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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117909
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】グリッパ
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
B25J15/08 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023995
(22)【出願日】2023-02-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2022年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 内閣府戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤/サブテーマIII「Society5.0実現のための社会実装技術/CPS構築のためのセンサリッチ柔軟エンドエフェクタシステム開発と実用化」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】川村 貞夫
(72)【発明者】
【氏名】王 忠奎
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707ES03
3C707ES10
3C707EV12
3C707EV23
(57)【要約】
【課題】高速ハンドリングの要求に十分に応えることが可能なグリッパを提供する。
【解決手段】左傾斜部21A,右傾斜部21Bを用いてワークWを掬い上げて、当該ワークWを所定の場所に移載させる際、当該ワークWが左傾斜部21A,右傾斜部21B上を移動できるようになっていると共に、当該ワークWが左柔軟指2A,右柔軟指2Bから離れて放り出されないように、左柔軟指2A,右柔軟指2Bと閉鎖部3とによって閉鎖空間S1が形成されている。さらには、閉鎖部3は、中央基台4Cの下面4CbとワークWとの間に存する空間を、閉鎖部3がない場合に比べて減らせられるように、閉鎖部3の基端部が、中央基台4Cの下面4Cbに取り付け固定されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基台の下面に基端部が取り付け固定されている少なくとも一対の柔軟指と、
前記第1基台と同一又は異なる第2基台の下面に基端部が取り付け固定されている閉鎖部と、を有し、
前記柔軟指は、
柔軟指本体と、
前記柔軟指本体の先端部に、内向き方向に傾斜するように設けられている傾斜部と、で構成され、
前記傾斜部を用いて所定のワークを掬い上げて、当該ワークを所定の場所に移載させる際、当該ワークが前記傾斜部上を移動できるようになっていると共に、当該ワークが前記少なくとも一対の柔軟指から離れて放り出されないように、前記少なくとも一対の柔軟指と前記閉鎖部とによって閉鎖空間が形成されてなり、さらには、
前記閉鎖部は、前記第2基台の下面と前記ワークとの間に存する空間を、前記閉鎖部がない場合に比べて減らせられるように、前記閉鎖部の基端部が、前記第2基台の下面に取り付け固定されてなるグリッパ。
【請求項2】
前記傾斜部の長手方向の幅は、前記柔軟指本体の長手方向の幅よりも幅広に形成されてなる請求項1に記載のグリッパ。
【請求項3】
前記柔軟指本体の基端部は、前記第1基台の下面に取り付け固定され、
前記柔軟指本体は、屈曲可能な蛇腹状の屈曲部を複数有し、
前記複数の屈曲部のうち、前記柔軟指本体の基端部側に位置する屈曲部と、その屈曲部の下部に位置する屈曲部との間の厚みは、他の屈曲部との間の厚みに比べて厚くしてなる請求項1又は2に記載のグリッパ。
【請求項4】
前記傾斜部は、内部に空洞が形成されてなる請求項1又は2に記載のグリッパ。
【請求項5】
前記閉鎖部は、所定の圧力が印加されることによって、鉛直上下方向に伸び縮みしてなる請求項1又は2に記載のグリッパ。
【請求項6】
前記閉鎖部は、
前記第2基台の下面と前記ワークの上部との間の空間に位置する天部と、
前記天部の側面から下方向に延びるように設けられている側部と、で構成されてなる請求項1又は2に記載のグリッパ。
【請求項7】
前記天部の下面には、凹部が設けられてなる請求項6に記載のグリッパ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッパに関する。
【背景技術】
【0002】
少子高齢化が顕著化している日本では労働力不足の問題がますます深刻化している。そんな中、食産業や農林水産業における様々な作業は、まだ人手に頼っていることが多く、自動化が切望されている。
【0003】
食産業と農林水産業の自動化が進まない理由の一つは、多種多様な対象物を扱えるグリッパが少ないことが要因である。特に食産業では、様々な食品は形状や物理特性のばらつきが大きく、柔らかくて脆弱のものや薄くて滑り易いものが多数存在する。また、一般的に、食産業の工程では、高速のハンドリングが要求される。
【0004】
