(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118027
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】アングル圧密成形体
(51)【国際特許分類】
B27M 3/00 20060101AFI20240823BHJP
B32B 21/13 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B27M3/00 J
B32B21/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024189
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】304046269
【氏名又は名称】後藤木材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000615
【氏名又は名称】弁理士法人Vesta国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆行
【テーマコード(参考)】
2B250
4F100
【Fターム(参考)】
2B250AA02
2B250AA13
2B250BA04
2B250CA11
2B250DA04
2B250EA02
2B250EA13
2B250FA15
2B250FA21
2B250FA31
2B250FA37
2B250FA41
2B250GA03
2B250HA01
4F100AP01A
4F100AP01B
4F100AP01C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100BA14
4F100DD04A
4F100DD05B
4F100GB81
(57)【要約】
【課題】木材を圧密成形加工し、また、木材同士を接合して木材強度を高めること。
【解決手段】アングル圧密成形体CW10は、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12を断面略L字状に組み、かつ、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12が交差する入隅部に第3加工前木材NW13を配設した加工前アングル体NW10の凸面22A及び凹面21Aに対して加えた外力及び加熱により第1加工前木材NW11、第2加工前木材NW12、及び第3加工前木材N13が圧密成形され、かつ、第1加工前木材NW11、第2加工前木材NW12、及び第3加工前木材NW13が一体に接合されて断面略L字状に一体に成形された圧密化木材CW11,圧密化木材CW12,及び圧密化木材CW13からなるものである。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1木材及び第2木材を断面L字状に組んだアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記第1木材及び前記第2木材が圧密成形され、かつ、前記第1木材及び前記第2木材が一体に接合されて断面L字状に一体に成形されたことを特徴とするアングル圧密成形体。
【請求項2】
第1木材及び第2木材を断面L字状に組み、かつ、前記第1木材及び前記第2木材が交差する入隅部に第3木材を配設したアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記第1木材、前記第2木材、及び前記第3木材が圧密成形され、かつ、前記第1木材、前記第2木材、及び前記第3木材が一体に接合されて断面L字状に一体に成形されたことを特徴とするアングル圧密成形体。
【請求項3】
第1木材及び第2木材を断面L字状に組んだアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記第1木材及び前記第2木材が圧密成形され、かつ、前記第1木材及び前記第2木材が接合されて一体化された圧密木材本体部と、
前記第1木材及び前記第2木材が交差する入隅部に配設した第3木材が前記外力及び加熱により圧密成形され、かつ、前記圧密木材本体部の入隅部に接合されて一体化された圧密木材隅肉部と
を具備し、
前記圧密木材本体部及び前記圧密木材隅肉部が一体化して断面L字状に成形されていることを特徴とするアングル圧密成形体。
【請求項4】
2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層した積層アングル体の凸面及び凹面に加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が一体に接合されて断面L字状に一体に成形されたことを特徴とするアングル圧密成形体。
【請求項5】
2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層し、かつ、積層された前記アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に別の木材を配設した積層アングル体の凸面及び凹面に加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が一体に接合されて断面L字状に一体に成形されたことを特徴とするアングル圧密成形体。
【請求項6】
2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層した積層アングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が接合されて一体化された圧密木材本体部と、
前記積層アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に配設した別の木材が前記外力及び加熱により圧密成形され、かつ、前記圧密木材本体部の入隅部に接合されて一体化された圧密木材隅肉部と
を具備し、
前記圧密木材本体部及び前記圧密木材隅肉部が一体化して断面L字状に成形されていることを特徴とするアングル圧密成形体。
【請求項7】
前記アングル圧密成形体は、その気乾比重が0.5以上、1.3以下の範囲内である請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のアングル圧密成形体。
【請求項8】
前記アングル圧密成形体は、元の木材の気乾比重に対する圧縮率で40%~70%の範囲内の圧縮率であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のアングル圧密成形体。
【請求項9】
前記アングル圧密成形体は、その気乾比重が元の木材の気乾比重の1.2倍以上、4.0倍以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のアングル圧密成形体。
【請求項10】
前記アングル圧密成形体は、その入隅部が出隅部よりもRが大きい曲面状を成していることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載のアングル圧密成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、杉材、檜材等の軟質な木材を加熱圧縮処理により断面略L字状に圧密成形したアングル圧密成形体に関するものであって、特に、裂け目、割れ、亀裂、クラックが入ることなく木材強度が高められたアングル圧密成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、木材、とりわけ、杉、檜、唐松といった国産材が改めて注目されている。木材は様々な木目を有し、自然に形成された木肌によって多様な意匠性、殊に、穏やかさや、やすらぎを感じさせる意匠性を表現できるうえ、長期の使用によって生じる色合いの変化が独特の風合いを醸しだすことがある。このため、金属や合成樹脂からなる製品にはない、味わい深い製品を生み出すことのできる素材として改めてその有効活用の検討が試みられている。特に、最近では輸入材が供給の不安定さから価格高騰となっている一方、我が国で植林されている杉や檜等の針葉樹は適宜計画伐採や間伐等で比較的安定に入手し易いことから、それら国産材の積極的な活用が望まれている。
【0003】
ところが、杉や檜等の針葉樹の材木は、広葉樹の材木と比較して軟質であり機械的強度が低いことから、そのままでは建築材料、家具材料等として使用することは困難である。
そこで、杉材や檜材のように低密度で強度や硬度が不足しているものにあっては、例えば、本発明者が先に特許を取得している特許文献1及び特許文献2等で開示したように、加熱圧縮処理して高密度化することによる強度特性の改良を行うことで、平板状の床材、腰板、テーブル、天板等として実用化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6944225号公報
【特許文献2】特許6450489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、建築材料、家具材料には、例えば、アングル(山形鋼、L字鋼)のように、従来、金属や合成樹脂からなる製品が存在するが、アングルを木材で製作しようとすると、1枚の無垢材から削り出して加工する必要があり、精密な削り出しの加工が難しく、多大なコストと加工時間が生じるうえ、機械的強度にも不安がある。
【0006】
そこで、本発明は、木材を圧密成形加工し、また、木材同士を接合して木材強度を高めたアングル圧密成形体の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1のアングル圧密成形体は、第1木材及び第2木材を断面L字状に組んでなるアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材が一体に接合されて断面L字状に一体化されたものである。
【0008】
上記第1木材及び第2木材を断面L字状に組んでなるアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材が一体に接合されたとは、一般的には、製材された板材等からなる第1木材及び第2木材の2つの木材がその年輪の繊維方向を同一として互いの木口面でL字状を形成するように配設され、即ち、互いに直角に配設され、また、第1木材及び第2木材の間に接着剤が塗布され、それらの木口面に対して垂直な面側で構成される凸面及び凹面に対して加熱プレスする1対の凹凸金型が当てられ加熱プレス処理されたことにより、第1木材及び第2木材の木口面の面積が小さくなるように圧縮され、またこのとき同時に、接着剤が塗布された木材同士が一体に接合されたことを意味する。そして、上記圧密成形とは、木材の加熱圧縮により木材組織の細胞が圧縮変形されて緻密化され、その変形が固定された塑性加工されたものであることを意味し、元の木材より高比重とされたものである。なお、木口面とは、木材の年輪の繊維方向に対して交差する方向に切断された材面、即ち、木材の木目の長さ方向に対して垂直または斜めに切断された材面のことである。
【0009】
ここでいうアングルとは、山形鋼またはL字鋼のようにローマ字のLの形状を成すものを意味し、等辺アングル(等辺山形鋼)、不等辺アングル(不等辺山形鋼)、不等辺厚アングル(不等厚辺山形鋼)を含むものである。
また、上記凸面及び凹面とは、第1木材及び第2木材の2つの木材を互いに直角に配設して断面L字状に組んだアングル体の断面L字状の内側の面、即ち、入隅側がある面を凹面、その反対面(裏面)の外側の面、即ち、出隅側がある面を凸面としたものであり、プレスされる1対の面である。
【0010】
なお、上記木材の樹種は、特に問われず、針葉樹または広葉樹の何れでもよい。例えば、杉、檜、松(カラマツ、トドマツ、エゾマツ、アカマツ等)、サワラ、ウォールナット(胡桃)、イエローポプラ、イタリアポプラ、モミノキ、ツガ、トウヒ、イチイ、アスナロ、桐、ヒバ、カバ、イタジイ、カリン、ファルカタ、グメリナ、センダン、ユリノキ等が用いられる。特に、杉材、檜材は、我が国で広く分布し、間伐材等を容易に多量に入手できるから、環境保全に貢献できる。また、針葉樹の杉材、檜材は、木材組織の空隙率が高いから、熱伝導が低く、触れたときの温もりを強く感じられるものである。
【0011】
好ましくは、上記第1木材及び第2木材は同一樹種のものが使用される。同一樹種のものであれば、圧密成形加工時に木材同士の馴染みが良く比重差等による部分的な圧縮応力が生じ難いことにより、割れ等が生じ難いものとなる。更に、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いもとなる。しかし、異なる樹種を組み合わせてもよい。これにより複雑な意匠性を表現できる。
【0012】
請求項2のアングル圧密成形体は、第1木材及び第2木材を断面L字状に組み、かつ、前記第1木材及び前記第2木材が交差する入隅部に第3木材を配設してなるアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材が一体に接合されて断面L字状に一体化されたものである。
【0013】
上記第1木材及び第2木材を断面L字状に組み、かつ、前記第1木材及び第2木材が交差する入隅部に第3木材を配設してなるアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材が一体に接合されたとは、一般的には、製材された板材等からなる第1木材及び第2木材の2つの木材がその年輪の繊維方向を同一として互いの木口面でL字状を形成するように配設され、即ち、互いに直角に配設され、更に、前記互いに直角に配設された第1木材及び第2木材の入隅部に断面略直角三角状の第3木材を第1木材及び第2木材と年輪の繊維方向を同一とし、また木口面を同一方向にして配置し、そして、第1木材、第2木材及び第3木材の相互間に接着剤が塗布され、それらの木口面に対して垂直な面側で構成される凸面及び凹面に対して加熱プレスする1対の凹凸金型が当てられ加熱プレス処理されたことにより、第1木材及び第2木材及び第3木材の木口面の面積が小さくなるように圧縮され、また同時に、このとき接着剤が塗布された木材同士が一体に接合されたことを意味する。そして、上記圧密成形とは、木材の加熱圧縮により木材組織の細胞が圧縮変形されて緻密化され、その変形が固定された塑性加工されたものであることを意味し、元の木材より高比重とされたものである。
【0014】
ここでいうアングルとは、山形鋼またはL字鋼のようにローマ字のLの形状を成すものを意味し、等辺アングル(等辺山形鋼)、不等辺アングル(不等辺山形鋼)、不等辺厚アングル(不等厚辺山形鋼)を含むものである。
また、上記凸面及び凹面とは、第1木材及び第2木材の2つの木材を断面L字状に組み、かつ、第1木材及び第2木材が交差する入隅部に第3木材を配設したアングル体の断面L字状の内側の面、即ち、入隅側に第3木材を配設した面を凹面、その反対側の外側の面、即ち、出隅側がある面を凸面としたものであり、プレスされる1対の面である。
【0015】
なお、上記木材の樹種は、特に問われず、針葉樹または広葉樹の何れでもよい。例えば、杉、檜、松(カラマツ、トドマツ、エゾマツ、アカマツ等)、サワラ、ウォールナット(胡桃)、イエローポプラ、イタリアポプラ、モミノキ、ツガ、トウヒ、イチイ、アスナロ、桐、ヒバ、カバ、イタジイ、カリン、ファルカタ、グメリナ、センダン、ユリノキ等が用いられる。特に、杉材、檜材は、我が国で広く分布し、間伐材等を容易に多量に入手できるから、環境保全に貢献できる。また、針葉樹の杉材、檜材は、木材組織の空隙率が高いから、熱伝導が低く、触れたときの温もりを強く感じられるものである。
【0016】
好ましくは、上記第1木材、第2木材、及び第3木材は同一樹種のものが使用される。同一樹種のものであれば、圧密成形加工時に木材同士の馴染みが良く比重差等による部分的な圧縮応力が生じ難いことにより、割れ等が生じ難いものとなる。更に、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いもとなる。しかし、異なる樹種を組み合わせてもよい。これにより複雑な意匠性を表現できる。
【0017】
請求項3のアングル圧密成形体は、第1木材及び第2木材を断面L字状に組んでなるアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記第1木材及び前記第2木材が圧密成形され、かつ、前記第1木材及び前記第2木材が接合されて一体化された圧密木材本体部と、前記第1木材及び前記第2木材が交差する入隅部に配設した第3木材が前記外力及び加熱により圧密成形され、かつ、前記圧密木材本体部の入隅部に接合されて一体化された圧密木材隅肉部とを具備し、前記圧密木材本体部及び前記圧密木材隅肉部が一体化して断面L字状に成形されたものである。
【0018】
ここで、上記圧密木材本体部は、前記断面L字状に組まれた第1木材及び第2木材が圧密化、かつ、接合されて一体化されたものである。
また、上記圧密木材隅肉部は、前記断面L字状に組まれた第1木材及び第2木材に配設した第3木材が圧密化、かつ、前記第1木材及び前記第2木材と接合されて前記圧密木材本体部の圧密化された第1木材及び第2木材が交差する入隅部に一体化されたものである。
【0019】
上記第1木材及び第2木材を断面L字状に組んでなるアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記第1木材及び前記第2木材が圧密成形され、かつ、前記第1木材及び前記第2木材が接合されたとは、一般的には、製材された板材等からなる第1木材及び第2木材の2つの木材をその年輪の繊維方向を同一として互いの木口面でL字状を形成するように配設され、即ち、互いに直角に配設され、また、第1木材及び第2木材の間に接着剤が塗布され、それらの木口面に対して垂直な面側で構成される凸面及び凹面に対して加熱プレスする1対の凹凸金型が当てられ加熱プレス処理されたことにより、第1木材及び第2木材の木口面の面積が小さくなるように圧縮され、またこのとき同時に、接着剤が塗布された木材同士が一体に接合されたことを意味する。
【0020】
また、上記前記第1木材及び前記第2木材が交差する入隅部に配設した第3木材が前記外力及び加熱により圧密成形され、かつ、前記圧密木材本体部の入隅部に接合されたとは、一般的には、互いに直角に配設された第1木材及び第2木材の入隅部に断面略直角三角状の第3木材が第1木材及び第2木材と年輪の繊維方向を同一され、また木口面を同一方向にして配置され、そして、第1木材及び第2木材と第3木材との相互間に接着剤が塗布され、第1木材及び第2木材と共に、第3木材の露出面に加熱プレスする1対の凹凸金型が当てられ加熱プレス処理されたことにより、第1木材及び第2木材と共に、第3木材の木口面の面積が小さくなるように圧縮され、またこのとき同時に、接着剤が塗布された第1木材及び第2木材と第3木材とが互いに一体に接合されたことを意味する。
そして、上記圧密成形とは、木材の加熱圧縮により木材組織の細胞が圧縮変形されて緻密化され、その変形が固定された塑性加工されたものであることを意味し、元の木材より高比重とされたものである。
【0021】
ここでいうアングルとは、山形鋼またはL字鋼のようにローマ字のLの形状を成すものを意味し、等辺アングル(等辺山形鋼)、不等辺アングル(不等辺山形鋼)、不等辺厚アングル(不等厚辺山形鋼)を含むものである。
また、上記凸面及び凹面とは、第1木材及び第2木材の2つの木材を断面L字状に組み、かつ、第1木材及び第2木材が交差する入隅部に第3木材を配設したアングル体の断面L字状の内側の面、即ち、入隅側に第3木材を配設した面を凹面、その反対側の外側の面、即ち、出隅側がある面を凸面としたものであり、プレスされる1対の面である。
【0022】
なお、木材の樹種は、特に問われず、針葉樹または広葉樹の何れでもよい。例えば、杉、檜、松(カラマツ、トドマツ、エゾマツ、アカマツ等)、サワラ、ウォールナット(胡桃)、イエローポプラ、イタリアポプラ、モミノキ、ツガ、トウヒ、イチイ、アスナロ、桐、ヒバ、カバ、イタジイ、カリン、ファルカタ、グメリナ、センダン、ユリノキ等が用いられる。特に、杉材、檜材は、我が国で広く分布し、間伐材等を容易に多量に入手できるから、環境保全に貢献できる。また、針葉樹の杉材、檜材は、木材組織の空隙率が高いから、熱伝導が低く、触れたときの温もりを強く感じられるものである。
