(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117958
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】フローティング機構付きコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20240823BHJP
H01R 24/44 20110101ALI20240823BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R24/44
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024075
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】下方 徳郎
(72)【発明者】
【氏名】梁瀬 智康
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA02
5E021FA09
5E021FA14
5E021FB02
5E021FC23
5E021FC31
5E021LA01
5E021LA09
5E021LA15
5E223AB26
5E223AB60
5E223AB67
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CA13
5E223CB20
5E223CB24
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223GA08
5E223GA11
5E223GA22
5E223GA52
5E223GA81
(57)【要約】
【課題】フローティングによるインピーダンスの変化を抑制し、安定した高周波性能が得られるフローティング機構付きコネクタの提供。
【解決手段】フローティング機構付きコネクタ3は、プラグに外部導体の基準位置に対し接続軸方向に移動可能なインシュレータ9と、インシュレータ9と連動して移動する可動接触部10を有する伸縮式中心導体4とを備え、外部導体5,6同士の接続軸方向における相対位置の変動に関わりなくソケットの中心導体2aに対する可動接触部10及びインシュレータ9の位置が一定に保たれるようにしている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続されるプラグとソケットとがそれぞれ中心導体と、該中心導体の外側に配置された筒状の外部導体とを備え、接続時に接続軸方向における前記外部導体同士の相対位置の変動が所定の範囲で許容されてなるフローティング機構付きコネクタにおいて、
前記プラグ又は前記ソケットのいずれか一方は、前記外部導体の基準位置に対し接続軸方向に移動可能なインシュレータと、該インシュレータと連動して移動する可動接触部を有する伸縮式中心導体とを備え、
前記外部導体同士の接続軸方向における相対位置の変動に関わりなく前記プラグ又はソケットのいずれか他方の中心導体に対する前記可動接触部及び前記インシュレータの位置が一定に保たれるようにしたことを特徴としてなるフローティング機構付きコネクタ。
【請求項2】
前記インシュレータは、前記外部導体内に摺動可能に保持され、前記可動接触部がインシュレータに保持されている請求項1に記載のフローティング機構付きコネクタ。
【請求項3】
前記外部導体は、基板に固定されたシェル本体と、該シェル本体と摺動可能に嵌合した可動シェルと、該可動シェルを相手方向に付勢する付勢手段とを備え、前記インシュレータが前記可動シェルに保持されている請求項1に記載のフローティング機構付きコネクタ。
【請求項4】
前記プラグ又はソケットのいずれか他方の基板側端部に樹脂製の基板側インシュレータを備え、該基板側インシュレータを貫通したコンタクト挿通孔を通して前記可動接触部が前記プラグ又はソケットのいずれか他方の中心導体を構成する基板上の接続パターンに当接するようにした請求項1に記載のフローティング機構付きコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器と同軸ケーブルとの接続や電子機器間の接続等に使用される同軸コネクタであって、プラグとソケットとの接続性に優れたフローティング機構付きコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の同軸コネクタのソケットには、ソケットの中央に配置されたソケット側中心導体と、ソケット側中心導体の外側に配置されたソケット側シェルと、ソケット側中心導体とソケット側シェルとの間に介在されたソケット側インシュレータとを備え、プラグとの接続時には、ソケット側中心導体及びソケット側シェルの両方が相手方のプラグ側中心導体及びプラグ側シェルと適切に接続されることが必要とされる。
