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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117924
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】半導体装置及び実装方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20240823BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20240823BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240823BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/36 C
H01L23/12 J
H05K7/20 F
H05K1/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024019
(22)【出願日】2023-02-20
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/ポスト5G情報通信システムの開発/高周波帯アンプ一体型アレイアンテナ実装技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】中田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 伸也
(72)【発明者】
【氏名】森田 将
【テーマコード(参考)】
5E322
5E338
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA11
5E322AB06
5E322AB09
5E322AB11
5E322FA04
5E322FA06
5E338AA02
5E338AA03
5E338BB05
5E338BB75
5E338CD32
5E338EE02
5F136BA03
5F136BB03
5F136BC06
5F136DA25
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA14
5F136FA52
(57)【要約】
【課題】半導体チップの排熱を効率よく行う。
【解決手段】プリント基板11には、金属板12が埋め込まれている。半導体パッケージ13は、半導体チップ13aを含み、半導体チップ13aとプリント基板11とを電気的に接続する接続端子13g1~13g4を、プリント基板11の面11aに対向する面13iに備えている。面11aと面13iとの間の間隙のうち、接続端子13g1~13g4を覆う第1領域には、第1充填材14が充填されており、当該間隙のうち、平面視で半導体チップ13aと金属板12とが重なる第2領域の少なくとも一部に、第1充填材14よりも高い熱伝導率をもつ第2充填材15が充填されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板と、
前記プリント基板に埋め込まれた金属板と、
半導体チップを含み、前記半導体チップと前記プリント基板とを電気的に接続する第1接続端子を、前記プリント基板の第1面に対向する第2面に備えた半導体パッケージと、
前記第1面と前記第2面との間の間隙のうち、前記第1接続端子を覆う第1領域に充填された第1充填材と、
前記第1充填材よりも高い熱伝導率をもち、前記間隙のうちの、平面視で前記半導体チップと前記金属板とが重なる第2領域の少なくとも一部に充填された第2充填材と、
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記半導体パッケージは、前記第2面に、前記金属板に接触し、前記半導体チップに対して絶縁された第2接続端子を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
平面視で、前記プリント基板と前記金属板の境界部分の、前記第1接続端子または前記第2接続端子の配置密度は、前記境界部分以外の前記第1接続端子または前記第2接続端子の配置密度より低い、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1接続端子及び前記第2接続端子は、ボールグリッドアレイの接続端子群に含まれる、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
平面視で、前記プリント基板と前記金属板の境界に沿って金膜が設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2充填材は、導電材料である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記金属板は、前記第1面と、前記第1面に対向する前記プリント基板の第3面において、露出している、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
