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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117970
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】医用画像撮像装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240823BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240823BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240823BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20240823BHJP
【FI】
G06T7/00 300F
A61B6/03 333Z
A61B6/03 360J
A61B5/055 390
G06T7/00 660B
G06T7/60 180B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024093
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 光代
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA34
4C093EE30
4C093FF15
4C093FF22
4C096AD19
4C096CA70
4C096EB08
4C096FC02
5L096BA06
5L096FA09
5L096FA66
5L096FA69
5L096HA13
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】カメラ画像に含まれる複数の人物の中から被検体を特定する医用画像撮像装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】寝台に載置される被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置であって、前記寝台が含まれるカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、前記カメラ画像から人物を抽出する人物抽出部と、前記人物抽出部によって抽出される複数の人物のそれぞれと、前記寝台に基づいて設定される基準位置との距離に基づいて、前記複数の人物の中から前記被検体を特定する被検体特定部を備えることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台に載置される被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置であって、
前記寝台が含まれるカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、
前記カメラ画像から人物を抽出する人物抽出部と、
前記人物抽出部によって抽出される複数の人物のそれぞれと、前記寝台に基づいて設定される基準位置との距離に基づいて、前記複数の人物の中から前記被検体を特定する被検体特定部を備えることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医用画像撮像装置であって、
前記被検体特定部は、前記カメラ画像の中心線の位置を前記基準位置とすることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の医用画像撮像装置であって、
前記人物抽出部は、前記複数の人物のそれぞれから複数の特徴点を検出し、
前記被検体特定部は、各人物の複数の特徴点を用いて算出される各人物の中心線から、前記カメラ画像の中心線までの距離を算出することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の医用画像撮像装置であって、
前記被検体特定部は、予め指定される着目領域に含まれる特徴点に基づいて各人物の中心線を算出することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の医用画像撮像装置であって、
前記被検体特定部は、前記カメラ画像の中心点の位置を前記基準位置とすることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の医用画像撮像装置であって、
前記人物抽出部は、前記複数の人物のそれぞれから複数の特徴点を検出し、
前記被検体特定部は、各人物の複数の特徴点の重心を算出し、前記重心と前記カメラ画像の中心点との距離を算出することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の医用画像撮像装置であって、
前記被検体特定部は、前記カメラ画像から前記寝台の領域を抽出し、抽出された領域の中心線または中心点の位置を前記基準位置とすることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項8】
