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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024117992
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】テープ貼着装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240823BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20240823BHJP
   B26D 1/09 20060101ALI20240823BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20240823BHJP
   B65H 35/07 20060101ALI20240823BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
H01L21/52 G
B26D7/06 Z
B26D1/09
B26D7/18 C
B65H35/07 P
B26D3/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024127
(22)【出願日】2023-02-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-26
(71)【出願人】
【識別番号】000149011
【氏名又は名称】株式会社大橋製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】柏谷 尚克
(72)【発明者】
【氏名】冨田 明
(72)【発明者】
【氏名】近藤 剛志
【テーマコード(参考)】
3C021
3F062
5F047
【Fターム(参考)】
3C021FB02
3F062AA12
3F062AB04
3F062BA08
3F062BE01
3F062BE08
3F062BF12
3F062BF16
3F062BG02
3F062BG04
3F062CA00
3F062DA08
3F062FA24
5F047AA17
5F047BB03
5F047BB16
(57)【要約】
【課題】ワークに貼着する異方性導電テープの長さを均一化することができるテープ貼着装置を提供する。
【解決手段】テープ貼着装置1において、搬送部30は、所定長L1に隙間長L2を加えた長さでテープ部材Tを搬送する動作を間欠的に実行するものであり、切断部10は、下流側切断刃13から上流側切断刃14に至る長さが所定長L1になる状態で下流側切断刃13と上流側切断刃14を保持していて搬送部30がテープ部材Tを搬送する動作を停止しているときに異方性導電テープt1に向けて前進して異方性導電テープt1を所定長L1に切断する刃保持部12を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異方性導電テープとセパレータとを積層させたテープ部材をワークに対して供給する搬送部と、当該テープ部材から当該異方性導電テープのみを切断する切断部とを備え、所定長の当該異方性導電テープを当該ワークに貼着させるテープ貼着装置であって、
前記搬送部は、前記所定長に隙間長を加えた長さで前記テープ部材を搬送する動作を間欠的に実行するものであり、
前記切断部は、前記異方性導電テープに対向する下流側切断刃と上流側切断刃とを有し、前記テープ部材が延在する向きでの当該下流側切断刃から当該上流側切断刃に至る長さが前記所定長になる状態で当該下流側切断刃と当該上流側切断刃とを保持していて、前記搬送部が前記テープ部材を搬送する動作を停止しているときに当該異方性導電テープに向けて前進して当該異方性導電テープを前記所定長に切断する刃保持部を備えるテープ貼着装置。
【請求項2】
前記刃保持部は、
前記異方性導電テープに向けて前進する保持移動部と、
前記保持移動部に対して着脱可能に保持され、前記下流側切断刃及び前記上流側切断刃の何れか一方を当該保持移動部との間で挟持するスペーサと、
前記スペーサに対して着脱可能に保持され、前記下流側切断刃及び前記上流側切断刃の何れか一方を当該スペーサとの間で挟持する固定部と、を備える請求項1に記載のテープ貼着装置。
【請求項3】
前記切断部は、前記所定長に切断された2つの前記異方性導電テープの間に位置して当該異方性導電テープにおける前記隙間長の長さになる除去予定部分を除去するテープ除去部を備え、