半導体チップを含み、前記半導体チップとプリント基板とを電気的に接続する第1接続端子を、前記プリント基板の第1面に対向する第2面に備えた半導体パッケージを、金属板が埋め込まれた前記プリント基板上に配置し、
前記第1面と前記第2面との間の間隙のうち、前記第1接続端子を覆う第1領域に第1充填材を充填するとともに、前記間隙のうちの、平面視で前記半導体チップと前記金属板とが重なる第2領域の少なくとも一部に、前記第1充填材よりも高い熱伝導率をもつ第2充填材を充填する、
実装方法。
【請求項9】
前記金属板は貫通孔を有し、前記第2充填材は、前記貫通孔を介して、前記第2領域の少なくとも一部に充填される、請求項8に記載の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを含む半導体パッケージを、BGA(Ball Grid Array)などの接続端子によりプリント基板に搭載した半導体装置がある。接合の強度や信頼性を確保するため、半導体パッケージとプリント基板との間の間隙にアンダーフィル材と呼ばれる樹脂系材料が充填されることがある。
【0003】
なお、半導体チップと放熱基板とをバンプ接続し、発熱集中箇所である能動領域の中央部を、外周部を覆う封止材よりも熱伝導率が大きい封止材で覆った半導体装置が提案されている。また、BGAで接続した半導体チップと配線基板との間の間隙に、バンプの熱伝導率より高い熱伝導率をもつ材料からなるフィラーを多数混入した樹脂を充填した半導体装置が提案されている。さらに、高周波対応のチップと第1基板とをフリップチップ接合し、第2基板がチップと対向するように、はんだボールを用いて第1基板と第2基板とを電気的に接続し、第2基板に設けたサーマルビアで熱を放熱させる半導体装置が提案されている。さらにまた、プリント基板に内蔵したコインと、熱源に熱的に結合されコインの一方の面に直接接続されたビアと、ヒートシンクに熱的に接続されコインの他方の面に直接接続されたビアとを含む放熱装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020-012604号
【特許文献2】特開平11-67831号公報
【特許文献3】特開2009-158742号公報
【特許文献4】米国特許9661738号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、AiP(Antenna in Package)など、高出力の半導体チップを含む半導体パッケージが登場している。このような半導体パッケージをプリント基板に搭載した従来の半導体装置では、半導体チップの発熱に対する排熱効率が十分ではない。
【0006】
1つの側面では、本発明は、半導体チップの排熱を効率よく行える半導体装置及び実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施態様では、プリント基板と、プリント基板に埋め込まれた金属板と、半導体パッケージと、第1充填材と第2充填材とを有する半導体装置が提供される。半導体パッケージは、半導体チップを含み、半導体チップとプリント基板とを電気的に接続する第1接続端子を、プリント基板の第1面に対向する第2面に備えている。第1充填材は、半導体パッケージと、第1面と第2面との間の間隙のうち、第1接続端子を覆う第1領域に充填されている。第2充填材は、第1充填材よりも高い熱伝導率をもち、上記間隙のうちの、平面視で半導体チップと金属板とが重なる第2領域の少なくとも一部に充填されている。
【0008】
また、1つの実施態様では、実装方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面では、本発明は、半導体チップの排熱を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態の半導体装置の一例の断面図である。
図2】第1の実施の形態の半導体装置の一例の上面図である。
図3】比較例の半導体装置の断面図である。
図4】ヒートシンクの設置例を示す図である。
図5】第1の実施の形態の半導体装置の変形例を示す図である。
図6】第2の実施の形態の半導体装置の一例の上面図である。
図7】第3の実施の形態の半導体装置の一例の上面図である。
図8】実装方法の第1の工程を説明する図である。
図9】実装方法の第2の工程を説明する図である。
