(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118001
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/631 20060101AFI20240823BHJP
【FI】
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024139
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 裕介
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC31
5E021HA05
5E021HC19
(57)【要約】
【課題】可撓性導体を含む端子の組み付け性を改善することが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、絶縁性のハウジング60と、導電性の端子20と、を備えている。端子20は、ハウジング60の内部に収容される板状の第1導体21と、ハウジング60の外部に配置される板状の第2導体25と、第1導体21と第2導体25との間に介在する、第1導体21及び第2導体25よりも屈曲容易な可撓性導体23と、を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のハウジングと、導電性の端子と、を備え、
前記端子は、
前記ハウジングの内部に収容される板状の第1導体と、
前記ハウジングの外部に配置される板状の第2導体と、
前記第1導体と、前記第2導体との間に介在する、前記第1導体及び前記第2導体よりも屈曲容易な可撓性導体と、を有しているコネクタ。
【請求項2】
前記第1導体の一部及び前記可撓性導体は、前記ハウジングから外部に露出しており、
前記第1導体の一部は、前記外部から前記ハウジングの内部に向けて押圧可能な形状の押圧部を有している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1導体は、平板状の本体部を有し、
前記可撓性導体の一部は、前記本体部の板面に支持され、
前記押圧部は、前記平板状の本体部から立ち上がる形状をなし、前記可撓性導体を挟んだ両側に対をなして配置されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記押圧部は、前記本体部に支持された前記可撓性導体よりも前記本体部の板厚方向に突出する突出部を有している請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第2導体は、環状であって、ボルトを通す締結孔を有している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記可撓性導体は、編組線である請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記可撓性導体は、編組線である請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のコネクタは、ハウジングと、ハウジングに収容される2つの端子と、を備えている。各端子は、前側をハウジングの内部に挿入させ、後側をハウジングから外部に突出させている。各端子は、導電金属製の板材であって、ハウジングの内部でランスに係止されている。特許文献2,3は、導体に可撓性導体を含む構造を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-129507号公報
【特許文献2】特開2014-232688号公報
【特許文献3】特開2014-7133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、ハウジングから突出する端子の後端部が他の導電部材に接続されて固定される。このため、ハウジングから突出する端子の突出量を管理することが望まれる。これに対し、特許文献2,3の技術は、導体に可撓性導体を含むため、可撓性導体の変形を伴うことで、上記端子の突出量を調整することが可能である。しかし、可撓性導体がハウジングの内部に配置されているため、可撓性導体を含む端子の組み付け性が悪化する懸念がある。
【0005】
