(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117984
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】枠体および枠体交換方法
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20240823BHJP
E06B 1/62 20060101ALI20240823BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20240823BHJP
E06B 1/12 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B1/62 Z
E06B5/16
E06B1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024114
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】本庄 俊章
(72)【発明者】
【氏名】水原 一也
【テーマコード(参考)】
2E011
2E239
【Fターム(参考)】
2E011JA03
2E011KB02
2E011KC02
2E011KC03
2E011KC04
2E011KD14
2E011KF01
2E011KG02
2E011KH02
2E011LB02
2E011LC02
2E011LD03
2E011LD04
2E011LD08
2E011LE07
2E239CA12
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA66
(57)【要約】
【課題】開閉体を開口部に設けるための枠体において、耐火性能を備えさせると共に、意匠性の低下を低減することが可能な、枠体および枠体交換方法の提供。
【解決手段】開閉体2を開口部に設けるための枠体であって、所定の耐火性能を有する鋼材で形成された枠体本体と、前記枠体本体を構成する縦枠31に対して室外側に設けられて意匠面を構成するアルミ押出形材で形成されたカバー部材であって、既存のドア装置から取り外して再利用したカバー部材51と、を備える、枠体。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体を開口部に設けるための枠体であって、
防火性能を有する素材で形成された枠体本体と、
前記枠体本体を構成する縦枠に対して室外側に設けられた、押出形材で形成されたカバー部材と、
を備える、枠体。
【請求項2】
前記枠体本体が鋼材で形成され、前記カバー部材がアルミ押出形材で形成されている、請求項1に記載の枠体。
【請求項3】
前記枠体が、既存の開閉装置のアルミ枠体を置き換えるための枠体であり、
前記カバー部材が、前記アルミ枠体に用いられているカバー部材を再利用したものである、請求項2に記載の枠体。
【請求項4】
前記枠体本体に対して固定され、前記カバー部材と係合する係合部を有するカバー係合部材を備える、請求項2又は3に記載の枠体。
【請求項5】
前記枠体が、既存の開閉装置のアルミ枠体を置き換えるための枠体であり、
前記カバー係合部材が、前記アルミ枠体から切除若しくは取り外した部材を再利用したものである、請求項4に記載の枠体。
【請求項6】
前記カバー部材が、前記枠体本体若しくはこれを固定するための固定部材と、前記カバー係合部材と、の間における異種金属接触腐食を低減する機能を有する、請求項4に記載の枠体。
【請求項7】
開口部に設けられている開閉装置のアルミ枠体を、鋼材で形成された枠体本体を有する枠体に交換する施工方法であって、
前記アルミ枠体に設置されている開閉体を取り外すステップと、
前記アルミ枠体を前記開口部から取り外すステップと、
前記枠体本体を前記開口部に設置するステップと、
前記枠体本体を構成する縦枠の室外側に、アルミ押出形材で形成されたカバー部材を取り付けるステップと、
を有する、枠体交換方法。
【請求項8】
前記カバー部材が、前記アルミ枠体に用いられているカバー部材を再利用したものである、請求項7に記載の枠体交換方法。
【請求項9】
前記カバー部材と係合する係合部を備えたカバー係合部材を介して、前記カバー部材を前記枠体本体に対して取り付けるステップを有する、請求項7又は8に記載の枠体交換方法。
【請求項10】