図10】他の実装方法の工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、「上面」とは、図1の半導体装置10などにおいて、上側(+Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「上」とは、図1の半導体装置10などにおいて、上側(+Z方向)の方向を表す。「下面」とは、図1の半導体装置10などにおいて、下側(-Z方向)を向いたX-Y面を表す。同様に、「下」とは、図1の半導体装置10などにおいて、下側(-Z方向)の方向を表す。必要に応じて他の図面でも同様の方向性を意味する。また、平面視とはXY面視することをいう。「上面」、「上」、「下面」、「下」、「側面」は、相対的な位置関係を特定する便宜的な表現に過ぎず、本発明の技術的思想を限定するものではない。たとえば、「上」及び「下」は、必ずしも地面に対する鉛直方向を意味しない。つまり、「上」及び「下」の方向は、重力方向に限定されない。
【0012】
図1は、第1の実施の形態の半導体装置の一例の断面図である。図2は、第1の実施の形態の半導体装置の一例の上面図である。なお、図1は、図2のI-I線における断面図である。また、図2では、半導体パッケージ13の上面の下方にある要素の一部が破線で示されている。また、図3は、比較例の半導体装置の断面図である。図3において、図1図2と同一の要素については同一符号が付されている。
【0013】
半導体装置10は、プリント基板11と、金属板12と、プリント基板11上に搭載された半導体パッケージ13、第1充填材14、第2充填材15を有する。
プリント基板11は、上面である面11aに図示しないプリント配線やパッドが形成されている。なお、プリント基板11は、PCB(Printed Circuit Board)と呼ばれることもある。
【0014】
金属板12は、プリント基板11に埋め込まれている。金属板12は、図2に示されているように、平面視で円形に形成されている。金属板12の平面視の形状は円形に限定されるわけではない。ただし、当該形状を円形に形成することで、プリント基板11と金属板12との間の熱膨張係数の差を吸収することができ、プリント基板11から金属板12が脱落することが防げる。金属板12は、熱伝導性の高い金属で形成されていることが好ましい。たとえば、金属板12は、銅(Cu)またはアルミニウム(Al)などの金属により形成される。
【0015】
金属板12には、半導体パッケージ13の半導体チップ13aで発生した熱が、後述の要素を介して伝達される。そして、金属板12は、その熱を金属板12の下方側に放熱する。半導体チップ13aと金属板12との間の熱抵抗を小さくするため、金属板12は、平面視で半導体チップ13aの少なくとも一部(たとえば、増幅回路などが設けられている発熱集中箇所)と重なっている。
【0016】
また、効率のよい排熱のため、図1に示されているように、金属板12は、プリント基板11の面11aと、面11aに対向するプリント基板11の下面である面11bにおいて、露出していることが好ましい。ただ、そのような形態に限定されるわけではない。たとえば、金属板12の上面または下面の一部が、プリント基板11の面11aまたは面11bにおいて露出していてもよい。また、金属板12は、1つに限定されず、複数の金属板が、プリント基板11に埋め込まれていてもよい。
【0017】
半導体パッケージ13は、半導体チップ13a、再配線層13b,13d、モールド層13c、バリア層13e、ヒートスプレッダ層13fを有する。さらに、半導体パッケージ13は、第1接続端子(たとえば、図1図3の接続端子13g1~13g4)と、第2接続端子(たとえば、図1図3の接続端子13h1~13h8)を有する。
【0018】
なお、図1図3の例では、半導体パッケージ13は、BGAパッケージである。BGAパッケージは高密度に、はんだボールである接続端子を配置することができ、小面積で多端子化が可能である。
【0019】
半導体チップ13aは、半導体製造工程によって作製されるIC(Integrated Circuit)である。半導体パッケージ13が、AiPである場合、半導体チップ13aは、増幅回路などの発熱部を内包するRF(Radio Frequency)チップである。半導体チップ13aの上面13a1に図示しない端子が設けられている。
【0020】
再配線層13bは、半導体チップ13aの上方に設けられている。再配線層13bは、平面視で、半導体チップ13aよりもサイズが大きい。再配線層13bは、配線層と絶縁層が交互に積層され、複数の配線層間をビアで接続した構成であってよい。図1の例では、再配線層13bは、半導体チップ13aの上面13a1に設けられた図示しない端子と電気的に接続する配線13b2を含む。半導体パッケージ13が、AiPである場合、再配線層13bの最上層の配線13b1は、パッチ・アンテナであってもよい。
【0021】
モールド層13cは、半導体チップ13aの側面を覆うように設けられている。モールド層13cは、たとえば、エポキシ樹脂などにアルミナなどのフィラーを混入したモールド材、ポリイミドフィルムなどの樹脂系材料を用いて作製可能である。モールド層13cには、再配線層13bに含まれる配線(たとえば、配線13b2)と、再配線層13dに含まれる配線(たとえば、配線13d1)とを電気的に接続するビア(たとえば、ビア13c1)が設けられている。
