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特開2024-117986留置カテーテル及びカテーテル組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117986
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】留置カテーテル及びカテーテル組立体
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
A61M25/00 542
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024118
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】中島 健太郎
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB31
4C267BB33
4C267CC08
4C267HH08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】血管内又は皮下内への留置中におけるカテーテルシャフト内への血液、生体由来のタンパク質等の物質の流入を抑制する。
【解決手段】留置カテーテル16は、血管BV内又は皮下内に留置されるカテーテルシャフト30を備える。カテーテルシャフト30の先端領域31に、スリット491を有する逆止弁48が設けられる。スリット491は、カテーテルシャフト30の内腔301において逆止弁48に向かって作用する液圧により開口する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管内又は皮下内に留置されるカテーテルシャフトを備える留置カテーテルであって、
前記カテーテルシャフトの先端領域に、スリットを有する逆止弁が設けられ、
前記スリットは、前記カテーテルシャフトの内腔において前記逆止弁に向かって作用する液圧により開口する、留置カテーテル。
【請求項2】
請求項1記載の留置カテーテルにおいて、
前記逆止弁は、前記カテーテルシャフトの前記先端領域の先端部に設けられている、留置カテーテル。
【請求項3】
請求項1記載の留置カテーテルにおいて、
前記逆止弁は、ダックビル弁構造を有する、留置カテーテル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の留置カテーテルにおいて、
前記逆止弁は、前記カテーテルシャフトに一体成形されている、留置カテーテル。
【請求項5】
血管内又は皮下内に留置されるカテーテルシャフトを有する留置カテーテルと、
前記カテーテルシャフトに抜去可能に挿通される内針と、
を備えたカテーテル組立体であって、
前記カテーテルシャフトの先端領域に、スリットを有する逆止弁が設けられ、
前記カテーテル組立体の初期状態で、前記内針の先端は、前記スリットを介して前記カテーテルシャフトの先端から突出しており、
前記スリットは、前記カテーテルシャフトの内腔において前記逆止弁に向かって作用する液圧により開口する、カテーテル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留置カテーテル及びカテーテル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液を生体に投与する薬液投与装置は公知である(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013-500793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬液投与装置に用いられる留置カテーテルは、血管内又は皮下内にカテーテルシャフトを留置した状態で薬液投与を停止すると、カテーテルシャフトの先端開口からカテーテルシャフトの内腔に血液、生体由来のタンパク質等の物質が流入することがある。このような状態が長時間続くと、カテーテルシャフトの内腔の血液が凝固して血栓となる、あるいはカテーテルシャフトの内腔にタンパク質等の物質が留まることにより、カテーテルシャフトの内腔が閉塞する可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の第1の態様は、血管内又は皮下内に留置されるカテーテルシャフトを備える留置カテーテルであって、前記カテーテルシャフトの先端領域に、スリットを有する逆止弁が設けられ、前記スリットは、前記カテーテルシャフトの内腔において前記逆止弁に向かって作用する液圧により開口する、留置カテーテルである。
【0007】
スリットは、カテーテルシャフトの内腔において逆止弁に向かって作用する液圧により開口する。この構成により、血管内又は皮下内への留置中におけるカテーテルシャフト内への血液、生体由来のタンパク質等の物質の流入を抑制することができる。
【0008】
(2)上記(1)記載の留置カテーテルにおいて、前記逆止弁は、前記カテーテルシャフトの前記先端領域の先端部に設けられていてもよい。
【0009】
これにより、簡素な構成で逆止弁を設けることができる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)記載の留置カテーテルにおいて、前記逆止弁は、ダックビル弁構造を有してもよい。
【0011】
これにより、簡素な構成で逆止弁を設けることができる。
