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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117950
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ラベルの製造方法及びラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/10 20060101AFI20240823BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240823BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240823BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20240823BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20240823BHJP
   G09F 3/04 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G09F3/10 J
B41J2/01 129
B41J29/00 H
B41M5/00 120
G09F3/00 E
G09F3/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024066
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】瀬口 賢一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 千草
(72)【発明者】
【氏名】竹内 恵実
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H186
【Fターム(参考)】
2C056EE17
2C056FB02
2C056FD20
2C056HA44
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AS08
2C061CK05
2C061CK10
2H186AB11
2H186BA08
2H186DA09
2H186FB04
2H186FB21
2H186FB34
2H186FB35
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB56
2H186FB57
(57)【要約】
【課題】剥がしやすさに優れるラベルの製造方法を提供すること。
【解決手段】ラベルの製造方法であって、基材に、活性エネルギー線硬化型組成物を付着させて、該活性エネルギー線硬化型組成物を硬化することで、ラベル剥がし用部を形成するラベル剥がし用部形成工程を備え、前記ラベル剥がし用部形成工程において、前記ラベル剥がし用部は、周囲よりも10μm以上高く形成される、製造方法。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルの製造方法であって、
基材に、活性エネルギー線硬化型組成物を付着させて、該活性エネルギー線硬化型組成物を硬化することで、ラベル剥がし用部を形成するラベル剥がし用部形成工程を備え、
前記ラベル剥がし用部形成工程において、前記ラベル剥がし用部は、周囲よりも10μm以上高く形成される、
製造方法。
【請求項2】
前記基材に、前記ラベルを切断するための切断部を形成する切断部形成工程をさらに備える、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記切断部が、ミシン目又は切れ込みである、
請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記切断部が、前記ラベル剥がし用部に隣接して形成される、
請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記切断部が、前記ラベル剥がし用部を挟むように形成される、
請求項2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記切断部形成工程において、前記切断部を少なくとも前記ラベルの端部に形成する、
請求項2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記ラベル剥がし用部形成工程において、前記ラベル剥がし用部を少なくとも前記ラベルの端部に形成する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記ラベル剥がし用部が、前記ラベルの一端から他端まで連続して形成される、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記基材が、シュリンクフィルムである、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記活性エネルギー線硬化型組成物が、フィラー及び/又は無機顔料を有する、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記活性エネルギー線硬化型組成物が、クリア組成物である、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記活性エネルギー線硬化型組成物が、単官能モノマーを含み、
前記単官能モノマーの含有量が、前記活性エネルギー線硬化型組成物が含む重合性化合物の総量に対して、40質量%以下である、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記ラベル剥がし用部形成工程において、インクジェットヘッドから、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出して、基材に付着させる、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記基材に、画像用活性エネルギー線硬化型組成物を付着させて、該画像用活性エネルギー線硬化型組成物を硬化することで、表示用画像を形成する画像形成工程をさらに備え、
前記画像用活性エネルギー線硬化型組成物と、前記活性エネルギー線硬化型組成物は、お互いに組成が異なる、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
前記画像用活性エネルギー線硬化型組成物が、単官能モノマーを含み、
前記単官能モノマーの含有量が、前記画像用活性エネルギー線硬化型組成物が含む重合性化合物の総量に対して、40質量%超である、
請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記基材から、前記ラベルを切り出す切り出し工程をさらに備える、
請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
基材と、
基材上に形成されたラベル剥がし用部と、を有し、
前記ラベル剥がし用部は、活性エネルギー線硬化型組成物により形成されたものであり、
前記ラベル剥がし用部は、周囲よりも10μm以上高い、
ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルの製造方法及びラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ペットボトル等の容器には商品名やデザインを表示するためのフィルムが巻き付けられていて、このフィルムには種々の工夫が施されている。例えば、特許文献1には、容器本体にフィルムが巻着されてなるフィルム付容器であって、フィルムの周面から突出したフィルム接合部が、容器本体の上下方向に形成されているフィルム付容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-067398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のフィルム付容器は、接合部がシュリンクフィルムの周面から起立した状態となっていて、見栄えが悪くなるという問題があった。また、接合部を摘まんでフィルムを引き剥がそうとすると、接合部が途中で切れてフィルムを完全に引き剥がすことができないという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のラベルの製造方法は、基材に、活性エネルギー線硬化型組成物を付着させて、該活性エネルギー線硬化型組成物を硬化することで、ラベル剥がし用部を形成するラベル剥がし用部形成工程を備え、前記ラベル剥がし用部形成工程において、前記ラベル剥がし用部は、周囲よりも10μm以上高く形成される、製造方法である。
