IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷機 図1
  • 特開-印刷機 図2
  • 特開-印刷機 図3
  • 特開-印刷機 図4
  • 特開-印刷機 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118038
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/04 20060101AFI20240823BHJP
   B41F 35/00 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
B41F35/04
B41F35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024208
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】林 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
(72)【発明者】
【氏名】小林 義和
【テーマコード(参考)】
2C250
【Fターム(参考)】
2C250FA09
2C250FA11
2C250FB03
2C250FB12
2C250FB20
(57)【要約】
【課題】洗浄時間を短くできる印刷機を提供する。
【解決手段】ゴム胴と、ゴム胴を洗浄するブランケット洗浄装置と、ブランケット洗浄装置を制御する制御部と、を備え、ブランケット洗浄装置がゴム胴を洗浄するための本洗浄モードと、該本洗浄モードよりも弱い洗浄力で前記ブランケット洗浄装置がゴム胴を洗浄するための連続洗浄モードとが記憶されており、制御部は、連続洗浄モードの実行を指示された場合に、本洗浄モードに基づいてブランケット洗浄装置がゴム胴を洗浄した後、連続洗浄モードに基づいてゴム胴を続けて洗浄するようブランケット洗浄装置を制御する、印刷機。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム胴と、
前記ゴム胴を洗浄するブランケット洗浄装置と、
前記ブランケット洗浄装置を制御する制御部と、を備え、
前記ブランケット洗浄装置が前記ゴム胴を洗浄するための本洗浄モードと、該本洗浄モードよりも弱い洗浄力で前記ブランケット洗浄装置が前記ゴム胴を洗浄するための連続洗浄モードとが記憶されており、
前記制御部は、前記連続洗浄モードの実行を指示された場合に、前記本洗浄モードに基づいて前記ブランケット洗浄装置が前記ゴム胴を洗浄した後、前記連続洗浄モードに基づいて前記ゴム胴を続けて洗浄するよう前記ブランケット洗浄装置を制御する、印刷機。
【請求項2】
前記ゴム胴と接触可能な圧胴を備え、
前記本洗浄モードでは、前記ブランケット洗浄装置が前記圧胴に接触する前記ゴム胴を洗浄する、請求項1に記載の印刷機。
【請求項3】
少なくとも前記連続洗浄モードの洗浄時間が前記本洗浄モードの洗浄時間よりも短いことにより、前記連続洗浄モードの洗浄力が前記本洗浄モードの洗浄力よりも弱い、請求項1に記載の印刷機。
【請求項4】
前記本洗浄モードよりも弱い洗浄力で前記ブランケット洗浄装置が前記ゴム胴を洗浄するための独立洗浄モードが記憶されており、
前記制御部は、前記独立洗浄モードの実行を指示された場合に、前記独立洗浄モードに基づいて前記ゴム胴を洗浄するよう前記ブランケット洗浄装置を制御する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置を備えた印刷機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば特許文献1記載のオフセット印刷機がある。この印刷機は、版胴と、前記版胴にインキや湿し水を供給するための各種ローラと、ゴム胴及び圧胴とを備え、前記ゴム胴には洗浄装置が附随している。前記洗浄装置は制御装置によって、前記ゴム胴のゴムブランケットと接離可能である。また、胴位置調節装置を備え、この胴位置調節装置により前記ゴム胴と前記圧胴との間の間隔を調節できる。さらに、前記制御装置によって前記ゴム胴、前記版胴及び/又は前記各種ローラを個別に移動させることが可能である。
【0003】
このような印刷機では、所定の印刷作業が終了したら、前記印刷機の操作者が前記印刷機に対して洗浄を指示する。洗浄装置としては、近年、洗浄布をゴム胴へ当接させて洗浄するものが一般的に採用されている。ここで、前記印刷機には、前記洗浄布の当接回数や当接時間等の洗浄内容が異なる洗浄モードが高低のあるランク別に予め複数記憶されており、前記操作者は印刷内容等による前記ゴム胴の汚れ具合を考慮して見合ったランクの前記洗浄モードでの洗浄を指示する。前記洗浄モードのランクは、前記洗浄布の当接回数が多いほどが高くなる。すなわち、前記洗浄布の当接回数が多いほど洗浄力が高くなる。また、前記胴位置調節装置や前記制御装置で前記ゴム胴に対する前記版胴や前記圧胴、前記各種ローラの位置関係を設定することにより、前記洗浄装置は前記ゴム胴の前記ゴムブランケットのみを洗浄し、又は前記ゴム胴を介して前記圧胴等の他の胴を同時に洗浄することも可能である。
【0004】
