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特開2024-117957微生物雲輸送装置、微生物雲輸送方法および微生物雲輸送プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117957
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】微生物雲輸送装置、微生物雲輸送方法および微生物雲輸送プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/22 20060101AFI20240823BHJP
   A61B 50/34 20160101ALI20240823BHJP
【FI】
G01N1/22 B
A61B50/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024073
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】523059969
【氏名又は名称】小嶋 凌勢
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159248
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 修
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 凌勢
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA35
2G052AA36
2G052AD02
2G052BA05
2G052BA17
2G052CA02
2G052CA14
2G052DA06
(57)【要約】
【課題】人間や動物は、生理的な動きや無意識的な動きによって、皮膚、髪などから1時間に100~600万個の微生物を吐き出しており、これらの微生物を体の周囲にまとっている。これらの微生物は遺伝子レベルで個人ごとに十人十色異なり、個人を特定するツールとして期待されている。そこで、人や動物がまとう微生物雲を、対象となる人間や動物に接触することなく採取することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、人を含む動物がまとう微生物雲を輸送する微生物雲輸送装置であって、人を含む動物が存在する空間に向けて、前記空間に存在する人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する射出手段を、を備える微生物雲輸送装置などを提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を含む動物がまとう微生物雲を輸送する微生物雲輸送装置であって、
人を含む動物が存在する空間に向けて、前記空間に存在する人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する射出手段を、
を備える微生物雲輸送装置。
【請求項2】
前記射出され、前記空間に存在する人を含む動物に当たった空気渦輪を受け取る受取手段を、
さらに備える請求項1に記載の微生物雲輸送装置。
【請求項3】
前記受取手段が受け取った空気渦輪から微生物雲を採取する採取手段を、
さらに備える請求項2に記載の微生物雲輸送装置。
【請求項4】
前記採取手段が採取した微生物雲に基づき、その微生物雲をまとっていた人を含む動物を特定する特定手段を、
さらに備える請求項3に記載の微生物雲輸送装置。
【請求項5】
前記空間に存在する人を含む動物を検知する検知手段を、
さらに有する請求項1または2に記載の微生物雲輸送装置。
【請求項6】
前記空間を撮影する撮影手段を、
さらに備える請求項1または2に記載の微生物雲輸送装置。
【請求項7】
人を含む動物がまとう微生物雲を輸送する微生物雲輸送装置の動作プログラムであって、
人を含む動物が存在する空間に向けて、前記空間に存在する人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する射出ステップ、
を計算機に実行させるための微生物雲輸送プログラム。
【請求項8】
人を含む動物がまとう微生物雲を輸送する微生物雲輸送方法であって、
人を含む動物が存在する空間に向けて、前記空間に存在する人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する射出ステップ、
を有する微生物雲輸送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気渦輪を人や動物に当てることにより、その人や動物がまとう微生物の雲を輸送する微生物雲輸送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に示されるように、人間や動物は、生理的な動きや無意識的な動きによって、皮膚、髪などから1時間に100~600万個の微生物を吐き出している。また、非特許文献2に示されるように、これらの微生物は遺伝子レベルで個人ごとに十人十色異なり、人間は衣服を身に着けていても、この”微生物の雲”によって包まれている。また、非特許文献3には、微生物の雲(微生物雲ともいう)に含まれる皮膚細菌群集は水分、温度、紫外線などの環境ストレスに高い耐性を持ち、一般的な室内の20℃の環境下で数日から数週間において持続しつづけながら、その細菌のDNAから細菌を保有していた個人を十分特定可能であることが示されている。
【0003】
また、非特許文献4に示されるように、ヒトのDNA鑑定に比べ剥がれ落ちる表皮細胞には細菌細胞が多く存在するため、ヒトのDNAよりもヒトの細菌のDNAを回収することのほうが容易である可能性もある。また、非特許文献5に示されるように、一卵性双生児でさえ実質的に異なる微生物群集を保有しているため、ヒトのDNA配列よりも個人を特定できる可能性を秘めていると考えられる。
【0004】
また、非特許文献6では、保育施設と高齢者介護施設の統合は感情的、社会的、身体的ウェルビーイングの向上だけを目指すのではなく、意図せず微生物ウェルビーイングも向上しているのではないかという示唆もされている。ヒトの微生物は高齢者になると乱れやすくなり乱れに対する抵抗力や回復力は低下されるが、多様な微生物を保有しビフィズス菌などの有益な微生物群を保有している子どもたちとの交流は、高齢者の微生物群に影響を与えていると示唆されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】You, Ruoyu, et al. "Measuring the short-term emission rates of particles in the “personal cloud” with different clothes and activity intensities in a sealed chamber." *Aerosol and Air Quality Research* 13.3 (2013): 911-921.