前記テープ除去部は、前記刃保持部が前記異方性導電テープに向けて前進して前記下流側切断刃と前記上流側切断刃が当該異方性導電テープを切り込んだ状態で、前記除去予定部分を除去するように構成されている請求項1に記載のテープ貼着装置。
【請求項4】
前記テープ除去部は、前記テープ部材の幅方向に移動する除去移動部と、当該除去移動部が接触可能な調整ローラとを有し、
前記除去移動部は、前記下流側切断刃の下流側近傍に位置していて当該除去移動部が前記テープ部材に向けて移動すると前記除去予定部分を除去する先鋭部を有し、
前記調整ローラは、前記除去移動部が接触すると前記除去予定部分に対して前記先鋭部を近づけることが可能であって、当該除去移動部が接触しつつ前記テープ部材の幅方向に移動すると回転するように構成されている請求項3に記載のテープ貼着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性導電テープをワーク(電子部品を実装する基板等)に貼着するためのテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板等のワークに実装するにあたっては、例えば導電性粒子と熱硬化性樹脂とを含んだ異方性導電テープ(ACFテープ)をワークに貼着させるテープ貼着装置が使用される。
【0003】
下記の特許文献1に示されているテープ貼着装置は、異方性導電テープとセパレータとを積層させたテープ部材を使用し、セパレータに積層された状態の異方性導電テープのみを所定の長さに切断してワークに貼着させるものである。詳細に説明すると、このテープ貼着装置は、異方性導電テープのみを切断するカッタと、テープ部材を挟持して所定距離移動することができるチャックと、テープ部材をワークに向けて加圧する加圧ツールを備えている。そして、カッタで異方性導電テープを切断した後、テープ部材を挟持したチャックを所定距離移動させてテープ部材を搬送し、更にカッタで異方性導電テープを切断することによって異方性導電テープのみを所定の長さにした後、加圧ツールでテープ部材を加圧して所定長さの異方性導電テープをワークに貼着させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4825654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の如き従来のテープ貼着装置は、カッタに対してテープ部材を移動させることによって所定の長さになる異方性導電テープが得られるようにしている。一方、テープ部材を移動させる際は、テープ部材に接触する部材との摩擦やテープ部材に加わる張力の変動等の影響により、高い精度で移動させることは難しく、一般に0.05~0.1mm程度の誤差が生じる。このため、ワークに貼着される異方性導電テープの長さは、少なくともこの誤差に応じて変動することになる。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決することを課題とするものであり、ワークに貼着する異方性導電テープの長さを均一化することができるテープ貼着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明におけるテープ貼着装置は、異方性導電テープとセパレータとを積層させたテープ部材をワークに対して供給する搬送部と、当該テープ部材から当該異方性導電テープのみを切断する切断部とを備え、所定長の当該異方性導電テープを当該ワークに貼着させるものであって、前記搬送部は、前記所定長に隙間長を加えた長さで前記テープ部材を搬送する動作を間欠的に実行するものであり、前記切断部は、前記異方性導電テープに対向する下流側切断刃と上流側切断刃とを有し、前記テープ部材が延在する向きでの当該下流側切断刃から当該上流側切断刃に至る長さが前記所定長になる状態で当該下流側切断刃と当該上流側切断刃とを保持していて、前記搬送部が前記テープ部材を搬送する動作を停止しているときに当該異方性導電テープに向けて前進して当該異方性導電テープを前記所定長に切断する刃保持部を備えることを特徴とする。
【0008】
このようなテープ貼着装置において、前記刃保持部は、前記異方性導電テープに向けて前進する保持移動部と、前記保持移動部に対して着脱可能に保持され、前記下流側切断刃及び前記上流側切断刃の何れか一方を当該保持移動部との間で挟持するスペーサと、前記スペーサに対して着脱可能に保持され、前記下流側切断刃及び前記上流側切断刃の何れか一方を当該スペーサとの間で挟持する固定部と、を備えることが好ましい。