前記アルミ枠体から切除若しくは取り外した部材によって前記カバー係合部材を構成するステップを有する、請求項8に記載の枠体交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア等の開閉体を開口部に設けるための枠体および枠体の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物にはそこに出入りするための開口部が通常形成されており、開口部にはそこを開閉するための開閉装置(開閉体及びこれを設けるための枠体)が設置されている。
このような開閉装置であって、断熱性能及び耐火性能を備える開閉装置に関する技術(防火リフォーム玄関ドア)が、特許文献1によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば玄関ドア等の開閉装置のドア枠は、成形の自由度、軽量、加工性、耐食性・耐候性等の観点から、アルミ押出形材で形成されることが多い。
ここで、例えば、東京都では新防火地域(新防火区域)内のすべての建築物に対して原則として準耐火建築物であることを要件としており、玄関ドア等の開閉装置についても、設置エリアによっては条例等で耐火性能が求められる場合がある。
アルミで形成されたドア枠によって必要な耐火性能を満たすことは可能であるが、必要な耐火性能を備えていることを示す(認定を受ける)ために、所定の防火試験の実施を要する。一方で、鋼材で形成されたドア枠については、必要な耐火性能を満たしていると認められるため、このような試験の必要が無い。従って、例えば準耐火建築物に使用するドア装置のドア枠として、鋼材で形成されたドア枠には一定のニーズがある。
一方で、鋼材で形成されたドア枠は、成形の自由度や耐食性・耐候性において、アルミ押出形材に劣る面があり、アルミ押出形材と同等の意匠性を得ることが難しいという問題がある。鋼材でドア枠を形成する場合において、コスト的に見合う成形方法である折り曲げ加工では、成形の自由度で劣るため形状的なデザインの自由度が低いこと、又、耐食性が低いことを補うための塗装の色あせや、塗装がはげた箇所に錆が発生すること等が原因で、アルミ押出形材と同等の意匠性を得ることが難しいものである。
玄関ドア等においては、機能性だけでなく意匠性も求められることが多く、これに対して鋼材で形成されたドア枠は十分にニーズに応えられていない面があった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、開閉体を開口部に設けるための枠体において、耐火性能を備えさせると共に意匠性の低下を低減することが可能な枠体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
開閉体を開口部に設けるための枠体であって、防火性能を有する素材で形成された枠体本体と、前記枠体本体を構成する縦枠に対して室外側に設けられた、押出形材で形成されたカバー部材と、を備える、枠体。
【0007】
(構成2)
前記枠体本体が鋼材で形成され、前記カバー部材がアルミ押出形材で形成されている、構成1に記載の枠体。
【0008】
(構成3)
前記枠体が、既存の開閉装置のアルミ枠体を置き換えるための枠体であり、前記カバー部材が、前記アルミ枠体に用いられているカバー部材を再利用したものである、構成2に記載の枠体。
【0009】
(構成4)
前記枠体本体に対して固定され、前記カバー部材と係合する係合部を有するカバー係合部材を備える、構成2又は3に記載の枠体。
【0010】
(構成5)
前記枠体が、既存の開閉装置のアルミ枠体を置き換えるための枠体であり、前記カバー係合部材が、前記アルミ枠体から切除若しくは取り外した部材を再利用したものである、構成4に記載の枠体。
【0011】
(構成6)
前記カバー部材が、前記枠体本体若しくはこれを固定するための固定部材と、前記カバー係合部材と、の間における異種金属接触腐食を低減する機能を有する、構成4又は5に記載の枠体。
【0012】
(構成7)
開口部に設けられている開閉装置のアルミ枠体を、鋼材で形成された枠体本体を有する枠体に交換する施工方法であって、前記アルミ枠体に設置されている開閉体を取り外すステップと、前記アルミ枠体を前記開口部から取り外すステップと、前記枠体本体を前記開口部に設置するステップと、前記枠体本体を構成する縦枠の室外側に、アルミ押出形材で形成されたカバー部材を取り付けるステップと、を有する、枠体交換方法。
【0013】
(構成8)
前記カバー部材が、前記アルミ枠体に用いられているカバー部材を再利用したものである、構成7に記載の枠体交換方法。
【0014】
(構成9)
前記カバー部材と係合する係合部を備えたカバー係合部材を介して、前記カバー部材を前記枠体本体に対して取り付けるステップを有する、構成7又は8に記載の枠体交換方法。
【0015】
(構成10)