そこで、このような要求に答えるべく、非特許文献1に記載のようなグリッパが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】"mGrip"、[online]、SOFT ROBOTICS社、[2023年1月26日検索]、インターネット(https://ca01.smcworld.com/catalog/SMC-HP/mpv/P-22-5-SoftRobotics-mGrip/index.html#target/page_no=1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなグリッパは、把持対象物であるワークを把持する際、摩擦力のみで当該ワークを把持し、さらには、当該ワークを把持した際、当該ワークの上部に大きな空間が存在するという問題があった。すなわち、摩擦力に依存して把持すると、滑りやすいワークの把持が困難となるという問題があった。さらには、ワークの上部に大きな空間が存在すると、高速ハンドリングの際、当該ワークが暴れる可能性があり、これによって、当該ワークの形状等が崩れてしまい不良品となってしまうという問題があった。
【0007】
したがって、上記のようなグリッパは、高速ハンドリングの要求に十分に応えられていないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、高速ハンドリングの要求に十分に応えることが可能なグリッパを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
請求項1に係るグリッパは、第1基台(左基台4A,右基台4B)の下面(左基台4Aの下面4Ac,右基台4Bの下面4Bc)に基端部(20Aa,20Ba)が取り付け固定されている少なくとも一対の柔軟指(左柔軟指2A,右柔軟指2B)と、
前記第1基台と同一又は異なる第2基台(中央基台4C)の下面(4Cb)に基端部(取付部32,天部30Aの上面30Aa)が取り付け固定されている閉鎖部(3,3A)と、を有し、
前記柔軟指(左柔軟指2A,右柔軟指2B)は、
柔軟指本体(左柔軟指本体20A,右柔軟指本体20B)と、
前記柔軟指本体の先端部(20Ac,20Bc)に、内向き方向に傾斜するように設けられている傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)と、で構成され、
前記傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)を用いて所定のワーク(W)を掬い上げて、当該ワーク(W)を所定の場所に移載させる際、当該ワーク(W)が前記傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)上を移動できるようになっていると共に、当該ワーク(W)が前記少なくとも一対の柔軟指(左柔軟指2A,右柔軟指2B)から離れて放り出されないように、前記少なくとも一対の柔軟指(左柔軟指2A,右柔軟指2B)と前記閉鎖部(3,3A)とによって閉鎖空間(S1)が形成されてなり、さらには、
前記閉鎖部(3,3A)は、前記第2基台(中央基台4C)の下面(4Cb)と前記ワーク(W)との間に存する空間を、前記閉鎖部(3)がない場合に比べて減らせられるように、前記閉鎖部(3,3A)の基端部(取付部32,天部30Aの上面30Aa)が、前記第2基台(中央基台4C)の下面(4Cb)に取り付け固定されてなることを特徴としている。
【0011】
請求項2に係るグリッパは、上記請求項1に記載のグリッパ(1)において、
前記傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)の長手方向の幅(H2)は、前記柔軟指本体(左柔軟指本体20A,右柔軟指本体20B)の長手方向の幅(H1)よりも幅広に形成されてなることを特徴としている。
【0012】
請求項3に係るグリッパは、上記請求項1又は2に記載のグリッパ(1)において、
前記柔軟指本体(左柔軟指本体20A,右柔軟指本体20B)の基端部(20Aa,20Ba)は、前記第1基台(左基台4A,右基台4B)の下面(左基台4Aの下面4Ac,右基台4Bの下面4Bc)に取り付け固定され、
前記柔軟指本体(左柔軟指本体20A,右柔軟指本体20B)は、屈曲可能な蛇腹状の屈曲部(左屈曲部20Ab,右屈曲部20Bb)を複数有し、
前記複数の屈曲部のうち、前記柔軟指本体の基端部側に位置する屈曲部と、その屈曲部の下部に位置する屈曲部との間の厚み(d1)は、他の屈曲部との間の厚み(d2)に比べて厚くしてなることを特徴としている。
【0013】
請求項4に係るグリッパは、上記請求項1又は2に記載のグリッパ(1)において、
前記傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)は、内部に空洞(21Aa,21Ba)が形成されてなることを特徴としている。
【0014】
請求項5に係るグリッパは、上記請求項1又は2に記載のグリッパ(1)において、
前記閉鎖部(3)は、所定の圧力が印加されることによって、鉛直上下方向に伸び縮みしてなることを特徴としている。
【0015】
請求項6に係るグリッパは、上記請求項1又は2に記載のグリッパ(1)において、
前記閉鎖部(3,3A)は、
前記第2基台(中央基台4C)の下面(4Cb)と前記ワーク(W)の上部との間の空間に位置する天部(30,30A)と、
前記天部の側面から下方向に延びるように設けられている側部(31)と、で構成されてなることを特徴としている。
