(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117942
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】端子金具
(51)【国際特許分類】
H01R 13/11 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H01R13/11 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024056
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北山 愛
(57)【要約】
【課題】耐振動性を向上させることが可能な端子金具を提供する。
【解決手段】端子金具10は、相手端子金具102のタブ104が前端のタブ挿入口13から挿入される筒状部20と、前記筒状部20の内側に設けられ、弾性変位した状態で前記タブ104に接触するバネ部11と、前記筒状部20のうち前記バネ部11と前記タブ104との接点よりも前側に設けられ、前記相手端子金具102との接続状態において前記タブ104との間隔を詰めた状態になり、前記タブ104のガタつきを規制する規制部50と、を備えている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手端子金具のタブが前端のタブ挿入口から挿入される筒状部と、
前記筒状部の内側に設けられ、弾性変位した状態で前記タブに接触するバネ部と、
前記筒状部のうち前記バネ部と前記タブとの接点よりも前側に設けられ、前記相手端子金具との接続状態において前記タブとの間隔を詰めた状態になり、前記タブのガタつきを規制する規制部と、を備えている端子金具。
【請求項2】
前記規制部は、前記バネ部の弾性変位方向の一方の側に設けられた第1突起と、他方の側に設けられた第2突起とを有している、請求項1に記載の端子金具。
【請求項3】
前記規制部は、前記筒状部のうち前記バネ部が設けられている側の壁部から内側へ延出した第1突起を有し、
前記第1突起は、前記バネ部の前端部を覆っている、請求項1または請求項2に記載の端子金具。
【請求項4】
前記バネ部は、前端から後端へ向かって片持ち状に延出している、請求項3に記載の端子金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1~13に記載されているように、筒状部を有する端子金具が知られている。筒状部には、相手端子金具のタブが挿入される。筒状部の内側には、相手端子金具のタブと接触する接触部が設けられている。接触部は、弾性変位した状態で相手端子金具のタブに接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-216322号公報
【特許文献2】特開2001-266989号公報
【特許文献3】特開2002-246092号公報
【特許文献4】特開2003-331964号公報
【特許文献5】特開2010-27336号公報
【特許文献6】特開2014-120257号公報
【特許文献7】特開2001-210416号公報
【特許文献8】特開2002-270269号公報
【特許文献9】特開2000-36350号公報
【特許文献10】特開2015-50131号公報
【特許文献11】特開2021-44075号公報
【特許文献12】特開2016-54079号公報
【特許文献13】特開2021-18865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような構成の端子金具は、相手端子金具との接続状態において相手端子金具のタブのガタつきを制限し、耐振動性を向上させたいという課題があった。
【0005】
そこで、本開示は、耐振動性を向上させることが可能な端子金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の端子金具は、相手端子金具のタブが前端のタブ挿入口から挿入される筒状部と、前記筒状部の内側に設けられ、弾性変位した状態で前記タブに接触するバネ部と、前記筒状部のうち前記バネ部と前記タブとの接点よりも前側に設けられ、前記相手端子金具との接続状態において前記タブとの間隔を詰めた状態になり、前記タブのガタつきを規制する規制部と、を備えているものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、耐振動性を向上させることが可能な端子金具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかるコネクタの端子金具と相手端子金具との接続状態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、端子金具を示す断面図であって、