【非特許文献2】Meadow, James F., et al. "Humans differ in their personal microbial cloud." *PeerJ* 3 (2015): e1258.
【非特許文献3】Fierer, Noah, et al. "Forensic identification using skin bacterial communities." *Proceedings of the National Academy of Sciences* 107.14 (2010): 6477-6481.
【非特許文献4】Fredricks, David N. "Microbial ecology of human skin in health and disease." *Journal of Investigative Dermatology Symposium Proceedings*. Vol. 6. No. 3. Elsevier, 2001.APA
【非特許文献5】Turnbaugh, Peter J., et al. "A core gut microbiome in obese and lean twins." *nature* 457.7228 (2009): 480-484.
【非特許文献6】Horve, Patrick F., et al. "Building upon current knowledge and techniques of indoor microbiology to construct the next era of theory into microorganisms, health, and the built environment." *Journal of Exposure Science & Environmental Epidemiology* 30.2 (2020): 219-235.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した性質をもつ微生物雲は、犯罪捜査や親子鑑定などにおいて個人を識別するツールとなり得る。例えば、現在において犯人特定に使われる手法として指紋照合やヒトのDNA鑑定などがあるが、鑑定に必要な指紋、血液、髪の毛、唾液、精液などを、器具等を用いながら対象となる人間に接触して採取しなければならない。
【0007】
しかし、対象となる人間に接触して鑑定材料を採取できない場合や、接触することが好ましくない場合もある。このような場合を鑑み、鑑定材料になり得る微生物雲を、対象となる人間や動物に接触することなく採取することが期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するために本発明において、以下の微生物雲輸送装置などを提供する。すなわち、人を含む動物がまとう微生物雲を輸送する微生物雲輸送装置であって、人を含む動物が存在する空間に向けて、前記空間に存在する人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する射出手段を、備える微生物雲輸送装置を提供する。
【0009】
また、上記構成に加えて、前記射出され、前記空間に存在する人を含む動物に当たった空気渦輪を受け取る受取手段を、さらに有する微生物雲輸送装置を提供する。
【0010】
また、上記構成に加えて、前記受取手段が受け取った空気渦輪から微生物雲を採取する採取手段を、さらに備える微生物雲輸送装置を提供する。
【0011】
また、上記構成に加えて、前記採取手段が採取した微生物雲に基づき、その微生物雲をまとっていた人を含む動物を特定する特定手段を、さらに備える微生物雲輸送装置を提供する。
【0012】
また、上記構成に加えて、前記空間に存在する人を含む動物を検知する検知手段を、さらに備える微生物雲輸送装置を提供する。
【0013】
また、上記構成に加えて、前記空間を撮影する撮影手段を、さらに備える微生物雲輸送装置を提供する。
【0014】
また、人を含む動物がまとう微生物雲を輸送する微生物雲輸送装置の動作プログラムであって、人を含む動物が存在する空間に向けて、前記空間に存在する人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する射出ステップ、を計算機に実行させるための微生物雲輸送プログラムを提供する。
【0015】