前記アルミ枠体から切除若しくは取り外した部材によって前記カバー係合部材を構成するステップを有する、構成9に記載の枠体交換方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、開閉体を開口部に設けるための枠体において、耐火性能を備えさせると共に、意匠性の低下を低減することが可能な、枠体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る実施形態のドア枠(枠体)を使用したドア装置を示す正面図
【
図2】実施形態のドア枠を使用したドア装置の水平断面図
【
図3】実施形態のドア枠を使用したドア装置の垂直断面図
【
図4】実施形態のドア枠の一部(縦枠部分)を示す図
【
図5】実施形態のドア枠の一部(上枠部分)を示す図
【
図6】実施形態のドア枠によって取り換えられる前のアルミ押出形材のドア枠(縦枠部分)を示す図
【
図7】実施形態のドア枠によって取り換えられる前のアルミ押出形材のドア枠(上枠部分)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0019】
図1~3は、本発明に係る実施形態のドア枠(枠体)3を使用したドア装置(開閉装置)1を示す図であり、それぞれ、
図1:正面図、
図2:水平断面図、
図3:垂直断面図である。
また、
図4(a)は、
図2におけるドア装置1の戸先側を拡大した拡大図であり、
図4(b)は、本実施形態のドア枠3の縦枠31(及びカバー部材51とカバー係合部材41)を示す水平断面図である。
図5(a)は、
図3におけるドア装置1の上部側を拡大した拡大図であり、
図5(b)は、本実施形態のドア枠3の上枠32を示す垂直断面図である。
本実施形態のドア枠3は、ドア(開閉体)2を開口部に設けるための枠体であって、鋼材(防火性能を有する素材)で形成された枠体本体と、枠体本体を構成する縦枠31の室外側に、アルミ押出形材で形成されたカバー部材51を備えている。これにより、耐火性能を備えさせると共に、高い意匠性も得ることができるものである。
また、本実施形態のドア枠3は、アルミ押出形材で形成されたドア枠(以下単に「アルミ枠体」という)を有する既存のドア装置(開閉装置)の耐火性能を向上させるために、既存のアルミ枠体を置き換えるためのドア枠である。
図6、7は、既存のドア装置の拡大図であり、
図6(a)は、既存のドア装置の戸先側を拡大した拡大図(
図4(a)と同様の水平断面図)であり、
図6(b)は、アルミ枠体の縦枠301(及びカバー部材51)を示す水平断面図である。
図7(a)は、既存のドア装置の上部側を拡大した拡大図(
図5(a)と同様の垂直断面図)であり、
図7(b)は、アルミ枠体の上枠302(及びカバー部材52)を示す垂直断面図である。
本実施形態のドア枠3は、
図6、7で示される既存のドア装置のアルミ枠体と交換するためのものであり、既存のアルミ枠体で使用されているカバー部材51を継続して(流用して)使用可能としている。そのための部材として、ドア枠3は、カバー係合部材41を備えている。
【0020】
ドア枠3は、幅方向(
図1の左右方向)の両サイドで垂直方向に延びる2本の縦枠31と、上部で水平方向に延びる上枠32と、下部で水平方向に延びる下枠33と、を有し、
これらが相互に接合されることで、四方枠としての枠体本体が形成される。
2本の縦枠31、上枠32、下枠33は何れも、炭素鋼(いわゆるスチールや鋼と呼ばれるもの)若しくはステンレス鋼(以下、これらを総称して「鋼材」という)の板を折り曲げることによって形成されている。即ち、所定の耐火性能を有する部材で形成されている。
実施形態のドア枠3の枠体本体は、縦勝ちの構成(縦枠31が上端から下端まで延び、両サイドの縦枠31の間に上枠32と下枠33が挟まれる構成)である。
本実施形態では、2本の縦枠31、上枠32、下枠33が、工場で溶接によって相互に接合され、四方枠となった状態のドア枠3の枠体本体が、設置現場に搬入されるものであるが、それぞれバラバラで搬入されて、設置現場で四方枠とされるものであってもよい。
【0021】
縦枠31は、
図4(a)、(b)からも理解されるように、その大まかな態様としては断面L字状の部材であり、L字の一方の面は躯体の屋外側の面に沿って配置される面で、他方の一面は開口部の内側に沿って配置されてドア2の戸先若しくは戸尻と対向する面となる。
屋外側に配置される面であるL字の一方の面には、カバー係合部材41が取り付けられる取付段差凹部311が形成されている。
図4(a)、(b)に示されるように、取付段差凹部311に対してカバー係合部材41が設置され、両者を通して躯体に対してネジ止め(固定部材によって固定)される構成となる。即ち、取付段差凹部311は、ドア枠3を躯体に取り付けるための取付部としての機能も有する。
