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特開2024-117966ケーブル接続確認装置、ケーブル接続確認方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117966
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】ケーブル接続確認装置、ケーブル接続確認方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0873 20220101AFI20240823BHJP
   G01S 13/75 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H04L41/0873
G01S13/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024087
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 修
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AC02
5J070AE20
5J070BC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ケーブルに取り付けられたラベルの記載を人が目視で確認することなくケーブルの所定の接続部への接続が正しく行われたか否かを簡単に確認する。
【解決手段】ケーブル接続確認装置であるRFIDラベル読取装置は、ケーブルの一端の接続部に取り付けられた第1無線タグから発せられる第1無線信号と、電子機器の所定の位置に取り付けられた第2無線タグから発せられる第2無線信号とを受信し、第1無線信号に基づいてケーブル接続確認装置から第1無線タグまでの第1の距離を算出し、第2無線信号に基づいてケーブル接続確認装置から第2無線タグまでの第2の距離を算出し、第1の距離と第2の距離に基づいてケーブルの一端の接続部の位置を示す第1の位置情報を特定し、記憶部から所定の接続部に対応する位置を示す第2の位置情報を読み出し、第1の位置情報と第2の位置情報とが一致するか否かを判定する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの一端の接続部が電子機器の所定の接続部に接続されているか否かを確認するケーブル接続確認装置であって、
前記ケーブルの一端の接続部に取り付けられた第1無線タグから発せられる第1無線信号と、前記電子機器の所定の位置に取り付けられた第2無線タグから発せられる第2無線信号とを受信する読取部と、
前記読取部によって受信された前記第1無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第1無線タグまでの第1の距離を算出し、前記読取部によって受信された前記第2無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第2無線タグまでの第2の距離を算出し、前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて前記ケーブルの一端の接続部の位置を示す第1の位置情報を特定する接続部位置特定部と、
前記電子機器の接続部の位置を示す位置情報を記憶した記憶部と、
前記記憶部から前記所定の接続部に対応する位置を示す位置情報を第2の位置情報として読み出し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致するか否かを判定する判定部と、を有することを特徴とするケーブル接続確認装置。
【請求項2】
前記接続部位置特定部は、前記第1無線信号の信号強度から前記第1の距離を算出し、前記第2無線信号の信号強度から前記第2の距離を算出することを特徴とする請求項1記載のケーブル接続確認装置。
【請求項3】
前記接続部位置特定部は、前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて前記第1無線タグから前記第2無線タグまでの第3の距離を算出することにより、前記第1の位置情報を特定することを特徴とする請求項2記載のケーブル接続確認装置。
【請求項4】
前記接続部位置特定部は、三辺測量を応用して前記第3の距離を算出することを特徴とする請求項3記載のケーブル接続確認装置。
【請求項5】
前記第1無線タグが発する前記第1無線信号は前記電子機器の識別情報と前記所定の接続部の識別情報とを示す第1の情報を含み、
前記第2無線タグが発する前記第2無線信号は前記電子機器の識別情報を示す第2の情報を含み、