【0016】
請求項7に係るグリッパは、上記請求項6に記載のグリッパ(1)において、
前記天部(30,30A)の下面(30e)には、凹部(30g)が設けられてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
請求項1に係る発明によれば、傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)を用いて所定のワーク(W)を掬い上げて、当該ワーク(W)を所定の場所に移載させる際、当該ワーク(W)が傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)上を移動できるようになっていると共に、当該ワーク(W)が少なくとも一対の柔軟指(左傾斜部21A,右傾斜部21B)から離れて放り出されないように、少なくとも一対の柔軟指(左傾斜部21A,右傾斜部21B)と閉鎖部(3,3A)とによって閉鎖空間(S1)が形成されている。これにより、高速な移載の際、脆弱なワーク(W)が、少なくとも一対の柔軟指(左傾斜部21A,右傾斜部21B)上から離れて外部に放り出されてしまうことが無いようにすることができる。
【0019】
さらに、閉鎖部(3,3A)は、第2基台(中央基台4C)の下面(4Cb)とワーク(W)との間に存する空間を、閉鎖部(3)がない場合に比べて減らせられるように、閉鎖部(3,3A)の基端部(取付部32,天部30Aの上面30Aa)が、第2基台(中央基台4C)の下面(4Cb)に取り付け固定されているから、高速な移載の際、脆弱なワーク(W)が暴れてしまう可能性を低減させることができる。
【0020】
したがって、本発明によれば、高速ハンドリングの要求に十分に応えることが可能となる。
【0021】
請求項2に係る発明によれば、脆弱なワーク(W)を傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)にてしっかりと掬い上げることができる。
【0022】
請求項3に係る発明によれば、少なくとも一対の柔軟指(左傾斜部21A,右傾斜部21B)をスムーズに開閉することができる。
【0023】
請求項4に係る発明によれば、傾斜部(左傾斜部21A,右傾斜部21B)にて脆弱なワーク(W)を掬い上げることができず、脆弱なワーク(W)をしっかりと把持してしまう可能性を低減させることができる。
【0024】
請求項5に係る発明によれば、ワーク(W)に応じて、閉鎖部(3)とワーク(W)との距離を任意変更することが可能となる。
【0025】
請求項6に係る発明によれば、閉鎖部(3)の形状が容易となる。
【0026】
請求項7に係る発明によれば、ワーク(W)の自然形状に合わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るグリッパを固定台に取り付けた状態を示す斜視図である。
図2】同実施形態に係るグリッパを固定台に取り付けた状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
図3】(a)は同実施形態に係る柔軟指の正面図、(b)は同実施形態に係る柔軟指の縦断面図である。
図4】(a)は同実施形態に係る閉鎖部の正面図、(b)は同実施形態に係る閉鎖部の縦断面図である。
図5】(a)は同実施形態に係る一対の柔軟指が開状態となっている状態を示す正面図、(b)は同実施形態に係る一対の柔軟指が閉状態となり、脆弱なワークを掬い上げた状態を示す正面図、(c)は同実施形態に係る一対の柔軟指が閉状態となり、脆弱なワークを掬い上げた状態を示す側面図である。
図6】(a)は同実施形態に係る一対の柔軟指が閉状態となり、脆弱なワークを掬い上げた状態で所定の場所に移載する際、一対の柔軟指が右方向に揺れた状態を示す正面図、(b)は同実施形態に係る一対の柔軟指が閉状態となり、脆弱なワークを掬い上げた状態で所定の場所に移載する際、一対の柔軟指が左方向に揺れた状態を示す正面図である。
図7】他の実施形態に係るグリッパを固定台に取り付けた状態を示し、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態に係るグリッパを、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0029】
<グリッパの概略説明>
図1に示す本実施形態に係るグリッパ1は、図示しないロボットアームに取り付けられる固定台Kに取り付け固定されて使用されるようになっている。より詳しく説明すると、この固定台Kは、図1に示すように矩形状の上部固定台Kaと、この上部固定台Kaの左右方向の幅よりも長い横長矩形状の下部固定台Kbと、上部固定台Kaと下部固定台Kbとを連結する起立状に設けられている複数の棒状の連結部Kcと、で構成されている。そして、このように構成される固定台Kの上部固定台Kaに、図示しないロボットアームが取り付けられ、下部固定台Kbに、図1に示すように、グリッパ1が取り付けられるようになっている。
【0030】
ところで、このようなグリッパ1は、図1に示すように、柔軟指2と、閉鎖部3とで、主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0031】
<柔軟指の説明>
