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特開2024-117962走行制御装置、走行制御方法、および走行制御用コンピュータプログラム
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  • 特開-走行制御装置、走行制御方法、および走行制御用コンピュータプログラム 図1
  • 特開-走行制御装置、走行制御方法、および走行制御用コンピュータプログラム 図2
  • 特開-走行制御装置、走行制御方法、および走行制御用コンピュータプログラム 図3
  • 特開-走行制御装置、走行制御方法、および走行制御用コンピュータプログラム 図4
  • 特開-走行制御装置、走行制御方法、および走行制御用コンピュータプログラム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117962
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】走行制御装置、走行制御方法、および走行制御用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240823BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240823BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G06T7/00 650A
G06T7/00 350C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024080
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100122116
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩二
(72)【発明者】
【氏名】川島 渉
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL08
5H181LL09
5L096BA04
5L096GA51
5L096HA11
(57)【要約】
【課題】周辺画像に基づいて適切に車両の走行の制御を行うことができる走行制御装置を提供する。
【解決手段】走行制御装置は、現在時刻までの車両の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される車両の周辺状況を表す将来画像を生成し、一連の周辺画像のうち現在時刻に出力された周辺画像と、将来画像と、所定時間とを第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークに入力することで車両の走行を制御するための制御信号を生成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在時刻までの車両の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、前記現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される前記車両の周辺状況を表す将来画像を生成する画像生成部と、
前記一連の周辺画像のうち前記現在時刻に出力された周辺画像と、前記将来画像と、前記所定時間とを前記第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークに入力することで前記車両の走行を制御するための制御信号を生成する信号生成部と、を備える走行制御装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、前記車両の速度が速度閾値よりも遅い場合に前記現在時刻から第1の所定時間経過した第1の将来時刻に対応する前記将来画像を生成し、前記車両の速度が前記速度閾値よりも速い場合に前記現在時刻から前記第1の所定時間よりも短い第2の所定時間経過した第2の将来時刻に対応する前記将来画像を生成する、請求項1に記載の走行制御装置。
【請求項3】
前記将来画像を前記車両に搭載されたディスプレイに表示させる画像表示部をさらに備える、請求項1に記載の走行制御装置。
【請求項4】
車両の走行を制御するための制御信号を生成する走行制御装置が、
現在時刻までの前記車両の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、前記現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される前記車両の周辺状況を表す将来画像を生成し、
前記一連の周辺画像のうち前記現在時刻に出力された周辺画像と、前記将来画像と、前記所定時間とを前記第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークに入力することで前記制御信号を生成する、
ことを含む走行制御方法。
【請求項5】