請求項1に記載の医用画像撮像装置であって、
前記被検体特定部は、前記複数の人物の中から前記距離が最も短い人物を選択することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項9】
請求項8に記載の医用画像撮像装置であって、
前記被検体特定部は、前記複数の人物の中から選択された人物が所定条件を満たすときに当該人物を前記被検体として特定することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項10】
請求項9に記載の医用画像撮像装置であって、
前記所定条件は、前記寝台の領域の中に前記人物がいることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項11】
請求項9に記載の医用画像撮像装置であって、
前記所定条件は、フレーム間の動きが閾値未満であることを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項12】
請求項1に記載の医用画像撮像装置であって、
前記人物抽出部は、前記寝台が動きうる範囲から人物を抽出することを特徴とする医用画像撮像装置。
【請求項13】
寝台に載置される被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置の制御方法であって、
前記寝台が含まれるカメラ画像を取得するカメラ画像取得ステップと、
前記カメラ画像から人物を抽出する人物抽出ステップと、
前記人物抽出ステップにおいて抽出される複数の人物のそれぞれと、前記寝台に基づいて設定される基準位置との距離に基づいて、前記複数の人物の中から前記被検体を特定する被検体特定ステップを備えることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置に係り、特に撮像位置の設定に用いられるカメラ画像に複数の人物が含まれるときに、複数の人物の中から被検体を特定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像撮像装置は、被検体の撮像位置から得られる信号、例えば被検体を透過するX線や被検体から生じる核磁気共鳴信号等を検出することにより、被検体の診断等に用いられる医用画像を撮像する装置である。医用画像撮像装置では、医用画像の撮像に先立って寝台上の被検体に対して撮像位置が設定される。撮像位置の設定は自動化されることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、トレーニング済みの2つの独立した深層学習モデルにカメラ画像を入力し、それぞれから得られる予測結果に基づいて撮像位置を自動的に設定することが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-6993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1では、カメラ画像に複数の人物が含まれる場合に対する配慮が不足している。カメラ画像に複数の人物が含まれる場合、いずれの人物が被検体であるか不明であるため、被検体に対して撮像位置を設定することが困難である。
【0006】
そこで本発明は、カメラ画像に含まれる複数の人物の中から被検体を特定する医用画像撮像装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、
寝台に載置される被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置であって、前記寝台が含まれるカメラ画像を取得するカメラ画像取得部と、前記カメラ画像から人物を抽出する人物抽出部と、前記人物抽出部によって抽出される複数の人物のそれぞれと、前記寝台に基づいて設定される基準位置との距離に基づいて、前記複数の人物の中から前記被検体を特定する被検体特定部を備えることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、寝台に載置される被検体の医用画像を撮像する医用画像撮像装置の制御方法であって、前記寝台が含まれるカメラ画像を取得するカメラ画像取得ステップと、前記カメラ画像から人物を抽出する人物抽出ステップと、前記人物抽出ステップにおいて抽出される複数の人物のそれぞれと、前記寝台に基づいて設定される基準位置との距離に基づいて、前記複数の人物の中から前記被検体を特定する被検体特定ステップを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、施設や操作者ごとに異なる撮像位置の調整を不要にする医用画像撮像装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1のX線CT装置の全体構成の一例を示す図である。
図2】実施例1の機能ブロックの一例を示す図である。
図3】実施例1の処理の流れの一例を示す図である。