【0012】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の留置カテーテルにおいて、前記逆止弁は、前記カテーテルシャフトに一体成形されていてもよい。
【0013】
これにより、簡素な構成で逆止弁を設けることができる。
【0014】
(5)本発明の第2の態様は、血管内又は皮下内に留置されるカテーテルシャフトを有する留置カテーテルと、前記カテーテルシャフトに抜去可能に挿通される内針と、を備えたカテーテル組立体であって、前記カテーテルシャフトの先端領域に、スリットを有する逆止弁が設けられ、前記カテーテル組立体の初期状態で、前記内針の先端は、前記スリットを介して前記カテーテルシャフトの先端から突出しており、前記スリットは、前記カテーテルシャフトの内腔において前記逆止弁に向かって作用する液圧により開口する、カテーテル組立体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、血管内への留置中におけるカテーテルシャフト内への血液の流入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る留置カテーテルを備えた薬液投与装置の平面図である。
図2図2は、薬液投与装置の針ユニットの断面図である。
図3図3Aは、カテーテルシャフトの先端側の断面図である。図3Bは、カテーテルシャフトに内針が挿通された状態の多重針の先端側の断面図である。
図4図4Aは、血管内に挿入されたカテーテルシャフトの先端側の断面図(薬液が送液されていない状態)である。図4Bは、血管内に挿入されたカテーテルシャフトの先端側の断面図(薬液が送液されている状態)である。
図5図5は、変形例に係るカテーテルシャフトの先端側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す薬液投与装置10は、患者(生体)の腹部等の体表上に留置されて、体内に薬液を自動的に投与するように構成されている。薬液投与装置10は、例えば、患者に医療処置を行った後に所定時間経過したタイミングで薬液を患者に投与する場合、又は、時間をかけて徐々に薬液を投与する場合等に使用される。薬液投与装置10が投与する薬液は、例えば、抗体薬、抗がん剤、化学療法剤、麻酔薬、抗生物質、インスリン、血液製剤、栄養剤等の液体の医薬品である。
【0018】
薬液投与装置10は、針ユニット12と、装置本体14とを備える。針ユニット12は、体表及び体内(血管内又は皮下内)に留置されて、生体への薬液の導入部を構成する。針ユニット12は、留置カテーテル16と、留置カテーテル16に挿通された針部材18と、留置カテーテル16を保持するホルダ20と、ホルダ20に結合された貼付体24と、貼付体24に重ねられた剥離シート28とを備える。
【0019】
図2に示すように、留置カテーテル16は、生体内に留置されるカテーテルシャフト30と、カテーテルシャフト30の基端部を保持するカテーテルハブ32とを有する。なお、図2では、貼付体24及び剥離シート28の図示を省略している。カテーテルシャフト30は、例えば樹脂材料により構成され、可撓性を有する管状体である。
【0020】
カテーテルシャフト30の構成材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂又はこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、オレフィン系樹脂とエチレン・酢酸ビニル共重合体との混合物等が挙げられる。
【0021】
図3Aに示すように、カテーテルシャフト30の内部には薬液を流通させるための内腔301が形成されている。なお、図3Aでは、内針36が抜去された状態のカテーテルシャフト30が示されている。カテーテルシャフト30の先端領域31に、スリット491を有する逆止弁48が設けられている。逆止弁48は、カテーテルシャフト30の外部から内腔301へのスリット491を介した液体の流入を阻止し、カテーテルシャフト30の内腔301からカテーテルシャフト30の外部へのスリット491を介した液体の流出を許容する。
【0022】
逆止弁48は、カテーテルシャフト30の先端領域31の先端部に設けられている。逆止弁48は、ダックビル弁構造を有する。具体的に、逆止弁48は、先端方向に向かって縮径する弁本体49を有する。弁本体49には、カテーテルシャフト30の軸方向に延在するスリット491が形成されている。スリット491の最先端は、逆止弁48の最先端(弁本体49の最先端)に位置する。スリット491によって、弁本体49が、径方向に弾性変形可能な一対の弁壁部492に分割されている。
【0023】
一対の弁壁部492は、先端方向に向かってカテーテルシャフト30の軸線に近づくように傾斜する傾斜壁493を有する。一対の弁壁部492が径方向に変形することでスリット491が径方向に開閉する。スリット491は、自然状態(カテーテルシャフト30の内腔301に内針36が挿通されておらず、且つカテーテルシャフト30の内腔301において逆止弁48に向かって液圧が作用していない状態)で閉じている。スリット491は、カテーテルシャフト30の内腔301において逆止弁48に向かって作用する液圧により開口する。
【0024】
図3Bに示すように、カテーテルシャフト30の内腔301に内針36が挿通された初期状態では、内針36がスリット491を貫通しており、内針36の先端は、スリット491を介してカテーテルシャフト30の先端から突出している。すなわち、初期状態では、スリット491は、内針36の外周面によって外方に押されることにより、外側に弾性変形して強制的に開いた状態となっている。