前記洗浄の後は、前記操作者による洗浄結果の確認が行われ、例えば前記ゴム胴の汚れ落ちが不十分であることにより前記洗浄結果が好ましくない場合には、前記操作者は前記印刷機に対して再洗浄を指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4-229273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記再洗浄は、前記操作者が前記印刷機に対して、新たに前記洗浄モードでの洗浄を指示することにより行われる。しかし、この洗浄モードは本来、初回の洗浄のために設定されている。しかも、前記操作者は、再洗浄時に予め記憶された前記洗浄モードを選択することしかできなかった。そのため、最も低いランクの前記洗浄モードの洗浄内容であっても、再洗浄に適用すると、残った汚れを落とすことに対して過剰な洗浄を行ってしまう。よって、再洗浄時に最も低いランクの洗浄モードを選択したとしても、汚れが実際に落ちる時間に比べて、洗浄時間が長くなるといった問題が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、洗浄時間を短くできる印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ゴム胴と、前記ゴム胴を洗浄するブランケット洗浄装置と、前記ブランケット洗浄装置を制御する制御部と、を備え、前記ブランケット洗浄装置が前記ゴム胴を洗浄するための本洗浄モードと、該本洗浄モードよりも弱い洗浄力で前記ブランケット洗浄装置が前記ゴム胴を洗浄するための連続洗浄モードとが記憶されており、前記制御部は、前記連続洗浄モードの実行を指示された場合に、前記本洗浄モードに基づいて前記ブランケット洗浄装置が前記ゴム胴を洗浄した後、前記連続洗浄モードに基づいて前記ゴム胴を続けて洗浄するよう前記ブランケット洗浄装置を制御する、印刷機である。
【0009】
前記構成によれば、前記連続洗浄モードの実行を指示された場合には、前記本洗浄モードによる洗浄の後、前記本洗浄モードよりも弱い洗浄力の前記連続洗浄モードに基づいて前記ゴム胴を続けて洗浄するため、前記連続洗浄モードでは、前記本洗浄モードによって落としきれなかった汚れに対して過剰に洗浄することを防止できる。
【0010】
また、本発明は、前記ゴム胴と接触可能な圧胴を備え、前記本洗浄モードでは、前記ブランケット洗浄装置が前記圧胴に接触する前記ゴム胴を洗浄してもよい。
【0011】
前記構成によれば、前記本洗浄モードにおいて、前記ブランケット洗浄装置により前記ゴム胴と前記圧胴とを同時に洗浄できる。
【0012】
また、本発明では、少なくとも前記連続洗浄モードの洗浄時間が前記本洗浄モードの洗浄時間よりも短いことにより、前記連続洗浄モードの洗浄力が前記本洗浄モードの洗浄力よりも弱い。
【0013】
前記構成によれば、例えば前記本洗浄モードに基づく洗浄を連続して行う場合の合計時間よりも、前記本洗浄モードと前記連続洗浄モードとに基づく洗浄を行う合計時間を短くできる。
【0014】
また、本発明では、前記本洗浄モードよりも弱い洗浄力で前記ブランケット洗浄装置が前記ゴム胴を洗浄するための独立洗浄モードが記憶されており、前記制御部は、前記独立洗浄モードの実行を指示された場合に、前記独立洗浄モードに基づいて前記ゴム胴を洗浄するよう前記ブランケット洗浄装置を制御してもよい。
【0015】
前記構成によれば、前記独立洗浄モードの実行を指示された場合には、前記独立洗浄モードに基づく洗浄を行うことにより、操作者の要望に応じた内容での洗浄を実行できる。
【発明の効果】
【0016】
以上、本発明によれば、前記連続洗浄モードでは、前記本洗浄モードによって落としきれなかった汚れに対して過剰に洗浄することを防止できるため、汚れが実際に落ちる時間に見合うように、洗浄時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る印刷機の構成図である。
図2図2は、同実施形態に係る印刷機のうち、ブランケット洗浄装置まわりの拡大図である。
図3図3は、印刷機内の胴配置図であり、(a)は、ゴム胴と圧胴を同時に洗浄する際の胴配置図を示し、(b)は、ゴム胴のみを洗浄する際の胴配置図を示す。
図4図4は、制御部を示すブロック図である。
図5図5は、タッチパネルに表示される画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る印刷機1について説明する。
【0019】
本実施形態に係る印刷機1は、オフセット印刷を行うオフセット印刷機である。図1に示すように、この印刷機1は、印刷用紙である枚葉紙を送り出す給紙部Aと、枚葉紙に印刷を行う印刷部Bと、印刷された枚葉紙を排紙するための排紙部Cと、給紙部A、印刷部B及び排紙部Cを制御するための制御部D(図4参照)とを備える。
【0020】
給紙部Aは、印刷部Bに枚葉紙を給紙するためのものである。そのため、給紙部Aは、複数の枚葉紙を収容しており、フィーダーボード2を介して枚葉紙を1枚ずつ印刷部Bに搬送することにより給紙可能に構成されている。
【0021】
印刷部Bは、給紙部Aから給紙された枚葉紙に対して印刷を行うためのものである。ここで、本実施形態の印刷部Bは、6台の印刷ユニット3を備えている。そのため、本実施形態の印刷部Bは、最大6色の印刷が行えるよう構成されている。すなわち、本実施形態に係る印刷機1は、6色機として構成されている。
【0022】
図1に示すように、印刷ユニット3は、版胴30と、該版胴30にインキを供給するためのインキローラ群31と、版胴30に供給されたインキが移されるゴム胴32と、該ゴム胴32との間に枚葉紙をはさんでゴム胴32上の画像を枚葉紙に転写して印刷を行う圧胴33とを備える。隣接する印刷ユニット3,3の圧胴33,33同士の間には渡し胴34が配置されている。圧胴33と渡し胴34は枚葉紙を搬送する搬送胴である。各種の胴30,32,33及びインキローラ群31は互いに接離可能に構成されている。例えばゴム胴32は、版胴30及び/又は圧胴33に接触させ、又は離間させることが可能である。なお、ゴム胴32にはブランケットが巻回されている。