【0023】
好ましくは、上記第1木材、第2木材、及び第3木材は同一樹種のものが使用される。同一樹種のものであれば、圧密成形加工時に木材同士の馴染みが良く比重差等による部分的な圧縮応力が生じ難いことにより、割れ等が生じ難いものとなる。更に、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いもとなる。しかし、異なる樹種を組み合わせてもよい。これにより複雑な意匠性を表現できる。
【0024】
請求項4のアングル圧密成形体は、2つの木材を断面L字状に組んでなるアングル体を複数積層した積層アングル体の凸面及び凹面に加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が一体に接合されて断面L字状に一体化されたものである。
【0025】
上記2つの木材を断面L字状に組んでなるアングル体を複数積層した積層アングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材が一体に接合されたとは、一般的には、製材された板材等からなる2つの木材がその年輪の繊維方向を同一として互いの木口面でL字状を形成するように配設されてなる、即ち、互いに直角に配設されてなるアングル体同士が積層され、また、それら木材間に接着剤が塗布され、木口面に対して垂直な面側で構成される凸面及び凹面に対して加熱プレスする1対の凹凸金型が当てられ加熱プレス処理されたことにより、木材の木口面の面積が小さくなるように圧縮され、またこのとき同時に、接着剤が塗布された木材同士が一体に接合されたことを意味する。そして、上記圧密成形とは、木材の加熱圧縮により木材組織の細胞が圧縮変形されて緻密化され、その変形が固定された塑性加工されたものであることを意味し、元の木材より高比重とされたものである。
【0026】
ここでいうアングルとは、山形鋼またはL字鋼のようにローマ字のLの形状を成すものを意味し、等辺アングル(等辺山形鋼)、不等辺アングル(不等辺山形鋼)、不等辺厚アングル(不等厚辺山形鋼)を含むものである。
また、上記凸面及び凹面とは、2つの木材を互いに直角に配設して断面L字状に組んだアングル体を複数積層してなる積層アングル体の断面L字状の内側の面、即ち、入隅側がある面を凹面、その反対面(裏面)の外側の面、即ち、出隅側がある面を凸面としたものであり、プレスされる1対の面である。
更に、上記積層アングル体は、断面L字状に組んだ2つの木材からなるアングル体が重ねられて複数層積層、好ましくは、2層または3層に積層されてなるものであり、互いに木目の長さを一致させて積層するのが好ましいが、木目の長さ方向に対して直交する方向に積層するものであってもよい。
【0027】
なお、上記木材の樹種は、特に問われず、針葉樹または広葉樹の何れでもよい。例えば、杉、檜、松(カラマツ、トドマツ、エゾマツ、アカマツ等)、サワラ、ウォールナット(胡桃)、イエローポプラ、イタリアポプラ、モミノキ、ツガ、トウヒ、イチイ、アスナロ、桐、ヒバ、カバ、イタジイ、カリン、ファルカタ、グメリナ、センダン、ユリノキ等が用いられる。特に、杉材、檜材は、我が国で広く分布し、間伐材等を容易に多量に入手できるから、環境保全に貢献できる。また、針葉樹の杉材、檜材は、木材組織の空隙率が高いから、熱伝導が低く、触れたときの温もりを強く感じられるものである。
【0028】
好ましくは、上記木材は全て同一樹種のものが使用される。同一樹種のものであれば、圧密成形加工時に木材同士の馴染みが良く比重差等による部分的な圧縮応力が生じ難いことにより、割れ等が生じ難いものとなる。更に、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いもとなる。しかし、異なる樹種を組み合わせてもよい。これにより複雑な意匠性を表現できる。
【0029】
請求項5のアングル圧密成形体は、2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層し、かつ、積層された前記アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に別の木材を配設した積層アングル体の凸面及び凹面に加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が一体に接合されて断面L字状に一体化されたものである。
【0030】
上記2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層し、かつ、積層された前記アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に別の木材を配設した積層アングル体の凸面及び凹面に加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が一体に接合されたとは、一般的には、製材された板材等からなる2つの木材がその年輪の繊維方向を同一として互いの木口面でL字状を形成するように配設されてなる、即ち、互いに直角に配設されてなるアングル体が積層され、更に、積層されたアングル体の木材同士が交差する入隅部に断面略直角三角状の別の木材を断面L字状に組んだ2つの木材の年輪の繊維方向と同一とし、木口面も同一方向にして配置され、また、木材の相互間に接着剤が塗布され、そして、木口面に対して垂直な面側で構成される凸面及び凹面に対して加熱プレスする1対の凹凸金型が当てられ加熱プレス処理されたことにより、木材の木口面の面積が小さくなるように圧縮され、またこのとき同時に、接着剤が塗布された木材同士が一体に接合されたことを意味する。そして、上記圧密成形とは、木材の加熱圧縮により木材組織の細胞が圧縮変形されて緻密化され、その変形が固定された塑性加工されたものであることを意味し、元の木材より高比重とされたものである。
【0031】
ここでいうアングルとは、山形鋼またはL字鋼のようにローマ字のLの形状を成すものを意味し、等辺アングル(等辺山形鋼)、不等辺アングル(不等辺山形鋼)、不等辺厚アングル(不等厚辺山形鋼)を含むものである。
また、上記凸面及び凹面とは、2つの木材を互いに直角に配設して断面L字状に組んだアングル体を複数積層し、かつ、入隅部に別の木材を配設してなる積層アングル体の断面L字状の内側の面、即ち、第3木材を配設した入隅側がある面を凹面、その反対面(裏面)の外側の面、即ち、出隅側がある面を凸面としたものであり、プレスされる1対の面である。
更に、上記積層アングル体は、断面L字状に組んだ2つの木材からなるアングル体が重ねられて複数層積層、好ましくは、2層または3層に積層されてなるものであり、互いに木目の長さを一致させて積層するのが好ましいが、木目の長さ方向に対して直交する方向に積層するものであってもよい。
【0032】
なお、上記木材の樹種は、特に問われず、針葉樹または広葉樹の何れでもよい。例えば、杉、檜、松(カラマツ、トドマツ、エゾマツ、アカマツ等)、サワラ、ウォールナット(胡桃)、イエローポプラ、イタリアポプラ、モミノキ、ツガ、トウヒ、イチイ、アスナロ、桐、ヒバ、カバ、イタジイ、カリン、ファルカタ、グメリナ、センダン、ユリノキ等が用いられる。特に、杉材、檜材は、我が国で広く分布し、間伐材等を容易に多量に入手できるから、環境保全に貢献できる。また、針葉樹の杉材、檜材は、木材組織の空隙率が高いから、熱伝導が低く、触れたときの温もりを強く感じられるものである。
【0033】
好ましくは、上記木材は全て同一樹種のものが使用される。同一樹種のものであれば、圧密成形加工時に木材同士の馴染みが良く比重差等による部分的な圧縮応力が生じ難いことにより、割れ等が生じ難いものとなる。更に、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いもとなる。しかし、異なる樹種を組み合わせてもよい。これにより複雑な意匠性を表現できる。
【0034】
請求項6のアングル圧密成形体は、2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層した積層アングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が接合されて一体化された圧密木材本体部と、前記積層アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に配設した別の木材が前記外力及び加熱により圧密成形され、かつ、前記圧密木材本体部の入隅部に接合されて一体化された圧密木材隅肉部とを具備し、前記圧密木材本体部及び前記圧密木材隅肉部が一体化して断面L字状に成形されたものである。
【0035】
ここで、上記圧密木材本体部は、2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層した積層アングル体の木材が圧密化、かつ、木材同士が接合されて一体化されたものである。
また、上記圧密木材隅肉部は、断面L字状に組まれた2つ木材の積層状態での入隅部に配設した別の木材が圧密化、かつ、前記積層状態での断面L字状に組まれた2つ木材と接合されて前記圧密木材本体部の積層状態で圧密化された2つ木材が交差する入隅部に一体化されたものである。
【0036】
上記2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層し、かつ、積層された前記アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に別の木材を配設した積層アングル体の凸面及び凹面に加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が一体に接合されたとは、一般的には、製材された板材等からなる2つの木材がその年輪の繊維方向を同一として互いの木口面でL字状を形成するように配設されてなる、即ち、互いに直角に配設されてなるアングル体が積層され、また、木材の相互間に接着剤が塗布され、そして、木口面に対して垂直な面側で構成される凸面及び凹面に対して加熱プレスする1対の凹凸金型が当てられ加熱プレス処理されたことにより、木材の木口面の面積が小さくなるように圧縮され、またこのとき同時に、接着剤が塗布された木材同士が一体に接合されたことを意味する。
【0037】
また、前記積層アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に配設した別の木材が前記外力及び加熱により圧密成形され、かつ、前記圧密木材本体部の入隅部に接合されは、一般的には、積層された状態で互いに直角に配設された2つの木材の入隅部に断面略直角三角状の別の木材が前記2つの木材と年輪の繊維方向を同一とし、木口面を同一方向にして配置され、そして、木材相互間に接着剤が塗布され、断面L字状に組まれた木材と共に、別の木材の露出面に加熱プレスする1対の凹凸金型が当てられ加熱プレス処理されたことにより、断面L字状に組まれた木材と共に、別の木材の木口面の面積が小さくなるように圧縮され、またこのとき同時に、接着剤が塗布された木材同士が互いに一体に接合されたことを意味する。
そして、上記圧密成形とは、木材の加熱圧縮により木材組織の細胞が圧縮変形されて緻密化され、その変形が固定された塑性加工されたものであることを意味し、元の木材より高比重とされたものである。
【0038】
ここでいうアングルとは、山形鋼またはL字鋼のようにローマ字のLの形状を成すものを意味し、等辺アングル(等辺山形鋼)、不等辺アングル(不等辺山形鋼)、不等辺厚アングル(不等厚辺山形鋼)を含むものである。
また、上記凸面及び凹面とは、2つの木材を互いに直角に配設して断面L字状に組んだアングル体を複数積層し、かつ、入隅部に別の木材を配設してなる積層アングル体の断面L字状の内側の面、即ち、第3木材を配設した入隅側がある面を凹面、その反対面(裏面)の外側の面、即ち、出隅側がある面を凸面としたものであり、プレスされる1対の面である。
更に、上記積層アングル体は、断面L字状に組んだ2つの木材からなるアングル体が重ねられて複数層積層、好ましくは、2層または3層に積層されてなるものであり、互いに木目の長さを一致させて積層するのが好ましいが、木目の長さ方向に対して直交する方向に積層するものであってもよい。
【0039】
なお、木材の樹種は、特に問われず、針葉樹または広葉樹の何れでもよい。例えば、杉、檜、松(カラマツ、トドマツ、エゾマツ、アカマツ等)、サワラ、ウォールナット(胡桃)、イエローポプラ、イタリアポプラ、モミノキ、ツガ、トウヒ、イチイ、アスナロ、桐、ヒバ、カバ、イタジイ、カリン、ファルカタ、グメリナ、センダン、ユリノキ等が用いられる。特に、杉材、檜材は、我が国で広く分布し、間伐材等を容易に多量に入手できるから、環境保全に貢献できる。また、針葉樹の杉材、檜材は、木材組織の空隙率が高いから、熱伝導が低く、触れたときの温もりを強く感じられるものである。
【0040】
好ましくは、上記木材は全て同一樹種のものが使用される。同一樹種のものであれば、圧密成形加工時に木材同士の馴染みが良く比重差等による部分的な圧縮応力が生じ難いことにより、割れ等が生じ難いものとなる。更に、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いもとなる。しかし、異なる樹種を組み合わせてもよい。これにより複雑な意匠性を表現できる。
【0041】
請求項7の発明に係るアングル圧密成形体は、その気乾比重が0.5以上、1.3以下、より好ましくは、0.6以上、1.2以下の範囲内のものである。
上記気乾比重とは、木材を大気中で放置、乾燥し気乾含水率に達したときの木材比重で、通常、気乾含水率として含水率15%の時の比重で表すものであり、木材を乾燥させた時の単位体積当たりの重さである。
例えば、自然物の国産或いは国内でよく使用される材木の杉の平均気乾比重は0.38、檜の平均気乾比重は0.44、カラマツの平均気乾比重は0.50、ドドマツの平均気乾比重は0.44、エゾマツの平均気乾比重は0.43、アカマツの平均気乾比重は0.52、キリの平均気乾比重は0.30、クリの平均気乾比重は0.60、ヒバの平均気乾比重は0.47、ケヤキの平均気乾比重は0.69、ウォールナットの気乾比重は0.47、ブナの平均気乾比重は0.65、ナラの平均気乾比重は0.63、クリの平均気乾比重は0.60、カバの平均気乾比重は0.60、イタジイの平均気乾比重は0.61、カリンの平均気乾比重は0.61、ファルカタの平均気乾比重は0.27、マラパパイヤの平均気乾比重は0.50、グメリナの平均気乾比重は0.45、ゴムの平均気乾比重は0.64、イエローポプラの平均気乾比重は0.45、イタリアポプラの平均気乾比重は0.35、アカシアマンギウムの平均気乾比重は0.63である。
【0042】
請求項8の発明のアングル圧密成形体は、好ましくは、元の木材の気乾比重に対する圧縮率で40%以上、75%以下、より好ましくは、45%以上、70%以下、更に好ましくは、45%以上、65%以下の範囲内の圧縮率で圧縮されたものである。元の木材の気乾比重に対する圧縮率で40%以上とする圧縮率であれば、木材の性質が変化して硬度や強度が顕著に増すためである。
【0043】
ここで、元の木材の気乾比重に対する圧縮率とは、元の木材の気乾比重とアングル圧密成形体の気乾比重から下記の式(A)で算出したものである。
圧縮率〈%〉
=[1-[(元の木材の気乾比重)/(アングル圧密成形体の気乾比重)]]×100 ・・・(A)
例えば、檜材からなるアングル圧密成形体の気乾比重を測定したときにその気乾比重が1.1であるとすると、檜材の気乾比重は平均0.44であるから、上記(A)式より、アングル圧密成形体の圧縮率は60%であり、元の木材の気乾比重の2.5倍である。
【0044】
請求項9の発明のアングル圧密成形体は、その気乾比重が元の木材の気乾比重の1.2倍以上、4.0倍以下、より好ましくは、1.3倍以上、3.8倍以下、更に好ましくは、1.5倍以上、3.7倍以下の範囲内であるものである。
【0045】
請求項10の発明のアングル圧密成形体は、その入隅部が出隅部よりも曲率半径の大きい曲面状を形成しているものであり、入隅部が出隅部よりも大きなR状であるものである。
【発明の効果】
【0046】
請求項1の発明に係るアングル圧密成形体によれば、第1木材及び第2木材を断面L字状に組んだアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記第1木材及び前記第2木材が圧密成形され、かつ、前記第1木材及び前記第2木材が一体に接合されて断面L字状に一体に成形されたものであり、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面L字状に成形されているものであることにより、木材強度が高められているものである。特に、断面L字状に組んだ第1木材及び第2木材を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、割れ等が生じ難いものである。
【0047】
請求項2の発明に係るアングル圧密成形体によれば、第1木材及び第2木材を断面L字状に組み、かつ、前記第1木材及び前記第2木材が交差する入隅部に第3木材を配設したアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記第1木材、前記第2木材、及び前記第3木材が圧密成形され、かつ、前記第1木材、前記第2木材、及び前記第3木材が一体に接合されて断面L字状に一体に成形されたものであり、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面L字状に成形されているものであることにより、木材強度が高められているものである。特に、断面L字状に組んだ第1木材及び第2木材並びにその入隅部に配設した第3木材を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、割れ等が生じ難いものである。加えて、断面略L字状に組んだ第1木材及び第2木材の入隅部に第3木材を配設して、第1木材及び第2木材と共に圧密成形し、かつ、一体に接合していることにより、木材同士の接合面が増えるから、機械的強度がより高められているものである。
【0048】
請求項3の発明に係るアングル圧密成形体によれば、第1木材及び第2木材を断面L字状に組んだアングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記第1木材及び前記第2木材が圧密成形され、かつ、接合されて一体化された圧密木材本体部と、前記第1木材及び前記第2木材が交差する入隅部に配設した第3木材が前記外力及び加熱により圧密成形され、かつ、前記圧密木材本体部の入隅部に接合されて一体化された圧密木材隅肉部とを具備し、前記圧密木材本体部及び前記圧密入隅部が一体化して断面L字状に成形されている。したがって、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面L字状に成形されているものであることにより、木材強度が高められているものである。特に、断面L字状に組んだ第1木材及び第2木材並びにその入隅部に配設した第3木材を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、割れ等が生じ難いものである。加えて、断面略L字状に組んだ第1木材及び第2木材の入隅部に第3木材を配設して、第1木材及び第2木材と共に圧密成形し、かつ、一体に接合して圧密木材本体部の入隅部に圧密木材隅肉部を形成していることにより、木材同士の接合面が増えるから、機械的強度がより高められているものである。
【0049】
請求項4の発明に係るアングル圧密成形体によれば、2本の木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層した積層アングル体の凸面及び凹面に加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が一体に接合されて断面L字状に一体に形成されたものであり、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面L字状に成形されているものであることにより、木材強度が高められているものである。特に、断面L字状に組んで積層した木材を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、割れ等が生じ難いものである。加えて、木材を積層していることで接合面が増えるから、機械的強度がより高められている。また、表面硬度をより高めることが可能である。