【0022】
再配線層13dは、モールド層13cの下面に設けられている。再配線層13dは、モールド層13cのビアを介して再配線層13bに含まれる配線(たとえば、配線13b2)に電気的に接続される配線(たとえば、配線13d1)を含む。
【0023】
バリア層13eは、半導体チップ13aの下面13a2に設けられている。バリア層13eとして、たとえば、スパッタリング法により、0.02~0.2μmの厚さで作製されたチタン(Ti)膜などを用いることができる。
【0024】
ヒートスプレッダ層13fは、上面がバリア層13eの下面に接し、下面が半導体パッケージ13の下面である面13iから露出するように作製されている。ヒートスプレッダ層13fの側面は再配線層13dで覆われている。ヒートスプレッダ層13fは、熱伝導性の高い金属で形成されていることが好ましい。熱伝導性の高い金属として、たとえば、アルミニウムや銅などがある。なお、ヒートスプレッダ層13fは、再配線層13dを作製する工程と同一工程で形成できる。
【0025】
なお、バリア層13eを設けずに、ヒートスプレッダ層13fの上面が直接、半導体チップ13aの下面13a2に接するようにしてもよい。
第1接続端子及び第2接続端子のそれぞれは、図1図3の例では、BGAの接続端子群に含まれる。
【0026】
第1接続端子(たとえば、接続端子13g1~13g4)は、図1図3に示すように、金属板12に接触しない。第1接続端子は、たとえば、図1に示すように、半導体パッケージ13の面13iに設けられており、半導体チップ13aとプリント基板11とを電気的に接続する。たとえば、接続端子13g2は、再配線層13dの配線13d1、モールド層13cのビア13c1、再配線層13bの配線13b2を介して、半導体チップ13aの図示しない端子と電気的に接続される。
【0027】
第2接続端子(たとえば、接続端子13h1~13h8)は、図1図3に示すように、金属板12に接触しているが、半導体チップ13aに対しては絶縁されている。つまり、第2接続端子は、半導体チップ13aの端子とは電気的に接続されていない。
【0028】
第1充填材14は、プリント基板11の面11aと半導体パッケージ13の面13iとの間の間隙のうち、第1接続端子を覆う領域に充填されている。第1接続端子を覆う領域は、図2のように、平面視で、第2充填材15が充填される領域の外側の領域であるともいえる。なお、平面視で、第2充填材15が充填される領域のサイズが、金属板12のサイズよりも小さい場合、第1充填材14は、金属板12上の一部(たとえば、外縁部分)に多少は入り込んでいてもよい。
【0029】
第1充填材14として、たとえば、熱伝導率が0.5W/m・K程度のエポキシ樹脂などによる一般的なアンダーフィル材を用いてもよいが、高熱伝導性のアンダーフィル材を用いることもできる。たとえば、エポキシ樹脂に、シリカフィラーやアルミナフィラーを多量混入させたアンダーフィル材を用いることができる。このようなアンダーフィル材は、熱伝導率が1.5~2.0W/m・K程度である。
【0030】
第2充填材15は、プリント基板11の面11aと半導体パッケージ13の面13iとの間の間隙のうち、平面視で、半導体チップ13aと金属板12とが重なる領域の少なくとも一部に充填されている。第2充填材15は、第1充填材14よりも高い熱伝導率をもつ。
【0031】
第2充填材15として、たとえば、銀ペースト材や銅ペースト材などの導電材料を用いることができる。銀ペースト材の熱伝導率は、30~50W/m・K程度、銅ペースト材の熱伝導率は、80~180W/m・K程度である。なお、第1充填材14として、エポキシ樹脂、または、エポキシ樹脂にシリカフィラーを混入させたアンダーフィル材を用いた場合、第2充填材15として、それらよりも熱伝導率が高い、アルミナフィラーを混入させたアンダーフィル材を用いてもよい。
【0032】
第2充填材15は、半導体チップ13aと金属板12との間の熱抵抗をより小さくするために、図2に示すように、平面視で、金属板12に重なる領域全体に充填されていることが好ましい。
【0033】
図3に示すように、比較例の半導体装置20は、面11aと面13iとの間の間隙全体に、接合の強度及び信頼性を確保するために、充填材21が充填されている。このような充填材21として、各第1接続端子の間、及び各第1接続端子と各第2接続端子との間の絶縁を図るために絶縁性の高い材料が用いられることなる。このため、熱伝導率が十分に高い材料を用いることが困難であり、半導体装置20の排熱効率の高さは、十分ではない。
【0034】