【0023】
図1,2に示すように、各印刷ユニット3に設けられたゴム胴32の給紙部A側には、少なくともゴム胴32を洗浄するブランケット洗浄装置4がそれぞれ一つずつ設けられている。ここで、「洗浄」とは、ゴム胴32等の胴の外周面に付着したインキ等の汚れを除去することである。本実施形態の「洗浄」とは、後述する洗浄布44によってゴム胴32の外周面に付着したインキ等(例えば、インキや紙粉)の汚れを拭き取ることである。ブランケット洗浄装置4は、ケース状の洗浄装置本体40と、該洗浄装置本体40に対して回転可能に設けられた繰り出し軸41及び巻取り軸42と、該洗浄装置本体40に対して固定されたパッド43と、繰り出し軸41及び巻取り軸42に巻回され、且つパッド43を覆う不織布等の洗浄布44とを備える。また、ブランケット洗浄装置4は、不図示の洗浄装置駆動部を有してゴム胴32に対して接近及び離反可能に設置されている。図2は、接近した状態を示している。洗浄装置駆動部は、後述する制御部Dによって駆動制御される。洗浄装置駆動部によってブランケット洗浄装置4がゴム胴32に接近した接近位置に移動しているときは、洗浄布44で覆われたパッド43がゴム胴32に当接してゴム胴32を洗浄する。このとき、ゴム胴32は、洗浄用の回転速度で回転する。さらに、ブランケット洗浄装置4は、ゴム胴32に対する接近離反移動を行う毎に巻取り軸42が所定角度連動回転し、繰り出し軸41に巻回された洗浄布44を巻取り軸42が巻き取るように構成されている。これにより、パッド43がゴム胴32に当接するときは、洗浄布44の汚れていない範囲がパッド43を覆っている。なお、洗浄布44には、予め洗浄液が含浸されている。
【0024】
排紙部Cは、印刷部Bにて印刷された枚葉紙を排紙するためのものである。排紙部Cは、チェーン搬送装置5を備える。すなわち、チェーン搬送装置5は、搬送方向の最も下流側に配置される印刷ユニット3の圧胴33に隣接するスプロケット50と、該スプロケット50よりも搬送方向の下流側に設けられるスプロケット51と、これら2つのスプロケット50,51に巻回された無端状のチェーン52とを備える。チェーン52には圧胴33から枚葉紙を受け取るための複数のグリッパ装置(不図示)が等間隔で取り付けられている。スプロケット50,51の回転により、チェーン52は周回する。
【0025】
ところで、印刷機1(具体的には、制御部D)には洗浄を行うための洗浄モードが記憶されている。ここで、本実施形態の洗浄モードには、本洗浄モード、連続洗浄モード及び独立洗浄モードといった別々のモードが含まれる。
【0026】
本洗浄モードは、ゴム胴32に対してブランケット洗浄装置4で洗浄を行うモードである。本実施形態の本洗浄モードでは、ゴム胴32(具体的には、ゴム胴32に巻回されたブランケット)のみに対する洗浄(ブランケット洗浄とも称する)や、ゴム胴32と圧胴33とを同時に洗浄する圧胴同時洗浄を行うことが可能である。具体的に、圧胴同時洗浄では、ブランケットの洗浄時にゴム胴32を介して圧胴33も同時に洗浄する。また、本洗浄モードには、ゴム胴32に対するブランケット洗浄装置4の接近回数や、ゴム胴32に対するブランケット洗浄装置4の接近1回の間のゴム胴32の回転数等といった洗浄内容が異なる設定がランク別に含まれている。よって、印刷機1(具体的には、制御部D)には、ランク別の本洗浄モードが複数記憶されている。なお、上記ゴム胴32に対するブランケット洗浄装置4の接近回数は、ゴム胴32へのパッド43の当接回数と同義である。また、上記ゴム胴32に対するブランケット洗浄装置4の接近1回の間のゴム胴32の回転数は、ゴム胴32へのパッド43の当接1回の間のゴム胴32の回転数と同義であり、さらには、パッド43がゴム胴32に当接してから離間するまでの間にゴム胴32が回転する回数のことである。
【0027】
連続洗浄モードは、本洗浄モードによる洗浄の後、ブランケット洗浄装置4でゴム胴32を続けて洗浄するモードである。一方で、独立洗浄モードは、本洗浄モードによる洗浄の前後で、本洗浄モードによる洗浄とは独立してブランケット洗浄装置4でゴム胴32を洗浄するモードである。本実施形態の独立洗浄モードは、本洗浄モードによる洗浄の後、例えば時間をあけてブランケット洗浄装置4でゴム胴32を洗浄するモードである。
【0028】
連続洗浄モード及び独立洗浄モードにおける洗浄力は、本洗浄モードにおける最も低いランクの洗浄力よりも弱い。ここで、洗浄力が「弱い」とは、例えば、ゴム胴32に対するブランケット洗浄装置4の接近回数、すなわち、ゴム胴32へのパッド43の当接回数が本洗浄モードより少ないことや、ゴム胴32に対してブランケット洗浄装置4を接近させることで洗浄布44をゴム胴32に当接した際に、ゴム胴32に対するパッド43の押し付け力が本洗浄モードより弱いこと、があげられる。具体的に、本実施形態の連続洗浄モード及び独立洗浄モードでは、ゴム胴32に対するブランケット洗浄装置4の接近回数(洗浄布44の当接回数)を本洗浄モードより少なくすることにより、連続洗浄モード及び独立洗浄モードの洗浄力が本洗浄モードの洗浄力よりも弱くなるように設定されている。
【0029】
