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  • 特開-給湯装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117968
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/14 20220101AFI20240823BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20240823BHJP
   F24H 15/215 20220101ALI20240823BHJP
   F24H 15/219 20220101ALI20240823BHJP
   F24H 15/33 20220101ALI20240823BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20240823BHJP
   F24H 15/35 20220101ALI20240823BHJP
   F24H 15/128 20220101ALI20240823BHJP
【FI】
F24H1/14 B
F24H15/10
F24H15/215
F24H15/219
F24H15/33
F24H15/31
F24H15/35
F24H15/128
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024089
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】長濱 智弘
【テーマコード(参考)】
3L034
【Fターム(参考)】
3L034BA22
3L034BB03
3L034CA05
(57)【要約】
【課題】給湯装置の熱交換器に再生可能エネルギーや他の熱源からの排熱を利用して温められた水を供給する場合に、給水温度が給水上限温度を超えても、給水上限温度より高い温度の温水を給湯できるようにして利便性を高め、且つ、耐久性も低下しないようにする。
【解決手段】給水温度が所定の給水上限温度を超えたことを条件として、バーナでの燃焼と燃焼停止とを繰り返す間欠燃焼制御を実行する。間欠燃焼制御では、燃焼中に燃焼ファンを作動させると共に燃焼停止中にも少なくとも一時的、好ましくは常に燃焼ファンを作動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、バーナに燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、バーナでの燃焼により生ずる燃焼ガスにより加熱される給湯用の熱交換器と、熱交換器に供給される水の温度である給水温度を検出する給水温度センサと、制御手段とを備える給湯装置において、
制御手段は、熱交換器に通水する給湯運転時に、給水温度センサで検出される給水温度が所定の給水上限温度を超えたことを条件として、バーナでの燃焼と燃焼停止とを繰り返す間欠燃焼制御を実行するように構成され、この間欠燃焼制御では、燃焼中に燃焼ファンを作動させるだけでなく燃焼停止中にも少なくとも一時的に燃焼ファンを作動させることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
前記間欠燃焼制御での燃焼停止中、常に前記燃焼ファンを作動させることを特徴とする請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の給湯装置であって、前記熱交換器の下流側に接続される給湯路の下流端の給湯端末に供給される水の温度である給湯温度を検出する給湯温度センサを備えるものにおいて、
前記制御手段は、給湯運転時に、前記条件に加えて、給湯温度センサで検出される給湯温度が前記給水上限温度よりも高く給湯設定温度よりも低い所定温度以上で、且つ、給湯温度を給湯設定温度にするのに必要な要求燃焼量が所定値以下という条件が満たされたときに、前記間欠燃焼制御を実行するように構成されることを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