図4】カメラ画像の一例を示す図である。
図5】人物の特徴点の一例を示す図である。
図6】人物選択の処理の流れの一例を示す図である。
図7】人物選択の処理の補足説明をする図である。
図8】人物選択の処理の補足説明をする図である。
図9】人物選択の処理の補足説明をする図である。
図10】人物選択の処理の補足説明をする図である。
図11】人物抽出範囲について説明をする図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面に従って本発明に係る医用画像撮像装置の実施例について説明する。医用画像撮像装置は、被検体から得られる信号、例えば被検体を透過するX線や被検体から生じる核磁気共鳴信号等を検出することにより、被検体の診断等に用いられる医用画像を撮像する装置である。以下では、医用画像撮像装置の一例として、被検体のX線投影像を様々な投影角度で取得することにより、被検体の断層画像を撮像するX線CT(Computed Tomography)装置について説明する。
【実施例0012】
図1を用いて実施例1のX線CT装置の全体構成について説明する。X線CT装置は、スキャンガントリ部100と操作ユニット120とカメラ130を備える。スキャンガントリ部100とカメラ130はX線を遮蔽する遮蔽材で囲われる撮像室に設置され、操作ユニット120は撮像室の外にある操作室に設置される。
【0013】
スキャンガントリ部100は、X線源101と、回転板102と、コリメータ103と、X線検出器106と、データ収集部107と、寝台105と、回転板制御部108と、寝台制御部109と、X線制御部110と、高電圧発生部111を備える。X線源101は寝台105に載置された被検体10にX線を照射する装置であり、例えばX線菅装置である。コリメータ103はX線の照射範囲を制限する装置である。回転板102は、寝台105上に載置された被検体10が入る開口部104を備えるとともに、X線源101とX線検出器106を搭載し、X線源101とX線検出器106を被検体10の周囲で回転させる。
【0014】
X線検出器106は、X線源101と対向配置され、被検体10を透過したX線を検出する複数の検出素子を備え、X線の空間的な分布を検出する装置である。X線検出器106の検出素子は、回転板102の回転方向と回転軸方向との二次元に配列される。データ収集部107は、X線検出器106で検出されたX線の空間的な分布をデジタルデータとして収集する装置である。
【0015】
回転板制御部108は回転板102の回転及び傾斜を制御する装置である。寝台制御部109は、寝台105の上下前後左右動を制御する装置である。高電圧発生部111はX線源101に印加される高電圧を発生する装置である。X線制御部110は、高電圧発生部111の出力を制御する装置である。回転板制御部108と寝台制御部109とX線制御部110は、例えばMPU(Micro-Processing Unit)等である。
【0016】
操作ユニット120は、入力部121と、画像生成部122と、表示部125と、記憶部123と、システム制御部124を備える。入力部121は、被検体10の氏名、検査日時、撮像条件等の検査データの入力に用いられる装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス、タッチパネル等である。画像生成部122は、データ収集部107で収集されたデジタルデータを用いて断層画像を生成する装置であり、例えばMPUやGPU(Graphics Processing Unit)等である。表示部125は、画像生成部122で生成された断層画像等を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイやタッチパネル等である。記憶部123は、データ収集部107で収集されたデジタルデータや画像生成部122で生成された断層画像、システム制御部124が実行するプログラム、プログラムが使用するデータ等を記憶する装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等である。システム制御部124は、回転板制御部108、寝台制御部109、X線制御部110等の各部を制御する装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0017】
カメラ130は、寝台105の上に載置される被検体10を寝台105とともに上方から撮影する装置であり、カメラ130の視野の略中心に寝台105が位置するように、撮像室の天井やスキャンガントリ部100の上部に設けられる。カメラ130によって撮影されたカメラ画像は、表示部125に表示され、操作室にいる操作者が被検体10の状態を確認するのに用いられたり、被検体10に対する撮像位置の設定に用いられたりする。カメラ画像は記憶部123に記憶されても良い。
【0018】