以上説明したように、第1の実施の形態の半導体装置10は、プリント基板11、プリント基板11に埋め込まれた金属板12、半導体パッケージ13、第1充填材14、第2充填材15を有する。半導体パッケージ13は、半導体チップ13aを含み半導体チップ13aとプリント基板11とを電気的に接続する第1接続端子を、プリント基板11の面11aに対向する面13iに備えている。第1充填材14は、面11aと面13iとの間の間隙のうち、第1接続端子を覆う領域に充填されている。第2充填材15は、上記間隙のうち、平面視で半導体チップ13aと金属板12とが重なる領域の少なくとも一部に充填されている。第2充填材15は、第1充填材14よりも高い熱伝導率をもつ。
【0035】
これにより、半導体チップ13aで発生した熱が、第2充填材15を介してプリント基板11に埋め込まれた金属板12に伝わる。このため、半導体チップ13aと金属板12間の熱抵抗を小さくでき、半導体チップ13aの排熱を効率よく行うことができる。
【0036】
なお、面11aと面13iとの間の間隙のうち、第1接続端子を覆う領域には、第1充填材14が充填されているため、プリント基板11と半導体パッケージ13との間の全体の接合強度は保たれる。
【0037】
また、半導体装置10は、半導体パッケージ13の面13iに、金属板12に接触し、半導体チップ13aに対して絶縁された第2接続端子(たとえば、接続端子13h1~13h8)が設けられている。
【0038】
これにより、プリント基板11と半導体パッケージ13の間の接合強度を高めることができる。さらに、第2接続端子として第2充填材15よりも高い熱伝導率の材料を用いることができる場合、半導体チップ13aと金属板12間の熱抵抗を、さらに小さくできる。
【0039】
また、第2充填材15は、半導体チップ13aとプリント基板11との間の熱的な接続に関与するものであって、電気的な接続には関与しない。そのため、第2充填材15として、前述のような導電材料を用いることができる。これにより、半導体チップ13aと金属板12間の熱抵抗を、さらに小さくできる。
【0040】
なお、半導体装置10は、以下に示すようなヒートシンクを有していてもよい。
図4は、ヒートシンクの設置例を示す図である。
図4の例では、プリント基板11の下面である面11bにTIM(Thermal Interface Material)16を介して、ヒートシンク17が取り付けられている。TIM16は、プリント基板11及び金属板12と、ヒートシンク17との間に生じる可能性のある隙間を埋め、接触熱抵抗を下げるために設けられている。TIM16として、たとえば、熱伝導グリースなどが用いられる。なお、TIM16を設けずに、ヒートシンク17を面11bに隙間なく、直接接触させてもよい。
【0041】
ヒートシンク17は、半導体チップ13aで発生し、第2充填材15(及び第2接続端子)を介して金属板12に伝わった熱を、半導体装置10の外部へ放熱させる。ヒートシンク17として、鋼、アルミニウム、またはこれらの組合せによる材料が用いられる。
【0042】
半導体装置10において金属板12は、プリント基板11の下面である面11bにおいて露出していることから、上記のようなヒートシンク17を設けることで、さらに排熱効率を上げることができる。
【0043】
(変形例)
図1図2に示した半導体装置10は、第2接続端子(たとえば、接続端子13h1~13h8など)を有していたが、第2接続端子はなくてもよい。
【0044】
図5は、第1の実施の形態の半導体装置の変形例を示す図である。図5において図1に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
図5に示した半導体装置10aは、半導体装置10と異なり、第2接続端子が設けられていない。このような半導体装置10aであっても、第2充填材15を有することで、半導体チップ13aと金属板12間の熱抵抗を小さくでき、半導体チップ13aの排熱を効率よく行うことができるという、半導体装置10と同様の効果が得られる。
【0045】
以上説明したような半導体装置10,10aは、たとえば、基地局のフロントエンドの無線ユニットに搭載可能な無線通信装置に適用可能である。その場合、プリント基板11は、たとえば、基地局のマザーボードであり、半導体パッケージ13は、たとえば、AiPである。半導体パッケージ13がAiPである場合、半導体チップ13aによって高周波信号が増幅され、たとえば、再配線層13bの最上層に設けられるアレイ状に配置されたパッチ・アンテナを介して電波が空間に放出される。
【0046】
近年の5G以降の用途では、超高速通信、超低遅延、多数同時接続に対応するためにミリ波帯周波数の活用が進んでいる。このような状況において、アレイ状に配置されたパッチ・アンテナを介して電波を空間に放出する機構は、信号の減衰を低減するため近接範囲に設けられることが好ましい。また、AiPには短波長に応じた小面積のパッチ・アンテナが配置されることになる。そのため、AiPを含む装置全体の小型化が求められている。このような小型化が求められている装置において、AiPは高出力の増幅回路を含むため、より排熱効率を上げることが望ましい。
【0047】