【0050】
請求項5の発明に係るアングル圧密成形体によれば、2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層し、かつ、積層された前記アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に別の木材を配設した積層アングル体の凸面及び凹面に加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が一体に接合されて断面L字状に一体に形成されたものであり、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面L字状に成形されているものであることにより、木材強度が高められているものである。特に、断面L字状に組まれ積層された木材及びその入隅部に配設した木材を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、割れ等が生じ難いものである。加えて、断面略L字状に組んだ積層状態の木材の入隅部に別の木材を配設して、断面L字状に組んだ木材と共に圧密成形し、かつ、一体に接合していることにより、木材同士の接合面が増えるから、機械的強度がより高められているものである。更に、木材を積層していることも接合面が増えるから、機械的強度が更に高められている。また、表面硬度をより高めることが可能である。
【0051】
請求項6の発明に係るアングル圧密成形体によれば、2つの木材を断面L字状に組んだアングル体を複数積層した積層アングル体の凸面及び凹面に対して加えた外力及び加熱により前記木材が圧密成形され、かつ、前記木材同士が接合されて一体化された圧密木材本体部と、前記積層アングル体の前記木材同士が交差する入隅部に配設した別の木材が前記外力及び加熱により圧密成形され、かつ、前記圧密木材本体部の入隅部に接合されて一体化された圧密木材隅肉部とを具備し、前記圧密木材本体部及び前記圧密入隅部が一体化して断面L字状に成形されている。したがって、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面L字状に成形されているものであることにより、木材強度が高められているものである。特に、断面L字状に組んで積層した木材及びその入隅部に配設した木材を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、割れ等が生じ難いものである。加えて、断面略L字状に組んだ積層状態の木材の入隅部に別の木材を配設して、断面L字状に組んだ木材と共に圧密成形し、かつ、一体に接合して圧密木材本体部の入隅部に圧密木材隅肉部を形成していることにより、木材同士の接合面が増えるから、機械的強度がより高められているものである。更に、木材を積層していることも接合面が増えるから、機械的強度が更に高められている。また、表面硬度をより高めることが可能である。
【0052】
請求項7の発明に係るアングル圧密成形体によれば、その気乾比重が0.5~1.3の範囲内であるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、軽量で、かつ、機械的強度が高いものである。
【0053】
請求項8の発明に係るアングル圧密成形体によれば、元の木材の気乾比重に対する圧縮率で40%~70%の範囲内の圧縮率で圧縮されたものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、割れ等を生じさせることなく、表面硬度や機械的強度が高められたものである。
【0054】
請求項9の発明に係るアングル圧密成形体によれば、その気乾比重が元の木材の気乾比重の1.2倍~4.0倍の範囲内であるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、割れ等を生じさせることなく、表面硬度や機械的強度が高められたものである。
【0055】
請求項10の発明に係るアングル圧密成形体によれば、その入隅部が出隅部よりもRが大きい曲面状を成しているものであるから、入隅部及び出隅部に部分的に高圧縮が掛かることなく圧密成形されたものである。よって、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、割れ等がより生じ難いものである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は本発明の実施の形態1に係るアングル圧密成形体を製造する説明する説明図であり、(a)は圧密成形加工する前の加工前アングル体の説明図、(b)は圧密成形加工する加工前アングル体を金型内に設置する説明図、(c)は加工前アングル体を圧密成形加工している状態の説明図、(d)は加工前アングル体の圧密成形後に端部処理を行った説明図である。
【
図2】
図2は本発明の実施の形態1に係るアングル圧密成形体を製造するための圧密成形加工装置の一例を示す概略構成図である。
【
図3】
図3は本発明の実施の形態1に係るアングル圧密成形体を製造する圧密成形加工を説明する説明図で、(a)は圧密成形加工する加工前アングル体を金型内に設置する説明図、(b)は加熱圧縮開始状態の説明図、(c)は密閉状態での加熱圧縮状態の説明図、(d)は密閉状態での蒸気圧制御処理の説明図、(e)は密閉状態での冷却状態の説明図、(f)は圧密成形されたアングル圧密成形体の取り出しの説明図である。
【
図4】
図4は本発明の実施の形態1に係るアングル圧密成形体を説明する説明図であり、(a)はアングル圧密成形体の側面図、(b)はアングル圧密成形体の凹面側から見た斜視図、(c)はアングル圧密成形体の凸面側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は本発明の実施の形態1に係るアングル圧密成形体を変形例の金型を用いて製造する説明する説明図であり、(a)は圧密成形加工する前の加工前アングル体の説明図、(b)は圧密成形加工する加工前アングル体を変形例の金型内に設置する説明図、(c)は加工前アングル体を変形例の金型で圧密成形加工している状態の説明図、(d)は圧密成形後のアングル圧密成形体の説明図である。
【
図6】
図6は本発明の実施の形態2に係るアングル圧密成形体を説明する説明図であり、(a)は圧密成形加工する前の加工前アングル体の斜視図、(b)は圧密成形加工したアングル圧密成形体の斜視図である。
【
図7】
図7は本発明の実施の形態3に係るアングル圧密成形体を製造する説明する説明図であり、(a)は圧密成形加工する前の加工前積層アングル体の説明図、(b)は圧密成形加工する加工前積層アングル体を金型内に設置する説明図、(c)は加工前積層アングル体を圧密成形加工している状態の説明図、(d)は加工前積層アングル体の圧密成形後に端部処理を行った説明図である。
【
図8】
図8は本発明の実施の形態3に係るアングル圧密成形体を説明する説明図であり、(a)はアングル圧密成形体の側面図、(b)はアングル圧密成形体の凹面側から見た斜視図、(c)はアングル圧密成形体の凸面側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は本発明の実施の形態4に係るアングル圧密成形体を変形例の金型を用いて製造する説明する説明図であり、(a)は圧密成形加工する前の加工前アングル体の説明図、(b)は圧密成形加工する加工前アングル体を変形例の金型内に設置する説明図、(c)は加工前アングル体を変形例の金型で圧密成形加工している状態の説明図、(d)は圧密成形後のアングル圧密成形体の説明図である。
【
図10】
図10は本発明の実施の形態4に係るアングル圧密成形体を説明する説明図であり、(a)は圧密成形加工する前の加工前アングル体の斜視図、(b)は圧密成形加工したアングル圧密成形体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
まず、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、各実施の形態において、同一の記号及び同一の符号は同一または相当する機能部分を意味し、各実施の形態相互の同一の記号及び同一の符号は、それら実施の形態に共通する機能部分であるから、ここでは重複する詳細な説明を省略する。
【0058】
[実施の形態1]
まず、本発明の実施の形態1に係るアングル圧密成形体CW10について、
図1乃至
図4を参照して説明する。
本実施の形態1に係るアングル圧密成形体CW10は、
図1に示すように、圧密成形加工前の第1の加工前木材NW11と第2の加工前木材NW12とを接着剤を介して断面略L字状に組み、更に、断面略L字状に組んだ第1の加工前木材NW11と第2の加工前木材NW12が交差して形成された入隅部に断面略直角三角形状の圧密成形加工前の第3の加工前木材NW13を接着剤を介して配設して形成した加工前アングル体NW10を、断面略L字状の空間を形成し加熱プレスする1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを用いて圧密成形加工し、また、木材同士を接合することにより断面略L字状に成形されたものである。
【0059】
互いに略直角に配設する第1の加工前木材NW11(以下、単に「加工前木材NW11」と省略する)と第2の加工前木材NW12(以下、単に「加工前木材NW12」と省略する)は、アングル圧密成形体CW10の使途、目的等に応じて前以て所定の寸法、即ち、所定の厚み、幅、長さに製材されたものが使用され、通常、断面矩形状の板材や角材(平角材、正角材)として製造されたものが使用される。好ましくは、安価に入手できる板目材または追柾材として製材された木材が使用される。なお、板目材とは、原木の年輪線の接線方向に製材、即ち、板目取りした木材であり、追柾材は、原木の年輪線に対して直交するように製材する柾目取りと原木の年輪線の接線方向に製材する板目取りの中間的な木取りの木材である。板目材では、通常、年輪の繊維方向に対し垂直な断面で切断した木口面(2面)、板目面(木表及び木裏の2面)、及び柾目面(2面)を有する。追柾材であれば、通常、木材の繊維方向に対し垂直な断面で切断した木口面(2面)、板目と柾目の中間的な木目の追柾面(木表及び木裏の2面)、及び柾目面(2面)を有する。また、年輪線とは、質が緻密に形成されている線状の部分を意味し、木目のことである。更に、木表とは、木口面から見て樹皮に近い方の面であり、木表とは反対側の年輪の中心、芯材に近い方の面を木裏という。
【0060】
また、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11と加工前木材NW12の入隅部に配設する第3の加工前木材NW13(以下、単に「加工前木材NW13」と省略する)は、前以て所定の寸法に製材された角材を断面略直角三角形状に切断したものが使用される。
【0061】
なお、これら加工前木材NW11、加工前木材NW12、及び加工前木材NW13(以下、木材として特に区別しない場合には、「加工前木材NW」と省略する。)について、辺材(白太・白身)または心材(赤身)を問うものではないが、一般的に杉材、檜材等の針葉樹の場合は他の樹種と比較してヤ二の量が多いところ、心材に比べ辺材の部分では加熱圧縮によるヤ二の表出量が少ないことから、辺材の占有量が多いものほど好適に用いることができる。また、辺材は心材に比べ明るい色彩であることから、圧密したときの濃色変化が心材よりも抑制され、良好な外観が保持される。また、加工前木材NWは、間伐材、風害・水害・雪害・森林火災・凍害・虫害等の自然災害によって倒れたり芯割れを起こしたりして丸太の状態では使えなくなった傷害木材、端材等を用いてもよい。更に、節のある木材を使用してもよい。こうした木材の使用により、低コスト化を図ることができ、また、環境美化にも貢献することができる。特に、本実施の形態1では、断面略L字状に組んだ2つの加工前木材NW11及び加工前木材NW12、更に、それらの入隅部に配した別の加工前木材NW13を圧密成形加工及び接合して一体に断面略L字状に成形するものであり、加熱圧縮時に部分的な圧縮力が加えられ難く歪みが生じ難いものであるから、節があっても節割れを生じ難いものである。
【0062】
好ましくは、加工前木材NW11、加工前木材NW12、及び加工前木材NW13は、全て同一樹種のものを使用するのが好ましい。同一樹種のものであれば、圧密成形加工時に木材同士の馴染みが良く比重差等による部分的な圧縮応力が生じ難いことにより、割れ等が生じ難いものとなる。また、圧密成形加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いものとなる。
特に、杉材、檜材は、我が国で広く分布し、間伐材等を容易に多量に入手できるから、杉材、檜材等の針葉樹を用いることで環境保全に貢献でき、杉材、檜材の有効活用を図ることができる。
【0063】
加工前木材NWは、後述の
図2及び
図3に示す圧密成形加工装置100を用いて所定の圧密成形加工を行う前に、繊維飽和点以下の含水率となるように乾燥させたものを用いるのが好ましい。繊維飽和点以下の含水率、好ましくは、気乾状態以下の含水率となるように一旦乾燥させることで強度を持たせ、また、後の加熱圧縮により十分な化学変化を起こさせることができる。なお、木材の含水率とは、水分を含まない木材重量(全乾重量、ドライベース)に対する水分重量の割合であり、例えば、高周波含水率計等の測定器を用いて測定が可能である。一般的に、その木材の表面側から水分が蒸発することから、木材の含水率は、その表面に近くなるほど低くなるが、ここでの含水率は木材全体の含水率として測定される値を示す。
【0064】
木材を所望の含水率にする乾燥は、公知の乾燥装置、例えば、公知の高温蒸気を熱源とし、冷凍機等を内蔵する人工乾燥機等により所定条件に乾燥することができる。この際、乾燥前木材の全体含水率が予め測定され、このときの含水率や木材の樹種、その厚み等をパラメータとし、乾燥後に所定の含水率となるように、人工乾燥機等の乾燥装置における乾燥条件、即ち、所定の温度、湿度、乾燥時間(杉材や檜材等の場合には、例えば、乾燥温度が約40~100℃、乾湿球温度差が約1~30℃、乾燥期間が3~10日程度)等が設定される。通常、乾燥期間中において乾燥温度は徐々に上昇させ、湿度は徐々に下降させるように設定される。
【0065】
なお、含水率を低下させることで強度を高めることが可能であるが、加工前木材NWの含水率を必要以上に低く設定し過ぎると、木材の収縮により乾燥過程で割れ等が生じる。そこで、例えば、杉材、檜材等であれば、加工前木材NWの全体の含水率が5%~15%の範囲内となるように乾燥させるのが好ましい。より好ましくは、含水率が8%~10%の範囲内である。本発明を実施する場合には、木材を所定の含水率に乾燥させる手段は、人工的な乾燥に限定されることなく、自然乾燥との併用であってもよい。また、原木、丸太から切り出した木材を所定の寸法に製材してから乾燥させてもよいし、原木、丸太から切り出した木材を所定の含水率まで乾燥させてから所定の寸法に製材してもよい。
【0066】
そして、所定の寸法に製材され、所定の含水率に乾燥させた加工前木材NWは、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を接着剤を介して断面略L字状に組み、また、断面略L字状に組まれた加工前木材NW11及び加工前木材NW12の凹面21A側(内面側)の入隅部に接着剤を介して断面略直角三角形状の加工前木材NW13を配設することにより、加工前アングル体NW10を形成する。
【0067】
図1(a)に示した加工前アングル体NW10においては、加工前木材NW11及び加工前木材NW12は、厚み及び長さを同一とするも、加工前木材NW11よりも加工前木材NW12が幅広に製材されたものであり、幅広な加工前木材NW12の板目面等の広面(年輪の繊維方向に対し平行に切断した面)に対し、その幅方向の一端部で、加工前木材NW12と年輪の繊維方向を同一方向にして(木目の長さ方向を一致させて)、加工前木材NW11の木端面(年輪の繊維方向に対し平行方向の切り口の面)を対向させ、加工前木材NW11と加工前木材NW12とを互い略直角に配設して断面L字状に組む。即ち、本実施の形態1では、等辺アングルを形成するものである。
このとき、加工前木材NW11及び加工前木材NW12同士の間、即ち、互いに当接させる加工前木材NW11の木端面と加工前木材NW12の板目面等の広面の対向面には接着剤が塗布される。
【0068】
なお、断面略L字状に組まれる加工前木材NW11と加工前木材NW12に板目材を使用した場合、両者の木表側が加工前アングル体NW10の凹面21A側(内面側)、木裏側が凸面22A側(外面側)に位置するように互いに直角に配設してもよいし、その逆であってもよいし、加工前木材NW11,NW12の何れか一方の木表側を加工前アングル体NW10の凹面(内面)21A側、加工前木材NW11,NW12の他方の木表側を加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A側に位置するように、即ち、木表裏面が互いに反転する形で互いに直角に配設してもよい。
また、
図1(a)においては、加工前木材NW11及び加工前木材NW12として板目材を使用した例、板目材同士の組み合わせの例で説明したが、本発明を実施する場合には、加工前木材NW11や加工前木材NW12として、追柾材や柾目材を使用することも可能であり、追柾材同士や柾目材同士、柾目材と追柾材・柾目材との組み合わせであってもよい。
【0069】
何れにせよ、加工前木材NW11と加工前木材NW12を断面略L字状に組んだ加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A及び凹面(内面)21Aが、木口面(年輪の繊維方向に対し垂直方向の切り口の面)に対して直角な面(木端面でない板目面、追柾面、または柾目面)であれば、加熱圧縮時に加工前アングル体NW10の凹面21A及び凸面22Aを挟んでプレスする1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによって加工前アングル体NW10の加工前木材NW11と加工前木材NW12が圧縮変形、成形されやすく、圧密成形時に生じる圧縮応力を少なくでき、加工前木材NW11と加工前木材NW12に裂け目、亀裂、クラック等の割れが入り難いものとなる。
【0070】
更に、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12の凹面21A側の入隅部には、加工前木材NW11及び加工前木材NW12の長さと略同一とした断面略直角三角形状の加工前木材NW13が配設される。断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12の入隅部に配設される加工前木材NW13においても、加工前木材NW11及び加工前木材NW12と年輪の長さ方向を同一にし(木目の長さ方向を一致させて)、その断面略直角三角形状の角部を入隅の角部に一致させて配設される。
【0071】
加工前木材NW13は、例えば、断面が略正方形の角材(正角材)をその木口面に対して直角な方向で2分割して、即ち、木口面の正方形の対角線に沿って切断して、断面を略直角三角形状に形成されたものであり、木口面に対して垂直方向で切断した切断面(断面略三角形状の斜辺側の面)を加工前アングル体NW10の凹面21Aの一部を形成する露出面とし、木口面に対して垂直方向の残りの2面(断面略三角形状の底辺及び対辺側の面)の一方(板目面、追柾面、または柾目面等)を加工前木材NW11の内面(
図1においては板目面)に、他方面(板目面、追柾面、または柾目面等)を加工前木材NW12の内面(
図1においては板目面)に対向させて、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12の入隅部に配設する。このとき、加工前木材NW11及び加工前木材NW12と加工前木材NW13との間、即ち、互いに当接させる加工前木材NW13と加工前木材NW11及び加工前木材NW12との対向面には接着剤が塗布される。つまり、加工前木材NW11と加工前木材NW13の間に接着剤が塗布され、また、加工前木材NW12と加工前木材NW13との間にも接着剤が塗布される。
【0072】