【0003】
このプラグとソケットとの接続に際しては、ケース内に収容される基板の位置やプラグとケースとの取り付け公差等によって、接続されるプラグとソケットとの相対位置が軸方向で設計値とズレが生じる場合があり、このような場合でも着実に接続される必要がある。
【0004】
そこで、従来では、ソケット側インシュレータをソケット側シェル内の奥側に配置し、ソケット側シェルのプラグ嵌合側部に軸方向(接続方向)のズレを吸収するための余裕を設け、軸方向に生じた設計値と誤差を許容し、常にプラグとソケットとの接続が維持されるように構成されている。
【0005】
即ち、プラグとソケットの相対位置が設計値より遠いと、プラグ側インシュレータの軸方向端面とソケット側インシュレータの軸方向端面との間の隙間が大きくなり、プラグとソケットの相対位置が設計値より近いとプラグ側インシュレータの軸方向端面とソケット側インシュレータの軸方向端面との間の隙間が小さくなる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、プラグ側インシュレータとの軸方向端面とソケット側インシュレータの軸方向端面との間に生じる隙間には誘電率がインシュレータを構成する樹脂よりも低い空気層が生じることから、プラグとソケットとの軸方向の相対位置関係によってプラグ側インシュレータの軸方向端面とソケット側インシュレータの軸方向端面との間に生じる隙間の大きさが変動すると、
図11に示すように、フローティング量によってインピーダンスや反射特性に大きな差が生じ、高周波性能が安定しないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、フローティングによるインピーダンスの変化を抑制し、安定した高周波性能が得られるフローティング機構付きコネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、互いに接続されるプラグとソケットとがそれぞれ中心導体と、該中心導体の外側に配置された筒状の外部導体とを備え、接続時に接続軸方向における前記外部導体同士の相対位置の変動が所定の範囲で許容されてなるフローティング機構付きコネクタにおいて、前記プラグ又は前記ソケットのいずれか一方は、前記外部導体の基準位置に対し接続軸方向に移動可能なインシュレータと、該インシュレータと連動して移動する可動接触部を有する伸縮式中心導体とを備え、前記外部導体同士の接続軸方向における相対位置の変動に関わりなく前記プラグ又はソケットのいずれか他方の中心導体に対する前記可動接触部及び前記インシュレータの位置が一定に保たれるようにしたことにある。
【0010】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記インシュレータは、前記外部導体内に摺動可能に保持され、前記可動接触部がインシュレータに保持されていることにある。
【0011】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記外部導体は、基板に固定されたシェル本体と、該シェル本体と摺動可能に嵌合した可動シェルと、該可動シェルを相手方向に付勢する付勢手段とを備え、前記インシュレータが前記可動シェルに保持されていることにある。
【0012】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記プラグ又はソケットのいずれか他方の基板側端部に樹脂製の基板側インシュレータを備え、該基板側インシュレータを貫通したコンタクト挿通孔を通して前記可動接触部が前記プラグ又はソケットのいずれか他方の中心導体を構成する基板上の接続パターンに当接するようにしたことにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るフローティング機構付きコネクタは、請求項1に記載の構成を具備することによって、フローティングによるインピーダンスの変化を抑制し、安定した高周波性能を得ることができる。
【0014】
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、外部導体に対し中心導体の可動接触部とそれを保持するインシュレータが一体的に動作し、相手方コンタクトに対し、安定して可動接触部及びインシュレータの位置を一定に保つことができ、インピーダンスの変化を抑制することができる。