現在時刻までの車両の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、前記現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される前記車両の周辺状況を表す将来画像を生成することと、
前記一連の周辺画像のうち前記現在時刻に出力された周辺画像と、前記将来画像と、前記所定時間とを前記第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークに入力することで前記車両の走行を制御するための制御信号を生成することと、
を前記車両に搭載されたコンピュータに実行させる走行制御用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の走行を制御するための制御信号を生成する走行制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行制御装置は、車両の周辺状況を表す周辺画像に基づいて制御信号を生成し、生成された制御信号を車両の走行機構に送信することで、車両の自動運転を実行する。
【0003】
特許文献1には、自車の周辺で所定の時間間隔で検出される物体の位置情報に基づいて物体の将来位置を予測し、物体と自車との接触可能性がある場合は警報や自動ブレーキなどの接触回避支援を実行する走行制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5341705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
周辺画像に基づいて予測された将来の周辺状況に応じて生成された制御信号を用いて走行の制御を行う走行制御装置では、制御信号による走行の制御が適切でなかった場合に、その原因が将来の周辺状況の予測にあったのか周辺状況に応じた制御信号の生成にあったのかを把握し適切に対処することが容易ではない。
【0006】
本開示は、周辺画像に基づいて適切に車両の走行の制御を行うことができる走行制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の要旨は以下のとおりである。
【0008】
(1)現在時刻までの車両の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、前記現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される前記車両の周辺状況を表す将来画像を生成する画像生成部と、
前記一連の周辺画像のうち前記現在時刻に出力された周辺画像と、前記将来画像と、前記所定時間とを前記第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークに入力することで前記車両の走行を制御するための制御信号を生成する信号生成部と、を備える走行制御装置。
【0009】
(2)前記画像生成部は、前記車両の速度が速度閾値よりも遅い場合に前記現在時刻から第1の所定時間経過した第1の将来時刻に対応する前記将来画像を生成し、前記車両の速度が前記速度閾値よりも速い場合に前記現在時刻から前記第1の所定時間よりも短い第2の所定時間経過した第2の将来時刻に対応する前記将来画像を生成する、上記(1)に記載の走行制御装置。
【0010】
(3)前記将来画像を前記車両に搭載されたディスプレイに表示させる画像表示部をさらに備える、上記(1)または(2)に記載の走行制御装置。
【0011】
(4)車両の走行を制御するための制御信号を生成する走行制御装置が、
現在時刻までの前記車両の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、前記現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される前記車両の周辺状況を表す将来画像を生成し、
前記一連の周辺画像のうち前記現在時刻に出力された周辺画像と、前記将来画像と、前記所定時間とを前記第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークに入力することで前記制御信号を生成する、
ことを含む走行制御方法。
【0012】
(5)現在時刻までの車両の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、前記現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される前記車両の周辺状況を表す将来画像を生成することと、
前記一連の周辺画像のうち前記現在時刻に出力された周辺画像と、前記将来画像と、前記所定時間とを前記第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークに入力することで前記車両の走行を制御するための制御信号を生成することと、
を前記車両に搭載されたコンピュータに実行させる走行制御用コンピュータプログラム。
【0013】