前記読取部は前記第1無線信号から前記第1の情報を取り出し、前記第2無線信号から前記第2の情報を取り出し、
前記接続部位置特定部は、前記第2の情報が示す前記電子機器の識別情報が前記第1の情報が示す前記電子機器の識別情報と一致する場合に前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて前記第1の位置情報を特定し、
前記判定部は、前記第1の情報が示す前記所定の接続部の識別情報から前記所定の接続部を認識し、当該認識した前記所定の接続部の情報を用いて前記記憶部から前記第2の位置情報を読み出すことを特徴とする請求項1記載のケーブル接続確認装置。
【請求項6】
前記判定部の判定結果を表示する表示部を有することを特徴とする請求項1記載のケーブル接続確認装置。
【請求項7】
ケーブルの一端の接続部が電子機器の所定の接続部に接続されているか否かを確認するケーブル接続確認装置のケーブル接続確認方法であって、
前記ケーブルの一端の接続部に取り付けられた第1無線タグから発せられる第1無線信号と、前記電子機器の所定の位置に取り付けられた第2無線タグから発せられる第2無線信号とを読取部が受信すると、前記第1無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第1無線タグまでの第1の距離を算出し、前記第2無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第2無線タグまでの第2の距離を算出する距離算出ステップと、
前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて前記ケーブルの一端の接続部の位置を示す第1の位置情報を特定する接続部位置特定ステップと、
前記電子機器の接続部の位置を示す位置情報を記憶した記憶部から前記所定の接続部に対応する位置を示す位置情報を第2の位置情報として読み出し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致するか否かを判定する判定ステップと、を有することを特徴とするケーブル接続確認方法。
【請求項8】
ケーブルの一端の接続部が電子機器の複数の接続部のうちの所定の接続部に接続されているか否かを確認するケーブル接続確認装置のケーブル接続確認方法のためのプログラムであって、
コンピュータに、
前記ケーブルの一端の接続部に取り付けられた第1無線タグから発せられる第1無線信号と、前記電子機器の所定の位置に取り付けられた第2無線タグから発せられる第2無線信号とを読取部が受信すると、前記第1無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第1無線タグまでの第1の距離を算出し、前記第2無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第2無線タグまでの第2の距離を算出する距離算出ステップと、
前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて前記ケーブルの一端の接続部の位置を示す第1の位置情報を特定する接続部位置特定ステップと、
前記電子機器の接続部の位置を示す位置情報を記憶した記憶部から前記所定の接続部に対応する位置を示す位置情報を第2の位置情報として読み出し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致するか否かを判定する判定ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器間を接続するケーブルが正しく接続されているか否かを確認するケーブル接続確認装置、ケーブル接続確認方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークを構成する装置間を接続するケーブルの誤配線が生じないように、ケーブルの一端部に接続元情報を記載したラベルが取り付けられ、他端文に接続先情報を記載したラベルが取り付けられていた。ラベルには、接続元情報及び接続先情報としてケーブルコネクタを接続する装置及びそのポート情報が記載され、人が目視でラベルに記載されている接続元情報及び接続先情報と実際の接続状態とが正しいか否かを確認することが一般的に行われていた。
【0003】
