(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024118046
(43)【公開日】2024-08-30
(54)【発明の名称】駐車場案内システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240823BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240823BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/0969
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023024219
(22)【出願日】2023-02-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 武
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB02
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB33
2F129BB66
2F129CC07
2F129DD03
2F129DD04
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2F129DD40
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2F129EE02
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2F129EE52
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2F129FF02
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2F129FF18
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF47
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2F129FF60
2F129HH02
2F129HH12
5H181AA01
5H181BB04
5H181EE10
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181KK06
(57)【要約】
【課題】利用者の要望に沿った駐車場を案内可能なシステムを提供する。
【解決手段】施設の駐車場の位置と、前記駐車場における駐車料金と、を含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得部と、利用者が前記駐車場に車両を駐車させて前記施設を利用する際に要する時間についての要望と、前記利用者が前記駐車場を利用する際に要する金銭についての要望と、との少なくとも一方を含む要望情報を取得する要望情報取得部と、前記駐車場情報と前記要望情報とに基づいて、前記要望情報を満たす前記駐車場を判定する判定部と、判定した前記駐車場を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記判定部は、前記要望情報のうち全ての要望を満たす前記駐車場を、前記要望情報を満たす前記駐車場と判定し、前記要望情報のうち少なくとも1つの要望を満たさない前記駐車場は、前記要望情報を満たす前記駐車場とは判定しない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の駐車場の位置と、前記駐車場における駐車料金と、を含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得部と、
利用者が前記駐車場に車両を駐車させて前記施設を利用する際に要する時間についての要望と、前記利用者が前記駐車場を利用する際に要する金銭についての要望と、との少なくとも一方を含む要望情報を取得する要望情報取得部と、
前記駐車場情報と前記要望情報とに基づいて、前記要望情報を満たす前記駐車場を判定する判定部と、
判定した前記駐車場を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、
前記判定部は、前記要望情報のうち全ての要望を満たす前記駐車場を、前記要望情報を満たす前記駐車場と判定し、
前記要望情報のうち少なくとも1つの要望を満たさない前記駐車場は、前記要望情報を満たす前記駐車場とは判定しない、
駐車場案内システム。
【請求項2】
前記金銭についての要望は、前記駐車場を利用する際に要する前記金銭の上限値を含み、
前記判定部は、
推定支払額が前記上限値以下となる前記駐車場を、前記要望情報を満たす前記駐車場と判定する、
請求項1に記載の駐車場案内システム。
【請求項3】
前記駐車場は、前記施設の周辺の駐車場のうち前記施設を含む所定範囲内に存在する近傍駐車場と、前記所定範囲外に存在する一般駐車場の位置と、を含み、
前記時間についての要望は、前記近傍駐車場に駐車する際の待ち時間を含み、
前記判定部は、
前記待ち時間以下で、前記利用者の徒歩で前記施設に到着可能な前記一般駐車場が存在する場合に、当該駐車場を、前記要望情報を満たす前記駐車場と判定する、
請求項1に記載の駐車場案内システム。
【請求項4】
前記時間についての要望は、前記駐車場から前記施設まで徒歩で移動する際の所要時間の上限値を含み、
前記判定部は、
前記所要時間の前記上限値以下で徒歩によって移動可能な前記駐車場を、前記要望情報を満たす前記駐車場と判定する、
請求項1に記載の駐車場案内システム。
【請求項5】
前記駐車場は、前記施設の周辺の駐車場のうち前記施設を含む所定範囲内に存在する近傍駐車場と、前記所定範囲外に存在する一般駐車場の位置と、を含み、
前記判定部は、
前記所要時間の前記上限値が閾値以下である場合に、前記所要時間が前記閾値以下の前記近傍駐車場を、前記要望情報を満たす前記駐車場と判定する、
請求項4に記載の駐車場案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車場を案内するためのシステムが知られている。例えば特許文献1には、駐車場での待ち時間と、駐車場までの走行時間と、駐車場から目的地までの所要時間と、の総和が最小となる駐車場を案内するシステムが記載されている。また、特許文献2には、駐車場までの距離、駐車料金、および、駐車場の空き率(または待ち時間)に対して重視する条件に応じた重み付けをして、ユーザに案内する駐車場を決定するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-57188号公報
【特許文献2】特開平10-239076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、駐車場を利用する利用者の要望に沿った案内ができないおそれがある。駐車場に対する要望は利用者によって様々であり、当該利用者には、例えば駐車場における待ち時間が長くても施設等の目的地までの距離が短いことを望む利用者、駐車料金は高くても施設等の目的地までの距離が短いことを望む利用者、または、施設等の目的地までの距離が遠くても駐車料金が安いことを望む利用者などが想定される。従来のシステムでは、このような多様な利用者に対して要望に沿った駐車場の案内ができない可能性があり、ひいては利用者に望まない駐車場へ案内するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、利用者の要望に沿った駐車場を案内可能なシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、駐車場案内システムは、施設の駐車場の位置と、前記駐車場における駐車料金と、を含む駐車場情報を取得する駐車場情報取得部と、利用者が前記駐車場に車両を駐車させて前記施設を利用する際に要する時間についての要望と、前記利用者が前記駐車場を利用する際に要する金銭についての要望と、との少なくとも一方を含む要望情報を取得する要望情報取得部と、前記駐車場情報と前記要望情報とに基づいて、前記要望情報を満たす前記駐車場を判定する判定部と、判定した前記駐車場を表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記判定部は、前記要望情報のうち全ての要望を満たす前記駐車場を、前記要望情報を満たす前記駐車場と判定し、前記要望情報のうち少なくとも1つの要望を満たさない前記駐車場は、前記要望情報を満たす前記駐車場とは判定しない。
【0007】