排熱効率を上げるために、図1図3図5に示すように、半導体チップ13aの下面側を放熱経路とすることが望ましい。半導体チップ13aの上面側に放熱経路を設け、その放熱経路や、モールド層を貫通するビアなどを介してプリント基板11側に排熱する場合、放熱経路が狭くて長くなり、熱抵抗が大きくなるためである。ただ、図3に示したような比較例の半導体装置20では、充填材21の熱伝導率が低いため、排熱効率の高さが十分ではなく、装置のさらなる小型化や、半導体チップ13aの発熱が増大する事態に対応できなくなる可能性がある。
【0048】
半導体装置10,10aでは、第1接続端子を覆う領域に充填された第1充填材14とは別に、平面視で、半導体チップ13aと金属板12とが重なる領域の少なくとも一部に充填された第2充填材15を有する。第2充填材15は、第1充填材14よりも高い熱伝導率をもち、導電材料を用いることもできる。このため、半導体装置10,10aは、比較例の半導体装置20よりも効率よく排熱が行える。したがって、半導体装置10,10aは、高い排熱効率が求められるAiPを含む無線通信装置に好適である。
【0049】
ただ、半導体パッケージ13は、AiPに好適な上記のような構造に限定されるわけではない。また、半導体パッケージ13は、BGAパッケージに限定されない。たとえば、平面視で金属板12の位置と、第1接続端子の位置とが重ならないようにすれば、ウェハレベルCSP(Chip Size Package)や、半導体チップ13aの端子面が下方であるフリップチップパッケージなども用いることもできる。
【0050】
(第2の実施の形態)
前述のように第2充填材15は、第1充填材14よりも熱伝導率が高い。熱伝導率が高い材料は多くの場合、導電性が高い材料である。導電性が高い第2充填材15が、プリント基板11と半導体チップ13aとを電気的に接続する第1接続端子に接触すると、装置全体の信頼性が低下する。以下に示す第2の実施の形態の半導体装置は、このような状況の発生を防止する構造を有する。
【0051】
図6は、第2の実施の形態の半導体装置の一例の上面図である。図6において、図2に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
第2の実施の形態の半導体装置10bでは、平面視でプリント基板11と金属板12の境界部分の、第1接続端子または第2接続端子の配置密度が、境界部分以外の第1接続端子または第2接続端子の配置密度よりも低い。
【0052】
図6の半導体装置10bの例では、図2において、プリント基板11と金属板12の境界の近傍に設けられていた接続端子13g2,13g3,13h1,13h8などが設けられていない。
【0053】
第1接続端子や第2接続端子の配置密度が高い領域は、第1接続端子や第2接続端子の配置密度が低い領域よりも、第1充填材14と第2充填材15が広がりやすい。第1接続端子や第2接続端子の配置密度が高い領域は、第1接続端子や第2接続端子の表面の濡れ性によって、第1充填材14と第2充填材15が充填されやすくなるためである。
【0054】
図6に示す半導体装置10bでは、プリント基板11と金属板12の境界部分では第1接続端子または第2接続端子の配置密度が低いため、第1充填材14と第2充填材15が広がりにくくなる。これにより、第2充填材15が、第1接続端子の配置領域に流出して第1接続端子に接触することを防げる。このため、半導体装置10bを含む装置全体の信頼性を向上させることができる。また、熱伝導率が低い第1充填材14が、金属板12上に流出して、排熱性能を悪化させることも防止できる。
【0055】
(第3の実施の形態)
図7は、第3の実施の形態の半導体装置の一例の上面図である。図7において、図3に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
【0056】
第3の実施の形態の半導体装置10cでは、平面視で、プリント基板11と金属板12の境界に沿って金(Au)膜30が設けられている。なお、金膜30は、プリント基板11と金属板12の境界に跨って形成されていてもよいし、境界の内側である金属板12上に形成されていてもよいし、境界の外側であるプリント基板11上に形成されていてもよい。また、金膜30は、図1などに示した半導体パッケージ13の面13iにおいて、平面視で、プリント基板11と金属板12の境界に沿った位置に形成されていてもよい。また、プリント基板11(または金属板12)と、半導体パッケージ13の両方に、金膜30が形成されていてもよい。
【0057】
金は、アンダーフィル材、銀ペースト材、銅ペースト材などの液状材料が濡れにくい(これらの液状材料を定常的にはじく)性質を有する。このため、金膜30を設けることで、第2充填材15が、第1接続端子の配置領域に流出して第1接続端子に接触することを防げる。また、熱伝導率が低い第1充填材14が、金属板12上に流出して、排熱性能を悪化させることも防止できる。
【0058】