図4に示すように、制御部Dには、給紙部A、印刷部B、排紙部C、ブランケット洗浄装置4、そして印刷機1の各種操作を行うためのタッチパネル6が接続されている。本実施形態では制御部Dで1台の印刷機1を制御するべく、図4では、制御部Dが1つの印刷機1(具体的には、1つずつの給紙部A、印刷部B及び排紙部C)に接続されている。なお、制御部Dで複数の印刷機1を制御する場合には、制御部Dが複数の印刷機1(具体的には、複数の給紙部A、印刷部B及び排紙部C)に接続されているものとする。また、本実施形態では、制御部Dで1つのブランケット洗浄装置4の洗浄装置駆動部を制御するべく、図4では、制御部Dが1つのブランケット洗浄装置4に接続されていることを示すが、例えば、制御部Dで複数のブランケット洗浄装置4を制御するために、制御部Dが複数のブランケット洗浄装置4に接続されていてもよい。なお、制御部Dは、後述するオペレーションスタンドに設けられている。
【0030】
制御部Dは、演算処理等を行うマイクロプロセッサD1と、データ及び所定のプログラム(例えば、洗浄モード)を記憶するROM7と、機械回転数等に関する種々の情報を記憶可能なRAM8とを備えると共に、マイクロプロセッサD1と制御部Dの外部に設けられた給紙部Aなどの外部装置との間における各種信号のやりとりを仲介するインターフェースD2を備えている。
【0031】
上述の通り、制御部Dには給紙部A、印刷部B及び排紙部Cが接続されている。そのため、印刷作業を行う際には、制御部Dが給紙部A、印刷部B及び排紙部Cを制御して、枚葉紙に対して印刷を行うことが可能である。また、制御部Dは、洗浄時のゴム胴32の回転制御や、ゴム胴32と圧胴33との接離制御も行う。
【0032】
また、制御部Dにはブランケット洗浄装置4が接続されている。そのため、制御部Dは、洗浄装置駆動部によるブランケット洗浄装置4のゴム胴32に対する接近及び離反移動の駆動制御や、洗浄布44の残量不足を検知できるように構成されている。
【0033】
タッチパネル6は、印刷機1の管理や調整を行うためのオペレーションスタンドに設けられている。操作者は、タッチパネル6の画面を確認や操作することにより、印刷機1の監視や印刷機1に対して印刷作業や洗浄作業の実行を指示する。なお、オペレーションスタンドは、印刷機1とは別体として構成され、且つ印刷機1から離れた位置に配置されている。
【0034】
タッチパネル6には、図5に示す画面が表示される。この画面は、連続洗浄モードや独立洗浄モードに関する設定を行うための画面である。また、この画面は、本洗浄モードに関する設定を行う画面からの表示切替により表示される。表示切替は、画面中の切替ボタンが押されることや、同一画面内のタブ操作によりなされる。よって、図5に示す画面は、本洗浄モードに関する設定を行う画面よりも下位層又は同階層の画面である。なお、連続洗浄モードや独立洗浄モードに関する設定を行うための画面及び本洗浄モードに関する設定を行う画面は、GUI(Graphical User Interface)画面である。
【0035】
図5に示す画面上には、洗浄の対象となる印刷ユニット3を選択するボタン60が左右方向に並んで複数配置されている。本実施形態に係る印刷機1は6色機として構成されているので、ボタン60は6つ配置されている。このボタン60は、選択されることで異なる色の表示を行うよう構成されている。具体的に、ボタン60は非選択状態で白色の表示をし、選択状態で灰色の表示をする。本実施形態では、2番目から5番目のボタン60が灰色の表示をすることにより、2番目から5番目の印刷ユニット3が選択されている。また、画面上には、本洗浄モードで圧胴同時洗浄のON/OFFを選択するボタン61が配置されている。このボタン61は、選択されることで異なる色の表示を行うよう構成されている。具体的に、ボタン61は非選択状態で白色の表示をし、選択状態で灰色の表示をする。なお、ボタン61が非選択状態の場合、本洗浄モードではゴム胴32のみに対する洗浄が行われる。本実施形態では、圧胴同時洗浄を行うべく、ボタン61が灰色の表示をしている。なお、本実施形態では、本洗浄モードに関する設定を行う画面にて設定された、洗浄の対象となる印刷ユニット3と圧胴同時洗浄のON/OFFに連動して、ボタン60,61が選択状態と非選択状態の切り替えを行うよう構成されている。
【0036】
また、図5に示す画面上には、連続洗浄モード(ここでは、洗浄モードAと称する)又は独立洗浄モード(ここでは、洗浄モードBと称する)を選択すべく、2つの選択ボタン62,63が配置されている。本実施形態では、洗浄モードAを選択する際には選択ボタン62が押され、洗浄モードBを選択する際には選択ボタン63が押される。2つの選択ボタン62,63は、どちらか一方のみを選択可能に構成されている。即ち、連続洗浄モードと独立洗浄モードとはどちらか一方のみを選択可能に構成されている。図5では、選択ボタン62が押され洗浄モードAが選択されている。さらに、本実施形態の選択ボタン62は、ボタン61が選択状態で灰色の表示をしている場合に限って押すことができる。即ち、本実施形態の連続洗浄モードは、本洗浄モードで圧胴同時洗浄が行われる場合に限って行うことができる。加えて、図5に示す画面上には、それぞれの洗浄モードにおけるゴム胴32へのパッド43(洗浄布44)の当接回数を入力するための洗浄布当接回数入力枠64,64と、当接1回の間のゴム胴32の回転数を入力するためのゴム胴回転数入力枠65,65とが配置されている。なお、洗浄布当接回数入力枠64,64とゴム胴回転数入力枠65,65には、予め設定された数値(例えば、1~20)を入力可能である。洗浄布当接回数入力枠64,64に入力する数値としては1~10が好ましく、ゴム胴回転数入力枠65,65に入力する数値としては7前後(例えば、6~8)が好ましい。なお、本洗浄モードにおいて選択できる最も洗浄力が低いランクの洗浄モードでは、洗浄布44のゴム胴32への当接回数は25回となっている。
【0037】