前記制御手段は、給湯運転時に、前記条件に加えて、給湯運転開始から所定時間経過という条件が満たされたときに、前記間欠燃焼制御を実行するように構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の給湯装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の給湯装置であって、燃焼用空気に燃料ガスを混合して、混合気を前記燃焼ファンを介して前記バーナに供給する予混合装置を備え、この予混合装置は、燃焼ファンの上流側の空気供給路と、空気供給路に設けられたガス吸引部に下流端が接続された、燃料ガスを供給するガス供給路と、ガス供給路に上流側から順に介設した元弁、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナ及び可変絞り弁と、ガス吸引部の上流側の空気供給路の部分に介設したバタフライ弁とを備え、制御手段は、バタフライ弁の開度を閉じ側の所定の小能力開度にすると共に可変絞り弁の開度を所定の小能力開度にして、燃焼能力を小能力に切換える制御と、バタフライ弁の開度を開き側の所定の大能力開度にすると共に可変絞り弁の開度を小能力開度よりも大きな所定の大能力開度にして、燃焼能力を大能力に切換える制御とを行うように構成され、燃焼能力を小能力に切換えた状態で前記間欠燃焼制御が実行されるものにおいて、
間欠燃焼制御での燃焼停止中は、バタフライ弁を大能力開度にして燃焼ファンを作動させることを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーナと、バーナに燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、バーナでの燃焼により生ずる燃焼ガスにより加熱される給湯用の熱交換器と、熱交換器に供給される水の温度である給水温度を検出する給水温度センサと、制御手段とを備える給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の給湯装置において、近年のエネルギー問題から、再生可能エネルギーや他の熱源からの排熱を利用して温められた水を熱交換器に供給するニーズが増えている。ここで、熱交換器への給水温度が高くなり過ぎると、給湯装置内の雰囲気温度が上昇して、熱交換器その他の給湯装置内の部品の温度が耐熱温度を超えてしまい、耐久性が低下することがある。そこで、従来、給水温度センサで検出される給水温度が所定の給水上限温度を超えたときに、バーナの燃焼を停止する制御を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、給湯装置として、燃焼用空気に燃料ガスを混合して、混合気を燃焼ファンを介してバーナに供給する予混合装置を備えるものも知られている(例えば、特許文献2参照)。この予混合装置は、燃焼ファンの上流側の空気供給路と、空気供給路に設けられたガス吸引部に下流端が接続された、燃料ガスを供給するガス供給路と、ガス供給路に上流側から順に介設した元弁、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナ及び可変絞り弁と、ガス吸引部の上流側の空気供給路の部分に介設したバタフライ弁とを備えている。そして、制御手段は、バタフライ弁の開度を閉じ側の所定の小能力開度にすると共に可変絞り弁の開度を所定の小能力開度にして、燃焼能力を小能力に切換える制御と、バタフライ弁の開度を開き側の所定の大能力開度にすると共に可変絞り弁の開度を小能力開度よりも大きな所定の大能力開度にして、燃焼能力を大能力に切換える制御とを行うように構成される。このような給湯装置において、給水温度が給水上限温度を超えるときは、給湯温度を所定の給湯設定温度にするのに必要な要求燃焼量が低下して、燃焼能力が小能力に切換えられる。小能力では、バタフライ弁が小能力開度になるため空気量が減少し、部品温度が上昇し易くなる。従って、このような給湯装置にも特許文献1に記載の技術を適用して、給水温度が給水上限温度を超えたときにバーナの燃焼を停止することが考えられる。
【0004】
然し、このように給水温度が給水上限温度を超えたときにバーナの燃焼を停止したのでは、給水上限温度より高い温度の温水を給湯できなくなる機会が増えて、利便性が損なわれてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-204897号公報