金膜30は、無電解メッキ法やスパッタリング法などによって形成することができる。なお、第1充填材14と第2充填材15が、金膜30を乗り越えることを防ぐために、金膜30は、たとえば、幅が100μm程度以上、高さが50μm程度以上であることが好ましい。
【0059】
なお、上記の半導体装置10cでは、第2の実施の形態の半導体装置10bと同様に、平面視でプリント基板11と金属板12の境界部分の、第1接続端子または第2接続端子の配置密度が、境界部分以外の第1接続端子または第2接続端子の配置密度よりも低い。ただ、第1の実施の形態の半導体装置10において、上記のような金膜30を設けるようにしてもよい。
【0060】
(実装方法)
次に、実装方法の例を説明する。以下では、例として、第1の実施の形態の半導体装置10の実装方法を説明する。
【0061】
図8は、実装方法の第1の工程を説明する図である。図8において、図1に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
図8に示すように、金属板12が埋め込まれたプリント基板11上の適切な位置に半導体パッケージ13が配置される。たとえば、第1接続端子(接続端子13g1~13g4など)が、プリント基板11の面11a上の図示しないパッドに接触し、第2接続端子(接続端子13h1~13h8など)が、金属板12に接触するように位置合わせされる。そして、加熱により、プリント基板11と半導体パッケージ13とが、はんだ接合される。
【0062】
その後、面11aと面13iとの間の間隙のうち、平面視で半導体チップ13aと金属板12が重なる領域の少なくとも一部に第2充填材15が充填される。第2充填材15は、たとえば、管状の治具40を用いて、上記領域の中心付近から適量注入される。このとき、第2充填材15が、プリント基板11上に流出しないように、注入量が調整される。
【0063】
図9は、実装方法の第2の工程を説明する図である。図9において、図1に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
第2充填材15の充填後、面11aと面13iとの間の間隙のうち、第1接続端子を覆う領域に第1充填材14が充填される。第1充填材14は、たとえば、管状の治具40を用いて、第1接続端子を覆う領域の外縁付近から適量注入される。このとき、第1充填材14が、金属板12上に流出しないように、注入量が調整される。
【0064】
その後、高温焼成工程により、液状の第1充填材14及び第2充填材15が固化され、固定される。上記のような工程により、半導体装置10が製造される。
なお、半導体装置10は、以下のような工程により製造することもできる。
【0065】
図10は、他の実装方法の工程を説明する図である。図10において、図1に示した要素と同じ要素については同一符号が付されている。
図10に示すように、金属板12には、管状の治具40を差し込み可能な、貫通孔50が設けられている。貫通孔50は、たとえば、平面視で、金属板12の中心付近に設けられる。そして、第2充填材15は、この貫通孔50を介して、金属板12の中心付近に適量注入される。
【0066】
第1充填材14は、図9に示したように注入されるが、図10に示す実装方法では、第1充填材14の注入は、第2充填材15の注入前でも注入後でもよい。つまり、本実装方法では、第1充填材14と第2充填材15の注入順序の制約はない。また、貫通孔50の直径を、面11aと面13i間の距離よりも大きくすれば、面11aと面13iとの間の間隙に差し込むことが難しい比較的太い管状の治具40であっても、使用可能である。
【0067】
上記の説明では半導体装置10の実装方法の例を説明したが、図5に示した変形例の半導体装置10aや、第2の実施の形態の半導体装置10bについても、第1接続端子または第2接続端子の配置が異なるだけで、同様の方法で製造できる。また、図7に示した第3の実施の形態の半導体装置10cについても、平面視で、プリント基板11と金属板12の境界に沿って金膜30が形成される工程が加わるだけで、その他は上記と同様の方法で製造できる。
【0068】
以上、実施の形態に基づき、本発明の半導体装置及びその実装方法の一観点について説明してきたが、これらは一例にすぎず、上記の記載に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0069】
10 半導体装置
11 プリント基板
11a,11b,13i 面
12 金属板
13 半導体パッケージ
13a 半導体チップ
13a1 上面
13a2 下面
13b,13d 再配線層
13b1,13b2,13d1 配線
13c モールド層
13c1 ビア
13e バリア層
13f ヒートスプレッダ層
13g1~13g4,13h1~13h8 接続端子
14 第1充填材
15 第2充填材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10