また、人を含む動物がまとう微生物雲を輸送する微生物雲輸送方法であって、人を含む動物が存在する空間に向けて、前記空間に存在する人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する射出ステップ、を有する微生物雲輸送方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、射出された空気渦輪が、対象となる人などに当たるときにその人がまとっている微生物雲を採取して運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】微生物雲輸送装置の機能的構成の一例を示すブロック図
図2】空気渦輪の発生を示す概念図
図3】射出手段の具体的な態様の一例を示す概念図
図4】空気渦輪を射出するためにスピーカに入力する信号
図5】射出手段と受取手段とにより空気渦輪を射出して受け取る態様を示す概念図
図6】微生物雲輸送装置のハードウエア構成の一例を示す概念図
図7】微生物雲輸送装置の処理の流れの一例を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0019】
<実施例>
<概要>
本実施例の微生物雲輸送装置は、射出された空気渦輪が自走する経路に存在する微生物雲を渦輪の内部に巻き込むことで微生物雲を採取しつつ、自走することで採取した微生物雲を輸送するという特徴を有している。
【0020】
以下では、微生物雲輸送装置の機能及び処理の流れ、並びにハードウエアの内容について説明する。なお、以下に記載する微生物雲輸送装置の機能ブロックは、ハードウエア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPU(中央演算装置)や主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウエア構成部、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース、それらハードウエアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウエアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本装置の機能ブロックは専用ハードウエアによって実現されても良い。
【0021】
また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部又は全部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるプログラム、及びプログラムを固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0022】
<機能的構成>
<概要>
図1は、本実施例にかかる微生物雲輸送装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、微生物雲輸送装置101は、射出手段102と、受取手段103と、採取手段104と、特定手段105と、検知手段106と、撮影手段107と、を有する。
【0023】
射出手段102は、人を含む動物が存在する空間に向けて、前記空間に存在する人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する機能を有する。
【0024】
まず、空気渦輪について説明する。図2は、空気渦輪の発生を示す概念図である。図2に示すように、円筒状の開口201から矢印線で示す空気が通過するときに、開口201の縁を通る空気202は空気の粘性により流速が落ちる。一方で開口201の中央を通過する空気203は流速が落ちない。そのため、開口201の縁を流れる空気202と、開口201の中央を流れる空気203との流速差により、開口201の縁で渦204が生成し、この渦が円環状に形成されたものが空気渦輪である。
【0025】
空気渦輪は自走している間も渦を巻き続けている。そのため、渦輪の周囲に存在する粒子等205を渦の内部に巻き込んでいく。このような作用により、射出された空気渦輪が自走して移動する経路に存在する微生物雲を渦の中に巻き込むことで、その微生物雲を採取するとともに、微生物雲を巻き込んだ空気渦輪が自走することにより、巻き込んで採取した微生物雲を輸送することができる。
【0026】
図3は、射出手段の具体的な態様の一例を示す概念図である。図3に示すように、射出手段301は、略立方体状に形成された本体302と、本体を構成する6面のうちの1面に設けられる射出口303と、他の5面のそれぞれに取り付けられるスピーカ304と、を有する。また、5つのスピーカ304のそれぞれは、発声の方向が本体302の内部に向くように配置されている。
【0027】
