(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117988
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】紙製フックの取付構造
(51)【国際特許分類】
A47F 5/11 20060101AFI20240823BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
A47F5/11
A47F5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024120
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】田邉 航平
(72)【発明者】
【氏名】川崎 喬章
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118AA01
3B118FA03
3B118GA02
3B118GA28
(57)【要約】
【課題】紙製フックを台板に容易に取り付けられ、しっかりと固定することができる紙製フックの取付構造を提供する。
【解決手段】紙製フック1を、半フック部11同士が中折線12に沿ってV字状をなすように折り曲げた状態で、吊下ロッド部13の先端側が高い位置となるように傾けつつ、後部の裏突片15の上突起15aを台板2の表面側から裏面側へ取付穴21に差し込んで上方へ寄せ、紙製フック1の傾きを復元し、裏突片15の下突起15bを台板2の表面側から裏面側へ取付穴21に押し入れるように差し込み、紙製フック1を下方へ移動させる。突片間切込16に台板2が挟まれた状態のまま、折曲部切込17に臨む裏突片15の下突起15bが台板2の裏面に沿い、紙製フック1の台板2に対する垂直方向及び水平方向の揺動が抑制され、紙製フック1が台板2に固定されるものとする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製フック(1)を台板(2)に取り付けて固定する取付構造において、
前記紙製フック(1)は、対をなす半フック部(11)が中折線(12)を介して繋がり、それぞれの半フック部(11)には、前記中折線(12)に沿って延びる吊下ロッド部(13)の基部に表突片(14)及び裏突片(15)が突片間切込(16)を介して順次連設され、前記中折線(12)を横切る折曲部切込(17)が形成され、対をなす前記半フック部(11)の裏突片(15)には、前記突片間切込(16)及び前記折曲部切込(17)にそれぞれ臨む上突起(15a)及び下突起(15b)が形成されたものであり、
前記台板(2)には、一対のスロット状の取付穴(21)が上方から下方へかけて間隔が狭くなるように対称に傾斜して穿設され、
前記台板(2)の取付穴(21)の縦方向の長さ(d)は、前記紙製フック(1)の中折線(12)から表突片(14)の先端までの距離(a)及び裏突片(15)の上突起(15a)と下突起(15b)の先端間の距離(b)よりも短く、折曲部切込(17)の底部の端縁と突片間切込(16)の底部の端縁との距離(c)よりも長くなっており、
前記紙製フック(1)を、前記半フック部(11)同士が前記中折線(12)に沿ってV字状をなすように折り曲げた状態で、前記吊下ロッド部(13)の先端側が高い位置となるように傾けつつ、前記裏突片(15)の上突起(15a)を前記台板(2)の表面側から裏面側へ前記取付穴(21)に差し込んで上方へ寄せ、
前記紙製フック(1)の傾きを復元し、前記裏突片(15)の下突起(15b)を前記台板(2)の表面側から裏面側へ前記取付穴(21)に押し入れるように差し込み、
前記紙製フック(1)を下方へ移動させると、前記突片間切込(16)に前記台板(2)が挟まれた状態のまま、前記折曲部切込(17)に臨む前記裏突片(15)の下突起(15b)が前記台板(2)の裏面に沿い、前記紙製フック(1)の台板(2)に対する垂直方向及び水平方向の揺動が抑制され、前記紙製フック(1)が前記台板(2)に固定される紙製フックの取付構造。
【請求項2】
前記台板(2)の一対の取付穴(21)には、それぞれ外端縁の上下方向中間部に弧状の膨出部(22)が設けられ、
前記紙製フック(1)を前記裏突片(15)が前記取付穴(21)に差し込まれた状態で下方へ移動させると、前記対をなす半フック部(11)同士の開き角度が閉じる方向へ変化することを特徴とする請求項1に記載の紙製フックの取付構造。