【特許文献2】特開2021-179281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、給水温度が給水上限温度を超えても、給水上限温度より高い温度の温水を給湯できるようにして利便性を高め、且つ、耐久性も低下しないようにした給湯装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、バーナと、バーナに燃焼用空気を供給する燃焼ファンと、バーナでの燃焼により生ずる燃焼ガスにより加熱される給湯用の熱交換器と、熱交換器に供給される水の温度である給水温度を検出する給水温度センサと、制御手段とを備える給湯装置において、制御手段は、熱交換器に通水する給湯運転時に、給水温度センサで検出される給水温度が所定の給水上限温度を超えたことを条件として、バーナでの燃焼と燃焼停止とを繰り返す間欠燃焼制御を実行するように構成され、この間欠燃焼制御では、燃焼中に燃焼ファンを作動させると共に燃焼停止中にも少なくとも一時的に燃焼ファンを作動させることを特徴とする。
【0008】
本発明では、給水温度が給水上限温度を超えたときに、燃焼を停止するのではなくて間欠燃焼制御を行うため、給水上限温度より高い温度の温水を給湯でき、利便性が向上する。更に、間欠燃焼制御では、燃焼停止中も燃焼ファンを作動させるため、給湯装置内の部品が燃焼ファンの作動で生ずる空気流により冷却される。その結果、給湯装置内の部品の温度が耐熱温度を超えて、耐久性が低下することも抑制できる。
【0009】
尚、本発明においては、間欠燃焼制御での燃焼停止中、常に燃焼ファンを作動させることが望ましい。これによれば、給湯装置内の部品を効果的に冷却することができる。
【0010】
ところで、熱交換器への給水路に高温水が供給された場合でも、部品温度は直ぐには高温にならない。従って、給水温度が給水上限温度を超えたときに直ちに間欠燃焼制御を実行する必要はない。ここで、給湯装置は、一般的に、熱交換器の下流側に接続される給湯路の下流端の給湯端末に供給される水の温度である給湯温度を検出する給湯温度センサを備えている。そして、部品温度が高温になるのは、給水温度が給水上限温度を超えると共に、給湯温度が給水上限温度よりも高く給湯設定温度よりも低い所定温度以上になり、更に、給湯温度を給湯設定温度にするのに必要な要求燃焼量が所定値以下になり、燃焼ファンの回転数が低下して、部品の冷却にも寄与する空気量が減少したときである。そのため、本発明において、制御手段は、給湯運転時に、給水温度が給水上限温度を超えるという上記条件に加えて、給湯温度センサで検出される給湯温度が所定温度以上で、且つ、要求燃焼量が所定値以下という条件が満たされたときに、間欠燃焼制御を実行するように構成されることが望ましい。これによれば、必要以上に間欠燃焼制御が実行されることを回避できる。
【0011】
また、本発明においては、制御手段を、給湯運転時に、給水温度が給水上限温度を超えるという上記条件に加えて、給湯運転開始から所定時間経過という条件が満たされたときに、間欠燃焼制御を実行するように構成してもよい。このものでも、必要以上に間欠燃焼制御が実行されることを回避できる。
【0012】
また、給湯装置が上述した予混合装置を備えるものである場合、給水温度が給水上限温度を超えるときは燃焼能力が小能力に切換えられているため、燃焼能力を小能力に切換えた状態で間欠燃焼制御が実行されることになる。そこで、間欠燃焼制御での燃焼停止中は、バタフライ弁を大能力開度にして燃焼ファンを作動させることが望ましい。これによれば、燃焼停止中に燃焼ファンの作動で流れる空気量が多くなり、部品を効果的に冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の給湯装置を示す説明図。
図2】実施形態の給湯装置に設けられる制御手段が行う給湯運転時の制御内容を示すフロー図。
図3図2のSTEP10の間欠燃焼制御の内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示す本発明の実施形態の給湯装置は、全一次燃焼式のバーナ1と、バーナ1の燃焼面1aから噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐2と、燃焼筐2内に配置した熱交換器3と、バーナ1に燃焼用空気を供給する燃焼ファン4とを備えている。バーナ1での燃焼、即ち、燃焼面1aから噴出する混合気の燃焼により生ずる燃焼ガスは、熱交換器3を加熱した後に燃焼筐2の端部に接続される排気筒21を介して外部に排出される。熱交換器3の上流側と下流側には夫々給水路31と給湯路32とが接続されている。給水路31には、水量センサ33と、熱交換器3に供給される水の温度である給水温度を検出する給水温度センサ34とが設けられ、給湯路32には、給湯路32の下流端の給湯端末35に供給される水の温度である給湯温度を検出する給湯温度センサ36が設けられている。