【0009】
また前記切断部は、前記所定長に切断された2つの前記異方性導電テープの間に位置して当該異方性導電テープにおける前記隙間長の長さになる除去予定部分を除去するテープ除去部を備え、前記テープ除去部は、前記刃保持部が前記異方性導電テープに向けて前進して前記下流側切断刃と前記上流側切断刃が当該異方性導電テープを切り込んだ状態で、前記除去予定部分を除去するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また前記テープ除去部は、前記テープ部材の幅方向に移動する除去移動部と、当該除去移動部が接触可能な調整ローラとを有し、前記除去移動部は、前記下流側切断刃の下流側近傍に位置していて当該除去移動部が前記テープ部材に向けて移動すると前記除去予定部分を除去する先鋭部を有し、前記調整ローラは、前記除去移動部が接触すると前記除去予定部分に対して前記先鋭部を近づけることが可能であって、当該除去移動部が接触しつつ前記テープ部材の幅方向に移動すると回転するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
所定長の異方性導電テープをワークに貼着させるにあたり、本発明に係るテープ貼着装置は、上記のように搬送部によって、所定長に隙間長を加えた長さでテープ部材を搬送する動作を間欠的に実行する。また切断部は、下流側切断刃と上流側切断刃を有し、これらは下流側切断刃から上流側切断刃に至る長さが所定長になる状態で保持されていて、搬送部がテープ部材を搬送する動作を停止しているときに、異方性導電テープを切断する。従って本発明に係るテープ貼着装置によれば、異方性導電テープを、下流側切断刃と上流側切断刃によって切断された所定長になる部分と、2つの所定長になる部分の間に位置する隙間長になる部分とが交互に並ぶように切断することができる。すなわち、所定長になる部分は、下流側切断刃と上流側切断刃によって常に均一の長さになる。また搬送部によってテープ部材を搬送する際に誤差が生じても、その誤差は、隙間長になる部分の長さに影響を与えるだけで所定長になる部分の長さに影響が及ぶことがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るテープ貼着装置の一実施形態を模式的に示した正面図である。
図2図1に示した切断部周辺の部分拡大図である。
図3図2に示した矢印Aに沿う矢視図である。
図4図1に示したテープ除去部に関する斜視図である。
図5】異方性導電テープを切断する際の動作に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るテープ貼着装置の一実施形態(テープ貼着装置1)について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においてX方向、Y方向、Z方向とは、図面に示した矢印X、Y、Zの向きに対応し、X方向を前後方向、Y方向を左右方向、Z方向を上下方向として説明するが、係る方向は一例であって、本発明におけるテープ貼着装置の向きを限定する意図はない。
【0014】
図1は、テープ貼着装置1を模式的に示した正面図である。本実施形態のテープ貼着装置1は、ワークWに対して異方性導電テープt1とセパレータt2とを積層させたテープ部材Tを供給し、セパレータt2は完全に切断することなく異方性導電テープt1のみを所定長で切断し、更に、長さが所定長L1になる異方性導電テープt1(以下、所定長L1の異方性導電テープt1を「貼着部分t1a」と称する)をワークWに貼着し、またセパレータt2をワークWに貼着させた貼着部分t1aから剥離させ、セパレータt2を回収する機能を有する。なおテープ貼着装置1は、図1に示すように2つの貼着部分t1aの間に隙間gが位置するように異方性導電テープt1を切断する機能も有する。ここで隙間gの長さを「隙間長L2」と称する。隙間長L2は、所定長L1よりも短くなるように設定されている。本実施形態の隙間gは、一例として1mm以上である。
【0015】
まずワークWについて説明する。ワークWは、例えば電子部品を実装する基板であって、ガラエポ、セラミック、ガラス、FPC等、種々の基板を用いることができる。本実施形態のテープ貼着装置1は、ワークWを水平状態で支持する不図示のステージを備えている。
【0016】