特許文献1には、多数のケーブルの誤接続や未接続の確認負担を軽減しつつ、接続部の位置確認を迅速に行う接続部確認装置が開示されている。この接続部確認装置では、ケーブル接続先の第1接続部に第1識別情報を記憶する第1タグが付され、第1接続部に接続可能なケーブルの第2接続部に第2識別情報を記憶する第2タグが付され、第1接続部と第2接続部とが接続されることが前提とされている。接続部確認装置は、読取部にて第1及び第2タグから第1及び第2識別情報を読み取ることにより、第1接続部と第2接続部とが接続されているか否かの接続確認を行い、第1接続部と第2接続部との組合せが正しいときに、データベースから、第1及び第2識別情報の少なくとも1つに対応する第1位置情報を取得し、自己の位置に係る第2位置情報を検出し、取得した第1位置情報、及び、検出された第2位置情報に基づいて、第1及び第2接続部の位置が正しいか否かの位置確認を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-107324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の目視でラベルを確認する方法では、人がラベルの記載内容と実際の接続状態と一致するかどうかを目視で確認しているため、ラベルに記載されている接続箇所に正しくケーブルが接続されていないケースが生ずることがあるという課題がある。
【0006】
他方、特許文献1の接続部確認装置では、複数の接続部が並んで設けられたような接続先機器の場合に、接続先機器の複数の接続部のうちの所定の接続部へのケーブル接続が正しく行われた否かを判別することは難しいという課題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、このような課題に着目し、ケーブルに取り付けられたラベルの記載を人が目視で確認することなくケーブルの所定の接続部への接続が正しく行われたか否かを簡単に確認することができるケーブル接続確認装置、ケーブル接続確認方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のケーブル接続確認装置は、ケーブルの一端の接続部が電子機器の所定の接続部に接続されているか否かを確認するケーブル接続確認装置であって、前記ケーブルの一端の接続部に取り付けられた第1無線タグから発せられる第1無線信号と、前記電子機器の所定の位置に取り付けられた第2無線タグから発せられる第2無線信号とを受信する読取部と、前記読取部によって受信された前記第1無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第1無線タグまでの第1の距離を算出し、前記読取部によって受信された前記第2無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第2無線タグまでの第2の距離を算出し、前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて前記ケーブルの一端の接続部の位置を示す第1の位置情報を特定する接続部位置特定部と、前記電子機器の接続部の位置を示す位置情報を記憶した記憶部と、前記記憶部から前記所定の接続部に対応する位置を示す位置情報を第2の位置情報として読み出し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致するか否かを判定する判定部と、を有することを特徴としている。
【0009】
本発明のケーブル接続確認方法は、ケーブルの一端の接続部が電子機器の所定の接続部に接続されているか否かを確認するケーブル接続確認装置のケーブル接続確認方法であって、前記ケーブルの一端の接続部に取り付けられた第1無線タグから発せられる第1無線信号と、前記電子機器の所定の位置に取り付けられた第2無線タグから発せられる第2無線信号とを読取部が受信すると、前記第1無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第1無線タグまでの第1の距離を算出し、前記第2無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第2無線タグまでの第2の距離を算出する距離算出ステップと、前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて前記ケーブルの一端の接続部の位置を示す第1の位置情報を特定する接続部位置特定ステップと、前記電子機器の接続部の位置を示す位置情報を記憶した記憶部から前記所定の接続部に対応する位置を示す位置情報を第2の位置情報として読み出し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致するか否かを判定する判定ステップと、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明のプログラムは、ケーブルの一端の接続部が電子機器の所定の接続部に接続されているか否かを確認するケーブル接続確認装置のケーブル接続確認方法のためのプログラムであって、コンピュータに