すなわち、駐車場案内システムでは、駐車場情報と、利用者の要望情報と、に基づいて、当該利用者の要望に応じた駐車場を判定する。具体的には、駐車場案内システムは、利用者の駐車場を利用する際の金銭についての要望と、駐車場を利用する際の時間についての要望と、の少なくとも一方を満たす駐車場を判定する。このように判定した駐車場は、利用者の要望の全てを満たす駐車場であるため、例えば幾つかのパラメータを総合的に判断した結果に基づく駐車場が案内される場合に比べて、利用者の要望の反映度が高くなる。つまり、従来のシステムでは、複数のパラメータを総合的に判断して利用者の要望に近い駐車場を案内が可能だが、必ずしも利用者の要望を満たすとは限らない。それに対して、駐車場案内システムでは、利用者の要望の全てを満たす駐車場しか案内しないため(言い換えれば1つでも要望を満たさないなら要望を満たす駐車場は存在しないと判定する)、利用者の要望に合致する駐車場のみが案内されることになる。その結果、利用者が望まない駐車場が案内されることがなく、つまり、利用者の要望に沿った駐車場を案内することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】駐車場案内システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】駐車場案内処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5Aは現在地から駐車場までの経路案内の一例を示す図であり、
図5Bは、駐車場周辺における駐車場までの経路案内の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)システムの構成:
(1-1)管理者端末の構成:
(1-2)利用者端末の構成:
(1-3)駐車場案内システムの構成:
(2)駐車場案内処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)システムの構成:
図1は、本発明における駐車場案内システム10の構成を示すブロック図である。本実施形態における駐車場案内システム10は、車両で目的地が設定された際に、その設定された目的地である施設を利用するための駐車場を利用者に案内するシステムである。ここで施設とは、デパート、ショッピングセンター、飲食店、および、公園等の公共施設などが含まれる。また、利用者は、車両の運転者や搭乗者が想定される。利用者は、ユーザI/F部を操作して目的地を入力すると、駐車場案内システム10から利用者の要望に応じた駐車場が案内される。施設には、施設を利用する際に利用者が利用可能な駐車場が予め用意されている。駐車場には、施設内の駐車場(例えば施設の地下駐車場、施設の第1駐車場など)、施設から所定範囲内(例えば100m以内)に存在する当該施設が管理する駐車場(例えば施設の第2駐車場、第3駐車場)、および、施設から所定範囲外であって、徒歩で施設まで歩くことが可能な位置(例えば1000m以内)に存在する施設と提携する駐車場が含まれる。なお、これ以降の説明では、施設内の駐車場、および、施設から所定範囲内の駐車場を「近傍駐車場」と称し、施設から所定範囲外に存在し施設と提携する駐車場を「一般駐車場」と称す。利用者は、近傍駐車場や一般駐車場に車両を駐車させ、徒歩によって当該駐車場から施設まで移動する。なお、これ以降の説明において、単に駐車場と記す場合には、近傍駐車場と一般駐車場とを含む意味である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態における駐車場案内システム10は、例えば据置型の汎用コンピュータやクラウド型のサーバ等であり、通信を介して利用者端末100、および、管理者端末200と協働する。利用者端末100は、車両の運転者や搭乗者である利用者が使用する端末である。管理者端末200は、駐車場を管理する管理者が使用する端末である。なお、本実施形態においては、管理者は、近傍駐車場および一般駐車場を管理する。また、利用者は複数存在し得るが、以下に説明する例においては、1人の利用者に着目して説明を行う。
【0012】
(1-1)管理者端末の構成:
管理者端末200は、施設の駐車場の管理を行う管理者が使用する端末である。管理者端末200は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部210と、他の装置と通信を行うための通信部220を備えている。また、管理者端末200は、管理者に対して各種の情報を提供し、管理者の入力を受け付けるためのユーザI/F部230を備えている。ユーザI/F部230は、管理者の入力を受け付ける他、管理者に各種の情報を提供するための、図示しないタッチパネル等のディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。
【0013】
本実施形態において制御部210は、通信部220を介して駐車場案内システム10と通信を行うことができる。制御部210は、記録媒体240に記録された図示しないプログラムを実行することができる。当該プログラムには、駐車場案内システム10に対して、利用者に案内する駐車場を判定させるための情報となる駐車場情報を生成するためのプログラムが含まれる。
【0014】
図2は、本実施形態における駐車場情報の一例を示す図である。駐車場情報は、利用者に案内する駐車場を判定するためのパラメータである。すなわち、駐車場情報は、駐車場案内システム10に当該案内する駐車場を判定させるために出力する情報である。したがって、生成された駐車場情報は、駐車場案内システム10に送信される。
図2には、各施設に対応付けられている駐車場情報のうちの1つの駐車場に対応付けられた駐車場情報の例を示している。
図2に示されるように、駐車場情報には、駐車場IDと、駐車場種別と、駐車場位置と、駐車場位置から施設までの距離/時間と、単位時間当たりの駐車料金と、渋滞度、現在の混雑度、とが含まれている。
【0015】
駐車場IDは、各駐車場の識別情報を示し、
図2に示すように、この駐車場IDに駐車場種別などの各種情報が対応付いている。
【0016】
駐車場種別は、駐車場の種別を示す情報である。上述のように、本実施形態においては、駐車場には、近傍駐車場と一般駐車場とが含まれる。
図2に示す例では、例えば駐車場ID「P1」に近傍駐車場を示す「近傍」が対応付いている。
【0017】
駐車場位置は、駐車場が位置する地点であり、
図2に示すように、P1(X
1,Y
1)などのように、駐車場の識別情報(P1)と座標((X
1,Y
1))とが対応付いている。
【0018】
駐車場から施設までの距離/時間における、駐車場から施設までの距離は、各駐車場の位置と施設とを徒歩で移動した場合の最短距離である。また、駐車場から施設までの時間は、当該最短距離の道路を徒歩で移動した場合に要する所要時間である。
図2に示す例では、例えば駐車場ID「P1」に施設までの距離「0m/0分」が対応付いている。すなわち、駐車場ID「P1」の駐車場は、施設内の駐車場である。一方、駐車場ID「P2」には、施設までの距離「1000m/13分」が対応付いており、駐車場ID「P2」の駐車場は、施設から離れた駐車場であることが把握できる。なお、最短距離を求めるための経路探索は、例えば外部の経路探索サーバ(図示せず)より実行され、管理者端末200に送信される。経路探索サーバは、各駐車場から施設までの2地点間を最小の移動コストで移動可能な経路を、例えばダイクストラ法、A*アルゴリズム、または、これらの改良型アルゴリズムなどの公知のアルゴリズムによって探索するサーバである。また、徒歩で移動した場合における所要時間は、例えば徒歩1分で進む距離を80mとして求める。また、本実施形態においては、駐車場位置から施設までの距離と、当該施設までの時間、とを示しているが、駐車場情報には、少なくとも一方の情報が含まれていればよい。
【0019】
単位時間当たりの駐車料金は、各駐車場における1時間当たりの駐車料金である。
図2に示す例では、施設までの距離が近いほど、ならびに、施設までの時間が短いほど、当該駐車料金が高くなっている。なお、駐車料金は、従来知られているように、1日当たりの上限金額などが設定されていてもよい。
【0020】
渋滞度は、各駐車場における過去の渋滞の実績から求まる渋滞の度合いを示す指標であって、例えば季節(例えば、春夏秋冬等)、曜日(例えば、平日、休日等)、時間帯(例えば、午前、昼、夕方等)の組合せに対して混雑度が対応付けられている。混雑度は、混雑の程度を示し、例えば混雑、やや混雑、空きの3段階で定義する。この混雑度は、例えば、各駐車場の入出ゲートにカメラ等のセンサを設け、単位時間当たりの車両の入出ゲートでの待機時間をカウントして定義する。例えば単位時間当たりの待機時間が第1閾値未満(例えば2分以内)である場合には、スムーズに車両が出入りしていると想定して混雑度を"空き"と定義し、当該入出ゲートでの待機時間が第1閾値より大きい第2閾値以上(例え20分以上)の場合には、車両の出入りが停滞していると想定して混雑度を"混雑"と定義し、当該入出ゲートでの待機時間が第1閾値以上かつ第2閾値未満の場合には混雑度を"やや混雑"とする。