そしてテープ部材Tは、長尺状になる異方性導電テープt1と長尺状になるセパレータt2とを積層させたものを使用する。テープ部材Tはロール状に巻かれている。本実施形態のテープ貼着装置1は、ロール状のテープ部材Tをセットする不図示の巻き出しリールを備えている。そして巻き出しリールから供給されたテープ部材Tは、テープ部材Tの張力を一定に保つための不図示の張力付加手段(例えばダンシングローラを用いた手段)等を経由しつつ、第一案内部2、第二案内部3、第三案内部4、第四案内部5で支持されている。なお第四案内部5の下流側には、セパレータt2のみとなったテープ部材Tを回収するための不図示の回収手段が設けられている。図示したようにテープ部材Tは、ワークWに対して異方性導電テープt1が対向してセパレータt2が第一案内部2と第二案内部3に接触する向きで(換言すると、ワークWが位置するところにおいて異方性導電テープt1が下側でセパレータt2が上側になる向きで)第一案内部2等に支持されている。また図示したように第一案内部2の上流側には、切断部10が設けられていて、第四案内部5の下流側には、搬送部30が設けられている。
【0017】
本実施形態の第一案内部2、第二案内部3、第三案内部4、第四案内部5は、何れも円形状のピンである。第一案内部2と第四案内部5の他、上述した不図示の巻き出しリール、張力付加手段、回収手段、及び切断部10と搬送部30は、ベース6に設けられている。そして第二案内部3と第三案内部4は、移動ブロック7に設けられている。
【0018】
ベース6は、上下方向に移動するように構成されている。ベース6を上下方向に移動させる駆動源は、モータやエアシリンダ等、種々のものが採用可能である。なおテープ貼着装置1は、不図示の制御部(例えばPLC(プログラマブルロジックコントローラ)によって実現される)を備えていて、ベース6の駆動源を含めてテープ貼着装置1における各部の動作は、制御部によって制御される。移動ブロック7は、ベース6に対して左右方向に移動可能であるが、それ以外の方向には移動不能に取り付けられている。すなわち、ベース6がワークWに対して上下方向に移動する際、移動ブロック7も上下方向に移動する。移動ブロック7を左右方向に移動させる駆動源は、モータやエアシリンダ等、種々のものが採用可能である。
【0019】
なお、図1に示したテープ部材Tの経路は一例に過ぎず、テープ貼着装置1におけるテープ部材Tの経路は、種々の変更が可能である。また搬送部30は、ワークWに対してテープ部材Tの搬送方向下流側に設けられているが、上流側に設けてもよい。
【0020】
またテープ貼着装置1は、ワークWの上方にヘッド部8を備えている。ヘッド部8は、ベース6とは別異に上下方向に移動することができる。またヘッド部8は、その先端を所定の推力でもって相手物に押し付けることができる。更にヘッド部8には、不図示の加熱手段が設けられていて、ヘッド部8の先端を相手物に押し付けた際、相手物を加熱することができる。
【0021】
次に、上述した切断部10について説明する。本実施形態の切断部10は、支持部11を備えている。図2に示すように支持部11は、本実施形態では第一案内部2の上方でXZ平面に沿うように上下方向に延在するテープ部材Tに対して、セパレータt2が位置する側に設けられている。支持部11におけるセパレータt2に対向する面は、第一案内部2等で支持されたテープ部材Tが延在する向きと同方向に延在している。
【0022】
また切断部10は、刃保持部12を備えている。刃保持部12は、テープ部材Tに対して異方性導電テープt1が位置する側に設けられている。刃保持部12は、図2に示すように2つの切断刃(図2において下側(テープ部材Tの搬送方向下流側)に位置する下流側切断刃13と、下流側切断刃13に対して上流側に位置する上流側切断刃14)を備えている。更に刃保持部12は、保持移動部15、スペーサ16、固定部17を備えている。
【0023】
下流側切断刃13と上流側切断刃14は、本実施形態では先端が尖った薄板状になるものであって、下流側切断刃13と上流側切断刃14は同形状である。
【0024】
保持移動部15は、全体的にブロック状であって下部にはY方向に突出する突起部15aを有している。保持移動部15は、支持部11に向けて前進及び後退するものである。本実施形態では不図示のモータやエアシリンダ等によって保持移動部15を移動させるようにしている。
【0025】
スペーサ16は、本実施形態では板状であって、上下方向に延在してボルトを挿通させる不図示の貫通穴を備えている。固定部17は、本実施形態ではスペーサ16よりも高さの低い板状であって、上下方向に延在してボルトを挿通させる不図示の貫通穴を備えている。なお突起部15aは、スペーサ16の貫通穴に対応する位置にねじ穴を備えていて、スペーサ16は、固定部17の貫通穴に対応する位置にねじ穴を備えている。