加工前木材NW13についても、その年輪の繊維方向を加工前木材NW11や加工前木材NW12の年輪の繊維方向と一致させていることによって、加熱圧縮時に加工前アングル体NW10の凹面21A及び凸面22Aを挟んでプレスする1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによって加工前アングル体NW10の加工前木材NW13も圧縮変形、成形されやすく、加熱圧縮時に生じる圧縮応力を少なくでき、加工前木材NW13に裂け目、亀裂、クラック等の割れが入り難いものとなる。
なお、加工前木材NW13は、加工前木材NW11、12の厚み寸法と略同等の角材の切断(分割)によって、断面略直角三角形状の底辺及び対辺側の厚みが加工前木材NW11、12の厚み寸法と略同等であり、加工前木材NW11や加工前木材NW12の広面に対し、その略1/4~1/8程度の範囲、好ましくは、略1/4~1/6程度で重ねられることにより、割れ等を生じさせることなく、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を所望の圧縮率に十分に圧縮成形し、所定強度を得ることが可能である。
【0073】
ここで、加工前木材NW同士間に塗布される接着剤は、後述する1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによる圧密成形工程の条件で接着剤を硬化させて木材同士を一体に接合することができるものであればよく、例えば、水性ビニールウレタン系接着剤(水性高分子イソシアネート系接着剤)、ウレタン樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、レゾシノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、合成ゴム系接着剤等を使用することができる。
【0074】
好ましくは、後述する圧密成形時の加熱によって硬化させることにより木材同士を接着する熱硬化性の接着剤や、2液混合反応硬化型の接着剤が使用される。このときの接着剤の塗布量は、接着剤の種類等により決定されるが、例えば、水性ビニールウレタン系やレゾルシノール系の接着剤であれば、その塗布量は200g/m2以上とするのが好ましい。水性ビニールウレタン系接着剤であれば針葉樹からなる木材でも接着剤が浸透し易く、後の圧密成形時の加熱で木材同士が強固に接着される十分な接着強度が得られる。接着剤の塗布手段は特に問われない。
【0075】
なお、本発明を実施する場合には、加工前木材NW11と加工前木材NW12を断面略L字状に組み、また、その入隅部に断面略直角三角形状の加工前木材NW13を配設することにより形成した加工前アングル体NW10は、その凹面21A及び凸面22Aの表裏面に水分を付加して含水させてから、加熱圧縮成形するようにしてもよい。即ち、本発明を実施する場合には、上述したように所定の含水率となるように乾燥させたのち、加熱圧縮し易くするために加工前アングル体NW10の加熱圧縮される表裏面に対して水分付加、即ち、加湿を行ってもよい。例えば、水中に乾燥後の加工前アングル体NW10全体を所定時間浸漬(例えば、浸漬時間を5分程度)することにより所定の含水率とする水分付加を行うことができる。乾燥した加工前アングル体NW10の表裏面側に水分を付加する手段は、水中への加工前アングル体NW10の浸漬に限らず、特定の面に水をスプレー等で噴霧、吹き付けをしても良いし、刷毛等で水を塗布しても良い。
【0076】
次に、こうして接着剤を介して加工前木材NW11と加工前木材NW12を断面略L字状に組み、また、その入隅部に断面略直角三角形状の加工前木材NW13を配設することにより形成した加工前アングル体NW10を加熱圧縮処理することにより圧密成形し、また、接着剤が塗布された木材同士を強固に一体に接合する。
【0077】
図1乃至
図3に示すように、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面L字状に組み、また、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を略直角に配設したその入隅部に加工前木材NW13を配設してなる加工前アングル体NW10に対して圧密成形加工を行うアングル圧密成形体製造装置(圧縮プレス装置)100は、主として、凸状の上金型110Aと凹状の下金型110Bとの2分割された構造体によって断面略L字状の内部空間ISを形成する1対の金型110A,110Bと、上金型110Aがセットされる上熱盤120A及び下金型110Bがセットされる下熱盤120Bの1対の熱盤120A,120Bと、上熱盤120Aがセットされる上プレス盤(可動盤)130A及び下熱盤10Bがセットされる下プレス盤(固定盤)の1対のプレス盤130A,130Bと、下金型110Bの周縁部に対向する上金型110Aの周縁部に配設され、上金型110Aの所定の上下動の範囲で1対の上金型110Aと下金型110Bとの間で形成する断面略L字状の内部空間ISを密閉状態とするシール部材を備えた型枠141と、型枠141や金型120A,120B等を介して内部空間IS内に連通され、内部空間IS内に蒸気を供給するための配管161と、その上流側のバルブV4と、型枠141や金型120A,120B等を介して内部空間IS内に連通され、内部空間IS内から水蒸気を排出するための配管162と、配管162内の蒸気圧を検出する圧力計P2と、その下流側のバルブV5と、バルブV5に接続されたドレン配管181等から構成されている。
【0078】
金型110A,110Bがセットされる熱盤120A,120B内には、それらを高温の水蒸気を通すことによって所望の温度に昇温するための配管路171A,171Bが形成されており、これら配管路171A,171Bには蒸気供給側の配管ST1から分岐された配管ST2,ST3、蒸気排出側の配管ET1,ET2がそれぞれ接続されている。そして、蒸気供給側の配管ST1,ST2,ST3の途中にはバルブV1,V2,V3、配管ST1内の蒸気圧を検出する圧力計P1が配設されており、蒸気排出側の配管ET1,ET2は、バルブV6を介してドレン配管181に接続されている。
更に、熱盤120A,120Bの配管路171A,171Bには、高温の水蒸気に換えて低温の冷却水を通すことによって所望の温度に冷却する冷却水供給側の配管ST11から分岐された配管ST12,ST13が接続されている。また、冷却水供給側の配管ST11,ST12,ST13の途中にはバルブV11,V12,V13が配設されている。
【0079】
なお、配管ST1に高温の水蒸気を供給するボイラ装置、配管ST11に冷却水を供給する冷却水供給装置、固定側のプレス盤130Bに対して可動側のプレス盤130Aをシャフト191に沿って上昇/下降させ加圧するための油圧機構を含むプレス昇降装置等は省略されている。
また、本実施の形態1では、熱盤120A,120Bの加熱に高温の水蒸気を導入して熱盤120A,120B及びそれにセットされる金型110A、110Bを加熱する例で説明するが、本発明を実施する場合、熱盤120A,120B及び金型110A,110Bを加熱できれば、その加熱媒体は高温の水蒸気に限定されず、油等を用いてもよいし、高周波加熱、マイクロ波加熱、加熱ヒータ等の加熱手段で加熱することも可能である。特に、木材に対する高周波加熱は、マイクロ波による誘電過熱よりも、マイクロ波よりも若干周波数の低い高周波で、木材の中心から加熱する方法が好適である。
【0080】
1対の凸状の上金型110Aと凹状の下金型110Bは、加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A及び凹面(内面)21Aの表裏面全体を加熱プレスし断面略L字状に成形可能なサイズの金型が使用され、その材質は特に問われるものでないが、木材が鉄イオン汚染により黒色化しないように、ステンレス、アルミニウム等の鋼材を使用したり、金型表面にメッキ加工を施したりする。1対の凸状の上金型110Aと凹状の下金型110B間に配設される型枠141についてもその材質は特に問われない。更に、内部空間ISを密閉状態とするためのシール部材も、その材質は特に問われるものでないが、通常、耐熱性や耐水性に優れたシリコーンゴム、シリコーン樹脂等が使用される。
【0081】
上金型110Aは、
図1乃至
図3に示すように、中央部に向かって下方に突出する凸状で所定のR状の先端面及びその左右に斜面が形成された断面略L字状の凸部110Aaを有し、凸部110aの凸面で加工前アングル体NW10の凹面(内面)21A側を押圧するものである。また、下金型110Bは、中央に向かって落ち込む凹状で所定の角状または僅かにR状の底面及びその左右に斜面が形成された断面略L字状の凹部110Baを有し、凹部110Baの凹面で加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A側を受けるものである。そして、上金型110Aの周縁部に配設したシール部材を備えた型枠141が下金型110Bの周縁部に当接したとき、1対の上金型110A及び下金型110Bの間に略断面L字状の内部空間ISが形成されるものである。
【0082】
このような構成のアングル成形体製造装置、即ち、圧密成形加工装置100を用いて加工前アングル体NW10を圧密成形加工するにあたっては、まず、
図3(a)に示すように、固定側の凹状の下金型110Bに対して、可動側の凸状の上金型110Aを上昇させておき、下金型110Bの凹面に加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A側を対向させて配置する。なお、
図3においては、金型周囲の熱盤120A,120B、プレス盤130A,130B、配管等の図示を省略している。
そして、固定側の下金型110Bの凹面に載せ置いた加工前アングル体NW10に対し、
図3(b)に示すように、上金型110Aを所定圧力(例えば、0.05~0.3〔MPa〕)にて下降させて加工前アングル体NW10の凹面(内面)21Aに当接させていく。即ち、固定側の下金型110Bに対して上金型110Aの加圧力が所定圧力(例えば、2~5〔MPa〕、20~50kg/cm
2)に設定されて、上金型110Aを下降させていき(例えば、処理時間0.5~3〔分〕、圧縮スピード15~100〔mm/分〕)、上金型110A及び下金型110Bにて加工前アングル体NW10を圧縮していく。このとき、上金型110Aがセットされている熱盤120Aの配管路171A及び下金型110Bがセットされている熱盤120Bの配管路171Bに所定温度(例えば、110~210〔℃〕、昇温処理時間10~25[分])の水蒸気を通すことによって上金型110A及び下金型110Bは所定温度(例えば、110~210〔℃〕)に加熱されている。なお、このときのプレス盤130A,130Bの圧力、熱盤120A,120Bの加熱温度、加熱時間、圧縮スピード等は、木材の樹種や乾燥木材の含水率等をパラメータとして予め実験等によって最適値が設定される。
【0083】
上金型110Aが下降し、上金型110A及び下金型110Bにより加工前アングル体NW10が加熱圧縮されていき、
図3(c)に示すように、上金型110Aの型枠141に設けたシール部材によって、上金型110A及び下金型110Bにて形成される断面略L字状の内部空間ISが密閉状態となる。
【0084】
こうして、1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによって、加工前アングル体NW10の凹面21A及び凸面22Aに対して所定の押圧力が付与され、加工前アングル体NW10が圧縮変形される。
即ち、所定温度に加熱された下金型110Bを固定し、同じく所定温度に加熱された上金型110Aを可動させて加工前アングル体NW10の凹面21A及び凸面22Aに対して所定の圧力で当接し所定の圧縮スピードで下降させると、加工前アングル体NW10の凹面21A及び凸面22Aの表裏面側から木材成分の化学特性変化による強度低下(ヘミセルロースやリグニン等の非晶成分等の加水分解、軟化点の低下)が生じて細胞が圧縮変形し細胞内空の空隙が減少していく。こうして加工前アングル体NW10の加工前木材NW11、加工前木材NW12、及び加工前木材NW13が加熱加圧されることによって、軟化し変形していく。
【0085】
なお、本実施の形態1において、1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによって形成される断面略L字状の内部空間ISが密閉状態となったときにおける1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bの内部空間ISの寸法間隔は、上金型110A及び下金型110Bによって加工前アングル体NW10の厚みに対して所定圧縮率のアングル圧密成形体CW10となるときの厚み方向の仕上がり寸法に設定されている。即ち、加工前アングル体NW10の圧縮によるその板厚の変化(圧縮量)は、上金型110Aに配設した型枠141が下金型10Bの周縁部に当接することで決まることとなる。型枠141の高さを調節、または、高さの異なる型枠141を複数準備し変更、交換することで、アングル圧密成形体CW10の厚み方向の仕上がり寸法、即ち、圧縮率を調節でき、所望の圧縮率に設定できる。
【0086】
次に、
図3(d)に示す内部空間ISの密閉状態で、1対の上金型110A及び下金型110Bの圧縮圧力が維持され、かつ、上金型110A及び下金型110Bが所定温度(例えば、110~210〔℃〕)のまま、木材の加熱圧縮処理の定着、所謂、木材の固定化処理を行う。
例えば、バルブV4に接続された配管161を介して、密閉状態とされた内部空間ISに所定の蒸気圧及び高温の蒸気を供給し、上金型110A及び下金型110Bの圧縮圧力及び加熱温度を上記加工前アングル体NWを加熱圧縮していく際の圧力及び加熱温度と同じ所定圧力及び温度に保持したまま、密閉状態の内部空間ISが所定の温度及び蒸気圧で所定時間(例えば、20分~90分)保持される。内部空間ISに所定温度(例えば、110~210〔℃〕)の高温水蒸気を導入し、密閉状態の内部空間ISを所定の温度及び蒸気圧とすることにより、高温高圧の蒸気の作用によって密閉状態の内部空間IS内に配置されている加熱圧縮成形されたアングル成形体に対し十分な化学変化を生じさせ性状を一様化させる。これにより、この後の冷却圧縮を解除したときに戻りのないアングル圧密成形体CW10を形成できる。
【0087】
このとき加熱圧縮された木材の周囲面とその内部とでは高温高圧の蒸気圧が出入り自在となっているが、加熱圧縮された木材の含水率によっては、上金型110A及び下金型110Bで密閉状態とされている内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節してもよい。例えば、加工前木材NW11,NW12の表裏側の含水率に基づく内部空間IS内の余分な水分が除去され、内部空間IS内が所定の蒸気圧となるように調節される。この際、内部空間ISの密閉状態で加熱圧縮された木材の固定化処理が行われているときに、蒸気圧制御処理として圧力計P2で内部空間ISの蒸気圧が検出され、バルブV5が適宜、開閉される。これにより、配管162を通って内部空間ISからドレン配管181側に高温高圧の水蒸気を排出できる。また、必要に応じて、密閉状態とされている内部空間ISに所定の蒸気圧を適宜供給することもできる。
【0088】
図3(d)に示すように、上金型110A及び下金型110Bによる加熱圧縮から冷却圧縮へと移行する直前に、蒸気圧制御処理としてバルブV5が開状態とされることで配管口162を通って内部空間ISからドレン配管181側に高温高圧の水蒸気が排出され、木材に添加された過剰水分を排出させる。この際、上金型110A及び下金型110Bを特定温度に維持するための熱盤120A、120Bへの蒸気も一旦、供給停止される。
【0089】
こうして、本実施の形態1では、上金型110A及び下金型110B内に配置され加工前アングル体NW10に対し、金型110A,110Bの外部荷重、即ち、プレス盤130A,130Bにより所定の押圧力が付与され締め付けられた状態で、熱盤120A,120Bを介して金型110A,110Bの温度を所定の条件まで上昇させ、更に、金型110A、110Bの内部空間IS内の湿度を調節し、金型110A,110Bで締め付けられた木材の圧縮状態の形状変化が起きないように、固定化するものである。
【0090】
最後に、
図3(e)に示すように、上金型110Aがセットされている熱盤120Aの配管路171A及び下金型10Bがセットされている熱盤120Bの配管路171Bに常温の冷却水を通すことによって、上金型110A及び下金型110Bを常温前後まで冷却し、所定時間(例えば、20~90〔分〕)保持される。なお、このときの固定側の下金型110Bに対する上金型110Aの圧縮圧力は、上述した加熱圧縮の際の圧力と同じ所定圧力(例えば、2~5〔MPa〕)に保持したまま、上金型110A及び下金型110Bを冷却する。
【0091】
その後、
図3(f)に示すように、固定側の下金型110Bに対して上金型110Aを上昇させ、加熱圧縮成形及びその固定化による圧密成形加工を終えたアングル圧密成形体CW10を1対の金型110A,110B間から取出して一連の処理工程が終了する。1対の金型110A,110B間から取出されたアングル圧密成形体CW10は、一連の処理工程における加熱、冷却により木材間に塗布した接着剤が硬化して、一体に木材同士が接合し、また、型締めにより断面略L字状の内部空間ISを形成する1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによる加熱加圧によって断面略L字状に一体に成形されたものである。
【0092】
この後、製品の目的、使途に応じて、端部を切断、切削加工する場合もある。また、必要に応じて、アングル圧密成形体CW10の表面には水分や汚れ対策として樹脂等による表面コーティグが施されることもある。更に、全体または一部を、サンドブラスト、サンドペーパー、不織布、織布等によって磨いてもよいし、特に、意匠面や端面は、成形後に、カンナ、不織布、織布等の磨きによって表面の汚れを除去してもよい。意匠面に彫刻刀によりまたはサンドブラストにより彫刻を行ってもよい。
【0093】
特に、加工前アングル体NW10に対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22A側を1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで所定の押圧力を付与して加熱圧縮していくと、木端面側(加工前木材NW11,NW12の木端面側)で端部tの延び、突出が生じ、内側の角部がR状になり木端面が傾斜面となりやすいから、製品化する際には、
図1(d)で示したように、それら端部tを切削し、必要に応じてカンナ掛けを行うことで、木端面が凸面22及び凹面21に対して直角な平坦面とすることで、見栄えや使い勝手がよいものとなる。こうしたアングル圧密成形体CW10は、木材の年輪の繊維方向に平行な面側の端部tを切削し、その端面が凸面22及び凹面21に垂直な平坦面の形態となる。
【0094】
本発明を実施する場合には、金型110A,110Bの形状や型枠の形状によって、加工前アングル体NW10の端部tの伸長、変形を拘束、規制し、アングル圧密成形体CW10の端面が凸面22及び凹面21に垂直な平坦面となる成形とするようにしてもよい。
例えば、
図5に示す変形例の金型110A,110Bは、断面略コ字状の枠部110Abと、その内側で中央部に向かって下方に突出する凸状で所定のR状の先端面及びその左右に斜面が形成された断面略L字状の凸部110Aaとが一体に形成されたものであり、凸部110aの凸面で加工前アングル体NW10の凹面(内面)21A側を押圧するものである。また、下金型110Bは、断面略コ字状の枠部110Bbと、その内側で中央に向かって落ち込む凹状で所定の角状または僅かにR状の底面及びその左右に斜面が形成された断面略L字状の凹部110Baとが一体に形成されたものであり、凹部110Baの凹面で加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A側を受けるものである。そして、変形例の金型110A,110Bにおいては、上金型110Aの左右方向で、凸部110Aaの斜面に対して略垂直方向で延出する突部110Acを設けている。これにより、アングル圧密成形体CW10の端面が凸面22及び凹面21に対して垂直な平坦面となる成形とすることが可能である。