【0025】
本実施形態において、逆止弁48は、カテーテルシャフト30に一体成形されている。すなわち、逆止弁48は、カテーテルシャフト30と一体構造である。なお、逆止弁48は、カテーテルシャフト30とは別に作製され、カテーテルシャフト30の先端に接合された部材であってもよい。この場合、逆止弁48は、カテーテルシャフト30よりも柔軟性の高い材料により構成されてもよい。カテーテルシャフト30とは異なる部材として逆止弁48が構成される場合、逆止弁48の構成材料としては、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料や、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等が挙げられる。
【0026】
図2に示すように、カテーテルハブ32は、中空筒状のハブ本体321と、ハブ本体321の側部から斜めに突出した中空筒状のサイドポート322とを有する。カテーテルハブ32は、例えば、樹脂材料により構成され、カテーテルシャフト30よりも硬質である。ハブ本体321の先端部にカテーテルシャフト30の基端部が固定されている。ハブ本体321の内部で、サイドポート322の先端開口よりも基端側には、弾性体からなる弁体34が配置されている。サイドポート322は、ハブ本体321の先端と基端との間の中間部から斜め基端方向に突出している。
【0027】
留置カテーテル16と針部材18とにより、カテーテル組立体19が構成される。針部材18は、留置カテーテル16に挿通された内針36と、内針36の基端部を保持する針保持部38とを有する。針部材18は、留置カテーテル16に対して離脱可能に装着されている。針ユニット12の初期状態で、内針36の針先361を含む先端部がカテーテルシャフト30の先端開口から突出しており、カテーテルシャフト30と内針36とが重なって多重針40が構成されている。内針36の基端部は針保持部38に固定されている。初期状態で、内針36は弁体34を貫通している。初期状態で、多重針40のうちカテーテルハブ32から先端方向に突出した部分は、管状のプロテクタ42によって覆われている。
【0028】
針保持部38は、カテーテルハブ32に対して離脱可能に接続されている。具体的には、針保持部38の一対の係合アーム382が、ハブ本体321の基端部に係合している。ユーザが係合アーム382の基端側を内方に押すことで、係合アーム382の先端側が外方に変位して、針保持部38がカテーテルハブ32から離脱可能になる。なお、針保持部38の基端部には、ユーザによって把持される把持部材46が固定されている(図1参照)。
【0029】
図1に示すように、ホルダ20は、留置カテーテル16の基端部(カテーテルハブ32)を保持する。ホルダ20は、台座部50と、ハブ保持部52とを有する。台座部50は、平板状に形成されている。台座部50には、貼付体24が固定されている。ハブ保持部52は、台座部50から上方に突出し、カテーテルハブ32を保持する。
【0030】
貼付体24は、生体の体表に貼付される貼付面(粘着面)を有するシート状部材である貼付体24に形成された開口部58に多重針40及びプロテクタ42が貫通している。なお、貼付体24の表面24aの先端側には、透明性を有するフィルム状のドレッシング材60が設けられている。ドレッシング材60に多重針40及びプロテクタ42が貫通している。
【0031】
剥離シート28は、貼付体24の下面に重ねられている。剥離シート28は、貼付面56から剥離可能である。剥離シート28は、貼付体24の先端側に重ねられた第1シート281と、第1シート281よりも基端側で貼付体24に重ねられた第2シート282とを有する。
【0032】
針ユニット12は、チューブ74と、コネクタ部76とをさらに有する。チューブ74は可撓性を有する。チューブ74の一端はカテーテルハブ32のサイドポート322に接続及び固定されている。チューブ74の他端にコネクタ部76が接続及び固定されている。
【0033】
針ユニット12の初期状態において、コネクタ部76の基端部にはアダプタ部材80が離脱可能に接続されている。アダプタ部材80の基端部には、不図示のプライミング液送出デバイス(例えば、シリンジ等)が接続可能である。アダプタ部材80は、一対の接続アーム82を有する。各接続アーム82の先端に設けられた爪部84が、コネクタ部76の側部に係合している。ユーザが接続アーム82の基端側を内方に押すことで、接続アーム82の先端側が外方に変位して、アダプタ部材80がコネクタ部76から離脱可能になる。アダプタ部材80が離脱した状態のコネクタ部76は、装置本体14と接続可能である。
【0034】
装置本体14は、針ユニット12に向けて薬液を供給するためのデバイスである。詳細は図示しないが、装置本体14は、薬液を貯留した薬液容器と、薬液容器内に摺動可能に配置されたガスケットと、薬液容器から薬液を送出するためにガスケットを先端方向に移動させる移動機構と、移動機構を制御する制御部と、移動機構等に電力を供給する電源部とを備える。装置本体14は、針ユニット12のコネクタ部76と接続可能な接続部141をさらに備える。
【0035】
なお、留置カテーテル16は、貼付体24を有する針ユニット12に適用される形態に限らない。留置カテーテル16は、例えば、医療用粘着テープにより生体の体表に固定される形態であってもよい。留置カテーテル16は、装置本体14から薬液が送液される形態に限らず、例えば、シリンジポンプの駆動によって、シリンジに接続された輸液ラインを介して薬液が送液される形態であってもよい。
