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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117947
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】印刷トレイおよび印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 13/10 20060101AFI20240823BHJP
   B65H 5/00 20060101ALI20240823BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B41J13/10
B65H5/00 P
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024063
(22)【出願日】2023-02-20
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLU―RAY DISC
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】村田 昌弘
【テーマコード(参考)】
2C056
2C059
3F101
【Fターム(参考)】
2C056HA27
2C059DD03
2C059DD06
2C059DD24
2C059DD30
3F101FA06
3F101LA07
3F101LB07
(57)【要約】
【課題】媒体へのインク汚れの付着を回避し、また、メンテナンスに要するユーザーの手間を軽減する。
【解決手段】印刷装置に対して着脱可能であり、インクにより印刷される媒体を載置するための印刷トレイであって、前記媒体を固定可能な固定部を備えて前記媒体が載置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面とを有し、前記媒体の縁と接しない載置部と、前記載置部に載置される前記媒体の前記縁の周囲において前記縁から離間している周縁部と、前記載置部と前記周縁部との間に打ち捨てられたインクを受容するインク受容体を前記第2面と対向する位置に着脱可能に保持する保持部と、を有する本体部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置に対して着脱可能であり、インクにより印刷される媒体を載置するための印刷トレイであって、
前記媒体を固定可能な固定部を備えて前記媒体が載置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面とを有し、前記媒体の縁と接しない載置部と、
前記載置部に載置される前記媒体の前記縁の周囲において前記縁から離間している周縁部と、前記載置部と前記周縁部との間に打ち捨てられたインクを受容するインク受容体を前記第2面と対向する位置に着脱可能に保持する保持部と、を有する本体部と、
を備えることを特徴とする印刷トレイ。
【請求項2】
前記保持部は、規格で定められたサイズの用紙を前記インク受容体として保持可能なサイズに形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷トレイ。
【請求項3】
前記保持部は、開口部を有し、前記開口部を介して前記インク受容体を着脱する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷トレイ。
【請求項4】
前記開口部は、前記印刷トレイを前記印刷装置へ挿入して装着するときの挿入方向に対して開口している、ことを特徴とする請求項3に記載の印刷トレイ。
【請求項5】
前記保持部は、前記第2面よりも下方に位置し前記第1面と平行な第3面と、前記周縁部と前記第3面とを繋ぐ第4面と、を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷トレイ。
【請求項6】
前記載置部は、前記本体部と連結部を介して接続されており、
前記連結部は、前記第1面よりも下方に位置する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷トレイ。
【請求項7】
前記連結部はメッシュ構造である、ことを特徴とする請求項6に記載の印刷トレイ。
【請求項8】
前記第1面のサイズは、規格で定められたプラスチックカードのサイズよりも小さい、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷トレイ。
【請求項9】
前記第1面のサイズは、円盤状の光ディスクの規格の中で最小のサイズよりも小さい、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷トレイ。
【請求項10】