【0015】
さらに、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、相手方コネクタの態様に合わせて適応させることができ、設計の自由度が向上する。
【0016】
さらにまた、本発明において、請求項4の構成を具備することによって、コネクタ全体の低背化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るフローティング機構付きコネクタの一例を示す分解斜視図である。
【
図6】同上のソケットの基板側インシュレータを取り外した状態の底面図である。
【
図7】同上のソケットのA-A線矢視断面図である。
【
図8】同上のフローティング機構付きコネクタの接合状態を示す縦断面図であって、(a)は基板間距離が設計値に保たれている状態、(b)は基板間距離が設計値より狭い状態、(c)は基板間距離が設計値より広い状態の図である。
【
図9】同上のフローティング機構付きコネクタのz軸方向の嵌合位置の違いによる高周波特性の差を示すグラフである。
【
図10】本発明に係るフローティング機構付きコネクタの他の実施例を示す縦断面図であって、(a)は基板間距離が設計値より狭い状態、(b)は基板間距離が設計値より広い状態の図である。
【
図11】従来のフローティング機構付きコネクタのz軸方向の嵌合位置の違いによる高周波特性の差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係るフローティング機構付きコネクタの実施態様を
図1~
図9に示した実施例に基づいて説明する。図中符号1,2は基板、符号3は基板1,2間を接続する同軸コネクタからなるフローティング機構付きコネクタである。
【0019】
フローティング機構付きコネクタ3は、
図1、
図7に示すように、中心導体4,2aと、中心導体4,2aの外側に配置された筒状の外部導体5,6とをそれぞれ備えたプラグ7及びソケット8によって構成され、プラグ7とソケット8とが接続時に接続軸方向(z方向)における外部導体5,6同士の相対位置の変動が所定の範囲で許容された状態で互いに接続されるようになっている。
【0020】
プラグ7は、
図2、
図3に示すように、導電性金属材からなる筒状の外部導体(以下、プラグ用外部導体5という)と、プラグ用外部導体5に接続軸方向に移動可能に収容されたインシュレータ9と、インシュレータ9と連動して移動する可動接触部10を有する伸縮式中心導体4と、プラグ用外部導体5の基板1側開口部を閉鎖する底部インシュレータ11とを備えている。
【0021】
外部導体5は、
図2に示すように、導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより一体に形成され、両端が開口した角筒状の導体ハウジング12と、導体ハウジング12の一端(ソケット8側端)より内向きに突出したストッパー片13,13と、導体ハウジング12の他端(基板1側端)より外向きに延出した複数の基板接続片14,14とを備え、導体ハウジング12の基板1側開口よりインシュレータ9に保持された伸縮式中心導体4が組み込まれ、底部が底部インシュレータ11によって閉鎖されている。
【0022】
インシュレータ9は、絶縁性樹脂により一体に形成され、可動接触部10の所定位置に嵌合される筒状の導体嵌合部9aと、導体嵌合部9aの一端より外向きに張り出した矩形状の摺動用フランジ部9bとを備え、摺動用フランジ部9bが導体ハウジング12内に摺動可能に嵌合され、インシュレータ9に保持された可動接触部10がインシュレータ9の摺動に連動して外部導体5の基準位置に対し移動するようになっている。尚、外部導体5の基準位置は、導体ハウジング12の任意の位置に設定することができる。
【0023】
また、インシュレータ9は、導体ハウジング12のソケット8側端より内向きに突出したストッパー片13,13によって、摺動用フランジ部9bが抜け止めされ、インシュレータ9に保持された可動接触部10が一定以上突出しないようになっている。
【0024】
伸縮式中心導体4は、
図3に示すように、導電性金属材からなる有底円筒型をした可動接触部10内に、コイルスプリング15によって押し出し方向に付勢したポゴピン16を出入自在に収容され、ポゴピン16の圧接ピン部16bの先端を可動接触部10の先端から突出させ、可動接触部10とポゴピン16とが相対移動することにより伸縮するようになっている。
【0025】
ポゴピン16は、導電性金属材により形成され、有底筒状の可動接触部10に摺動可能に保持されたピストン部16aと、ピストン部16aの一端に突設された圧接ピン部16bとを備え、圧接ピン部16bが開口部を通して可動接触部10から出入りするようになっている。