図2に示す例では、一例として駐車場ID「P1」の夏の休日の渋滞度を示している。この
図2から把握できるように、駐車場ID「P1」の駐車場では、夏の休日において、午後が最も混雑し、順に夕方、午前となっている。また、図示しないが、この渋滞度には、"混雑、やや混雑、空き"のそれぞれの渋滞度に応じて、想定される駐車場での待ち時間が定義されている。例えば渋滞度が"混雑"の場合には、待ち時間20分、当該渋滞度が"やや混雑"の場合には待ち時間10分、当該渋滞度が"空き"の場合には、待ち時間0分と定義される。なお、この待ち時間は、例えばそれぞれの渋滞度(混雑、やや混雑、空き)における待ち時間の平均し、当該平均した時間を待ち時間のデータとして記録しておく。
【0021】
現在の混雑度は、各駐車場における現在の混雑状況を示す。
図2に示す例では、例えば駐車場ID「P1」の駐車場は、現在、満車であることが把握できる。
図2に示す例では、当該現在の混雑度は、満車か空車の2種類で示しており、すなわち1台分でも駐車枠に空きがあれば空車となる。なお、現在の混雑度を示す定義は、このような満車と空車との2種類に限られず、例えば空車のなかでも駐車場の台数の割合に応じて空車の度合いを定義してもよい。例えば駐車場の台数に対して、所定割合(例えば8割)未満が駐車の状態である場合(言い換えれば、少なくとも2割は空いている状態の場合)には「空車」と定義し、所定割合(例えば8割)以上が駐車されており、少なくとも1台は空いている場合には、「混雑」などと定義してもよい。
【0022】
このように駐車場情報が生成され、生成された当該駐車場情報は、記録媒体240に駐車場情報240aとして記録される。なお、この駐車場情報240aのうち、現在の混雑度以外の情報は、上述した季節毎(例えば春、夏、秋、冬)または数ヶ月に1度、更新され、当該更新された情報が駐車場案内システム10に送信される。また、駐車場情報240aのうち現在の混雑度を示す情報は、短時間毎(例えば1分毎)に更新され、当該更新された情報が駐車場案内システム10に送信される。送信された駐車場情報240aは、駐車場案内システム10の記録媒体30に記録される。
【0023】
(1-2)利用者端末の構成:
利用者端末100は、車両の運転者や搭乗者が使用する端末であり、利用者端末100は、例えば車両に搭載されている端末や運転者や搭乗者自身が携帯する携帯端末等で実現される。利用者端末100は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部110、記録媒体120、他の装置と通信を行うための通信部130、GNSS受信部140、および、ユーザI/F部150を備えている。ユーザI/F部150は、利用者の指示を入力し、また利用者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。
【0024】
記録媒体120には、各種の情報を記録することができる。本実施形態においては、要望情報120aと地図情報120bとが記録される。要望情報120aは、利用者が駐車場を利用する際の要望であって、利用者に案内する駐車場を判定するためのパラメータである。すなわち、要望情報120aは、駐車場案内システム10に当該案内する駐車場を判定させるために出力する情報である。この要望情報120aは、利用者がユーザI/F部150を操作して目的地を入力する際に、併せて入力することで生成される。したがって、生成された要望情報120aは、目的地の情報と共に、駐車場案内システム10に送信される。
【0025】
図3は、本実施形態における要望情報120aの一例を示す図である。要望情報120aには、利用者IDと、施設滞在予定時間と、駐車上限金額と、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内するかの要望と、駐車場から施設までの徒歩可能時間/距離と、が含まれ、利用者IDに少なくともいずれかの情報が対応付けられている。なお、
図3においては、作図の都合上、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内するかの要望について「待ち時間≧徒歩時間で案内」と記している。
【0026】
利用者IDは、利用者の識別情報を示し、
図3に示すように、この利用者IDに施設滞在予定時間などの各種情報が対応付いている。
【0027】
施設滞在予定時間は、利用者が、目的地である施設に滞在する予定時間であって、当該予定時間は、利用者がユーザI/F部150を操作して入力する。
図3に示す例では、利用者ID「001」に、施設滞在予定時間「2時間」が対応付いている。つまり、利用者ID「001」の利用者は、目的地である施設で2時間滞在する予定あることが把握できる。
【0028】
駐車上限金額は、利用者が駐車場に車両を駐車させて目的地である施設を利用する際に要する金銭についての要望の一例であって、利用者が駐車場の利用の際に支払う金額の上限金額である。
図3に示す例では、「3,000円」となっている。なお、これ以降の説明においては、特に説明する場合を除いて、利用者が駐車場に駐車させて目的地である施設を利用する際に要する金銭についての要望を、単に「金銭についての要望」と記す。
【0029】
近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内するかの要望は、利用者が駐車場に車両を駐車させて目的地である施設を利用する際に要する時間についての要望の一例である。利用者が近傍駐車場に車両を駐車させることができず、入場待ちの車列に並んで待っている間に、当該利用者を他の一般駐車場に案内できる場合がある。例えば近傍駐車場での待ち時間以下の時間で、一般駐車場に駐車して徒歩で施設に到着できる可能性がある。このような場合に、当該一般駐車場に駐車することを望む利用者が存在し得る。そこで、本実施形態における要望情報120aでは、この近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内するかの要望が含まれている。
図3に示す例では、利用者は、当該要望を望むことから「Y」となっている。
【0030】
駐車場から施設までの徒歩可能時間/距離は、駐車場から施設まで徒歩で移動する際の所要時間または距離としての上限値であって、利用者が駐車場に車両を駐車させて目的地である施設を利用する際に要する時間についての要望の一例である。
図3に示す例では、利用者の徒歩可能時間「10分」であって、距離は「800m」となっている。なお、これ以降の説明においては、特に説明する場合を除いて、利用者が駐車場に駐車させて目的地である施設を利用する際に要する時間についての要望を、単に「時間についての要望」と記す。
【0031】
このように要望情報120aが生成され、生成された当該要望情報120aは、利用者がユーザI/F部150を操作して目的地を入力する際に、駐車場案内システム10に送信される。送信された要望情報120aは、駐車場案内システム10の記録媒体30に記録される。なお、要望情報120aは、上述のように、利用者が駐車場を利用する際の要望であり、
図3の例のように金銭について要望と時間についての要望とを含む場合もあるが、これら要望のうち一部だけの要望(例えば金銭についての要望、時間についての要望の一部など)である場合や、いずれの要望もない場合もあり得る。
【0032】
また、要望情報120aは、利用者が目的地の入力の都度、ユーザI/F部150を操作して入力する他、利用者の履歴から要望情報の内容が特定されてもよい。また、上述の施設滞在予定時間は、他人を含む一般利用者の統計等から特定されてもよい。また、
図3には図示しないが、要望情報120aとして、その他、近傍駐車場で待つことが可能な時間である待ち時間の上限値などが記録されていてもよい。
【0033】
地図情報120bは、経路の探索や車両の位置の特定に利用される情報であり、車両が走行する道路区間の端点に対応するノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路やその周辺に存在する施設を示す施設データ等を含んでいる。ここで、ノードは、交差点に対応し、リンクは、交差点から交差点までの道路区間に対応する。リンクデータには、国道、県道といった道路種別が割り当てられている。リンクデータにはリンクコストを示す情報が対応付けられる。
【0034】