そして、スピーカ304の振動版を振動させることで、接する本体302の面を押したり引っ張ったりすることができる。この作用を用いて、本体302の内部の容積を変化させることにより、射出口303から空気を押し出すことにより空気渦輪を射出することができる。なお、本体302の材料は、取り付けたスピーカ304の振動により本体内部の容積が変動する程度の可撓性を有するものであればよい。
【0028】
図4は、空気渦輪を射出するためにスピーカ304に入力する信号を示している。図4に示すように、マイナスの矩形波とプラスの矩形波が連続する信号を信号発生器により生成し、さらに高速バイポーラ電源などにより生成した信号を増幅して、スピーカ304に入力することで、本体302の容積が増えた後に減ずる。すなわち容積が増えることで射出口303から外部の空気が本体302の内部に吸い込まれ、その直後に容積が減少することで本体302の内部の空気が射出口303から吐き出される。このような空気の流れにより、空気渦輪が射出される。
【0029】
人を含む動物(以下、人等という場合がある)が存在する空間は、屋内外を問うものでない。例えば、病院、ショッピングモール、駅、空港、学校、公道など広く人等が存在し得る空間である。
【0030】
また、人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出するためには、例えば、人等が通行することが予定されている場所において、人等が通行する空間に向けて射出の強さやタイミングなどを調整して通行する人等に当たるように空気渦輪を射出すればよい。
【0031】
例えば、人の通行が予定される空間に射出口を向けて、当該空間を通行する人に向けて空気渦輪を射出することで、射出された空気渦輪が人に当たる。このような態様の具体例としては、駅、空港、役所などの施設の入口や出口に向けて射出手段を設置することで、その入口などを通行する人に空気渦輪を当てることができる。また、公道や施設内の通路を通行する人を含む動物に空気渦輪を当てるように構成することもできる。
【0032】
なお、空気渦輪の射出は、対象となる人や動物の正面に当たらなければならないわけではない。既に述べたように、微生物雲は人や動物の体表周囲に浮遊しており、また、空気渦輪は渦輪の周囲の微粒子を自身の中に巻き込んでいくので、空気渦輪が対象となる人や動物と掠る程度の接触であっても、微生物雲の採取は可能である。
【0033】
受取手段103は、前記射出され、前記空間に存在する人を含む動物に当たった空気渦輪を受け取る機能を有する。空気渦輪の受け取りの例としては、沈降皿(沈降管の管形状を皿状に変えたもの)で受け取ることが挙げられる。
【0034】
図5は、射出手段と受取手段とにより空気渦輪を射出して受け取る態様を示す概念図である。図5に示すように、所定の位置に設置される射出手段501から射出される空気渦輪は、人502に当たり、人502がまとっている微生物雲503を渦に巻き込む。そして、微生物雲を巻き込んだ空気渦輪504は、ロボットアーム505に支持されている沈降皿506により受け取られる。また、後述する検知手段や撮影手段とロボットアームなどの位置及び姿勢制御手段を用いて、より的確に空気渦輪を受け取るように構成することができる。
【0035】
採取手段104は、前記受取手段103が受け取った空気渦輪から微生物雲を採取する機能を有する。受取手段103が空気渦輪を受け取ると、その空気渦輪が自身に巻き込み輸送した微生物雲も上述した沈降皿などに当たる。そして、沈降皿内の分散媒や懸濁液により微生物雲を採取する。
【0036】
特定手段105は、前記採取手段が採取した微生物雲に基づき、その微生物雲をまとっていた人を含む動物を特定する機能を有する。人を含む動物の特定は、例えば、非特許文献2、3に記載されている技術により行うことができる。
【0037】
検知手段106は、前記空間に存在する人を含む動物を検知する機能を有する。例えば、人感センサなどを用いて人を含む動物の存在や、その位置を検知することで、射出手段における射出のタイミングや向きや強さを調節して、対象となる人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出することができる。
【0038】
また、検知結果を用いて、空気渦輪を対象の人等に当て、当たった空気渦輪を受取手段が的確に受け取れるように、射出手段及び受取手段の各種制御(射出の強さ、向き及びタイミング、受取手段の位置・姿勢など)を行うように構成することができる。
【0039】