図4(a)に示されるように、取付段差凹部311、カバー係合部材41、及びこれらをねじ止めするねじのねじ頭は、カバー部材51によって覆われ、正面視(屋外側からドア装置を見た際)において、カバー部材51によって隠される構成となる。即ち、カバー部材51は、意匠性を向上するための化粧板としての機能を有する。また、カバー部材51は、ドア枠3の内部への水(雨水等)の侵入を防止し、部材の腐食を防止する機能も有する。縦枠31或いは締結用のねじ(何れもスチール製)とカバー係合部材41(アルミ製)が接触している箇所において水が浸入すると、異種金属接触腐食が生じ得るが、カバー部材51によってこれが防止され得るものである(また、スチール製の部材を錆から守る機能も有する)。
縦枠31の、ドア2の戸先若しくは戸尻と対向する面であるL字の他方の一面には、気密性向上若しくは戸当たりとしての弾性部材である気密パッキン31Sを取り付けるための取付凹部312が形成されている。L字の他方の一面側においても、躯体に対するネジ止めが行われる。
【0022】
上枠32も、
図5(a)、(b)からも理解されるように、その大まかな態様としては断面L字状の部材であり、L字の一方の面は躯体の屋外側の面に沿って配置される面で、他方の一面は開口部の内側に沿って配置されてドア2の上面と対向する面となる。
屋外側に配置される面であるL字の一方の面は、基本的には正面視で外観形状を呈する面(即ち、意匠面)を構成し、その上端部において躯体に対してネジ止めするための段差凹部321が形成されている。
図5(a)に示されるように、段差凹部321においてねじ止めするねじのねじ頭は、目地止め部材によって覆われ、正面視において、隠される構成となる。
上枠32の、ドア2の上面と対向する面であるL字の他方の一面には、気密性向上若しくは戸当たりとしての弾性部材である気密パッキン32Sを取り付けるための取付凹部322が形成されている。L字の他方の一面側においても、躯体に対するネジ止めが行われる。
【0023】
下枠33も、
図3からも理解されるように、その大まかな態様としては断面L字状の部材であり、L字の一方の面は躯体の屋外側の面に沿って配置される面で、他方の一面は開口部の内側に沿って配置され、ドア2の底面と対向する面となる。
屋外側に配置される面であるL字の一方の面は、基本的には正面視で外観形状を呈する面(即ち、意匠面)を構成し、その下端部において躯体に対してネジ止めするための段差凹部331が形成されている。段差凹部331においてねじ止めするねじのねじ頭は、他の化粧部材によって覆われ、正面視において、隠される構成となる。
下枠33の、ドア2の底面と対向する面であるL字の他方の一面は、水切りのための勾配(屋外側へと向かって低くなる傾斜)を有して構成され、気密性向上若しくは戸当たりとしての弾性部材である気密パッキン33Sを取り付けるための取付部が形成されている。L字の他方の一面側においても、躯体に対するネジ止めが行われる。
【0024】
カバー係合部材41は(
図4参照)、縦枠31に固定され、アルミ押出形材であるカバー部材51を縦枠31に対して取り付けるための部材であり、アルミ押出形材によって形成されている。
カバー係合部材41は、カバー部材51の係合突起511と係合する係合部411を備えている。また、カバー部材51の裏面に当接してこれを支持する支持部412を備えている。
なお、カバー係合部材41は、予め縦枠31の取付段差凹部311に対して接着などによって取り付けられているものであってもよいし、縦枠31の躯体に対するネジ止め時に同時に取付段差凹部311に対して設置(縦枠31に固定)されるものであってもよい。
【0025】
上記構成を有するドア枠3による、
図6、7の既存のドア装置のアルミ枠体の取り換えは、
既存のアルミ枠体に設置されているドア(開閉体)2を取り外すステップと、
既存のアルミ枠体を開口部(躯体)から取り外すステップと、
ドア枠3の枠体本体を開口部に設置するステップと、
ドア枠3の枠体本体を構成する縦枠31の室外側に、カバー係合部材41を介して、既存のアルミ枠体のカバー部材51を枠体に対して取り付けるステップと、
を有する。
【0026】
既存のアルミ枠体を開口部から取り外すステップにおいては、カバー部材51を取り外す作業が行われ、当該取り外されたカバー部材51は再利用される。再利用されるカバー部材51は、カバー係合部材41を介して縦枠31に対して取り付けられて、意匠面を構成する。
【0027】