【0036】
薬液投与装置10は、以下のように使用される。
【0037】
ユーザは、アダプタ部材80に不図示のプライミング液送出デバイスを接続し、プライミング液を送出することにより、チューブ74及びカテーテルハブ32の内部をプライミング液で満たす(1回目のプライミング)。次に、ユーザは、プロテクタ42を多重針40から取り外す。
【0038】
次に、ユーザは、多重針40を体表から生体内(本実施形態の例では、血管内)に穿刺する。次に、ユーザは、貼付体24から剥離シート28の第1シート281を剥がし、貼付体24の先端側を体表に貼付する。次に、ユーザは、留置カテーテル16から内針36を抜去する。この時点で、図4Aに示すように、カテーテルシャフト30の先端側が血管BV内に配置される。留置カテーテル16からの内針36(図1)の抜去に伴い、逆止弁48の弾性復元力(及び血液の圧力)によりスリット491が閉じられる。すなわち、一対の弁壁部492同士が密着することで、スリット491が液密に閉じる。スリット491が閉じることにより、血液がカテーテルシャフト30の内腔301へ流入することが抑制される。
【0039】
次に、ユーザは、図1に示した貼付体24から剥離シート28の第2シート282を剥がし、貼付体24の基端側を体表に貼付する。次に、ユーザは、不図示のプライミング液送出デバイスを用いてプライミング液を送出することにより、2回目のプライミングを行う。2回目のプライミングでは、カテーテルシャフト30内をプライミング液で満たす。
【0040】
次に、ユーザは、コネクタ部76を装置本体14に接続することにより、針ユニット12を装置本体14に接続する。具体的には、ユーザは、アダプタ部材80の一対の接続アーム82を操作して接続アーム82とコネクタ部76との係合を解除した後、コネクタ部76からアダプタ部材80を取り外す。次に、ユーザは、アダプタ部材80が取り外された状態のコネクタ部76を、装置本体14の接続部141に接続する。
【0041】
次に、ユーザは、装置本体14に設けられた不図示の電源スイッチを押す。これにより装置本体14が起動する。装置本体14は、薬液を送出し、チューブ74及び留置カテーテル16を介して薬液を患者に自動投与する。なお、装置本体14にも不図示の貼付体が設けられており、貼付体により装置本体14も体表に貼付される。
【0042】
図4Bに示すように、薬液は、カテーテルシャフト30の内腔301を介して血管BV内に送出される。この場合、カテーテルシャフト30の内部では、薬液の液圧が逆止弁48に向かって作用するため、液圧によって逆止弁48が外側に押し広げられる。この結果、逆止弁48のスリット491が開いて、カテーテルシャフト30の内腔301と血管BV内とがスリット491を介して連通する。薬液は、スリット491を介して血管BV内へと流出する。
【0043】
装置本体14(図1)は、定期的に薬液の送出と停止を繰り返す。装置本体14からの薬液の送出が停止している間、カテーテルシャフト30の内部において逆止弁48には液圧が作用しないため、図4Aに示すように、逆止弁48の弾性復元力(及び血液の圧力)によりスリット491が閉じられる。スリット491が閉じることにより、血液がカテーテルシャフト30の内腔301へ流入することが抑制される。
【0044】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0045】
上述したように、留置カテーテル16では、カテーテルシャフト30の先端領域31に、スリット491を有する逆止弁48が設けられている。図4Bに示すように、スリット491は、カテーテルシャフト30の内腔301において逆止弁48に向かって作用する液圧により開口する。図4Aに示すように、カテーテルシャフト30の内部において逆止弁48には液圧が作用しないときは、スリット491が閉じる。この構成により、カテーテルシャフト30が血管BV内に留置されているときに、カテーテルシャフト30内への血液の流入を抑制することができる。
【0046】
逆止弁48は、カテーテルシャフト30の先端領域31の先端部に設けられている。これにより、簡素な構成で逆止弁48を設けることができる。
【0047】
逆止弁48は、ダックビル弁構造を有する。これにより、簡素な構成で逆止弁48を設けることができる。
【0048】
逆止弁48は、カテーテルシャフト30に一体成形されている。これにより、簡素な構成で逆止弁48を設けることができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。逆止弁48は、上述したダックビル弁構造に限らず、例えば、図5に示す逆止弁48Aが採用されてもよい。図5に示すカテーテルシャフト30Aの先端領域31Aの先端部は、断面円弧状に形成されており、この先端部が逆止弁48Aとして構成されている。逆止弁48Aにはスリット495が形成されている。初期状態ではカテーテルシャフト30Aに内針36(図1)が挿通され、内針36がスリット495を貫通する。カテーテルシャフト30Aから内針36が基端方向に抜去されると、逆止弁48Aの弾性復元力によりスリット495が閉じられる。
【符号の説明】
【0050】
16…留置カテーテル
30…カテーテルシャフト
30A…カテーテルシャフト
31…先端領域
36…内針
48…逆止弁
48A…逆止弁
301…内腔
491、495…スリット
図1
図2
図3
図4
図5