施設データは、施設の名称、属性、位置等を示す情報であり、施設データが示す施設には、上述のデパート、ショッピングセンター、飲食店、公園等の公共施設に加えて、駐車場が含まれる。駐車場は、車両を駐車可能な施設であり、上述のように、目的地となる施設(例えばデパート)を含む施設から所定範囲内に存在する近傍駐車場と、当該施設から所定範囲外に存在する一般駐車場と、を含む。施設の属性が駐車場である場合、少なくとも駐車場の位置および名称を示す情報が施設データに含まれる。本実施形態においては、駐車場が、目的地となる施設(例えばデパート)の利用の際に利用可能な駐車場である場合、駐車場を示す施設データには、当該施設(例えばデパート)の利用の際に利用可能な駐車場であることを示す情報が含まれる。なお、小さい商店等の施設によっては、利用可能な駐車場において車両を駐車させる際の駐車枠が決まっている場合がある。そのような駐車場を示す施設データには、利用可能な駐車枠の識別情報が含まれている。なお、本実施形態において、施設データには、施設の形状を示すポリゴン情報が含まれている。
【0035】
GNSS受信部140は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置であり、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を出力する。制御部110は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。なお、車両の現在位置を取得するための構成は、GNSS受信部140に限定されず、他にも種々の構成を採用可能である。例えば車両の現在位置は、GNSS受信部140からの信号に加え、図示しない車速センサやジャイロセンサからの信号に基づいて特定されてもよい。車速センサおよびジャイロセンサは、車両の走行軌跡を特定するために利用され、車両の出発位置と走行軌跡とに基づいて現在位置が特定され、当該出発位置と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在位置がGNSS受信部140の出力信号に基づいて補正される。
【0036】
本実施形態において制御部110は、通信部130を介して駐車場案内システム10と通信を行うことができる。制御部110は、記録媒体120に記録された図示しないプログラムを実行することにより、各種の機能を実現することができる。本実施形態において、制御部110は、図示しないプログラムにより、車両の現在位置の取得と経路案内とを行う。制御部110は、GNSS受信部140の出力に基づいて車両の現在位置を定期的に取得し、取得した現在位置の情報を、通信部130を介して駐車場案内システム10に送信する。そして、制御部110は、駐車場案内システム10から出力された駐車場の位置、走行予定経路が重畳された地図を取得し、当該取得した地図をユーザI/F部150の表示部に表示させることで経路案内を行う。
【0037】
(1-3)駐車場案内システムの構成:
駐車場案内システム10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、記録媒体30、通信部40を備えている。通信部40は、上述の利用者端末100、および、管理者端末200と情報の授受を行う回路を備えている。制御部20は、通信部40を介してこれら利用者端末100、および、管理者端末200と通信を行うことができる。
【0038】
記録媒体30には、駐車場情報30aと、要望情報30bと、地図情報30cと、が記録される。駐車場情報30aは、
図2を参照しつつ説明したように、上述の管理者端末200によって生成された情報が駐車場案内システム10に対して送信されることにより、当該記録媒体30に記録される。また、要望情報30bは、
図3を参照しつつ説明したように、上述の利用者端末100によって生成された情報が駐車場案内システム10に対して送信されることにより、当該記録媒体30に記録される。そして、これら駐車場情報30aと、要望情報30b、とは、利用者に案内する駐車場を判定する際のパラメータとなる。なお、地図情報30cは、上述の利用者端末100の記録媒体120に記録された地図情報120bと同様であるため、詳細な説明については省略する。
【0039】
制御部20は、記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして、駐車場案内プログラム21を実行可能である。駐車場に対する利用者の要望は様々であり、従来知られている駐車場を案内するシステムでは、多様な利用者に対して要望に沿った駐車場を案内できないおそれがある。そこで、本実施形態においては、上述の駐車場情報30aと、要望情報30bと、に基づいて、利用者の要望を満たす駐車場を判定し案内する。駐車場案内プログラム21は、利用者の要望を満たす駐車場を判定し案内するためのプログラムである。駐車場案内プログラム21が実行されると、制御部20は、駐車場情報取得部21a、要望情報取得部21b、判定部21c、および、表示制御部21dとして機能する。なお、以下において、駐車場情報取得部21a、要望情報取得部21b、判定部21c、および、表示制御部21d行うものとして記載する処理は、制御部20により実現される処理である。
【0040】
駐車場情報取得部21aは、デパート等の施設の周辺の駐車場のうち当該施設を含む所定範囲内に存在する近傍駐車場の位置と、当該施設を含む所定範囲外に存在する一般駐車場の位置と、駐車場における駐車料金と、を含む駐車場情報を取得する機能である。すなわち、制御部20は、駐車場情報取得部21aの機能により、記録媒体30における駐車場情報30aを参照して、駐車場IDに対応付いた、近傍駐車場と一般駐車場とのそれぞれの位置、および、駐車場における駐車料金を取得する。なお、駐車場情報30aは、上述のように、管理者端末200によって生成され、生成された駐車場情報が駐車場案内システム10に送信されることで、記録媒体30に記録される。
【0041】
要望情報取得部21bは、利用者が駐車場に車両を駐車させて施設を利用する際に要する時間についての要望と、利用者が駐車場を利用する際に要する金銭についての要望と、を含む要望情報と、を取得する機能である。すなわち、制御部20は、要望情報取得部21bの機能により、記録媒体30における要望情報30bを参照して、施設滞在予定時間、駐車上限金額、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内するかの要望、および、徒歩可能時間/距離についての情報を取得する。なお、要望情報30bは、上述のように、利用者端末100によって生成され、当該生成された要望情報が駐車場案内システム10に送信されることで記録媒体30に記録される。
【0042】
判定部21cは、上述の駐車場情報30aと要望情報30bとに基づいて、要望情報30bを満たす駐車場を判定する機能である。すなわち、制御部20は、判定部21cの機能により、駐車場情報30aと要望情報30bとを参照して、利用者の要望に沿った駐車場を判定する。本実施形態においては、利用者が駐車場を利用する際の要望である要望情報30bには、上述の
図3で説明したように、金銭についての要望と時間についての要望とが含まれる。また、時間についての要望には、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内するかの要望と、駐車場から施設までの徒歩可能時間/距離についての要望と、が含まれる。制御部20は、この要望情報30bの内容に沿う駐車場を判定する。なお、これ以降の説明において、本実施形態では、「駐車場から施設までの徒歩可能時間/距離についての要望」について、駐車場から施設までの徒歩可能時間の要望として説明し、駐車場から施設までの徒歩可能距離についての要望は、他の実施形態で説明する。
【0043】
具体的には、金銭についての要望について、制御部20は、駐車場情報30aおよび地図情報30cを参照し、利用者が利用する施設の対象となる近傍駐車場と一般駐車場とを特定し、それぞれの駐車場における単位時間当たりの駐車料金を特定する。なお、利用者が利用する施設の情報は、要望情報30bと同じタイミングで利用者端末100から駐車場案内システム10に送信される。また、制御部20は、要望情報30bを参照して、利用者の施設滞在予定時間、および、駐車上限金額、を特定する。そして、制御部20は、近傍駐車場と一般駐車場とのそれぞれにおいて、単位時間当たりの駐車料金と施設滞在予定時間との積から利用者の推定支払額を求め、当該推定支払額が上限値である駐車上限金額以下となる駐車場を判定する。この条件を満たす駐車場が金銭についての要望を満たす駐車場となる。
【0044】