本開示にかかる走行制御装置によれば、周辺画像に基づいて適切に車両の走行の制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】走行制御装置が実装される車両の概略構成図である。
図2】走行制御装置のハードウェア模式図である。
図3】走行制御装置が有するプロセッサの機能ブロック図である。
図4】走行制御装置の動作概要を表す模式図である。
図5】走行制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、周辺画像に基づいて適切に車両の走行の制御を行うことができる走行制御装置について詳細に説明する。本開示の走行制御装置は、現在時刻までの車両の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される車両の周辺状況を表す将来画像を生成する。そして、走行制御装置は、一連の周辺画像のうち現在時刻に出力された周辺画像と、将来画像と、所定時間とを第2のニューラルネットワークに入力することで、車両の走行を制御するための制御信号を生成する。第2のニューラルネットワークは、第1のニューラルネットワークとは異なるニューラルネットワークである。
【0016】
図1は、走行制御装置が実装される車両の概略構成図である。
【0017】
車両1は、周辺カメラ2と、メーターディスプレイ3と、走行制御装置4とを有する。走行制御装置4は、走行制御装置の一例である。周辺カメラ2およびメーターディスプレイ3と走行制御装置4とは、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワークを介して通信可能に接続される。
【0018】
周辺カメラ2は、車両の周辺状況を表す周辺画像を出力する撮像部の一例である。周辺カメラ2は、CCDあるいはC-MOSなど、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上の撮影対象となる領域に像を結像する結像光学系とを有する。周辺カメラ2は、例えば車室内の前方上部に、前方を向けて配置され、所定の撮影周期(例えば1/30秒~1/10秒)ごとにフロントガラスを介して車両1の周辺の状況を撮影し、周辺の状況を表す周辺画像を時系列に出力する。周辺画像は、撮像部の出力データの一例である。車両1は、撮像部として、車両1の周辺状況に基づいて、各画素が当該画素に表わされた物体までの距離に応じた値を持つ距離画像を周辺データとして生成するLiDAR(Light Detection And Ranging)センサを有していてもよい。
【0019】
メーターディスプレイ3は、表示部の一例であり、例えば液晶ディスプレイを有する。メーターディスプレイ3は、車内ネットワークを介して走行制御装置4から受け取った信号に従って、情報を運転者に通知する画面を表示する。
【0020】
走行制御装置4は、通信インタフェースと、メモリと、プロセッサとを有するECU(Electronic Control Unit)である。走行制御装置4は、通信インタフェースを介して周辺カメラ2から受信する周辺画像に基づいて、車両1の走行を制御する制御信号を生成し、車両1の走行機構(不図示)に制御信号を出力する。走行機構には、例えば車両1に動力を供給するエンジンまたはモータ、車両1の走行速度を減少させるブレーキ、および車両1を操舵するステアリング機構が含まれる。
【0021】
図2は、走行制御装置4のハードウェア模式図である。走行制御装置4は、通信インタフェース41と、メモリ42と、プロセッサ43とを備える。
【0022】
通信インタフェース41は、通信部の一例であり、走行制御装置4を車内ネットワークへ接続するための通信インタフェース回路を有する。通信インタフェース41は、受信したデータをプロセッサ43に供給する。また、通信インタフェース41は、プロセッサ43から供給されたデータを外部に出力する。
【0023】
メモリ42は、記憶部の一例であり、揮発性の半導体メモリおよび不揮発性の半導体メモリを有する。メモリ42は、プロセッサ43による処理に用いられる各種データ、例えば第1のニューラルネットワークおよび第2のニューラルネットワークをそれぞれ規定するためのパラメータ群(層数、層構成、カーネル、重み係数等)を保存する。また、メモリ42は、各種アプリケーションプログラム、例えば走行制御処理を実行する走行制御用プログラム等を保存する。
【0024】
プロセッサ43は、制御部の一例であり、1以上のプロセッサおよびその周辺回路を有する。プロセッサ43は、論理演算ユニット、数値演算ユニット、またはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。
【0025】
図3は走行制御装置4が有するプロセッサ43の機能ブロック図である。
【0026】