、前記ケーブルの一端の接続部に取り付けられた第1無線タグから発せられる第1無線信号と、前記電子機器の所定の位置に取り付けられた第2無線タグから発せられる第2無線信号とを読取部が受信すると、前記第1無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第1無線タグまでの第1の距離を算出し、前記第2無線信号に基づいて前記ケーブル接続確認装置から前記第2無線タグまでの第2の距離を算出する距離算出ステップと、前記第1の距離及び前記第2の距離に基づいて前記ケーブルの一端の接続部の位置を示す第1の位置情報を特定する接続部位置特定ステップと、前記電子機器の接続部の位置を示す位置情報を記憶した記憶部から前記所定の接続部に対応する位置を示す位置情報を第2の位置情報として読み出し、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致するか否かを判定する判定ステップと、を実行させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のケーブル接続確認装置、ケーブル接続確認方法、及びプログラムによれば、第1の位置情報と第2の位置情報とが一致するか否かの判定結果からケーブルの一端の接続部が所定の接続部に接続されているか否かを簡単に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明によるケーブル接続確認装置を用いてケーブル接続確認を行うネットワークシステムを例示するブロック図である。
図2図1のネットワーク構成装置10の接続部IF01~IF12各々の位置を示す図である。
図3】本発明のケーブル接続確認装置が適用されたRFID書込読取システムを示すブロック図である。
図4】接続設計情報を示すデータテーブルである。
図5】ネットワーク構成装置の接続部毎の接続部位置を示すデータテーブルである。
図6】RFIDラベル読取装置の内部構成を示すブロック図である。
図7】RFIDラベル読取装置の制御部が実行するケーブル接続確認動作を示すフローチャートである。
図8図1のネットワーク構成装置10に複数の機器用無線ICラベルを設けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明によるケーブル接続確認装置を用いてケーブル接続確認を行うネットワークシステムを例示するブロック図である。
【0015】
ネットワークシステムは、電子機器として3つのネットワーク構成装置10、20、30を備えている。ネットワーク構成装置10は例えば、サーバであり、ネットワーク構成装置20、30は例えば、通信端末である。ネットワーク構成装置10とネットワーク構成装置20とは通信ケーブル70によって接続される。ネットワーク構成装置10とネットワーク構成装置30とは通信ケーブル71によって接続される。
【0016】
ネットワーク構成装置10は複数のインターフェースの各々の接続部IF01~IF12を有している。図2にはネットワーク構成装置10のケース裏面11に配置された接続部IF01~IF12各々の位置が示されている。
【0017】
ネットワーク構成装置20、30各々はインターフェースの接続部IF21~IF24、IF31~IF34を有している。
【0018】
これらの接続部IF01~IF12、IF21~IF24、IF31~IF34はコネクタのレセプタクルである。レセプタクルは後述のプラグと共に1対のコネクタを構成する。
【0019】
通信ケーブル70の一端の接続部はネットワーク構成装置10の接続部IF01に接続され、他端の接続部はネットワーク構成装置20の接続部IF21に接続されている。通信ケーブル71の一端の接続部はネットワーク構成装置10の接続部IF09に接続され、他端の接続部はネットワーク構成装置30の接続部IF31に接続されている。通信ケーブル70、71の各接続部はコネクタのプラグである。
【0020】
通信ケーブル70、71各々の両端の接続部にはケーブル用無線ICラベル80が貼り付けられている。ネットワーク構成装置10、20、30各々の特定の位置には機器用無線ICラベル90が貼り付けられている。無線ICラベル80、90は、第1及び第2無線タグに相当し、アンテナ付ICチップ(図示せず)が埋め込まれたRFID(radio frequency identification)タグであり、表面に記載可能なラベル部分を有する。また、ICチップにはメモリが含まれており、そのメモリに各種情報が書き込まれるようになっている。
【0021】
無線ICラベル80、90は、後述するRFIDラベル書込装置50から供給される電波信号を受信し、その電波信号を整流することにより電源電圧を得て作動し、電波信号に書込指令及びデータが変調処理により重畳されているならば、復調処理により書込指令及びデータを取り出し、その書込指令に応答してデータをメモリに書き込む。