【0095】
即ち、
図5に示す変形例の上金型110Aは、中央部に向かって下方に突出する凸状で所定のR状の先端面及びその左右に斜面が形成された凸部110Aaを有し、それら凸面で加工前アングル体NW10の凹面(内面)21A側を押圧するものであり、また、下金型110Bの上面側が中央に向かって落ち込む凹状で所定の角状または僅かにR状の底面及びその左右に斜面が形成された凹部110Baを有し、それら凹面で加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A側を受けるものである。そして、1対の凸状の上金型110Aと凹状の下金型110Bにおいて上金型110Aの凸部110Acの幅方向の左右両側で突出した110Acが下金型110Bの凹部110Baの幅方向の左右両側端部に当接したときに断面略L字状の内部空間ISが形成されるものである。この変形例の金型110A,110Bにおいては、加工前アングル体NW10の圧縮によるその板厚の変化(圧縮量)は、上金型110Aの突部110Abが下金型110Bの凹部110Baの端部に当接することで決まることとなる。
【0096】
こうした
図5に示した変形例の金型110A,110Bを使用することで、加工前アングル体NW10は、1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱圧縮された際に、その端部側の変形が上金型110Aの凸部110Acにより規制されることにより、即ち、型締めによって凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bの斜面に対して垂直な方向に凸部110Acが配設することによりその凸部110Acによって加工前アングル体NW10の端部の動きが拘束されるから、1対のアングル圧密成形体CW10の端面が凸面22及び凹面21に垂直な平坦面となる成形となる。これによって、端面を切削しなくても見栄え良くできる。しかし、更に端部を切断、切削加工してもよい。
【0097】
このように、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を略直角に配設して断面略L字状に組み、更に、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を略直角に配設したその入隅部に加工前木材NW13を配設してなる加工前アングル体NW10に対して、圧密成形加工装置(圧縮プレス装置)100を用い、断面略L字状の内部空間ISを形成する1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによってプレス圧縮成形し、また、その圧縮成形を固定化することにより得られたアングル圧密成形体CW10は、断面略L字状に組まれた加工前木材NW11及び加工前木材NW12が圧密化され、かつ、接合されて一体化され、また、加工前木材NW11及び加工前木材NW12の入隅部に配設した加工前木材NW13が圧密化され、かつ、圧密化された加工前木材NW11及び加工前木材NW12と接合されて一体化されて、断面略L字状に成形されたものである。
【0098】
即ち、
図4に示すように、アングル圧密成形体CW10は、板状の加工前木材NW11が圧密化されてなる圧密化木材CW11及び板状の加工前木材NW12が圧密化されてなる圧密化木材CW12が互いに略垂直に交差して接合一体化され、また、断面略直角三角状の加工前木材NW13が圧密化されてなる圧密化木材CW13が互いに略垂直に交差した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12の入隅部で圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12に接合一体化されて、断面略L字状に成形されたものである。
【0099】
こうして、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組み、また、それらの入隅部に加工前木材NW13を配設してなる加工前アングル体NW10に対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aを1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで挟み込んで加熱プレス及び水蒸気処理したことにより、木材NWが圧縮成形されその状態で固定化され、また、木材NW間に塗布されていた接着剤が硬化されることによって、互いに直角に配設した、加工前木材NW11が圧密化されてなる圧密化木材CW11及び加工前木材NW12が圧密化されてなる圧密化木材CW12同士が一体に接合されて圧密木材本体部CWBを形成し、また、加工前木材NW13が圧密化されてなる圧密化木材CW13が圧密化木材CW12及び圧密化木材CW13と一体に接合されて圧密木材本体部CWBの圧密化木材CW12及び圧密化木材CW13が交差する入隅部に圧密木材隅肉部CWFを形成し、圧密木材本体部CWB及び圧密木材隅肉部CWFが一体に断面略L字状に成形されたアングル圧密成形体CW10となる。
【0100】
即ち、アングル圧密成形体CW10は、互いに略垂直に交差した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12が互いに接合されて一体化した圧密木材本体部CWBと、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12の入隅部に圧密化木材CW13が圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12と接合されて一体化した圧密木材隅肉部CWFとが断面略L字状に一体化されているものである。
【0101】
こうして、本実施の形態1のアングル圧密成形体CW10は、互いに略直角に配設し接合一体化された圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12からなる圧密木材本体部CWBと、圧密木材本体部CWBの入隅部で圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12に接合して一体化された圧密化木材CW13からなる圧密木材隅肉部CWFからなり、圧密木材本体部CWB及び圧密木材隅肉部CWFとで断面略L字状に形成されているものである。
【0102】
なお、加工前アングル体NW10においては、互いに直角となるように断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12の入隅部に断面略直角三角形状の加工前木材NW13を配設していることにより、加工前木材NW11及び加工前木材NW12の凹面21A側の直交する面に対し加工前木材NW13の露出面の平坦面が傾斜面となっているが(
図1(a)参照)、加工前アングル体NW10の凹面21A及びその反対面の凸面22Aを1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで挟み込んで加熱プレスしたことにより、
図1(d)や
図4に示すように、加工前木材NW13が圧密成形加工されてなる圧密化木材CW13は、その露出面が湾曲して曲面状を成し、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12と略面一に一体に連続形成されて断面略L字状に一体成形されている。
【0103】
こうして、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を略直角に配設して断面略L字状に組み、また、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を略直角に配設したその入隅部に加工前木材NW13を配設してなる加工前アングル体NW10に対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aを対にして1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱プレス及び水蒸気処理して加熱圧縮成形を行うことにより、即ち、加工前アングル体NW10の凹面21A及び凸面22Aを所定の押圧力で押圧しながら熱処理することにより、外力(押圧力)及び熱を受けて木材が軟化して圧縮され、また、その圧縮状態が固定されて塑性加工され、加えて、接着剤が塗布された木材NW同士が接合され、断面略L字状に一体に成形されたアングル圧密成形体CW10となる。このアングル圧密成形体CW10は、圧密加工され、かつ、木材同士が一体に接合されて断面略L字状に成形されたものであるから、木材の機械的強度が高められているものである。
【0104】
即ち、互いに接合一体化した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12からなる圧密木材本体部CWBと、圧密木材本体部CWBの入隅部に形成され圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12と接合一体化した圧密化木材CW13からなる圧密木材隅肉部CWFとで断面略L字状に一体に成形されたアングル圧密成形体CW10は、木材NWが加熱圧縮されてその細胞内腔の空隙が減少したことにより、年輪線間が縮小し、硬くて強い木質になっており、圧密化や木材同士の接着剤による接合によって元の木材NWよりも機械的強度が強くなっているものである。特に、加熱圧縮処理によって圧密成形と同時に接着剤を硬化させ木材同士を接合するから、安定して高い接合強度となっているものでもある。
【0105】
そして、本実施の形態1のアングル圧密成形体CW10においては、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12とその入隅部に配設した加工前木材NW13からなる加工前アングル体NW10の内面の凹面21A及び外面の凸面22Aとを対にして1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱プレスして加熱圧縮されたことにより、全体形状が断面略L字状に成形されたものであり、その入隅部が出隅部よりRが大きい曲面状である。
【0106】
即ち、本実施の形態1では、断面略L字状に圧密成形を行う1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bについて、下金型110Bの凹部110Baの底部を上金型110Aの凸部110Aaの先端部のRよりも小さくし、上金型110Aの凸部110Aaを下金型110Bの凹部110BaのRよりも大きくすることにより、アングル圧密成形体CW10の入隅部が出隅部よりも曲率の大きい曲面状(湾曲状)とされたものである。好ましくは、アングル圧密成形体CW10の入隅部の曲率半径(R)が10~30の範囲内、より好ましくは、15~25の範囲内であり、出隅部の曲率半径(R)が1~10の範囲内、より好ましくは、2~10の範囲内のものである。
なお、本実施の形態1のアングル圧密成形体CW10は、その圧密化木材CW11や圧密化木材CW12の幅方向の中央で測定したときの厚みが、例えば、3mm~12mm程度であり、好ましくは、4mm~10mm、より好ましくは、4mm~8mmの範囲内である。また、断面略L字状の入隅部と出隅部と間の最大厚さが、例えば、10mm~20mm程度、好ましくは、11mm~18mm、より好ましくは、12mm~16mmの範囲内である。
【0107】
このように、下金型110Bの凹部110Baの底部のRを小さくし上金型110Aの凸部110Aaの先端部を下金型110Bの凹部110Baの底部のRよりも大きくした1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによって加工前アングル体NW10を断面略L字状に圧縮成形するものでは、加工前アングル体NW10の出隅部の直角部に対応して凹状の下金型110Bの凹部110Baの底部のRを小さくしていることで高負荷が掛からず、加工前木材NW13が配設する入隅部側では、そこを加熱圧縮する凸状の上金型110Aの凸部110Aaの先端部のRを大きくすることで、入隅部の加工前木材NW13に部分的な高負荷をかけずに加熱圧縮することができる。よって、加工前アングル体NW10の入隅部及び出隅部に部分的に高圧縮が掛かり難く、木材に裂け目、割れ、亀裂、クラック等が入るのが防止され、歩留まりを良くできる。
したがって、入隅部が出隅部よりも曲率の大きい曲面状とされたアングル圧密成形体CW10は、部分的な高圧縮が掛からず割れ等が入ることなく強度が高められたものであり、歩留まりが良いものである。
【0108】
即ち、本実施の形態1のアングル圧密成形体CW10は、その入隅部が出隅部よりもRが大きい曲面部を形成していることにより、部分的な高圧縮が掛からずに割れ等が入ることなく強度が高められたものであり、歩留まりが良いものである。
【0109】
特に、本実施の形態1では、加熱圧縮前に木材NW間に接着剤を塗布したことにより、加工前アングル体NW10の圧密成形加工を行う加熱及び冷却処理で接着剤を硬化させ、木材同士を一体に接合する。即ち、加熱プレス及び水蒸気処理で木材を圧密成形加工すると共に木材同士を接合する。これより、木材NW同士を別途プレス盤等による圧締で接着剤を介して一体に接合してから圧密成形加工する場合に比して、少ない製造工程数で済み製造時間も短縮する。そして、圧密化木材を所定形状に組んで接着剤で貼り合わせて一体とするものでなく、加熱プレス及び水蒸気処理して木材を圧密成形加工すると同時に、そのときの熱及び圧力で木材同士を接合するから、得られたアングル圧密成形体CW10は安定して高い接着強度及び機械的強度を有する。
このように、本実施の形態1のアングル圧密成形体CW10は、木材に圧密成形加工を行うと同時に、木材同士を接合して断面略L字状に成形したものであることにより、圧密化によって、更に、安定した高い接着強度によって、木材強度を高めたものである。
【0110】
因みに、本発明者の実験研究によれば、1枚の板材を上述の断面略L字状の空間を形成する1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを用いて断面略L字状に折り曲げて圧密成形加工しようとすると、板材の中央部に折曲力が局所的に加わることにより板材が割れてしまったり、1本の断面三角形状の木材(角材、柱材)に対し同じく断面略L字状に折り曲げて圧密成形加工しようとすると、中央の入隅部が高圧縮されることによりその部分で材料の破壊が生じてしまったりした。これは、1本(1枚)の木材を折り曲げて断面略L字状に圧密成形加工する場合には、プレス圧縮する圧密成形加工の際に1本(1枚)の木材が一体として曲げに応ずることになるから、大きな歪みを加えることになるためである。
【0111】
これに対し、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を互いに直角に配設して断面略L字状に組み、かつ、加工前木材NW11及び加工前木材NW12が交差する入隅部に断面略直角三角形状の加工前木材NW13を配設し、それら木材NW間に接着剤を塗布した加工前アングル体NW10を形成し、その加工前アングル体NW10の凸面22A及び凹面21Aを1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで挟んで加熱プレスすることで加工前アングル体NW10の圧密成形加工を行うものでは、部分的に高圧縮が掛かるのが避けられることで、木材の裂け目、割れ、亀裂、クラックや材料破壊が生じることなく元の木材NWよりも強度が高められたアングル圧密成形体CWが得られる。こうした本実施の形態1のアングル圧密成形体CW10は、圧密成形加工の過程で局部的な高圧縮、ストレスが生じ難いものであったことにより、圧縮による歪みも少なく、また、圧密成形加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いものである。更に、歪みが入り難いものであるから、板目材、柾目材といった製材の種類や、木材の表裏といった配置の方向性を気にしなくとも歪み変形等が少ないアングル圧密成形体CW10が得られる。
よって、節のある材料でも、そこに局所的な負荷が掛かり難く、割れ等のない安定した品質のアングル圧密成形体CW10が得られ、材料が限定されないことで材料コストも低コストで済むことになる。
【0112】
特に、本実施の形態1のアングル圧密成形体CW10は、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12を、その入隅部に加工前木材NW11及び加工前木材NW12の凹面21Aの内面に当接させて露出面が平坦面となるように配設した断面略直角三角形状の加工前木材NW13と共に1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを用いた圧密成形加工により断面略L字状に一体に成形したものである。
【0113】
このように断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12が交差する入隅部に加工前木材NW13を配設した加工前アングル体NW10に対しその凸面22A及び凹面21Aに1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを当てて加熱圧縮し圧密成形加工するものでは、加工前木材NW11と加工前木材NW12との入隅部に加工前木材NW13が配設していることで、後述する実施の形態2のときのように、凸状の上金型110Aの凸部110Aaの形状の精密さを求めることなく、加熱圧縮時に凸状の上金型110Aの凸部110Aaの先端部と加工前アングル体NW10の間に隙間が生じ難く、凸状の上金型110Aの凸部110Aaの先端部が加工前木材NW13に当接することで、加工前アングル体NW10の入隅部に無理な引っ張り力が掛からず、入隅部に裂け目、割れ、亀裂、クラックが入り難いものである。よって、歩留まりも高いものである。
【0114】
更に、加工前木材NW11を圧密化してなる圧密化木材CW11及び加工前木材NW12を圧密化してなる圧密化木材CW12の入隅部に加工前木材NW13を圧密化してなる圧密化木材CW13が接合してなるものであるから、圧密化木材CW13を介して圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12同士が接合する分だけ圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12の接合面積が増え、機械的強度をより強くできる。そして、加工前木材NW11と加工前木材NW12との入隅部に加工前木材NW13が配設され、加工前木材NW11と加工前木材NW12と共に加工前木材NW13を圧密成形したものでは、加工前木材NW11と加工前木材NW12との接合面に加熱圧縮の局所的な負荷が掛かり難いから接合強度も高くなり、歪みが生じ難いものでもある。
よって、安定して高い機械的強度が得られ、安定した品質が得られる。
【0115】
しかし、本発明を実施する場合には、以下、実施の形態2として説明するように、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12が交差する入隅部に加工前木材NW13を配設することなく加工前アングル体NW10Aを形成し、その凸面22A及び凹面21Aに1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを当てて加熱圧縮し圧密成形加工して断面略L字状に成形することも可能である。
【0116】
[実施の形態2]
次に、本実施の形態2に係るアングル圧密成形体CW10Aについて、
図6を参照して、説明する。ここでは、特に、上記実施の形態1との相違点のみ説明する。
本実施の形態2に係るアングル圧密成形体CW10Aは、上記実施の形態1の加工前木材NW13を入隅部に配設することなく断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12のみからなる加工前アングル体NW10Aを圧密成形加工し、また、木材NW11,NW12同士を接合して断面略L字状に一体に成形されたものである。