【0006】
本発明のラベルは、基材と、基材上に形成されたラベル剥がし用部と、を有し、前記ラベル剥がし用部は、周囲よりも10μm以上高い、ラベルである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本実施形態に係るラベルの一態様を示す平面図である。
図1B図1AにおけるA-A’によって示される部分の断面の一態様を示す断面図である。
図1C図1AにおけるA-A’によって示される部分の断面の別の態様を示す断面図である。
図2A】本実施形態に係るラベルの別の態様を示す平面図である。
図2B図2AにおけるA-A’によって示される部分の断面の一態様を示す断面図である。
図2C図2AにおけるA-A’によって示される部分の断面の別の態様を示す断面図である。
図3】本実施形態に係るラベルの別の態様を示す平面図である。
図4】本実施形態に係るラベルの別の態様を示す平面図である。
図5】本実施形態で用いる記録装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0009】
1.ラベルの製造方法
本実施形態のラベルの製造方法は、基材20に、活性エネルギー線硬化型組成物を付着させて、該活性エネルギー線硬化型組成物を硬化することで、ラベル剥がし用部30を形成するラベル剥がし用部形成工程を備え、前記ラベル剥がし用部形成工程において、前記ラベル剥がし用部30は、周囲よりも10μm以上高く形成される、製造方法である。
【0010】
本実施形態においては、ラベル剥がし用部30を、周囲よりも10μm以上高く形成する。これにより、ラベル10をペットボトル容器等の物体に巻き付けたときに、ラベル用剥がし部30が凸部となる。そのため、ラベル10を製品に巻き付けた際に、巻き付けられたラベル10同士の表裏面の密着が部分的に阻害される。そのため、ラベル用剥がし部30を指でつまみやすくなり、結果的にラベル10を剥がしやすくなる。但し、ラベル10を剥がしやすくなる要因はこれに限定されない。
【0011】
図1Aに、本実施形態に係るラベルの一例の平面図を示す。ラベル10は、基材20と、基材20上に形成されたラベル剥がし用部30を有する。ラベル剥がし用部30は、端部20aに形成されたラベル剥がし用部31と、端部20a以外に形成されたラベル剥がし用部32と、を有してもよい。なお、端部20aは、ラベル10の端部であり、端部20aの幅W1は10mmであってもよい。
【0012】
図1B及び図1Cに、図1AにおけるA-A’によって示される部分の断面の断面図を示す。図1Bは、基材20の表面にラベル剥がし用部30が形成されており、ラベル剥がし用部30の周囲に任意の層40がない態様を示す。この態様において、「ラベル剥がし用部30は、周囲よりも10μm以上高く形成される」とは、基材20の表面とラベル剥がし用部30の上面との間の距離H1が10μm以上であることを意味する。
【0013】
一方で、図1Cは、基材20の表面に任意の層40とラベル剥がし用部30が形成されており、ラベル剥がし用部30の周囲に任意の層40が存在する態様を示す。この態様において、「ラベル剥がし用部30は、周囲よりも10μm以上高く形成される」とは、基材20の表面とラベル剥がし用部30の上面との間の距離H1と、基材20の表面と任意の層40の上面との間の距離H0との、差(H1-H0)が10μm以上であることを意味する。
【0014】
なお、任意の層40は、画像層や画像の下地層であってもよいし、コーティング層などであってもよい。また、ラベル剥がし用部30の周囲とは、ラベル剥がし用部30以外のラベル10上の領域であり、好ましくはラベル剥がし用部30以外のラベル10上の領域であって、ラベル剥がし用部30の端から10mmまでの距離にある領域と定義してもよい。
【0015】
以下、本実施形態のラベルの製造方法の各工程についてそれぞれ詳説する。
【0016】
1.1.ラベル剥がし用部形成工程
ラベル剥がし用部形成工程は、基材に、活性エネルギー線硬化型組成物を付着させて、該活性エネルギー線硬化型組成物を硬化することで、ラベル剥がし用部を形成する工程である。
【0017】
ラベル剥がし用部30の平面形状は、特に限定されないが、図1A等に示すように長方形状でもよく、楕円形状でもよく、長方形以外の四角形状でもよく、三角形状でもよく、その他多角形状でもよい。ここで「・・・状」とは、図形の角が丸まっていてもよく、図形の辺が曲線でもよいことを表す。また、以下「・・・状」は同様の意味を表す。
【0018】
ラベル剥がし用部30の平面形状が図1A等に示すように長方形状のとき、長尺な辺と平行な方向をX軸方向といい、短尺な辺と平行な方向をY軸方向というものとする。この際に、X軸方向と円筒状の製品の円周方向とが略並行となるように、円筒状の製品の側面にラベルを張るようにしてもよい。
【0019】
ラベル剥がし用部30は、図1A及び図3に示すように、Y軸方向に破線状に形成されてもよいし、図4に示すように、Y軸方向に実線状に形成されてもよい。また、このような線状に限らず、ラベル剥がし用部30は、図2Aに示すように、ラベル20の端部20aなどに部分的に形成されていてもよい。
【0020】
このなかでも、ラベルを剥がしやすくする観点から、図1A図2A図3、及び図4に示すように、ラベル剥がし用部30は、少なくともラベル20の端部20aに、位置することが好ましい。
【0021】
また、一つの連続したラベル剥がし用部30のX軸方向の長さは、特に限定されないが、好ましくは、1~20mmであり、2~15mmであり、5~10mmである。ラベル剥がし用部30のX軸方向の長さが上記範囲内であることにより、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、ラベル用剥がし部30が適度な幅で凸部となるため、よりラベル剥がし用部30を指でつまみやすくなり、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0022】
「一つの連続したラベル剥がし用部30」とは、図1A及び図3に示すように、ラベル剥がし用部30が破線状である場合には各点をいい、に図4に示すように、ラベル剥がし用部30が実線状である場合にはその実線全体をいうものとする。
【0023】
また、一つの連続したラベル剥がし用部30のY軸方向の長さは、特に限定されないが、好ましくはラベルのY軸方向の総長に対して、5%以上であり、10%以上であり、25%以上であり、50%以上であり、100%である。ラベル剥がし用部30のY軸方向の長さが上記範囲内であることにより、剥がしやすさがより向上する傾向にある。
【0024】
図1B図1C図2B図2Cに、ラベル剥がし用部30のX軸方向の断面図を示す。ラベル剥がし用部30のX軸方向の断面形状は、特に限定されないが、例えば、台形状でもよい。ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、ラベル用剥がし部30が凸部となり、よりラベル剥がし用部30を指でつまみやすくする観点からは、台形状であることが好ましく、長方形状であることがより好ましい。
【0025】
ラベル剥がし用部30の周囲に対する高さは、10μm以上であり、好ましくは、15μm以上であり、20μm以上であり、25μm以上である。ラベル剥がし用部30の高さが10μm以上であることにより、剥がしやすさがより向上する。また、ラベル剥がし用部30の周囲に対する高さは、好ましくは、100μm以下であり、90μm以下であり、80μm以下であり、70μm以下である。ラベル剥がし用部30の高さが100μm以下であることにより、ラベル剥がし用部の形成がより容易となる傾向にある。
【0026】
ラベル剥がし用部30の高さは、図1B及び図2Bのように、基材20が露出している場合はH1であり、図1C及び図2Cのように、基材20が被覆されている場合はH1-H0である。
【0027】
ラベル剥がし用部30の高さは、特に限定されないが、例えばマイクロメーターを用いて測定できる。具体的には、後述の方法で測定できる。
【0028】
ラベル剥がし用部30は、端部20aに形成されたラベル剥がし用部31及び端部20a以外に形成されたラベル剥がし用部32の少なくともいずれかを有してもよい。このなかでも、ラベル剥がし用部形成工程においては、ラベル剥がし用部31をラベル20の端部20aに少なくとも形成することが好ましい。これにより、ラベルの端部20aにおいてラベル用剥がし部31が凸部となるため、ラベル10を端から剥がしやすくなる傾向にある。
【0029】