柔軟指2は、図2(a)に示すように、下部固定台Kbの左右両側面にそれぞれ設けられている一対の柔軟指2となっている。より詳しく説明すると、図2(a)に示すように、下部固定台Kbの左側面Kb1側下面kb3には、正面視略矩形状の左基台4Aが取り付け固定されている。この左基台4Aの前後方向には、それぞれ、図1に示すように、図2(a)に示す正面視矩形状の左取付台4Aaが一体的に取り付け固定されている。そして、この左取付台4Aaが、図1に示す、下部固定台Kbの左側面Kb1側の前後方向にそれぞれ設けられているボルト挿通孔Kb4に図示しないボルトが挿通されることによって、下部固定台Kbに取り付け固定されるようになっている。これにより、左基台4Aは、図1及び図2(a)に示すように、下部固定台Kbの左側面Kb1側下面kb3に取り付け固定されることとなる。なお、このボルト挿通孔Kb4は、複数連続して設けられており、左取付台4Aaの取付位置を任意に変更できるようになっている。これにより、左基台4Aの下部固定台Kbの左側面Kb1側下面kb3における取付位置を任意に変更できることとなる。なお、図1に示すように、左基台4Aの略中央部には、円形状の左貫通孔4Adが上面4Ab(図2(a)参照)から下面4Ac(図2(a)参照)に向かって貫通して設けられている。そして、図1に示すように、この左貫通孔4Adが設けられている左基台4Aの上面4Ab部分は、外部に露呈されるように、下部固定台Kbの左側面Kb1側に、左側面Kb1から中央部分よりもやや左側面Kb1側に位置するところまで、コ字状の左貫通孔Kb5が設けられている。
【0032】
かくして、このように構成される左基台4Aには、図1及び図2(a)に示すように、左柔軟指2Aが取り付け固定されている。この左柔軟指2Aは、図5及び図6に示す、カキフライやタラコ或いは大福など脆弱なワークWよりも硬いが、脆弱なワークWを移載する際に揺れる柔らかい剛性からなるシリコン樹脂などで形成されている。より詳しく説明すると、図2(a)に示すように、左柔軟指2Aは、左柔軟指本体20Aと、左傾斜部21Aと、で構成されている。この左柔軟指本体20Aは、図2(a)に示すように、基端部20Aaが左基台4Aの下面4Acに溶着等によって取り付け固定されており、外方向(図示左側)には、複数の蛇腹状の屈曲可能な左屈曲部20Ab(図示では、3個)が形成されている。これら左屈曲部20Abの内部は、図3(b)に示すように、空気圧などの流体が流入又は流出できるように左流通孔20Ab1が形成されており、さらにこの左流通孔20Ab1には、左柔軟指本体20Aの基端部20Aaに設けられている左注出入孔20Ab2が連通されている。なお、この左注出入孔20Ab2は、図1に示す左貫通孔4Adと連通されている。これにより、左貫通孔4Adから空気圧などの流体が外部から流入又は流出すると、左注出入孔20Ab2を通って、左流通孔20Ab1内に空気圧などの流体が流入又は左流通孔20Ab1内から空気圧などの流体が流出できるようになっている。
【0033】
ところで、上記のように構成される複数の左屈曲部20Abは、図3(a)に示すように、基端部20Aa側に位置する左屈曲部20Abと中間部に位置する左屈曲部20Abとの間の厚みd1(左柔軟指本体20Aの右側面20Ad(図2(a)参照)からその間までの厚み)が、図3(a)に示すように、先端部20Ac側に位置する左屈曲部20Abと中間部に位置する左屈曲部20Abとの間の厚みd2(左柔軟指本体20Aの右側面20Ad(図2(a)参照)からその間までの厚み)よりも厚みがあるようになっている。この理由は、後述することとする。
【0034】
一方、図2(a)及び図3(a)に示すように、左柔軟指本体20Aの先端部20Acには、左傾斜部21Aが一体的に設けられている。この左傾斜部21Aは、図2(a)に示すように、内向き(図示右方向)に向かって傾斜している傾斜状に形成されている。すなわち、図5及び図6に示す、脆弱なワークWを掬い上げられるようにショベル状になっている。この際、脆弱なワークWを左傾斜部21Aにてしっかりと掬い上げられるように、すなわち、脆弱なワークWと左傾斜部21Aとの接触面積を増やすために、図2(b)に示すように、左傾斜部21Aの長手方向(図示左右)の幅H2は、左柔軟指本体20Aの長手方向(図示左右)の幅H1よりも幅広に形成されている。なお、このような左傾斜部21Aの内部は、図3(b)に示すように空洞21Aaが形成されている。この理由は、後述することとする。
【0035】
他方、図2(a)に示すように、下部固定台Kbの右側面Kb2側下面kb3には、正面視略矩形状の右基台4Bが取り付け固定されている。この右基台4Bと左基台4Aとは左右対称となっており、構造は同一である。すなわち、右基台4Bの前後方向には、それぞれ、図1に示すように、図2(a)に示す正面視矩形状の右取付台4Baが一体的に取り付け固定されている。そして、この右取付台4Baが、図1に示す、下部固定台Kbの右側面Kb2側の前後方向にそれぞれ設けられているボルト挿通孔Kb6に図示しないボルトが挿通されることによって、下部固定台Kbに取り付け固定されるようになっている。これにより、右基台4Bは、図1及び図2(a)に示すように、下部固定台Kbの右側面Kb2側下面kb3に取り付け固定されることとなる。なお、このボルト挿通孔Kb6は、複数連続して設けられており、右取付台4Baの取付位置を任意に変更できるようになっている。これにより、右基台4Bの下部固定台Kbの右側面Kb2側下面kb3における取付位置を任意に変更できることとなる。なお、図1に示すように、右基台4Bの略中央部には、円形状の右貫通孔4Bdが上面4Bb(図2(a)参照)から下面4Bc(図2(a)参照)に向かって貫通して設けられている。そして、図1に示すように、この右貫通孔4Bdが設けられている右基台4Bの上面4Bb部分は、外部に露呈されるように、下部固定台Kbの右側面Kb2側に、右側面Kb2から中央部分よりもやや右側面Kb2側に位置するところまで、コ字状の右貫通孔Kb7が設けられている。