【0026】
そして下流側切断刃13は、尖った刃先が異方性導電テープt1に対向する向きで突起部15aとスペーサ16の間に配置され、更にスペーサ16の貫通穴を挿通させたボルトを突起部15aのねじ穴に螺合させることによって、突起部15aとスペーサ16で挟持される。また上流側切断刃14は、尖った刃先が異方性導電テープt1に対向する向きでスペーサ16と固定部17の間に配置され、更に固定部17の貫通穴を挿通させたボルトをスペーサ16のねじ穴に螺合させることによって、スペーサ16と固定部17で挟持される。なお、下流側切断刃13と上流側切断刃14がスペーサ16から突出するY方向の長さは、保持移動部15が支持部11に向けて前進した際、セパレータt2は完全に切断することなく異方性導電テープt1のみが切断されるように調整されている。
【0027】
ここで下流側切断刃13の刃先から上流側切断刃14の刃先に至る長さは、上述したワークWに貼着される異方性導電テープt1の所定長L1に合せられていて、スペーサ16の上下方向の長さは、下流側切断刃13と上流側切断刃14の厚みを考慮しつつこの条件に合致するように設定されている。
【0028】
下流側切断刃13と上流側切断刃14を保持移動部15で保持するにあたっては、上記のようなスペーサ16と固定部17を利用せず、例えば保持移動部15に2つの溝を設け、この溝に下流側切断刃13と上流側切断刃14を嵌合させる等の別の手段を利用してもよい。なお、スペーサ16と固定部17を利用する場合は、異方性導電テープt1の所定長L1を変更する場合でも上下方向の長さが異なるスペーサ16に交換すればよいため、作業性の点で優れている。
【0029】
また切断部10は、図4に示す如きテープ除去部18を備えている。テープ除去部18は、除去移動部19を備えている。除去移動部19は、テープ部材Tに対して異方性導電テープt1が位置する側に設けられていて、不図示のモータやエアシリンダ等によってテープ部材Tの幅方向(X方向)に移動することができる。また本実施形態の除去移動部19は、XZ平面に沿うように延在して板状になるものであり、その上部はY方向に向けて先細りになるように突出している。ここで、除去移動部19における先細りに突出する部位を先鋭部20と称する。先鋭部20は、図2図3に示すように、下流側切断刃13の下流側近傍(下流側切断刃13の下側)に位置している。
【0030】
更にテープ除去部18は、図4に示すように調整ローラ21を備えている。本実施形態では2個の調整ローラ21が、除去移動部19に対してテープ部材Tが位置する側とは逆側に設けられていて、これらはテープ部材Tの幅方向(X方向)に間隔をあけてローラ保持部22に取り付けられている。本実施形態における調整ローラ21は、除去移動部19がテープ部材Tの幅方向に移動した際、除去移動部19に接触するようにローラ保持部22に取り付けられていて、これにより先鋭部20を異方性導電テープt1に近づけることができる。なお、ローラ保持部22に対する調整ローラ21の取り付け位置は、X方向及びY方向に変更可能であって、先鋭部20が異方性導電テープt1に近づくタイミングや先鋭部20と異方性導電テープt1との距離を調整することができる。本実施形態の調整ローラ21は、除去移動部19がテープ部材Tの幅方向に移動した際、図4に示した先鋭部20が後述する除去予定部分t1bに接触して除去予定部分t1bを削り取るようにしてこれをテープ部材Tの幅方向全域に亘って除去できるように調整されている。ここで、除去移動部19がテープ部材Tの幅方向に移動して調整ローラ21に接触する際、調整ローラ21は除去移動部19によって回転するため、両者の間での強い摩擦力の発生を防止することができる。
【0031】
またテープ除去部18は、図示を省略する除去予定部分回収手段を有している。除去予定部分回収手段は、例えば除去予定部分t1bの近傍に設けられた吸引手段であって、除去移動部19がテープ幅方向に移動して先鋭部20が除去予定部分t1bを除去した際、これを吸引して回収する機能を有する。
【0032】
そして上述した搬送部30は、図1に示すように本実施形態では、モータ(不図示)によって回転する駆動ローラ31と、駆動ローラ31との間でテープ部材Tを挟んで駆動ローラ31とともに連れ回る従動ローラ32を備えている。駆動ローラ31を回転させるモータは、上述した制御部からの指令によって動作し、これによりテープ部材Tを搬送することができる。