また、ラベル剥がし用部30の形成態様の一例として、ラベル剥がし用部30は、図1Aに示すように断続的に且つY軸方向に直列的に複数設けてもよいし、千鳥状に複数設けてもよいし、図4に示すようにラベルの一端から他端まで連続的に且つY軸方向に直列的に設けてもよい。さらに、図示しないが、ラベル剥がし用部30は、X軸方向に、並行した複数の列として設けてもよい。その場合の各列は、Y軸方向に延伸する破線状であってもよいし、実線状であってもよい。そのほか、ラベル剥がし用部30は、X軸方向に代えて、Y軸方向に配列してもよく、その両方向に配置してもよい。
【0030】
このなかでも、図4に示すように、ラベル剥がし用部30が、ラベルの一端から他端まで連続的に且つY軸方向に直列的に設けられることがより好ましい。これにより、巻き付けられたラベル10同士の表裏面の密着がY軸方向全体にわたって阻害されるため、ラベル10の剥がしやすさがより向上する傾向にある。また、ラベル剥がし用部30は、その周囲の領域と比較して強度が高いため、ラベル剥がし用部30と、その周囲の領域と、の境界に沿って曲がらずに切断しやすくなる。ラベル剥がし用部30をラベルの一端から他端まで連続的に且つY軸方向に直列的に設けると、断続的に且つY軸方向に直列的に複数設けた場合と比較して、ラベル10をより剥がしやすくなり、ラベル剥がし用部30の強度がより向上し、よりラベル剥がし用部30と、その周囲の領域と、の境界に沿って曲がらずに切断しやすくなる。
【0031】
基材20に、活性エネルギー線硬化型組成物を付着させる方法は、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線硬化型組成物を基材20に塗布する塗布法、インクジェットヘッドから活性エネルギー線硬化型組成物を吐出して基材20に付着させるインクジェット法が挙げられる。このなかでも、インクジェット法が好ましい。これにより、ラベル剥がし用部30の形成位置や高さが調整しやすい。
【0032】
インクジェット法では、具体的には、インクジェットヘッド内に設けられた圧力発生手段を駆動させて、インクジェットヘッドの圧力発生室内に充填されたインク組成物をノズルから吐出させる。
【0033】
インクジェットヘッドとしては、ライン方式により記録を行うラインヘッドと、シリアル方式により記録を行うシリアルヘッドが挙げられる。
【0034】
ラインヘッドを用いたライン方式では、例えば、基材20の記録幅以上の幅を有するインクジェットヘッドを記録装置に固定する。そして、基材20を副走査方向(基材20の搬送方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、基材20上に活性エネルギー線硬化型組成物を付着させる。
【0035】
シリアルヘッドを用いたシリアル方式では、例えば、基材20の幅方向に移動可能なキャリッジにインクジェットヘッドを搭載する。そして、キャリッジを主走査方向(基材20の幅方向)に沿って移動させ、この移動に連動してインクジェットヘッドのノズルからインク滴を吐出させることにより、基材20上に活性エネルギー線硬化型組成物を付着させる。
【0036】
活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させる方法は、特に限定されないが、例えば、活性エネルギー線を照射して硬化させる方法である。活性エネルギー線としては、特に限定されないが、例えば、紫外線、エックス線、ガンマ線、電子線が挙げられる。活性エネルギー線としては、紫外線源が入手しやすく広く用いられている点、及び紫外線の放射による硬化に適した材料が入手しやすく広く用いられている点から、紫外線が好ましい。
【0037】
紫外線源としては、特に限定されないが、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、UV-LED、キセノンランプ、レーザー光源が挙げられる。
【0038】
1回の照射による活性エネルギー線硬化型組成物への照射エネルギーは、特に限定されないが、好ましくは50~1000J/cm2であり、50~500J/cm2であり、100~300J/cm2であり、150~300J/cm2である。1回の照射は1回の走査により行われる照射である。1回の照射による照射エネルギーが上記範囲内であることにより、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性が向上する傾向にある。
【0039】
活性エネルギー線硬化型組成物への照射強度は、特に限定されないが、好ましくは1~12mW/cm2であり、3~8mW/cm2であり、4~7mW/cm2である。照射強度が上記範囲内であることにより、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化性が向上する傾向にある。
【0040】
1.2.切断部形成工程
本実施形態に係るラベルの製造方法は、基材20に、ラベルを切断するための切断部50を形成する切断部形成工程を備えてもよい。切断部50を形成することにより、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、切断部50をきっかけとしてラベル10を切断しやすくなり、結果的にラベル10を剥がしやすくなる傾向にある。
【0041】
切断部50は、特に限定されないが、例えば、一定方向に貫通孔が断続的に形成されるミシン目、端部に形成される切り込みであってもよい。また、切断部50は、複数列のミシン目であってもよい。このとき、隣り合う列ミシン目が千鳥状に配置されてもよい。さらに、切断部50は、必ずしも貫通孔や切込み等のように基材20を貫通する必要はなく、基材20をハーフカット等したものであってもよい。
【0042】
切断部形成工程においては、切断部50をラベル20の端部20aに少なくとも形成することが好ましく、ラベル20の端辺に切断部50を形成することが好ましい。これにより、ラベルの端部20aにおいて切断部50をきっかけとしてラベル10を端から切断しやすくなり、結果的にラベル10を剥がしやすくなる傾向にある。
【0043】
切断部50のY軸方向の長さは、特に限定されないが、好ましくはラベルのY軸方向の長さの0.1%以上であり、1.0%以上であり、5.0%以上であり、10.0%以上であり、25.0%以上である。ラベル剥がし用部30のY軸方向の長さが上記範囲内であることにより、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、ラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0044】
切断部50は、図2Aに示すように、断続的に且つY軸方向に直列的に設けてもよいし、図3図4に示すように、断続的に且つY軸方向に直列的に複数列設けてもよいし、図示しないが、端部20a等の部分的に設けてもよい。これにより、ラベル10を切断しやすくなり、結果的にラベル10を剥がしやすくなる。
【0045】
切断部50を断続的に且つY軸方向に直列的に複数設けるとき、切断部50のうち少なくとも1つは、端部20aに存在するか、又は一部存在することが好ましい。切断部50のうち少なくとも1つは、端部20aに存在するか、又は一部存在することで、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、よりラベル10を切断しやすくなり、結果的にラベル10を剥がしやすくなる傾向にある。
【0046】
切断部50はラベル10上に任意の位置に形成できるが、ラベル剥がし用部30に隣接して形成されることが好ましい。切断部50がラベル剥がし用部30に隣接して形成されることにより、ラベル剥がし用部30の存在に起因するラベル10の剥がしやすさと、切断部50の存在に起因するラベル10の剥がしやすさと、の両方の影響を受けることができ、よりラベル10が剥がしやすくなる。
【0047】
ここで、隣接とは、特に限定されないが、例えば、図2Aに示す、切断部50とラベル剥がし用部30との距離W2が15mm以下であり、10mm以下であり、5mm以下であり、又は、1mm以下であることを示す。
【0048】
また、切断部50とラベル剥がし用部30の距離W2とは、より具体的には、図2B及び図2Cに示すように、切断部50のX軸方向のラベル剥がし用部30側の端から、ラベル剥がし用部30の中央まで、のX軸方向の距離をいう。
【0049】
切断部50は、ラベル10のX軸方向に複数存在してもよい。その場合、図3に示すように、少なくとも2つの切断部50が、ラベル剥がし用部30を挟んで、且つラベル剥がし用部30と隣接していることが好ましい。切断部50が上記のように存在することにより、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、よりラベル10が剥がしやすくなる傾向にある。
【0050】
切断部50を設けるために、種々の公知の方法を用いることができる。例えば、機械で切断部を設けてもよいし、手動でミシン目及び/又は切り込みを設けてもよい。具体的には、例えば、後述の方法で設けられる。