走行制御装置4のプロセッサ43は、機能ブロックとして、画像生成部431と、信号生成部432と、画像表示部433とを有する。プロセッサ43が有するこれらの各部は、プロセッサ43上で実行されるプログラムによって実装される機能モジュールである。プロセッサ43の各部の機能を実現するコンピュータプログラムは、半導体メモリ、磁気記録媒体または光記録媒体といった、コンピュータ読取可能な可搬性の記録媒体に記録された形で提供されてもよい。あるいは、プロセッサ43が有するこれらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとして走行制御装置4に実装されてもよい。
【0027】
画像生成部431は、現在時刻までの車両1の周辺状況を表す一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークに入力することで、現在時刻から所定時間経過した将来時刻に予測される車両1の周辺状況を表す将来画像を生成する。
【0028】
図4は、走行制御装置4の動作概要を表す模式図である。
【0029】
周辺カメラ2は、車両1の周辺状況を表す周辺画像を時系列に出力する。周辺画像SPi-2は時刻ti-2に出力された周辺画像であり、周辺画像SPi-1は時刻ti-2よりも後の時刻ti-1に出力された周辺画像であり、周辺画像SPiは時刻ti-1よりも後の現在時刻tiに出力された周辺画像である。
【0030】
画像生成部431は、周辺カメラ2から通信インタフェース41を介して取得した一連の周辺画像SPi-2、周辺画像SPi-1、および周辺画像SPiを、第1のニューラルネットワークNN1に入力する。
【0031】
第1のニューラルネットワークNN1は、例えばSDC-Netのような、入力側から出力側に向けて直列に接続された複数の畳み込み層を有するCNN(Convolutional Neural Network)により構成される。また、第1のニューラルネットワークNN1は、PredNetのようなCNNとRNN(Recurrent Neural Network)とを組合せたネットワークにより構成されてもよい。
【0032】
第1のニューラルネットワークNN1は、車両の走行中に取得した車両の周辺状況を表す動画データから選択された多数の一連の画像を教師データとして用いて、それぞれの一連の画像のうち古い時刻の画像から新しい時刻の画像を生成するように予め学習される。第1のニューラルネットワークNN1の学習では、誤差逆伝播法といった所定の学習手法が用いられてよい。
【0033】
画像生成部431は、一連の周辺画像が入力された第1のニューラルネットワークNN1から将来画像FPi+1を得ることにより、現在時刻tiから所定時間経過した将来時刻ti+1に予測される車両1の周辺状況を表す将来画像を生成する。
【0034】
現在時刻tiと将来時刻ti+1との間の所定時間は、周辺カメラ2が周辺画像を出力する時間間隔に対応し、例えば1/10秒である。なお、画像生成部431は、第1のニューラルネットワークNN1から出力された将来画像FPi+1を現在時刻の画像とする一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークNN1に再帰的に入力することで得られる、将来時刻ti+2に対応する将来画像FPi+2を、将来画像として生成してもよい。この場合、現在時刻tiと将来時刻ti+2との間の所定時間は、周辺カメラ2が周辺画像を出力する時間間隔の二つ分に対応する。画像生成部431は、このように第1のニューラルネットワークNN1から出力された将来画像を含む一連の画像を第1のニューラルネットワークNN1に再帰的に入力することで、現在時刻から経過する所定時間のより長い将来時刻に対応する将来画像を生成することができる。
【0035】
図3に戻り、信号生成部432は、時系列の周辺画像のうち現在時刻に出力された周辺画像と、将来画像と、所定時間とを第2のニューラルネットワークに入力することで、車両の走行を制御するための制御信号を生成する。
【0036】
図4の例では、信号生成部432は、現在時刻tiに出力された周辺画像SPiと、将来画像FPi+1と、現在時刻tiと将来時刻ti+1との間隔に対応する所定時間とを第2のニューラルネットワークNN2に入力する。
【0037】
第2のニューラルネットワークNN2は、例えば、画像から特徴量を算出するVGG16といったCNNと、ある層に属するノードが前の層のすべてのノードに接続される全結合層を有する全結合ネットワークとを含んで構成される。このような構成の第2のニューラルネットワークNN2では、CNNが有する複数のチャネルに周辺画像および将来画像がそれぞれ入力されることで、それぞれの特徴量が算出される。全結合ネットワークは、CNNにより算出された周辺画像および将来画像のそれぞれの特徴量と、所定時間との入力に基づいて、制御信号を出力する。
【0038】
第2のニューラルネットワークNN2は、車両の走行中に取得した車両の周辺状況を表す動画データから選択された多数の一対の画像、一対の画像のそれぞれが出力された時刻の間隔(所定時間)、および一対の画像のそれぞれが出力された時刻のうち先の時刻において走行機構に出力すべき制御信号を教師データとして用いて、入力された一対の画像から先の時刻において走行機構に出力すべき制御信号を生成するように予め学習される。第2のニューラルネットワークNN2の学習では、誤差逆伝播法といった所定の学習手法が用いられてよい。