【0036】
かくして、このように構成される右基台4Bには、図1及び図2(a)に示すように、右柔軟指2Bが取り付け固定されている。この右柔軟指2Bは、左柔軟指2Aとは左右対称となっており、構造は同一である。すなわち、この右柔軟指2Bは、図5及び図6に示す、カキフライやタラコ或いは大福など脆弱なワークWよりも硬いが、脆弱なワークWを移載する際に揺れる柔らかい剛性からなるシリコン樹脂などで形成されている。より詳しく説明すると、図2(a)に示すように、右柔軟指2Bは、右柔軟指本体20Bと、右傾斜部21Bと、で構成されている。この右柔軟指本体20Bは、図2(a)に示すように、基端部20Baが右基台4Bの下面4Bcに溶着等によって取り付け固定されており、外方向(図示右側)には、複数の蛇腹状の屈曲可能な右屈曲部20Bb(図示では、3個)が形成されている。これら右屈曲部20Bbの内部は、図3(b)に示すように、空気圧などの流体が流入又は流出できるように右流通孔20Bb1が形成されており、さらにこの右流通孔20Bb1には、右柔軟指本体20Bの基端部20Baに設けられている右注出入孔20Bb2が連通されている。なお、この右注出入孔20Bb2は、図1に示す右貫通孔4Bdと連通されている。これにより、右貫通孔4Bdから空気圧などの流体が外部から流入又は流出すると、右注出入孔20Bb2を通って、右流通孔20Bb1内に空気圧などの流体が流入又は右流通孔20Bb1内から空気圧などの流体が流出できるようになっている。
【0037】
ところで、上記のように構成される複数の右屈曲部20Bbも、図3(a)に示すように、基端部20Ba側に位置する右屈曲部20Bbと中間部に位置する右屈曲部20Bbとの間の厚みd1(右柔軟指本体20Bの左側面20Bd(図2(a)参照)からその間までの厚み)が、図3(a)に示すように、先端部20Bc側に位置する右屈曲部20Bbと中間部に位置する右屈曲部20Bbとの間の厚みd2(右柔軟指本体20Bの左側面20Bd(図2(a)参照)からその間までの厚み)よりも厚みがあるようになっている。この理由は、後述することとする。
【0038】
一方、図2(a)及び図3(a)に示すように、右柔軟指本体20Bの先端部20Bcには、右傾斜部21Bが一体的に設けられている。この右傾斜部21Bは、図2(a)に示すように、内向き(図示左方向)に向かって傾斜している傾斜状に形成されている。すなわち、図5及び図6に示す、脆弱なワークWを掬い上げられるようにショベル状になっている。この際、脆弱なワークWを右傾斜部21Bにてしっかりと掬い上げられるように、すなわち、ワークWと右傾斜部21Bとの接触面積を増やすために、図2(b)に示すように、右傾斜部21Bの長手方向(図示左右)の幅H2は、右柔軟指本体20Bの長手方向(図示左右)の幅H1よりも幅広に形成されている。なお、このような右傾斜部21Bの内部も、図3(b)に示すように空洞21Baが形成されている。この理由は、後述することとする。
【0039】
かくして、上記のように構成される一対の柔軟指2、すなわち、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bによって、図5及び図6に示す脆弱なワークWを掬い上げることができる。この点、詳しく説明すると、図1に示す左貫通孔4Ad及び右貫通孔4Bdから空気圧などの流体を外部から吸引すると、図3(b)に示す左流通孔20Ab1及び右流通孔20Bb1内から空気圧などの流体が流出し負圧となる。これにより、図2(a)に示す複数の左屈曲部20Ab及び複数の右屈曲部20Bbが収縮するため、図5(a)に示すように、複数の左屈曲部20Abが左柔軟指本体20Aの基端部20Aaを基点として屈曲し、複数の右屈曲部20Bbが右柔軟指本体20Bの基端部20Baを基点として屈曲する。かくして、図5(a)に示すように、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bが開状態となる。
【0040】
次に、図1に示す左貫通孔4Ad及び右貫通孔4Bdから空気圧などの流体を外部から流入させると、図3(b)に示す左流通孔20Ab1及び右流通孔20Bb1内に空気圧などの流体が流入し正圧となる。これにより、図2(a)に示す複数の左屈曲部20Ab及び複数の右屈曲部20Bbが膨張するため、図5(b)に示すように、複数の左屈曲部20Abが左柔軟指本体20Aの基端部20Aaを基点として伸展し、複数の右屈曲部20Bbが右柔軟指本体20Bの基端部20Baを基点として伸展する。かくして、図5(b)に示すように、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bが閉状態となる。この際、左柔軟指2Aの左傾斜部21A及び右柔軟指2Bの右傾斜部21Bを用いて、脆弱なワークWを下から掬い上げて、図5(b)に示すように、左傾斜部21A及び右傾斜部21B上で脆弱なワークWを把持するようにしている。なお、この際、脆弱なワークWは、左傾斜部21A及び右傾斜部21B上を図5(b)に示す左右方向に移動可能となっている。