また、図5に示す画面上には、洗浄開始の可否を示す可否表示66と、洗浄を開始する洗浄開始ボタン67とが配置されている。可否表示66は、洗浄可能な状態と洗浄不可の状態とで異なる色の表示を行うよう構成されている。具体的に、可否表示66は、洗浄可能な状態で白色の表示を行い、洗浄不可の状態で白以外の色(例えば、灰色)の表示を行う。さらに、洗浄開始ボタン67は、押されることにより異なる色の表示を行うよう構成されている。具体的に、洗浄開始ボタン67は、押される前の状態又は可否表示66が白色の表示をしている状態で白色の表示を行い、押された後の状態で白以外の色(例えば、灰色)の表示をする。加えて、図5に示す画面上には、本洗浄モードに関する設定を行う画面に表示切替を行うためのボタン68が配置されている。
【0038】
続いて、本実施形態に係る印刷機1の洗浄作業について説明する。なお、この説明では、1台の印刷機1に対して、本洗浄モードによる洗浄作業と連続洗浄モードによる洗浄作業を行う場合を想定する。
【0039】
洗浄作業は、印刷機1による印刷作業の後に行われる。なお、印刷作業では、インキローラ群31から版胴30(具体的には、版胴30に設けられた版)に供給されたインキをゴム胴32(具体的には、ブランケット)に転写し、給紙部Aから給紙された枚葉紙がゴム胴32及び圧胴33に挟持されることにより、ゴム胴32に転写されたインキを枚葉紙に転写する。このときに、ゴム胴32上の枚葉紙に転写されない範囲のインキが圧胴33に付着する。
【0040】
本実施形態では、制御部Dが給紙部A、印刷部B及び排紙部Cを制御して、所定枚数の枚葉紙に対して印刷を行う印刷作業が終了したら、操作者はタッチパネル6を操作して、印刷機1に洗浄作業の実行を指示する。具体的に、操作者はタッチパネル6に表示される画面上で、洗浄対象となる印刷ユニット3の選択や本洗浄モードのランクの設定を行う。なお、印刷ユニット3の選択や本洗浄モードのランクの設定は、本洗浄モードに関する設定行う画面にて行われる。ここで、本洗浄モードのランクは、印刷作業によって生じたゴム胴や圧胴の汚れ度合に見合ったものが選択される。本実施形態の本洗浄モードでは、2番目から5番目の印刷ユニット3に対して圧胴同時洗浄がされるよう設定される。このように、本洗浄モードに関する設定を行う画面で上記設定が完了したら、操作者は表示切替を行って、タッチパネル6に連続洗浄モードに関する設定を行うための画面(図5参照)を表示する。この画面では、本洗浄モードに関する設定を行う画面での上記設定に連動して、2番目から5番目のボタン60とボタン61が自動で灰色の表示をする。
【0041】
続いて、操作者は、図5に示す画面上の選択ボタン62又は選択ボタン63を押すとともに、洗浄布当接回数入力枠64とゴム胴回転数入力枠65に所定の数値を入力して、連続洗浄モード又は独立洗浄モードの洗浄内容を設定する。なお、連続洗浄モード又は独立洗浄モードの洗浄力が本洗浄モードにおける最も低いランクの洗浄力よりも弱くなるように、連続洗浄モード又は独立洗浄モードの洗浄内容が予め設定されている。ここで、上述の通り、本実施形態では連続洗浄モードによる洗浄作業を行う。そのため、操作者によって、選択ボタン62が押されるとともに、洗浄布当接回数入力枠64に任意の数値(例えば、2)が入力され、ゴム胴回転数入力枠65に任意の数値(例えば、7)が入力される。よって、図5に示す画面上では、ゴム胴32へのパッド43の当接が2回行われ、且つ当接1回の間のゴム胴32の回転が7回行われる洗浄内容の連続洗浄モードが設定される。なお、可否表示66は白色の表示を行っているものとする。そして、操作者は、白色の表示を行う洗浄開始ボタン67を押して、印刷機1に対して本洗浄モードと連続洗浄モードでの洗浄作業の実行を指示する。
【0042】
操作者が印刷機1に対して洗浄作業の実行を指示すると、印刷機1は洗浄作業を開始する。ここで、本実施形態では、2番目から5番目の印刷ユニット3に対して洗浄作業が行われる。洗浄作業としては、まず、印刷機1では本洗浄モードによる圧胴同時洗浄を行う。本実施形態では、図3(a)に示すように、ゴム胴32と圧胴33とを接触させるとともに、回転しているゴム胴32に対して洗浄布44で覆われたパッド43の当接離間を繰り返すように、制御部Dが印刷ユニット3及びブランケット洗浄装置4を制御する。よって、本実施形態では、洗浄布44でゴム胴32の外周面に付着したインキを拭き取って、ゴム胴32を洗浄する。また、ゴム胴32と圧胴33とを接触させていることから、ゴム胴32を介して圧胴33も同時に洗浄される。この洗浄作業時のゴム胴32と圧胴33との印圧(接触圧)は、印刷作業を行う際のゴム胴32と圧胴33との印圧よりも高いものとする。なお、圧胴同時洗浄が選択されていない場合、すなわち本洗浄モードによるブランケット洗浄の場合は、図3(b)に示すように、制御部Dが印刷ユニット3を制御して、ゴム胴32と圧胴33とを離間させた状態でブランケット洗浄装置4のよるゴム胴32の洗浄作業が行われる。
【0043】
このように、本実施形態の本洗浄モードでは、2番目から5番目の印刷ユニット3に対して圧胴同時洗浄が行われる。圧胴同時洗浄では、ブランケット洗浄装置4によって、ゴム胴32及び圧胴33が洗浄されるが、この際、圧胴33の汚れがゴム胴32に移り、そのままゴム胴32に残る可能性がある。
【0044】