また、制御部20は、時間についての要望のうち、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内するかの要望について、駐車場情報30aを参照して、近傍駐車場の現在の混雑度(すなわち空車か満車かの情報)を特定する。制御部20は、当該現在の混雑度が満車である場合に、さらに過去の渋滞の実績から求まる渋滞度から予想される近傍駐車場における待ち時間を特定する。この近傍駐車場での待ち時間は、上述のように、駐車場情報30aにおける渋滞度に対応付いており、過去の実績に応じた時間となる。そして、特定した近傍駐車場の現在の混雑度が満車である場合には、制御部20は、一般駐車場のそれぞれについて、駐車場情報30aを参照して、一般駐車場の位置と、当該一般駐車場から施設まで徒歩で移動した場合の時間である徒歩所要時間と、を特定する。制御部20は、特定した当該徒歩所要時間のうち、近傍駐車場での予想される待ち時間より短い時間の徒歩所要時間を特定し、かつ当該待ち時間より短い時間の徒歩所要時間となる一般駐車場を特定する。すなわち、制御部20は、近傍駐車場における待ち時間以下で、利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場を判定する。なお、近傍駐車場の現在の混雑度が、空車である場合には、一般駐車場に加えて近傍駐車場も特定する駐車場の対象となる。以上の条件を満たす駐車場が、時間についての要望のうち、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望を満たす駐車場となる。
【0045】
また、制御部20は、時間についての要望のうち、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望ついて、駐車場から施設まで徒歩で移動する際の所要時間の上限値以下で徒歩によって移動可能な駐車場を、要望情報を満たす駐車場とする。具体的には、制御部20は、駐車場情報30aを参照して、各駐車場の位置と、当該各駐車場から施設まで徒歩で移動した場合の時間である徒歩所要時間と、を特定する。また、制御部20は、要望情報30bを参照して、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望(すなわち徒歩で移動する際の所要時間の上限値)を特定する。そして、制御部20は、当該徒歩可能時間で到達可能な駐車場を特定する。この特定される駐車場は、近傍駐車場と一般駐車場とが含まれていてよい。
【0046】
そして、制御部20は、上述の金銭についての要望と、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内するかの要望と、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望と、の3つの要望のうち、要望情報30bに含まれる全ての要望を満たす駐車場を利用者の要望情報を満たす駐車場とする。言い換えれば、要望情報30bのうち少なくとも1つの要望を満たさない駐車場は、利用者の要望情報を満たす駐車場とは判定しない。例えば、上述の要望のうちの3つ全てが要望情報30bに含まれる場合には、3つ全ての要望を満たす駐車場を利用者の要望情報を満たす駐車場とし、また例えば、上述の要望のうち2つ(または1つ)含まれる場合には、当該2つ(または1つ)の要望を満たす駐車場を利用者の要望情報を満たす駐車場とする。なお、この判定部21cの機能による処理の、より具体的な態様については
図4のフローチャートにて後述する。
【0047】
表示制御部21dは、判定部21cの機能により判定した駐車場をユーザI/F部150の表示部に表示させる機能である。すなわち制御部20は、表示制御部21dの機能により、判定部21cで判定した案内の候補となり得る駐車場の情報を利用者端末100に送信し、当該利用者端末100のユーザI/F部150の表示部に判定した駐車場を表示させる。そして、当該駐車場が複数ある場合には、複数の駐車場の情報を表示部に表示させて、利用者に当該複数の駐車場から案内する駐車場の選択を受け付ける。また、制御部20は、表示制御部21dの機能により、地図情報30cを参照して、利用者に案内する駐車場の位置を地図上に重畳させ、かつ当該駐車場への訪問経路を描画した情報を利用者端末100に送信し、当該利用者端末100のユーザI/F部150の表示部に当該訪問経路を含む地図を表示させる。具体的な態様については
図4のフローチャートにて後述する。
【0048】
この構成によれば、駐車場情報30aと、利用者の要望情報30bと、に基づいて、当該利用者の金銭についての要望と時間についての要望とに応じた駐車場を判定し、当該判定した駐車場をユーザI/F部150の表示部に表示させる。これにより、利用者の要望に沿った駐車場を案内することができる。
【0049】
(2)駐車場案内処理:
つぎに、制御部20が実行する駐車場案内処理について説明する。制御部20は、利用者が利用者端末100におけるユーザI/F部150を操作して目的地を入力した場合に、この駐車場案内処理を実行する。駐車場案内処理は、既定のトリガに応じて実行開始される。既定のトリガは、例えば、利用者がユーザI/F部150を操作して行う目的地の入力と、当該目的地の入力と併せて行う駐車場に対する要望である要望情報の入力と、が完了し、これらの情報が利用者端末100から駐車場案内システム10に送信され、当該情報を駐車場案内システム10が受信した場合である。なお、
図4に示す例では、利用者の入力によって目的地に設定された施設をデパートとして説明する。すなわち駐車場案内システム10は、利用者がデパートを利用する際の駐車場を案内する。また、この
図4に示す例では、利用者の駐車場に対する要望情報30bには、
図3で説明したように、金銭についての要望、および、時間についての要望の全て要望(すなわち3つの要望)が含まれるとして説明する。なお、要望情報30bに含まれる要望が1つまたは2つの例は、他の実施形態にて後述する。
【0050】
図4に示すように、駐車場案内処理が開始されると、制御部20は、先ず、駐車場情報取得部21aの機能により、駐車場情報30aおよび地図情報30cを参照して、利用者が入力した目的地である施設(デパート)の駐車場情報を取得する(ステップS1)。すなわち、制御部20は、地図情報30cを参照して、目的地であるデパートの駐車場を特定し、駐車場情報30aに基づいて当該特定した駐車場に対応した駐車場情報を取得する。ここで、特定する駐車場には、近傍駐車場および一般駐車場が含まれ、特定する駐車場の数は少なくとも1つ以上である。本実施形態においては、一例として、制御部20は、少なくとも近傍駐車場と一般駐車場とが1つずつ特定し、これら駐車場の情報を取得したとする。制御部20は、ステップS1において駐車場情報30aを取得したら、処理をステップS2に進める。
【0051】
ステップS2において、制御部20は、要望情報取得部21bの機能により、要望情報30bを取得する。すなわち、制御部20は、要望情報30bを参照して、利用者の施設を利用する際の駐車場に対する要望を取得する。そして、制御部20は、要望情報30bに要望内容をステップS3以降の処理において取得する。なお、要望情報30bは、上述のように、利用者がユーザI/F部150を操作して目的地を入力する都度、利用者端末100からから駐車場案内システム10に送信され、当該送信された要望情報が記録媒体30に要望情報30bとして記録される。制御部20は、要望情報30bを取得したら、ステップS3に処理を進め、要望情報30bの内容を特定する。
【0052】
ステップS3において、制御部20は、判定部21cの機能により、要望情報30bを参照し、当該要望情報30bに金銭についての要望があるかの判定を行う。本実施形態において、例えば
図3で説明したように、要望情報30bに金銭についての要望として、駐車上限金額が設定されている。したがって、このステップS3において、制御部20は、要望情報30bに金銭についての要望があると判定し、処理をステップS4に進める。なお、仮に、要望情報30bに、金銭についての要望がない場合には、処理をステップS5に進める。
【0053】
ステップS4において、制御部20は、判定部21cの機能により、金銭についての要望を満たす駐車場があるか否かを判定する。具体的には、制御部20は、駐車場情報30aを参照し、ステップS1で特定したデパートの対象の駐車場である近傍駐車場と一般駐車場とを特定し、それぞれの駐車場における単位時間当たりの駐車料金を特定する。また、制御部20は、要望情報30bを参照して、利用者の施設滞在予定時間、および、駐車上限金額、を特定する。そして、制御部20は、近傍駐車場と一般駐車場とのそれぞれにおいて、単位時間当たりの駐車料金と施設滞在予定時間との積から利用者の推定支払額を求め、当該推定支払額が上限値である駐車上限金額以下となる駐車場が存在するか否かを判定する。すなわち、制御部20は、利用者の金銭についての要望を満たす駐車場があるかを判定する。本実施形態においては、
図3に示すように、利用者の駐車上限金額は、「3,000円」であり、施設滞在予定時間は「2時間」である。また、利用者の利用するデパートの対象の近傍駐車場を