本開示は、可撓性導体を含む端子の組み付け性を改善することが可能なコネクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、絶縁性のハウジングと、導電性の端子と、を備え、前記端子は、前記ハウジングの内部に収容される板状の第1導体と、前記ハウジングの外部に配置される板状の第2導体と、前記第1導体と前記第2導体との間に介在する、前記第1導体及び前記第2導体よりも屈曲容易な可撓性導体と、を有しているコネクタ。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、可撓性導体を含む端子の組み付け性を改善することが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態1において、端子の斜視図である。
【
図3】
図3は、第2導体が他の導電部材に接続されたコネクタの側面図である。
【
図7】
図7は、チャック治具で押圧部を把持した状態を示す部分拡大側面図である。
【
図8】
図8は、押圧治具で押圧部を押圧した状態を示す部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示のコネクタは、絶縁性のハウジングと、導電性の端子と、を備え、前記端子は、前記ハウジングの内部に収容される板状の第1導体と、前記ハウジングの外部に配置される板状の第2導体と、前記第1導体と前記第2導体との間に介在する、前記第1導体及び前記第2導体よりも屈曲容易な可撓性導体と、を有している。
第2導体は、ハウジングの外部に配置されるため、他の導電部材に容易に接続される。第1導体は、ハウジングの外部側に位置する一部を押圧することにより、ハウジングの内部に至ることができる。よって、端子が可撓性導体を含んでいても、端子をハウジングに容易に組み付けることができる。
【0010】
(2)上記(1)に記載のコネクタにおいて、前記第1導体の一部及び前記可撓性導体は、前記ハウジングの外部に露出しており、前記第1導体の一部は、前記外部から前記ハウジングの内部に向けて押圧可能な形状の押圧部を有していると良い。
この構成によれば、押圧部をハウジング側に押しこむことにより、第1導体をハウジングの内部に容易に至らすことができる。特に、押圧可能な形状の押圧部を、押圧箇所として利用できるので、組み付け性をより改善することができる。
【0011】
(3)上記(2)に記載のコネクタにおいて、前記第1導体は、平板状の本体部を有し、前記可撓性導体の一部は、前記本体部の板面に支持され、前記押圧部は、前記平板状の本体部から立ち上がる形状をなし、前記可撓性導体を挟んだ両側に対をなして配置されていると良い。
この構成によれば、対をなす押圧部の並び方向に複数の端子が配置される場合に、並び方向で隣接する端子間に、立ち上がり形状の押圧部が位置することになるので、端子間の絶縁距離を調整することができる。
【0012】
(4)上記(3)に記載のコネクタにおいて、前記押圧部は、前記本体部に支持された前記可撓性導体よりも前記本体部の板厚方向に突出する部分を有していると良い。
この構成によれば、押圧部を押しこむ押圧治具等が可撓性導体に接触するのを回避し易くなるので、組み付け性のさらなる改善を図ることができる。
【0013】
(5)上記(1)から(4)のいずれかに記載のコネクタにおいて、前記第2導体は、環状であって、ボルトを通す締結孔を有していると良い。
この構成によれば、第2導体がボルトを介して他の導電部材に固定されても、可撓性導体の変形を伴うことで、相手側の導体とハウジングとの間の距離等を調整できる。
【0014】
(6)上記(1)から(5)のいずれかに記載のコネクタにおいて、前記可撓性導体は、編組線であると良い。
この構成は、可撓性導体として、使い勝手が良く、利用しやすい編組線を用いることができる。
【0015】
(7)上記(4)に記載のコネクタにおいて、前記可撓性導体は、編組線であると良い。
編組線であれば、本体部の板厚方向に突出する部分の突出量を抑える形状に加工しやすく、上記(4)のメリットを効果的に享受できる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
[実施形態1]
本開示の実施形態1に係るコネクタ10は、端子20とハウジング60とを備えている。ハウジング60は、相手側コネクタと嵌合する。
【0018】
なお、以下の説明において、前後方向については、ハウジング60が相手側コネクタ70と嵌合する面側を前側とする。
図2の左側が前側になる。上下方向は、
図1-
図4,
図6-
図8の上下方向を基準とする。左右方向は、
図6の左右方向を基準とする。これら方向の基準は、コネクタ10が図示しない車両等に搭載された状態における方向と必ずしも一致しない。各図において、前側を矢印Fで表し、上側を矢印Uで表し、右側を矢印Rで表す。
【0019】
(端子20の構成)