【0022】
また、無線ICラベル80、90は、後述するRFIDラベル読取装置60から供給される電波信号を受信し、その電波信号を整流することにより電源電圧を得て作動し、電波信号に読取指令が変調処理により重畳されているならば、復調処理により読取指令を取り出し、その読取指令に応答してデータをメモリから読み出し、読み出しデータを電波信号に重畳し、データ重畳後の電波信号をRFIDラベル読取装置60に送信する。
【0023】
ケーブル用無線ICラベル80内の上述したメモリには、接続元のネットワーク構成機器情報と接続先ネットワーク構成機器情報とがデータとして書き込まれる一方、その表面にそれらの情報が印字されている。接続元及び接続先のネットワーク構成機器情報は後述する接続設計情報の固有ID、機種ID、及び接続部情報を含むことができる。なお、固有ID及び機種IDはネットワーク構成装置10、20、30各々を識別する識別情報であり、接続部情報は接続部を識別する識別情報である。
【0024】
機器用無線ICラベル90内の上述したメモリには、ネットワーク全体におけるネットワーク構成機器の固有ID及び機種IDがデータとして書き込まれる一方、その表面にそれらのIDが印字されている。
【0025】
図3は本発明のケーブル接続確認装置が適用されたRFID書込読取システムを示している。このRFID書込読取システムは、構成管理サーバ40と、RFIDラベル書込装置50と、RFIDラベル読取装置60と、を備えている。
【0026】
構成管理サーバ40は、ネットワークシステムを構成する機器の各々の機器仕様情報及びその機器の接続についての接続設計情報を図示しない記憶装置に保存して管理するサーバである。機器仕様情報は各ネットワーク構成機器のインターフェース毎の接続部情報を含む。接続設計情報は、ネットワークシステムを構成する全ての機器においてケーブルで互いに接続される接続元機器及び接続先機器の各々の固有ID、機種ID、及び接続部情報を含む。
【0027】
図1に示したネットワークシステムにおいて、接続設計情報は図4に示した通りである。図4において、ネットワーク構成装置10の機種IDはX、ネットワーク構成装置20、30の機種IDはYである。接続元機器のネットワーク構成装置10の接続部情報IF01に対して接続先機器のネットワーク構成装置20の接続部情報はIF21である。接続元機器のネットワーク構成装置20の接続部情報IF21に対して接続先機器のネットワーク構成装置10の接続部情報はIF01である。接続元機器のネットワーク構成装置10の接続部情報IF09に対して接続先機器のネットワーク構成装置30の接続部情報はIF31である。接続元機器のネットワーク構成装置30の接続部情報IF31に対して接続先機器のネットワーク構成装置10の接続部情報はIF09である。
【0028】
また、構成管理サーバ40は、ネットワーク構成装置10、20、30各々の全ての接続部毎の位置(接続部位置)を示す接続部位置データテーブルを上述した記憶装置に保持している。例えば、図5に示すように、接続部位置データテーブルには接続部IF01~IF12、IF21~IF24、IF31~IF34に対応して接続部位置がP(IF01)~P(IF12)、P(IF21)~P(IF24)、P(IF31)~P(IF34)として表されている。接続部位置は、1つのネットワーク構成装置の複数の接続部を互いに区別可能な位置情報であり、例えば、各接続部の相対的な位置又は基準位置に対する各接続部の位置を表す情報である。
【0029】
RFIDラベル書込装置50は、ケーブル用無線ICラベル80及び機器用無線ICラベル90各々に情報を書き込む装置である。その書き込みは電波等の電磁波によって行われる。RFIDラベル書込装置50は、構成管理サーバ40に接続され、構成管理サーバ40から接続設計情報を読み取り、読み取った接続設計情報に基づいてネットワークシステムにおける通信ケーブル毎に両端の無線ICラベル及びネットワーク構成機器の各々の無線ICラベル、すなわち上述したケーブル用無線ICラベル80及び機器用無線ICラベル90を作成する。具体的には、RFIDラベル書込装置50は、書込指令及びデータが重畳された電波信号を送信し、その電波信号を受信したケーブル用無線ICラベル80の内部メモリには電波信号から得られたデータ中の接続元のネットワーク構成機器情報と接続先ネットワーク構成機器情報とが書き込まれ、また機器用無線ICラベル90の内部メモリには電波信号から得られたデータ中のネットワーク構成機器の固有ID及び機種IDが書き込まれる。
【0030】