【請求項3】
前記台板(2)の一対の取付穴(21)には、内端縁の下部に迫出部(23)が設けられ、
前記紙製フック(1)を前記裏突片(15)が前記取付穴(21)に差し込まれた状態で下方へ移動させると、前記半フック部(11)が前記迫出部(23)に押圧されることを特徴とする請求項1又は2に記載の紙製フックの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、店頭で使用される吊下什器等において、紙製フックを台板に取り付けて固定する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、店頭で商品を吊り下げる吊下什器は、合紙から成る台板にプラスチック製のフックを取り付けたものとされ、廃棄する際、台紙とフックとを分別する必要がある。
【0003】
その作業の省力化と環境保護の観点から、紙資源を配合した樹脂成型品のフックが使用されることもあるが、このようなフックは、従来のプラスチック製のフックと形状が類似しているため、分別が必要であると誤解されてしまう可能性が高い。
【0004】
このような懸念を払拭するため、下記特許文献1,2に提示されたように、厚紙を折り曲げて形成した紙製フックを使用することも考えられる。
【0005】
特許文献1に記載された紙製フックは、台板に穿設した縦方向に長い取付穴又は逆V字状の取付穴に、先端側が高くなるように上下方向に傾けた状態で基部を差し込み、基部の上端の切込を取付穴の上縁に係合させた後、傾きを復元させ、基部の下端の切込を取付穴の下縁に係合させて、台板に取り付けることとしている。この場合、台板の取付穴の縦方向の長さと、フックの上下の切込間の長さは、同一寸法に設定されている。
【0006】
また、特許文献2に記載された紙製フックは、長さ方向の折目線に沿って折り重ねた状態で、台板に穿設した縦長の取付穴に基部を差し込み、折曲角度を取付穴の台形状の部分の端縁に合わせて少し開き、基部の上方及び下方に延びる突片を取付穴の上端側及び下端側に係合させて、台板に取り付けることとしている。この場合、台板の取付穴の縦方向の長さは、フックの基部が通過する部分だけが突片の長さよりも長くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-62288号公報
【特許文献2】特開2021-115352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1,2に記載された紙製フックの取付構造では、台板の取付穴に紙製フックを差し込みにくくしておかなければ、紙製フックが台板から脱落するため、紙製フックの台板への取り付けが困難なものとならざるを得ず、店頭での商品の陳列時に紙製フックを迅速に台板に取り付けられないという問題がある。
【0009】
そこで、この発明は、紙製フックを台板に容易に取り付けられ、しっかりと固定することができる紙製フックの取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明は、紙製フックを台板に取り付けて固定する取付構造において、
前記紙製フックは、対をなす半フック部が中折線を介して繋がり、それぞれの半フック部には、前記中折線に沿って延びる吊下ロッド部の基部に表突片及び裏突片が突片間切込を介して順次連設され、前記中折線を横切る折曲部切込が形成され、対をなす前記半フック部の裏突片には、前記突片間切込及び前記折曲部切込にそれぞれ臨む上突起及び下突起が形成されたものであり、
前記台板には、一対のスロット状の取付穴が上方から下方へかけて間隔が狭くなるように対称に傾斜して穿設され、
前記台板の取付穴の縦方向の長さは、前記紙製フックの中折線から表突片の先端までの距離及び裏突片の上突起と下突起の先端間の距離よりも短く、折曲部切込の底部の端縁と突片間切込の底部の端縁との距離よりも長くなっており、
前記紙製フックを、前記半フック部同士が前記中折線に沿ってV字状をなすように折り曲げた状態で、前記吊下ロッド部の先端側が高い位置となるように傾けつつ、前記裏突片の上突起を前記台板の表面側から裏面側へ前記取付穴に差し込んで上方へ寄せ、
前記紙製フックの傾きを復元し、前記裏突片の下突起を前記台板の表面側から裏面側へ前記取付穴に押し入れるように差し込み、
前記紙製フックを下方へ移動させると、前記突片間切込に前記台板が挟まれた状態のまま、前記折曲部切込に臨む前記裏突片の下突起が前記台板の裏面に沿い、前記紙製フックの台板に対する垂直方向及び水平方向の揺動が抑制され、前記紙製フックが前記台板に固定されるようにしたのである。