【0015】
また、本実施形態の給湯装置は、燃焼用空気に燃料ガスを混合して、混合気を燃焼ファン4を介してバーナ1に供給する予混合装置5を備えている。予混合装置5は、燃焼ファン4の上流側の空気供給路6と、燃料ガスを供給するガス供給路7とを備えている。尚、空気供給路6には、燃焼筐2や予混合装置5等が収納される図示省略した給湯装置のハウジング内の空間を介して空気が流入する。
【0016】
ガス供給路7の下流端は、空気供給路6に設けられたガス吸引部61に接続されている。ガス吸引部61の上流側に隣接する空気供給路6の部分には、後述するバタフライ弁62を配置した部分よりも小径なベンチュリ部63が設けられている。ベンチュリ部63の下流側に隣接する空気供給路6の部分は、ベンチュリ部63より大径の筒部64で囲われている。そして、ベンチュリ部63の下流端部を筒部64の上流端部に環状の隙間を存して挿入し、この隙間でガス吸引部61を構成している。ガス供給路7の下流端には、筒部64を囲うようにして、ガス吸引部61に連通するガス室71が設けられている。また、ガス供給路7には、上流側から順に、元弁72と、二次ガス圧を大気圧に調圧するゼロガバナ73と、可変絞り弁74とが介設されている。
【0017】
ガス吸引部61を介して供給される燃料ガスの量は、二次ガス圧である大気圧と空気供給路6内の負圧との差圧に応じて変化する。ここで、空気供給路6内の負圧は、燃焼ファン4の回転数に応じて変化する。そのため、燃料ガスの供給量は燃焼ファン4の回転数、即ち、空気の供給量に比例して変化する。また、燃料ガスの供給量と空気の供給量との比率は、可変絞り弁74の開度によって変化する。可変絞り弁74の開度を使用するガス種に応じた所定の基準開度にすることで、混合気の空気過剰率が所定の適正値(例えば、1.3)になる。そして、制御手段たるマイクロコンピュータから成るコントローラ8により、給湯温度を所定の給湯設定温度にするのに必要な要求燃焼量(水量センサ33で検出される給水量と給水温度センサ34で検出される給水温度と給湯設定温度とから求められる)に応じて燃焼ファン4の回転数を制御し、空気過剰率が適正値で要求燃焼量に応じた量の混合気がバーナ1に供給されるようにしている。
【0018】
尚、排気筒21への風の侵入で排気不良を生じないようにするため、即ち、耐風性能を確保するため、燃焼ファン4の下限回転数をあまり低く設定することはできない。そして、要求燃焼量が燃焼ファン4の下限回転数に対応する所定の閾値以下になった場合には、要求燃焼量に対応する量の空気を供給できなくなる。
【0019】
そこで、ガス吸引部61より上流側の空気供給路6の部分に、当該部分の通気抵抗を大小2段に切換えるために、図外のモータにより図1に実線で示す閉じ姿勢と仮想線で示す開き姿勢とに切換えられるバタフライ弁62を配置している。そして、コントローラ8により、要求燃焼量が上記閾値以下になった場合には、バタフライ弁62を閉じ姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を大きくし、燃焼ファン4の回転数を下限回転数以下にせずに、閾値以下の要求燃焼量に対応する量の空気を供給できるようにしている。
【0020】
但し、バタフライ弁62を閉じ姿勢にして、空気供給路6の通気抵抗を大きくするだけでは、空気供給路6内の負圧が増加して、燃料ガスの供給量が過大となり、バーナ1に供給される混合気の空気過剰率が適正値を下回ってしまう。そのため、要求燃焼量が閾値以下の場合には、バタフライ弁62の開度を閉じ姿勢のときの開度である所定の小能力開度にすると共に、可変絞り弁74の開度を基準開度よりも小さな所定の小能力開度することで、燃焼能力を小能力に切換えて、空気過剰率が適正値で閾値以下の要求燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにする。また、要求燃焼量が閾値を超える場合には、バタフライ弁62の開度を開き姿勢のときの開度である所定の大能力開度にすると共に、可変絞り弁74の開度を基準開度たる大能力開度にすることで、燃焼能力を大能力に切換えて、空気過剰率が適正値で閾値を超える要求燃焼量に対応する量の混合気がバーナ1に供給されるようにする。