本洗浄モードによる洗浄の後、ゴム胴32に残った汚れに対する再洗浄として、印刷機1では連続洗浄モードによる洗浄を自動的に続けて行う。本実施形態の連続洗浄モードでは、ブランケット洗浄装置4がゴム胴32のみを洗浄する。具体的に、連続洗浄モードによる洗浄では、ゴム胴32に対するパッド43(洗浄布44で覆われたパッド43)の接離とゴム胴32の回転を行うべく、制御部Dが印刷ユニット3及びブランケット洗浄装置4を制御する。本実施形態では、図5に示す画面上に配置された洗浄布当接回数入力枠64とゴム胴回転数入力枠65に入力された数値分の接離とゴム胴32の回転とが行われる。具体的には、洗浄布当接回数入力枠64には2が、ゴム胴回転数入力枠65には7が入力されていることから、パッド43のゴム胴32への接離が2回行われるとともに、ゴム胴32の回転が7回行われる。詳細には、ゴム胴32に対してパッド43を接近させることにより、洗浄布44をゴム胴32に当接させた後、洗浄布44の当接中にゴム胴32を7回回転させてからパッド43をゴム胴32から離間させ、同時に洗浄布44の繰り出し及び巻取りを行うサイクルを2回行う。したがって、洗浄布44によりゴム胴32の外周面に付着したインキを拭き取ってゴム胴32を洗浄する。このように、連続洗浄モードによってゴム胴32のみの洗浄を行うことで、圧胴33からゴム胴32に移り、且つ本洗浄モードによる洗浄では落ちなかった汚れを落とす。なお、本実施形態では、複数(具体的には、2番目から5番目)の印刷ユニット3に対して行われる連続洗浄モードによる洗浄内容及び洗浄力は同一である。
【0045】
なお、印刷機1の洗浄作業は、印刷機1によって印刷される全ての印刷枚数のうち、一部の印刷枚数分の印刷作業が行われた後に行われることがある。例えば合計20000枚の印刷を行う場合には、5000枚の枚葉紙に対して印刷作業が行われる度に洗浄作業を行って、ゴム胴32や圧胴33の汚れを洗浄する。よって、すべての印刷枚数分の印刷が終わるまでに印刷作業と洗浄作業を繰り返す。本実施形態では、各洗浄作業で本洗浄モードによる洗浄ランクの設定と、連続洗浄モードによる洗浄内容の設定を変更することができる。
【0046】
一方で、独立洗浄モードによる洗浄を行う場合には、本洗浄モードによる洗浄とは独立してブランケット洗浄装置4でゴム胴32を洗浄する。独立洗浄モードによる洗浄は、自動的には開始せず、操作者が洗浄開始ボタン67を押すことにより、印刷機1に対して独立洗浄モードによる洗浄の実行を指示することで開始する。つまり、独立洗浄モードでは、手動で洗浄を開始する。したがって、独立洗浄モードでは、本洗浄モードによる洗浄の前、又は本洗浄モードによる洗浄の後に連続せず、ブランケット洗浄装置4でゴム胴32を洗浄する。本実施形態における独立洗浄モードでは、図5に示す画面において、ボタン61を押して非選択状態(白色の表示)と選択状態(灰色の表示)とを切り替えることで、ゴム胴32のみを洗浄するブランケット洗浄と、ゴム胴32と圧胴33を同時に洗浄する圧胴同時洗浄のいずれかを選択できる。
【0047】
ここで、独立洗浄モードの洗浄内容を設定する際には、操作者は、図5に示す画面上の選択ボタン63を押すとともに、選択ボタン63の下側にある洗浄布当接回数入力枠64とゴム胴回転数入力枠65に所定の数を入力する。本実施形態では、洗浄布当接回数入力枠64に3が入力され、ゴム胴回転数入力枠65に8が入力される。そのため、図5に示す画面上では、パッド43のゴム胴32への接離が3回行われ、且つゴム胴32の回転が8回行われる洗浄内容の独立洗浄モードが設定される。また、独立洗浄モードによる洗浄では、ゴム胴32に対するパッド43の洗浄布44を介した接離とゴム胴32の回転を行うべく、制御部Dが印刷ユニット3及びブランケット洗浄装置4を制御する。したがって、本実施形態における独立洗浄モードによる洗浄では、ゴム胴32に対してパッド43を接近させることにより、洗浄布44をゴム胴32に当接させた後、ゴム胴32を8回回転させてからパッド43をゴム胴32から離間させ、同時に洗浄布44の繰り出し及び巻取りを行うサイクルを3回行う。
【0048】
以上、本実施形態では、本洗浄モードによる洗浄の後、連続洗浄モードに基づいてゴム胴32を続けて洗浄するため、連続洗浄モードでは本洗浄モードによって落としきれなかったゴム胴32の汚れを洗浄することができる。また、連続洗浄モードの洗浄力は本洗浄モードにおける最も低いランクの洗浄力よりも弱い。そのため、本洗浄モードによって落としきれなかったゴム胴32の汚れに対して過剰にゴム胴32を洗浄することを防止できる。
【0049】
また、本実施形態では、本洗浄モードで圧胴同時洗浄がされるよう設定できる。そのため、圧胴同時洗浄では、ブランケット洗浄装置4によってゴム胴32及び圧胴33を洗浄できる。ここで、圧胴同時洗浄ではゴム胴32と圧胴33とが接触するため、圧胴33の汚れがゴム胴32に移り、そのままゴム胴32に残る可能性がある。ところで、本洗浄モードによる洗浄の後に続けて行われる連続洗浄モードでは、ブランケット洗浄装置4がゴム胴32のみを洗浄する。よって、連続洗浄モードによる洗浄では、圧胴33からゴム胴32に移り、且つ本洗浄モードによる洗浄では落ちなかった汚れを落とすことができる。
【0050】
また、本実施形態では、ゴム胴32に対するパッド43の接離回数が少なくなることにより、洗浄時間を短くして、連続洗浄モードの洗浄力が本洗浄モードの洗浄力よりも弱い。よって、本洗浄モードによる洗浄を連続して行う場合の合計時間と比べて、本洗浄モードと連続洗浄モードとの洗浄の合計時間を短くできる。
【0051】