【0117】
即ち、
図6に示すように、本実施の形態2に係るアングル圧密成形体CW10Aは、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を互いに直角に配設して断面略L字状に組んだ加工前アングル体NW10Aの凸面22A及び凹面21Aに対する加熱圧縮により加工前木材NW11及び加工前木材NW12を圧密化し、かつ、一体に接合して断面略L字状に一体化したものである。
【0118】
上記実施の形態1と同様に、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組んだ加工前アングル体NW10Aに対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aとを対にして1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱プレス及び水蒸気処理して加熱圧縮成形を行うことにより、即ち、加工前アングル体NW10Aの凹面21A及び凸面22Aを所定の押圧力で押圧しながら熱処理することにより、外力(押圧力)及び熱を受けて木材が軟化して圧縮され、また、その圧縮状態が固定されて塑性加工され、加えて、接着剤が塗布された木材NW同士が接合され、断面略L字状に一体に成形されたアングル圧密成形体CW10Aとなる。
【0119】
この実施の形態2に係るアングル圧密成形体CW10Aは、断面略L字状に組まれた加工前木材NW11及び加工前木材NW12が圧密化され、かつ、接合されて一体化されて断面略L字状に成形されたものである。即ち、互いに略垂直に交差した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12が互いに接合されて一体化して断面略L字状に一体に成形されているものである。
【0120】
本実施の形態2に係るアングル圧密成形体CW10Aにおいても、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組んだ加工前アングル体NW10Aに対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aを1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで挟み込んで加熱プレス及び水蒸気処理したことにより、木材NWが圧縮成形されその状態で固定化され、また、木材NW間に塗布されていた接着剤が硬化することによって、互いに直角に配設した、加工前木材NW11が圧密化されてなる圧密化木材CW11及び加工前木材NW12が圧密化されてなる圧密化木材CW12同士が接合されて断面略L字状の圧密木材本体部CWBを形成したものである。
【0121】
そして、本実施の形態2に係るアングル圧密成形体CW10Aも、圧密加工され、かつ、木材同士が一体に接合されて断面略L字状に成形されたものであるから、木材強度が高められているものである。
即ち、互いに接合した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12が断面L略字状に一体に成形されてなる圧密木材本体部CWBからなるアングル圧密成形体CW10Aも、木材NWが加熱圧縮されてその細胞内腔の空隙が減少したことにより、硬くて強い木質になっており、圧密化や木材同士の接着剤による接合によって元の木材NWよりも機械的強度が強くなっているものである。特に、加熱圧縮処理によって圧密成形と同時に接着剤を硬化させ木材同士を接合するから、安定して高い接合強度となっているものでもある。
【0122】
ところで、本実施の形態2において、このように加工前木材NW11及び加工前木材NW12を互いに直角に配設して断面略L字状に組んで加工前木材NW11及び加工前木材NW12のみからなる加工前アングル体NW10Aを形成し、その凸面22A及び凹面21Aに1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを当てて加熱プレスし、加工前アングル体NW10Aを断面略L字状に圧密成形加工する場合には、凸状の上金型110Aの凸部110Aaの先端部の形状を加工前木材NW11及び加工前木材NW12の入隅部の略直角形状に精密に一致させた上金型110Aを使用することが好ましい。これにより、加熱圧縮時において、加工前木材NW11及び加工前木材NW12の入隅部と上金型110Aの凸部110Aaの先端部との隙間をできるだけ小さくする。そうすることにより、圧密成形加工時に加工前アングル体NW10Aの入隅部に無理な引っ張り力が掛からず入隅部に裂け目、割れ、亀裂、クラック等が生じるのが防止される。
【0123】
このように、本実施の形態2に係るアングル圧密成形体CW10Aでは、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を互いに直角に配設して断面略L字状に組んでなる加工前アングル体NW10Aを圧密成形加工し、かつ、木材同士を一体に接合して断面略L字状に成形されたものであり、入隅部に別の木材を接合していないことにより、軽量化を図ることが可能である。
【0124】
ここで、上記実施の形態1及び実施の形態2においては、加工前アングル体NW10,NW10Aを一層としたものであるが、本発明を実施する場合には、以下、実施の形態3及び実施の形態4として説明するように、それぞれ2つの木材を断面略L字状に組んだ2つの加工前アングル体NW10P1,NW10P2を重ね、その積層した加工前積層アングル体NW10Bの凸面22A及び凹面21Aに対し、1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを当てて加熱プレスすることにより全体を断面略L字状に圧密成形加工するものであってもよい。
【0125】
[実施の形態3]
次に、本実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bについて、
図7及び
図8を参照して、説明する。ここでは、特に、上記実施の形態1との相違点のみ説明する。
本実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bは、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組んだアングル体NW10P1と、それらとは別の加工前木材NW112及び加工前木材NW122を断面略L字状に組んだアングル体NW10P2を重ねて積層し、更に、アングル体NW10P2の入隅部に加工前木材CW13を配設して加工前積層アングル体NW10Bを形成し、その加工前積層アングル体NW10Bを圧密成形加工し、また、木材NW11,12,13,112,122同士を接合して断面略L字状に一体に成形したものである。
【0126】
即ち、本実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bは、
図7及び
図8に示すように、互いに直角に配設し断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12と、互いに直角に配設し断面略L字状に組んだ別の加工前木材NW112及び加工前木材NW122とを重ねて積層し、加工前木材NW111及び加工前木材NW112が交差する入隅部に断面略直角三角形状の加工前木材NW13を配設して加工前積層アングル体NW10Bを形成し、その凸面22A及び凹面21Aに1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを当てて加熱圧縮し圧密成形加工し、また、木材同士を接合して断面略L字状に一体化したものである。
【0127】
図7においては、互いに直角に配設し断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12の凹面側に重ねる加工前木材NW112及び加工前木材NW122は、加工前木材NW12の面に当接させる加工前木材NW122が加工前木材NW12に対しその木端面側で直角に配設した加工前木材N11と同等の寸法形状に製材された板材または角材が使用され、その加工前木材NW122と長さ及び厚み寸法を同一とするもそれよりも幅狭に製材された加工前木材NW112がその木端面を加工前木材NW122の広面(柾目面)に対向するように加工前木材NW122に対してその年輪の繊維方向を同一とさせて直角に配設される。また、加工前木材NW11、加工前木材NW12、加工前木材NW112、及び加工前木材NW122は全て長さ及び厚み寸法を同一としている。なお、加工前木材NW11及び加工前木材NW12の関係については、上記実施の形態1のときと同様である。
【0128】
加工前木材NW11、加工前木材NW12、加工前木材NW13、加工前木材NW112、及び加工前木材NW122は全て同一樹種のものを使用するのが好ましい。同一樹種のものであれば、圧密成形加工時に木材同士の馴染みが良く比重差等による部分的な圧縮応力が生じ難いことにより、割れ等が生じ難いものとなる。更に、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いもとなる。
特に、杉材、檜材は、我が国で広く分布し、間伐材等を容易に多量に入手できるから、杉材、檜材等の針葉樹を用いることで環境保全に貢献でき、杉材、檜材の有効活用を図ることができる。
【0129】
このとき、互いに重なる木材同士は、例えば、木表面同士または木裏面同士を対向してもよいし、木表面及び木裏面を対向させてもよいが、木表面同士または木裏面同士を対向させた場合には、表裏で圧縮率や収縮の異方性がバランスされるから、局部的な圧縮変形、ストレスを生じさせ難いものであり、圧縮による歪みも少なく、また、圧密加工後の周囲環境条件の変化によって膨張収縮力が生じたとしても寸法形状安定性が高いものとなる。一方で、木表面及び木裏面を対向させた場合には、圧縮率を制御しやすいものとなる。
【0130】
そして、互いに直角に配設し断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12からなるアングル体NW10P1に対し、互いに直角に配設し断面略L字状に組んだ加工前木材NW112及び加工前木材NW122からなるアングル体NW10P2とを重ねて積層し、アングル体NW10P2の加工前木材NW112及び加工前木材NW122が交差する入隅部には、上記実施の形態1と同様、断面略直角三角形状の加工前木材NW13がその直角側を加工前木材NW112及び加工前木材NW122が交差する直角な入隅部に対応させて配設することにより、断面略L字状の加工前積層アングル体NW10Bを形成する。
【0131】
なお、
図7においては、加工前積層アングル体NW10Bの木材の年輪の繊維方向に対して直角な面である各木材NW11,12,112,122の木口面同士、木端面同士は面一とし、平坦面になっている。また、断面略L字状に組んだ加工前木材NW112及び加工前木材NW122の入隅部に配設した断面略直角三角形状の加工前木材NW13は、加工前木材NW112及び加工前木材NW122の内面に当接させて露出面が平坦面となるように配設している。
【0132】
そして、接着剤を介して断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12のアングル体NW10P1の凹面側に、接着剤を介して断面略L字状に組んだ加工前木材NW112及び加工前木材NW122のアングル体NW10P2を接着剤を介して重ね、更に、加工前木材NW112及び加工前木材NW122が交差する入隅部に接着剤を介して加工前木材NW13を重ねて配設してなる加工前積層アングル体NW10Bに対し、上述した圧密成形加工装置(圧縮プレス装置)100を用い、断面略L字状の内部空間ISを形成する1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによって加工前積層アングル体NW10Bの凸面22A及び凹面21Aに対して、プレス圧縮し圧密成形加工することによって、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、加工前木材NW11,12,112,122が圧密成形加工され、また、加工前木材NW11,12,112,122同士が一体に接合して、断面略L字状に一体化されたアングル圧密成形体CW10Bが形成される。
【0133】
ところで、
図7に示した金型110A,110Bの使用においては、接着剤を介して断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12のアングル体NW10P1と接着剤を介して断面略L字状に組んだ加工前木材NW112及び加工前木材NW122のアングル体NW10P2を接着剤を介して重ね、更に、加工前木材NW112及び加工前木材NW122が交差する入隅部に接着剤を介して加工前木材NW13を重ねて配設してなる加工前積層アングル体NW10Bに対し、加工前木材NW11及び加工前木材NW12のアングル体NW10P1を下層に、加工前木材NW112及び加工前木材NW122のアングル体NW10P2を上層にして、アングル体NW10P2側の凹面21Aを上面側に及びアングル体NW10P1側の凸面22Aを下面側にして1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによって加熱プレス圧縮していくと、下層側のアングル体NW10P1の加工前木材NW11及び加工前木材NW12が上層側のアングル体NW10P2の加工前木材NW112及び加工前木材NW122よりもその端部側が延びて、下層側のアングル体NW10P1の加工前木材NW11及び加工前木材NW12の端部が上層側のアングル体NW10P2の加工前木材NW112及び加工前木材NW122の端部に周り込み、得られたアングル圧密成形体CW10Bの端面は、下層側の圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12の端面となる。
【0134】
即ち、
図7に示した金型110A,110Bの使用においては、アングル圧密成形体CW10Bの端部は内側の角部がR状になり木端面が傾斜面となりやすいから、製品化する際には、
図7(d)で示したように、それら端部tを切削し、必要に応じてカンナ掛けを行うことで、木端面が凸面22及び凹面21に対して直角な平坦面となることで、見栄えや使い勝手がよいものとなる。こうしたアングル圧密成形体CW10Bは、木材の年輪の繊維方向に平行な面側の端部を切削し、その端面が凸面22及び凹面21に垂直な平坦面の形態となる。なお、この端面は、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12の各端面を表現してもよいし、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12の各端面及び圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122の各端面の重なりを見せるものであってもよい。
【0135】
しかし、本発明を実施する場合には、金型110A,110Bの形状や型枠の形状によって、加工前アングル体NW10Aの端部tの伸長、変形を拘束、規制し、アングル圧密成形体CW10Bの端面が凸面22及び凹面21に垂直な平坦面となる成形とするようにしてもよい。
例えば、後述の実施の形態4の例で示す
図9における変形例の金型110A,110Bは、断面略コ字状の枠部110Abと、その内側で中央部に向かって下方に突出する凸状で所定のR状の先端面及びその左右に斜面が形成された断面略L字状の凸部110Aaとが一体に形成されたものであり、凸部110aの凸面で加工前アングル体NW10の凹面(内面)21A側を押圧するものである。また、下金型110Bは、断面略コ字状の枠部110Bbと、その内側で中央に向かって落ち込む凹状で所定の角状または僅かにR状の底面及びその左右に斜面が形成された断面略L字状の凹部110Baとが一体に形成されたものであり、凹部110Baの凹面で加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A側を受けるものである。そして、変形例の金型110A,110Bにおいては、上金型110Aの左右方向で、凸部110Aaの斜面に対して略垂直方向で延出する突部110Acを設けている。これにより、アングル圧密成形体CW10の端面が凸面22及び凹面21に対して垂直な平坦面となる成形とすることが可能である。
【0136】
即ち、
図9に示す変形例の上金型110Aは、中央部に向かって下方に突出する凸状で所定のR状の先端面及びその左右に斜面が形成された凸部110Aaを有し、それら凸面で加工前アングル体NW10の凹面(内面)21A側を押圧するものであり、また、下金型110Bの上面側が中央に向かって落ち込む凹状で所定の角状または僅かにR状の底面及びその左右に斜面が形成された凹部110Baを有し、それら凹面で加工前アングル体NW10の凸面(外面)22A側を受けるものである。そして、1対の凸状の上金型110Aと凹状の下金型110Bにおいて上金型110Aの凸部110Acの幅方向の左右両側で突出した110Acが下金型110Bの凹部110Baの幅方向の左右両側端部に当接したときに断面略L字状の内部空間ISが形成されるものである。この変形例の金型110A,110Bにおいては、加工前アングル体NW10の圧縮によるその板厚の変化(圧縮量)は、上金型110Aの突部110Abが下金型110Bの凹部110Baの端部に当接することで決まることとなる。
【0137】
こうした
図9に示した変形例の金型110A,110Bを使用することで、加工前アングル体NW10は、1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱圧縮された際に、その端部側の変形が上金型110Aの凸部110Acにより規制されることにより、即ち、型締めによって凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bの斜面に対して垂直な方向に凸部110Acが配設することによりその凸部110Acによって加工前アングル体NW10の端部の動きが拘束されるから、1対のアングル圧密成形体CW10の端面が凸面22及び凹面21に垂直な平坦面となる成形となる。これによって、端面を切削しなくても見栄え良くできる。しかし、更に端部を切断、切削加工してもよい。
【0138】
本実施の形態3では、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組み、また、加工前木材NW112及び加工前木材NW122を断面略L字状に組んで、加工前木材NW11及び加工前木材NW12の凹面側(内面側)に加工前木材NW112及び加工前木材NW122を重ね、即ち、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12からなるアングル体NW10P1と断面略L字状に組んだ加工前木材NW112及び加工前木材NW122からなるアングル体NW10P2とを積層し、そして、それらの入隅側に断面略直角三角状の加工前木材NW13を重ねて配設して形成した加工前積層アングル体NW10Bに対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aとを対にして1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱プレス及び水蒸気処理して加熱圧縮成形を行うことにより、即ち、加工前積層アングル体NW10Bの凹面21A及び凸面22Aを所定の押圧力で押圧しながら熱処理することにより、外力(押圧力)及び熱を受けて木材が軟化して圧縮され、また、その圧縮状態が固定されて塑性加工され、加えて、接着剤が塗布された木材NW同士が接合され、断面略L字状に一体に成形されたアングル圧密成形体CW10Bとなる。
【0139】