以上のごとく、本実施形態のドア枠3によれば、鋼材で形成された枠体本体を有することにより、必要な耐火性能を備えさせることができると共に、縦枠31の室外側にアルミ押出形材で形成されたカバー部材51を備えていることにより、高い意匠性も得ることができるものである。
また、カバー部材51を再利用していることにより、経済性に優れると共に、外観をほとんど変えることなく、ドア枠部分の耐火性能を向上させることができる。
【0028】
実施形態では、上枠部分のカバー部材52については、意匠上、鋼板を折り曲げて形成した上枠32と大きな差がないもの(また、上枠は比較的目につきにくい箇所)であるため、縦枠部分のカバー部材51のみ再利用するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、上枠部分のカバー部材52についても再利用するものとしてもよい。縦枠について説明したものと同様の概念で、上枠用のカバー係合部材を設ける構成とすればよいものである。例えば、
図7(b)で示した符号402の部分と同様の構成を有する(カバー部材52の係合突起521と係合する係合部421を備える)カバー係合部材を形成して、これを設置可能なように上枠32を構成し、カバー係合部材を介して上枠32にカバー部材52を取り付け可能にすればよい。
同様に下枠部分にカバー部材がある場合に、これを再利用するものとしてもよい。
【0029】
また、既存のアルミ枠体の部材の一部(切除若しくは取り外した部材)によって、カバー係合部材を構成するようにしてもよい。
例えば、
図6(b)に示した部分401を、既存の縦枠301から切除(必要な構成のみ残してそれ以外を切除)し、これを、カバー係合部材41として再利用しても良い。同様に、上枠のカバー部材52についても再利用する場合に、
図7(b)に示した部分402を既存の上枠302から切除し、これを、カバー係合部材として再利用するもの等であってよい。同様の概念を下枠についても適用可能である。
【0030】
実施形態では、縦勝ちの枠体を例としているが、本発明をこれに限るものではなく、横勝ちの枠体としてもよい。枠体自体は横勝ちであっても、実施形態と同様の長さのカバー部材(縦勝ち用のカバー部材)を取り付け可能に構成することもできる。
【0031】
実施形態のドア枠3は、
図6、7で示した既存のドア装置のアルミ枠体を交換するためのものであり、従って、ドア枠3の具体的形状は、
図6、7のアルミ枠体に対応した形状を有しているものであるが、本発明をこれに限るものではない。上記説明から理解される本発明の概念の適用において、適用されるドア装置の構成に合わせて縦枠、上枠、下枠のそれぞれの具体的な形状が変更され得ることは当然であり、上記説明から理解される本発明の概念が適用されていれば、それが本発明の範囲内であることは当然のことである。カバー係合部材についても同様である。
【0032】
また、実施形態では、ドア枠3が、既存のアルミ枠体を置き換えるものであると説明しているが、ドア枠3を新設時に使用するものであっても勿論よい。この場合、当然に、カバー部材51等は再利用される部品ではなく、新品の部品を用いることになる。ただ、この場合においても、既存の製品で使用されているカバー部材(新品)を流用可能に構成することは可能であり、その面で経済性に優れるものとすることができる。
【0033】
実施形態では、カバー部材を枠体本体に取り付ける部材として、カバー係合部材を用いるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、例えば、カバー部材を枠体本体(縦枠等)に対して直接取り付けるものであっても構わない(例えば接着やネジ止め等の任意の取付方法を用いることができる)。
【0034】
実施形態では、開閉装置として、ヒンジで開く開閉方式のドアを開閉体としたドア装置を例として説明したが、本発明をこれに限るものではなく、任意の開閉方式の開閉体を開口部に設置するための枠体に対して、本発明の概念を適用することが可能である。
【0035】
実施形態では、枠体本体が鋼材で形成されているものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、所定の防火性能を有する素材で形成されたものであればよい。また、実施形態では、カバー部材やカバー係合部材アルミ押出形材で形成されているものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、押出形材で形成されているものであればよい。
【符号の説明】
【0036】
1...ドア装置(開閉装置)
2...ドア(開閉体)
3...ドア枠(枠体)
31...縦枠(枠体本体)
41...カバー係合部材
51...カバー部材