図1に示すように、端子20は、導電性であり、第1導体21と、第2導体25と、可撓性導体としての編組線23と、を有している。第1導体21及び第2導体25は、導電金属製の板材を打ち抜いて形成されている。編組線23は、複数の金属素線を、メッシュ状(網目状)に編み込んで形成されている。編組線23は、良好な可撓性を有し、第1導体21及び第2導体25よりも剛性が低く、屈曲容易である。
第1導体21、編組線23及び第2導体25は、前後方向に並んで配置されている。第1導体21の後端部と編組線23の前端部とは、上下方向に互いに重なり合い、超音波溶接、抵抗溶接、半田等の接合手段により連結されている。同じく、編組線23の後端部と第2導体25の前端部とは、上下方向に互いに重なり合い、上記接合手段により連結されている。
【0020】
第1導体21は、後端部を除く部分を、ハウジング60の内部(後述するキャビティ64)に挿入させている。第1導体21は、前後方向及び幅方向に沿った平板状の本体部27を有している。本体部27は、第1導体21の前後方向の全長に亘る長さで形成されている。本体部27は、前側に、矩形のランス孔29を開口させている。第1導体21は、ランス孔29の後方に、本体部27の左右の側縁から立ち上がる一対のスタビライザ30を有している。各スタビライザ30は、板状をなし、板面を左右方向に向けて配置される。各スタビライザ30は、第1スタビライザ30aと、全体的に第1スタビライザ30aよりも後方に位置ずれする第2スタビライザ30bと、により構成される。
本体部27は、各スタビライザ30を有する部分と、後述する押圧部33を有する部分との間に、前後方向に対して傾斜する方向に延びる屈曲部31を有している。
図5に示すように、各端子20が左右方向で並んで配置される場合に、各端子20の押圧部33が十分な絶縁距離を確保できるように、屈曲部31は、相手側の端子20から離れる外側に向けて一定角度で傾斜している。
【0021】
第1導体21は、後端部に、本体部27の左右の側縁から立ち上がる一対の押圧部33を有している。各押圧部33は、側面視矩形の板状をなし、板面を左右方向に向けて配置される。本体部27からの押圧部33の立ち上がり寸法は、本体部27からのスタビライザ30の立ち上がり寸法よりも大きい。各押圧部33は、互いに同形状であって、前後方向の同じ位置に互いに対向するように配置されている。押圧部33の後端面は、上下方向に沿った板厚面であって、下端部を除く部分に、押圧面33Sを有している。押圧部33の上端面は、前後方向に沿った板厚面であって、チャック面33Aとして構成される。本体部27の後端部は、各押圧部33に挟まれる部分に、支持部35を有している。支持部35は、編組線23の前端部と重なって接合手段を介して連結される部分である。編組線23の前端部は、支持部35の上面に載せられる。後述するように、押圧部33を含む本体部27の後端部は、ハウジング60の外部に露出して配置される。
【0022】
編組線23は、例えば、下側を平面とし、上側は円弧状に膨らむよう形成されている。編組線23の前後端部は、上下方向に扁平な形状に成形されている。編組線23は、平面視して前後方向に長い矩形状をなして配置される。編組線23の上下方向の厚さは、第1導体21および第2導体25のそれぞれの板厚よりも大きく、且つ本体部27からの押圧部33の立ち上がり寸法よりも小さい。編組線23が本体部27の支持部35に支持された状態で、各押圧部33における下端部を除く部分は、編組線23の上面よりも上方に突出する(以下、この突出する部分を突出部34という。
図1の符号34で示す矢印範囲を参照)。このため、実施形態1の構成は、編組線23と第1導体21との接触面積を確保することができ、上記接合手段による、編組線23と第1導体21との接合強度を高めることができる。
【0023】
第2導体25は、平面視矩形の板状をなす支部37と、支部37の前方に連なる円環状の固定部39と、を有している。支部37は、編組線23の後端部と重なって接合手段を介して連結される部分である。編組線23の後端部は、支部37の上面に載せられる。編組線23の前端部は扁平状であり、第2導体25の支部37は平板状である。このため、実施形態1の構成は、編組線23と第2導体25との接触面積を確保することができ、上記接合手段による、編組線23と第2導体25との接合強度を高めることができる。
【0024】
第2導体25の固定部39は、中心部に、円形に開口する締結孔41を有している。
図3に示すように、固定部39は、他の導電部材100の締結部101に接続ボルト90を介して固定される。接続ボルト90は、締結孔41に挿通され、締結部101のねじ孔91に締結されるこれにより、固定部39は、接続ボルト90の頭部と締結部101との間に挟まれて固定される。
【0025】
(ハウジング60の構成)
ハウジング60は、合成樹脂製であって、フード部61、端子挿入部63及びフランジ部65を有している。