【0039】
信号生成部432は、現在時刻tiに出力された周辺画像SPiと、将来画像FPi+1と、現在時刻tiと将来時刻ti+1との間隔に対応する所定時間とが入力された第2のニューラルネットワークNN2から制御信号を得ることにより、車両1を制御するための制御信号を生成する。
【0040】
例えば、現在時刻に対応する周辺画像に、所定の車間距離閾値よりも長い距離だけ車両1の前方を走行する先行車両が表され、現在時刻から所定時間経過した将来時刻に対応する将来画像に、車間距離閾値よりも短い距離だけ車両1の前方を走行する当該先行車両が表されるとする。この場合、信号生成部432は、学習済の第2のニューラルネットワークNN2の出力に応じて、例えば車両1の速度を原則させるようブレーキを作動させる制御信号を生成してよい。
【0041】
図3に戻り、画像表示部433は、将来画像をメーターディスプレイ3に表示させる。画像表示部433が将来画像をメーターディスプレイ3に表示させることで、車両1の運転者は、走行制御装置4による走行制御に用いられる将来画像を視認することで、走行制御の妥当性を把握することができる。
【0042】
上述したように、本開示の走行制御装置4は、周辺画像に基づいて制御信号を生成するにあたり、第1のニューラルネットワークNN1および第2のニューラルネットワークNN2を用いる。このような構成によると、将来画像の生成と制御信号の生成とを、それぞれのニューラルネットワークにおいて並列に学習することができる。また、周辺画像から適切な制御信号が生成されない場合に、生成される将来画像を確認することで、より適切に不具合の原因を追求することができる。
【0043】
図5は走行制御処理のフローチャートである。走行制御装置4は、自動運転制御を実行中、所定の実行時間(例えば1/10秒)間隔で、以下に説明する走行制御処理を繰り返し実行する。
【0044】
走行制御装置4のプロセッサ43の画像生成部431は、現在時刻までの一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークNN1に入力することで、将来時刻に予測される車両1の周辺状況を表す将来画像を生成する(ステップS1)。
【0045】
次に、プロセッサ43の信号生成部432は、一連の周辺画像のうち現在時刻に出力された周辺画像と、将来画像と、所定時間とを第2のニューラルネットワークNN2に入力することで、車両1の走行を制御するための制御信号を生成する(ステップS2)。
【0046】
続いて、信号生成部432は、生成された制御信号を車両1の走行機構に送信し(ステップS3)、走行制御処理を終了する。
【0047】
このように走行制御処理を実行することにより、走行制御装置4は、周辺画像に基づいて適切に車両の走行の制御を行うことができる。
【0048】
変形例によれば、画像生成部431は、車両1の速度に応じて、現在時刻からの所定時間が異なる将来時刻に対応する将来画像を生成してもよい。例えば、画像生成部431は、車両1の速度がメモリ42に保存された速度閾値よりも遅い場合に、現在時刻から第1の所定時間経過した将来時刻における将来画像を生成する。また、画像生成部431は、車両1の速度が速度閾値よりも速い場合に、現在時刻から第1の所定時間よりも短い第2の所定時間経過した将来時刻における将来画像を生成する。
【0049】
上述したように、画像生成部431は、第1のニューラルネットワークNN1から出力された将来画像を含む一連の画像を第1のニューラルネットワークNN1に再帰的に入力することで、現在時刻から経過する所定時間のより長い将来時刻に対応する将来画像を生成することができる。そのため、画像生成部431は、車両1の速度が速度閾値よりも速い場合に、例えば、第1のニューラルネットワークNN1から出力された将来時刻ti+1に対応する将来画像FPi+1を将来画像として生成してよい。将来時刻ti+1は第1の将来時刻の一例であり、現在時刻tiと将来時刻ti+1との間の時間は第1の所定時間の一例である。また、画像生成部431は、車両1の速度が速度閾値よりも遅い場合に、例えば、第1のニューラルネットワークNN1から出力された将来画像FPi+1を現在時刻の画像とする一連の周辺画像を第1のニューラルネットワークNN1に再帰的に入力することで得られる、将来時刻ti+2に対応する将来画像FPi+2を、将来画像として生成してよい。将来時刻ti+2は第2の将来時刻の一例であり、現在時刻tiと将来時刻ti+2との間の時間は第2の所定時間の一例である。
【0050】
画像生成部431がこのように将来画像を生成することで、走行制御装置4は、車両1の速度に応じてより適切な制御信号を生成することができる。
【0051】
当業者は、本開示の精神および範囲から外れることなく、種々の変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0052】
1 車両
4 走行制御装置
431 画像生成部
432 信号生成部
433 画像表示部
図1
図2
図3
図4
図5