図2のA-A位置における断面に相当する断面図
【
図7】
図7は、端子金具を示す断面図であって、
図2のB-B位置における断面に相当する断面図
【
図8】
図8は、端子金具の展開状態を示す図である。
【
図9】
図9は、端子金具と相手端子金具との接続状態を示す一部拡大断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2にかかる端子金具を示す正面図である。
【
図11】
図11は、端子金具を示す断面図であって、
図10のC-C位置における断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の端子金具は、相手端子金具のタブが前端のタブ挿入口から挿入される筒状部と、前記筒状部の内側に設けられ、弾性変位した状態で前記タブに接触するバネ部と、前記筒状部のうち前記バネ部と前記タブとの接点よりも前側に設けられ、前記相手端子金具との接続状態において前記タブとの間隔を詰めた状態になり、前記タブのガタつきを規制する規制部と、を備えているものである。このような構成によれば、タブのうちバネ部との接点よりも前側は、規制部によってクリアランスを小さくしているから、振動等によるガタつきを抑制できる。これによって、相手端子金具の揺れは抑制されるから、耐振動性を向上させることができる。
(2)上記(1)に記載の端子金具において、前記規制部は、前記バネ部の弾性変位方向の一方の側に設けられた第1突起と、他方の側に設けられた第2突起とを有していることが好ましい。このような構成によれば、第1突起と第2突起とによってクリアランスを小さくしているから、振動等によるタブのガタつきを効果的に抑制できる。
(3)上記(1)または(2)に記載の端子金具において、前記規制部は、前記筒状部のうち前記バネ部が設けられている側の壁部から内側へ延出した第1突起を有し、前記第1突起は、前記バネ部の前端部を覆っていると良い。このような構成によれば、相手端子金具と端子金具とを接続する際、相手端子金具のタブは、規制部によって、バネ部の前端部にあたりにくくなる。したがって、バネ部の変形等を防止できる。
(4)上記(3)に記載の端子金具において、前記バネ部は、前端から後端へ向かって片持ち状に延出していると良い。このような構成によれば、相手端子金具と端子金具とを接続する際、相手端子金具のタブは、規制部によって、バネ部の固定端にあたりにくくなる。したがって、バネ部の変形等を防止できる。
【0010】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端子金具の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
[実施形態1]
端子金具10は、
図1に示すように、ハウジング15に収容される。端子金具10及びハウジング15は、コネクタ16を構成する。コネクタ16は、相手コネクタ100と嵌合可能である。相手コネクタ100は、相手ハウジング101と、相手端子金具102とを備えている。端子金具10及び相手端子金具102はいずれも導電性の金属板を折り曲げ加工して形成されている。
【0012】
相手ハウジング101は、フード部103を有している。相手端子金具102は、相手ハウジング101のキャビティ105に収容されている。相手端子金具102は、雄型の端子金具であり、棒状に形成されたタブ104を有している。
【0013】
ハウジング15は、フード部103の内側に嵌合する。端子金具10は、雌型の端子金具であり、筒状部20と、バネ部11と、規制部50と、バレル部12と、を備えている。相手端子金具102のタブ104は、筒状部20の前端のタブ挿入口13から筒状部20の内部に挿入される。バネ部11は、弾性変位した状態でタブ104に接触する。規制部50は、端子金具10と相手端子金具102との接続状態においてタブ104との上下の間隔を詰めた状態になり、タブ104のガタつきを規制する。以後、端子金具10と相手端子金具102との接続状態を単に接続状態と称する場合がある。バレル部12は、電線14の端末部にかしめ付けられている。
【0014】