RFIDラベル読取装置60は、ケーブル用無線ICラベル80及び機器用無線ICラベル90各々に書き込まれている情報を読み取る装置である。その読み取りは電波等の電磁波によって行われる。RFIDラベル読取装置60は、構成管理サーバ40に接続され、ケーブル用無線ICラベル80及び機器用無線ICラベル90各々から読み取った情報と、構成管理サーバ40に保存された接続設計情報とに基づいて通信ケーブルが正しく接続されたか否かを判定する。RFIDラベル読取装置60が本発明によるケーブル接続確認装置である。
【0031】
RFIDラベル読取装置60は、図6に示すように、インターフェース部61と、読取部62と、メモリ63と、制御部64と、表示部65と、操作部66とを備えている。インターフェース部61、読取部62、メモリ63、表示部65、及び操作部66各々は制御部64に接続されている。
【0032】
インターフェース部61は制御部64の指令に応じて構成管理サーバ40と通信を行う送受信部である。読取部62は、ケーブル用無線ICラベル80及び機器用無線ICラベル90各々のために読取指令が重畳された電波信号を送信すると共に、ケーブル用無線ICラベル80及び機器用無線ICラベル90各々が発する電波信号を受信し、受信した電波信号に重畳されたデータを取り出し、取り出したデータを制御部64に供給する。取り出したデータは制御部64の指令に応じてメモリ63に書き込まれる。また、読取部62は、受信した電波信号の電波強度(信号強度)を計測する電波強度計測部62aを有し、電波強度計測部62aにおいて計測された電波強度をデータとして制御部64に供給する。表示部65は、表示パネル(図示せず)を有し、制御部64の指令に応じて当該表示パネルへの表示を行う。
【0033】
制御部64はマイクロコンピュータからなり、プログラムに従ってインターフェース部61、読取部62、メモリ63、及び表示部65各々を制御する。その制御部64の制御動作の1つとしてケーブル接続確認動作がある。
【0034】
次に、ケーブル接続確認動作について説明する。ケーブル接続確認動作では、図1に示したように、ネットワーク構成装置10とネットワーク構成装置20とは通信ケーブル70によって接続され、ネットワーク構成装置10とネットワーク構成装置30とは通信ケーブル71によって接続されているとする。
【0035】
RFIDラベル読取装置60の使用者は、RFIDラベル読取装置60をネットワーク構成装置10、20、30のいずれか1の機器用無線ICラベル90の貼り付け位置に正対させて機器用無線ICラベル90の方向を特定させた状態で、ケーブル接続確認を行うために操作部66への指令操作を行う。制御部64は当該指令操作に応答してケーブル接続確認動作を開始する。なお、分かり易くするために、次のケーブル接続確認動作の説明は、ケーブル70のネットワーク構成装置10への接続を確認する場合とする。
【0036】
図7に示すように、ケーブル接続確認動作では、先ず、制御部64は読取部62にケーブル用無線ICラベル80及び機器用無線ICラベル90各々から情報の読取動作を指令する(ステップS11)。読取部62は、制御部64からの読取動作指令に応答してケーブル用無線ICラベル80及び機器用無線ICラベル90各々から情報を読み取る。ケーブル用無線ICラベル80からは接続元のネットワーク構成機器情報と接続先ネットワーク構成機器情報とが得られる。すなわち、接続元及び接続先のネットワーク構成機器10、20各々の固有ID、機種ID、及び接続部情報が得られる。機器用無線ICラベル90からはネットワーク構成機器10の固有ID及び機種IDが得られる。
【0037】
制御部64は、ケーブル用無線ICラベル80から得られた接続先のネットワーク構成機器の固有ID及び機種IDは、機器用無線ICラベル90から得られた固有ID及び機種IDと等しいか否かを判別する(ステップS12)。ステップS12の判別により無線ICラベル80、90各々の固有ID及び機種IDが互いに等しくない場合には、ケーブル用無線ICラベル80が貼り付けられたケーブル70の接続部は設計通りの接続先のネットワーク構成機器10に対して接続されていないことが確認されたことになる。よって、この場合には、後述のステップS21が実行され、表示部65に接続異常を示す表示が行われる。
【0038】
一方、ステップS12の判別により無線ICラベル80、90各々の固有ID及び機種IDが互いに等しい場合には、ケーブル用無線ICラベル80が貼り付けられたケーブル70の接続部は設計通りの接続先のネットワーク構成機器10に対して接続されたことが確認されたことになる。ただし、このステップS12の判別結果段階ではケーブル70の接続部がネットワーク構成機器10の目的の接続部(所定の接続部)IF01へ接続されたことは確認されていない。よって、無線ICラベル80、90各々の固有ID及び機種IDが互いに等しい場合には、制御部64は、受信した電波信号の電波強度の計測を読取部62に対して指令する(ステップS13)。