この実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bは、板状の加工前木材NW11が圧密化されてなる圧密化木材CW11及び板状の加工前木材NW12が圧密化されてなる圧密化木材CW12が互いに略垂直に交差して接合一体化され、また、板状の加工前木材NW112が圧密化されてなる圧密化木材CW112及び板状の加工前木材NW122が圧密化されてなる圧密化木材CW122が互いに略垂直に交差して接合一体化され、更に、圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122とそれに重ねられた圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122とが接合一体化され、また、断面略直角三角状の加工前木材NW13が圧密化されてなる圧密化木材CW13が互いに略垂直に交差した圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122の入隅部で圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122に接合一体化されて、断面略L字状に一体化されているものである。
【0140】
即ち、本実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bは、互いに略直角に交差した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12が互いに接合されて一体化し、また、互いに略直角に交差した圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122が互いに接合されて一体化し、更に、積層されている圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12と圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122とが互いに接合されて一体化し、また、圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122の入隅部に圧密化木材CW13が圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122と接合されて一体化して、断面略L字状に一体化されているものである。
【0141】
こうして、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組み、また、加工前木材NW112及び加工前木材NW122を断面略L字状に組み、それらを重ね合わせ、更に、加工前木材NW112及び加工前木材NW122の入隅部に加工前木材NW13を配設してなる加工前積層アングル体NW10Bに対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aを1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで挟み込んで加熱プレス及び水蒸気処理したことにより、木材NWが圧縮成形されその状態で固定化され、また、木材NW間に塗布されていた接着剤が硬化することによって、互いに直角に配設した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12同士が接合一体化され、また、互いに直角に配設した圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122同士が接合一体化され、更に、それら積層された圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12と圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122とが接合一体化されて圧密木材本体部CWBを形成し、また、圧密化木材CW13が圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122と接合一体化されて圧密木材本体部CWBの圧密化木材CW112及び圧密化木材CW113が交差する入隅部に圧密木材隅肉部CWFを形成し、圧密木材本体部CWB及び圧密木材隅肉部CWFが一体に断面略L字状に成形されたアングル圧密成形体CW10Bとなっている。
【0142】
つまり、本実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bは、互いに略垂直に交差し接合一体化された圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12並びに互いに略垂直に交差し接合一体化された圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122からなり、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12と圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122とが重ねられて接合一体化している圧密木材本体部CWBと、圧密木材本体部CWBの入隅部で圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122に接合して一体化された圧密化木材CW13からなる圧密木材隅肉部CWFからなり、圧密木材本体部CWB及び圧密木材隅肉部CWFとで断面略L字状に一体に成形されたものである。
【0143】
なお、本実施の形態3においても、加工前アングル体NW10Bにおいては、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12に重ねられた断面略L字状に組んだ加工前木材NW112及び加工前木材NW122の入隅部に断面略直角三角形状の加工前木材NW13を配設していることにより、加工前木材NW112及び加工前木材NW122の凹面21A側の直交する面に対し加工前木材NW13の露出面の平坦面が傾斜面となっているが(
図7(a)参照)、加工前積層アングル体NW10Bの凹面21A及びその反対面の凸面22Aを1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで挟み込んで加熱プレスしたことにより、
図8に示すように、加工前木材NW13が圧密成形加工されてなる圧密化木材CW13は、その露出面が湾曲して曲面状を成し、圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122と略面一に一体に連続形成されて断面略L字状に一体成形されている。
【0144】
このように、本実施の形態3においても、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組み、また、加工前木材NW112及び加工前木材NW122を断面略L字状に組んで加工前木材NW11及び加工前木材NW12と加工前木材NW112及び加工前木材NW122とを重ね、その入隅側に加工前木材NW13を配設し、木材NW間に接着剤を塗布して形成した加工前積層アングル体NW10Bに対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aとを対にして1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱プレス及び水蒸気処理して加熱圧縮成形を行うことにより、即ち、加工前積層アングル体NW10Bの凹面21A及び凸面22Aを所定の押圧力で押圧しながら熱処理することにより、外力(押圧力)及び熱を受けて木材が軟化して圧縮され、また、その圧縮状態が固定されて塑性加工され、加えて、接着剤が塗布された木材NW同士が接合され、断面略L字状に一体に成形されたアングル圧密成形体CW10Bとなる。この実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bも、圧密加工され、かつ、木材同士が一体に接合されて断面略L字状に成形されたものであるから、木材の機械的強度が高められているものである。
【0145】
即ち、互いに接合した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12、並びに、それらに重ねられ、互いに接合し、かつ、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12と接合した圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122からなる圧密木材本体部CWBと、圧密木材本体部CWBの入隅部に形成され圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122と接合した圧密化木材CW13からなる圧密木材隅肉部CWFとで断面略L字状に一体化されたアングル圧密成形体CW10Bも、木材NWが加熱圧縮されてその細胞内腔の空隙が減少したことにより、硬くて強い木質になっており、圧密化や木材同士の接着剤による接合によって元の木材NWよりも機械的強度が強くなっているものである。特に、加熱圧縮処理によって圧密成形と同時に接着剤を硬化させ木材同士を接合するから、安定して高い接合強度となっているものでもある。
【0146】
特に、実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bにおいては、断面略L字状に組んだ2つの木材に、断面略L字状に組んだ2つの木材を積層し接合一体化されているから、上記実施の形態1に係るアングル圧密成形体CW10よりも機械的強度を高めることが可能である。実施の形態3において、実施の形態1の加工前木材NW11及び加工前木材NW12と同一寸法の加工前木材NW11及び加工前木材NW12並びに加工前木材NW112及び加工前木材NW122を用いたときには、実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bでは、実施の形態1に係るアングル圧密成形体CW10よりも、重量及び機械的強度が増し、より重厚なものとなる。即ち、アングル体NW10P1及びアングル体NW10P2を積層して圧密成形していることで、節のある材料を使用しても実施の形態1,2のときよりもより割れ等が生じ難く歩留まりがより高いものとなる。
【0147】
なお、本実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bにおいても、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12からなるアングル体NW10P1と断面略L字状に組んだ加工前木材NW112及び加工前木材NW122からなるアングル体NW10P2とを重ね、さらにその入隅部に加工前木材NW13を配設して形成された加工前積層アングル体NW10Bに対し、その凹面21A及び反対面の凸面22Aとを対にして1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱プレスして加熱圧縮することにより、全体形状が断面略L字状に成形されたものであり、その入隅部が曲面状である一方で、その入隅部が出隅部よりRが大きい曲面状である。
【0148】
即ち、本実施の形態3においても、断面略L字状に圧密成形加工を行う1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bについて、下金型110Bの凹部110Baの底部を上金型110Aの凸部110Aaの先端部のRよりも小さくし、上金型110Aの凸部110Aaを下金型110Bの凹部110BaのRよりも大きくすることにより、アングル圧密成形体CW10Bの入隅部が出隅部よりも曲率の大きい曲面状(湾曲状)とされたものである。好ましくは、アングル圧密成形体CW10Bの入隅部の曲率半径(R)が10~30の範囲内、より好ましくは、15~25の範囲内であり、出隅部の曲率半径(R)が1~10の範囲内、より好ましくは、2~10の範囲内のものである。
なお、本実施の形態3のアングル圧密成形体CW10は、その圧密化木材CW11や圧密化木材CW12の幅方向の中央で測定したときの圧密化木材CW11及び圧密化木材CW112の積層厚みや圧密化木材CW12及び圧密化木材CW122の積層厚みが、例えば、6mm~22mm程度であり、好ましくは、8mm~20mm、より好ましくは、8mm~15mmの範囲内である。また、断面略L字状の入隅部と出隅部と間の最大厚さが、例えば、15mm~30mm程度、好ましくは、16mm~26mm、より好ましくは、17mm~23mmの範囲内である。
【0149】
このように、下金型110Bの凹部110Baの底部のRを小さくし上金型110Aの凸部110Aaの先端部を下金型110Bの凹部110Baの底部のRよりも大きくした1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bによって加工前積層アングル体NW10Bを断面略L字状に圧縮成形するものでは、加工前積層アングル体NW10Bの出隅部の直角部に対応して凹状の下金型110Bの凹部110Baの底部のRを小さくしていることで高負荷が掛からず、加工前木材NW13が配設する入隅部側では、そこを加熱圧縮する凸状の上金型110Aの凸部110Aaの先端部のRを大きくすることで、入隅部の加工前木材NW13に部分的な高負荷をかけずに加熱圧縮することができる。よって、加工前積層アングル体NW10Bの入隅部及び出隅部に部分的に高圧縮が掛かり難く、木材に裂け目、割れ、亀裂、クラック等が入るのが防止され、歩留まりを良くできる。
したがって、入隅部が出隅部よりも曲率の大きい曲面状とされたアングル圧密成形体CW10Bは、部分的な高圧縮が掛からず割れ等が入ることなく強度が高められたものであり、歩留まりが良いものである。
即ち、本実施の形態3に係るアングル圧密成形体CW10Bにおいても、その入隅部が出隅部よりもRが大きい曲面部を形成していることにより、部分的な高圧縮が掛からず割れ等が入ることなく強度が高められたものであり、歩留まりが良いものである。
【0150】
更に、圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122の入隅部に圧密化木材CW13が接合したものであるから、圧密化木材CW13を介して圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122同士が接合する分だけ圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122の接合面積が増え、機械的強度をより強くできる。よって、安定して高い機械的強度が得られ、安定した品質が得られる。
【0151】
しかし、本発明を実施する場合には、以下の実施の形態4として説明するように、実施の形態2と同様、断面略L字状に組んだ圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122が交差する入隅部に加工前木材NW13を配設することなく加工前積層アングル体NW10Cを形成し、その凸面22A及び凹面21Aに1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを当てて加熱圧縮し圧密成形加工し断面略L字状に成形することも可能である。
【0152】
[実施の形態4]
次に、本実施の形態4に係るアングル圧密成形体CW10Cについて、
図9及び
図10を参照して、説明する。ここでは、特に、上記実施の形態3との相違点のみ説明する。
本実施の形態4に係るアングル圧密成形体CW10Cは、上記実施の形態3の加工前木材NW13を入隅部に配設することなく断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12と、それらに重ねた断面略L字状に組んだ加工前木材NW112及び加工前木材NW122のみからなる加工前積層アングル体NW10Cを圧密成形加工し、また、木材NW11,NW12,112,122同士を接合して断面略L字状に一体に成形されたものである。
【0153】
即ち、本実施の形態4に係るアングル圧密成形体CW10Cは、
図9及び
図10に示すように、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を互いに直角に配設して断面略L字状に組み、更に、それら加工前木材NW11及び加工前木材NW12に加工前木材NW112及び加工前木材NW122を重ねて断面略L字状に組んで加工前積層アングル体NW10Cを形成し、その加工前積層アングル体NW10Cの凸面22A及び凹面21Aに対する加熱圧縮により、加工前木材NW11及び加工前木材NW12並びにそれらに重ねた加工前木材NW112及び加工前木材NW122を圧密化し、かつ、互いに一体に接合して、断面略L字状に一体に成形されたものである。
【0154】
例えば、本実施の形態4に係るアングル圧密成形体CW10Cも
図9に示す変形例の金型110A,110Bを用いて断面略L字状に一体に成形することできる。
こうした
図9に示した変形例の金型110A,110Bを使用することで、加工前アングル体NW10は、1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱圧縮された際に、その端部側の変形が上金型110Aの凸部110Acにより規制されることにより、即ち、型締めによって凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bの斜面に対して垂直な方向に凸部110Acが配設することによりその凸部110Acによって加工前アングル体NW10の端部の動きが拘束されるから、1対のアングル圧密成形体CW10の端面が凸面22及び凹面21に垂直な平坦面となる成形となる。これによって、端面を切削しなくても見栄え良くできる。しかし、更に端部を切断、切削加工してもよい。
【0155】
特に、
図9及び
図10においては、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組んだアングル体NW10P1と、加工前木材NW112及び加工前木材NW122を断面略L字状に組んだアングル体NW10P2とを同一寸法のものとし、即ち、加工前木材NW11とそれに重ねる加工前木材NW112とを同一寸法とし、また、加工前木材NW12とそれに重ねる加工前木材NW122とを同一寸法として、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組んだアングル体NW10P1の凹面側に加工前木材NW112及び加工前木材NW122を断面略L字状に組んだアングル体NW10P2を重ねて積層することで加工前積層アングル体NW10Cを形成する。この加工前積層アングル体NW10Cにおいては、アングル体NW10P1の左右両側端部よりもそれに重ねた上層のアングル体NW10P2の左右両側端部が突出していることになる。この加工前積層アングル体NW10Cを
図9に示した変形例の金型110A,110Bを用いて圧密成形加工を行うと、上層のアングル体NW10P1の端部が下層のアングル体NW10P2の端部に周り込んでそれを覆うものとなり、得られたアングル圧密成形体CW10Cの端面は、上層側(内面側)の圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122の端面であって、凸面22及び凹面21に垂直な平坦面となる。これによって、端面を切削しなくても見栄え良くできる。しかし、更に切削して、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW112や圧密化木材CW12及び圧密化木材CW122の重なる端面を表現してもよい。
【0156】
上記実施の形態3のときと同様に、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組んだアングル体NW10P1と、加工前木材NW112及び加工前木材NW122を断面略L字状に組んだアングル体NW10P2とを重ねてなる加工前積層アングル体NW10Cに対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aとを対にして1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで加熱プレス及び水蒸気処理して加熱圧縮成形を行うことにより、即ち、加工前積層アングル体NW10Cの凹面21A及び凸面22Aを所定の押圧力で押圧しながら熱処理することにより、外力(押圧力)及び熱を受けて木材が軟化して圧縮され、また、その圧縮状態が固定されて塑性加工され、加えて、接着剤が塗布された木材NW同士が接合され、断面略L字状に一体に成形されたアングル圧密成形体CW10Cとなる。