【0021】
また、本実施形態の給湯装置では、再生可能エネルギーや他の熱源からの排熱を利用して温められた水を給水路31を介して熱交換器3に供給している。また、給湯端末35を例えば食器洗浄機とし、給湯設定温度を例えば85℃といったかなり高温にしている。このものにおいて、給水温度が40℃以上になると、給湯装置内の雰囲気温度が上昇し、熱交換器3や燃焼筐2等の部品の温度が耐熱温度を超えて、耐久性が低下することがある。
【0022】
そこで、本実施形態では、熱交換器3に通水する給湯運転時に、コントローラ8により、給水温度センサ34で検出される給水温度が所定の給水上限温度(例えば、40℃)を超えたことを条件として、バーナ1での燃焼と燃焼停止とを繰り返す間欠燃焼制御を実行する。そして、間欠燃焼制御では、燃焼中に燃焼ファン4を作動させるだけでなく燃焼停止中にも燃焼ファン4を作動させるようにしている。以下、給湯運転時の制御について図2を参照して詳述する。
【0023】
この制御では、先ず、STEP1において、水量センサ33で検出された給水量が所定の最低作動水量以上になったか否かを判別し、最低作動水量以上になったときに、STEP2で燃焼ファン4を作動させると共に元弁72を開弁させてバーナ1に点火し、給湯運転を開始する。次に、STEP3において、給水温度センサ34で検出される給水温度が給水上限温度を超えたか否かを判別する。給水温度が給水上限温度以下であれば、STEP4に進んで、バーナ1の燃焼量が給湯温度を所定の給湯設定温度(例えば、85℃)にするのに必要な要求燃焼量になるように燃焼能力を切換えると共に燃焼ファン4の回転数を制御する通常の給湯制御を行う。その後、STEP5において、水量センサ33で検出された給水量が最低作動水量を下回ったか否かを判別する。給水量が最低作動水量以上であれば、STEP3に戻り、給水量が最低作動水量を下回ったときは、STEP6で元弁72を閉弁させてバーナ1を消火すると共に、STEP7で燃焼ファン4を消火後も一定時間作動させるポストパージを行ってからSTEP1に戻る。
【0024】
STEP3で給水温度が給水上限温度を超えたと判別されたときは、STEP8に進んで、給湯温度センサ36で検出される給湯温度が給水上限温度と給湯設定温度との間の所定温度(例えば、63℃)以上になったか否かを判別する。給湯温度が所定温度以上であれば、STEP9に進んで、要求燃焼量が所定値以下であるか否かを判別する。給湯温度が所定温度を下回るか要求燃焼量が所定値を上回る場合は、STEP4に進んで通常の給湯制御を行うが、給湯温度が所定温度以上で、且つ、要求燃焼量が所定値以下であれば、STEP10に進んで、バーナ1での燃焼と燃焼停止とを繰り返す間欠燃焼制御を実行する。この間欠燃焼制御では、燃焼中に燃焼ファン4を作動させるだけでなく燃焼停止中にも燃焼ファン4を作動させる。
【0025】
以上の制御によれば、給水温度が給水上限温度を超えたときに、燃焼を停止するのではなくて間欠燃焼制御を行うため、給水上限温度より高い温度の温水を給湯でき、利便性が向上する。更に、間欠燃焼制御では、燃焼停止中も燃焼ファン4を作動させるため、給湯装置内の燃焼筐2や熱交換器3等の部品が燃焼ファン4の作動で生ずる空気流により冷却される。その結果、給湯装置内の部品の温度が耐熱温度を超えて、耐久性が低下することを抑制できる。
【0026】
尚、熱交換器3への給水路31に高温水が供給された場合でも、部品温度は直ぐには高温にならない。従って、給水温度が給水上限温度を超えたときに直ちに間欠燃焼制御を実行する必要はない。ここで、部品温度が高温になるのは、給水温度が給水上限温度を超えると共に、給湯温度が上記所定温度以上になり、更に、要求燃焼量の低下で燃焼ファン4の回転数が低下して、部品の冷却にも寄与する空気量が減少したときである。本実施形態の制御によれば、給湯運転時に、給水温度が給水上限温度を超えるという条件に加えて、給湯温度が所定温度以上で、且つ、要求燃焼量が所定値以下という条件が満たされたときに、間欠燃焼制御を実行する。そのため、必要以上に間欠燃焼制御が実行されることを回避できる。
【0027】