入力部121を介して設定された撮像条件に基づき、X線源101に印加される高電圧である管電圧を高電圧発生部111が発生することにより、撮像条件に応じたX線がX線源101から被検体10に照射される。X線検出器106は、X線源101から照射され被検体10を透過したX線を多数の検出素子で検出し、透過X線の空間的な分布を取得する。回転板102は回転板制御部108により制御され、入力部121から入力された撮像条件、特に回転速度等に基づいて回転する。寝台105は寝台制御部109によって制御され、回転板102に対して相対移動することにより、透過X線が検出される範囲である撮像視野に被検体10に対して設定された撮像位置を移動させる。
【0019】
X線源101によるX線の照射とX線検出器106によるX線の検出が回転板102の回転とともに繰り返されることにより、被検体10のX線投影像である投影データが様々な投影角度で計測される。投影データは、各投影角度を表すビュー(View)と、X線検出器106の検出素子番号であるチャネル(ch)番号及び列番号と対応付けられる。計測された投影データは画像生成部122に送信される。画像生成部122は複数の投影データを逆投影処理することにより断層画像を生成する。生成された断層画像は医用画像として表示部125に表示されたり、記憶部123に記憶されたりする。
【0020】
断層画像を撮像するには、断層画像を撮像する位置である撮像位置を被検体10に対して設定する必要がある。撮像位置の設定にカメラ画像が用いられるときに、カメラ画像に複数の人物が含まれると、いずれの人物が被検体10であるかを特定できず、被検体10に対する撮像位置の設定が困難となる。そこで実施例1では、カメラ画像に含まれる複数の人物と、寝台105に基づいて設定される基準位置との距離に基づいて、カメラ画像から抽出される複数の人物の中から被検体10を特定することにより、カメラ画像を用いて撮像位置を設定できるようにする。
【0021】
図2を用いて実施例1の機能ブロックについて説明する。なおこれらの機能ブロックは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を用いた専用のハードウェアで構成されても良いし、システム制御部124上で動作するソフトウェアで構成されても良い。以降の説明では実施例1の機能ブロックがソフトウェアで構成される場合について説明する。
【0022】
実施例1では、カメラ画像取得部201と人物抽出部202と被検体特定部203が備えられる。以下、各部について説明する。
【0023】
カメラ画像取得部201は、カメラ130によって撮影されるカメラ画像を取得する。取得されるカメラ画像は、デジタル化された画像であり、動画中のフレーム画像である。カメラ画像は、カメラ130から送信されたり、記憶部123から読み出されたりする。
【0024】
人物抽出部202は、カメラ画像取得部201によって取得されるカメラ画像から人物を抽出する。カメラ画像取得部201は、例えば、トレーニング済みの深層学習モデルによって構成されても良い。なお、カメラ画像に複数の人物が含まれる場合、人物抽出部202は複数の人物のそれぞれを抽出する。また人物抽出部202は、抽出される各人物の特徴点、例えば目、鼻、耳、肩、肘、手首、腰、膝、足首などを検出しても良い。
【0025】
被検体特定部203は、人物抽出部202によって抽出される複数の人物の中から被検体10を特定する。被検体10の特定には、人物抽出部202によって抽出される複数の人物と、寝台105に基づいて設定される基準位置との距離が用いられる。すなわち、被検体10は寝台105に載置されるので、例えば寝台105の中心までの距離が最も短い人物が被検体10として特定される。
【0026】
図3を用いて、実施例1の処理の流れの一例についてステップ毎に説明する。
【0027】
(S301)
カメラ画像取得部201は、寝台105が含まれるカメラ画像を取得する。S301にて取得されるカメラ画像は動画中のフレーム画像であって、カメラ130から送信されるカメラ画像でも良いし、記憶部123から読み出されるカメラ画像でも良い。
【0028】
(S302)
人物抽出部202は、S301にて取得されたカメラ画像から人物が抽出できたか否かを判定する。カメラ画像から人物が抽出できなければS303を経由してS301へ処理が戻され、人物が抽出できればS304へ処理が進められる。
【0029】
図4に、S301にて取得されるカメラ画像400の一例を示す。図4に例示されるカメラ画像400には、寝台105とともにスキャンガントリ部100が含まれ、さらに第一人物401と第二人物402、第三人物403が含まれる。第一人物401は寝台105の上に載置される被検体10であり、第二人物402と第三人物403は被検体10を介助したり撮像の準備をしたりする放射線技師である。なお人物抽出部202は、複数の人物である第一人物401、第二人物402、第三人物403を抽出できるものの、いずれが被検体10であるかを特定できない。
【0030】
(S303)
カメラ画像取得部201は、動画中のフレーム画像を次のフレームに更新する。
【0031】
(S304)
人物抽出部202は、S302にて抽出された人物の特徴点を検出する。特徴点の検出は、骨格推定によるものであっても良い。
【0032】
図5に、検出された特徴点の一例を示す。図5には、図4に例示されるカメラ画像400に含まれる第一人物401から検出された特徴点Pとして、目、鼻、耳、肩、肘、手首、腰、膝、足首が点線の円で示される。各特徴点Pの位置は、(X、Z)座標で表せられる。