【0041】
かくして、この状態で、脆弱なワークWを所定の場所に移載させることとなるが、この際、高速ハンドリングの場合、すなわち、高速な移載の場合、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bは適切な剛性にする必要がある。すなわち、剛性が高すぎる(硬すぎる)と、高速な移載の際に生じる加速度によって、脆弱なワークWの形が崩れてしまい不良品となってしまう可能性がある。一方で、剛性が低すぎる(柔らかすぎる)と、高速な移載の際、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bの揺れが激しくなり、脆弱なワークWの把持が不安定となり、これによって、脆弱なワークWが、左柔軟指2A及び右柔軟指2B上から離れて外部に放り出されてしまう可能性がある。
【0042】
そこで、本実施形態においては、図5(b)に示すように、左傾斜部21A及び右傾斜部21B上で脆弱なワークWを把持するようにしている。すなわち、従来のように、脆弱なワークWをしっかりと把持してしまうと、高速な移載の際に生じる加速度によって、脆弱なワークWの形が崩れてしまい不良品となってしまう可能性がある。そのため、本実施形態においては、従来のように、脆弱なワークWをしっかりと把持せず、左傾斜部21A及び右傾斜部21B上で脆弱なワークWを把持するようにしている。
【0043】
この際、上記説明したように、左傾斜部21A及び右傾斜部21Bにて脆弱なワークWを掬い上げることとなるが、左傾斜部21A及び右傾斜部21Bが重たすぎると、左傾斜部21A及び右傾斜部21Bにて脆弱なワークWを掬い上げることができず、脆弱なワークWをしっかりと把持してしまう可能性がある。そこで、本実施形態においては、図3(b)に示すように、左傾斜部21A及び右傾斜部21Bの内部に空洞21Aa,21Baを形成し、左傾斜部21A及び右傾斜部21Bを軽くするようにしている。
【0044】
一方で、脆弱なワークWを左傾斜部21A及び右傾斜部21Bにて掬い上げることができるように、すなわち、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bをスムーズに開閉できるように、本実施形態においては、上記説明したように、図3(a)に示すように、厚みd1が厚みd2よりも厚みがあるようになっている。このようにすれば、左柔軟指本体20Aの基端部20Aa及び右柔軟指本体20Bの基端部20Baの剛性が高くなり、これによって、左柔軟指本体20Aの基端部20Aa及び右柔軟指本体20Bの基端部20Baの揺れが少なくなる。それゆえ、左柔軟指本体20Aの基端部20Aaを基点として、複数の左屈曲部20Abが屈曲、伸展し易くなり、さらには、右柔軟指本体20Bの基端部20Baを基点として、複数の右屈曲部20Bbが屈曲、伸展し易くなるから、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bをスムーズに開閉できることとなる。
【0045】
また、左柔軟指2A及び右柔軟指2B自体の剛性は、上記説明したように、脆弱なワークWよりも硬いが、脆弱なワークWを移載する際に揺れる柔らかい剛性からなるものである。すなわち、脆弱なワークWを移載する際に、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bが揺れないと、高速な移載の際に生じる加速度の力が全て脆弱なワークWにかかってしまうこととなる。この際、脆弱なワークWは、上記説明したように、左傾斜部21A及び右傾斜部21B上を図5(b)に示す左右方向に移動可能となっているから、脆弱なワークWが、左柔軟指本体20Aの右側面20Ad(図2(a)参照)及び/又は右柔軟指本体20Bの左側面20Bd(図2(a)参照)に激しくぶつかって、脆弱なワークWの形が崩れてしまい不良品となってしまう可能性がある。
【0046】
そこで、本実施形態においては、このような加速度の力を分散させるため、高速な移載の際、図6(a)に示すように、図5(b)に示す位置を基点とした際(図6(a)ではこの基点を一点鎖線で示している)、その基点から左柔軟指2A及び右柔軟指2Bが図示右方向に揺れ、図6(b)に示すように、図5(b)に示す位置を基点とした際(図6(b)でもこの基点を一点鎖線で示している)、その基点から左柔軟指2A及び右柔軟指2Bが図示左方向に揺れることができるようになっている。このようにすれば、加速度の力が分散され、脆弱なワークWが、左柔軟指本体20Aの右側面20Ad(図2(a)参照)及び/又は右柔軟指本体20Bの左側面20Bd(図2(a)参照)に激しくぶつかることがなくなるため、脆弱なワークWの形が崩れてしまい不良品となってしまう可能性を低減させることができる。
【0047】