【0051】
1.3.画像形成工程
本実施形態に係るラベルの製造方法は、基材20上に後述の画像用活性エネルギー線硬化型組成物を付着させて、該画像用活性エネルギー線硬化型組成物を硬化することで、表示用画像60を形成する画像形成工程をさらに備えてもよい。
【0052】
画像用活性エネルギー線硬化型組成物を付着させる方法は、特に限定されないが、例えば、インクジェットヘッドから活性エネルギー線硬化型組成物を吐出して基材20に付着させるインクジェット法が挙げられる。
【0053】
また、ラベル剥がし用部形成工程及び画像形成工程は、ともに、インクジェット法を用いてもよい。これにより、活性エネルギー線硬化型組成物及び画像用活性エネルギー線硬化型組成物を基材20に付着させることで、ラベル剥がし用部と表示用画像とを同時に形成することができ好ましい。
【0054】
表示用画像60は、図1A等に示すように、ラベル10上の一部に存在していてもよく、ラベル10上全体に存在していてもよい。
【0055】
1.4.切り出し工程
本実施形態に係るラベルの製造方法は、基材20からラベル10を切り出す切り出し工程をさらに備えてもよい。この際、端部20aが、基材20の端部分であってもよく、そうでなくてもよい。
【0056】
長尺な基材20上に複数のラベル剥がし用部30をまとめて設け、必要に応じて切断部50、表示用画像60をまとめて設けた後に、切り出し工程を行ってラベル10を製造することにより、効率的にラベル10を大量生産することが可能になる。
【0057】
ラベル剥がし用部形成工程、切断部形成工程、画像形成工程、及び切り出し工程は、任意の順序で行ってよい。また、切断部形成工程は、ラベルの製造中に行ってもよいし、ラベルの製造後、ラベルをペットボトル容器等の物体に巻き付けた後に、切断部形成工程を行ってもよい。
【0058】
2.活性エネルギー線硬化型組成物
本実施形態に係る活性エネルギー線硬化型組成物は、重合性化合物を含み、フィラー及び/又は無機顔料を含んでもよい。重合性化合物は、単官能モノマーと、多官能モノマーと、を含んでもよい。ここで、活性エネルギー線硬化型組成物とは、活性エネルギー線を照射することにより硬化する組成物である。活性エネルギー線硬化型組成物を用いてラベル剥がし用部30を形成すると、ラベル剥がし用部30が厚く、且つ硬くなる傾向にあり、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、ラベル剥がし用部30を指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベル10を剥がしやすくなる傾向にある。
【0059】
活性エネルギー線としては、特に限定されないが、例えば、紫外線、エックス線、ガンマ線、電子線が挙げられる。活性エネルギー線としては、紫外線源が入手しやすく広く用いられている点、及び紫外線の放射による硬化に適した材料が入手しやすく広く用いられている点から、紫外線が好ましい。
【0060】
紫外線源としては、特に限定されないが、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、UV-LED、キセノンランプ、レーザー光源が挙げられる。
【0061】
以下、本実施形態に係る活性エネルギー線硬化型組成物について詳説する。
【0062】
2.1.重合性化合物
重合性化合物は、重合性官能基を1つもつ単官能モノマーと、重合性官能基を複数持つ多官能モノマーとを含んでもよい。各重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
2.1.1.単官能モノマー
本実施形態の単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、窒素含有単官能モノマー、多環炭化水素基を有する単官能アクリレート、芳香族基含有単官能モノマーが挙げられる。単官能モノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは40質量%以下であり、5~40質量%であり、10~40質量%であり、20~40質量%である。さらには30~40質量%である。単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0065】
単官能モノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは40質量%以下であり、さらには5~35質量%であり、10~30質量%である。さらには20~30質量%である。単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0066】
2.1.1.1.窒素含有単官能モノマー
窒素含有単官能モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルフォルムアミド、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルアセトアミド及びN-ビニルピロリドン等の窒素含有単官能ビニルモノマー;アクリロイルモルフォリン等の窒素含有単官能(メタ)アクリレートモノマー;(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩等の(メタ)アクリルアミド等の窒素含有単官能アクリルアミドモノマーが挙げられる。このなかでも、窒素含有単官能ビニルモノマー又は窒素含有単官能(メタ)アクリレートモノマーの何れかを含むことが好ましく、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、又はアクリロイルモルフォリンなどの含窒素複素環構造を有するモノマーがより好ましく、アクリロイルモルフォリンを含むことがさらに好ましい。
【0067】
このような窒素含有単官能モノマーを用いることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0068】
窒素含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは3~25質量%であり、3~20質量%であり、3~15質量%であり、3~10質量%であり、3~8質量%である。
または窒素含有単官能モノマーの、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対する含有量を上記範囲としても良い。
窒素含有単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0069】
2.1.1.2.多環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレート
多環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、例えば、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート等の不飽和の多環炭化水素基を有するアクリレート;ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート等の飽和の多環炭化水素基を有するアクリレートが挙げられる。このなかでも、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート等の飽和の多環炭化水素基を有するアクリレートが好ましく、イソボルニルアクリレートを含むことがより好ましい。
【0070】
このような多環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートを用いることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0071】
多環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは3~21質量%であり、3~16質量%であり、3~11質量%であり、3~6質量%である。
多環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートの、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対する含有量を上記範囲としても良い。
【0072】
多環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0073】