【0011】
また、前記台板の一対の取付穴には、それぞれ外端縁の上下方向中間部に弧状の膨出部が設けられ、
前記紙製フックを前記裏突片が前記取付穴に差し込まれた状態で下方へ移動させると、前記対をなす半フック部同士の開き角度が閉じる方向へ変化するようにしたのである。
【0012】
さらに、前記台板の一対の取付穴には、内端縁の下部に迫出部が設けられ、
前記紙製フックを前記裏突片が前記取付穴に差し込まれた状態で下方へ移動させると、前記半フック部が前記迫出部に押圧されるようにしたのである。
【発明の効果】
【0013】
この発明に係る紙製フックの取付構造では、紙製フックを半フック部同士が中折線に沿ってV字状をなすように折り曲げた状態で、台板の取付穴に押し入れるように差し込み、上方から下方へ移動させるだけで、作業者があまり戸惑うことなく、台板に直感的に取り付けることができる。
【0014】
このため、商品の供給元からの発送時ではなく、店頭での商品の陳列時に、紙製フックの台板への取付作業を容易に行うことができる。
【0015】
この取付状態において、紙製フックの表突片と裏突片の間に台板が挟まれ、突片間切込及び折曲部切込の端縁が台板の表面又は裏面に当接して、紙製フックの台板に対する垂直方向及び水平方向の揺動が抑制されるので、紙製フックのぐらつきが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の実施形態に係る紙製フック及び台板を示す図
【
図2】同上の紙製フックの台板への取付過程を示す斜視図
【
図3】同上の紙製フックの台板への取付過程を示す斜視図
【
図4】同上の紙製フックの台板への取付状態を正面から示す斜視図
【
図5】同上の紙製フックの台板への取付状態を背面から示す斜視図
【
図9】同上の複数の紙製フックを台板に取り付けた吊下什器を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
(紙製フック)
図1に示す紙製フック1は、複数枚の板紙が積層された合紙を材料とし、対をなす半フック部11が中折線12を介して繋がった構成とされている。中折線12は、合紙を厚さ方向の途中まで切断した半切線とされている。
【0019】
それぞれの半フック部11には、中折線12に沿って前後方向に延びる吊下ロッド部13の後端側となる基部に、表突片14及び裏突片15が突片間切込16を介して順次連設され、中折線12を横切る折曲部切込17が形成されている。
【0020】
折曲部切込17は、後端側の部分が閉塞されることなく開放されており、その開放部の前側となる中折線12の付近の端縁には、突片間切込16の後側の端縁よりも後方へ迫り出した膨出部17aが形成されている。
【0021】
対をなす半フック部11の裏突片15には、突片間切込16に臨む上突起15a及び折曲部切込17に臨む下突起15bが形成されている。上突起15a及び下突起15bの端縁は、弧状に湾曲した形状とされている。
【0022】
一方の半フック部11の吊下ロッド部13の先端には、台板2への取付時に上方へ突出する抜止突起18が設けられている。抜止突起18は、吊下ロッド部13に吊り下げる商品の脱落を防止するものであり、一方の半フック部11にのみ設けられているのは、小径に規定された商品パッケージの吊下穴に挿通可能とするためである。
【0023】
対をなす半フック部11において、中折線12から表突片14の先端までの距離a、裏突片15の上突起15aと下突起15bの先端間の距離b、折曲部切込17の底部の端縁と突片間切込16の底部の端縁との距離cは、それぞれ等しく、対をなす半フック部11は、吊下ロッド部13の先端部を除き対称形状とされている。
【0024】
また、それぞれの半フック部11において、中折線12から表突片14の先端までの距離aよりも、裏突片15の上突起15aと下突起15bの先端間の距離bは短くなっており、上突起15aよりも下突起15bは短くなっている。
【0025】
(台板)
図1に示す台板2もまた、複数枚の板紙が積層された合紙を材料とするものであり、この台板2には、紙製フック1の取付用として、一対のスロット状の取付穴21が上方から下方へかけて間隔が狭くなるように対称に傾斜して穿設されている。図示の台板2は、説明用のものであり、取付穴21が1個のみとされている。
【0026】