以下、端子金具10を構成する各部材において、筒状部20が設けられている側を前側、バレル部12が設けられている側を後側、バネ部11が設けられている側を上方、その反対側を下方として説明する。各図において、X軸の正方向側は左側、X軸の負方向側は右側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、Z軸の正方向側は前側、Z軸の負方向側は後側を示す。Y軸は、バネ部11の弾性変位方向と平行である。Z軸は、端子金具10と相手端子金具102との接続方向、及び筒状部20の軸線と平行である。「平行」は、厳密に平行な状態に加えて、概ね平行な状態を含む。
【0015】
筒状部20は、
図2に示すように、角筒状をなしている。筒状部20は、第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23及び第4壁部24を有している。第1壁部21と第2壁部22とは上下方向に対向している。第3壁部23と第4壁部24とは左右方向に対向している。タブ挿入口13は、筒状部20の前端に形成されている。タブ挿入口13は、第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23及び第4壁部24によって四方を囲まれた開口である。筒状部20の後端には、ハウジング15のリテーナ15Rが係止する(
図1参照)。
【0016】
第1壁部21は、
図2に示すように、上下に重ねられた外壁25及び内壁26を有している。外壁25は、第3壁部23の上縁から右側に折り曲げられている。内壁26は、第4壁部24の上縁から左側に折り曲げられている。
【0017】
第1壁部21は、
図2に示すように、スタビライザ27、ランス28及び第1突起51を有している。第1突起51は、上側の規制部50を構成している。第1突起51については後ほど詳しく説明する。
【0018】
スタビライザ27は、第1壁部21の上面から上方に突出して設けられている。スタビライザ27は、第1壁部21の右端部に設けられている。スタビライザ27は、外壁25を折り曲げて形成されている。スタビライザ27は、
図3に示すように、端子金具10の前端部に設けられている。スタビライザ27の前面は、前側から後側に向かって上向きに傾斜している。スタビライザ27は、ハウジング15に設けられた案内溝に嵌って端子金具10の姿勢を安定させる。
【0019】
ランス28は、
図3に示すように、第1壁部21の上面から上方に突出して設けられている。ランス28は、外壁25の後部を上側へ折り曲げて形成されている。ランス28は、前端から後端に向かって上向きに傾斜している。ランス28は、前端を固定端、後端を自由端とした片持ち状をなしている。ランス28は、上下方向に弾性変位可能である。ランス28の後端は、ハウジング15に設けられた係止部19の前面に係止する(
図1参照)。ランス28は、左側縁から下側に折り曲げられた側縁部29を有している。
【0020】
第2壁部22は、
図2に示すように、第2突起52及び受け部31を有している。第2突起52は、下側の規制部50を構成している。第2突起52については後ほど詳しく説明する。受け部31は、第2壁部22の上面から上方に突出して設けられている。受け部31は、第2壁部22の一部を打ち出すことによって形成されている。受け部31は、
図4に示すように、前後方向に延びている。受け部31の前端は、バネ部11の接点部11Pよりも前側に位置している。受け部31の後端は、バネ部11の接点部11Pよりも後側に位置している。
【0021】
第3壁部23は、
図3に示すように、第1支持部32、第2支持部33及び逃げ部34を有している。第1支持部32は、第3壁部23の前端部に設けられている。第1支持部32は、左側から見ると、前後方向に長い形状をなす切欠きの下縁である。第1支持部32は、内壁26とバネ部11との屈曲箇所である屈曲部35を支持している(
図2参照)。
【0022】
第2支持部33は、第1支持部32の後側に設けられている。第2支持部33は、内壁26に設けられた突片36を支持している(
図5参照)。これによって、内壁26の下方への変位は制限されている。逃げ部34は、ランス28の側縁部29の下側に形成されている。ランス28は、側縁部29を逃げ部34へ進入させ、下方へ弾性変位する。
【0023】
第4壁部24は、
図6に示すように、開き止め部37及び保護部38を有している。開き止め部37は、止め片39を切欠き41に嵌め合わせて構成されている。止め片39は、外壁25の右縁から下側に折り曲げて形成されている。切欠き41は、第4壁部24に形成されている。開き止め部37によって、外壁25の上方への開き変形は制限されている。保護部38は、ランス28の側縁部29とは反対側に配置されている。保護部38は、右側からランス28を保護している。