請求項1に記載の印刷トレイが装着された印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷トレイおよび印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターにより特定のサイズや形状の媒体に印刷をするために、そのような媒体を載置した状態でプリンターに装着されるトレイが知られている。
【0003】
関連技術として、記録媒体を保持するアダプターが載置されたトレイを、搬送手段により搬送し、トレイに搭載された記録媒体の印刷面に記録手段により記録し、記録が行われた記録媒体がトレイから取り外されることによって印刷物を作製することが可能な記録装置が開示されている(特許文献1参照)。前記文献1には、記録媒体に対して縁までインクが付着するようにインクを吐出する、いわゆる縁無し印刷において、記録媒体の外側に打たれたインクを吸収可能なように、アダプターとしての台紙にはインク受容層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020‐19228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記文献1のように媒体がアダプターに載置されてアダプターに接触する構成では、アダプターのインク汚れが媒体に付着する虞があった。また、媒体に応じた専用のアダプターを媒体毎に交換するメンテナンスの手間も大きかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷装置に対して着脱可能であり、インクにより印刷される媒体を載置するための印刷トレイは、前記媒体を固定可能な固定部を備えて前記媒体が載置される第1面と、前記第1面の裏面である第2面とを有し、前記媒体の縁と接しない載置部と、前記載置部に載置される前記媒体の前記縁の周囲において前記縁から離間している周縁部と、前記載置部と前記周縁部との間に打ち捨てられたインクを受容するインク受容体を前記第2面と対向する位置に着脱可能に保持する保持部とを有する本体部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷装置等の外観を簡易的に示す斜視図。
図2】印刷トレイを上方からの視点により簡易的に示す図。
図3】印刷トレイの断面図。
図4】印刷トレイの斜視図。
図5図2とは異なる例の印刷トレイを上方からの視点により簡易的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0009】
図1は、本実施形態にかかる印刷装置10等の外観を簡易的に斜視図により示している。印刷装置10は、有彩色や無彩色の各種インクやその他の液体のドットを媒体へ吐出して印刷を実行する、インクジェット式のプリンターである。このようなプリンターについては、公知であるため説明を適宜省略する。図において、X方向は前後方向、Y方向は左右方向、Z方向は上下方向をそれぞれ指す。
【0010】
印刷装置10の一面、例えば前面11の所定位置には、印刷トレイ20を挿入可能な挿入口12が設けられている。印刷装置10のデザインにもよるが、挿入口12は、例えば、前面11の一部あるいは全部を覆うカバーをユーザーが開けることで外部に露出するようになっている。
【0011】
図1では、印刷トレイ20を板状の物体としてごく簡単に示しているが、本実施形態にかかる印刷トレイ20の構成については、図2~5を参照して後述する。印刷トレイ20は、印刷装置10に対して着脱可能であり、インクにより印刷される媒体を載置するための専用のトレイである。図1によれば当然に、印刷トレイ20および印刷装置10の組み合わせ、つまり印刷トレイ20が装着された印刷装置10も把握することができる。
【0012】
ユーザーは、媒体を載置した状態の印刷トレイ20を挿入口12から印刷装置10へ挿入する。挿入された印刷トレイ20は、印刷装置10が備える不図示の搬送手段により印刷装置10内へ搬送される。そして、印刷装置10内の不図示のインクジェットヘッドにより、媒体への印刷が実行された後、印刷トレイ20は、挿入されたときと逆方向への搬送により挿入口12から印刷装置10外へ排出される。この結果、ユーザーは、印刷トレイ20上の印刷結果物としての媒体を得ることができる。
【0013】
印刷トレイ20に載置されて印刷の対象となる媒体は、例えば、ICカード等のプラスチックカードや、円盤状の光ディスクである。光ディスクは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)などの、印刷可能な面を有する光学ディスクが挙げられる。印刷トレイ20に載置可能な媒体は、プラスチックカードや光ディスク以外のサイズや素材の媒体であってもよい。言うまでもないが、印刷装置10は、印刷トレイ20以外の媒体供給手段、つまり印刷装置10が備える不図示の給紙カセットや給紙トレイ等から供給される用紙等の媒体に対して、ユーザー所望の印刷を実行可能である。
【0014】