【0033】
次に、テープ貼着装置1の動作について説明する。以下の説明においてテープ部材Tは、第一案内部2等によって図1に示すように支持されているものとする。また図5(a)に示した支持部11と刃保持部12は、図5(b)~図5(d)では省略している。
【0034】
まず上述した制御部からの指令によって、図5(a)に示すように刃保持部12を支持部11に向けて前進させ更に後退させる。これにより、図示したように刃保持部12の正面に位置する異方性導電テープt1は、下流側切断刃13によって位置Paで切断され、上流側切断刃14によって位置Pbで切断される。ここで下流側切断刃13から上流側切断刃14に至る長さは所定長L1に設定されている。すなわち、下流側切断刃13と上流側切断刃14によって異方性導電テープt1は、長さがばらつくことなく所定長L1の長さで確実に切断され、これにより貼着部分t1aが形成される。なお、刃保持部12が前進して後退するまで、搬送部30によるテープ部材Tの搬送は停止している。
【0035】
次いで、制御部からの指令によって図1に示した搬送部30の駆動ローラ31と従動ローラ32を回転させ、図5(b)に示すように、図5(a)の状態から所定長L1に隙間長L2を加えた長さでテープ部材Tを搬送する。そして刃保持部12を支持部11に向けて前進させ更に後退させると、図示したように異方性導電テープt1は、下流側切断刃13によって位置Pcで切断され、上流側切断刃14によって位置Pdで切断されるため、位置Pcと位置Pdの間に次の貼着部分t1aが形成される。なお、異方性導電テープt1における位置Pbと位置Pcの間に位置する部分を、除去予定部分t1bと称する。除去予定部分t1bは、上下方向において除去移動部19の先鋭部20が設けられているところに位置している。
【0036】
しかる後は、制御部からの指令によって除去移動部19をテープ部材Tの幅方向に移動させる。これにより、図4に示した先鋭部20が除去予定部分t1bを削り取るように除去するため、図5(c)に示すように、異方性導電テープt1における位置Pbと位置Pcの間に隙間gを設けることができる。なお、除去移動部19がテープ部材Tの幅方向に移動している間、搬送部30によるテープ部材Tの搬送は停止している。
【0037】
先鋭部20によって位置Pbと位置Pcの間に隙間gを設けるにあたっては、図5(b)に示すように位置Pcと位置Pdで異方性導電テープt1を切断する際、刃保持部12は支持部11に向けて前進した状態で停止させておくことが好ましい。すなわち、下流側切断刃13と上流側切断刃14が異方性導電テープt1に切り込んだ状態になっているため、除去移動部19が移動して先鋭部20が除去予定部分t1bを除去する際、下流側切断刃13と上流側切断刃14の間に位置する貼着部分t1aと先鋭部20との接触を、下流側切断刃13によって避けることができる。これにより、移動する先鋭部20によって貼着部分t1aの端部が縒れる等の不具合を防止することができる。また下流側切断刃13と上流側切断刃14で異方性導電テープt1を押さえつけることで、先鋭部20が動作する時の振動や衝撃による異方性導電テープt1の位置変動も防止することができる。前進した状態で停止させておいた刃保持部12は、先鋭部20によって位置Pbと位置Pcの間に隙間gを設けた後に後退させる。
【0038】
その後は、制御部からの指令によって図1に示した搬送部30の駆動ローラ31と従動ローラ32を回転させ、図5(d)に示すように、図5(c)の状態から所定長L1に隙間長L2を加えた長さでテープ部材Tを搬送する。そして刃保持部12を支持部11に向けて前進させ更に後退させることによって、異方性導電テープt1は、下流側切断刃13によって位置Peで切断され、上流側切断刃14によって位置Pfで切断される。その後は、除去移動部19をテープ部材Tの幅方向に再び移動させることにより、異方性導電テープt1における位置Pdと位置Peの間に隙間gを設けることができる。
【0039】
このように、搬送部30によって所定長L1に隙間長L2を加えた長さでテープ部材Tを間欠的に搬送させ、また刃保持部12と除去移動部19を上記のように動作させることにより、図1に示すように、所定長L1になる貼着部分t1aが積層されているテープ部材Tを、隣り合う貼着部分t1aの間に隙間gをあけた状態でワークWに供給することができる。なお、搬送部30によってテープ部材Tを搬送する際に誤差が生じても、その誤差は隙間gの長さである隙間長L2に影響を与えるだけで貼着部分t1aの長さは所定長L1のまま変わることがない。