図2の駐車場P1、一般駐車場を
図2の駐車場P2、および、駐車場P3とする。その場合、利用者の近傍駐車場における推定支払額は、利用者の施設滞在予定時間(2時間)と、近傍駐車場の単位時間当たりの駐車料金(2,000円)と、の積で、「4,000円」となるので、利用者の駐車上限金額(3,000円)を超える。したがって、利用者の金銭についての要望を満たさないことになり、制御部20は、近傍駐車場P1を、利用者に案内する駐車場の対象から外す。一方、一般駐車場P2における推定支払額は、利用者の施設滞在予定時間(2時間)と、一般駐車場の単位時間当たりの駐車料金(500円)と、の積で、「1,000円」となるので、利用者の駐車上限金額(3,000円)を超えない。したがって、利用者の金銭についての要望を満たすことになり、制御部20は、一般駐車場P2を、利用者に案内する駐車場の対象とする。また、同様の方法で、利用者の一般駐車場P3における推定支払額を求めると、2,000円になるので、利用者の駐車上限金額を超えない。したがって、利用者の金銭についての要望を満たすことになり、制御部20は、一般駐車場P3を、利用者に案内する駐車場の対象とする。すなわち、このステップS4においては、一般駐車場である2つの駐車場(駐車場P2,P3)が案内の対象となる駐車場となる。制御部20は、ステップS4で金銭についての要望を満たす駐車場を判定したら処理をステップS5に進める。なお、仮に、ステップS4で、特定した駐車場のうち利用者の金銭についての要望を満たす駐車場がないと判定した場合には、制御部20は、
図4のフローチャートの処理を終了し、利用者の要望を満たす駐車場が見つからない旨を利用者端末100の表示部に表示させ、要望情報の再設定を促す。
【0054】
ステップS5において、制御部20は、判定部21cの機能により、要望情報30bを参照し、当該要望情報30bに時間についての要望があるかの判定を行う。本実施形態において、
図3で説明したように、利用者の要望情報30bに時間についての要望として、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望と、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望と、が含まれる。したがって、このステップS5において、制御部20は、要望情報30bに時間についての要望があると判定し、処理をステップS6に進める。なお、要望情報30bに、時間についての要望がない場合には、処理をステップS7に進める。
【0055】
ステップS6において、制御部20は、判定部21cの機能により、時間についての要望を満たす駐車場があるか否かを判定する。具体的には、制御部20は、ステップS4で判定した駐車場(一般駐車場P2,P3)のうち時間についての要望を満たす駐車場があるか否かを判定する。なお、ステップS6は、ステップS3で金銭についての要望があり(さらにステップS4で金銭についての要望を満たす駐車場があり)で、ステップS5で時間についての要望がある場合と、ステップS3で金銭についての要望がなしで、ステップS5で時間についての要望がある場合と、が想定できるが、上述のように
図3に示す例では、利用者の要望情報30bに金銭についての要望、および、時間についての要望が含まれることを前提としているため、ここではステップS3で金銭についての要望があると判定され、かつステップS5で時間についての要望があると判定された場合を例として説明する。
【0056】
本実施形態においては、時間についての要望として、上述のように、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望と、駐車場から施設までの徒歩可能時間の要望と、が含まれる。先ず、制御部20は、判定部21cの機能により、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望について対象となる駐車場があるか判定する。具体的には、制御部20は、駐車場情報30aを参照して、近傍駐車場P1の現在の混雑度(すなわち空車か満車かの情報)を特定し、さらに過去の渋滞の実績から求まる渋滞の度合いを示す指標である渋滞度から予想される近傍駐車場P1における待ち時間を特定する。この近傍駐車場での待ち時間は、上述のように、駐車場情報30aにおける渋滞度に対応付いており、過去の実績に応じた時間となる。例えば現在の近傍駐車場P1の現在の混雑度が「満車」で、過去の渋滞の実績から求まる近傍駐車場での待ち時間が「20分」であるとする。そして、制御部20は、一般駐車場P2,P3のそれぞれについて、駐車場情報30aを参照して、一般駐車場の位置を特定し、当該一般駐車場から施設までの徒歩で移動した場合の時間である徒歩所要時間を特定する。そして、制御部20は、特定した当該徒歩所要時間のうち、近傍駐車場での予想される待ち時間(すなわち20分)より短い時間の徒歩所要時間となる一般駐車場を抽出する。本実施形態においては、
図2に示すように、一般駐車場P2の施設からの徒歩所要時間は「13分」であり、一般駐車場P3の施設からの徒歩所要時間は「5分」であり、いずれの一般駐車場も近傍駐車場における待ち時間以下で、利用者の徒歩で施設に到着可能である。したがって、制御部20は、時間についての要望のうち、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望について、一般駐車場P2および一般駐車場P3が、当該要望を満たす駐車場と判定する。
【0057】
ついで、制御部20は、時間についての要望のうち、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望についての判定を行う。具体的には、制御部20は、判定部21cの機能により、駐車場情報30aを参照して、一般駐車場P2および一般駐車場P3の位置を特定し、当該各一般駐車場から施設まで徒歩で移動した場合の時間である徒歩所要時間を特定する。本実施形態においては、一般駐車場P2から施設までの徒歩所要時間が「13分」、一般駐車場P2から施設までの徒歩所要時間が「5分」となっている。また、制御部20は、要望情報30bを参照して、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望(すなわち徒歩で移動する際の所要時間の上限値)を特定する。そして、制御部20は、当該徒歩可能時間で到達可能な駐車場を特定する。本実施形態において、
図3に示す利用者の要望情報30bでは、徒歩可能時間が10分となっている。したがって、制御部20は、時間についての要望のうち、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望について、一般駐車場P3が、当該要望を満たす駐車場と判定する。このようにして、制御部20は、ステップS6において、時間についての要望を満たすか否かを判定する。なお、仮に、ステップS6で、利用者の時間についての要望を満たす駐車場がないと判定した場合には、制御部20は、
図4のフローチャートの処理を終了し、利用者の要望を満たす駐車場が見つからない旨を利用者端末100の表示部に表示させ、要望情報の再設定を促す。
【0058】
ついで、制御部20は、判定部21cの機能により、利用者の全て要望を満たす駐車場を判定する(ステップS7)。すなわち、金銭についての要望と、時間についての要望と、の利用者の全ての要望を満たす駐車場を判定する。上述のように、本実施形態においては、ステップS4において、金銭についての要望を満たす駐車場として一般駐車場P2および一般駐車場P3と判定されている。そして、ステップS6において、2つの時間についての要望のうち双方の要望を満たすのは一般駐車場P3である。したがって、制御部20は、利用者の全ての要望を満たす駐車場を一般駐車場P3と判定する。制御部20は、当該全ての要望を満たす駐車場を判定したら、処理をステップS8に進める。
【0059】
ステップS8において、制御部20は、表示制御部21dの機能により、上述の全ての要望を満たすと判定した駐車場をユーザI/F部150の表示部に表示させる。すなわち、制御部20は、ステップS7で判定した、利用者の全ての要望を満たす駐車場(一般駐車場P3)の情報を、通信部40を介して利用者端末100に送信する。当該送信された当該駐車場の情報はユーザI/F部150の表示部に表示される。その結果、利用者は、自身の要望を満たす駐車場を認識することができる。
【0060】