具体的に、本洗浄モードによる洗浄を連続して行う場合には、1回目の本洗浄モードによる洗浄で残った汚れが連続して行われた本洗浄モードによる洗浄の途中で落ちているにもかかわらず、過剰に洗浄をしてしまう。よって、洗浄時間が無駄に長くなったり、ブランケット上に残った洗浄液を乾燥させるために長い時間を要し、結果的に次の印刷作業の開始までに時間がかかる。また、過剰に洗浄をしてしまうことで、洗浄液によるブランケットの膨潤が促進され、ブランケットを早期に交換する必要が出てくる。さらに、洗浄液や洗浄布といった洗浄資材を必要以上に消費する。したがって、本洗浄モードによる洗浄を連続して行う場合には、生産効率の低下やコスト増大といったデメリットがあった。これに対して、本洗浄モードによる洗浄の後、洗浄力が本洗浄モードの洗浄力よりも弱い連続洗浄モードによる洗浄を行うことで、上記のデメリットを解消できる。詳述すると、次の印刷作業の開始までの時間を短縮できたり、ブランケットの早期の膨潤や交換を抑えることができたり、洗浄資材の無駄をなくすことができる。
【0052】
また、本実施形態では、操作者が連続洗浄モードに関する設定を行うための画面上で、洗浄布当接回数入力枠64とゴム胴回転数入力枠65に所定の数が入力して、連続洗浄モードの洗浄内容を設定する。よって、操作者の要望に応じて、連続洗浄モードの洗浄内容をフレキシブルに設定できる。なお、独立洗浄モードにおいても同様であり、洗浄内容をフレキシブルに設定できる。
【0053】
また、本実施形態の洗浄作業は、印刷機1によって印刷される全ての印刷枚数のうち、一部の印刷枚数の印刷作業が行われた後に行われ、その後には再び印刷作業を行う。よって、印刷の途中でゴム胴32や圧胴33の汚れを洗浄することができる。
【0054】
また、本実施形態では、すべての印刷枚数分の印刷が終わるまでに、印刷作業と洗浄作業を繰り返す。よって、全ての枚葉紙に対して一定の質での印刷を行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、すべての印刷枚数分の印刷が終わるまでにおいて、所定枚数分の印刷作業が終わる度に洗浄作業が行われ、洗浄作業ごとに本洗浄モードのランクの設定と、連続洗浄モードによる洗浄内容の設定を行うことができる。よって、所定枚数分の印刷作業によって生じる汚れに対して、何度も連続洗浄モードによる洗浄内容の設定が行われるため、より最適な洗浄内容を設定でき、洗浄資材の無駄を減らしたり、洗浄時間を短縮したりすることができる。さらには、印刷品質を好適に維持できる。
【0056】
また、本実施形態では、本洗浄モードよりも弱い洗浄力の独立洗浄モードによる洗浄を行うことができる。よって、例えば、独立洗浄モードによる洗浄のみを行うことにより、ゴム胴32に対して本洗浄モードによる洗浄よりも洗浄時間の短い洗浄を行うことができる。さらに、例えば、本洗浄モードによる洗浄の前及び/又は後に、独立洗浄モードによる洗浄を行うことで、洗浄時の状況に応じて、ゴム胴32に対して本洗浄モードによる洗浄よりも洗浄時間の短い洗浄を行うこともできる。したがって、本洗浄モードと独立洗浄モードとの組み合わせにバリエーションを持たせて、様々な組み合わせの洗浄を行うことができる。
【0057】
また、本実施形態では、連続洗浄モードと独立洗浄モードとはどちらか一方のみを選択可能に構成されている。即ち、制御部Dは、独立洗浄モードの実行を指示された場合には、すなわち、操作者が洗浄開始ボタン67を押した場合は、本洗浄モードによる洗浄とは独立してゴム胴32を洗浄するようブランケット洗浄装置4を制御し、連続洗浄モードの実行を指示された場合には、本洗浄モードによる洗浄の後、連続洗浄モードによる洗浄を行うようブランケット洗浄装置4を制御する。よって、例えば、洗浄時の状況に応じて、連続洗浄モードと独立洗浄モードの洗浄を使い分けることができる。
【0058】
また、本実施形態では、複数の印刷ユニット3に対して行われる連続洗浄モードによる洗浄内容及び洗浄力は同一である。そのため、複数の印刷ユニット3において、圧胴33からゴム胴32に移り、且つ本洗浄モードによる洗浄では落ちなかった汚れを落とすことができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0060】
上記実施形態では、印刷部Bは、最大6色の印刷が行えるように6台の印刷ユニット3を備えていたが、6色以外の色、例えば5色以下又は7色以上の印刷が行えるように、印刷部Bが単数又は複数の印刷ユニット3を備えていてもよい。
【0061】
上記実施形態においては、本洗浄モードで選択設定された2番目から5番目の印刷ユニット3で洗浄が行われ、連続洗浄モードに関する設定を行うための画面(図5参照)では、本洗浄モードでの上記選択設定に連動して2番目から5番目のボタン60が自動で灰色の表示がなされ、2番目から5番目の印刷ユニット3で連続洗浄モードでの洗浄が行われる構成であったが、連続洗浄モードに関する設定を行うための画面において、自動で灰色の表示されている番号のボタン60を押して灰色から白色へ表示を変更することができるようし、連続洗浄モードでの洗浄が不要な印刷ユニット3については、連続洗浄モードでの洗浄を実行しないように構成することもできる。
【0062】
上記実施形態では、連続洗浄モードに基づく洗浄は、本洗浄モードで圧胴同時洗浄の後に行われる場合について説明した。しかし、これに限らず、連続洗浄モードに基づく洗浄は、本洗浄モードに基づいてゴム胴32のみを洗浄した後に行われてもよい。この場合、選択ボタン62は、ボタン61が非選択状態で白色に点灯している場合であっても押すことができるよう設定される。
【0063】
また、本洗浄モードでは、版胴30と接触するゴム胴32を洗浄するようにしてもよい。この場合、制御部Dは、ゴム胴32と版胴30とを接触させるべく、印刷ユニット3を制御する。よって、この場合には、本洗浄モードに基づいて版胴30及びゴム胴32を洗浄した後、連続洗浄モードに基づいてゴム胴32のみを続けて洗浄することが考えられる。これにより、版胴30に付着したインキを、ゴム胴32を介して版胴30から除去できる。