なお、上記の多環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートを、脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレートに置き換えても良い。脂環構造を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、上記の多環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートや、単環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートがあげられる。単環炭化水素基を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0074】
2.1.1.3.芳香族基含有単官能モノマー
芳香族基含有単官能モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、フェノキシエチルアクリレート(PEA)がさらに好ましい。(メタ)アクリレートが好ましい。
【0075】
このような芳香族基含有単官能モノマーを用いることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0076】
芳香族基含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは15~30質量%であり、20~25質量%である。
芳香族基含有単官能モノマーの、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対する含有量を上記範囲としても良い。
芳香族基含有単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0077】
2.1.2.多官能モノマー
本実施形態の多官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0078】
多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは60質量%以上であり、60~95質量%であり、60~90質量%であり、60~80質量%である。単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0079】
多官能モノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは45~90質量%であり、50~85質量%であり、55~80質量%である。
多官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0080】
2.1.2.1.ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。このようなビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含むことにより、組成物の粘度が低下し、吐出安定性がより向上する傾向にある。また、組成物の硬化性がより向上するとともに、硬化性の向上に伴って記録速度をより高速化することが可能となる。
CH2=CR1-COOR2-O-CH=CH-R3 ・・・ (1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2~20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1~11の1価の有機残基である。)
【0081】
上記式(1)において、R2で表される炭素数2~20の2価の有機残基としては、炭素数2~20の直鎖状、分枝状又は環状の、置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する、置換されていてもよい炭素数2~20のアルキレン基、炭素数6~11の、置換されていてもよい2価の芳香族基が挙げられる。これらの中でも、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2~6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2~9のアルキレン基が好ましい。さらに、組成物をより低粘度化でき、かつ、組成物の硬化性をさらに良好にする観点から、R2が、オキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2~9のアルキレン基となっている、グリコールエーテル鎖を有する化合物がより好ましい。
【0082】
上記式(1)において、R3で表される炭素数1~11の1価の有機残基としては、炭素数1~10の直鎖状、分枝状又は環状の、置換されていてもよいアルキル基、炭素数6~11の、置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1~2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6~8の芳香族基が好適に用いられる。
【0083】
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
【0084】
式(1)の化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o-ビニロキシメチルフェニルメチル、メタアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。これらの具体例のうち、組成物の硬化性、粘度のバランスがとりやすい点で、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルが特に好ましい。なお、本実施形態において、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルは、VEEAということもある。
【0085】
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは20~50質量%であり、30~50質量%であり、33~50質量%である。ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0086】
2.1.2.2.2官能(メタ)アクリレート
2官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、例えば、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0087】
2官能(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは15~50質量%であり、20~45質量%であり、25~40質量%である。2官能(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0088】
2.2.重合開始剤
本実施形態に係る活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線を照射することにより、活性種を生じる重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0089】
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、アルキルフェノン系重合開始剤、チタノセン系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤等の公知の重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤が好ましい。このような重合開始剤を用いることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。また、活性エネルギー線硬化型組成物の硬化速度が向上する傾向にある。
【0090】
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0091】
上記に加えて、2,4-ジエチルチオキサントン等の、増感剤を併用してもよい。
【0092】
重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは5~20質量%であり、7.5~17.5質量%であり、10~15質量%である。重合開始剤の含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0093】
2.3.重合禁止剤