【0024】
第3壁部23及び第4壁部24は、
図2に示すように、筒状部20の内側に突出した突起部42を有している。突起部42は、筒状部20の左右方向中心を基準に左右対称である。突起部42は、第3壁部23及び第4壁部24の一部を叩き出して形成されている。突起部42の頂点は、弾性変形していない状態のバネ部11の接点部11Pの下端より下側に位置している。
【0025】
突起部42は、
図3及び
図6に示すように、第3壁部23及び第4壁部24のそれぞれに前後一対ずつ設けられている。前後の突起部42の上下方向の位置は揃っている。前側の突起部42は、
図3に示すように、第1支持部32と第2支持部33との間に位置している。後側の突起部42は、
図6に示すように、開き止め部37と保護部38との間に位置している。突起部42は、
図7に示すように、ドーム状をなして内側に突出している。前側の突起部42の突出寸法は、後側の突起部42の突出寸法よりも大きい。
【0026】
バネ部11は、
図4に示すように、筒状部20の内側に設けられている。バネ部11は、前端側から後端側へ向かって片持ち状に延出している。バネ部11の前端部は、内壁26に平行に沿っている。バネ部11は、上下方向に弾性変位可能である。バネ部11は、タブ104に接触する接点部11Pを有している。接点部11Pは、バネ部11の前後方向中心部において下側に膨出している。バネ部11は、前側から接点部11Pに向かって下側に傾斜している。バネ部11は、接点部11Pから後側に向かって上側に傾斜している。接点部11Pは、前後方向において後側の突起部42に近い位置に配置されている。接点部11Pは、前後方向においてランス28の前端に近い位置に配置されている。
【0027】
バネ部11の前端部は、
図2に示すように、屈曲部35において内壁26の前端部と繋がっている。バネ部11の前端部は、内壁26の左端から右側に折り曲げられて形成されている。
【0028】
バネ部11は、下側から見ると、
図7に示すように、前後方向に細長く延びている。バネ部11の左右両縁は、第3壁部23及び第4壁部24と平行に延びている。バネ部11の左右両縁は、屈曲部35を除き、筒状部20の第3壁部23及び第4壁部24から離れている。バネ部11の後端部の左右方向の寸法は、前側の部分よりも小さくなっている。バネ部11の前端部には、凹部43が設けられている。凹部43は、下側から見ると、左右方向に長い長方形状である。凹部43には、第1突起51が嵌まっている(
図7参照)。
【0029】
規制部50は、
図4に示すように、筒状部20の前端部に設けられている。規制部50は、第1突起51及び第2突起52を有している。第1突起51は、第1壁部21に設けられている。第1突起51は、第1壁部21の下面よりも下側に突出している。第1突起51は、内壁26の前縁から下側に折り曲げて形成されている。第1突起51は、前側から後側に向かって下方に傾斜している。第1突起51は、凹部43に配置されている。第1突起51は、筒状部20の前端よりも後側に配置されている。第1突起51は、内壁26の下面から下方に突出した部分である。
【0030】
第1突起51は、
図2に示すように、筒状部20の左右方向中心部に設けられている。第1突起51は、バネ部11の前方を覆っている。第1突起51は、内壁26からバネ部11の前端部の下面まで延びている。
【0031】
第2突起52は、
図2に示すように、第2壁部22に設けられている。第2突起52は、第2壁部22の一部を上側に叩き出して形成されている。第2突起52は、第2壁部22の上面より上側に突出している。第2突起52の頂点は、受け部31の上面よりも少し下側に位置している。
【0032】
第2突起52の頂点は、
図4に示すように、第1突起51の下端の真下に位置している。第2突起52の頂点は、タブ104の下面に沿うように平らな面を有している。第2突起52は、筒状部20の前端よりも少し後側に入った位置に設けられている。第2突起52は、受け部31の前端から前方に少し離れて配置されている。
【0033】
図4に示すように、第1突起51と第2突起52との間の間隔H2は、筒状部20の上下方向の寸法H1よりも小さい。第1突起51と第2突起52との間の間隔H2は、第1突起51の下端と第2突起52の頂点との間のY軸に平行な寸法である。筒状部20の上下方向の寸法H1は、筒状部20の前端における第1壁部21の下面と第2壁部22の上面との間のY軸に平行な寸法である。
【0034】