【0064】
上記実施形態及び上記の説明では、連続洗浄モードによってゴム胴32のみの洗浄を行う場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、連続洗浄モードによって圧胴33及び/又は版胴30に接触するゴム胴32を洗浄してもよい。即ち、連続洗浄モードによって、ゴム胴32と版胴30及び/又は圧胴33とを同時に洗浄してもよい。
【0065】
上記実施形態では、独立洗浄モードに基づいてブランケット洗浄装置4がゴム胴32のみを洗浄する場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば、独立洗浄モードに基づいてブランケット洗浄装置4がゴム胴32と、該ゴム胴32に接触する版胴30及び/又は圧胴33とを洗浄してもよい。
【0066】
また、上記実施形態の「洗浄」とは、洗浄布44によってゴム胴32の外周面に付着したインキを拭き取ることであった。しかし、これに限らず、例えば、ブラシによりゴム胴32の外周面に付着したインキ等の汚れを落とし、又は洗浄液や水をゴム胴32の外周面につけてゴム胴32の外周面に付着したインキ等の汚れを流すことを「洗浄」としてもよい。この場合、ブランケット洗浄装置4の構成は上記実施形態の構成に限定されず、上述した洗浄の態様に合わせて、構成を変更してもよい。さらに、上記実施形態では、洗浄布に洗浄液が含浸されていたが、例えば、スプレー装置により洗浄液をゴム胴32や洗浄布44に吹きかけるといったように、洗浄の態様に合わせて洗浄液の供給態様を変更してもよい。
【0067】
また、洗浄モード(具体的には、洗浄作業として最初に行う洗浄モード)による洗浄よりも前に、水によりゴム胴32等の胴に付着した紙粉を落とすようにしてもよい。この場合、例えば、印刷機1はゴム胴32等の胴に対して水を吐出する水吐出部を備え、制御部Dは水吐出部に接続される。そして、操作者が印刷機1に対して洗浄作業の実行を指示すると、制御部Dが水吐出部に対して水を吐出するよう制御することが考えられる。これにより、洗浄モードによる洗浄よりも前の段階で、ゴム胴32等の胴に付着した紙粉を水で落とすことができ、洗浄モードによる洗浄で除去する汚れを減らすことができる。
【0068】
上記実施形態では、印刷機1(具体的には、制御部Dが備えるROM7)には洗浄を行うための洗浄モードが記憶されていた。しかし、これに限らず、例えばオペレーションスタンドが記憶部を備え、この記憶部に洗浄モードが記憶されていてもよい。この場合、制御部Dは記憶部と接続され、記憶部に記憶された洗浄モードに基づいて、制御部Dはゴム胴32等の胴やブランケット洗浄装置4を制御する。なお、上記実施形態において、制御部Dは、オペレーションスタンドに設けられていたが、オペレーションスタンド以外の場所に設けられていてもよい。
【0069】
上記実施形態では、ゴム胴32に対するパッド43の接離回数が少なくなることにより、連続洗浄モード及び独立洗浄モードの洗浄力が本洗浄モードの洗浄力よりも弱くなるように設定されていた。しかし、これに限らず、例えば、ゴム胴32に対するパッド43の当接1回の間のゴム胴32の回転数を少なくすることや、パッド43のゴム胴32への押し付け力を弱めることにより、連続洗浄モード及び独立洗浄モードの洗浄力が本洗浄モードの洗浄力よりも弱くなるように設定されていてもよい。
【0070】
上記実施形態では、複数の印刷ユニット3に対して行われる連続洗浄モードによる洗浄内容及び洗浄力は同一であった。しかし、これに限らず、印刷ユニット3それぞれに対して行われる連続洗浄モードによる洗浄力及び洗浄内容を異なるようにしてもよい。この場合、印刷ユニット3ごとに連続洗浄モードによる洗浄内容を設定できるものとする。よって、例えば、印刷作業時に多く使用した色の印刷ユニット3に対しては洗浄力及び洗浄内容を強くして、あまり使用しなかった色の印刷ユニット3に対しては洗浄力及び洗浄内容を弱くするといった設定が可能になる。
【0071】
上記実施形態では、1台の印刷機1に対して洗浄作業を行う場合について説明した。ここで、例えば複数の印刷機1に対して洗浄作業を行う場合には、操作者は、一つのタッチパネル6を操作して、複数の印刷機1に対して洗浄作業の実行を指示してもよい。
【0072】
上記実施形態では、ゴム胴32に対して接近及び離反可能に設置されたブランケット洗浄装置4が、ゴム胴32に接近した接近位置に移動しているときにパッド43を覆う洗浄布44がゴム胴32に当接してゴム胴32を洗浄する構成であったが、ブランケット洗浄装置4のパッド43のみがゴム胴32に対して接近及び離反可能に設置され、パッド43がゴム胴32に対して接近しているときにパッド43を覆う洗浄布44がゴム胴32に当接してゴム胴32を洗浄する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:印刷機、2:フィーダーボード、3:印刷ユニット、30:版胴、31:インキローラ群、32:ゴム胴、33:圧胴、34:渡し胴、4:ブランケット洗浄装置、40:洗浄装置本体、41:繰出し軸、42:巻取り軸、43:パッド、44:洗浄布、5:チェーン搬送装置、50:スプロケット、51:スプロケット、52:チェーン、6:タッチパネル、60:ボタン、61:ボタン、62:選択ボタン、63:選択ボタン、64:洗浄布当接回数入力枠、65:ゴム胴回転数入力枠、66:可否表示、67:洗浄開始ボタン、68:ボタン、7:ROM、8:RAM、A:給紙部、B:印刷部、C:排紙部、D:制御部、D1:マイクロプロセッサ、D2:インターフェース
図1
図2
図3
図4
図5