本実施形態に係る活性エネルギー線硬化型組成物は、重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、p-メトキシフェノール、クレゾール、t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-ブチルフェノール)、及び4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のフェノール系重合禁止剤、並びにヒンダードアミン、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、及びヒドロキノンが挙げられる。
【0095】
重合禁止剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは0.1~1.0質量%であり、0.1~0.5質量%である。重合禁止剤の含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬化性が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0096】
2.4.フィラー
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、フィラーを含んでもよい。フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、無機微粒子、有機微粒子が挙げられる。フィラーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0097】
無機微粒子としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、炭酸カルシウムなどの金属化合物微粒子、シリカなどの非金属化合物微粒子が挙げられる。
【0098】
有機微粒子としては、特に限定されないが、例えば、セルロースナノファイバー、炭素繊維が挙げられる。
【0099】
活性エネルギー線硬化型組成物がフィラーを含む場合、フィラーが無機微粒子を含むことが好ましい。
【0100】
フィラーの含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは、0.05~10.0質量部である。さらには、0.1~5.0質量%が好ましく、0.2~4.0質量%がより好ましく、0.3~3.0質量%がさらに好ましい。よりさらには、、0.4~2.0質量%が好ましく、0.4~1.0質量%がより好ましく、0.4~0.8質量%がさらに好ましい。
【0101】
フィラーを含むことにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。また、フィラーの含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度がより向上し、上記効果がより顕著になる傾向にある。
【0102】
フィラーの一次粒子径は、活性エネルギー線硬化型組成物の透明性を向上させる観点から、100nm以下が好ましく、50nm以下が特に好ましい。3~30nmがより好ましく、5~20nmがさらに好ましい。粒子径は動的光散乱法で測定した体積平均粒子径D50とすることができる。
【0103】
2.5.色材
活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含んでもよい。色材としては、特に限定されないが、例えば、無機顔料、有機顔料が挙げられる。色材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.(Colour Index Generic Name)ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンが挙げられる。
【0105】
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
【0106】
活性エネルギー線硬化型組成物が色材を含む場合、無機顔料を含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化型組成物が無機顔料を含むことにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
【0107】
色材の粒子径は、50nm以上が好ましく、60~400nmがより好ましく、80~350nmがさらに好ましく、100~300nmがさらに好ましく、150~300nmが特に好ましい。
【0108】
活性エネルギー線硬化型組成物は色材を含む場合、有色である、カラー組成物であってもよい。
この場合、色材の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは、25質量%以下であり、20質量%以下であり、10~15質量%である。
または、0.5~10質量%が好ましく、1~5質量%がよりこのましく、1~4質量%がさらに好ましい。
【0109】
色材としての、無機顔料、有機顔料は、インクを記録媒体に着色するために用いるインク(着色インク)とするものである。
一方、前述のフィラーとしての無機微粒子は、インクを着色インクとするものではないものである。よって、後述のクリア組成物は、フィラーを含むインクであってもよい。
なお、着色インクが色材に加えてフィラーを含んでも良い。
【0110】
色材の含有量が上記範囲内であることにより、ラベル剥がし用部30の硬度が向上し、ラベル10がペットボトル容器等の物体に巻き付けてあるときに、凸部となって浮き出たラベル剥がし用部30をより指でつまみやすくなり、また、ラベル剥がし用部30が途中で破れにくくなるため、結果としてラベルを剥がしやすくなる傾向にある。
またラベル剥がし用部30の視認性が優れ、確認しやすく好ましい。
【0111】
また、活性エネルギー線硬化型組成物は、クリア組成物であってもよい。なお、「クリア組成物」とは、記録媒体に着色するために用いるインクではなく、インクが着色インクである程度には色材を含まないために透明であってもよい。この観点から、クリア組成物に含まれる色材の含有量は、組成物の総量に対して、好ましくは、0.5質量%以下であり、0.3質量%以下であり、0.1質量%以下である。さらには0.05質量%以下である。色材を含まなくても良い。
活性エネルギー線硬化型組成物が着色インクである程度には色材を含まず、クリア組成物であることにより、ラベル剥がし用部30の色が目立たなくなり、ラベルのデザイン性を向上させることができる。
【0112】
2.6.その他の添加剤
本実施形態の活性エネルギー線硬化型組成物は、上記に挙げたもの以外の添加剤(成分)を含有してもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、分散剤、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、及び増粘剤が挙げられる。
【0113】
3.画像用活性エネルギー線硬化型組成物
本実施形態に係る画像用活性エネルギー線硬化型組成物は、単官能モノマーと、多官能モノマーと、を含む重合性化合物を含む。ここで、画像用活性エネルギー線硬化型組成物とは、活性エネルギー線を照射することにより硬化する組成物であって、表示用画像60を形成するために用いる組成物である。
【0114】
画像用活性エネルギー線硬化型組成物の組成は、前述のラベル剥がし用部を形成する活性エネルギー線硬化型組成物の組成において、色材を含み着色インクとしたものであってもよい。ただし画像用活性エネルギー線硬化型組成物の組成は、以下に記載するものであることが好ましい。
下記で詳説する、画像用活性エネルギー線硬化型組成物の組成と、ラベル剥がし用部を形成する活性エネルギー線硬化型組成物の組成と、は互いに異なっていてもよい。
この場合、画像用活性エネルギー線硬化型組成物、ラベル剥がし用部を形成する活性エネルギー線硬化型組成物の、それぞれの機能に適した組成にでき好ましい。
【0115】
活性エネルギー線としては、特に限定されないが、例えば、紫外線、エックス線、ガンマ線、電子線が挙げられる。活性エネルギー線としては、紫外線源が入手しやすく広く用いられている点、及び紫外線の放射による硬化に適した材料が入手しやすく広く用いられている点から、紫外線が好ましい。
【0116】
紫外線源としては、特に限定されないが、例えば、水銀ランプ、高圧水銀ランプ、UV-LED、キセノンランプ、レーザー光源が挙げられる。
【0117】
以下、本実施形態に係る画像用活性エネルギー線硬化型組成物について詳説する。
【0118】
3.1.重合性化合物
重合性化合物は、重合性官能基を1つもつ単官能モノマーと、重合性官能基を複数持つ多官能モノマーとを含む。各重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0119】
3.1.1.単官能モノマー