また、利用者端末100への全ての要望を満たす駐車場の表示は、単に利用者の要望を満たす駐車場情の情報を表示させてもよいが、利用者は当該駐車場を利用してデパートに行くことになるので、当該駐車場までの走行予定経路を表示部に表示させることが好ましい。具体的には、制御部20は、利用者端末100から利用者の現在位置を定期的に取得する。また、制御部20は、地図情報30cに基づいて、利用者の現在位置を含む地図を描画し、当該地図をユーザI/F部150の表示部に表示させる。さらに、制御部20は、地図情報30cに基づいて、利用者の現在位置と、利用者の全ての要望を満たす駐車場である一般駐車場P3の位置と、現在位置から当該一般駐車場P3までの走行予定経路と、を特定し、表示部に表示された地図に重畳表示させる。
図5Aは、車両の現在位置から一般駐車場P3までの走行予定経路を表示部の地図に表示させた例を示している。
図5AにおけるGは、到達地点である一般駐車場P3を示しており、符号Cは利用者の車両の現在位置を示している。道路は細い直線で示されており、道路に重畳された太い直線は走行予定経路である。なお、走行予定経路は、例えば外部の経路探索サーバ(図示せず)より決定され、駐車場案内システム10に送信される。
【0061】
また、制御部20は、利用者の車両が一般駐車場P3の周辺に近づいたら、表示部の表示を
図5Bのように切り替え、利用者を一般駐車場P3まで案内する。なお、
図5Bにおいては、利用者が利用するデパートを含む施設のポリゴンがグレーの矩形で例示されている。また、
図5Bにおいて、符号Cは利用者の車両の現在位置を示し、太線矢印は、一般駐車場P3への経路を示している。
【0062】
以上のように、本実施形態においては、上述のように、駐車場情報30aと、利用者の要望情報30bと、に基づいて、当該利用者の要望に応じた駐車場を判定する。すなわち、制御部20は、駐車場情報30aを参照して、利用者の駐車場を利用する際の金銭についての要望と、駐車場を利用する際の時間についての要望と、を満たす駐車場を判定する。このように判定した駐車場は、利用者の要望の全てを満たす駐車場であるため、例えば幾つかのパラメータを総合的に判断した結果に基づく駐車場が案内される場合に比べて、利用者の要望の反映度が高くなる。すなわち、従来のシステムでは、複数のパラメータを総合的に判断して利用者の要望に近い駐車場を案内が可能だが、必ずしも利用者の要望を満たすとは限らない。それに対して、本実施形態においては、利用者の要望の全てを満たす駐車場しか案内しないため(言い換えれば1つでも要望を満たさないなら要望を満たす駐車場は存在しないと判定する)、利用者の要望に合致する駐車場のみが案内されることになる。その結果、本実施形態においては、利用者が望まない駐車場が案内されることがなく、つまり、利用者の要望に沿った駐車場を案内することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、利用者の要望情報30bに沿った駐車場を判定する際に、過去の渋滞の実績に基づいた駐車場の渋滞度や現在の混在度を含む駐車場情報30aを参照する。従来は、利用者がユーザI/F部150を操作して目的地を入力すると、施設の駐車場(例えば施設内の駐車場)に目的地が設定され、当該施設の駐車場に利用者が集中することが想定される。そのような場合、施設の駐車場では渋滞が起こりやすい状況になる。一方、利用者には、上述の要望情報30bに含まれるように様々な要望(金銭についての要望、時間についての要望)があるため、当該要望に応えるために、駐車場情報30aを参照して案内する駐車場を判定することで、必ずしも施設の駐車場を案内するとは限らないことになる。つまり、上述の実施形態のように、一般駐車場に案内することもある。その場合には、施設の駐車場に案内が集中することを避けることができるため、利用者が利用する駐車場が近傍駐車場と一般駐車場とに分散されることになる。その結果、施設の駐車場を含む近傍駐車場での渋滞度や混雑度を低下させることができる。
【0064】
また、本実施形態においては、制御部20により、判定した駐車場をユーザI/F部150の表示部に表示させる。これにより、利用者は自身の要望に沿った駐車場を認識することができる。また、制御部20は、上述の
図5Aおよび
図5Bで説明したように、判定した駐車場までの経路を地図上に重畳させて表示する。これにより、利用者は、当該駐車場までの経路を認識することができる。
【0065】
また、本実施形態において、制御部20は、金銭についての要望に金銭の上限値が含まれる場合に、利用者の施設滞在予定時間と駐車場と単位時間当たりの駐車料金とから、利用者の推定支払額を求め、当該推定支払額が上限値以下となる駐車場を利用者の要望を満たす駐車場と判定する。これにより、利用者には、支払額が上限値以下となる駐車場が案内されることになり、利用者には、上限値を超える支払額となる駐車場が案内されることを防ぐことができる。
【0066】
また、本実施形態において、制御部20は、時間についての要望に、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望が、含まれる場合に、当該一般駐車場を利用者の要望を満たす駐車場と判定する。すなわち、近傍駐車場で待っている間に、一般駐車場に駐車して徒歩で施設に到着できる場合には、当該一般駐車場を案内する。これにより、例えば近傍駐車場で待つ間に、他の駐車場に駐車して施設に移動することを望む利用者の要望に応えることができる。
【0067】
また、本実施形態において、制御部20は、時間についての要望に、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望が含まれる場合、すなわち徒歩可能時間に上限値が設定されている場合には、当該上限値以下で徒歩によって移動可能な駐車場を利用者の要望情報を満たす駐車場と判定する。なお、この場合には、案内され得る駐車場には一般駐車場と近傍駐車場とが含まれる。これにより、例えば上限値より長い時間歩きたくない利用者や歩ける時間に上限がある利用者(例えば、子連れの人、怪我している人など)の要望に応えることができる。
【0068】
また、本実施形態において、制御部20は、上述の
図4のフローチャートで説明したように、金銭についての要望と、時間についての要望と、の全て要望が要望情報30bに含まれる場合には、当該全ての要望を満たす駐車場を案内する。つまり、このような利用者は、例えば駐車場での支払額に上限があって、案内される駐車場が一般駐車場でも良いけど、徒歩で移動可能な距離に上限がある人が想定できる。本実施形態においては、このような複数の要望がある利用者に対しても、当該利用者の要望に沿った駐車場を判定して案内することができる。
【0069】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、上述の実施形態においては、時間についての要望において、駐車場から施設までの徒歩可能時間に上限値が設定されていた場合の例について説明したが、制御部20は、この上限値が予め定められた閾値以下(例えば0分~3分程度の短い時間)である場合には、要望情報を満たす駐車場として、施設までの徒歩の所要時間が当該閾値以下の近傍駐車場と判定してもよい。このような利用者としては、例えば待ち時間があっても近傍駐車場に駐車することを要望する利用者が想定される(言い換えれば、施設まで歩くことは避けたい人が想定される)。このような要望が要望情報30bに含まれる場合、制御部20は、案内する対象の駐車場から一般駐車場を除外して近傍駐車場に限定する。これにより、歩くことを望まない利用者の要望に応えることが可能となる。
【0070】
また、上述の実施形態における時間についての要望の一例として、「駐車場から施設までの徒歩可能時間」を例として説明したが、当該要望は、「駐車場から施設までの徒歩可能距離」であってもよい。上述のように、
図2の駐車場情報30aには、各駐車場から施設までの距離が記録されており、また
図3の要望情報30bには、徒歩可能距離が記録されている。したがって、制御部20は、駐車場情報30aと要望情報30bとを参照し、駐車場から施設まで徒歩で移動可能な距離の駐車場を判定して、当該判定した駐車場を利用者に案内してもよい。これにより、利用者に対して、駐車場から施設までの移動において、要望する距離より長い駐車場が案内されることを回避でき、その結果、利用者の要望に沿った駐車場の案内が可能となる。
【0071】
また、上述の
図4のフローチャートで説明した例では、利用者に案内する駐車場として1つの駐車場(一般駐車場P3)が判定され、当該判定された駐車場が表示部に表示される例を説明したが、この表示部に表示される駐車場は複数であってもよい。すなわち、制御部20は、利用者の要望を満たす駐車場が複数存在する場合には、当該複数の駐車場を案内可能な駐車場として判定して表示部に表示してもよい。その場合には、利用者は、ユーザI/F部150を操作して複数表示された駐車場から1つの駐車場を選択する。その選択された駐車場の情報は駐車場案内システム10に送信され、当該選択された駐車場までの経路等の情報がユーザI/F部150の表示部に表示される。