規制部50によって、タブ挿入口13の上下方向の寸法は狭められている。つまり規制部50によって、タブ挿入口13におけるタブ104の上側及び下側のクリアランスは小さくなっている。
【0035】
次に、曲げ加工する前の端子金具10の展開状態について説明する。端子金具10は、
図8に示すような形状に打ち抜いた金属板を、折り曲げ線で折り曲げることで形成されている。
図8には、折り曲げ線を一点鎖線で示す。
【0036】
第2壁部22は、バレル部12の前側に連なっている。第4壁部24は、第2壁部22の右側に連なっている。内壁26は、第4壁部24の右側に連なっている。内壁26の前端部とバネ部11の前端部とは屈曲部35において連なっている。第3壁部23は、第2壁部22の左側に連なっている。外壁25は、第3壁部23の左側に連なっている。バネ部11、内壁26、第4壁部24、第2壁部22、第3壁部23、及び外壁25の前端縁は、同一の直線L上に配置されている。端子金具10の展開状態において、直線Lよりも前方に突出しているのは、第1突起51の一部のみである。これによって、端子金具10の材料取りを良くできる。第1突起51の後端の折り曲げ線は、直線Lよりも後側に位置している。バネ部11の左右両縁は、突片36のような突出部分を有していない。これによって、端子金具10の材料取りを良くできる。
【0037】
次に、端子金具10と相手端子金具102とを接続する作業の一例について説明する。
図9に示すように、端子金具10はハウジング15のキャビティ18に収容されている。相手端子金具102は相手ハウジング101のキャビティ105に収容されている。端子金具10のタブ挿入口13は、ハウジング15に形成された端子挿入口17の後方に配置されている。
【0038】
ハウジング15を相手ハウジング101のフード部103に嵌合する。この際、例えば電線が引っ張られる等によって相手端子金具102が傾き、タブ104が斜め上向きになってタブ挿入口13に突入しようとする場合がある。このような場合、バネ部11の前端は、第1突起51によって覆われているから、タブ104の先端がバネ部11の前端部に当たることを防止できる。ここで、仮にタブの先端がバネ部の前端に当たった場合、バネ部の全体が後方にずれたり、バネ部が変形したりするおそれがある。バネ部が後方にずれたり変形したりすることによって、接点部が後方にずれた場合、接続代が不足する可能性がある。接続代は、接続状態におけるタブの先端からバネ部との接点までのZ軸に平行な距離である。しかしながら、端子金具10は、タブ104の先端がバネ部11に当たることを防止できるから、接続代を十分に確保できる。
【0039】
タブ104は、第1突起51によって筒状部20の内側へ案内され、第1突起51と第2突起52との間を通って筒状部20の奥側へ挿入される。タブ104は、接点部11Pに接触し、これによってバネ部11は上方へ弾性変位する。やがて、端子金具10と相手端子金具102とは接続状態になり、コネクタ16と相手コネクタ100とは正規の嵌合状態になる。接続状態においてタブ104の先端は、受け部31の後端よりも後側に位置している。タブ104は、接点部11Pと受け部31とによって上下方向の変位を制限される。タブ104は、接点部11Pよりも前側において、第1突起51と第2突起52とによって上下方向の変位を制限される。タブ104は、規制部50と接点部11Pとの前後2箇所において上下方向の変位を制限され、ガタつきを抑制される。また、タブ104は左右の突起部42によって左右のガタつきを抑制される。
【0040】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。端子金具10は、筒状部20と、バネ部11と、規制部50と、を備えている。相手端子金具102のタブ104は、筒状部20の前端のタブ挿入口13から挿入される。バネ部11は、筒状部20の内側に設けられ、弾性変位した状態でタブ104に接触する。規制部50は、筒状部20のうちバネ部11とタブ104との接点よりも前側に設けられている。規制部50は、相手端子金具102との接続状態においてタブ104との間隔を詰めた状態になり、タブ104のガタつきを規制する。この構成によれば、タブ104のうちバネ部11との接点よりも前側は、規制部50によってガタつきを抑制される。これによって、相手端子金具102の揺れは抑制されるから、耐振動性を向上させることができる。
【0041】
規制部50は、バネ部11の弾性変位方向(上下方向)の一方の側に設けられた第1突起51と、他方の側に設けられた第2突起52とを有している。この構成によれば、タブ104のガタつきを効果的に抑制できる。
【0042】