図2は、印刷トレイ20を上方からの視点により簡易的に示している。印刷トレイ20は、概略、媒体30が載置される載置部22と、載置部22の周囲を囲む本体部21とを有する。図2では、理解し易いように、本体部21および載置部22をグレー色で塗っている。また図2では、載置部22に載置された媒体30の形状を2点鎖線で示している。
【0015】
載置部22の上面は、媒体30が載置される第1面23である。第1面23は、媒体30を固定可能な固定部24を備えている。固定部24は、媒体30が動かないように第1面23上に媒体30を一時的に固定できる手段であればよい。固定部24は、例えば、粘着物質による粘着力や、吸盤や静電気による吸着力や、あるいは負圧による吸引力によって、媒体30をある程度の力で固定する。負圧を発生させるための吸引手段は、印刷トレイ20が内部へ装着された印刷装置10内に用意されていてもよい。また、媒体30が後述の図5に示すように光ディスクであれば、光ディスクの中央の丸穴に嵌められて光ディスクを固定する一般的な固定具も、固定部24の一種である。
【0016】
第1面23は、基本的には媒体30の下面の一部と接して媒体30を支持する。ただし、第1面23が媒体30へ直に接する構成でなくてもよい。例えば、固定部24に媒体30が固定されている状態では、第1面23と媒体30の下面との間に若干の隙間があってもよい。
【0017】
本体部21の内側の縁、つまり本体部21の載置部22を囲む縁を、周縁部25と呼ぶ。X方向およびY方向において、載置部22と周縁部25とは離間している。言い換えると、載置部22の周囲には全周に亘って周縁部25との間に隙間が形成されている。
載置部22は、媒体30の縁と接しない。つまり、第1面23のサイズは、載置されることが想定される媒体30の中で最小サイズの媒体30よりも小さい。これにより、印刷トレイ20に載置された媒体30に対して、印刷装置10がいわゆる縁無し印刷を実行したとき、媒体30の縁よりも外に吐出されたインクが第1面23に落ちて第1面23を汚すということが無い。
【0018】
図2に示す印刷トレイ20に載置される最小サイズの媒体30は、例えば、プラスチックカードである。プラスチックカードは、ICカードや身分証等、様々な用途のカードとして広く使用されている。プラスチックカードのサイズはJIS規格で定められており、長辺85.6mm×短辺54mmである。従って、図2の例では、第1面23のサイズは、規格で定められたプラスチックカードのサイズよりも小さい。そのため、第1面23に媒体30としてプラスチックカードが載置された場合であっても、媒体30の4辺の縁は、第1面23の外側にはみ出して、載置部22に接触しない。
【0019】
本体部21の周縁部25は、載置部22に載置される媒体30の周囲において、媒体30の縁から離間している。言い換えると、周縁部25が区画する範囲は、載置部22に載置されることが想定される媒体30の中で最大サイズの媒体30よりも大きい。従って、印刷トレイ20に載置された媒体30に対して縁無し印刷を実行したとき、媒体30の縁よりも外に吐出されたインクは、載置部22と周縁部25との間に打ち捨てられる。
【0020】
印刷トレイ20の構造上、載置部22自体を支持する必要がある。そこで、載置部22は、本体部21と連結部26を介して接続されている。つまり、載置部22は、周囲の複数箇所で、連結部26を介して本体部21に支持されている。連結部26は、棒や板であってもよいが、例えばメッシュ構造の部材である。連結部26をメッシュ構造とすることで、打ち捨てられたインクが連結部26に溜まらずに落下するようになる。
図2の例では、印刷トレイ20は、同時に2枚の媒体30を載置できるように、載置部22をX方向において2か所に有している。むろん、印刷トレイ20は、同時に3枚以上の媒体30を載置可能な構成であってもよいし、逆に1枚しか媒体30を載置できない構成であってもよい。
【0021】
図3は、X方向に垂直な面であって、載置部22を通過する面による断面図を簡易的に示している。図3によれば、載置部22の第1面23に媒体30が載置されている。図3からも、媒体30の縁が載置部22に接していないことが解る。載置部22の第1面23の裏面を、第2面27と呼ぶ。第2面27は、載置部22の下面である。本体部21は、載置部22と周縁部25との間に打ち捨てられたインクを受容するインク受容体40を第2面27と対向する位置に着脱可能に保持する保持部28を有する。従って、媒体30はインク受容体40に接しない。インク受容体40は、例えば、普通紙等の一般的な用紙であり、ユーザーは容易に入手可能である。図3によれば、保持部28は、インク受容体40を第2面27の下方に保持している。図2において、載置部22と周縁部25との間の、グレー色で塗っていない範囲は、インク受容体40の上面の一部に該当する。
【0022】
上述したように、載置部22は連結部26を介して本体部21に支持されている。図3では、連結部26による載置部22と本体部21との接続態様を2種類例示している。図示するように、連結部26は、周縁部25と載置部22とを繋ぐように形成されていてもよいし、本体部21の周縁部25よりも下方の位置と載置部22とを繋ぐように形成されていてもよい。いずれにしても連結部26は、Z方向において第1面23よりも下方に位置する。言うまでもなく連結部26は、載置部22および媒体30の重量を支持できる程度の強度や硬度を最低限有する。