本実施形態の単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、窒素含有単官能モノマー、多環炭化水素基を有する単官能アクリレート、芳香族基含有単官能モノマーが挙げられる。単官能モノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0120】
単官能モノマーの種類は、特に限定されないが、例えば、ラベル剥がし用部を形成する活性エネルギー線硬化型組成物において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0121】
単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは40質量%超であり、40質量%超90質量%以下であり、50~80質量%であり、60~80質量%である。単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、画像用活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて形成される表示用画像60が柔軟性を有するため、フィルムに追従しやすく、ひび割れにくくなる傾向にある。
【0122】
単官能モノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは30~90質量%であり、50~85質量%であり、60~80質量%である。単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、画像用活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて形成される表示用画像60が柔軟性を有するため、フィルムに追従しやすく、ひび割れにくくなる傾向にある。
【0123】
3.1.2.多官能モノマー
本実施形態の多官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0124】
多官能モノマーの種類は、特に限定されないが、例えば、ラベル剥がし用部を形成する活性エネルギー線硬化型組成物において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0125】
多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは60質量%以下であり、10~60質量%であり、20~50質量%であり、20~40質量%である。単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、画像用活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて形成される表示用画像60が柔軟性を有するため、フィルムに追従しやすく、ひび割れにくくなる傾向にある。
【0126】
多官能モノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは1~30質量%であり、1~20質量%であり、3~15質量%であり、5~10質量%である。単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、画像用活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて形成される表示用画像60が柔軟性を有するため、フィルムに追従しやすく、ひび割れにくくなる傾向にある。
【0127】
3.2.重合開始剤
本実施形態の画像用活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線を照射することにより、活性種を生じる重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0128】
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ラベル剥がし用部を形成する活性エネルギー線硬化型組成物において例示したものと同様のものが挙げられる。重合開始剤に加えて、2,4-ジエチルチオキサントン等の、増感剤を併用してもよい。
【0129】
重合開始剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは5~20質量%であり、7.5~17.5質量%であり、10~15質量%である。重合開始剤の含有量が上記範囲内であることにより、画像用活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて形成される表示用画像60が柔軟性を有するため、フィルムに追従しやすく、ひび割れにくくなる傾向にある。
【0130】
3.3.重合禁止剤
本実施形態に係る活性エネルギー線硬化型組成物は、重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0131】
重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ラベル剥がし用部を形成する活性エネルギー線硬化型組成物において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0132】
重合禁止剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、好ましくは0.1~1.0質量%であり、0.1~0.5質量%である。重合禁止剤の含有量が上記範囲内であることにより、画像用活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて形成される表示用画像60が柔軟性を有するため、フィルムに追従しやすく、ひび割れにくくなる傾向にある。
【0133】
3.4.色材
活性エネルギー線硬化型組成物は、色材を含んでもよい。色材としては、特に限定されないが、例えば、無機顔料、有機顔料が挙げられる。色材は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0134】
色材の種類は、特に限定されないが、例えば、ラベル剥がし用部を形成する活性エネルギー線硬化型組成物において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0135】
色材の含有量は特に限定されないが、例えば、画像用活性エネルギー線硬化型組成物の総量に対して、20質量%以下であり、10質量%以下であり、5質量%以下である。
【0136】
3.5.その他の添加剤
本実施形態の画像用活性エネルギー線硬化型組成物は、上記に挙げたもの以外の添加剤(成分)を含有してもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、分散剤、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、及び増粘剤が挙げられる。
【0137】
4.ラベル
本実施形態のラベルは、基材20と、基材20上に形成されたラベル剥がし用部30と、を有し、ラベル剥がし用部30は、周囲よりも10μm高い。
本実施形態のラベルは、本実施形態のラベルの製造方法により製造されたものであってもよい。
【0138】
ラベル10の形状は、図1Aのように長方形に限定されず、例えば、長方形状でもよく、台形状でもよく、四角形状でもよく、楕円形状でもよく、三角形状でもよく、その他多角形状でもよい。
【0139】
基材の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等のプラスチック類及びこれらの表面が加工処理されているもの、ガラス、紙、金属、木材が挙げられる。その中でも、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンテレフタラートが好ましい。
【0140】
また、基材はシュリンクフィルムが好ましい。シュリンクフィルムは一軸延伸、二軸延伸したものであってもよい。これにより、加熱すると収縮させることができ、シュリンクフィルムとしてペットボトル等の容器を包装する際に、好適に用いることができる。
【0141】
基材の形態は、特に限定されないが、例えば、フィルム、ボード、布等が挙げられる。その中でも、ペットボトル等の容器に好適に用いることができることからフィルムが好ましい。
【0142】
ラベル10をペットボトル容器等の物体に巻き付けるとき、特に限定されないが、例えば、ラベル10のX軸方向が、物体の周囲に巻き付く。
【0143】
ペットボトル容器等の物体の形状は、特に限定されないが、例えば、円筒形状、四角筒状等の多角筒状である。物体の上面と下面で形状が異なっていてもよい。この場合、シュリンクフィルムを用いると物体にラベルを密着させることができ好ましい。
【0144】
5.記録装置