しかしながら、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bが揺れすぎると、脆弱なワークWが、左柔軟指2A及び右柔軟指2B上から離れて外部に放り出されてしまう可能性があるため、左柔軟指2A及び右柔軟指2Bは、脆弱なワークWが外部に放り出されない程度の柔らかい剛性となっている。なお、図6(a)に示すように左柔軟指2A及び右柔軟指2Bが右方向に揺れた際、脆弱なワークWの大きさによっては、脆弱なワークWが左方向に移動し、図6(b)に示すように左柔軟指2A及び右柔軟指2Bが左方向に揺れた際、脆弱なワークWの大きさによっては、脆弱なワークWが右方向に移動するようになっている。
【0048】
他方で、従来のように、脆弱なワークWをしっかりと把持せず、本実施形態に示すように、左傾斜部21A及び右傾斜部21B上で脆弱なワークWを把持するようにしている場合、脆弱なワークWの上部と、図5(b)に示す下部固定台Kbの下面Kb3との間の空間が大きすぎると、高速な移載の際、脆弱なワークWが暴れる可能性があり、これによって、脆弱なワークWの形が崩れてしまい不良品となってしまう可能性がある。そこで、本実施形態においては、次に説明する閉鎖部3を設けるようにしている。
【0049】
<閉鎖部の説明>
閉鎖部3は、図2(a)に示すように、下部固定台Kbの中央部分、すなわち、左柔軟指2Aと右柔軟指2Bの間に位置するように設けられている。より詳しく説明すると、図2(a)に示すように、下部固定台Kbの下面kb3中央には、正面視略矩形状の中央基台4Cが取り付け固定されている。この中央基台4Cの前後方向には、それぞれ、図1に示すように、図2(a)に示す正面視矩形状の中央取付台4Caが一体的に取り付け固定されている。そして、この中央取付台4Caが、図1に示す、下部固定台Kbの中央側前後方向にそれぞれ設けられているボルト挿通孔Kb8に図示しないボルトが挿通されることによって、下部固定台Kbに取り付け固定されることとなる。なお、図1に示すように、下部固定台Kbの略中央部には、円形状の中央貫通孔Kb9が上下方向に向かって貫通して設けられている。
【0050】
かくして、このように構成される中央基台4Cには、図1及び図2(a)に示すように、閉鎖部3が取り付け固定されている。この閉鎖部3は、シリコン樹脂などで形成されており、図4(a)に示すように、天部30と、一対の側部31と、で構成されている。この天部30は、図4(a)に示すように、正面視略矩形状に形成されており、上面30a中央部分に正面視T字状の取付部32が天部30より突出して一体的に取り付けられている。この取付部32は、図2(a)に示すように、中央基台4Cの下面4Cbに溶着等によって取り付け固定されている。
【0051】
一方、図4(a)に示すように、天部30の左側面30bには、複数の蛇腹状の屈曲可能な左屈曲部30b1(図示では、2個)が形成されている。そして、図4(a)に示すように、天部30の右側面30cには、複数の蛇腹状の屈曲可能な右屈曲部30c1(図示では、2個)が形成されている。
【0052】
かくして、これら左屈曲部30b1及び右屈曲部30c1の内部は、図4(b)に示すように、空気圧などの流体が流入又は流出できるように細長略矩形状の複数の流通孔30dが形成されている。これら流通孔30dは、図4(b)に示すように、上下に形成されていると共に、互いに連通されている。そして、図4(b)に示すように、上部に位置する流通孔30dは、取付部32の中央内部に上下方向に沿って設けられている円筒状の注出入孔30eが連通されている。なお、この注出入孔30eは、図1に示す中央貫通孔Kb9と連通されている。これにより、中央貫通孔Kb9から空気圧などの流体が外部から流入又は流出すると、注出入孔30eを通って、流通孔30d内に空気圧などの流体が流入又は流通孔30d内から空気圧などの流体が流出できるようになっている。
【0053】
また、図4(b)に示すように、天部30の下面30fには、上面30a側に向かって凹んでいる凹部30gが形成されている。
【0054】
一方、上記のように構成される天部30の左側面30b及び右側面30cの下面30f側からは、末広がり状に傾斜している側部31が、突出して一体的にそれぞれ設けられている。
【0055】
かくして、上記のように構成される閉鎖部3は、図2(a)に示すように、下部固定台Kbの中央部分、すなわち、左柔軟指2Aと右柔軟指2Bの間に位置するように設けられているから、図5(b)に示すように、左傾斜部21A及び右傾斜部21B上で脆弱なワークWを把持した際、図5(c)に示す位置に、一対の側部31が位置することとなる。そのため、図5(c)に示す左右方向から脆弱なワークWが、左柔軟指2A及び右柔軟指2B上から離れて外部に移動しようとしても、一対の側部31に当たることとなるから、脆弱なワークWが、外部に放り出されてしまうようなことはない。
【0056】
また、図5(b)に示すように、左傾斜部21A及び右傾斜部21B上で脆弱なワークWを把持した際、図4に示すように、脆弱なワークWの上部には、脆弱なワークWと接触、或いは、接触せずとも近傍となるように、天部30の下面30fが位置するようになっている。そのため、脆弱なワークWの上部と、図5(b)に示す下部固定台Kbの下面Kb3との間の空間が狭くなり、高速な移載の際、脆弱なワークWが暴れてしまう可能性を低減させることができる。そのため、脆弱なワークWの形が崩れてしまい不良品となってしまう可能性を低減させることができる。
【0057】