【0023】
保持部28は、第2面27よりも下方に位置し第1面23と平行な第3面28aと、周縁部25と第3面28aとを繋ぐ第4面28bと、を備える。具体的には、本体部21は、左右両側において周縁部25よりも下方へ延伸する第4面28bと、第4面28bの下端からY方向において印刷トレイ20の内側に向かって突出する第3面28aとを有し、これら第3面28aおよび第4面28bが保持部28を形成する。第4面28bが周縁部25と第3面28aとを繋ぐとは、周縁部25を含む本体部21の一部と、第3面28aとの間に第4面28bが介在しているという意味である。
【0024】
図3の例では、第4面28bは、Y方向において周縁部25よりも印刷トレイ20の外側に位置している。インク受容体40は、左右の端部が左右の保持部28の第3面28aに載置された状態で、保持部28に保持される。第3面28aは載置部22の第1面23と平行であるため、インク受容体40は媒体30と平行な姿勢で保持される。むろん、本実施形態における平行とは、厳密な平行だけでなく、製品製造において生じる程度の誤差を含んだ意味である。
【0025】
保持部28は、規格で定められたサイズの用紙をインク受容体40として保持可能なサイズに形成されている。保持部28は、X方向における印刷トレイ20の長さに亘って連続して形成されているため、保持部28のサイズとは、Y方向における第4面28b,28b間の距離と、X方向における印刷トレイ20の長さとを指す。規格で定められたサイズの用紙とは、例えば、ISО規格やJIS規格で定められたA4やB4といったサイズ、あるいはこれらサイズの半分のサイズが挙げられる。いずれにしても、このような所定の規格で定められたサイズの用紙は、ユーザーが簡単に用意することができる。
【0026】
図4は、印刷トレイ20を前方からの斜視図により簡易的に示している。図4では、媒体30やインク受容体40や連結部26は省略している。保持部28は、開口部29を有し、開口部29を介してインク受容体40を着脱する。開口部29は、本体部21の前端と捉えることができる。つまり、保持部28を形成する第3面28a、第4面28bそれぞれの前端を含む、本体部21の前端が、開口部29を形成する。開口部29は、印刷トレイ20を印刷装置10へ挿入して装着するときの挿入方向、つまりX方向に対して開口している。
【0027】
従って、ユーザーは、印刷トレイ20の挿入方向に沿って開口部29からインク受容体40を印刷トレイ20へ挿入することで、保持部28にインク受容体40を保持させることができる。また、ユーザーは、開口部29からインク受容体40を手前に引っ張り出すことで保持部28からインク受容体40を取り出すことができる。
【0028】
図5は、図2~4とは異なる例にかかる印刷トレイ20を上方からの視点により簡易的に示している。図5については、図2~4を参照したこれまでの説明と異なる点のみ説明する。図5は、矩形の媒体30ではなく円盤状の光ディスクを媒体30として載置するための印刷トレイ20を示しており、上から見たときに載置部22および周縁部25が円形である点が、図2,4の例と異なる。図5では、載置部22の上面23に載置された円盤状の媒体30を2点鎖線で示している。
【0029】
図5においても、第1面23のサイズは、載置されることが想定される媒体30の中で最小サイズの媒体30よりも小さい。つまり、第1面23のサイズは、円盤状の光ディスクの規格の中で最小のサイズよりも小さい。光ディスクの最小のサイズとは、例えば、8cmCDあるいは3インチCD等と呼ばれる光ディスクである。そのため、図5に示す印刷トレイ20において、このような最小サイズの光ディスクが第1面23に媒体30として載置された場合であっても、媒体30の縁は、第1面23の外側にはみ出して、載置部22に接触しない。ただし、媒体30としての光ディスクを、その縁が載置部22に接触せず且つ周縁部25の内側に収まるように載置できるのであれば、第1面23や周縁部25の形状は図5のような円形でなくてもよい。
【0030】
このように本実施形態によれば、印刷装置10に対して着脱可能であり、インクにより印刷される媒体30を載置するための印刷トレイ20は、媒体30を固定可能な固定部24を備えて媒体30が載置される第1面23と、第1面23の裏面である第2面27とを有し、媒体30の縁と接しない載置部22と、載置部22に載置される媒体30の縁の周囲において前記縁から離間している周縁部25と、載置部22と周縁部25との間に打ち捨てられたインクを受容するインク受容体40を第2面27と対向する位置に着脱可能に保持する保持部28と、を有する本体部21と、を備える。
【0031】