撮影手段107は、前記空間を撮影する機能を有することができる。前記空間に存在する人等を撮影することで、空気渦輪を当てる対象を発見したり、対象が存在する位置や対象を追尾して空気渦輪を射出したりすることで、微生物雲の採取や受取に寄与することができる。また、撮影した対象となる人等の画像と採取した微生物雲とを紐付けるように構成してもよい。また、検知手段106と協働することもできる。例えば、検知手段106が対象を検知したことをトリガとして撮影を開始するように構成することができる。このような構成により、常時撮影する場合に比較して消費エネルギーを抑えることができる。
【0040】
<ハードウエア構成>
図6は、微生物雲輸送装置を実現するハードウエアの構成の一例を示す概念図である。図示するように、微生物輸送装置600は、各種演算処理を行うCPU601と、揮発性記録媒体であるRAM602と、不揮発性の記憶媒体であるROM603と、通信インタフェース604と、入出力インタフェース605と、がバスを介して相互に接続されている。さらに、入出力インタフェース605を介してスピーカ606、人感センサ607及びカメラ608が接続されている。RAM602は、ROM603に記憶されている各種演算処理を行うプログラムをCPU601に実行させるために読み出すとともに、そのプログラムのワーク領域(作業領域)を提供する。また、RAM602には、複数のアドレスが割り当てられており、CPU601で実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやり取りを行い、処理を行うことが可能となっている(本明細書を通じて同様である)。
【0041】
ここで、図1に示す微生物雲輸送装置101の射出手段102の機能は、適宜プログラムを実行して図6に示される入出力インタフェース605を介してスピーカ606を駆動して空気渦輪を射出するCPU601とRAM602とにより実現される。また、図1に示す検知手段106の機能は、図6に示される人感センサ607により実現され、図1に示す撮像手段107の機能は、図6に示されるカメラ608により実現される。
【0042】
また、図1に示す受取手段103と採取手段104の機能は、図示しない沈降皿などと、これを支持し位置及び姿勢の制御を行うロボットアーム等を駆動するプログラムを実行する図6に示されるCPU601とRAM602とにより実現され、空気渦輪を受け取ることにより、沈降皿により渦輪により輸送された微生物雲を採取することができる。また、図1に示す特定手段105の機能は、採取した微生物雲を構成する種々の微生物や細菌などを分析し、微生物雲を採取した人等を特定するプログラムを実行する図6に示されるCPU601とRAM602とにより実現される。また、特定手段105は、図6の通信インタフェース604を介して外部のサーバ装置などと接続し、特定のための採取結果の送信や、特定のために参照するデータの受信などが実現され得る。
【0043】
<処理の流れ>
図7は、微生物雲輸送装置の処理の流れの一例を示すフロー図である。ここでは、射出するステップから特定するステップまでの流れを示す。図7に示すように、まず、人を含む動物に当たるように空気渦輪を射出する(S701)。そして、人を含む動物に当たった空気渦輪を受け取る(S702)。そして、受け取った空気渦輪から微生物雲を採取する(S703)。そして、採取した微生物雲をまとっていた人を含む動物を特定する(S704)。また、人を含む動物を検知するステップや、人を含む動物が存在する空間を撮影するステップを含む得る。
【0044】
<効果>
本実施例によれば、射出された空気渦輪が対象となる人等に当たることで、その人がまとっている微生物雲を採取して運ぶことができる。
【0045】
<他の実施例>
上述した実施例においては、微生物雲を人や動物を特定するための材料として取り扱ってきたが、ここでの実施例では、微生物雲が人に当たることによる好ましい作用に着目した発明に関する。
【0046】
従来技術について既に述べたように、子どもが持つ多様な微生物を保有しビフィズス菌などの有益な微生物群と接することにより、高齢者の微生物群に影響を与えていると示唆されている(非特許文献6)。
【0047】
そこで、微生物雲輸送装置を応用して、射出手段が射出した空気渦輪が最初に当たった人等がまとっている微生物雲を採取し、その空気渦輪が次の人に当たるように構成する。このような構成により、例えば、先に当たった子どもの微生物雲を巻き込んだ空気渦輪を、老人に当てることができる。これにより、子どもの微生物雲が老人に対して健康的な影響を与えることが期待できる。
【符号の説明】
【0048】
101:微生物雲輸送装置
102:射出手段
103:受取手段
104:採取手段
105:特定手段
106:検知手段
107:撮影手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7