【0040】
その後は、ベース6を下方に移動させてテープ部材TをワークWに近づける。そしてヘッド部8を下方に移動させ、またヘッド部8が備える加熱手段を作動させて、ヘッド部8の先端でテープ部材Tを加熱しながら押圧する。これにより、長さが所定長L1になる貼着部分t1aをワークWに貼着させることができる。なお、ヘッド部8でテープ部材Tを加熱及び押圧する際の熱は、ヘッド部8が接触する部位だけでなくその周辺にも及ぶ。すなわち、次にワークWに貼着させる貼着部分t1aがヘッド部8に近づきすぎると、ヘッド部8からの熱によって次にワークWに貼着させる貼着部分t1aが軟化してしまうことがある。ここで、隣り合う貼着部分t1aが隙間なく並んでいた場合は、次にワークWに貼着させる貼着部分t1aに影響が及ばないようにするため、ヘッド部8は、ワークWに貼着させる貼着部分t1aの端部までは押圧することができない。このように隣り合う貼着部分t1aが隙間なく並んでいた場合、一般には、ワークWに貼着させる貼着部分t1aの端部から0.3~0.5mmの範囲はヘッド部8で押圧できない範囲(踏み残し代)として確保する必要がある。しかし、このようにヘッド部8で押圧できない部分においては、貼着部分t1aがワークWから浮き上がったり、気泡を噛み込んだりすることがある。これに対して本実施形態では、隣り合う貼着部分t1aの間に隙間g(一例として1mm以上)が設けられているため、ヘッド部8の端部がワークWに貼着させる貼着部分t1aの端部の直上に位置していても(更に、ヘッド部8の端部が隙間gまで若干はみ出していても)、次にワークWに貼着させる貼着部分t1aに影響が及ぶことがない。従って、本実施形態のテープ貼着装置1によれば、上述した貼着部分t1aのワークWからの浮き上がりや気泡の噛み込みを防止することができる。そして所定の時間テープ部材Tを押圧した後は、ヘッド部8を、図1に示した高さよりも上方まで(後述するように移動ブロック7は左側に移動するため、移動ブロック7の移動を妨げない高さまで)上昇させる
【0041】
しかる後は、図1に示す状態から移動ブロック7を左側に移動させることにより、ワークWに貼着した異方性導電テープt1からセパレータt2を剥離させることができる。
【0042】
移動ブロック7を左側に移動させた後は、ベース6を上昇させ、また移動ブロック7を元の位置まで右側に移動させる。しかる後は、異方性導電テープt1を貼着させたワークWを移動させるとともに新たなワークWを図1に示す位置に移動させ、また次の異方性導電テープt1が新たなワークWの上方に位置するようにテープ部材Tを搬送する。その後は上述した動作を実施することにより、次の異方性導電テープt1を新たなワークWに貼着させ、またこの異方性導電テープt1からセパレータt2を剥離させることができる。
【0043】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0044】
例えばテープ貼着装置1に、貼着部分t1aを撮像するカメラとワークWを撮像するカメラを設けるとともに、不図示の制御部には、カメラから得られる画像データから貼着部分t1aとワークWの位置を認識させる機能と、その位置に基づいてワークWを支持するステージを移動させる機能を持たせてもよい。上述したように、本実施形態では隣り合う貼着部分t1aの間に隙間gがあいているため、貼着部分t1aの位置を正確に認識することができる。そして、貼着する直前に貼着部分t1aとワークWを撮像して貼着部分t1aの位置とステージに載置されたワークWの位置を認識させ、次いで、ステージに載置したワークWにおける貼着部分t1aを貼り付ける位置が現在の貼着部分t1aの位置に合致するようにステージを移動させる。これにより、テープ部材Tを搬送する際の誤差の影響を受けることなく、ワークWにおける貼着部分t1aを貼り付ける位置に対し、所定長L1に正確に切断された貼着部分t1aを正確に貼着させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1:テープ貼着装置
10:切断部
12:刃保持部
13:下流側切断刃
14:上流側切断刃
15:保持移動部
16:スペーサ
17:固定部
18:テープ除去部
19:除去移動部
20:先鋭部
21:調整ローラ
30:搬送部
L1:所定長
L2:隙間長
T:テープ部材
W:ワーク
g:隙間
t1:異方性導電テープ
t1b:除去予定部分
t2:セパレータ
図1
図2
図3
図4
図5