ところで、給水温度が給水上限温度を超える場合、要求燃焼量は大能力での最小燃焼量以下となって、燃焼能力が小能力に切換えられる。従って、燃焼能力を小能力に切換えた状態で間欠燃焼制御が実行されることになる。また、STEP9での判別に用いる上記所定値は、小能力での中間域の燃焼量か、中間域より少し低めの燃焼量に設定される。そして、間欠燃焼制御は、図3に示す如く行う。
【0028】
即ち、間欠燃焼制御では、先ず、STEP101において、給湯温度センサ36で検出される給湯温度が給湯設定温度+α(例えば、2℃)以上になったか否かを判別し、この温度を下回っている場合は、STEP102において、元弁72を開弁状態に維持すると共にバタフライ弁62を小能力開度に維持して、燃焼ファン4を要求燃焼量に対応する回転数で回転させ、即ち、小能力で燃焼量が要求燃焼量になるようにバーナ1を燃焼させて、STEP101に戻ることを繰り返す。
【0029】
このように要求燃焼量でバーナ1を燃焼させても、給湯温度のふらつきで、給湯温度が一時的に給湯設定温度+α以上になる。このときに、STEP101からSTEP103に進み、元弁72を閉弁させてバーナ1での燃焼を停止すると共に、バタフライ弁62を大能力開度にして燃焼ファン4を要求燃焼量に対応する回転数以上の所定の冷却回転数(例えば、要求燃焼量に対応する回転数の1~4倍)で回転させる。これによれば、燃焼ファン4の作動で流れる空気量がバタフライ弁62を小能力開度に維持する場合よりも多くなり、給湯装置内の部品を効果的に冷却できる。
【0030】
次に、STEP104に進んで、給湯温度センサ36で検出される給湯温度が給湯設定温度以下になったか否かを判別する。そして、給湯温度が給湯設定温度以下になるまでは、STEP3に戻ることを繰り返し、給湯温度が給湯設定温度以下になったときに、STEP102に進んで、小能力で燃焼量が要求燃焼量になるようにバーナ1を燃焼させることを再開する。
【0031】
尚、上述したSTEP8,9での判別処理に代えて、給湯運転開始から所定時間(例えば、15分)経過したか否かの判別処理を行い、所定時間経過するまではSTEP4に進み、所定時間経過したときにSTEP10に進むようにしてもよい。即ち、給湯運転時に、給水温度が給水上限温度を上回るという条件に加えて、給湯運転開始から所定時間経過という条件が満たされたときに、間欠燃焼制御を実行するようにしてもよい。この場合にも、必要以上に間欠燃焼制御が実行されることを回避できる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、間欠燃焼制御において、給湯温度が給湯設定温度+α以上になったときに燃焼を停止し、給湯温度が給湯設定温度以下になったときに燃焼を再開するようにしているが、燃焼させる時間と燃焼停止させる時間とを予め定めて、燃焼と燃焼停止とを繰り返すことも可能である。また、上記実施形態では、間欠燃焼制御での燃焼停止中、常に燃焼ファン4を作動させているが、燃焼停止中に一時的に燃焼ファン4を作動させるようにしてもよい。但し、燃焼停止中、常に燃焼ファン4を作動させた方が部品を効果的に冷却でき有利である。
【0033】
また、間欠燃焼制御での燃焼中は、混合気の空気過剰率が適正値になるように、バタフライ弁62を小能力開度にすると共に可変絞り弁74も小能力開度にするが、可変絞り弁74の開度を小能力開度よりも小さくし、燃焼ファン4の回転数を要求燃焼量に対応する回転数よりも高くして、燃焼量を要求燃焼量に維持したまま、混合気の空気過剰率を適正値より大きくすることも可能である。更に、上記実施形態は、全一次燃焼式のバーナ1に燃焼ファン4を介して混合気を供給する予混合装置5を備える給湯装置に本発明を適用したものであるが、ブンゼン式のバーナに燃焼ファンにより燃焼用の一次空気と二次空気とを供給するようにした予混合装置を具備しない給湯装置にも本発明を適用できる。
【0034】
尚、給湯装置のハウジング内に冷却用のファンを設け、給水温度が給水上限温度を超えたときに、上述した間欠燃焼制御を行わずに、冷却用のファンを作動させて、部品を冷却することも考えられる。然し、これでは、燃焼ファン4とは別に冷却用のファンが必要となる。そのため、冷却用のファンが不要な本発明の方がコスト的に有利である。
【符号の説明】
【0035】
1…バーナ、3…熱交換器、32…給湯路、34…給水温度センサ、35…給湯端末、36…給湯温度センサ、4…燃焼ファン、5…予混合装置、6…空気供給路、61…ガス吸引部、62…バタフライ弁、7…ガス供給路、72…元弁、73…ゼロガバナ、74…可変絞り弁、8…コントローラ(制御手段)。
図1
図2
図3