【0039】
読取部62は電波強度計測指令に応答して電波強度計測部62aにおいて計測された各電波強度をデータとして制御部64に供給する。ここで、無線ICラベル80から送信された電波信号の受信信号についての電波強度の計測値をS1とし、無線ICラベル90から送信された電波信号の受信信号についての電波強度の計測値をS2とする。制御部64は、電波強度S1、S2を得ると、RFIDラベル読取装置60から無線ICラベル80までの距離L1(第1の距離)を電波強度S1に基づいて算出する(ステップS14)。また、RFIDラベル読取装置60から無線ICラベル90までの距離L2(第2の距離)を電波強度S2に基づいて算出する(ステップS15)。ステップS14、S15では電波強度に対する距離を表すデータテーブルを用いて距離L1、L2を算出しても良い。
【0040】
制御部64は、距離L1、L2を得ると、距離L1、L2に基づいて無線ICラベル80、90間の距離L3(第3の距離)を算出し(ステップS16)、その距離L3から無線ICラベル80の位置P80(第1の位置情報)を特定する(ステップS17)。距離L3は、例えば、三辺測量を応用して算出される。
【0041】
次に、制御部64は、構成管理サーバ40から接続先機器の接続部位置(第2の位置情報)を読み出す(ステップS18)。接続先のネットワーク構成機器10の接続部は無線ICラベル80から得られた接続先ネットワーク構成機器情報の接続部情報から分かるので、接続部位置データテーブルを用いて接続先のネットワーク構成機器10の接続部位置を読み出すことができる。なお、その読み出しのために制御部64はインターフェース部61を介して構成管理サーバ40と通信を行う。
【0042】
制御部64は、接続先機器、すなわちネットワーク構成機器10の接続部位置を読み出すと、ステップS16で特定した無線ICラベル80の位置P80が読み出した接続部位置と一致するか否かを判定する(ステップS19)。制御部64は、ステップS19の判定結果が一致を表すならば、ケーブル70の接続部はネットワーク構成装置10の接続部に正しく接続されたことを意味するので、当該ケーブル70の接続正常を示す表示データを作成し、その表示データを表示部65に供給する(ステップS20)。一方、ステップS19の判定結果が不一致を表すならば、ケーブル70はネットワーク構成装置10の間違った接続部に接続されたことを意味するので、当該ケーブル70の接続異常、すなわち誤配線を示す表示データを作成し、その表示データを表示部65に供給する(ステップS21)。
【0043】
この結果、表示部65には表示データに応じてケーブル接続確認結果が表示されるので、RFIDラベル読取装置60の使用者は、無線ICラベル80、90のラベルの記載内容が実際の接続状態と一致するかどうかを目視で確認するという手間無く表示部65の表示内容からケーブル70のネットワーク構成装置10への接続が正しく行われたか否かを簡単に確認することができる。
【0044】
なお、上述したケーブル誤配線検知動作を全てのケーブル70、71に貼り付けられた無線ICラベル80各々について行い、ケーブル70、71が誤配線されたか否かを一括して表示しても良い。
【0045】
上記した実施例では、無線ICタグとして無線ICラベル80、90が用いられているが、本発明では無線ICタグの材料、形状、及び取り付け方法は限定されない。
【0046】
上記した実施例では、無線ICラベル80、90が発する無線信号として電波信号が用いられているが、光信号等の他の無線信号でも良い。
【0047】
また、上記した実施例では、ネットワーク構成装置10、20、30各々には単一の無線ICラベル90が取り付けられているが、無線ICラベル80の位置の特定精度を向上させるために、例えば、図8に示すようにネットワーク構成装置10(単一の電子機器)に2以上の無線ICラベル90を取り付け、無線ICラベル80及び2以上の無線ICラベル90各々の電波信号に基づいて無線ICラベル80の位置を特定できるようにしても良い。
【符号の説明】
【0048】
10、20、30 ネットワーク構成装置
40 構成管理サーバ
50 RFIDラベル書込装置
60 RFIDラベル読取装置
61 インターフェース部
62 読取部
62a 電波強度測定部
63 メモリ
64 制御部
65 表示部
66 操作部
70、71 ケーブル
80 ケーブル用無線ICラベル
90 機器用無線ICラベル
IF01~IF12、IF21~IF24、IF31~IF34 接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8