【0072】
また、上述の
図4のフローチャートで説明した例では、ステップS3で金銭についての要望がありであって、かつステップS5で時間についての要望がありの場合に案内される駐車場の例について説明した。一方、この処理において、案内される駐車場としては、その他複数のパターンが想定され得る。具体的には、上述のように、要望情報30bには、金銭についての要望、および、時間についての要望が2種類含まれ、全部で3つの要望が含まれる。上述の実施形態においては、3つ全ての要望がある場合の例を説明したが、当該要望は、1つや2つの場合もあり得る。以下に、当該要望が1つ場合および2つの場合の例を説明する。なお、案内する駐車場を特定する具体的な内容については、上述の実施形態と同様の部分がほとんどであるため、具体的な処理の内容については省略する。
【0073】
先ず、当該要望が1つの場合であって、その要望が金銭についての要望である場合について説明する。このような場合、制御部20は、要望情報30bを参照し、施設滞在予定時間と利用者の駐車における上限金額とを特定する。また、制御部20は、駐車場情報30aを参照して各駐車場の単位時間当たりの駐車料金を特定する。制御部20は、施設滞在予定時間と単位時間当たりの駐車場との積が、利用者の上限金額以下となる駐車場を判定する。そして、当該判定した駐車場を利用者の要望を満たす駐車場として案内する。これにより、利用者には、少なくとも金銭についての要望を満たす駐車場が案内される。
【0074】
ついで、要望が1つの場合であって、その要望が、時間についての要望のうち、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望である場合について説明する。このような場合、制御部20は、駐車場情報30aを参照し、駐車場の渋滞度に対応付いた近傍駐車場の待ち時間以内に徒歩で施設まで移動可能な一般駐車場を特定する。そして、制御部20は、当該特定した駐車場を利用者の要望を満たす駐車場として判定し、案内する。これにより例えば、支払う駐車料金は気にしないが駐車場で待つことを望まない利用者に対しての要望に応えることができる。
【0075】
ついで、要望が1つの場合であって、その要望が、時間についての要望のうち、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望である場合について説明する。このような場合、制御部20は、駐車場情報30aおよび要望情報30bを参照し、利用者の徒歩可能時間(すなわち徒歩可能な時間の上限値)以内で、施設に到着可能な駐車場を特定する。そして、制御部20は、当該特定した駐車場を利用者の要望を満たす駐車場として判定し、案内する。これにより、利用者に徒歩可能時間の要望を満たす駐車場を案内することができる。
【0076】
ついで、要望が2つの場合であって、その要望が、金銭についての要望と、時間についての要望のうちの近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望と、である場合について説明する。このような場合、制御部20は、駐車場情報30aおよび要望情報30bを参照し、施設滞在予定時間と単位時間当たりの駐車場との積が、利用者の上限金額以下となる駐車場を特定する。そして、当該特定した駐車場のうち、駐車場の渋滞度に対応付いた近傍駐車場の待ち時間以内に徒歩で施設まで移動可能な一般駐車場を特定する。また、制御部20は、当該特定した駐車場を利用者の要望を満たす駐車場として判定し、案内する。これにより例えば、支払う駐車料金は制限があるが、近傍駐車場で待つくらいなら歩くのは気にしないような利用者(言い換えれば、施設から遠くても駐車料金が安いことを望む利用者)に対しての要望に応えることができる。
【0077】
ついで、要望が2つの場合であって、その要望が、金銭についての要望と、時間についての要望のうちの駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望と、である場合について説明する。このような場合、制御部20は、駐車場情報30aおよび要望情報30bを参照し、施設滞在予定時間と単位時間当たりの駐車場との積が、利用者の上限金額以下となる駐車場を特定する。そして、当該特定した駐車場のうち、利用者の徒歩可能時間以内で、施設に到着可能な駐車場を特定する。そして、制御部20は、当該特定した駐車場を利用者の要望を満たす駐車場として判定し、案内する。これにより例えば、支払う駐車料金に制限を設けて気にしつつ、かつ施設から遠すぎるのも避けたい利用者(言い換えれば、駐車料金が高いのも、駐車場から遠いのも避けたい利用者)に対しての要望に応えることができる。
【0078】
ついで、要望が2つの場合であって、その要望が、近傍駐車場での待ち時間以下で利用者の徒歩で施設に到着可能な一般駐車場が存在する場合に案内する要望と、駐車場から施設までの徒歩可能時間についての要望と、の双方の時間についての要望である場合について説明する。このような場合、制御部20は、駐車場情報30aおよび要望情報30bを参照し、駐車場の渋滞度に対応付いた近傍駐車場の待ち時間以内に徒歩で施設まで移動可能な一般駐車場を特定し、さらに利用者の徒歩可能時間以内で、施設に到着可能な駐車場を特定する。そして、制御部20は、当該特定した駐車場を利用者の要望を満たす駐車場として判定し、案内する。これにより例えば、近傍駐車場で待つことを避けつつ、施設から遠すぎるのも避けたい利用者(言い換えれば、駐車料金は気にしないが、待ちが発生しない遠くない駐車場を望む利用者)に対しての要望に応えることができる。
【0079】
このように、本実施形態では、多様な利用者に対して要望に沿った駐車場の案内ができる。
【0080】
なお、上述の
図4のフローチャートにおいて、ステップS3およびステップS5で否定的に判断される場合もあり得るが、その場合には、利用者は金銭についての要望も時間についての要望もないことになる。このような場合には、利用者はどこの駐車場に案内されても要望を満たすことになるので、制御部20は、現在空いている駐車場から案内するなど予め定められた条件でソートして駐車場を案内する。
【0081】
また、上述の実施形態においては、渋滞度を過去の渋滞実績に基づいて定義したが、この渋滞度は例えば常時カメラ等のセンサで渋滞度合いを検出することなどによる現在の渋滞度に基づいていてもよい。その場合には、過去の渋滞実績に基づく渋滞度より精度が良い渋滞度となるので、近傍駐車場での待ち時間もより正確になり、その結果、利用者に対してより精度の良い情報に基づいた駐車場の案内が可能となる。
【0082】
また、上述の実施形態を構成する各システムは、機能を共有したより少ない装置で構成されてもよい。このような例としては、
図1に示す少なくとも1台のシステムが、他の1台以上のシステムと同一の装置で構成される例が挙げられる。例えば、駐車場案内システム10と利用者端末100とが一体の装置で構成されていてもよいし、駐車場案内システム10と管理者端末200とが一体の装置で構成されてもよいし、利用者端末100と管理者端末200とが一体の装置で構成されていてもよい。また、駐車場案内システム10の一部(駐車場情報取得部21a、要望情報取得部21b、判定部21c、表示制御部21dの少なくとも一部)の機能が駐車場案内システム10で実現されてもよい。さらに、
図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されてもよい。例えば、駐車場案内システム10、利用者端末100、管理者端末200の少なくとも一部がクラウドサーバで構成されてもよい。
【0083】
また、駐車場案内システム10を構成する各部(駐車場情報取得部21a、要望情報取得部21b、判定部21c、表示制御部21d)の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していてもよい。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。
【0084】
さらに、本発明の手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0085】
10…駐車場案内システム、20…制御部、21…駐車場案内プログラム、21a…駐車場情報取得部、21b…要望情報取得部、21c…判定部、21d…表示制御部、30…記録媒体、30a…駐車場情報、30b…要望情報、30c…地図情報、40…通信部、100…利用者端末、110…制御部、120…記録媒体、120a…要望情報、120b…地図情報、130…通信部、140…GNSS受信部、150…ユーザI/F部、200…管理者端末、210…制御部、220…通信部、230…ユーザI/F部、240…記録媒体、240a…駐車場情報。