の特徴量を多次元空間にマッピングし、例えばk平均法などの手法を用いてクラスタリングし、各クラスタの特徴量が同一人物の顔の特徴量であると判定する。そして取得部110は、同一人物と判定した顔の特徴量に同一のユーザ識別情報(例えば、U-ID01~U-ID04など)を付与する。
【0086】
次に、取得部110は、複数のユーザ識別情報、検知装置10を識別する検知識別情報、及び検知装置10が特徴量を取得した日時の情報を、収集情報として記憶部130に記憶させる。以降の動作は、上記実施の形態1~4のいずれかと同様である。
【0087】
なお、顔認証の手法は上記に限らず、任意の手法を用いることができる。例えば、各特徴量の差分が所定値以下である場合には同一人物と判定してもよい。
【0088】
(効果)
以上のように本実施の形態5においては、顔の特徴量に基づき顔認証を行い、同一人物と判定した顔の特徴量に同一のユーザ識別情報を付与する。このため、人Pが通信機器2を携帯していない場合であっても、人Pの行動属性を付与することができる。
【0089】
(変形例)
上記の説明では、人Pの顔の特徴量に基づき顔認証を行う動作を説明したが、本実施の形態5はこれに限定されない。人Pの特徴量は、例えば人Pの全身の姿又は服装等、人Pの全身又は任意の部分の特徴量でも良い。この場合、検知装置11は、人を撮影した画像から人Pの全身又は任意の部分の特徴量を取得する。そして、検知装置11は、人の特徴量の情報と、当該検知装置11の検知識別情報と、人の特徴量を取得した日時の情報とを、収集装置20へ送信する。収集装置20は、複数の検知装置11から、人の特徴量、検知装置10を識別する検知識別情報、及び検知装置10が特徴量を取得した日時の情報を収集し、収集した情報を情報処理装置100へ送信する。情報処理装置100の取得部110は、人の特徴量に基づき認証を行い、同一人物と判定した人の特徴量に同一のユーザ識別情報を付与する。
【符号の説明】
【0090】
1 行動属性分析システム、2 通信機器、10 検知装置、11 検知装置、20 収集装置、100 情報処理装置、110 取得部、120 行動属性付与部、130 記憶部、140 抽出処理部、150 入力部、160 出力部、170 クラスタリング部、200 入力画面、201 日付入力部、202 行動種別入力部、203 地点入力部、300 出力画面、301 行動属性表示、302 抽出結果表示、400 出力画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16