【0026】
また、ポゴピン16は、ピストン部16aの圧接ピン部16bとは反対側の端面に軸方向に対して傾斜したバイアスカット面が形成され、このバイアスカット面をコイルスプリング15によって押圧することにより、該押圧方向と直行する方向の分力を生じさせ、これによってポゴピン16の周面が可動接触部10の内面に常時圧接されるようにし、ポゴピン16から可動接触部10を通して通電されるように構成されている。
【0027】
可動接触部10は、一端に圧接ピン部16bが挿通され、且つ、ピストン部16aが抜け出し不能な開口部を有する有底筒状に形成され、閉鎖された他端面部に接点10aが膨出している。
【0028】
また、可動接触部10の外周には、接点10aから軸方向に所定の距離をおいて抜け止めフランジ10bが一体に備えられ、接点側よりはめ込まれたインシュレータ9の底部がこの抜け止めフランジ10bに当接され、接点10aから軸方向に所定の距離をおいた位置にインシュレータ9が固定されるようになっている。
【0029】
底部インシュレータ11は、絶縁性樹脂によって、中央にピン挿通孔11aが形成された矩形状に形成され、ピン挿通孔11aを通して圧接ピン部16bの先端が基板1上の接続パターン1aと接触するようになっている。
【0030】
このように構成されたプラグ7は、基板接続片14,14を基板1のGNDパターン1b,1bに半田等によって固定することにより、ピン挿通孔11aを通して圧接ピン部16bの先端が基板1上の接続パターン1aと接触することにより、圧接ピン部16bを介して基板1に反力を取ってコイルスプリング15によって可動接触部10が付勢され、摺動フランジ部9bがストッパー片13,13に当接することにより、圧接ピン部16bが基板1の接続パターン1aに一定以上の接触圧で接触した状態でインシュレータ9に保持された可動接触部10が導体ハウジング12の端部より押し込み可能に突出した状態となる。
【0031】
ソケット8は、
図4~
図7に示すように、角筒状の樹脂ハウジング20と、樹脂ハウジング20内に移動可能に保持される角筒状の外部導体(以下、ソケット用外部導体6という)と、樹脂ハウジング20の底部を閉鎖する基板側インシュレータ21とを備え、樹脂ハウジング20に底側からソケット用外部導体6及び基板側インシュレータ21が組み込まれた構造となっている。
【0032】
樹脂ハウジング20は、絶縁性樹脂材により四方が側壁に囲まれた角筒状に形成され、各側壁の底部にソケット用外部導体6の基板接続片24,24が露出する凹部20a,20aが形成されている。
【0033】
また、各側壁の内側部には、凹部20aの底部に開口した固定用溝20b,20bが形成され、固定用溝20b,20bの内側に固定用溝20b,20bよりも狭い回避溝20cが形成されている。
【0034】
ソケット用外部導体6は、導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することにより一体に形成され、両端が開口した角筒状の外部導体本体22と、外部導体本体22の一方の開口部の四方の端縁にそれぞれ外側斜め方向に延出した案内片23,23と、外部導体本体22の他方の開口部の端縁に支持された複数の基板接続片24,24とを備えている。
【0035】
外部導体本体22は、ハウジングの内部より一回り小型、即ち、四方に配置された側板の外側面が対向する樹脂ハウジング20の内側面との間に揺動可能な隙間25が生じるサイズの角筒状に形成され、ハウジング内で接続軸方向(z軸方向)と直交する互いに直交する2方向(xy方向)で移動できるようになっている。
【0036】
また、外部導体本体22の側板には、内側に向けて突出した片持ちバネ状の弾性接触片22a,22aが形成され、弾性接触片22a,22aが内部に嵌合されたプラグ用外部導体5の外周面に接触し、両外部導体5,6同士が互いに導通するようになっている。
【0037】
基板接続片24,24は、ハウジングの各側壁の底部に形成された固定用溝20bに圧入される板状の圧入部24aと、圧入部24aの一端(下端)より直交外向きに延出され、基板2上のGNDパターン2bに接続される接続部24bと、回避溝20cを通して圧入部24aと外部導体本体22とを連結する揺動バネ部24cとを備えている。
【0038】
揺動バネ部24cは、U字状に形成され、一端が圧入部24aの上縁に支持され、他端が外部導体本体22の下縁に支持され、外部導体本体22の各側板がそれぞれ対向する樹脂ハウジング20の側壁に揺動可能に支持されるようになっている。
【0039】