規制部50は、第1壁部21から内側へ延出した第1突起51を有している。第1突起51は、バネ部11の前端部を覆っている。この構成によれば、相手端子金具102と端子金具10とを接続する際、相手端子金具102のタブ104は、規制部50によって、バネ部11の前端部にあたりにくくなる。したがって、バネ部11の位置がずれること等を防止できる。
【0043】
バネ部11は、前端から後端へ向かって片持ち状に延出している。この構成によれば、相手端子金具102と端子金具10とを接続する際、相手端子金具102のタブ104は、規制部50によって、バネ部11の固定端にあたりにくくなる。したがって、バネ部11の位置がずれること等を防止できる。
【0044】
[実施形態2]
次に、本開示を具体化した実施形態2に係る端子金具70を
図10~
図12によって説明する。本実施形態の端子金具70は、外壁25の前縁から下側に折り曲げて形成した第1突起71を有している点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0045】
端子金具70は、実施形態1と同様、筒状部20と、バネ部11と、規制部50と、バレル部12と、を備えている。筒状部20は、実施形態1と同様、第1壁部21、第2壁部22、第3壁部23及び第4壁部24を有している。規制部50は、実施形態1と同様、第1突起71及び第2突起52を有している。
【0046】
第1突起71は、
図10に示すように、スタビライザ27の左側に設けられている。第1突起71は、バネ部11の前端部を覆っている。第1突起71は、外壁25からバネ部11の下面まで延びている。
【0047】
第1突起71は、
図11に示すように、垂下部72と押さえ部73とを有している。垂下部72は、外壁25の前端から内壁26の前面及びバネ部11の前面に沿って下方へ垂下している。垂下部72は、凹部43に配置されている。凹部43は、内壁26の前端部及びバネ部11の前端部に設けられている。押さえ部73は、垂下部72の下端から後方に折り曲げて形成されている。押さえ部73は、バネ部11の前端部の下面に沿って延びている。押さえ部73は、バネ部11の前端部を上方に押さえている。第1突起71によって屈曲部35における開き変形は制限されている。
【0048】
第1突起71は、
図12に示すように、展開状態の端子金具70において、第1突起71は、直線Lよりも後方の位置から前方に延びている。バネ部11の左右両縁は、実施形態1と同様、突片36のような突出部分を有していない。これによって、端子ピッチを小さくでき、端子金具70の材料取りを良くできる。
【0049】
以上のように本実施形態における端子金具70は、実施形態1と同様、筒状部20と、バネ部11と、規制部50と、を備えているから、タブ104のうちバネ部11との接点よりも前側は、規制部50によって遊動を抑制される。これによって、実施形態1と同様、相手端子金具102の揺れは抑制されるから、耐振動性を向上させることができる。
【0050】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、規制部50は第1突起51(71)と第2突起52とを有しているが、他の実施形態としては、第1突起及び第2突起のいずれか一方の突起のみを有していても良い。
上記実施形態の場合、バネ部11は前端から後端へ向かって片持ち状に延出しているが、他の実施形態としては、バネ部は後側から前側へ向かって片持ち状に延出していてもよいし、前後両端に固定端を有する両持ち状であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
H1…筒状部の上下方向の寸法
H2…第1突起と第2突起との間の間隔
10…端子金具
11…バネ部
11P…接点部
12…バレル部
13…タブ挿入口
14…電線
15…ハウジング
15R…リテーナ
16…コネクタ
17…端子挿入口
18…キャビティ
19…係止部
20…筒状部
21…第1壁部
22…第2壁部
23…第3壁部
24…第4壁部
25…外壁
26…内壁
27…スタビライザ
28…ランス
29…側縁部
31…受け部
32…第1支持部
33…第2支持部
34…逃げ部
35…屈曲部
36…突片
37…開き止め部
38…保護部
39…止め片
41…切欠き
42…突起部
43…凹部
50…規制部
51…第1突起
52…第2突起
70…端子金具
71…第1突起
72…垂下部
73…押さえ部
100…相手コネクタ
101…相手ハウジング
102…相手端子金具
103…フード部
104…タブ
105…キャビティ