【0026】
図5に示すように、端子挿入部63は、左右方向に並んで配置される一対のキャビティ64を有している。各キャビティ64は、端子挿入部63を前後方向に貫通している。端子挿入部63は、キャビティ64の内壁の下面から前方に突出する弾性変形可能なランス68を有している。端子20の第1導体21は、キャビティ64に後方から挿入され、ランス孔29にランス68を係止させることで、ハウジング60の内部に抜け止め状態に配置される。各端子20の第1導体21が各キャビティ64に収容されることにより、各端子20が後述する仕切り壁部73を挟んで左右方向に並んで配置される。
【0027】
図5に示すように、端子挿入部63は、各キャビティ64の間に、各キャビティ64の内側面(端子挿入部63の左右中央側に位置する面)を閉塞する仕切り壁部73を有している。仕切り壁部73は、第1段部75aを有している。端子挿入部63は、左右の側縁に、キャビティ64の外側面(端子挿入部63の左右端側に位置する面)を閉塞する一対の側壁69を有している。一対の側壁69は、それぞれ第2段部75bを有している。第2段部75bは、第1段部75aよりも後方に位置している。キャビティ64は、第1段部75a及び第2段部75bを境として、後側に位置する部分を、前側に位置する部分よりも左右方向に拡げている。
【0028】
図2-
図6に示すように、フランジ部65は、端子挿入部63から径方向外側に張り出して形成されている。フランジ部65は、板状をなし、前後方向に板面を向けて配置される。フランジ部65は、正面視して四隅の丸い矩形の外縁形状を呈している。フランジ部65は、四隅寄りの部分に、挿通孔76を有している。フランジ部65は、挿通孔76に挿通される図示しないボルトを介して図示しない筐体に固定される。
【0029】
図2に示すように、フード部61は、筒状をなし、端子挿入部63の前端外周から前方に突出している。フード部61は、ハウジング60の前側に形成されている。端子20の第1導体21の前端部は、フード部61の開口部内に露出(突出)している。
【0030】
相手側コネクタ70は、前方からフード部61に嵌合される。コネクタ10と相手側コネクタ70との嵌合状態において、第1導体21の前端部が相手側コネクタの相手側端子71に電気的に接続される。
【0031】
(コネクタ10の作用)
端子20の組み付けに際し、
図7に示すように、第1導体21の後端部は、チャック治具80によって上下方向からチャック(挟持)される。具体的には、チャック治具80の上片部81が各押圧部33のチャック面33Aに接触し、チャック治具80の下片部82が本体部27の下面に接触した状態で、端子20がチャック治具80にチャックして保持される。端子20は、チャック治具80によって、ハウジング60の後面におけるキャビティ64の後端開口の位置まで誘導される。そして、端子20がチャック治具80に保持された状態で、第1導体21の本体部27が対応するキャビティ64に正規の深さよりも浅く挿入される。つまり、端子20がハウジング60のキャビティ64に仮挿入される。なお、チャック治具80に代わって、作業者が指で第1導体21の後端部を摘み取り、端子20をキャビティ64に仮挿入させることも可能である。
次いで、第1導体21の各押圧部33の押圧面33Sが後方から押圧治具85によって押圧される。押圧治具85で押圧された端子20は、そのまま前進してキャビティ64に正規深さで挿入される。これにより、ランス68がランス孔29に係止され、端子20がハウジング60に保持される。端子20の移動は、各スタビライザ30によってガイドされる。そして、第1スタビライザ30a及び第2スタビライザ30bがそれぞれ第1段部75a及び第2段部75bに突き当たることで、端子20の移動が停止される。なお、押圧治具85に代わって、作業者が指で各押圧部33の押圧面33Sを押圧し、端子20をハウジング60の内部に押し込むことも可能である。
【0032】
各押圧部33が前方に押圧される際、仮に、第2導体25又は編組線23を前方に押しこむと、編組線23が変形し、押圧力を端子20に伝えることができない。よって、端子20がキャビティ64に正規深さで挿入されない。その点、上記構成の場合は、第1導体21に形成された一対の押圧部33の押圧面33Sを前方に押しこむことで、端子20をキャビティ64に正規深さで容易に挿入させることができる。
【0033】
押圧治具85は、編組線23の上方に位置する突出部34の押圧面33Sを押圧するため、編組線23との接触を回避した状態で、端子20をハウジング60の内部に押しこむことができる。
【0034】
その後、