基板側インシュレータ21は、中央を貫通するコンタクト挿通孔21aを有する矩形板状に形成され、プラグ7との接続時にコンタクト挿通孔21aを通して可動接触部10がソケット8の中心導体1aを構成する基板1上の接続パターンに当接するようになっている。
【0040】
このように構成されたフローティング機構付きコネクタ3は、プラグ7とソケット8とを接続すると、
図8(a)~(c)に示すように、プラグ7の導体ハウジング12がソケット8の外部導体本体22内にはめ込まれて両外部導体5,6同士が接続されるとともに、コンタクト挿通孔21aを通して可動接触部10の先端がソケット8側の中心導体を構成する基板1上の接続パターン2aに接触し、インシュレータ9に保持された可動接触部10がコイルスプリング15の付勢力に抗して導体ハウジング12内に押し込まれ、伸縮式中心導体4を介して両基板1,2の接続パターン1a,2a間が導通される。
【0041】
また、このフローティング機構付きコネクタ3では、基板1,2の電子機器に対する取り付け公差等によって、接続されるプラグ7とソケット8との相対位置がz軸方向で設計値とズレが生じた場合、プラグ7の導体ハウジング12とソケット8の外部導体本体22とのz軸方向の嵌合位置が変化するとともに、可動接触部10の導体ハウジング12に対する押し込み量が変動することによって、z軸方向のズレを吸収し、軸方向に生じた設計値との誤差を許容することができる。
【0042】
具体的には、
図8(b)に示すように、プラグ7とソケット8との相対位置が設計値より近い場合、プラグ7の導体ハウジング12とソケット8の外部導体本体22との嵌合範囲が大きくなるとともに、可動接触部10の導体ハウジング12に対する押し込み量が大きくなり、
図8(c)に示すように、プラグ7とソケット8との相対位置が設計値より遠い場合、プラグ7の導体ハウジング12とソケット8の外部導体本体22との嵌合範囲が小さくなるとともに、可動接触部10の導体ハウジング12に対する押し込み量が小さくなる。
【0043】
一方、このフローティング機構付きコネクタ3では、外部導体5,6同士の接続軸方向における相対位置の変動に関わりなく、ソケット8側の中心導体2aに対する可動接触部10及びインシュレータ9の位置Aが常に一定に保たれるので、中心導体2aの周囲に配置される誘電率が異なる空気層及びインシュレータ9の配置が常に一定に保たれ、フローティングによるインピーダンスの変化を抑制することができる。
【0044】
よって、このフローティング機構付きコネクタ3では、
図9に示すように、フローティング量によってインピーダンスや反射特性に差が生じず、安定した高周波性能を得ることができる。
【0045】
尚、上述の実施例では、外部導体5内に摺動可能に保持されたインシュレータ9に可動接触部10が保持されている場合について説明したが、可動接触部10がインシュレータ9と連動して移動するものであればよく、例えば、
図10に示すような構造のものであってもよい。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
この実施例では、外部導体30が基板1に固定されたシェル本体31と、シェル本体31と摺動可能に嵌合した可動シェル32と、可動シェル32を相手側(ソケット側)に付勢するコイルスプリング等の付勢手段33とを備え、インシュレータ9が可動シェル32に保持され、可動接触部10と連動して移動するようになっている。
【0047】
そして、この実施例では、
図10(a)、(b)に示すように、基板1,2間の距離が変動し、インシュレータ9を保持した可動シェル32がシェル本体31と相対移動すると、それに連動して可動接触部10が移動するので、ソケット8側の中心導体2aに対する可動接触部10及びインシュレータ9の位置Aが常に一定に保たれる。
【0048】
また、伸縮式中心導体4の態様は、上述の実施例に限定されず、導電性金属板材をプレス加工して形成された板バネ構造でも対応することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 基板
2 基板
3 フローティング機構付きコネクタ
4 伸縮式中心導体
5 プラグ用外部導体
6 ソケット用外部導体
7 プラグ
8 ソケット
9 インシュレータ
10 可動接触部
11 底部インシュレータ
12 導体ハウジング
13 ストッパー片
14 基板接続片
15 コイルスプリング
16 ポゴピン
20 樹脂ハウジング
21 基板側インシュレータ
22 外部導体本体
23 案内片
24 基板接続片
25 隙間
30 外部導体
31 シェル本体
32 可動シェル
33 付勢手段