かくして、図5(b)及び図5(c)に示すように、左柔軟指2Aと右柔軟指2Bと閉鎖部3とによって、閉鎖空間S1が形成されることとなるから、高速な移載の際、脆弱なワークWが、左柔軟指2A及び右柔軟指2B上から離れて外部に放り出されてしまうこともなく、さらには、脆弱なワークWが暴れてしまう可能性を低減させることができる。そのため、このようにすれば、脆弱なワークWの形が崩れてしまい不良品となってしまう可能性を低減させることができる。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、高速ハンドリングの要求に十分に応えることが可能となる。
【0059】
ところで、図1に示す中央貫通孔Kb9から空気圧などの流体を外部から流入させると、図4(b)に示す注出入孔30eを通って、流通孔30d内に空気圧などの流体が流入し正圧となる。これにより、図4に示す複数の左屈曲部30b1及び複数の右屈曲部30c1が膨張し、天部30が図4に示す鉛直下方向に伸びることとなる。一方、図1に示す中央貫通孔Kb9から空気圧などの流体を外部から流出させると、図4(b)に示す注出入孔30eを通って、流通孔30d内の空気圧などの流体が流出し負圧となる。これにより、図4に示す複数の左屈曲部30b1及び複数の右屈曲部30c1が収縮し、天部30が図4に示す鉛直上方向に縮むこととなる。
【0060】
かくして、このようにすれば、天部30の高さ(図4に示す上下方向の長さ)を任意に変更することができるため、脆弱なワークWに応じて、天部30の下面30fの位置の任意変更することが可能となる。
【0061】
また、上記説明したように、図4(b)に示すように、天部30の下面30fには、上面30a側に向かって凹んでいる凹部30gが形成されているから、脆弱なワークWが接触する際、脆弱なワークWの自然形状に合わせることが可能となる。
【0062】
<変形例の説明>
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態において示した一対の側部31の長さはあくまで一例であり、上記説明した閉鎖空間S1が形成されるのであれば、どのような長さ(短くても長くても)でも良い。
【0063】
また、本実施形態においては、天部30の高さ(図4に示す上下方向の長さ)を任意に変更することができるようにしたが、任意に変更せず、固定させるようにしても良い。例えば、図4に示す天部30の左側面30bに形成されている複数の蛇腹状の屈曲可能な左屈曲部30b1及び天部30の右側面30cに形成されている複数の蛇腹状の屈曲可能な右屈曲部30c1を除外すると共に、取付部32を除外し、図7に示すような天部30Aとなるような閉鎖部3Aにすれば良い。すなわち、図4に示す天部30を図7(b)に示す側面視台形状となるような天部30Aに変形すれば良い。このようにすれば、天部30Aの高さ(図7に示す上下方向の長さ)を任意に変更できないこととなる。なお、図7に示すように、中央基台4Cの下面4Cbには、溶着等によって、天部30Aの上面30Aaが取り付け固定される。また、それ以外は、上記説明してきた構成と同一であるため、図7に同一の符号を付し説明は省略することとする。
【0064】
また、本実施形態において示した閉鎖部3の形状(図7に示す閉鎖部3Aの形状含む)は、あくまで一例であり、上記説明した閉鎖空間S1が形成できるのであれば、上記説明した形状にせずとも、どのような形状にしても良い。しかしながら、上記のような形状にすれば、形状が容易となるため、好ましい。
【0065】
また、本実施形態において例示した左傾斜部21A及び右傾斜部21B上に、脆弱なワークWを把持した際、脆弱なワークWが図6に示すように左右方向に移動し難くなるような溝を形成するようにしても良い。この際、洗浄性を良くするため、溝の幅は大きくした方が好ましい。
【0066】
また、本実施形態においては、柔軟指2として、一対の柔軟指(左柔軟指2Aと右柔軟指2B)を例示したが、柔軟指の数としては、2個以上でも勿論良い。
【0067】
また、本実施形態においては、左基台4A,右基台4B,中央基台4Cと別々の基台を設ける例を示したが、勿論、左基台4A,右基台4B,中央基台4Cを1つの基台として構成するようにしても良い。また、左基台4Aと右基台Bを別々の基台ではなく、1つの基台で構成し、さらに、中央基台4Cを別の基台で構成するようにしても良い。
【0068】
また、本実施形態においては、ワークWとして脆弱なワークWに特に有用であるため例示したが、脆弱なワークW以外にも適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 グリッパ
2 柔軟指
2A 左柔軟指(柔軟指)
20A 左柔軟指本体(柔軟指本体)
20Aa 基端部
20Ac 先端部
2B 右柔軟指(柔軟指)
20B 右柔軟指本体(柔軟指本体)
20Ba 基端部
20Bc 先端部
21 傾斜部
21A 左傾斜部(傾斜部)
21Aa 空洞
21B 右傾斜部(傾斜部)
21Ba 空洞
3,3A 閉鎖部
30,30A 天部
30Aa 上面(基端部)
30e 下面
30g 凹部
31 側部
32 取付部(基端部)
4A 左基台(第1基台)
4B 右基台(第1基台)
4C 中央基台(第2基台)
4Ac,4Bc,4Cb 下面
W ワーク
S1 閉鎖空間
H1,H2 幅
d1,d2 厚み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7