【0157】
この実施の形態4に係るアングル圧密成形体CW10Cは、断面略L字状に組まれた加工前木材NW11及び加工前木材NW12並びにそれに重ねた加工前木材NW112及び加工前木材NW122が圧密化され、かつ、接合されて一体化されて断面略L字状に成形されたものであり、互いに略垂直に交差した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12並びに互いに略垂直に交差した圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122同士が接合され、かつ、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12並びに圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122も接合されて一体化され、断面略L字状に一体化されているものである。
【0158】
本実施の形態4に係るアングル圧密成形体CW10Cにおいても、加工前木材NW11及び加工前木材NW12を断面略L字状に組み、また、加工前木材NW112及び加工前木材NW122を断面略L字状に組み、それら加工前木材NW11及び加工前木材NW12と加工前木材NW112及び加工前木材NW122とを重ね合わせた加工前積層アングル体NW10Cに対し、その凹面21A及びその反対面の凸面22Aを1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bで挟み込んで加熱プレス及び水蒸気処理したことにより、木材NWが圧縮成形されその状態で固定化され、また、木材NW間に塗布されていた接着剤が硬化することによって、互いに直角に配設した、加工前木材NW11が圧密化されてなる圧密化木材CW11及び加工前木材NW12が圧密化されてなる圧密化木材CW12同士が接合され、また、互いに直角に配設した、加工前木材NW112が圧密化されてなる圧密化木材CW112及び加工前木材NW122が圧密化されてなる圧密化木材CW122同士が接合され、更に、圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12並びに圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122も接合されて断面略L字状の圧密木材本体部CWBを形成したものである。
【0159】
そして、本実施の形態4に係るアングル圧密成形体CW10Cも、圧密加工され、かつ、木材同士が一体に接合されて断面略L字状に成形されたものであるから、木材の機械的強度が高められているものである。
即ち、互いに接合した圧密化木材CW11及び圧密化木材CW12並びに圧密化木材CW112及び圧密化木材CW122が断面L字状に一体に成形された圧密木材本体部CWBからなるアングル圧密成形体CW10Cも、木材NWが加熱圧縮されてその細胞内腔の空隙が減少したことにより、硬くて強い木質になっており、圧密化や木材同士の接着剤による接合によって元の木材NWよりも機械的強度が強くなっているものである。特に、加熱圧縮処理によって圧密成形と同時に接着剤を硬化させ木材同士を接合するから、安定して高い接合強度となっているものでもある。
【0160】
ところで、このように加工前木材NW11及び加工前木材NW12を互いに直角に配設して断面略L字状に組み、また、加工前木材NW112及び加工前木材NW122を互いに直角に配設して断面略L字状に組み、加工前木材NW11及び加工前木材NW12と加工前木材NW112及び加工前木材NW122とを積層して加工前積層アングル体NW10Cを形成し、その凸面22A及び凹面21Aに1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bを当てて加熱プレスし、加工前積層アングル体NW10Cを断面略L字状に圧密成形加工する場合には、凸状の上金型110Aの凸部の先端部の形状を加工前木材NW112及び加工前木材NW122の入隅部の形状に精密に一致させた上金型110Aを使用することが好ましい。これにより、加熱圧縮時において、加工前木材NW112及び加工前木材NW122の入隅部と上金型110Aの凸部との隙間をできるだけ小さくする。そうすることにより、圧密成形加工時に加工前積層アングル体NW10Cの入隅部に無理な引っ張り力が掛からず入隅部に割れ等が生じるのが防止される。
【0161】
なお、上記実施の形態3及び実施の形態4では、2層に積層する例で説明したが、本発明を実施する場合は、3層以上としてもよく、重ねる枚数(積層枚数)は、アングル圧密成形体の用途、目的、木材の種類等によって設定されるが、好ましくは、3層以下である。
【0162】
更に、上記実施の形態3、4の
図7乃至
図10においては、断面略L字状に組んだ加工前木材NW11及び加工前木材NW12の凹面21A側に配設した加工前木材NW112及び加工前木材NW122は、加工前木材NW112の木端面を加工前木材NW122の幅広面(柾目面等)に対向させて重ねる例で説明しているが、本発明を実施する場合には、加工前木材NW112の木端面を加工前木材NW122の幅広面(柾目面等)に対向させて重ね、加工前木材NW122の木端面が加工前木材NW112の幅広面(柾目面等)に対向させて重ねて配設してもよい。しかしながら、前者の方が、接合間に係る応力が分散されることで、割れ等がより生じ難く接合強度が高いものとなる。
【0163】
ここで、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cは、杉材または檜材等の針葉樹の木材といった、比重が0.5以下と低比重の木材を圧密成形加工する場合、元の木材NWの気乾比重に対する圧縮率で40%~75%の範囲内の圧縮率で圧縮されたものであることが好ましい。これより、割れ等が生じ難い範囲で、表面硬度も硬く、元の低比重の木材の傷付きやすさも解消される。より好ましくは、45%~70%、更に好ましくは、45%~65%の範囲内であると表面硬度が顕著に高くなる。
しかし、本発明を実施する場合には、比重の高い、例えば、ミズナラ、ケヤキ等の広葉樹の木材を圧密成形してもよく、この場合には、例えば、5%以上、40%未満の圧縮率でも実用的な機械的強度が得られるものである。
【0164】
また、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cは、その気乾比重が元の木材の気乾比重の1.2倍~4.0倍の範囲内であることでも、割れ等が生じ難い範囲で、表面硬度も硬く、元の木材の傷付きやすさも解消される。より好ましくは、1.3倍~3.8倍、更に好ましくは、1.5倍~3.7倍の範囲内である。
【0165】
更に、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cは、その気乾比重が0.5~1.3の範囲内であるものが好ましい。これより、割れ等が生じ難い範囲で、軽量で、かつ、高い機械的強度が得られるものとなるから、長尺状としても撓み難く広範囲の用途に使用できる。
【0166】
こうした上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cは、通常、長尺状に形成され、建築材料や家具材料等として、鉄やアルミの金属等からなるアングルに替えて使用すること可能であり、例えば、トラス梁やラチス梁の弦材やラチス材として使用することが可能である。このときアングル圧密成形体はそれを単体で弦材やラチスとして使用することもできるし、2本背合わせにして使用することもできる。その他にも、例えば、木材の継手(ジョイント)、モールディング材、仕口、間柱、筋かいとして使用することもできる。
特に、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cは木材からなるから、自然に形成された木の美しさ、意匠性を表現することができ、無機質な金属等は異なる美観性を表現できるものである。
【0167】
また、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cは、その材質が木材からなるものであるから、緩衝機能も有し、物が衝突したときでも、その衝撃を吸収し緩和でき、吸音、防音効果も期待できる。螺子、釘等の部材が入りやすいうえ、螺子、釘等の部材の保持力も高いものである。よって、組み立て加工しやすいものでもあり、更に、木口面側や木端面側を切断する場合も切断しやすく、切断加工、組付けが容易である。
【0168】
以上、説明してきたように、上記実施の形態1のアングル圧密成形体CW10は、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12を断面略L字状に組み、かつ、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12が交差する入隅部に第3加工前木材NW13を配設した加工前アングル体NW10の凸面22A及び凹面21Aに対して加えた外力及び加熱により第1加工前木材NW11、第2加工前木材NW12、及び第3加工前木材N13が圧密成形され、かつ、第1加工前木材NW11、第2加工前木材NW12、及び第3加工前木材NW13が一体に接合されて断面略L字状に一体に成形された圧密化木材CW11,圧密化木材CW12,及び圧密化木材CW13からなるものである。
【0169】
即ち、上記実施の形態1のアングル圧密成形体CW10は、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12を断面略L字状に組んだ加工前アングル体NW10の凸面22A及び凹面21Aに対して加えた外力及び加熱により第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12が圧密成形され、かつ、接合されて一体化された圧密木材本体部CWBと、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12が交差する入隅部に配設した第3加工前木材NW13が外力及び加熱により圧密成形され、かつ、圧密木材本体部CWBの入隅部に接合されて一体化された圧密木材隅肉部CWFとを具備し、圧密木材本体部CWB及び圧密木材隅肉部CWFが断面略L字状に一体に成形されているものである。
【0170】
したがって、上記実施の形態1のアングル圧密成形体CW10によれば、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面略L字状に成形したものであるから、木材強度が高められているものである。
特に、断面略L字状に組んだ第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12並びにそれらの入隅部に配設した第3加工前木材NW13を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面略L字状に成形するものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、割れ、裂け目、亀裂、クラック等が入ることなく木材強度が高められたものであり、節のある材料を使用しても割れ等が生じ難く、歩留まりも良いものである。
加えて、断面略L字状に組んだ第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12の入隅部に第3加工前木材NW13を配設して、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12と共に圧密成形し、かつ、一体に接合していることにより、木材同士の接合面が増えるから、機械的強度がより高められているものである。
【0171】
上記実施の形態2のアングル圧密成形体CW10Aは、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12を断面略L字状に組んだ加工前アングル体NW10Aの凸面22A及び凹面21Aに対して加えた外力及び加熱により第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12が圧密成形され、かつ、第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12が一体に接合されて断面略L字状に一体に成形されたものである。
よって、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面略L字状に成形されたものであることにより、木材強度が高められているものである。特に、断面略L字状に組んだ第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面略L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、節のある材料を使用しても割れ等が生じ難く、歩留まりも良いものである。
【0172】
上記実施の形態3のアングル圧密成形体CW10Bは、2つの第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12を断面略L字状に組んだ第1アングル体NW10P1と2つの第4加工前木材NW111及び第5加工前木材NW122を断面略L字状に組んだ第2アングル体NW10P2とを積層し、かつ、第2アングル体NW10P2の第4加工前木材NW111及び第5加工前木材NW122同士が交差する入隅部に第3加工前木材NW13を配設した加工前積層アングル体NW10Bの凸面22A及び凹面21Aに対して加えた外力及び加熱により加工前木材NW11,NW12,NW13,NW111,122が圧密成形され、かつ、加工前木材NW11,NW12,NW13,NW111,122同士が一体に接合されて断面略L字状に一体に成形されたものである。
【0173】
即ち、実施の形態3のアングル圧密成形体CW10Bは、2つの第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12を断面略L字状に組んだアングル体NW10P1と2つの第4加工前木材NW111及び第5加工前木材NW122を断面略L字状に組んだ第2アングル体NW10P2とを積層した加工前積層アングル体NW10Bの凸面22A及び凹面21Aに対して加えた外力及び加熱により加工前木材NW11,NW12,NW13,NW111,122が圧密成形され、かつ、加工前木材NW11,NW12,NW13,NW111,122同士が接合されて一体化された圧密木材本体部CWBと、第2アングル体NW10P2の第4加工前木材NW111及び第5加工前木材NW122同士が交差する入隅部に配設した第3加工前木材NW13が外力及び加熱により圧密成形され、かつ、圧密木材本体部CWBの入隅部に接合されて一体化された圧密木材隅肉部CWFとを具備し、圧密木材本体部CWB及び圧密木材隅肉部CWFが断面略L字状に一体に成形されているものである。
【0174】
したがって、上記実施の形態3のアングル圧密成形体CW10Bによれば、木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面略L字状に成形されているものであることにより、木材強度が高められているものである。
特に、断面略L字状に組まれ積層された木材及びその入隅部に配設した木材を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面略L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、節のある材料を使用しても割れ等が生じ難く、歩留まりも良いものである。
加えて、断面略L字状に組んだ木材の入隅部に別の木材を配設して、断面L字状に組んだ木材と共に圧密成形し、かつ、一体に接合していることにより、木材同士の接合面が増えるから、機械的強度がより高められているものである。加えて、木材を積層していることも接合面が増えるから、機械的強度が更に高められている。また、表面硬度をより高めることが可能である。更には、積層していることで、節のある材料を使用してもより割れ等が生じ難く歩留まりがより高いものとなる。
【0175】
上記実施の形態4のアングル圧密成形体CW10Cは、2つの第1加工前木材NW11及び第2加工前木材NW12を断面略L字状に組んだ第1アングル体NW10P1と2つの第4加工前木材NW111及び第5加工前木材NW122を断面略L字状に組んだ第2アングル体NW10P2とを積層した加工前積層アングル体NW10Cの凸面22A及び凹面21Aに対して加えた外力及び加熱により加工前木材NW11,NW12,NW111,122が圧密成形され、かつ、加工前木材NW11,NW12,NW111,122同士が一体に接合されて断面略L字状に一体に成形されたものである。
【0176】
したがって、実施の形態4のアングル圧密成形体CW10Cによれば、木材強度が高められているものである木材に圧密成形加工を行い、また、木材同士を接合して断面略L字状に成形されているものであることにより、木材強度が高められているものである。
特に、断面略L字状に組んだ木材を加熱圧縮して圧密成形し、また、接合して断面略L字状に成形したものでは、部分的に高圧縮力が加わったり歪みが生じたりし難いものであるから、割れ等が生じ難いものである。加えて、木材を積層していることで接合面が増えるから、機械的強度がより高められている。また、表面硬度をより高めることが可能である。更には、積層していることで、節のある材料を使用してもより割れ等が生じ難く歩留まりがより高いものとなる。
【0177】
また、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cは、その入隅部が出隅部よりもRの大きな曲面状に形成されたものであるから、入隅部及び出隅部に部分的に高圧縮が掛かることなく圧密成形されたものである。よって、割れ等がより生じ難いものである。
【0178】
そして、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cにおいて、その気乾比重が0.5~1.3の範囲内であれば、軽量で、かつ、機械的強度が高いものである。
【0179】
また、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cにおいて、元の木材の気乾比重に対する圧縮率で40%~75%の範囲内の圧縮率で圧縮されたものであれば、割れ等を生じさせることなく、表面硬度や機械的強度が高められたものである。
更に、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cにおいて、その気乾比重が元の木材の気乾比重の1.2倍~4.0倍の範囲内であれば、割れ等を生じさせることなく、表面硬度や機械的強度が高められたものである。
【0180】
ところで、上記実施の形態1乃至実施の形態4のアングル圧密成形体CW10,10A,10B,10Cは、等辺アングルを形成しているものであるが、本発明を実施する場合には、不等辺アングルであってもよい。
【0181】
また、上記実施の形態1乃至実施の形態4の説明では、1対の凸状の上金型110A及び凹状の下金型110Bのうち、上金型110A側を可動側とし、下金型110Bを固定側とする説明としたが、本発明を実施する場合には、両者を逆にしてもよい。
なお、本発明を実施するに際しては、アングル圧密成形体やそれを製造するその他の部分の材質、材料、大きさ、構成等について、本実施の形態に限定されるものではない。また、本発明の実施の形態で挙げている数値は、臨界値を示すものではなく、実施に好適な適正値を示すものであるから、上記数値を若干変更してもその実施を否定するものではない。
【符号の説明】
【0182】
21A,21 凹面
22A,22 凸面
NW11,NW12,NW13,NW112,NW122 加工前木材
CW11,CW12,CW13,CW112,CW122 圧密化木材
NW10,NW10A,NW10B,NW10C 加工前(積層)アングル体
CW10,CW10A,CW10B,CW10C アングル圧密成形体
CWB 圧密木材本体部
CWF 圧密木材隅肉部