【0033】
(S305)
被検体特定部203は、S302にて抽出された複数の人物と基準位置との距離に基づいて、複数の人物の中の一人を選択する。なおS302にて抽出された人物が一人である場合、当該人物が選択される。
【0034】
図6を用いて、S305の処理の流れの一例についてステップ毎に説明する。
【0035】
(S601)
被検体特定部203は、基準位置を取得する。基準位置は、寝台105に基づいて設定される。寝台105はカメラ画像の略中心に位置するので、カメラ画像の中心線や中心点の位置が基準位置として設定されても良い。例えば図7のようにカメラ画像の中心線700が寝台105の中心線と略一致する場合、カメラ画像の中心線700の位置が基準位置として設定されても良い。図8のようにカメラ画像の中心点800が寝台105の中心点と略一致する場合、カメラ画像の中心点800の位置が基準位置として設定されても良い。カメラ画像の中心線700やカメラ画像の中心点800の位置が基準位置として設定される場合、記憶部123に基準位置を予め記憶させておき、S601にて基準位置を読み出すだけで済むので、処理時間を短縮できる。
【0036】
また図9のように寝台105の中心線である寝台中心線900の位置が基準位置として設定されても良い。例えば、心臓を撮像するにあたり寝台105をX軸方向に移動させる場合、寝台中心線900がカメラ画像の中心線700から大きく外れる。そこでカメラ画像から抽出される寝台105の領域に基づいて算出される寝台中心線900が基準位置として設定されても良い。寝台中心線900が基準位置として設定される場合、以降の処理において被検体10をより正しく特定できる。なお寝台105の中心点を基準位置に設定する場合も、以降の処理において被検体10をより正しく特定できる。
【0037】
(S602)
被検体特定部203は、S601にて取得された基準位置とS302にて抽出された各人物との距離を算出する。
【0038】
図7のようにカメラ画像の中心線700の位置が基準位置である場合、被検体特定部203は各人物の複数の特徴点を用いて各人物の中心線を算出し、算出された各人物の中心線からカメラ画像の中心線700までの距離を算出する。例えば、基準位置と第一人物401との距離は、第一人物401の複数の特徴点を用いて算出される第一人物の中心線701からカメラ画像の中心線700までの距離である。同様に、基準位置と第二人物402との距離は第二人物の中心線702からカメラ画像の中心線700までの距離であり、基準位置と第三人物403との距離は第三人物の中心線703からカメラ画像の中心線700までの距離である。各人物の中心線からカメラ画像の中心線700までの距離を算出することにより、より少ない演算量で基準位置と各人物との距離を算出できる。
【0039】
なお各人物の複数の特徴点とカメラ画像の中心線700との各距離を算出し、算出された各距離の平均値を各人物の基準位置までの距離としても良い。例えば、ある人物の3つの特徴点の座標が(X1、Z1)、(X2、Z2)、(X3、Z3)であり、カメラ画像の中心線700のX座標がX0であるとき、3つの各特徴点からカメラ画像の中心線700までの各距離はX1-X0、X2-X0、X3-X0である。よって、当該人物の基準位置までの距離は3つの距離の平均値である(X1+X2+X3-3・X0)/3となる。
【0040】
また、各人物の中心線を、予め指定される着目領域に基づいて算出しても良い。着目領域には検査部位が指定されても良い。図10のように各人物の頭部を着目領域とする場合、各人物の頭部に含まれる特徴点に基づいて算出される頭部中心線とカメラ画像の中心線700との距離が算出される。例えば基準位置と第一人物401との距離は、第一人物の頭部中心線1001からカメラ画像の中心線700までの距離である。同様に、基準位置と第二人物402との距離は第二人物の頭部中心線1002からカメラ画像の中心線700までの距離であり、基準位置と第三人物403との距離は第三人物の頭部中心線1003からカメラ画像の中心線700までの距離である。予め指定される着目領域に基づいて各人物の中心線を算出することにより、S602での演算量をより低減できる。
【0041】
図8のようにカメラ画像の中心点800の位置が基準位置である場合、被検体特定部203は各人物の複数の特徴点の重心を当該人物の位置として算出し、算出された重心とカメラ画像の中心点800との距離を当該人物の基準位置までの距離とする。例えば、ある人物の3つの特徴点の座標が(X1、Z1)、(X2、Z2)、(X3、Z3)であるとき、3つの特徴点の重心((X1+X2+X3)/3、(Z1+Z2+Z3)/3)とカメラ画像の中心点800との距離が、当該人物の基準位置までの距離となる。各人物の重心とカメラ画像の中心点800との距離を算出することにより、被検体10を介助するために放射線技師が寝台105に覆いかぶさる場合であっても、以降の処理において被検体10をより正しく特定できる。
【0042】