前記構成によれば、印刷トレイ20に載置された媒体30に対して印刷装置10により縁無し印刷が実行された場合、媒体30の縁の外に吐出されたインクは、載置部22と周縁部25との間に打ち捨てられて、インク受容体40により受容される。載置部22の第1面23に載置された媒体30と、載置部22の第2面27と対向するインク受容体40とは、完全に離れているため、インク受容体40のインク汚れが媒体30に付着することが無い。また、インク受容体40の上に媒体30が載っておらず、インク受容体40は、保持部28により着脱可能に保持されているだけなので、ユーザーにとってインク受容体40の交換というメンテナンスが非常に簡単である。
【0032】
また、本実施形態によれば、保持部28は、規格で定められたサイズの用紙をインク受容体40として保持可能なサイズに形成されている、としてもよい。
前記構成によれば、ユーザーは、媒体30毎の形状やサイズに合わせた特別なインク受容体を用意する必要が無く、一般的に使用されるサイズの用紙をインク受容体40として保持部28にセットすることができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、保持部28は、開口部29を有し、開口部29を介してインク受容体40を着脱する、としてもよい。
前記構成によれば、ユーザーは、開口部29からインク受容体40を保持部28へセットしたり、開口部29からインク受容体40を引き出したりすることができるため、保持部28に対してインク受容体40を簡単に着脱できる。
【0034】
また、本実施形態によれば、開口部29は、印刷トレイ20を印刷装置10へ挿入して装着するときの挿入方向に対して開口している、としてもよい。
前記構成によれば、開口部29へのインク受容体40の挿入は、印刷装置10への印刷トレイ20の挿入方向と同じ方向への挿入であるため、ユーザーは、自然な動作でインク受容体40の着脱をすることができる。また、印刷装置10にある程度挿入された状態の印刷トレイ20に対しても、ユーザーは開口部29からインク受容体40を挿入することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、保持部28は、第2面27よりも下方に位置し第1面23と平行な第3面28aと、周縁部25と第3面28aとを繋ぐ第4面28bと、を備えるとしてもよい。
前記構成によれば、保持部28は、第2面27よりも下方の位置で、インク受容体40を第1面23と平行に保持することができる。インク受容体40の姿勢が、媒体30が載置される第1面23に対して傾いていると、上から見たときのインク受容体40の面積が狭くなり、媒体30の周囲に打ち捨てられるインクを受容可能な面積が狭くなるが、インク受容体40を第1面23と平行に保持することでインク受容体40を最大限有効に使用することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態によれば、載置部22は、本体部21と連結部26を介して接続されており、連結部26は、第1面23よりも下方に位置するとしてもよい。
前記構成によれば、載置部22を本体部21の周縁部25よりも内側に支持するための連結部26を、第1面23よりも下に配置したため、連結部26が媒体30に干渉しない。
【0037】
また、本実施形態によれば、連結部26はメッシュ構造であるとしてもよい。
前記構成によれば、打ち捨てられたインクが連結部26に溜まらずに落下して、インク受容体40により受容される。
【0038】
また、本実施形態によれば、第1面23のサイズは、規格で定められたプラスチックカードのサイズよりも小さい、としてもよい。
前記構成によれば、媒体30としてプラスチックカードを第1面23に載置した場合であっても、媒体30の縁が載置部22よりも外側に出て載置部22に接しないようにすることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、第1面23のサイズは、円盤状の光ディスクの規格の中で最小のサイズよりも小さい、としてもよい。
前記構成によれば、媒体30として規格上の最小サイズの光ディスクを第1面23に載置した場合であっても、媒体30の縁が載置部22よりも外側に出て載置部22に接しないようにすることができる。
【0040】
特許請求の範囲においては、請求項同士の組み合わせの一部のみを記載しているが、本実施形態は、独立請求項と従属請求項との一対一の組み合わせだけでなく、当然に複数の従属請求項の各種組み合わせを開示範囲に含める。
また、これまでに説明した特徴を有する印刷トレイ20が装着された印刷装置10によれば、縁無し印刷により媒体30の縁よりも外側に吐出したインクをインク受容体40に受容させて、媒体30を汚さないようにすることができる。
【符号の説明】
【0041】
10…印刷装置、11…前面、12…挿入口、20…印刷トレイ、21…本体部、22…載置部、23…第1面、24…固定部、25…周縁部、26…連結部、27…第2面、28…保持部、28a…第3面、28b…第4面、29…開口部、30…媒体、40…インク受容体
図1
図2
図3
図4
図5