本実施形態のラベル剥がし用部及び表示用画像を形成するための装置として、インクジェット装置を用いてもよい。インクジェット装置の一例として、図5に、シリアルプリンタの斜視図を示す。図5に示すように、シリアルプリンタ70は、搬送部720と、記録部730とを備えている。搬送部720は、シリアルプリンタに給送された基材Fを記録部730へと搬送し、記録後の基材をシリアルプリンタの外に排出する。具体的には、搬送部720は、各送りローラを有し、送られた基材Fを副走査方向T2へ搬送する。
【0145】
また、記録部730は、搬送部720から送られた基材Fに対して活性エネルギー線硬化型組成物及び画像用活性エネルギー線硬化型組成物を吐出するノズルを有するインクジェットヘッド731を搭載するキャリッジ734と、キャリッジ734を記録媒体Fの主走査方向S1、S2に移動させるキャリッジ移動機構735を備える。
【0146】
シリアルプリンタの場合には、インクジェットヘッド731として基材の幅より小さい長さであるヘッドを備え、ヘッドが移動し、複数パスで記録が行われる。また、シリアルプリンタでは、所定の方向に移動するキャリッジ734にヘッド731が搭載されており、キャリッジの移動に伴ってヘッドが移動することにより基材F上に活性エネルギー線硬化型組成物及び画像用活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する。これにより、2パス以上で記録が行われる。なお、パスを主走査ともいう。パスとパスの間には基材を搬送する副走査を行う。つまり主走査と副走査を交互に行う。
【0147】
また、本実施形態のインクジェット装置は、上記シリアル方式のプリンタに限定されず、上述したライン方式のプリンタであってもよい。ライン方式のプリンタは、基材の記録幅以上の長さを有するインクジェットヘッドであるラインヘッドを用いて、基材に、1回の走査で記録を行うプリンタである。
【実施例0148】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0149】
1.活性エネルギー線硬化型組成物及び画像用活性エネルギー線硬化型組成物の調製
表1~2に記載の組成となるように、混合物用タンクに各成分を入れ、混合攪拌し、さらにメンブランフィルターでろ過することにより実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型組成物及び画像用活性エネルギー線硬化型組成物を得た。なお、表中の各例に示す各成分の数値は特段記載のない限り質量%を表す。また、表1における色材の含有量(質量%)については、固形分濃度を表す。
【0150】
【表1】
CL1~CL4:色材を含まないため透明である、クリア組成物。
W1~W2:TiO2顔料を含むため白色である、カラー組成物。
【0151】
【表2】
【0152】
表1~2中で使用した略号や製品の成分は、以下のとおりである。
【0153】
<単官能モノマー>
・PEA(商品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業株式会社製、フェノキシエチルアクリレート)
・ACMO(KJケミカルズ株式会社製、アクリロイルモルフォリン)
・IBXA(大阪有機化学工業株式会社製、イソボルニルアクリレート)
<多官能モノマー>
・VEEA(株式会社日本触媒製、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル)
・DPGDA(商品名「SR508」、サートマー株式会社製、ジプロピレングリコールジアクリレート)
<重合開始剤>
・Irgacure819(BASF社製、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)
・TPO(商品名「IRGACURE TPO」、BASF社製、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)
・DETX(商品名「speedcure DETX」、Lambson社製、2,4-ジエチルチオキサントン)
<重合禁止剤>
・MEHQ(商品名「p-メトキシフェノール」、関東化学株式会社製、ヒドロキノンモノメチルエーテル)
<フィラー(無機微粒子)>
・シリカ(商品名「QSG-10」、信越シリコーン株式会社製、シリカナノ粒子、平均粒径15nm)
<色材>
・Pigment Black7
・TiO2顔料(一次粒子径300nm)
【0154】
2.ラベルの作製及び設置
シリアル方式のインクジェットプリンタに対して、実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型組成物及び画像用活性エネルギー線硬化型組成物を充填した。そして、25℃、相対湿度50%の環境下で、基材であるシュリンクフィルム(Bonset製、PET-G:50μm厚、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)上に、活性エネルギー線硬化型組成物を付着し、UV光を照射して、ラベル剥がし用部を形成した。ラベル剥がし用部の厚さは表3に示す。表3に示すように、実施例9では、厚さ30μmのCL1インク層と厚さ30μmのW1インク層とが積層されるようにした。また、比較例2~3では、ラベル剥がし用部を形成しなかった。
【0155】
さらに、表3に示すように、実施例6~9、比較例3においては、ラベル剥がし用部と同じパスで表示用画像も形成した。具体的には、基材であるシュリンクフィルム上に画像用活性エネルギー線硬化型組成物(Bk1インク)を付着し、UV光を照射した。これにより、ラベル全体に表示用画像を形成した。そして、表示用画像の所定の位置に、活性エネルギー線硬化型組成物を付着し、UV光を照射して、ラベル剥がし用部を形成した。
【0156】
上記のようにして、幅90mm、長さ230mmの長方形のシュリンクフィルムを得た。このシュリンクフィルムの短辺の端部にテトラヒドロフラン(THF)を5mm幅で塗布し、もう一方の短辺の端部と接着固定し、印刷面が内側になるようにした円筒状のスリーブを得た。
【0157】
なお、表示用画像は、厚さ10μmとなるように、ラベル全面に画像用活性エネルギー線硬化型組成物を、吐出して印刷して形成した。ラベル剥がし用部は、図4に示すように、X軸方向の幅7mmで、ラベルの一端からもう一端までY軸方向に連続して直線的に、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出して形成した。なお、各厚さはマイクロメーターで測定した。
【0158】
上記スリーブを、350mLサイズのアルミ製飲料缶(高さ:115mm、直径70mm、外周220mmの円筒状)に固定し、恒温槽で90℃、2分間加熱して収縮させ、飲料缶にスリーブを密着させ、ラベルとした。
【0159】
上記飲料缶に密着したラベルの、ラベル幅方向の上端に存在するラベル剥がし用部の左右端に接するように、2か所にカッターで0.5mmの長さの切り込みをいれて、切断部を形成した。
【0160】
3.ラベル剥がしやすさ評価
上記飲料缶に密着したラベルについて、ラベル幅方向の上端に存在するラベル剥がし用部の中央を指でつまみ、下にまっすぐ引っ張って引き剥がした際の、ラベルの剥がしやすさを評価した。
[評価基準]
A:ラベル幅方向の上端から下端まで一気に引き剥がすことができ、飲料缶からラベルを分離できる。
B:上記上端から引き剥がした際、上記上端から60mm以上90mm未満の間で千切れる。
C:上記上端から引き剥がした際、上記上端から30mm以上60mm未満の間で千切れる。
D:上記上端から引き剥がした際、上記上端から0mm以上30mm未満の間で千切れる。
【0161】
【表3】
【0162】
4.評価結果
表2の評価結果から、実施例1~12はいずれも、ラベル剥がし用部の厚さが10μm未満である比較例1、並びにラベル剥がし用部を有さない比較例2及び3と比較して、ラベルの剥がしやすさに優れることがわかった。
【符号の説明】
【0163】
10…ラベル、20…基材、20a…端部、30…ラベル剥がし用部、31…端部上に存在する又は一部存在するラベル剥がし用部、32…端部20a以外のラベル10上に存在するラベル剥がし用部、40…任意の層、50…切断部、60…表示用画像、W1…端部の幅、W2…切断部とラベル剥がし用部との距離、H0…基材20の表面と、ラベル剥がし用部30以外のラベル10上の領域の表面と、の間の距離の平均、H1…基材20の表面と、ラベル剥がし用部30の上面と、の間の距離の平均、70…シリアルプリンタ、720…搬送部、730…記録部、731…インクジェットヘッド、734…キャリッジ、735…キャリッジ移動機構、F…基材、S1,S2…主走査方向、T1…副走査方向
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5