図3に示すように、端子20は、他の導電部材100に接続されて固定される。また、ハウジング60はフランジ部65を介して図示しない筐体に固定される。こうした固定作業を行う際、端子20に、第1導体21と第2導体25との間の相対位置を変化させるような力(振動を含む)が作用する。このとき、本実施形態1の構成は、屈曲容易な編組線23によって第1導体21と第2導体25との間における力の伝達を緩和することができる。また、コネクタ10が図示しない車両等に搭載された状態において、コネクタ10の搭載箇所に振動が生じたときにも、編組線23が第1導体21と第2導体25との間における力の伝達を緩和することが可能である。
【0035】
以上説明したように、本実施形態1の場合、第1導体21の後端部がハウジング60の後端側に位置している。このため、本実施形態1の構成は、編組線23のような屈曲容易な可撓性導体を含んでいても、第1導体21の後端部を後方から押圧することにより、端子20をハウジング60の内部に至らすことができる。
特に、本実施形態1の場合、第1導体21が後方から押圧可能な形状の押圧部33を有している。このため、押圧部33の押圧面33Sを押圧することで、端子20をハウジング60の内部に容易に至らすことができる。したがって、本実施形態1の構成は、編組線23のような可撓性導体を含む端子20の組み付け性を改善することができる。
また、押圧部33は、左右方向で隣接する各端子20間に、上方に起立する形態で配置されている。このため、各端子20間の絶縁距離を調整することができる。さらに、押圧部33は、編組線23より上方に突出する突出部34を有している。このため、押圧治具85やチャック治具80が編組線23と接触するのを回避し易く、組み付け性のさらなる改善を図ることができる。さらに、編組線23の前端部が上下方向に扁平な形状をなしているため、本体部27からの押圧部33の立ち上がり寸法が大きくなり過ぎることもない。
【0036】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施形態1はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
(1)実施形態1の場合、可動性導体は、前後端部を扁平形状とする編組線23であった。これに対し、他の実施形態によれば、可撓性導体は、電線であっても良く、例えば、銅、銅合金、アルミなどの複数の金属線を、絶縁樹脂で被覆した被覆電線であっても良い。また、可撓性導体は、コイルバネのような金属線であっても良い。さらに、可撓性導体は、フレキシブル回路基板のようなフレキシブル性のある導体であっても良い。
(2)実施形態1の場合、一対の端子20は、それぞれ同じ長さの編組線23を有していた。これに対し、他の実施形態によれば、一対の端子20は、それぞれ長さを異にする編組線23を有していても良い。編組線の長さ調節により、端子と他の導電部材との接続距離を調節することとができる。
(3)実施形態1の場合、端子20は、押圧されるのに適した形状の押圧部を有していた。これに対し、他の実施形態によれば、端子は、特別な形状の押圧部を有していなくても良い。また、端子は、第1導体の後端部をハウジングの後面側に位置させるだけでも良く、第1導体の後端部がハウジングの後方に突出していなくても良い。要は、端子は、第1導体の後端部をハウジングの内部に押圧可能な構造にしていれば良い。
(4)実施形態1の場合、コネクタ10は、対をなす2つの端子20を備えていた。これに対し、他の実施形態によれば、端子の個数は限定されず、例えば、コネクタは、3つの端子を備えていても良い。
(5)実施形態1の場合、編組線23は、前後端部を扁平形状とし、中央部分の上側は円弧状に膨らむよう形成されている。編組線は、全体に亘り、平面視矩形の扁平板状をなしていていてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…コネクタ
20…端子
21…第1導体
23…編組線(可撓性導体)
25…第2導体
27…本体部
29…ランス孔
30…スタビライザ
30a…第1スタビライザ
30b…第2スタビライザ
31…屈曲部
33…押圧部
33A…チャック面
33S…押圧面
34…突出部
35…支持部
37…支部
39…固定部
41…締結孔
50…相手側コネクタ
51…相手側端子
60…ハウジング
61…フード部
63…端子挿入部
64…キャビティ
65…フランジ部
68…ランス
68S…空間
69…側壁
70…相手側コネクタ
71…相手側端子
73…仕切り壁部
75a…第1段部
75b…第2段部
76…挿通孔
80…チャック治具
81…上片部
82…下片部
85…押圧治具
90…接続ボルト
91…ねじ孔
100…他の導電部材
101…締結部