一対の取付穴21には、それぞれ外端縁の上下方向中間部に、弧状の膨出部22が設けられると共に、それぞれの内端縁の下部に、膨出部22より下方の部分に対向する迫出部23が設けられている。なお、膨出部22及び迫出部23のいずれか一方は、省略することも可能である。
【0027】
取付穴21の縦方向の長さdは、紙製フック1の中折線12から表突片14の先端までの距離a及び裏突片15の上突起15aと下突起15bの先端間の距離bよりも短くなっており、折曲部切込17の底部の端縁と突片間切込16の底部の端縁との距離cよりも長くなっている。
【0028】
また、取付穴21の膨出部22よりも上端側の幅eは、迫出部23が存在する下端側の幅fよりも広くなっている。
【0029】
(紙製フックの台板への取り付け)
この紙製フック1を台板2に取り付けるには、
図2に示すように、半フック部11同士が中折線12に沿ってV字状をなすように折り曲げた状態で、吊下ロッド部13の先端側が高い位置となるように傾けつつ、裏突片15の上突起15aを台板2の表面側から裏面側へ取付穴21に差し込む。
【0030】
このとき、取付穴21の上端側の幅eが下端側の幅fよりも広くなっているので、裏突片15の上突起15aを取付穴21に容易に差し込むことができる。
【0031】
そして、
図3に示すように、紙製フック1を取付穴21の上方へ寄せ、紙製フック1の傾きを復元し、裏突片15の下突起15bを台板2の表面側から裏面側へ取付穴21に押し入れるように差し込む。
【0032】
その後、
図4及び
図5に示すように、紙製フック1を下方へ移動させると、
図6及び
図7に示すように、対をなす半フック部11同士の開き角度が閉じる方向へ変化する。この変化に伴い、対をなす半フック部11同士の開き角度は、約47°となる。そして、この状態において、半フック部11が膨出部22と迫出部23の間に挟まれる。
【0033】
また、
図8に示すように、表突片14と裏突片15の間に台板2が挟まれ、突片間切込16に台板2が挟まれた状態のまま、折曲部切込17に臨む裏突片15の下突起15bが台板2の裏面に沿うこととなる。
【0034】
これにより、紙製フック1の台板2に対する垂直方向及び水平方向の揺動が抑制され、紙製フック1が台板2にしっかりと固定される。
【0035】
特に、台板2の取付穴21に形成された膨出部22及び迫出部23が紙製フック1の水平方向のぐらつき防止に寄与し、紙製フック1の折曲部切込17に形成された膨出部17aが紙製フック1の垂直方向のぐらつき防止に寄与している。
【0036】
(吊下什器)
図9に示すように、実際の吊下什器では、台板2に複数の取付穴21が穿設され、それぞれの取付穴21に紙製フック1が差し込まれて固定される。そして、台板2の両側上部の紐穴2aに挿通した吊紐3により店頭の棚等に吊り下げられ、多数の商品を陳列できるようになっている。
【0037】
上記のように紙製フック1を台板2に取り付けた吊下什器において、紙製フック1は、吊下ロッド部13が基部から先端側へかけて少し上向きに傾いた状態となり、吊下ロッド部13に商品を吊り下げると、抜止突起18の存在と相俟って、商品が吊下ロッド部13から落下しにくいものとなる。
【0038】
このような吊下什器では、作業者があまり戸惑うことなく、紙製フック1を台板2に直感的に取り付けることができるので、商品の供給元からの発送時ではなく、店頭での商品の陳列時に、紙製フック1の台板2への取付作業を容易に行うことができる。
【0039】
そして、店頭での商品展開時期が経過した後には、紙製フック1と台板2とを分別せずに、吊下什器をそのまま廃棄することができるので、分別作業の手間を要することなく、焼却等に伴う環境への負荷が軽減される。
【0040】
(その他)
ところで、上記実施形態では、台板2における取付穴21の上端側の幅eが下端側の幅fよりも広くなっているものを例示したが、紙製フック1の台板2への取り付けの容易性よりも、取付後の紙製フック1のぐらつき防止効果を重視する場合には、取付穴21の上端側の幅eを下端側の幅fと同一の狭幅に揃えてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 紙製フック
2 台板
2a 紐穴
3 吊紐
11 半フック部
12 中折線
13 吊下ロッド部
14 表突片
15 裏突片
15a 上突起
15b 下突起
16 突片間切込
17 折曲部切込
17a 膨出部
18 抜止突起
21 取付穴
22 膨出部
23 迫出部