図9のように寝台中心線900の位置が基準位置である場合、被検体特定部203は各人物の中心線から寝台中心線900までの距離を算出する。例えば、基準位置と第一人物401との距離は、第一人物の中心線701から寝台中心線900のまでの距離である。同様に、基準位置と第二人物402との距離は第二人物の中心線702から寝台中心線900までの距離であり、基準位置と第三人物403との距離は第三人物の中心線703から寝台中心線900までの距離である。
【0043】
(S603)
被検体特定部203は、S602にて算出された距離が最も短い人物を選択する。基準位置までの距離が最短である人物を選択することにより、寝台105に載置される被検体10を特定しやすくなる。図7図10の何れの例においても、第一人物401、第二人物402、第三人物403の中で基準位置までの距離が最も短い第一人物401が選択される。
【0044】
図6を用いて説明した処理の流れにより、基準位置までの距離に基づいて、複数の人物の中から一人の人物が選択される。図3の説明に戻る。
【0045】
(S306)
被検体特定部203は、S305にて選択された人物が被検体10の条件を満たすか否かを判定する。当該人物が被検体10の条件を満たさなければS303を経由してS301へ処理が戻され、条件を満たせばS307へ処理が進められる。
【0046】
当該人物が被検体10の条件を満たすか否かは、例えば当該人物が寝台105の領域の中にいるか否かによって判定される。すなわち、当該人物が寝台105の領域の中にいれば被検体10の条件を満たすとの判定がなされる。
【0047】
またフレーム間の動きに基づいて、被検体10の条件を満たすか否かが判定されても良い。すなわち、被検体10は寝台105の上で静止させられるのに対し、被検体10を介助したり撮像の準備をしたりする放射線技師は寝台105の周りを動き回るので、フレーム間の動きが所定の閾値未満であれば被検体10の条件を満たすとの判定がなされる。フレーム間の動きは、例えば動画中の隣接するフレーム画像間の差分値に基づいて算出される。
【0048】
(S307)
被検体特定部203は、S306にて被検体10の条件を満たすと判例された人物を被検体10として特定する。被検体10として特定された人物には、例えばカメラ画像に基づいて撮像位置が設定される。また被検体10として特定された人物は、表示部125に表示されても良い。特定結果が表示部125に表示されることにより、特定された人物が適切か否かを操作者が確認することができる。操作者による確認の結果、特定された人物が適切でない場合は、S303を経由してS301へ処理が戻されても良い。
【0049】
(S308)
カメラ画像取得部201は、S301にて取得されたカメラ画像が最後のフレームであるか否かを判定する。カメラ画像が最後のフレームでなければS303を経由してS301へ処理が戻され、最後のフレームであれば処理の流れは終了となる。
【0050】
図3を用いて説明した処理の流れにより、カメラ画像に複数の人物が含まれる場合であっても、寝台105に基づいて設定される基準位置との距離に基づいて、複数の人物の中から被検体10を特定することができる。
【0051】
なお、実施例1の処理の流れは図3に例示されるものに限定されない。例えば、S302においてカメラ画像から人物を抽出するとき、人物が抽出される範囲を図11に例示される人物抽出範囲1101に限定しても良い。人物抽出範囲1101は寝台105が動きうる範囲であり、撮像の準備時には被検体10は人物抽出範囲1101の中に留まる。人物抽出部202が人物を抽出する範囲を人物抽出範囲1101に限定することにより、人物抽出部202の演算量を低減できるとともに、S304以降の処理に要する演算量も低減できる。また寝台105の周りを動き回る人物が人物抽出部202によって抽出されなくなるので、被検体特定部203が被検体10を特定する精度を向上できる。
【0052】
以上、本発明の複数の実施形態を説明した。本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0053】
10:被検体、100:スキャンガントリ部、101:X線源、102:回転板、103:コリメータ、104:開口部、105:寝台、105A:移動前の寝台、106:X線検出器、107:データ収集部、108:回転板制御部、109:寝台制御部、110:X線制御部、111:高電圧発生部、120:操作ユニット、121:入力部、122:画像生成部、123:記憶部、124:システム制御部、125:表示部、130:カメラ、201:カメラ画像取得部、202:人物抽出部、203:被検体特定部、400:カメラ画像、401:第一人物、402:第二人物、403:第三人物、700:カメラ画像の中心線、701:第一人物の中心線、702:第二人物の中心線、703:第三人物の中心線、800:カメラ画像の中心点、801:第一人物の中心点、802:第二人物の中心点、803:第三人物の中心点、900:寝台中心線、1001:第一人物の頭部中心線、1002:第二人物の頭部中心線、1003:第三人物の頭部中心線、1101:人物抽出範囲
図1
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図11